以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
図1は、コイン処理装置の外観の斜視図である。コイン処理装置1は、略立方体状の外装ケースに覆われている。コイン処理装置1には、コインを投入する投入口2、払出されるコインを受けるトレー3が備えられている。
コインを投入する投入口2の開口が、外装ケースの上面の手前側に配置されている。払出されるコインを受けるトレー3が、外装ケースのフロント面に配置されている。コイン処理装置1の内側と外側とを貫通する出金口4が、外装ケースのフロント面のトレー3に対応する位置に設けられている。出金口4を介して払出されるコインを、トレー3が受け止める。外装ケースの上面の手前側の投入口2の隣には、表示装置5が配置されている。表示装置5は、コイン処理装置1の状態や、入金額、出金額、案内などを表示する。投入されたコインを分離、識別、格納、払出す装置が外装ケースに覆われている。
例えば、コイン処理装置1は、自動釣銭機、自動両替機等のコインを入出金する装置である。投入口2にコインが投入される。投入されたコインの金種及び枚数を、不図示の制御部が取得し、投入された金額を把握する。不図示の制御部によってコインの払出しの有無が演算される。コインの払出しがある場合は、不図示の制御部は、払出すコインの金種、枚数を演算し、コインホッパーを制御してコインを排出する。排出されたコインは、トレー3に送られる。
次に、コイン処理装置1の構成について概略的な図を用いて説明する。図2は、コイン処理装置の構成を説明する図である。一般に使用されているコインは、複数の金種から構成される。コインは、サイズ、材質、デザインなどの要素が金種毎に異なる。
コイン処理装置1の投入口2には、複数の金種のコインが混ぜられた状態で投入される。コイン処理装置1は、投入されたコインを一枚ずつに分け、分けられたコインの金種を識別する。コイン処理装置1は、識別されたコインを金種毎に格納する。また、コイン処理装置1は、金種毎に分けて格納されたコインを、払出に再利用する。
コイン処理装置1は、3つの部分に分けられる。3つの部分とは、投入されたコインを1枚ずつ区分して送り出す分離部6、コインの金種を識別する識別部8、コインを金種毎に分けて格納する振分部9である。
投入口2に投入されるコイン10は、コイン通路11を通り、貯留容器12に格納される。図2においては、投入口2、コイン通路11、貯留容器12は破線で示されている。投入口2に投入されるコイン10は、1枚ずつ分離して搬送されるまで、貯留容器12に一時的に格納される。
コイン処理装置1の基台の保持ベース13上に、ディスク15が回動可能に配置されている。ディスク15の下方に貯留容器12が配置されている。貯留容器12には、ディスク15の外周に沿った形状の底部が形成されている。貯留容器12は、ディスク15の下側半分から三分の一程度を覆う。また、保持ベース13とディスク15は、水平方向に対して傾斜して配置されている。コイン10がディスク15側にもたれかかる。ディスク15を回転させることで、ディスク15にもたれているコイン10が、後述の凹部16に入り込み、搬送される。
ディスク15には、コイン10が収容される凹部16が3カ所に設けられている。コイン10は、この凹部16内に保持される。凹部16のディスク15の外周側の領域が開放されている。コイン10は、受渡部7で分離部6から識別部8に受け渡される。
凹部16に入り込んだコイン10の側面は、凹部16の内壁に当接する。保持ベース13及びディスク15は、水平方向に対して斜めの姿勢をとるように配置されているので、コイン10をディスク15の凹部16内に保持することができる。保持ベース13の傾斜角度としては、30度~80度程度が好ましい。その中でも40度~50度がより好ましい。傾斜角度が小さいと不要なコイン10を凹部16から滑り落とせなくなり、傾斜角度が大きいと凹部16内にコインを入り込ませ難くなる。また、凹部16の内壁の高さは、コイン10の厚みより低く構成され、コイン10が1枚しか入らないようにしている。
コイン10は、凹部16の平坦な底面にコイン10の表面又は裏面を対向させる姿勢で、保持される。また、凹部16の内壁は、ディスク15の外周側には配置されていない。コイン10は、この内壁の無い領域を通り、次工程に渡される。ディスク15の外周の外側には、コイン10をディスク回転方向に案内する案内壁が配置されている。コイン10は、周面が、案内壁と、凹部16の内壁とに接触した状態で搬送される。
ディスク15は、矢印で示されたディスク回転方向17の方向に回転する。ディスク15は、貯留容器12に格納されたコイン10を凹部16で一枚ずつ拾い上げる。ディスク15が水平方向に対して斜めに配置されているので、貯留容器12内のコイン10は、ディスク15にもたれ掛り、凹部16に入り込みやすくなっている。
分離部6の上方であり、識別部8の下方の位置においてコイン10が受け渡される。図2では、識別部8と分離部6とを上下に配置した例を示したが、後述する図3の様に識別部8と分離部6を左右に配置することもできる。ディスク15は、コイン10を1枚ずつ、受渡部7に搬送し、次工程である識別部8に送ることができる。
識別部8には、コイン処理装置1の基台の保持ベース13上にホイール21が配置されている。ホイール21は、矢印で示されるホイール回転方向22の方向に回転する。ホイール21は、ディスク15の回転と連動して回転する。分離部6から送り出されるコイン10は、コイン10の周面をホイール21が押す。コイン10は、ホイール21によって、保持ベース13上を移動する。保持ベース13は平坦な平面である。識別部8には、コイン10のサイズ、材質等の特徴を検出する識別センサー19が配置されている。保持ベース13上を移動するコイン10の特徴を、識別センサー19で検出する。不図示の制御部は、識別センサー19の検出結果に基づきコイン10の金種を識別する。ホイール21によってコイン10が一枚ずつ区分されるので、識別センサー19はコイン10の特徴を好適に検出することができる。コイン10は、表面又は裏面を前述の保持ベース13に接触させ、且つ周面を案内部18に接触させた状態で、ホイール21に押される。コイン10は、案内部18に沿って移動する。識別部8で金種を識別されたコイン10は、次工程の振分部9に受け渡される。
振分部9では、コイン10を案内するレール25が配置されている。識別部8から振分部9のレール25にコイン10が渡される。このレール25に沿ってコイン10が搬送される。レール25に沿って搬送ベルト24が配置されている。搬送ベルト24には、搬送ピンローラー23が等間隔で配置されている。隣り合う搬送ピンローラー23の間に、1枚のコイン10が入る。コイン10は、1枚ずつ搬送ピンローラー23に押されてレール25に沿って搬送される。搬送ピンローラー23は、コイン10を押して搬送する押動体とも言える。搬送ベルト24は、無端ベルトであり、ディスク15およびホイール21と連動して、矢印で示されている搬送ベルト回転方向26の方向に回転する。
レール25に沿って、第1スライダー27、第2スライダー29、第3スライダー31、第4スライダー33、第5スライダー35、第6スライダー37、第7スライダー39が配置されている。これらのスライダーは、予め決められた金種のコインホッパーに接続されている。識別部8で識別されたコイン10は、対応する金種のスライダーに落とされ、対応する金種のコインホッパーに格納される。
第1スライダー27は第1コインホッパー28に接続されている。第2スライダー29は第2コインホッパー30に接続されている。第3スライダー31は第3コインホッパー32に接続されている。第4スライダー33は第4コインホッパー34に接続されている。第5スライダー35は第5コインホッパー36に接続されている。第6スライダー37は第6コインホッパー38に接続されている。また、第7スライダー39はオーバーフロー容器40に、接続されている。
第8スライダー41は、排出ベルト42にコイン10を導く。金種が識別不能であったコイン10や、利用できないコイン10を排出ベルト42上に導き、トレー3に排出する。
コインホッパーに格納されるコイン10が所定量を超えると、不具合が生じる恐れがある。そのため、コインホッパーに格納されているコイン10の枚数が所定量を超えた場合、当該コインホッパーへのコイン10の格納を停止する。すなわち、不図示の制御部は、コインホッパーに格納されているコイン10の枚数と、予め決められた許容可能な格納枚数とを比較し、その結果に基づいてコインホッパーへのコイン10の格納を継続するか、停止するかを制御している。コインホッパーへのコイン10の格納が停止された場合に、格納されないコイン10は、オーバーフロー容器40に格納される。その後、フルになったコインホッパーからコイン10が払出されれば、再び、コイン10をコインホッパーに格納することが可能となる。オーバーフロー容器40に余剰のコイン10を格納することができる構成にすることで、メンテナンスの回数を減らすことができる。よって、コイン処理装置1の効率的な運用が可能となる。オーバーフロー容器40は、コインホッパーであっても良いし、コインを排出する機能が無い格納容器でも良い。
各コインホッパーは、排出ベルト42に沿って配置されている。振分部9では、排出ベルト42を駆動することで、各コインホッパーから排出されたコイン10をトレー3に搬送できる。投入口2に入れられたコイン10を、払出用のコイン10として再利用することができる。
ディスク15はディスク回転軸14を中心に回転する。ホイール21はホイール回転軸20を中心に回転する。ディスク回転軸14とホイール回転軸20は、不図示のモーターによって回転する。モーターとディスク回転軸14の間は不図示の輪列によって接続されている。また、モーターとホイール回転軸20の間は不図示の輪列によって接続されている。モーター及び輪列はディスク15、ホイール21を回転させる駆動部を構成している。
コイン10は、分離部6から受渡部7を介して識別部8に摺動させるので、それぞれが段差無く配置され、平坦な面を備えている。
ディスク15には、凹部16がディスク回転軸14を中心として、等角に複数箇所設けられている。例えば、120度間隔に3カ所設けられている。
各凹部16には、後述するレバーが配置されている。受渡部7にコイン10が運ばれると、このレバーによって、ディスク15の外周方向、すなわち識別部8の方向にコイン10を移動させ、識別部8にコイン10を受け渡すことができる。
コイン10は、分離部6のディスク15から押し出され、識別部8のホイール21に拾われる。保持ベース13は平坦なので、スムースに受け渡しができる。
ホイール21には、ホイール回転軸20を中心として120度の間隔で受取体が放線状に配置されている。コイン10は、各受取体の間に1枚ずつ入る。コイン10は、受取体の側面の押動壁によって押される。ホイール21によって押されるコイン10は、保持ベース13上を摺動する。ホイール21はディスク15と連動して回転し、その回転方向は逆方向である。
案内部18は、直線状に配置されている。コイン10は、案内部18に沿って直線状に移動する。識別部8では、案内部18に沿って直線状に移動するコイン10を、識別センサー19によって検出し、金種を識別する。
コイン10は、ホイール21に押され、識別部8から振分部9に渡される。ホイール21と搬送ベルト24は、連動して回転している。隣り合う搬送ピンローラー23間に1枚のコイン10が入るように、搬送ピンローラー23が配置されている。
コイン10は、搬送ピンローラー23によって押され、レール25に沿って移動する。コイン10は、対応する金種のスライダーに落とされる。同一の金種のコイン10は、スライダーに導かれ、コインホッパーに格納される。
次に、コイン処理装置1の主要部分について説明する。図3は、コイン処理装置の主要部の斜視図である。
分離部6では、投入された複数のコイン10を一時的に貯留容器12に貯留する。貯留されたコイン10は、ディスク15によって、1枚ずつ搬送される。コイン10が受渡部7の位置に搬送されると、レバー54が動作し、コイン10を識別部8の方向に押し出す。押し出されたコイン10は、受渡部7を通り、ホイール21の受取体間に入る。
図3においては、識別部8を覆うセンサーカバー53が開いている状態を図示している。通常の使用状態では、ホイール21を覆うように、センサーカバー53は閉じている。
識別部8では、ホイール21によってコイン10が1枚ずつ保持ベース13上を移動する。識別部8の下方には、案内部18が配置されている。案内部18は、ホイール21の外周の外側に配置された案内壁の一部である。案内部18は、コイン10を一定の条件で検出するために、直線状に配置されている。コイン10は、案内部18に沿って、ホイール21に押されて保持ベース13上を摺動する。保持ベース13が水平方向に対して傾斜して配置されているので、コイン10は、重力によって下方に力が加わる。コイン10は、周面が案内壁に接し、表面または裏面が保持ベース13に接する。最下点を通過したホイール21は、コイン10を重力に抗して上方に搬送する。コイン10は、案内部18に接した状態で搬送される。コイン10の周面が、案内部18と接しながら、摺動あるいは転動する。識別センサー19の検出領域において、コイン10を一定条件で通過させることができる。
識別センサー19によって金種を識別されたコイン10は、受渡口50を通り、識別部8から振分部9へ渡される。
受渡口50は、保持ベース13の表裏を貫通する貫通孔である。受渡口50の奥側には、振分部9の搬送路51及びレール25が配置されている。搬送路51及びレール25は、コイン10の案内路である。コイン10は、ホイール21によって押され、受渡口50に落とされる。コイン10は、受渡口50を通り抜けて、搬送路51及びレール25に到達する。すなわち、受渡口50に対向する部分が、振分部9のコイン10の受渡領域である。
搬送路51は水平方向に対して傾斜して配置されている。約45度の角度で傾斜している。コイン10を識別部8から振分部9に受け渡し易くするため、保持ベース13の傾斜角度と搬送路51の傾斜角度が同じか、プラスマイナス10度以内の小さい差であることが好まし。コイン10は、コイン10の外周面である側面がレール25に接し、コイン10の表面又は裏面が搬送路51に接した状態で、搬送ピンローラー23に押されて搬送路51及びレール25に沿って移動する。コイン10は、搬送ピンローラー23に押され、搬送路51の傾斜した面上を摺動すると共に、レール25の上を転動または摺動する。搬送ピンローラー23は、コイン10に接し、押し動かす押動体とも言える。すなわち、コイン10は、搬送路51を第1支持部、レール25を第2支持部とする支持部によって支持された状態で、押動体に押されて搬送される。搬送ベルト24、搬送ピンローラー23、搬送路51、レール25などのコイン10を搬送するための通路を構成する部材が、フロントカバー55によって覆われている。また、搬送路51は、搬送路カバー52の一部によって構成されている。また、識別部8が搬送路51の上方に配置されているので、コイン10を識別部8から振分部9に受け渡す受渡領域は、フロントカバー55には覆われていない。
搬送路51を傾斜させ、更に上面視で搬送路51及びレール25を湾曲させ、湾曲させた部分でコイン10を受け渡す構成とした。湾曲させた部分の上側に、分離部6及び識別部8を重ねて配置することを可能とした。すなわち、識別部8の下側に振分部9が配置されている。また、搬送ベルト24はプーリーに掛け回されている。上面視で、搬送路51及びレール25は、プーリーに掛け回されている搬送ベルト24に沿って、湾曲している。搬送ベルト24に沿って搬送路51およびレール25を配置することで、コイン処理装置1の長手方向の長さを短くしている。また、搬送路51を傾斜させ、搬送路51の下側に搬送ベルト24などの駆動部を配置することで、コイン処理装置1の短手方向の長さを短くしている。このような構成は、コイン処理装置1の小型化を可能にしている。
図4は、コイン処理装置の主要部の上面図である。図4は、センサーカバー53が閉じられた状態であり、フロントカバー55が外された状態を上方から見た上面視の図である。
分離部6は、貯留容器12に堆積したコイン10を一枚ずつ分離し、分離したコイン10を識別部8に渡す。識別部8は、コイン10の金種を識別し、一枚ずつ振分部9に渡す。
振分部9では、コイン10がレール25に沿って搬送ピンローラー23に押されて移動する。第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58がレール25に沿って配置されている。第1フラップ56は、コイン10を通過させる第1状態、コイン10を第1スライダー27に移動させる第2状態、コイン10を第4スライダー33に移動させる第3状態の何れかの状態をとる。第1フラップ56は、不図示の駆動部によって第1状態、第2状態、第3状態が切り替えられる。第1フラップ56と同様に、第2フラップ57は、コイン10を通過させる第1状態、コイン10を第2スライダー29に移動させる第2状態、コイン10を第5スライダー35に移動させる第3状態の何れかの状態に、不図示の駆動部によって切り替えることができる。第1フラップ56と同様に、第3フラップ58は、コイン10を通過させる第1状態、コイン10を第3スライダー31に移動させる第2状態、コイン10を第6スライダー37に移動させる第3状態の何れかの状態に、不図示の駆動部によって切り替えることができる。この様に構成することで、コイン10は7方向の進路の何れかに導かれる。
第1コインホッパー28、第2コインホッパー30、第3コインホッパー32がレール25に沿って一列に並び配置され、第4コインホッパー34、第5コインホッパー36、第6コインホッパー38がレール25に沿って一列に並び配置されている。
第7スライダー39はレール25の、コイン10の搬送方向の先端に配置され、第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58を通過したコイン10をオーバーフロー容器40に導く。レール25の端部を上面視で湾曲させ、湾曲部分に第7スライダー39を配置する。フラップを設けることなく、コイン10をオーバーフロー容器40に導くことができる。
コイン処理装置1には、レール25の途中に3つのフラップが設けられており、コイン10を7つの格納部の何れかに導くことができる。
振分部9の搬送路51の基端は、識別部8の下方に重なるように構成されている。また搬送路51の先端には、第7スライダー39が配置されている。搬送路51の基端側と先端側を上面視で湾曲させて構成することで、コイン処理装置1の長手方向の長さを短くし、小型化している。
搬送路カバー52には搬送路51が設けられている。搬送路51は、搬送路カバー52のレール25側に設けられた傾斜面である。搬送路51は、コイン10の表面または裏面が接する。コイン10は、搬送路51上を摺動する。搬送路51の下縁とレール25との間に所定間隔の隙間が設けられている。その隙間から搬送ピンローラー23が外側に突出している。すなわち、搬送路51の下縁に沿ってレール25が配置されている。搬送ピンローラー23は、搬送路51とレール25の間を移動する。コイン10は、搬送ピンローラー23によって押されて移動する。
金種を識別されたコイン10は、振分部9によって金種毎に進路が決められ、コインホッパーに格納される。図2で示されている様に、格納されたコイン10は、独立に制御される各コインホッパーから、排出ベルト42に排出され、出金口4を通り、トレー3に払出される。
図5は、コインホッパーを説明する図である。各コインホッパーは同様の構成を備える。コインホッパーは、本体60とコイン10を格納する格納容器とから構成されている。図5は、格納容器を取り外した状態で上方から見た場合の上面視の図である。格納容器は、本体60の上方に着脱自在に取り付けることができる。格納容器に設けられた凸部が本体60の固定部67に挿入され、固定される。固定部67は、回転体61を囲うように4カ所設けられている。格納容器の底部には、回転体61に対向する位置に開口部が設けられている。コインホッパーは、回転体61及びホッパベース66を底面とし、格納容器を側面とした、コイン10の格納部を備える。
ホッパベース66は、平坦な面を有し、その上をコイン10の表面または裏面が接し、摺動する。回転体61は、ホッパベース66の上方に配置され、回転体回転軸62を中心に反時計回りに回転する。回転体61は、4カ所にコイン10が入るホッパー凹部65が設けられている。ホッパー凹部65に入ったコイン10は、回転体61の回転に伴い、ホッパベース66の上を摺動する。ホッパベース66には、コイン10の搬送を妨げるように制限ピン63が設けられている。回転体61の裏面側には、制限ピン63を避ける円周状の窪みが設けられている。回転体61の裏面側であってホッパー凹部65の外周側には、コイン10が通過可能な溝が設けられている。回転体61によって搬送されるコイン10は、制限ピン63に当接すことで移動方向が変り、排出口の方向に移動する。回転体61の外周側に設けられた溝がコイン10の通路となり、コイン10が回転体61から排出される。排出されるコイン10は、払出センサー64によって検出される。払出センサー64からの出力される検出信号をカウントすることで、排出されるコイン10の枚数を把握することができる。例えば、不図示の制御回路を用いて、排出するコイン10の枚数を計数する。不図示の制御回路は、排出されたコイン10の枚数が、所望の枚数に達した場合に、回転体61の回転を停止させる。不図示の制御回路は、コインホッパーから排出するコイン10の枚数を制御することができる。
図2で説明した様に、コイン処理装置1は、排出ベルト42に沿ってコインホッパーが3台ずつ2列に配置されている。また、コインホッパーのコイン10の排出側を相互に対向させている。コイン10は、排出ベルト42に向かってそれぞれのコインホッパーから排出される。
次に、コイン処理装置1の振分部9について説明する。図6は、コイン処理装置の振分部を説明する分解図である。
ケース基部78には、第1プーリー軸76、第2プーリー軸77が配置されている。第1プーリー軸76には駆動プーリー73が挿入される。第2プーリー軸77には従動プーリー74が挿入される。駆動プーリー73には、不図示のモーターが輪列を介して接続されている。また、駆動プーリー73と従動プーリー74には搬送ベルト24が掛け回される。搬送ベルト24は歯付きのベルトであり、搬送ベルト24の歯が駆動プーリー73の歯車と従動プーリー74の歯車に噛合う。駆動プーリー73を不図示のモーターによって駆動すると、駆動プーリー73の回転に伴って搬送ベルト24と従動プーリー74が回転する。搬送ベルト24には、等間隔に12個の搬送ピンローラー23が固定されている。
ケース基部78には、コイン10を案内するレール25が配置されている。レール25は、コイン10の側面と接する底部と、コイン10の表面又は裏面の一部と接する側部とが、約90度の角度をなして形成されている。側部は、コイン10の直径の1/3~1/10程度の高さとなる。側部は、搬送路51を補助する。側部が無くとも、搬送路51が有れば、コイン10の表面又は裏面を支持することができる。コイン10が、搬送路51とレール25との間に入らないようにするため、側部が設けられている。
レール25のコイン10の搬送経路の途中に、第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58が配置されている。各フラップには、フラップ頂部75が設けられている。フラップ頂部75とレール25の底部とが面一なる状態にすることで、コイン10を通過させることができる。フラップ頂部75とレール25とを面一にすることで、コイン10を、搬送路51に沿って移動させることができる。レール25の基端側は湾曲した第1湾曲レール79が形成され、先端側は湾曲した第2湾曲レール80が形成されている。第1湾曲レール79では、識別部8からコイン10が受け渡される。第2湾曲レール80の端部は、第7スライダー39に接続される。
第3フラップ58のフラップ頂部は、レール25の底部と面一の状態となっている例である。コイン10は、第3フラップ58のフラップ頂部の上を通り、搬送路51に沿って搬送される。この場合には、コイン10は第3スライダー31または第6スライダー37(図2)側に移動しない。
第2フラップ57のフラップ頂部は、レール25の底部と面一の状態ではない。図6では不図示であるが、第2スライダー29の奥側に第5スライダー35(図2)が設けられている。第2フラップ57は、第5スライダー35(図2)にコイン10を案内するため、レール25を断絶する。第2フラップ57をレール25から離し、コイン10が下に落ちる隙間を設ける。レール25の断絶した部分からコイン10が第5スライダー35(図2)に落ちる。第2フラップ57のフラップ頂部の状態によって、コイン10を第2スライダー29または第5スライダー35(図2)に導く。
第1フラップ56のフラップ頂部は、レール25の底部と面一の状態ではない。第1フラップ56は、フラップ頂部を図面奥側に倒し、レール25を断絶する。コイン10は、断絶した部分に落ち込み、手前側に滑り落ちる。図6では、不図示であるが、手前側に第1スライダー27が配置され、滑り落ちてくるコイン10を第1コインホッパー28に導く。第1スライダー27の奥側には、第6スライダー37(図2)が設けられている。第1フラップ56の状態を変えることで、コイン10を通過させるか、第1スライダー27に案内するか、第6スライダー37(図2)に案内するかを切り替えることができる。
搬送路カバー52は、第1プーリー軸76、第2プーリー軸77、駆動プーリー73、従動プーリー74、搬送ベルト24を覆う。搬送路カバー52には、レール25に沿って搬送路51が設けられている。搬送路51は傾斜しているので、コイン10は、搬送路51にもたれ掛かる。また、レール25は、コイン10を搬送する場合の基端側に第1湾曲レール79、先端側に第2湾曲レール80を有する。搬送路51は、第1湾曲レール79、第2湾曲レール80に対応する位置に、第1湾曲搬送路70、第2湾曲搬送路71を有する。この様に、レール25と搬送路51は、それぞれ湾曲部を備えている。湾曲した面に沿ってコイン10を移動させることができる。コイン10がレール25の上を重力によって転がらないように、レール25が水平方向に平行に配置されていることが好ましい。また傾けるとしても、搬送ピンローラー23でコイン10を押すことができるように、レール25の基端側を先端側に比べ低くする。このときの傾きが大きすぎると、コイン10の受け渡しや搬送に異常を生じる恐れがあるので、傾きは小さくする。例えば、傾きは水平に対して10度までにする。
レール25と搬送路51とは、所定の間隔で離間している。レール25と搬送路51の間を搬送ピンローラー23が移動する。搬送ピンローラー23を、搬送路51のコイン10の接する面よりも突出させて配置し、搬送ピンローラー23をコイン10の側面に当接させる。もちろん、レール25と搬送路51のそれぞれの湾曲部においても、所定の間隔で離間し、それぞれ湾曲部の間を搬送ピンローラー23が移動する。
フロントカバー55は、搬送路51、レール25、第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58を覆う。フロントカバー55と搬送路51との間には、コイン10が移動可能な隙間が設けられる。フロントカバー55は、コイン10がレール25から外れないように移動範囲を規制する。
コイン10には、外周形状が円形のものだけではなく、例えば12角形や8角形などの、多角形状のものがある。外周形状が多角形状のコイン10はレール25の上を摺動する。第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58は、レール25の途中に直線状に配置されている。直線状にコイン10を搬送することで、搬送中に生じる跳ねや振動を抑えることができる。コイン10の挙動を抑制し、コイン10を安定して搬送することができる。コイン10は、第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58によって進路が変更されるときでもスムースに移動できる。振分部9では、コイン10を搬送する部分を湾曲部と直線部に分けることができる。直線部には、第1フラップ56、第2フラップ57、第3フラップ58が配置されている。湾曲部には、コイン10の受渡部が配置されている。湾曲部では、コイン10の挙動が変化しやすいので搬送に注意する必要がある。また、第1湾曲レール79から第1フラップ56までの距離は、使用する最大直径のコイン10の半径よりも長くするのが好ましい。湾曲部から直線部に完全に切り替わってから、第1フラップ56にコイン10を到達させる。第2湾曲レール80から第7スライダー39までの道程は、コイン10の半径よりも長くするのが好ましい。直線部から湾曲部に完全に切り替わってから第7スライダー39にコイン10を到達させる。
第1フラップ56を例にして多角形状のコイン10の移動について説明する。多角形状のコイン10は、レール25の上を摺動する。円形状のコイン10はレール25の上を摺動または転動する。第1フラップ56がレール25より高く配置されると段差が生じる。段差がある場合に、多角形状のコイン10を摺動させると、コイン10が段差に突き当たる。コイン10は、搬送ピンローラー23に押される力で、飛び跳ねるなど、予期せぬ挙動が生じ、搬送不良を起こす恐れがある。そこで、第1フラップ56を、レール25に対して、面一にすることが好ましい。しかし、第1フラップ56とレール25を面一にすることが難しい場合には、第1フラップ56のコイン10の進行方向上流側をレール25より低く配置し、第1フラップ56のコイン10の進行方向下流側をレール25より高く配置する。多少の段差があっても、多角形のコイン10は、高い方から低い方に移動するので、段差で止められること無く、レール25に沿って搬送される。コイン10は、多少は振動するが、問題は生じない。
湾曲部には第1フラップ56を配置しないことが好ましい。さらに好ましくは、第1フラップ56を湾曲部からコイン10の半径以上離れた直線部に配置する。湾曲部では、コイン10の縁が搬送路51から浮いてしまう。湾曲部では、コイン10が不安定な状態で搬送される。この様なときにはコイン10の進路を切り替えることを避ける。予期せぬ挙動によるコイン10の搬送不良を防止する。
次に、コイン処理装置の断面図を用いてコインを任意のコインホッパーに導く動作について説明する。図7は、コイン処理装置の振分部を説明する断面図である。第2フラップ57を例に説明する。他のフラップも同様の構成である。
搬送路51は、水平方向に対して傾斜している。例えば、搬送路51は45度傾いている。搬送路51にもたれ掛ったコイン10を、搬送ベルト24に固定された搬送ピンローラー23によって搬送する。フロントカバー55は、搬送路51に対向して配置されている。コイン10が搬送経路を外れないようにしている。また、フラップ頂部75はレール25に面一に配置され、コイン10の搬送経路の一部を構成している。コイン10は、搬送中に第2フラップ57のフラップ頂部75を移動する。図7は、第2フラップ57の位置における断面図である。レール25のコイン10の側面に接する面と、フラップ頂部75とが面一の状態では、コイン10は通過する。この状態の場合は、コイン10は第2スライダー29、第5スライダー35の方向へは移動しない。
搬送路カバー52に設けられた搬送路51は、上面視で、従動プーリー74の上方に一部が重なる位置に配置されている。また、同様に搬送路51は、上面視で、駆動プーリー73の上方に一部重なる位置に配置されている。コイン10を搬送する搬送路51が、上面視でプーリーに一部が重なる。
搬送ピンローラー23は、搬送路51の下端側とレール25との間から、突出している。搬送ベルト24の平坦な面は、鉛直方向に並行に配置され、その面から45度の角度で斜め上方に搬送ピンローラー23が設けられている。搬送路51は水平方向に対して、45度の角度で傾斜して配置されている。搬送ピンローラー23の回転軸は、搬送路51に対して略垂直となっている。搬送ピンローラー23の回転軸がコイン10の厚み方向に沿っている。搬送ピンローラー23がコイン10を押す場合に、搬送路51あるいはレール25に沿った方向以外の力が加わると、搬送ピンローラー23が回転する。搬送ピンローラー23が回転することで、余分な方向の力を逃がし、コイン10を搬送方向に向かわせる。
第2フラップ57は、フラップ軸81を回動の中心にして、図中矢印で示したフラップ第1移動方向82またはフラップ第2移動方向83の方向に移動できる。不図示の駆動機構で、第2フラップ57の位置を切り替えることができる。
第2フラップ57が、フラップ第1移動方向82の方向に駆動された場合、レール25が断絶し、コイン10が、第2スライダー29の方向に滑り落ちる。図中点線で示したコイン43は、第2スライダー29上を滑り落ち、第2コインホッパー30(図2)に導かれる。
第2フラップ57が、フラップ第2移動方向83の方向に駆動された場合、レール25が断絶し、コイン10が、第5スライダー35の方向に滑り落ちる。図中点線で示したコイン44は、第5スライダー35上を滑り落ち、第5コインホッパー36(図2)に導かれる。
この様に、第2フラップ57は、フラップ軸81を回動の中心にして揺動させることができる。フラップ頂部75の位置を切り替えることで、コイン10を3方向に案内することができる。他の第1フラップ56、第3フラップ58も同様にコイン10を3方向に案内することができる。振分部9は、識別部8によって識別されたコイン10の金種に基づいて、3つのフラップの状態を切り替え、コイン10を金種に対応するコインホッパーに格納する。
次に、コイン10を搬送する搬送ピンローラー23を固定する搬送ベルト24について説明する。図8は、コインを搬送するベルトと搬送ピンローラーを説明する図である。
搬送ベルト24には、等間隔に搬送ピンローラー23が12個固定されている。二点鎖線の円内に、搬送ピンローラー23の拡大図を示している。また、搬送ベルト24は、歯付きのベルトであり、搬送ベルト24の内側の面にベルト歯84が一定間隔で設けられている。搬送ベルト24は、駆動プーリー73(図6)、従動プーリー74(図6)に掛け回され、歯車の歯とベルト歯84が噛合う。また、識別部8から受け渡されるコイン10は、隣り合う搬送ピンローラー23の間に1枚ずつ入る。
フレーム部86の一方の端部には、フック部88が揺動可能に設けられている。フレーム部86の他方の端部に係止部87が設けられている。フレーム部86とフック部88の間に搬送ベルト24を挟み、フック部88を係止部87に掛けて固定する。隣り合うベルト歯84の間にフック部88が入る。
駆動プーリー73(図6)及び従動プーリー74(図6)の歯車は、フック部88に対応する位置の歯が無い。駆動プーリー73(図6)及び従動プーリー74(図6)は、120度間隔で3カ所、歯が無い部分が設けられている。駆動プーリー73及び従動プーリー74を回転させたときに、歯の無い部分に対応して搬送ピンローラー23が設けられているとも言える。これにより、歯車と搬送ベルト24とは好適に噛み合うので、搬送ベルト24の振動などの問題も防止できる。
フレーム部86には、係合部89が設けられている。ローラー部85を係合部89に差し込む。ローラー部85は、係合部89を軸にして正逆どちらの方向にも回動することができる。搬送ピンローラー23のローラー部85は、コイン10と接するローラーである。コイン10と接する部分が、回動するので、コイン10との当接による損傷や摩耗を低減できる。コイン10に搬送方向以外の方向の力が加わると、ローラー部85が回転し、力を逃がす。
次に、搬送ピンローラー23について説明する。図9(a)は、搬送ピンローラーの分解図である。図9(b)は、搬送ピンローラーを説明する図である。
フレーム部86に設けられるフック部88は、一端側が屈曲部92に接続され、他端側に係止突起90が設けられている。フック部88の内側、すなわち閉じたときに搬送ベルト24に接触する側には、接触部91が設けられている。接触部91は、搬送ベルト24に設けられベルト歯84の形状に対応して凹凸が設けられている。フレーム部86とフック部88との間に搬送ベルト24を挟み込む。当接部97は、係止部87に設けられた窪みであり、この窪みに係止突起90を掛けて固定する。係止突起90の外側の面と、当接部97の窪みの壁面とが当接し、フック部88を搬送ベルト24に圧接した状態で固定する。搬送ベルト24の隣り合う歯の間にフック部88が嵌るので、搬送ベルト24の回転方向に、歯を超えて移動することはない。フレーム部86とフック部88を近づける方向に力が加わった状態で固定するので、反発する力が係止突起90と当接部97に加わり固定される。
フレーム部86の搬送ベルト24と接触する面は平坦でも良い。また、搬送ベルト24の搬送方向および、搬送方向に対して直交する方向、交差する方向に沿って線状の微細な凹凸や、ランダムに配置される点状の凹凸を設けることもできる。搬送ピンローラー23が搬送ベルト24に固定されたときに、搬送ベルト24の表面に食い込み、摩擦力を高め、ズレを防止できる。搬送ベルト24は一対のプーリーに掛け回されているので、搬送ベルト24は移動に伴い湾曲する。搬送ベルト24が湾曲したとき、搬送ピンローラー23のズレや振動が生じやすくなるが、緩みを抑止した固定方法によってズレや振動を低減できる。
フレーム部86には、中継部93が設けられている。中継部93は、フレーム部86から45度上向きに中継部93の先端が向くように設けられている。中継部93の先端には、係合部89が設けられている。搬送路51とレール25の間から突出するローラー部85が、搬送路51に対して略垂直となるように、中継部93の先端には係合部89が設けられている。中継部93はフレーム部86の上部に設けられ、中継部93と屈曲部92は隣接している。搬送ベルト24の幅方向が鉛直方向に沿っている場合に、中継部93は、フレーム部86の端部から斜め上方に向けて配置される。すなわち、係合部89は、フレーム部86の端部から斜め上方に向けて配置される。フレーム部86、フック部88、屈曲部92、当接部97は、樹脂製であり、一体で形成されている。
ローラー部85の回転中心の延長線が、搬送ベルト24の幅方向の大凡中央部を通るように配置されている。これは、ローラー部85がコインに当接したときに、搬送ベルト24に伝わる力が幅方向において偏らないようにするためである。搬送ベルト24のよれや振動を防止できる。また、ローラー部85の回転中心の延長線が、フック部88と、係止部87の接続位置を通るように配置されている。搬送ベルト24の裏側の強度の高い位置を通るように構成している。フック部88と、係止部87は、屈曲部92よりも変形し難いように構成されている。フック部88の先端は、外側にリブを形成し補強され、フック部88と係止部87との係合後に変形し難くしている。
中継部93の先端に、係合部89が設けられている。係合部89は、ローラー部85の内径より細い円柱状の凸部である。凸部の先端側を二分し、2つに分かれた先端のそれぞれに折り返し部94が設けられている。係合部89の先端側を撓ませて、ローラー部85を挿入させる。ローラー部85の内側には、段差部98が備えられている。係合部89の撓みが解除された状態では、段差部98に折り返し部94が引っ掛かる。段差部98に折り返し部94が掛った状態では、ローラー部85は係合部89から抜けない。また、ローラー部85は、係合部89に回動自在に支持される。係合部89は、ローラー部85の回動軸ともいえる。
ローラー部85には、円筒部95と拡張部96が備わる。円筒部95の先端部に拡張部96が配置されている。円筒部95は、外径が一定の円筒である。拡張部96は、基部の外径が円筒部95と同じであり、先端に行くに従い漸次拡径する。拡張部96を、ローラー部85に設けることで、コインの搬送時にコインが径路から外れ難くなる。
係合部89に設けられた先端を2分する溝は、搬送ピンローラー23の移動方向に沿って配置されている。ローラー部85が外れた場合でも、係合部89が、コインを押すことができる。溝が移動方向に沿っているので、コインに当接しても係合部89が撓むことなくコインを押すことができる。
屈曲部92は、フレーム部86の端部から延在させた肉厚の薄い部分であり、屈曲可能に構成されている。屈曲部92の先端からフック部88が延在する。搬送ピンローラー23は、搬送ベルト24に容易に着脱ができる。また、搬送ベルト24に装着した搬送ピンローラー23はズレにくい。搬送ピンローラー23のローラー部85を除いた部分は、品質を一定にするために一体成型されていることが好ましい。また、搬送ピンローラー23におけるローラー部85は、回動可能であることが好ましい。一方、使用するコインの種類によっては、湾曲部でも安定的にコインを搬送できる場合がある。このような場合には、ローラー部85を係合部89に固定し、回動させずに用いることもできる。また、このような場合には、一体成型した搬送ピンローラー23を用いてもよい。
搬送路51を搬送ベルト24の上方に配置し、また、搬送ピンローラー23を搬送ベルト24に対して斜め上向きに構成している。この様にすることで、搬送ベルト24及びプーリーを水平に配置することができる。また、搬送路51、レール25の下方に広い空間を設けることが可能となり、コインをコインホッパーに案内する通路や機構、例えばスライダーやフラップなど、の配置が容易となる。
次に、搬送路51の上面視で湾曲している部分、例えば、第1湾曲搬送路70におけるコインの搬送について説明する。図10は、振分部の湾曲部のコインの移動を説明する図である。構成を説明するために模式的に記載した図である。
湾曲している部分においても好適にコイン10を搬送する必要がある。そのため、搬送ピンローラー23はローラー部85に円筒部95と漸次拡径された拡張部96とを備えている。直線状の搬送路51において、コイン10を、コイン10の側面に円筒部95が当接し、搬送する。湾曲部においては、搬送路51の接線方向に沿ってコイン10が傾くので、搬送路51とコイン10の縁との間に隙間が生じる。コイン10の搬送時に、ローラー部85からコイン10が外れないように、拡張部96によってコイン10の移動方向を制限する。また、拡張部96によってコイン10を好適に捉えることができる。コイン10のサイズにもよるが、湾曲部においては、コイン10の縁に、円筒部95と拡張部96が当接しながら、コイン10を搬送する場合もある。コイン10のサイズによらず、拡張部96によってコイン10の挙動を抑えながら搬送することができる。円筒部95の高さは、投入されるコイン10の最大の厚みの1.2から3倍程度の高さのものを用いるのが好ましい。識別部8(図3)から振分部9(図3)に受け渡された直後のコイン10は、受渡領域で跳ねたり、振動したりするが、拡張部96を備えた搬送ピンローラー23によって、コイン10を好適に捉え、搬送ピンローラー23から外れないように搬送することができる。
また、搬送路51とフロントカバー55(図7)とは、所定距離離れてお互いに対向して配置され、コイン10を搬送する通路を形成している。コイン10が、搬送経路から外れることを防止している。しかし、識別部8(図3)から振分部9(図3)にコイン10を受け渡す領域では、フロントカバー55によって搬送路51が覆われていない。第1湾曲搬送路70に対向する部分は、識別部8(図3)が配置されているので、フロントカバー55(図3)に覆われていない。識別部8(図3)から送られたコイン10は、レール25および搬送路51の上で跳ねたり、振動したりする。そのため、第1湾曲搬送路70の部分では、円筒部95の先端側からコイン10が外れないように拡張部96によって移動を制限する必要がある。第1湾曲搬送路70では、湾曲している部分でコイン10の受け渡しが行われるので、コイン10の予期せぬ挙動が生じ易い場所でもある。しかし、この様な構成にすることで、搬送路51とレール25の上のコイン10は、挙動が抑制され、また、好適に搬送を行うことができる。また、搬送径路を湾曲させ、また傾斜させることで、コイン処理装置の長手方向および短手方向の長さを短くでき、コイン処理装置を小型化できる。
次にコイン処理装置の別の例を図11から図18を用いて説明する。識別部8から振分部9にコイン10を受け渡す位置には、搬送ピンローラー23の通路が設けられている。搬送ピンローラー23の通路は、第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70との間の開口部である。第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70とは離間して配置されており、搬送ピンローラー23はその間を通る。搬送ピンローラー23の通路にコイン10が入り込み、ジャムなどの搬送の不具合が生じる場合が考えられる。そこで、搬送ピンローラー23の通路を狭くする遮断部を、振分部9に備える。遮断部によって、第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70との間にコイン10が入ることを防止する。特に、コイン10を識別部8から振分部9に受け渡すときに、コイン10は振分部9の上に落ちる。このとき予期せぬ振動や、予期せぬ跳ね返りによって、コイン10は搬送ピンローラー23の通路に入り込んでしまう場合がある。第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70との間に遮断部を備えることで、搬送ピンローラー23の通路にコイン10が入ることを防止できる。コイン処理装置は、搬送の不具合が防止され、コイン10を好適に搬送できる。また、コイン10は識別部8から振分部9に好適に受け渡される。
次に、遮断部を備えたコイン処理装置について図11~図13を用いて説明する。図11は、コイン処理装置の主要部の第2の例を示す斜視図である。図12は、コイン処理装置の振分部の第2の例を説明する分解図である。図13は、コイン処理装置の主要部の第2の例を示す上面図である。
駆動プーリー73を用いて搬送ピンローラー23の通路を狭くする。搬送ピンローラー23は、搬送ベルト24に所定の間隔で配置されている。また、鍔部45は、駆動プーリー73の所定の位置に配置されている。例では、駆動プーリー73に等間隔に3箇所設けられている。駆動プーリー73を回転させた場合に、隣り合う鍔部45の間に搬送ピンローラー23が位置するように設定されている。また、鍔部45は、駆動プーリー73にネジ等で着脱できるように設けても良いし、一体成形されていても良い。
鍔部45は駆動プーリー73の上面側に設けられている。駆動プーリー73の鍔部45の下側には、搬送ベルト24に噛み合う歯が設けられている。鍔部45は、搬送ピンローラー23の通路の上方に位置するように、駆動プーリー73の上面側に設けられている。振分部9の搬送ピンローラー23の通路は、鍔部45によって狭まる。鍔部45は、上面視で第1湾曲搬送路70の下端と第1湾曲レール79の上端との間に配置されている。上面視で、第1湾曲搬送路70の下端と第1湾曲レール79の上端は重ならないように配置されている。そのため、上面視で、第1湾曲搬送路70の下端と第1湾曲レール79の上端の間に隙間が生じ、そこにコイン10が入り込んでしまう場合が考えられる。また、側面視においても、第1湾曲搬送路70の下端と第1湾曲レール79の上端の間に隙間がある。そのため、使用するコイン10の厚みよりも隙間を狭くすることが好ましい。搬送ピンローラー23を細くし、通路を狭くすることも考えられるが、搬送ピンローラー23の強度を考慮すると、細くできない。そこで、搬送ピンローラー23を細くせずとも、第1湾曲搬送路70の下端と第1湾曲レール79の上端の間にコイン10が入らないようにする遮断部を備える必要がある。
鍔部45は、第1湾曲搬送路70と第1湾曲レール79とは接触せずに、その間に配置される。識別部8から振分部9に落下したコイン10が、鍔部45に遮られ、第1湾曲搬送路70と第1湾曲レール79とに挟まれた部分に入ることはない。鍔部45は、コインの搬送異常を防止することができる。
駆動プーリー73に搬送ベルト24が噛み合っている部分では、鍔部45は、隣り合う搬送ピンローラー23の中央に位置するように配置されていることが好ましい。また、鍔部45と搬送ピンローラー23の間隔が、使用する最小サイズのコイン10の直径よりも小さいことが好ましい。また、鍔部45の下方において、第1湾曲搬送路70との間に隙間が生じる。この鍔部45と第1湾曲搬送路70の間隔は、使用する最薄のコイン10の厚みよりも小さいことが好ましい。また、鍔部45は、隣り合う搬送ピンローラー23の間に1つある例を示したが、これに限らず、鍔部45を複数の凸部から構成しても良い。
図14は、プーリーの第2の例を説明する斜視図である。駆動プーリー73には、外周の上面側に鍔部45を備える。鍔部45は、搬送ベルト24に噛み合う複数の歯より外側に突出している。鍔部45は、搬送ピンローラー23の通路を狭めるために設けられている。そのため、駆動プーリー73に搬送ベルト24が掛け回されたときに、搬送ベルト24の表面よりも鍔部45が突出している。鍔部45の先端には、傾斜部46が備わる。傾斜部46は、鍔部45の先端方向に向かって駆動プーリー73の下面側方向に傾斜している。駆動プーリー73の外周には、搬送ベルト24に噛み合う複数の歯が備わる。駆動プーリーの外周には、第1歯凹部47と第2歯凹部48が備わる。第1歯凹部は第2歯凹部48よりも幅が広く、搬送ピンローラー23に対応する位置に設けられている。第1歯凹部47は、等間隔に3つ設けられている。第2歯凹部48の下方側には、第2歯ガイド部49が備わる。第2歯ガイド部は、搬送ベルト24の下方側への位置ずれを防止し、鍔部45は上方側への位置ずれを防止している。
次に、遮断部を備えたコイン処理装置の識別部8から振分部9にコイン10を受け渡すときのコインの動作について図15と図16を用いて説明する。図15は、振分部の湾曲部のコインの移動の第2の例を説明する図である。図16は、識別部から振分部にコインを受け渡す位置におけるコインの動作を説明する図である。
識別部8から落下したコインは、隣り合う搬送ピンローラー23の間であって、振分部9の第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70の上に落ちる。場合によっては、落下した衝撃で跳ね返ったり、振動したりする。その後、コイン10は、搬送ピンローラー23に押され、第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70に沿って搬送される。
鍔部45の先端は、第1湾曲搬送路70の表面に対して、微少に突出している。鍔部45よって、第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70との間の開口部は狭くなる。矢印101で示される開口部の最大幅は、搬送ピンローラー23の軸の直径よりも大きい。しかし、矢印102によって示される鍔部45によって狭められた開口部の最大幅は、搬送ピンローラー23の軸の直径よりも小さい。矢印102で示される狭められた開口部の最大幅は、使用される最薄のコイン10の厚みよりも小さいことが好ましい。また、識別部8の方向から振分部9を見た場合、すなわち上面視の場合、開口部の最大幅は矢印103で示される幅であり、鍔部45で狭められた開口部の幅は矢印104で示される幅である。鍔部45によって、開口部の幅を半分程度に狭めることができる。
鍔部45は、第1湾曲搬送路70の表面に対して突出しているので、コイン10は、第1湾曲搬送路70の表面に対して矢印105で示される角度で傾斜する。鍔部45の突出量を大きくすればするほど、搬送ピンローラー23の通路の幅は狭くなる。しかし、コイン10が第1湾曲搬送路70の表面から離れるので、コイン10の搬送に悪影響を与えやすくなる。上面視で鍔部45が、第1湾曲レール79の先端を隠すことが無いように配置されることが好ましい。また、識別部8から落下したコイン10が、鍔部45に当接して、予期せぬ方向に跳ね返り、搬送不良になることも考えられる。そのため、鍔部45の第1湾曲搬送路70の表面に対する突出量を大きくし過ぎてはいけない。この様な跳ね返りの影響を抑えるために、鍔部45の先端に傾斜部46を設けている。コイン10は傾斜部46によって、第1湾曲レール79の方向に滑り落ちやすくなる。
また別の例として、点線で示される曲げ部100が鍔部45の先端に設けられているものが考えられる。鍔部45は、先端を第1湾曲レール79方向に曲げた曲げ部を備える。曲げ部100によって、搬送ピンローラー23の通路の幅をさらに狭くすることができる。また、鍔部45を第1湾曲搬送路70の表面に対して突出量を少なくすることも、面一にすることもできる。鍔部45の第1湾曲搬送路70の表面に対する突出量を少なくできれば、コイン10の鍔部45での跳ね返りの影響を低減できる。好ましくは、鍔部45の先端に曲げ部100を設け、第1湾曲搬送路70の表面に対して曲げ部100の表面を面一にすることである。
識別部8から振分部9には、第1湾曲搬送路70の斜面に対して、コイン10の表面が大凡平行になるように鉛直方向に対して斜めに傾いた状態で落とされる。鍔部45が第1湾曲搬送路70の斜面から突出している。そのため、コイン10は、鍔部45に当接することで、第1湾曲搬送路70と第1湾曲レール79との開口部から離れる方向に向けられ、第1湾曲レール79の上に落ちる。そのため、第1湾曲搬送路70と第1湾曲レール79との開口部が多少広い場合であっても、鍔部45は、第1湾曲搬送路70と第1湾曲レール79との間に形成された開口部にコイン10が入ることを防止できる。
次に、搬送ピンローラー23の通路を狭くする第3の例を、図17を用いて説明する。図17は、コイン処理装置の振分部の第3の例を説明する図である。
突起106は、搬送ベルト24の表面に配置された突起である。搬送ベルト24の表面に突起106を備えることで、駆動プーリー73の鍔部45の代わりに、搬送ピンローラー23の通路の幅を狭くする。突起106は、搬送ピンローラー23の間に少なくとも1つ配置する。突起106は、隣り合う搬送ピンローラー23の間に複数設けられていても良い。突起106は、第1湾曲搬送路70の表面から突出しない程度の高さにするのが好ましい。突起106は、第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70との間の隙間にコイン10が入ることを防止できる。搬送ベルト24は湾曲するので、突起106は搬送ベルト24の湾曲に伴って湾曲することが好ましい。そこで、突起106はゴムや樹脂製の可撓性部材であることが好ましい。搬送ベルト24の湾曲を阻害しないように、隣り合う搬送ピンローラー23の間に細かく細分した突起106を複数設けるようにしてもよい。
次に、搬送ピンローラー23の通路を狭くする第4の例を説明する。図18は、コイン処理装置の振分部の第4の例を説明する図である。
シャッター107は、第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70との間に亘り配置されている。シャッター107は、コイン10が第1湾曲レール79と第1湾曲搬送路70との間に入ることを防止する遮断部材である。搬送ピンローラー23が移動し、シャッター107に当接した場合、搬送ピンローラー23とシャッター107の湾曲した縁との当接位置に応じて、シャッター107が紙面上方に移動する。シャッター107には長孔109が備わる。長孔109にシャッター軸108が挿入されている。シャッター軸108は固定されており、搬送ピンローラー23に押されたシャッター107が、長孔109に沿って移動する。
例えば、破線で示されたシャッター111は、破線で示された搬送ピンローラー110が搬送ベルト24の移動に応じて移動した状態を示している。シャッター軸108は固定されており、長孔109に挿入されている。シャッター軸108が長孔109に沿って相対的に移動し、破線で示されたシャッター111のように移動する。コインが受け渡されるタイミングでは、シャッター107が閉じている。また、シャッター軸108に対してシャッター107が回動する構成でもよい。搬送ピンローラー23の移動を妨げずに、搬送ピンローラー23の通路にコイン10が入り込むことを遮断部材によって防止できる。