以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
まず、コインホッパについて、図1を用いて説明する。図1は、コインホッパの斜視図である。
コインホッパ1は、コイン10を格納する容器2と、コイン10を1枚ずつに分離して払出す本体3を備える。容器2は、本体3に対して着脱することができる。容器2の下部には、略円形の開口部であるガイド部8が設けられている。本体3の上部には、回転体5が設けられている。ガイド部8は、回転体5の外周に沿って配置され、コイン10が回転体5の上に堆積するように案内する。
回転体5には、複数の分離孔6が設けられている。分離孔6は、回転体5の表裏を貫通する貫通孔である。コイン10は、分離孔6に入り、回転体5によってベース7の上を摺動させられる。ベース7の所定の位置に制御ピンが設けられている。制御ピンに当接したコイン10は、払出口4の方向に進路を変え、払出口4から排出される。
本体3の上部には、平坦なベース7が備わり、その上方を回転体5が回動する。回転体5の外周に沿って、容器2のガイド部8が配置される。回転体5は、ガイド部8の開口に対向している。ベース7は、払出口4の配置されている側が、反対側に比べ鉛直方向に高くなるように傾斜している。ベース7が傾斜しているので、容器2の低い方側にコイン10が集まりやすい。堆積したコイン10の下を回転体5が通ることで、分離孔6にコイン10が入る。コイン10は回転体5によって払出口4に運ばれる。
このように、コインホッパ1は、容器2内のコイン10を、回転体5の分離孔6に1枚ずつ入れて払出口4に運び、排出する。
また、コイン10は、サイズ、材質、デザインなどの要素が金種毎に異なる。コイン処理装置は、所定の位置に所定の金種のコインホッパ1を装着する。そのために、コインホッパ1は、金種に対応した識別孔9を備える。コイン処理装置は、識別孔9に対応する突起が所定の位置に設けられている。コイン処理装置の所定の位置に、対応する識別孔9を有するコインホッパ1がセットされる。
コインホッパ1についてもう少し詳しく述べる。図2は、コインホッパのコイン容器を外した状態の斜視図である。
コインホッパ1には、回転体5を駆動するためのモータ11が配置されている。不図示の制御回路によって、モータ11の回転を制御する。本体3内部には、モータ11と、回転体5が固定される不図示の回転軸とを接続する不図示の歯車が配置されている。回転軸は、ベース7に設けられた貫通孔に通されている。ベース7から突出した回転軸に回転体5が固定されている。撹拌部12は、回転体5の回転中心に配置された突起であり、コイン10が偏よった位置に居続けないように撹拌する。また、撹拌部12の内部には、回転体5を回転軸に固定する機構が備わっている。また、回転軸に固定される部分を金属製にすることで、強度の向上ができる。例えば撹拌部12を金属製にしても良い。また、回転体5には、撹拌翼18が設けられている。撹拌翼18は、回転体5の表面に設けた突起である。撹拌翼18によって、堆積するコイン10を撹拌する。回転体5の中心から放射状に撹拌翼18が配置されている。また、撹拌能力を高めるため、隣り合う撹拌翼18の間に凹部を設け、回転体5の表面を複雑にしている。
回転体5の表面の凹凸は、堆積するコイン10を、効果的に撹拌し、コイン10が分離孔6に入り易くしている。そのため、回転体5は厚くなる。回転体5を軽くするために、回転体5の一部をプラスチック製にし、一部を金属製にする。回転体5は、強度を保ちながら、軽量化できる。また、回転体5のコイン10に当接する部分を金属製にすることで、コイン10との接触による摩耗や損傷を防げる。
回転体5は、反時計回りに回る。回転体5の裏面側には、制御ピン13を避ける溝が設けられている。また、回転体5の裏面側には、コイン10を押動する押動片が配置されている。また、回転体5の外周部と分離孔6の間に溝が配置され、コイン10を通すことができる。分離孔6に入ったコイン10は、制御ピン13に当接し、払出口4方向に導かれる。コイン10は、固定ローラ15と移動ローラ16の間に押されながら入る。移動ローラ16は固定ローラ15の方向に付勢されている。固定ローラ15と移動ローラ16の間にコイン10が半分を超えて入ると、コイン10は、固定ローラ15と移動ローラ16の間を通り抜ける。その際、コイン10は、移動ローラ16の付勢力で払出口4に勢いよく移動させられる。排出センサ14は、排出されるコイン10を検出する。検出結果は不図示の制御回路に出力される。制御回路は、排出されるコイン10をカウントすることができる。制御ピン13は、コイン10が回転体5によって搬送される搬送経路に配置されている。
回転体5の外周の外側にコイン10の移動を制限する外壁17が設けられている。外壁17は、コイン10を払出口4に導くため、少なくとも、固定ローラ15から移動ローラ16の間には設けられていない。この部分からコイン10を払出口4に向けて移動させることができる。
次に回転体5について説明する。図3は、回転体の斜視図である。一般に使用されているコイン10は金属製である。回転体5の上面側は、プラスチックなどの樹脂製の第1樹脂部20である。第1樹脂部20の材質は、強度、耐久性、加工性などの面から、エンジニアリングプラスチックが好ましい。回転体5は、後述する3つの部材に分かれている。
回転体5は、コイン10と接触することで摩耗する。そこで、回転体5は、摩耗の低減乃至防止をするために、金属製の部分と樹脂製の部分を備える。回転体5の全体を金属製にすることもできる。しかし、回転体5を軽くするために、回転体5の一部をプラスチックなどの樹脂製にすることが好ましい。また、回転体5の摩耗の激しい部分を金属製にすることで、回転体5の耐久性を高めることができる。回転体5における摩耗の激しい分は、分離孔6の中に入ったコイン10を押動させる押動片である。押動片は、コイン10を制御ピン13(図2)、固定ローラ15(図2)、移動ローラ16(図2)に当接させた状態で押動する。そのため、押動片には、押す力に相当する力が反力としてかかる。特に押動片の端部に力が加わる。そのため、押動片を金属製にすることで耐久性が向上する。押動片は、回転体5の裏面側に配置されている。
回転体5には、分離孔6が5つ設けられている。回転体5には、少なくとも1つの分離孔6が設けられている。回転体5のサイズとコイン10のサイズに基づいて、分離孔6の最大個数が決まる。
次に、回転体5の裏面側について説明する。図4は、回転体の裏面側を説明する図である。
回転体5の中央部には、回転体5の回転軸を挿入する軸孔23が設けられている。回転軸は、軸の中心を通り軸方向に対して垂直に配置される係止部を有する。係止部と係合する軸係止溝24が、回転体5の中央部に配置されている。
第1樹脂部20には、回転中心から等距離であり、また等間隔に5つの分離孔6が設けられている。分離孔6は第1樹脂部20の表裏を貫通する貫通孔である。分離孔6の周囲部分は肉厚に形成されている。金属部22の押動片25以外の部分は、平板の金属製であり、ベース7(図2)に平行に配置される。押動片25は平板の縁をベース7(図2)の方向に略垂直に曲げて形成されている。押動片25のコインと当接する面は平坦である。例えば、金属部22は、平板をプレス加工で外周を切り抜き、押動片25の部分をプレス加工で曲げることで容易に作ることができる。金属部22は、表面に微少な凹凸を設ける表面処理の必要がない。
回転体5の第1樹脂部20の裏面側には、軸孔23と軸係止溝24の周囲を含む中央部と、第1樹脂部20の周囲部と、分離孔6の周囲部とが突出し、回転体5の裏面側に開口する凹部31が形成されている。隣り合う分離孔6の間の凹部31には、位置決め突起33が設けられている。位置決め突起33は、第1樹脂部20の裏面側に設けられた突出部である。凹部31には、金属部22が収納される。金属部22は、第1樹脂部20の中央の突出した部分と、位置決め突起33に対応する部分に貫通孔を備えている。金属部22は、第1樹脂部20の中央の突出部に嵌合し、第1樹脂部20に固定される。また、凹部31に配置された金属部22は、位置決め突起33に嵌合し、第1樹脂部20に固定される。金属部22は、ステンレス鋼などの鉄合金、アルミ合金などの金属の板である。金属部22は、隣り合う分離孔6の間に曲げ部を備え、曲げ部が押動片25として機能する。それぞれの位置決め突起33は、回転体5の回転中心から等距離に配置されている。回転中心から位置決め突起33までの距離を半径とする円周上に押動片25が配置されている。また、回転体5を逆回転させたときにコインに当接する逆転片26も、回転中心から位置決め突起33までの距離を半径とする円周上に配置されている。押動片25は、平板を曲げて構成されているので、コインとの当接面は平坦な面となっている。
逆転片26は、回転体5の分離孔6の正回転方向側に配置されている。また、押動片25は、回転体5の分離孔6の逆回転方向側に配置されている。押動片25は、回転体5が正回転するときにコイン10を押動し、逆転片26は、回転体5が逆回転するときにコイン10を押動する。すなわち、分離孔6に入ったコインは、押動片25と逆転片26の間に位置し、搬送される。
第1樹脂部20の周囲部であり、凹部31の内壁を形成する部分に、線状の係止嵌合溝37が形成されている。凹部31の外周側の内壁に係止嵌合溝37が形成されている。係止嵌合溝37は、第2樹脂部21に設けられた後述の係止嵌合突起と嵌合する溝である。係止嵌合溝37は、第1樹脂部20の外周に沿って配置され、幅が狭く細長い形状である。
図5は、回転体の裏面側の斜視図である。回転体5を裏面側から見た場合の斜視図である。回転体5は、金属部22と、第1樹脂部20と第2樹脂部21の樹脂部とを備える。金属部22は、第1樹脂部20の凹部31に挿入される。第2樹脂部21は、第1樹脂部20に固定される。金属部22は、第1樹脂部20と第2樹脂部21の間に挟まれ固定される。第2樹脂部21には、金属部22の押動片25に対応する位置に貫通孔である押動片孔30が設けられている。また、第2樹脂部21には、位置決め突起33に対応する部分に貫通孔が設けられている。第2樹脂部21は、凹部31に挿入されている金属部22が外れないように、金属部22を覆っている。押動片25は、押動片孔30を通り、樹脂部から突出して配置される。金属部22は、押動片25を押動片孔30に嵌合することで、第2樹脂部21に固定できる。第1樹脂部20と第2樹脂部21は回転体5の樹脂部を形成する第1樹脂回転体、金属部22は回転体5の金属部を形成する金属回転体とも言える。押動片25は、回転体5に設けられた分離孔6毎に配置されている。中央凸部34は、押動片25に対応し、押動片25に隣接する位置に設けられている。すなわち中央凸部34は、押動片25毎に設けられ、押動片25の回転体5の回転方向の変形を防止している。第2樹脂部21からベース7側に露出する金属部分は、押動片孔30から露出する押動片25だけである。金属部品のコインに触れる部分を最小限にしている。樹脂製の部品の内のコイン10から受ける力が強い部分を、金属部品に置き換えているとも言える。
第1樹脂部20の外周部分には、それぞれの分離孔6に対応して、第1段差部28と第2段差部29が配置されている。第1樹脂部20の外周部分には、分離孔6に対応して設けられた第1段差部28と第2段差部29によって、凹凸が形成されている。第1樹脂部20の外周部分には、5つの外周凸部32が形成されている。外周凸部32の間は凹部が形成されており、分離孔6に入ったコイン10が通過できる。分離孔6から入ったコイン10は、第1樹脂部20、第2樹脂部21の裏面側に設けられている分離孔6の開口よりも広い通路を移動することができる。この通路内はコイン10が1枚入る広さに設定されているので、コイン10が存在している状態では他のコイン10が分離孔6から入り込むことはない。
第2樹脂部21は、放射状に延びた基部36と、基部36から突出した内周凸部35及び中央凸部34が設けられている。中央凸部34には、位置決め突起33を通す貫通孔が設けられている。第2樹脂部21は、プラスチックなどの樹脂製である。第2樹脂部21は、エンジニアリングプラスチックが好ましい。また、第2樹脂部21は、第1樹脂部20と同じ材質が好ましい。第2樹脂部21は、コイン10に当接することがないので、第1樹脂部20に比べて、コイン10との接触における耐久性が劣る樹脂製とすることもできる。
回転体5は、ベース7(図2)の上方に位置する。回転体5が回転するためには、制御ピン13(図2)を避ける溝が必要である。押動片25、中央凸部34及び逆転片26は、内周凸部35と外周凸部32との間に配置され、これらによって同心円状の凹凸を形成する。制御ピン13(図2)は、回転体5が回転する場合に、同心円状に形成された凹部を通過する。押動片25、中央凸部34、逆転片26、内周凸部35及び外周凸部32の表面は、略面一に形成されている。位置決め突起33は、中央凸部34と面一にするか、突出しないように設けられている。
分離孔6に入ったコイン10は、押動片25、逆転片26、中央凸部34及び外周凸部32によって囲まれ、移動範囲を制限されながら搬送される。回転体5が正転する場合は、押動片25に押されて移動する。回転体5が逆転する場合は逆転片26に押されて移動する。逆転片26は樹脂製であるが、押動片25と同様に金属部22を曲げて形成することもできる。回転体5は、逆転させる機会が、正転させる機会よりも少ない。そのため、逆転片26は、押動片25に比べコイン10との接触による摩耗や損傷の機会が少ない。逆転片26は、樹脂製にすることができるが、より好ましくは金属製にする。押動片25と同様に、逆転片26は金属部22の一部を曲げることで構成できる。金属部22は第1樹脂部20および第2樹脂部21よりも硬い材質である。回転体5は、金属部22によって、耐久性を十分高くすることができる。回転体5の耐久性が十分高ければ、回転体5の交換頻度が下がる。回転体5の耐久性が十分であれば、第1樹脂部20と第2樹脂部21とを接着剤によって固定しても良い。また、第1樹脂部20と第2樹脂部21との固定方法は、嵌合機構と接着を併用しても良い。接着による固定の場合は、接着部分を剥がすことで、部品の交換も可能である。また、金属部22を残し、樹脂部を交換することができる。
第1樹脂部20の上には、コイン10が堆積する。第1樹脂部20には、上方からコイン10が落ちてきて当たる場合があるので、十分な耐久性が必要である。回転体5の回転方向において隣り合う分離孔6の間の第1樹脂部20と第2樹脂部21との厚みを比較すると、第2樹脂部21よりも第1樹脂部20を厚くしている。また、好ましくは、先の場所において、第2樹脂部21と金属部22を足した厚みよりも第1樹脂部20を厚くする。第1樹脂部20を厚くすることで、第1樹脂部20の耐久性を高めることができる。コイン10を押動する金属部22と第1樹脂部20によって回転体5の耐久性が向上する。この様な回転体5は、交換が必要となるような致命的な損傷の可能性を低減できる。
次に、第2樹脂部21と金属部22について図6と図7を用いて説明する。図6は、回転体の構造を説明する第1の図である。図7は、回転体の構造を説明する第2の図である。図6は、金属部22側から見た図であり、図7は、第2樹脂部21側から見た図である。
第2樹脂部21には、押動片25に対応して押動片孔30が設けられている。押動片孔30は、第2樹脂部21の表裏を貫通する貫通孔である。押動片25は、押動片孔30に嵌合する。
第2樹脂部21の中央部には、開口が円形状の第1貫通孔38が設けられている。金属部22の中央部には、開口が円形状の第3貫通孔40が設けられている。第1貫通孔38と第3貫通孔40は、開口の直径が同一である。第1貫通孔38と第3貫通孔40には、第1樹脂部20(図5)の中央の突出部分が嵌合する。金属部22には押動片25が形成された5本のアームが備えられている。5本のアームのそれぞれに押動片25が設けられている。5つの押動片25は、一体の部品で構成されている。金属部22と第2樹脂部21は、着脱が容易である。
第2樹脂部21の中央部から放射状に延びた5つのアームのそれぞれには、開口が円形状の第2貫通孔39が設けられている。金属部22の中央から放射状に延びた5つのアームのそれぞれには、開口が円形状の第4貫通孔41が設けられている。第2貫通孔39と第4貫通孔41は、開口の直径が同一である。第2貫通孔39と第4貫通孔41は、位置決め突起33(図5)に対応した形状の開口を備える。すなわち第2貫通孔39と第4貫通孔41は開口が同形状の貫通孔である。第2貫通孔39と第4貫通孔41には、位置決め突起33(図5)が嵌合する。位置決め突起33(図5)は、押動片25と中央凸部34を所定位置に位置決めする。すなわち、位置決め突起33に第2貫通孔39と第4貫通孔41を嵌めることで、中央凸部34に隣接した位置に押動片25を配置することができる。位置決め突起33は、第1樹脂部20に第2樹脂部21と金属部22とを係合する係合突起とも言える。
第2樹脂部21と金属部22は、上面視で重なる。上面視で金属部22は、押動片25の部分以外は、第2樹脂部21からはみ出さないように配置されている。
第2樹脂部21の5つの放射状に延びた部分の先端のアーム側面44は、凹部31(図4)に対応した弧状である。アーム側面44に係止嵌合突起42が設けられている。係止嵌合突起42はアーム側面44に設けられた線状の突起である。係止嵌合突起42は、係止嵌合溝37(図4)に嵌合する。係止嵌合溝37(図4)に係止嵌合突起42を嵌合することで、金属部22及び第2樹脂部21を第1樹脂部20(図4)に固定することができる。すなわち、第1樹脂部20(図4)には係止嵌合溝37という第1結合部が、また第2樹脂部21には係止嵌合突起42という第2結合部が、それぞれ備えられているとも言える。第1結合部と第2結合部とを結合することで、第1樹脂部20と第2樹脂部21とを固定する。また、接着剤によって、第1樹脂部20と第2樹脂部21との固定を強固にすることもできる。
第2樹脂部21の中心から、5つの放射状に延びた部分の先端部分には、それぞれ肉厚部43が設けられている。肉厚部43は、第2樹脂部21の回転中心から等距離に配置されている。肉厚部43は、第2樹脂部21の外周部の強度を向上させ、第1樹脂部20(図4)に固定する場合に、撓みや撚れなどの変形を防止する。肉厚部43は、係止嵌合突起42が変形しないように強度を向上させる。肉厚部43は、おおよそ金属部22の厚みと等しく、基部36の2倍の厚みである。係止嵌合突起42は肉厚部43の厚み方向の中央部に配置されている。
第2樹脂部21の基部36から突出して設けられた中央凸部34は、押動片孔30に隣接して設けられている。すなわち、第2樹脂部21と金属部22が嵌合した場合に、押動片25と中央凸部34が隣接する。押動片25によってコインを押動する場合に、押動片25に力が加わる。押動片25に力が加わった場合に、押動片25は隣接する中央凸部34によって変形が防止される。中央凸部34は樹脂製であるが、コインが直接当接することが無いので、コインによって削られることはない。コインが制御ピン13(図2)または移動ローラ16に当接した状態で、押動片25がコインを押動する場合、押動片25は強い力を受ける。押動片25がプラスチック製の場合は、押動片25は破損する恐れがある。押動片25が、金属製であっても、回転方向に対して反対側に曲がってしまう恐れがある。中央凸部34が押動片25に隣接して配置されているので、中央凸部34は押動片25の変形を防止することができる。また、押動片25の中央凸部34に接する側の面は、全面が中央凸部34に接し、支持されている。全面が支持されるので、押動片25が、コイン10との当接によって曲がることを防止できる。中央凸部34の幅は押動片25と略同じであるが、中央凸部34の長さは、中央凸部34の幅よりも長く構成し、回転方向の強度を高めている。中央凸部34は、押動片25から力が加わったとしても、変形しない。
次に図8を用いて、コインホッパからコインを排出する動作を説明する。図8は、コインホッパの動作を説明する図である。図8(a)は、コインホッパの動作を説明する第1状態を示す図である。図8(b)は、コインホッパの動作を説明する第2状態を示す図である。図8(c)は、コインホッパの動作を説明する第3状態を示す図である。図8(d)は、コインホッパの動作を説明する第4状態を示す図である。図8(e)は、コインホッパの動作を説明する第5状態を示す図である。図8(f)は、コインホッパの動作を説明する第6状態を示す図である。
図8(a)~(f)は、コイン10と回転体5との当接状態が分かる様に、容器2(図1)、第1樹脂部20(図3)を外した状態の上面視の図である。図8(a)から図8(f)の順番で状態が変わる様子を示している。また、コイン10は、破線で示している。
回転体5は、反時計回りに回転し、回転体5の凹部に入ったコイン10を移動させる。コイン10は、外壁17と回転体5の凹部とによって囲まれた状態で、押動片25に押されて搬送される。押動片25は、2本の制御ピン13の間を通過する。
図8(a)は、コイン10が制御ピン13に当接する位置まで移動した状態を示している。また、コイン10は、第2樹脂部21の側壁と、押動片25とに接触している。
回転体5の回転に伴い、コイン10は、押動片25によって回転体5の回転方向に押される。しかし、コイン10は、制御ピン13によって、回転体5の回転方向への移動が制限される。そのため、コイン10は、払出口4の方向に移動方向が変わる。コイン10の移動方向を変える力が、押動片25に加わる。
図8(b)は、コイン10が、払出口4方向に移動し、移動ローラ16に接している状態を示している。コイン10は、回転体5の回転に伴い、押動片25によって押される。コイン10は、回転体5の中心側の制御ピン13から離れ、外側の制御ピン13に接した状態になる。押動片25のコイン10との接触位置は、回転が進むに従い、回転体5の中心から離れる方向に移動する。
図8(c)は、コイン10が、回転体5の回転に伴い、払出口4の方向に移動し、固定ローラ15と移動ローラ16に接した状態を示している。押動片25に押されたコイン10は、払出口4方向に移動し、制御ピン13から離れる。コイン10が固定ローラ15と移動ローラ16に接していない状態では、固定ローラ15と移動ローラ16との間隔はコイン10の直径よりも小さい。しかし、回転体5の回転が進むに従い、コイン10によって移動ローラ16が押され、固定ローラ15と移動ローラ16との間隔が広がる。移動ローラ16は、固定ローラ15から離れる方向に移動することができるので、コイン10は、払出口4方向に移動できる。押動片25には、移動ローラ16を押す力が加わることになる。
図8(d)は、コイン10が、固定ローラ15と移動ローラ16の間を払出口4の方向に移動している状態を示している。コイン10が固定ローラ15と移動ローラ16の両方に接し、更に押動片25によって押された場合、移動ローラ16が固定ローラ15から離れる方向に移動する。コイン10が、固定ローラ15と移動ローラ16の間を通り、更に払出口4方向に移動する。
図8(e)は、固定ローラ15と移動ローラ16の間隔が、コイン10の直径に等しくなった状態を示している。コイン10の払出口4方向への移動が更に進み、固定ローラ15と移動ローラ16の間隔がコイン10の直径を超えるまで、コイン10は押動片25によって押される。
押動片25の回転体5の外周方向の端部とコイン10が接するので、コイン10を押したときの反力が押動片25の端部に加わる。すなわち、押動片25に、強い力が加わるので、仮に押動片25が樹脂製ならば、変形、摩耗してしまう。例えば、コイン10のエッジが樹脂部に強く当たると、樹脂部が削られる場合がある。
図8(f)は、押動片25からコイン10が離れ、払出口4方向へ移動する状態を示している。移動ローラ16は、固定ローラ15に近づく方向にバネによって付勢されている。固定ローラ15と移動ローラ16の間隔が、コイン10の直径になるまで、コイン10は、押動片25によって押される。その状態を超えると、コイン10は、移動ローラ16に押され、払出口4の方向に移動する。移動ローラ16は、コイン10の側面を押しながら、固定ローラ15に近づく方向に移動する。移動ローラ16は最初の位置に戻る。
移動ローラ16が固定ローラ15に近づく方向にバネによって付勢されているので、バネの付勢力によって移動ローラ16が、固定ローラ15方向に移動する。コイン10は、移動ローラ16に押されて、払出口4方向に押し出される。また、排出センサ14は、コイン10が通過したことを検出する。
押動片25の回転体5との当接面の中心に近い側の端部を第1の端部、遠い側の端部を第2の端部とする。コイン10が、回転体5の中心に近い側の制御ピン13だけに接している状態では、押動片25の第1の端部が接する。コイン10が、回転体5の中心から遠い側の制御ピン13だけに接している状態では、押動片25の第2の端部が接する。すなわち、上面視で、回転体5の中心を通る線に対して交差する方向に、押動片25のコイン10に接する面が配置されている。押動片25とコイン10の当接位置は回転体5の回転に伴い、回転体5の回転中心方向側から、回転中心から離れる方向側に移動する。コイン10は、回転体5の回転に伴い、回転中心から離れる方向に移動する。制御ピン13がベース7の所定位置に配置されているので、コイン10は、この所定位置に搬送されると、移動方向が変えられ、排出される。
押動片25は、制御ピン13に当接する位置において、コイン10の移動方向を、回転体5の回転方向から固定ローラ15と移動ローラ16の間の方向に変える。そのため、コイン10は、回転体5の回転方向に対して、交差する方向に力が加わる。力が加わる方向によっては、回転体5の回転が停止し、ジャムが生じる。最悪の場合、部品が破損してしまう。
また、押動片25のコイン10に当接する面の長さは、2つの制御ピン13の間隔よりも小さい。すなわち、押動片25は、回転体5の回転に伴い、2つの制御ピン13の間を通過する。また、押動片25のコイン10に当接する面の端部が、コイン10と接するので、端部には、強い力が加わる。そのため、金属製、特にステンレス鋼などの鉄合金、チタン合金、アルミ合金などの硬い金属製のものが好ましい。
次に、コイン処理装置について説明する。図9は、コイン処理装置の例を説明する斜視図である。
コイン処理装置50の貯留容器60に格納されるコイン10は、複数の金種が混じっている。コイン処理装置50は、貯留容器60に格納されたコイン10を金種毎に分けてコインホッパ1に格納する。また、コイン処理装置50は、外部機器からの指示に基づいて、コインホッパ1からコイン10を排出する装置である。この様なコイン処理装置50は、POSシステムや両替機などに搭載される。
コイン処理装置50は、分離部51、識別部52、振分部53からなる。貯留容器60に金種の異なるコイン10が混じった状態で投入される。分離部51では、1枚ずつコイン10を識別部52に受け渡す。識別部52では、不図示のセンサによって、1枚ずつ搬送されるコイン10の特徴を検出し、金種を特定する。金種の特定されたコイン10は、識別部52から振分部53へ受け渡される。振分部53では、金種の特定されたコイン10を、対応するコインホッパ1に格納する。
振分部53では、コイン10がレール58に沿って、搬送ピン54によって搬送される。レール58に沿って、振分フラップ55が配置されている。振分フラップ55は、不図示の駆動部によって、コイン10の移動路を可変する。コイン10は、振分フラップ55の状態に応じて、スライダー56に落とされるか、または、落とされずに通過する。コイン10は、スライダー56に落とされた場合、案内路57を通り、コインホッパ1の容器2に格納される。
金種の識別されたコイン10は、4つのコインホッパ1の何れかに格納されるか、または、リジェクト通路61に案内され、出金トレー62に排出される。コインホッパ1が4台配置されているので、4種類の金種のコイン10を格納でき、その他の金種は、受け付けずに排出する。列状に配置された複数台のコインホッパ1からコイン10が排出ベルト59上に排出される。すなわち排出ベルト59は、列状に複数台配置されたコインホッパ1から排出されるコイン10を受けるコイン受部とも言える。排出ベルト59を回転させることで、コイン10を一カ所に集めることができる。
コインホッパ1の払出口4から排出されたコイン10は、排出ベルト59の上に載置される。排出ベルト59は、不図示の駆動部によって駆動され、コイン10を出金トレー62に搬送する。
次に、回転体の第2の例を図10から図14を用いて説明する。第2の回転体70は、上述のコインホッパの回転体に適用できる。図10は、第2の回転体の例を説明する斜視図である。
第2の回転体70は、第3樹脂部72と第4樹脂部73の2つの樹脂製の回転体の間に、後述する金属製の回転体である第2金属部を挟み込んでいる。樹脂製の回転体はエンジニアリングプラスチックなどの加工性が良く耐久性の高いプラスチックが好ましい。金属製の回転体の材質は、鉄合金、チタン合金、アルミ合金などの加工性が良く耐久性の高い金属が好ましい。
第3樹脂部72は、容器内のコインを撹拌する撹拌突起71が、分離孔6の間に備わる。第2の回転体70は、回転中心となる位置に撹拌部12が備わる。撹拌突起71は、第3樹脂部の表面に配置された撹拌部12から放射状に延びた突起である。第2の回転体70を回転させることで、容器内のコインを撹拌部12と撹拌突起71が撹拌する。
第4樹脂部73は、外周に沿って立設する壁部76が備わる。壁部76には、複数の係止突起75が備わる。係止突起75は、第3樹脂部72の外周側の所定の位置に引っ掛かり、第3樹脂部72と第4樹脂部73を固定する。第4樹脂部73は、分離孔6毎に排出されるコインが通過する排出溝27が備わる。
分離孔6の第2の回転体70の回転方向の下流側には、第2の回転体70を逆回転させたときにコインに当接する逆転片26が備わる。排出溝27は、壁部76の内周側から外周側へコインを移動可能にする。
次に、第2の回転体70の構造を説明する。図11は、第2の回転体の例の構造を説明する第1の図である。また、図11は、第2の回転体70の第4樹脂部73に第2金属部74が嵌められている状態を示している。図12は、第2の回転体の例の構造を説明する第2の図である。図12は、第2の回転体70の一部である第4樹脂部73を説明する斜視図である。
第2金属部74の回転中心の第3軸孔83は回転軸が挿通される。第2金属部74は、隣り合う分離孔6の間に、第3軸孔83を中心として等間隔に3方向に放射状に金属板のアームが備わる。3方向に延在する金属板のアームそれぞれの先端側には、大凡直角に曲げられた曲げ部が備わる。曲げ部は、コインを押動する第2押動片77と第3押動片78である。第2押動片77は第4樹脂部73の表裏を貫通する第2押動片孔79に挿入され、先端が第4樹脂部73の裏面側から突出している。第3押動片78は第4樹脂部73の表裏を貫通する第3押動片孔80に挿入され、先端が第4樹脂部73の裏面側から突出している。
第4樹脂部73の壁部76の付け根に沿って外周貫通孔82が備わる。外周貫通孔82は、第4樹脂部73の表裏を貫通する貫通孔である。係止突起75に対応する位置に外周貫通孔82が備わる。第3樹脂部72を係止突起75に掛けるときに、壁部76を撓み易くし、損傷を防止する。
隣り合う分離孔6の間に2つの係止突起75が配置されている。隣り合う係止突起75の間に第3押動片78が配置される。第2の回転体70の第2金属部74の回転中心は、回転軸に固定される。
第2金属部74の第2押動片77の回転方向の上流側には、第5貫通孔84が備わる。第5貫通孔84は第2金属部74の各アームに配置されている。第5貫通孔84は、第2金属部74の表裏を貫通する貫通孔である。後述する突起は、第5貫通孔84に嵌まり、第2金属部74の回転方向のがたつきは突起によって防止される。第4樹脂部73は、第2位置決突起81が備わり、第2金属部74の第6貫通孔85に嵌合する。第2位置決突起81は、第2金属部74の第4樹脂部73に対する相対的な固定位置を示している。
第4樹脂部73には、第5貫通孔84に対応する位置に第7貫通孔102が備わる。第7貫通孔102は、第4樹脂部73の表裏を貫通する貫通孔である。後述する突起は第5貫通孔84および第7貫通孔102に嵌まり、第2金属部74および第4樹脂部73の回転方向のがたつきは突起によって防止される。
第4樹脂部73は、第2軸孔87が備わる。第2軸孔87には、回転止孔88が備わる。第2軸孔87には回転軸が挿入され、回転止孔88には回転軸に垂直に固定された回転止レバーが嵌まる。回転軸の回転に対して、第4樹脂部73の回転が連動するように、回転軸と第4樹脂部73が固定される。回転軸の断面を非円形にし、回転止孔88をそれに対応する形状とすることで同様に回転軸の回転を第4樹脂部73に伝える構成としても良い。
次に、第3樹脂部72について説明する。図13は、第2の回転体の例の構造を説明する第3の図である。
第3樹脂部72の表側には、撹拌部12が備わる。第3樹脂部72の裏側には、第2金属部74を収納する第2凹部89が備わる。第2凹部89は、第2金属部74の外形に沿って形成されている。
第3樹脂部72の回転中心は、第4の軸孔93が備わる。第4の軸孔93は回転軸が挿入される。
第2凹部89には、3つの第3位置決突起90が備わる。第3位置決突起90は、第2金属部74の第5貫通孔84と第4樹脂部73の第7貫通孔102に対応する位置に配置され、それぞれの孔に嵌合する。第3位置決突起90は、第5貫通孔84と第7貫通孔102に嵌まり、第3樹脂部72と第4樹脂部73と第2金属部74との相互の回転方向のがたつきは第3位置決突起90によって防止される。第2の回転体70は、3部材が一体となって回転する。第3位置決突起90の断面は円形であるが、この形状に限らず多角形や楕円などあっても良いが、加工しやすい形状が好ましい。
第3樹脂部72の側面である周面91には、係止凹部92が備わる。係止凹部92は、係止突起75に対応する位置に配置されている。係止突起75と係止凹部92とが掛かり、第3樹脂部72と第4樹脂部73が固定される。第3樹脂部72と第4樹脂部73との間には、第2金属部74が挟み込まれ固定される。第2の回転体70は、容易に組み立てることができ、また分解することもできる。係止凹部92は係止突起75と当接する当接部であり、係止突起75は係止凹部92と当接する当接部ともいえる。
次に第2の回転体70の裏面側について説明する。図14は、第2の回転体の例を説明する裏面側の斜視図である。第2の回転体70は、第3樹脂部72と第4樹脂部73の間に第2金属部74を挟み込み、第3樹脂部72と第4樹脂部73を嵌め合わせ固定されている。
第2の回転体70の裏面側は第4樹脂部73が配置されている。第4樹脂部73の裏面側は、第2の回転体70が回転した場合に、制御ピンを避けるために溝が備わる。第4樹脂部73の第1逃溝100と第2逃溝101は、制御ピンが当接せずに通過する溝である。この溝を形成するために、第4樹脂部73には、第2中央凸部97、第2内周凸部98、第2外周凸部99が備わる。
第2内周凸部98は、第1逃溝100と第2逃溝101の間に配置されている。第2内周凸部98は、第2押動片77の第2の回転体70の回転方向の上流側に配置されている。第2内周凸部98は、第2押動片77に隣接し、第2押動片77がコインに当接したときの力に抗し、第2押動片77の変形を防止する。
第2内周凸部98には、第7貫通孔102が配置されている。第2押動片77の第2の回転体70の回転方向の上流側に第7貫通孔102が配置され、第7貫通孔102に第3位置決突起90が嵌合する。コインが第2押動片77によって押されるとき、第2押動片77の第2の回転体70の回転方向の上流側に最も力が加わる。そのため、第3位置決突起90は、第2押動片77の第2の回転体70の回転方向の上流側に備えられている。第3位置決突起90によって、第3樹脂部72と第4樹脂部73と第2金属部74とが相互にズレないように強固に結びつけられている。
第2内周凸部98の第2の回転体70の回転方向の下流側には、第2内周凸部98に隣接して第2押動片孔79が備わる。第2内周凸部98の第2押動片孔79の第2の回転体70の回転中心方向側には、第1緩衝部94が備わる。第2外周凸部99の第2の回転体70の回転方向の下流側には、第2外周凸部99に隣接して第3押動片孔80が備わる。第2外周凸部99の第3押動片孔80の第2の回転体70の回転中心方向側および外周側には、第2緩衝部95と第3緩衝部96が備わる。
第1緩衝部94は、コインが第2押動片77のエッジに当接することを防止する。コインは、第2押動片77のエッジに当接する事で、傷が生じる恐れがある。第1緩衝部94は、第2の回転体70が回転した場合に、コインが第2押動片77に最初に当接する側のエッジを覆う。この部分がコインに傷を付けやすいからである。この例では、第2押動片77の一方側のエッジを覆っているが、両側を覆っても良い。第2緩衝部95と第3緩衝部96は、第3押動片78の両側のエッジを覆い、エッジとコインとの当接を防止する。第1緩衝部94、第2緩衝部95、第3緩衝部96は、コインを強い力で押動することはないので、樹脂によって形成することができる。
第2軸孔87は、第3軸孔83よりも広く開口している。そのため、第2金属部74の第3軸孔83の周囲が、第2軸孔87から露出する。第2金属部74は、回転軸に当接させて固定される。回転軸の所定の位置と第3軸孔83の周囲を当接させて固定することで、第2金属部74とベースの間隔を一定にできる。予め決められた位置同士を当接させて固定する。第3樹脂部72に突起、第4樹脂部73に貫通孔が配置され例を示したが、第3樹脂部72に貫通孔、第4樹脂部73に突起が配置された構成でも良い。
次に、回転体の第3の例を図15から図18を用いて説明する。第3の回転体110は、上述のコインホッパの回転体に適用できる。まず第3の回転体110の外形について、図15と図18を用いて説明する。図15は、第3の回転体の例を説明する上面図である。図15は、第3の回転体110を真上から見た場合の図である。図18は、第3の回転体の例を説明する裏面側の斜視図である。
第3の回転体110は、3つの分離孔6が配置されている。第3の回転体110の上面には、撹拌突起71が撹拌部12から放射状に延在する。
第3の回転体110は、上面側の第5樹脂部111と、裏面側の第6樹脂部112と、それらの間に挟まれた後述する第3金属部113とを含む。第5樹脂部111は第2係止凹部115が備わり、第6樹脂部112に備わる第2係止突起114と係合し、第5樹脂部111と第6樹脂部112とを固定する。第3の回転体110は、組み立てが容易であり、分解も可能である。
第2係止凹部115は、第5樹脂部111の外周側に配置され、隣り合う分離孔6の間であって撹拌突起71を挟むように備わる。
第6樹脂部112の所定の位置から、第4押動片116と第5押動片117とが、裏面側に突出し、コインを押動する。
第5樹脂部111は、第4位置決突起119が備わり、後述する第3金属部113と第6樹脂部112に備わる貫通孔に嵌合する。各第4押動片116の第3の回転体110の回転方向の上流側であって分離孔6までの間に、少なくとも1つの第4位置決突起119が配置されている。第4位置決突起119が貫通孔に嵌まり、第5樹脂部111と第6樹脂部112と後述する第3金属部113は、回転方向における相互のがたつきが第4位置決突起119によって防止される。また、第4押動片116の付け根は、第3の回転体110の回転方向の上流側が第6樹脂部112によって支持される。第4押動片116は、コインを押動するときに力が加わるが、曲がることが防止される。
第6樹脂部112の第6軸孔122に回転軸が挿入され、第6樹脂部112が回転軸に固定される。
第4押動片116に対応する位置に配置された第4位置決突起119と、回転中心の間に別の第4位置決突起119が備わる。第5樹脂部111と第6樹脂部112と後述する第3金属部113は、相互のがたつきが第4位置決突起119によって防止される。第3の回転体110は、3部材が一体となって回転する。
次に第3の回転体110の内部について説明する。図16は、第3の回転体の例の構造を説明する第1の図である。第5樹脂部111と第3金属部113とが固定された状態の斜視図である。
第5樹脂部111の裏面側は第3金属部113を収納する凹部が備わり、その凹部に第3金属部113が収納される。凹部には、第4位置決突起119が備わる。また凹部には第2係止凹部115が備わる。
第3金属部113は、回転中心に第5軸孔118が備わる。第5軸孔118に回転軸が挿入され、固定される。第3金属部113は、第5軸孔118から、等角に三方向に放射状にアームが延在する。第3金属部113には、第4位置決突起119が嵌合される貫通孔が備わる。第3金属部113の先端側には、第4押動片116、第5押動片117が備わる。
次に第3の回転体110の内部について別の方向から説明する。図17は、第3の回転体の例の構造を説明する第2の図である。第6樹脂部112と第3金属部113とが固定された状態の斜視図である。
第6樹脂部112には、第3金属部113の第4押動片116を挿通する第4押動片孔120が備わる。第4押動片孔120に第4押動片116が挿通され、第6樹脂部112の裏面側に突出する。第5押動片117は、第6樹脂部112の外周の縁に沿って配置され、第6樹脂部112の裏面側に突出する。
第6樹脂部112には、第2係止突起114が備わる。第2係止突起114は、スナップフィットであり、第2係止凹部115に掛けて第5樹脂部111と第6樹脂部112を固定する。第2係止突起114と第2係止凹部115は互いに当接する当接部を備える。また、第3金属部113には、第8貫通孔121が第4位置決突起119に対応する位置に配置されている。
次に、回転体の第4の例を図19と図20を用いて説明する。第4の回転体140は、上述のコインホッパの回転体に適用できる。第4の回転体140は、押動片を一体ではなく分割して分離孔毎に配置した例である。図19は、第4の回転体の例の構造を説明する第1の図である。図19は、分割した押動片の例を示している。図20は、第4の回転体の例の構造を説明する第2の図である。図20は、分割された押動片を固定する回転体の例を示している。
第4金属部130は、図16および図17で説明した第3金属部113の第4押動片116、第5押動片117、第8貫通孔121を含む部分を切り出したものである。第4金属部130は、板金を曲げて第4押動片116、第5押動片117を形成し、板金に穴を開けて第8貫通孔121を形成したものである。押動片を複数にして小型化することで、材料が節約できる。しかし、複数の部品を組み立てるので製造工程が複雑になる。
第4の回転体140は、第4金属部130を第7樹脂部141と第8樹脂部142との間に挟んでいる。また第4押動片116と第5押動片は、第4の回転体140の裏面側から突出している。
第4の回転体140には、図16および図17で説明した第6軸孔122と同様の孔が回転中心に備わる。第4の回転体140は、第6軸孔122に回転軸が挿通され、回転軸に固定される。
第7樹脂部141には、図16および図17で説明した第4位置決突起119と同様の突起が第7樹脂部141の第4金属部130を収納する凹部に備わる。その凹部に第4金属部130を収納する場合に、第4位置決突起119に第8貫通孔121が嵌合する。第4金属部130は、第4位置決突起119によって、第4の回転体140の回転方向のがたつきが防止される。
第8樹脂部142には、図16および図17で説明した第2係止突起114と第2係止凹部115と同様の係止突起と係止凹部が4か所に備わる。第7樹脂部141には、第2係止突起114に対応する位置に係止凹部が備わる。係止凹部に第2係止突起114が掛かることで、第7樹脂部141と第8樹脂部142とが、第4金属部130を間に挟み、固定される。