JP7315369B2 - エチレン重合体粒子及び成形体 - Google Patents
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Description
特に、鉛蓄電池やリチウムイオン電池に代表される二次電池用微多孔膜の原料として分子量の高いエチレン重合体が用いられている。
近年、リチウムイオン電池に対しては、さらなる大容量化、高出力化が求められており、当該リチウムイオン電池用の微多孔膜として、薄膜であり、かつ強度及び低熱収縮性のバランスに優れることが要求されている。
かかる観点から、高強度及び低熱収縮性を達成する技術が、特許文献1、2に提案されている。
一般的に、薄膜かつ高強度な微多孔膜を実現するための方法としては、原料のエチレン重合体を高分子量化する方法が挙げられる。
しかしながら、エチレン重合体を高分子量化すると、これを原料とした微多孔膜は、強度が高まるものの、熱収縮性が高まる傾向にある。
また、微多孔膜等の製造工程においては、エチレン重合体を高分子量化することにより延伸時の応力が高まるため、膜のネッキングが発生しやすい。膜にネッキングが発生すると、製品となる膜の幅が狭くなる他、膜に厚みムラ、物性ムラが発生しやすくなる。
特に、薄膜に加工する際に延伸時のネッキングが大きくなると、膜の破断を招来するおそれがある。
一方、延伸時、すなわち重合体を製膜して得たゲル状シートを延伸し、微多孔膜を作製する工程においてネッキングを抑制するための方法として、原料の粘度を低くして延伸応力を低減化させるために原料のエチレン重合体に低分子量の成分を添加する方法が挙げられるが、低分子量成分を添加すると膜の強度が低下し、さらには、製膜時、すなわちエチレン重合体からゲル状シートを成形する工程においてネッキングが大きくなる傾向にあり、膜物性の均一性や品位が低下するという問題を有している。
すなわち、本発明は以下の通りである。
示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の(測定条件A)により求められる125℃
における等温結晶化時間(X)が0.5分以上5.5分以下であり、
溶液粘度測定による粘度平均分子量(Mv)が、300,000以上3,000,000以下であり、
前記溶液粘度測定において、測定溶液の濃度が0.27g/dlと0.36g/dlにおいて測定した還元粘度の傾きαと、測定溶液の濃度が0,02g/dlと0.1g/dlにおいて測定した還元粘度の傾きβとの比(α/β)が、1.5以上3.5以下である、
エチレン重合体粒子。
(DSCによる測定条件A)
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で230℃まで昇温する。
(2)230℃で30分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する
。
(3)125℃で30分間保温する。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(X)(分)を測定
する。)
〔2〕
示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の(測定条件B)により求められる125℃
における等温結晶化時間(Y)と、前記等温結晶化時間(X)との比(X)/(Y)が1
.0以上2.5以下である、前記〔1〕に記載のエチレン重合体粒子。
(DSCによる測定条件B)
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で180℃まで昇温する。
(2)180℃で5分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する。
(3)125℃で30分間保温する。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(Y)(分)を測定
する。)
〔3〕
平均粒子径(D50)が50μm以上300μm以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のエチレン重合体粒子。
〔4〕
見かけ密度が0.25g/cm3以上0.60g/cm3以下である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のエチレン重合体粒子。
〔5〕
下記(1)~(3)の加工条件によって得られるプレスシート密度が925kg/m3
以上960kg/m3以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のエチレン重合体粒子。
(1)200℃、0.1MPaの条件で900秒間予熱する。
(2)200℃、15MPaの条件で300秒間加圧する。
(3)25℃、10MPaの条件で600秒間冷却する。
〔6〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のエチレン重合体粒子を成形してなる、成形体。
〔7〕
微多孔膜である、前記〔6〕に記載の成形体。
〔8〕
エチレン重合体を含み、示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の(測定条件A)に
より求められる125℃における等温結晶化時間(X)が0.5分以上5.5分以下であ
る成形体であって、
前記エチレン重合体は、溶液粘度測定による粘度平均分子量(Mv)が、300,000以上3,000,000以下であり、前記溶液粘度測定において、測定溶液の濃度が0.27g/dlと0.36g/dlにおいて測定した還元粘度の傾きαと、測定溶液の濃度が0,02g/dlと0.1g/dlにおいて測定した還元粘度の傾きβとの比(α/β)が、1.5以上3.5以下である、
成形体。
(DSCによる測定条件A)
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で230℃まで昇温する。
(2)230℃で30分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する
。
(3)125℃で30分間保温する。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(X)(分)を測定
する。)
また、製膜時及び延伸時のネッキングが抑制され、これにより膜収率及び膜品質の向上が図られ優れた生産性が達成される。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態のエチレン重合体粒子は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の(測定条件A)により求められる125℃における等温結晶化時間(X)が0.5分以上5.5分以下である。
(DSCによる測定条件A)
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で230℃まで昇温する。
(2)230℃で30分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する。
(3)125℃で30分間保温する。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(X)を測定する。)
以下、上記要件について説明する。
本実施形態のエチレン重合体粒子の前記測定条件Aによって得られる等温結晶化時間(X)は、0.5分以上5.5分以下であり、好ましくは0.5分以上4.0分以下であり、より好ましくは0.5分以上2.0分以下である。
等温結晶化時間(X)が0.5分以上であると、エチレン重合体粒子の溶媒への溶解が十分なものとなり、本実施形態のエチレン重合体粒子により得られる延伸成形体や、微多孔膜が外観に優れる傾向にある。
一方、等温結晶化時間(X)が5.5分以下であると、低熱収縮性に優れ、かつ製膜時、延伸時の低ネックイン性に優れる傾向にある。
等温結晶化時間(X)は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
等温結晶化時間は溶融状態にあるポリマーを急冷し、結晶化までの時間を評価するものである。
等温結晶化時間が短いということは結晶化が早く進むことを示す。結晶化が早く進むということは、冷却後の早い段階で分子運動が抑制され、結晶部が形成されることを示している。分子運動は分子の長さ、絡み合いにより制御されるものと推定している。高分子量のエチレン重合体粒子は、当該エチレン重合体の粘度が高いため、溶媒を用いて高温の条件下(例えば、200℃以上)で溶解させて加工する場合がある。これにより、分子の熱運動が促進され分子鎖の絡み合いはほぐれてしまうため、分子鎖の絡み合いに由来するネットワーク効果が低下し強度の向上は難しくなる。そこで、高温の条件下(230℃)で長時間(30分)さらし、あえて分子鎖の熱運動を促進させ、分子鎖の絡み合いをほぐした状態で、等温結晶化時間を測定することで、エチレン重合体粒子を高温条件下で加工する際の分子鎖の絡み合いのほぐれやすさの指標とすることとした。
通常のエチレン重合体粒子では前記(測定条件A)によって得られる等温結晶化時間は長くなる傾向にあるが、本実施形態のエチレン重合体粒子は、前記(測定条件A)によって得られる等温結晶化時間が短く、高温条件下での加工の際に分子鎖の絡み合いがほぐれにくい点に特徴を有している。
等温結晶化時間(X)を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、触媒に用いる担体を合成する際に撹拌周速度を8m/s以上にする方法、邪魔板を3枚以上設置する方法、担体合成に使用する原料濃度を1.5M以上に高める方法、担体に対してTiをTi/Mg比が0.007以上0.03以下になるように担持する方法等が挙げられる。
本実施形態のエチレン重合体粒子は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の(測定条件B)により求められる125℃における等温結晶化時間(Y)と、前記等温結晶化時間(X)との比(X/Y)は、好ましくは1.0以上2.5以下であり、より好ましくは1.0以上2.0以下であり、さらに好ましくは1.0以上1.5以下である。
(DSCによる測定条件B)
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で180℃まで昇温する。
(2)180℃で5分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する。
(3)125℃で30分間保温する。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(Y)を測定する。)
等温結晶化時間の比(X/Y)が1.0以上2.5以下であると、製膜時ならびに延伸時の低ネックイン性に優れる傾向にある。
等温結晶化時間(X/Y)は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
等温結晶化時間の比(X/Y)を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する所定のオレフィン系重合用触媒を使用し、重合温度を78℃以上にすること、重合圧力を0.3MPa以上にすること等が挙げられる。
本実施形態のエチレン重合体粒子の粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは300,000以上3,000,000以下であり、より好ましくは500,000以上2,000,000以下であり、さらに好ましくは、800,000以上1,500,000以下である。
粘度平均分子量(Mv)が300,000以上であると、エチレン重合体粒子の強度が高まる傾向にある。一方、粘度平均分子量(Mv)が3,000,000以下であると、エチレン重合体粒子の低熱収縮性、低ネックイン性に優れる傾向にある。
エチレン重合体粒子の粘度平均分子量(Mv)は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
粘度平均分子量(Mv)を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、重合系内の条件(温度、エチレン圧力、水素濃度等)を適宜調整することする方法等が挙げられる。
本実施形態のエチレン重合体粒子の溶液粘度測定において、測定溶液の濃度が0.27g/dlと0.36g/dlにおいて測定した還元粘度の傾きαと、測定溶液の濃度が0.02g/dlと0.1g/dlにおいて測定した還元粘度の傾きβの比(α/β)は、好ましくは1.5以上3.5以下であり、より好ましくは1.5以上2.5以下であり、さらに好ましくは1.7以上2.0以下である。
還元粘度の傾きの比(α/β)が1.5以上であると、溶媒に溶解させた際でもポリエチレン分子鎖の絡み合いが十分なものとなり、エチレン重合体粒子の低ネックイン性に優れる傾向にある。
一方、還元粘度の傾きの比(α/β)が3.5以下であると、エチレン重合体粒子の溶媒への溶解性が十分なものとなり、本実施形態のエチレン重合体粒子により製造した延伸成形体や微多孔膜の外観に優れる傾向にある。
還元粘度の傾きの比(α/β)は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
還元粘度の傾きの比(α/β)を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する所定のオレフィン系重合用触媒を使用し粘度平均分子量を調整する方法、重合系内の条件(温度、エチレン圧力、水素濃度等)を調整する方法、触媒に用いる担体を合成する際に、合成に用いる材料を仕込むオートクレーブの撹拌周速度を9m/s以上にする方法、前記オートクレーブ中に邪魔板を6枚以上設置する方法、触媒に用いる担体の合成に使用する原料濃度を1.5M以上に高める方法、触媒に用いる担体に対してTiをTi/Mg比が0.007以上0.03以下になるように担持する方法等が挙げられる。
本実施形態のエチレン重合体粒子の平均粒子径(D50)は、好ましくは50μm以上300μm以下であり、より好ましくは60μm以上200μm以下、さらに好ましくは、70μm以上150μm以下である。
平均粒子径(D50)が50μm以上であると、エチレン重合体粒子のハンドリング性がより一層優れ、成形工程内のトラブルが低減される傾向にある。
一方、平均粒子径(D50)が300μm以下であると、エチレン重合体粒子の溶媒に対する溶解性がより一層良好となり、エチレン重合体粒子は、成形の際、より一層優れた外観を付与できる傾向にある。
エチレン重合体粒子の平均粒子径(D50)は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
エチレン重合体粒子の平均粒子径(D50)を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、触媒粒子径を調整する方法、重合系内の条件(温度、エチレン圧力等)を適宜調整する方法等が挙げられる。
本実施形態のエチレン重合体粒子の見かけ密度は、好ましくは0.25g/cm3以上0.60g/cm3以下であり、より好ましくは0.30g/cm3以上0.55g/cm3以下であり、さらに好ましくは0.35g/cm3以上0.50g/cm3以下である。
見かけ密度が0.25g/cm3以上であると、エチレン重合体粒子の流動性が充分に高くなり、ハンドリング性に優れ、エチレン重合体粒子は、成形の際、安定な品質を付与できる。
一方、見かけ密度が0.60g/cm3以下であると、エチレン重合体粒子が流動パラフィンに十分に含浸し、流動パラフィンに対する溶解性が良好になり、エチレン重合体粒子は、成形の際、優れた外観特性を付与できる。
なお、見かけ密度は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
エチレン重合体粒子の見かけ密度を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する所定のオレフィン系重合用触媒を使用する方法や、重合系内の条件(温度、エチレン圧力等)を適宜調整する方法等が挙げられる。
本実施形態のエチレン重合体粒子のプレスシートであって、下記(1)~(3)の加工条件によって得られるプレスシート密度は、好ましくは925kg/m3以上960kg/m3以下であり、より好ましくは925kg/m3以上950kg/m3以下であり、さらに好ましくは930kg/m3以上945kg/m3以下である。
下記(1)~(3)の加工条件によって得られるプレスシート密度が925kg/m3以上であると、エチレン重合体粒子の結晶性が十分に高く、耐熱性を付与できる傾向にある。一方でプレスシート密度が960kg/m3以下であると、エチレン重合体粒子の粘度平均分子量が十分に高く、成形の際に優れた強度を付与できる傾向にある。
(1)200℃、0.1MPaの条件で900秒間予熱する。
(2)200℃、15MPaの条件で300秒間加圧する。
(3)25℃、10MPaの条件で600秒間冷却する。
本実施形態のエチレン重合体粒子としては、特に限定されないが、エチレン単独重合体粒子であってもよく、エチレンと他のコモノマーとの共重合体粒子であってもよい。
他のコモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、α-オレフィン、ビニル化合物が挙げられる。
前記α-オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数3~20のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン等が挙げられる。
さらに、前記ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びその誘導体等が挙げられる。
また、必要に応じて、他のコモノマーとして、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等の非共役ポリエンを使用することもできる。
前記エチレンと他のコモノマーとの共重合体は、3元ランダム重合体であってもよい。他のコモノマーは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のエチレン重合体粒子の製造の際には、所定の触媒成分を用いることが好ましい。
触媒としては、特に限定されず、例えば、特許5782558号公報や特許5829257号公報、特許4868853号公報、特開平10-218933号公報等に開示されているチーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒等が挙げられる。
すなわち、エチレン重合体粒子を高温条件下で十分に熱運動させた後でも結晶化を早める起点となるポリエチレン分子鎖が拘束された絡み合い点を保持することが重要である。
そのためには、複数のポリエチレン分子鎖が絡み合った拘束点をエチレン重合体粒子内に細かく均一に分布させることが必要である。
エチレン重合体粒子内に複数のエチレン分子鎖が絡み合う点を均一に分散させるという観点からは、活性点距離を適切に設定し、重合中も位置関係が保持されることが好ましい。そのため、触媒担体に剛性を持たせ、活性点距離を維持させるために、触媒担体の作製時に、原料を仕込む反応器の撹拌周速度を8m/s以上にすること、邪魔板を3枚以上設置すること、触媒担体作製完了時の原料濃度を1.5M以上にすることが好ましい。
また、触媒担体に対してTiをTi/Mg比が0.007以上0.03以下となるように担持することが好ましい。
すなわち、エチレン重合体粒子を溶媒に拡散させた際にも絡み合いを保持することが好ましい。そのため、上述した触媒を用いたり、触媒担体中にも活性点を含有させ、絡み合い点を増大させるために触媒担体の作製時に四塩化チタンを添加させたりすることが好ましい。
本実施形態のエチレン重合体粒子の製造方法としては、懸濁重合法、気相重合法が挙げられ、これらの方法により、エチレン、又はエチレンを含む単量体を(共)重合させることが好ましい。
特に、重合熱を効率的に除熱できる懸濁重合法が好ましい。
懸濁重合法においては、溶媒として不活性炭化水素溶媒を用いることができ、さらにオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
すなわち、高温条件前後での変化量が少ないことから、より解けにくい絡み合いを有する。
このような特性を有する本実施形態のエチレン重合体粒子を得るためには、前述のオレフィン系重合用触媒を使用し、さらには重合温度を78℃以上、あるいは重合圧力を0.5MPa以上にすることが好ましい。
重合温度を78℃以上あるいは重合圧力を0.5MPa以上にすることにより、ポリエチレン分子の成長速度が結晶化速度に対して十分に大きくなり、ポリエチレン分子鎖の絡み合いが促進される。
溶媒と分離した後に触媒を失活させるための薬剤を導入することにより、溶媒中に含まれる低分子量成分や触媒成分等の析出を低減することができる。
乾燥温度は、通常、50℃以上150℃以下が好ましく、50℃以上130℃以下がより好ましく、50℃以上100℃以下がさらに好ましい。
乾燥温度が50℃以上であれば、効率的な乾燥が可能である。一方、乾燥温度が150℃以下であれば、エチレン重合体の分解や架橋を抑制した状態で乾燥することが可能である。本実施形態では、上記のような各成分以外にもエチレン重合体粒子の製造に有用な他の公知の成分を含むことができる。
本実施形態のエチレン重合体粒子は、中和剤、酸化防止剤、及び耐光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
中和剤としては、以下に限定されないが、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のステアリン酸塩が挙げられる。
中和剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは5,000ppm以下であり、より好ましくは4,000ppm以下であり、さらに好ましくは3,000ppm以下である。
酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは5,000ppm以下であり、より好ましくは4,000ppm以下であり、さらに好ましくは3,000ppm以下である。
耐光安定剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは5,000ppm以下であり、より好ましくは4,000ppm以下であり、さらに好ましくは3,000ppm以下である。
本実施形態の成形体としては、本実施形態のエチレン重合体粒子と流動パラフィンとの混合物の延伸成形体、微多孔膜が挙げられる。
本実施形態の成形体は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の(測定条件A)により求められる125℃における等温結晶化時間(X)が0.5分以上5.5分以下であることが好ましい。より好ましくは0.5分以上4.0分以下であり、さらに好ましくは0.5分以上2.0分以下である。
(DSCによる測定条件A)
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で230℃まで昇温する。
(2)230℃で30分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する。
(3)125℃で30分間保温する。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(X)(分)を測定する。)
成形体の等温結晶化時間(X)は、後述する実施例に記載の方法において、エチレン重合体粒子を、成形体に置き換えて測定することができる。
本実施形態の成形体は、例えば、二次電池用セパレータ、特に、リチウムイオン二次電池セパレータ、高強度繊維、微多孔膜、ゲル紡糸として用いることができる。
各種特性及び物性の測定方法を下記に示す。
<(1)等温結晶化時間(X)>
DSC(パーキンエルマー社製、商品名:DSC8000)を用いて測定を行った。
8.5mgのエチレン重合体粒子をアルミニウムパンに挿填し、DSCに設置した後、以下の測定条件(A)により等温結晶化時間(X)を測定した。
(DSC測定条件(A))
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で230℃まで昇温した。
(2)230℃で30分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温した。
(3)125℃で30分間保温した。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(分)を測定した。)
DSC(パーキンエルマー社製、商品名:DSC8000)を用いて測定を行った。
8.5mgのエチレン重合体粒子をアルミニウムパンに挿填し、DSCに設置した後、以下の測定条件(B)により等温結晶化時間(Y)を測定した。その後、(X)/(Y)を算出した。
(DSC測定条件(B))
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で230℃まで昇温した。
(2)180℃で5分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温した。
(3)125℃で30分間保温した。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(分)を測定した。)
エチレン重合体粒子の粘度平均分子量を、以下に示す方法によって求めた。
まず、溶解管にエチレン重合体粒子4.5mgを秤量し、溶解管を窒素置換した後、20mLのデカヒドロナフタレン(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールを1g/L加えたもの)を加え、150℃で1.5時間攪拌してエチレン重合体粒子を溶解させ、溶液を得た。
その溶液を135℃の恒温槽で、キャノンフェンスケタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。
ブランクとしてエチレン重合体粒子を入れていないデカリンのみの落下時間(tb)を測定した。
下記式(i)に従って求めたポリマーの還元粘度(ηsp/C)を用いて、下記式(ii)により極限粘度(η)を算出した。
さらに、極限粘度(η)を用いて、下記式(iii)により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
(ηsp/C)=(ts/tb-1)/C (単位:dL/g)・・・式(i)
(η)=(ηsp/C)/(1+(0.27×C×(ηsp/C))(単位:dL/g)・・・式(ii)
(Mv)=((η)/6.8×104)1.4925 ・・・式(iii)
Cは135℃における溶液の濃度であり、下記式(iv)により算出した。
C=(エチレン重合体粒子の質量(mg)/1000)/(デカヒドロナフタレンの溶液量(mL)×1.107)×100 (単位:g/dL) ・・・式(iv)
エチレン重合体粒子の質量を所望の濃度Cになるように秤量し、溶解管を窒素置換した後、20mLのデカヒドロナフタレン(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールを1g/L加えたもの)を加え、150℃で1.5時間攪拌してエチレン重合体粒子を溶解させ、濃度が0.36g/dL、0.27g/dL、0.1g/dL、0.02g/dLの溶液を、それぞれ調製した。
これらの溶液を135℃の恒温槽で、キャノンフェンスケタイプの粘度計を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。
ブランクとしてエチレン重合体粒子を入れていないデカリンのみの落下時間(tb)を測定した。
下記式(i)に従って求めたそれぞれの還元粘度(ηsp/C)を用いて、0.36g/dLと0.27g/dLの還元粘度と濃度の直線から求めた傾き(α)と、0.1g/dLと0.02g/dLの還元粘度と濃度の直線から求めた傾き(β)から、還元粘度の傾きの比α/βを算出した。
(ηsp/C)=(ts/tb-1)/C (単位:dL/g) ・・・式(i)
Cは135℃における溶液の濃度であり、下記式(iv)により算出した。
C=(エチレン重合体粒子の質量(mg)/1000)/(デカヒドロナフタレンの溶液量(mL)×1.107)×100 (単位:g/dL) ・・・式(iv)
200mLの容器に、エチレン重合体粒子100gを量り取り、カーボンブラック1gを加えて薬さじで十分に撹拌した。
撹拌したエチレン重合体粒子を、JIS Z 8801規格に準拠した目開きが300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μmのふるいにかけて分級した際、得られる各ふるいに残ったエチレン重合体粒子の質量を、目開きの小さい側から積分した積分曲線において、50%質量となる粒子径を平均粒子径(μm)とした。
エチレン重合体粒子の見かけ密度(g/cm3)は、JIS K-6721:1997に従い測定(算出)した。
厚さ5mmの平滑な鉄板に厚さ0.1mmのアルミニウム板を載せ、さらにセロファンでコーティングされていない厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製ルミラー)を載せた。
この上に、縦60mm、横60mm、厚み2mmの金型を載せ、これに8gのエチレン重合体粒子を入れ、この上に前記ポリエチレンテレフタレートフィルムを載せ、さらに前記アルミニウム板を載せ、さらに前記鉄板を載せた。
これを200℃に温度調節された圧縮成型機(株式会社神藤金属工業所製 SFA-37)に入れ、200℃、0.1MPaで900秒間予熱後、5秒間エアー抜き(10MPa)を行い、200℃、15MPaで300秒間加圧を行った。
加圧終了後、サンプルを取り出し、取り出してから5秒後に25℃に温度調節された圧縮成型機(株式会社神藤金属工業所製 SFA-37)に入れ、25℃、10MPaにて600秒間加圧しながら15±2℃/分の冷却速度で冷却した。
冷却速度は金型を厚紙で挟むことにより調節した。
冷却後、取り出したプレスシートを120℃で1時間アニールし、密度(kg/m3)
を測定した。
カトーテック製のKES-G5ハンディ圧縮試験器(商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/sの条件で微多孔膜の突刺試験を行い、最大突刺荷重(gf)を測定し、下記ように評価した。
突刺荷重が400gfを超える物:◎
350gfを超える物:○
300gfを超える物:△
300gf以下の物:×
微多孔膜をMD方向に10mm幅で100mmの長さにカットした。
カットしたものを120℃熱風オーブンに入れて1時間加熱した。
元の長さ(100mm)に対する収縮した長さの割合で熱収縮率を測定し、下記のように評価した。
熱収縮率が8%以下の物:◎
10%以下の物:○
12%以下の物:△
12%を超える物:×
ゲル状シートの幅を測定し、下記式により製膜時のネッキングを求めた。
製膜時のネッキング(%)=(1-ゲル状シートの幅(mm)/100mm)×100
製膜時のネッキングを、下記のように評価した。
製膜時のネッキングが3%以下の物:◎
5%以下の物:○
7%以下の物:△
7%を超える物:×
延伸後の膜について、幅方向の最小幅を測定し、下記式により延伸時のネッキングを求めた。
延伸時のネッキング=(1-延伸膜の最小幅/延伸チャック間の距離)×100
延伸時のネッキングは下記のように評価した。
延伸時のネッキングが3%以下の物:◎
5%以下の物:○
7%以下の物:△
7%を超える物:×
微多孔膜を20cm角に切り出し、ムラやスジ、未溶融物による白点等の外観不良を目視で観察し、下記のように評価した。
ムラやスジが見られず、白点もない:◎
ムラやスジが見られ、白点が3個以下:○
ムラやスジが見られ、白点が3個より多い:×
(固体触媒成分[A]の調製)
<(1)原料(a-1)の合成>
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H
9)12Al(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2
mol相当)を仕込み、50℃で攪拌しながら、5.47mol/Lのn-ブタノールヘ
キサン溶液146mLを3時間かけて滴下し、終了後ラインを300mLのヘキサンで洗
浄した。
さらに、50℃で2時間かけて攪拌を継続し反応させた。
反応終了後、100℃で加熱濃縮し、常温まで冷却したものを原料(a-1)とした。
原料(a-1)はマグネシウムとアルミニウムの濃度で1.5mol/Lであった。
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4H9)12Al(C2H5)3のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2mol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを3時間かけて滴下し、終了後ラインは300mLのヘキサンで洗浄した。
さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続させ反応させた。
反応終了後、常温まで冷却したものを原料(a-2)とした。
原料(a-2)はマグネシウムとアルミニウムの合計濃度で0.786mol/Lであった。
充分に窒素置換された邪魔板を4枚設置した8Lステンレス製オートクレーブに2mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で周速度8m/sの速度で攪拌しながら、前記(1)で得た原料(a-1)630mL(マグネシウム945mmol相当)を3時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、(A-1)担体を得た。
この担体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは7.5mmolであった。
前記(3)で得た(A-1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら担体に由来するMgに対して担持するTiの比(Ti/Mg)が0.015になるように1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液12.4mLと、前記(2)で得た原料(a-2)15.8mLとを同時に1時間かけて添加した。
添加後、10℃で1時間反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を1,100mL除去し、ヘキサン1,100mLで4回洗浄することにより、固体触媒成分[A]を調製した。
ヘキサン、エチレン、水素、触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器
に連続的に供給した。重合圧力は0.3MPaであった。重合温度はジャケット冷却によ
り83℃に保った。
固体触媒成分[A]と、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムを使用した。トリイ
ソブチルアルミニウムは10mmol/hrの速度で重合器に添加した。固体触媒成分[
A]は、エチレン重合体の製造速度が10kg/hrとなり、重合反応器内のスラリー濃
度が30質量%になるように供給した。ヘキサンは液面レベルが一定に保たれるように供
給した。水素を、気相のエチレンに対する水素濃度が10mol%になるようにポンプで
連続的に供給した。重合スラリーは、連続的に圧力0.05MPa、温度70℃のフラッ
シュドラムに抜き、未反応のエチレンを分離した。分離されたエチレン重合体粒子は、9
0℃で窒素ブローしながら乾燥した。なお、この乾燥工程で、重合後の粒子に対し、スチ
ームを噴霧して、触媒及び助触媒の失活を実施した。得られたエチレン重合体粒子を目開
き425μmの篩を用いて、篩を通過しなかったものを除去することで参考例1のエチレン重合体粒子を得た。
得られたエチレン重合体粒子1の物性及び特性を上記に示す方法で測定した。測定結果
を表1に示す。
エチレン重合体粒子100質量部に、酸化防止剤としてペンタエリスリチル-テトラキス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3質量部添加し、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、エチレン重合体粒子混合物を得た。
得られたエチレン重合体粒子混合物は、窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーを介して投入した。
さらに流動パラフィン(松村石油(株)製P-350(登録商標))200質量部を押出機に注入し、210℃条件で混練し、押出機先端に設置したダイス幅100mmのTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールにより冷却固化させ、厚さ300μmのゲル状シートを成形した。
このゲル状シートを120℃で同時二軸延伸機を用いて7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムをメチルエチルケトンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後、乾燥した。さらに130℃、1分アニールし、微多孔膜を得た。
得られた微多孔膜を、上記に示す方法で特性を測定した。測定結果を表1に示す。
(A-1)担体合成時に邪魔板を2枚にし、重合工程において、水素濃度を7mol%
にしたこと以外は、参考例1と同様の操作により、参考例2のエチレン重合体粒子を得た。また、参考例2の微多孔膜は、流動パラフィンを220質量部にしたこと以外は参考例1と同様の操作によって得た。
(A-1)担体合成時に撹拌集速度を6m/sにし、重合工程において、重合温度を7
8℃、重合圧力を0.3MPa、水素濃度を7mol%としたこと以外は、参考例1と同様の操作により、参考例3のエチレン重合体粒子を得た。また、参考例3の微多孔膜は、流動パラフィンを240質量部としたこと以外は参考例1と同様の操作によって得た。
(固体触媒成分[B]の調製)
<(1)(B-1)担体の合成>
充分に窒素置換された邪魔板を6枚設置した8Lステンレス製オートクレーブに2mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLと1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液10mLを仕込み、65℃で周速度9m/sの速度で攪拌しながら、前記<(1)原料(a-1)の合成>で得た原料(a-1)630mL(マグネシウム945mmol相当)を3時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、(B-1)担体を得た。
この(B-1)担体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは7.2mmolであった。
前記<(1)(B-1)担体の合成>で得た(B-1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら担体に由来するMgに対して担持するTiの比(Ti/Mg)が0.015になるように1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液12.2mLと、前記<(2)原料(a-2)の合成>で得た原料(a-2)15.5mLとを同時に1時間かけて添加した。
添加後、10℃で1時間反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を1,100mL除去し、ヘキサン1,100mLで4回洗浄することにより、固体触媒成分[B]を調製した。
温度を80℃、重合圧力を0.4MPa、水素濃度を5mol%としたこと以外は参考例1と同様の操作により、実施例4のエチレン重合体粒子を得た。また、実施例4の微多孔膜は流動パラフィンを240質量部としたこと以外は参考例1と同様の操作によって得た。
固体触媒成分[A]用の(A-1)担体の合成時に邪魔板を6枚設置した8Lステンレ
ス製オートクレーブを用い、周速度を9m/sの速度で撹拌し、重合工程において、重合
温度を83℃、重合圧力を0.5MPa、水素濃度を0.5mol%にしたこと以外は参考例1と同様の操作により、実施例5のエチレン重合体粒子を得た。また、実施例5の微多孔膜は、流動パラフィンを270質量部にしたこと以外は参考例1と同様の操作によって得た。
固体触媒成分[A]合成時にTi/Mg比を0.04にし、重合工程において、重合温
度を80℃、水素濃度を0.3mol%にしたこと以外は参考例1と同様の操作により、実施例6のエチレン重合体粒子を得た。また、実施例6の微多孔膜は、流動パラフィンを300質量部にしたこと以外は参考例1と同様の操作によって得た。
重合工程において、重合温度を78℃とし、水素濃度を0.2mol%にしたこと以外
は参考例1と同様の操作により、参考例7のエチレン重合体粒子を得た。また、参考例7の微多孔膜は、流動パラフィンを340質量部にしたこと以外は参考例1と同様の操作によって得た。
<固体触媒成分[C]の調製>
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブにヘキサン1,600mLを添加した。5℃で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液800mLと、前記<(2)原料(a-2)の合成>で得た原料(a-2)1018mLとを4時間かけて同時に添加した。
添加後、ゆっくりと昇温し、10℃で1時間反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を1,600mL除去し、ヘキサン1,600mLで5回洗浄することにより、固体触媒成分[C]を調製した。
濃度を8mol%としたこと以外は参考例1と同様の操作により、比較例1のエチレン重合体粒子を得た。また、比較例1の微多孔膜は流動パラフィンを240質量部としたこと以外は参考例1と同様の操作によって得た。
重合工程において、重合温度を75℃、水素濃度を0.1mol%としたこと以外は比較例1と同様の操作により、比較例2のエチレン重合体粒子を得た。また、比較例2の微多孔膜は流動パラフィンを400質量部としたこと以外は比較例1と同様の操作によって得た。
<(1)(D-1)担体の合成>
充分に窒素置換された邪魔板を2枚設置した8Lステンレス製オートクレーブに1mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液2,000mLを仕込み、65℃で6m/sの周速度で攪拌しながら、前記<(1)原料(a-1)の合成>で得た原料(a-1)1,340mL(マグネシウム943mmol相当)を3時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、(D-1)担体を得た。
この(D-1)担体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは7.5mmolであった。
前記<(1)(D-1)担体の合成>で得た(D-1)担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら担体に由来するMgに対して担持するTiの比(Ti/Mg)が0.06になるように1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液50mLと、前記<(2)原料(a-2)の合成>で得た原料(a-2)63.6mLとを同時に1時間かけて添加した。
添加後、10℃で1時間反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を1100mL除去し、ヘキサン1,100mLで2回洗浄することにより、固体触媒成分[D]を調製した。
濃度を6mol%としたこと以外は参考例1と同様の操作により、比較例3のエチレン重合体粒子を得た。また、比較例3の微多孔膜は流動パラフィンを230質量部としたこと以外は参考例1と同様の操作によって得た。
Claims (8)
- 示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の(測定条件A)により求められる125℃
における等温結晶化時間(X)が0.5分以上5.5分以下であり、
溶液粘度測定による粘度平均分子量(Mv)が、300,000以上3,000,000以下であり、
前記溶液粘度測定において、測定溶液の濃度が0.27g/dlと0.36g/dlにおいて測定した還元粘度の傾きαと、測定溶液の濃度が0,02g/dlと0.1g/dlにおいて測定した還元粘度の傾きβとの比(α/β)が、1.5以上3.5以下である、
エチレン重合体粒子。
(DSCによる測定条件A)
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で230℃まで昇温する。
(2)230℃で30分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する
。
(3)125℃で30分間保温する。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(X)(分)を測定
する。) - 示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の(測定条件B)により求められる125℃
における等温結晶化時間(Y)と、前記等温結晶化時間(X)との比(X)/(Y)が1
.0以上2.5以下である、請求項1に記載のエチレン重合体粒子。
(DSCによる測定条件B)
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で180℃まで昇温する。
(2)180℃で5分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する。
(3)125℃で30分間保温する。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(Y)(分)を測定
する。) - 平均粒子径(D50)が50μm以上300μm以下である、請求項1又は2に記載のエチレン重合体粒子。
- 見かけ密度が0.25g/cm3以上0.60g/cm3以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエチレン重合体粒子。
- 下記(1)~(3)の加工条件によって得られるプレスシート密度が925kg/m3
以上960kg/m3以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエチレン重合体粒子。
(1)200℃、0.1MPaの条件で900秒間予熱する。
(2)200℃、15MPaの条件で300秒間加圧する。
(3)25℃、10MPaの条件で600秒間冷却する。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエチレン重合体粒子を成形してなる、成形体。
- 微多孔膜である、請求項6に記載の成形体。
- エチレン重合体を含み、示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の(測定条件A)に
より求められる125℃における等温結晶化時間(X)が0.5分以上5.5分以下であ
る成形体であって、
前記エチレン重合体は、溶液粘度測定による粘度平均分子量(Mv)が、300,000以上3,000,000以下であり、前記溶液粘度測定において、測定溶液の濃度が0.27g/dlと0.36g/dlにおいて測定した還元粘度の傾きαと、測定溶液の濃度が0,02g/dlと0.1g/dlにおいて測定した還元粘度の傾きβとの比(α/β)が、1.5以上3.5以下である、
成形体。
(DSCによる測定条件A)
(1)50℃で1分間保持後、200℃/minの昇温速度で230℃まで昇温する。
(2)230℃で30分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する
。
(3)125℃で30分間保温する。
(125℃に達した時間を起点0分として125℃の等温結晶化時間(X)(分)を測定
する。)
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