JP7313951B2 - 白華抑制剤、及び、セメント質硬化体の白華抑制方法 - Google Patents
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Description
白華は、セメント質硬化体の内部に存在する水に、水酸化カルシウムが溶出し、次いで、水酸化カルシウムが水とともにセメント質硬化体の表面に移動した後、大気中の二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウムの結晶が表面に析出する現象である。
白華の発生を長期に亘って防止することができるセメント質硬化体の製造方法として、特許文献1には、セメント、水、骨材、パラフィン系炭化水素含有物を含む配合物を混練し、成形し、養生して硬化させた後、該硬化体を45℃~90℃で1時間以上加温することを特徴とするセメント質硬化体の製造方法が記載されている。
また、高流動モルタル用白華防止剤として、特許文献2には、(A)セルロース誘導体、(B)ポリマー及び(C)無水石膏を含有し、成分(A)と(B)の固形分質量比((A)/(B))が0.1~1.4であり、かつモルタルへの配合時の成分(A)及び(B)の合計量がセメント100質量部に対し0.3~9.0質量部である高流動モルタル用白華防止剤が記載されている。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[3]を提供するものである。
[1] 下記化学式(1)で示される低級アルコールのアルキレンオキシド付加物からなることを特徴とする白華抑制剤。
RO(AO)nH ・・・(1)
(上記化学式(1)中、Rは炭素数4~6のアルキル基であり、Aは炭素数2~3のアルキレン基であり、nは1~10の整数である。)
[2] 前記[1]に記載の白華抑制剤を用いたセメント質硬化体の白華を抑制する方法であって、上記セメント質硬化体の表面に上記白華抑制剤を塗布するセメント質硬化体の白華抑制方法。
[3] 前記[1]に記載の白華抑制剤を用いたセメント質硬化体の白華を抑制する方法であって、上記セメント質硬化体の原料を混練する際に、上記白華抑制剤を添加するセメント質硬化体の白華抑制方法。
RO(AO)nH ・・・(1)
(上記化学式(1)中、Rは炭素数4~6のアルキル基であり、Aは炭素数2~3のアルキレン基であり、nは1~10の整数である。)
炭素数4~6のアルキル基の例としては、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられる。
また、炭素数2~3のアルキレン基の例としては、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
上記化学式(1)で示される低級アルコールのアルキレンオキシド付加物の中でも好ましいものは、n-ブチルアルコールのプロピレンオキシド(付加モル数2)/エチレンオキシド(付加モル数3)付加物である。具体的には、市販品として太平洋マテリアル社製の、商品名「太平洋テトラガードAS21」や商品名「クラックセイバー」が挙げられる。
なお、白華を抑制する対象となるセメント質硬化体としては、白華が起こりうるものであれば、特に限定されるものではなく、各種セメント、水、骨材等を含むセメント組成物を硬化してなるモルタルまたはコンクリート等が挙げられる。
白華抑制剤を塗布する方法としては、セメント質硬化体の表面に白華抑制剤を均一に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、ハケ、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー等を用いて塗布すればよい。
通常、白華抑制剤の塗布はセメント組成物が硬化した直後に行われる。
上記方法において、セメント質硬化体に塗布される白華抑制剤の量は、好ましくは5~150g/m2、より好ましくは10~120g/m2、さらに好ましくは15~80g/m2、さらに好ましくは18~40g/m2、特に好ましくは20~30g/m2である。該量が5g/m2以上であれば、白華の発生をより抑制することができる。該量が150g/m2以下であれば、材料にかかるコストをより低減することができる。
なお、白華抑制剤は粘度等を調整して作業性を向上させる等の観点から、水などの溶媒に適宜溶解させてから使用してもよい。
上記方法は、各種セメント、水、骨材等のセメント質硬化体の原料を、ミキサ等を用いて混練する際に、上述した白華抑制剤を添加し、白華抑制剤を含むセメント組成物を得る方法である。該方法によって得られたセメント組成物を硬化してなるセメント質硬化体は、白華の発生が抑制されたものである。
上記方法において、白華抑制剤の添加量は、セメント組成物1m3当たりの量として、好ましくは0.5~10kg/m3、より好ましくは1~8kg/m3、さらに好ましくは2~7kg/m3、さらに好ましくは3~6kg/m3、特に好ましくは4~5.5kg/m3である。該量が0.5kg/m3以上であれば、白華の発生をより抑制することができる。該量が10kg/m3以下であれば、材料にかかるコストをより低減することができる。
なお、白華抑制剤は、原料である水の一部と置き換えて使用することが好ましい。
[使用材料]
(1)普通ポルトランドセメント;太平洋セメント社製、密度:3.16g/cm3
(2)細骨材;山砂、表乾密度:2.57g/cm3
(3)白華抑制剤A;低級アルコールのアルキレンオキシド付加物(上述した化学式(1)を満たすもの)の含有率:100質量%、太平洋マテリアル社製、商品名:「クラックセイバー」
(4)白華抑制剤B;低級アルコールのアルキレンオキシド付加物(上述した化学式(1)を満たすもの)の含有率:85質量%、太平洋マテリアル社製、商品名:「太平洋テトラガードAS21」
(5)水:上水道水
20℃の環境下において、水セメント比が75%であり、細骨材とセメントの質量比(細骨材/セメント)が3.0であるモルタルを、「JIS R 5201:2015(セメントの物理試験方法)」に準拠して調製した。なお、水セメント比を75%としたのは、白華の発生を起こりやすくするためである。
材料の混練は、ブリーディングが発生しなくなるまで行った。混練時間(混練の開始から、ブリーディングが発生しなくなるまでの時間)は6時間であった。ブリーディングが発生しなくなった後、再度、混練を行い、モルタルを得た。次いで、内寸が10×10×10cmである型枠に、モルタルを打設して成型を行った。
48時間後、脱型を行い、得られた硬化体を、材齢7日まで水中養生した。次いで、硬化体の打設上面から、鉛直方向に2cm間隔で、硬化体の切断を行い、10×10×2cmの試験体を5つ得た。
5つの試験体のうち、中段に位置していた試験体(切断前の硬化体の上面部分または下面部分を含まないもの)3つを取り出し、これらの試験体を80℃の雰囲気下で24時間乾燥した。乾燥後、各試験体の側面部分(10×2cmの面)をエポキシ樹脂で被覆し、次いで、上面部分(10×10cmの面)全体に、白華抑制剤Aを25g/m2となる量で塗布した。
材齢21日において、試験体上面における白華の発生の有無を目視で確認した。
白華の発生が確認された場合には×、白華の発生が確認されなかった場合は〇と評価した。
白華抑制剤Aを、50g/m2となる量で塗布した以外は、実施例1と同様にして試験体を作製して、白華の発生の有無の確認及び評価を行った。
[実施例3]
白華抑制剤Aを、100g/m2となる量で塗布した以外は、実施例1と同様にして試験体を作製して、白華の発生の有無の確認及び評価を行った。
モルタルの各原料を混練する際に、白華抑制剤Bを、モルタル1m3当たり6.0kgとなる量で添加して混練する以外は、実施例1と同様にしてモルタルを調製した。白華抑制剤Bは、予め水に溶かした状態で添加し、その量は、モルタル1m3当たりの水の量の内割とした。
該モルタルを用いて、実施例1と同様にして試験体を作製して、白華の発生の有無の確認及び評価を行った。
白華抑制剤を使用しない以外は、実施例1と同様にして試験体を作製して、白華の発生の有無の確認及び評価を行った。
それぞれの結果を表1に示す。
Claims (3)
- n-ブチルアルコールのプロピレンオキシド(付加モル数2)/エチレンオキシド(付加モル数3)付加物からなることを特徴とする白華抑制剤。
- 請求項1に記載の白華抑制剤を用いたセメント質硬化体の白華を抑制する方法であって、上記セメント質硬化体の表面に上記白華抑制剤を塗布するセメント質硬化体の白華抑制方法。
- 請求項1に記載の白華抑制剤を用いたセメント質硬化体の白華を抑制する方法であって、上記セメント質硬化体の原料を混練する際に、上記白華抑制剤を添加するセメント質硬化体の白華抑制方法。
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