JP7313589B1 - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドーパントの分布の均一性が高いハニカム構造体の製造方法を提供する。【解決手段】炭化珪素粉末と、金属珪素粉末と、ドーパント源の水溶液とを含む成形原料を混錬し、坏土を作製する工程と、前記坏土を成形し、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第一端面から第二端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有するハニカム成形体を作製する工程と、前記ハニカム成形体を焼成し、ハニカム焼成体を作製する工程とを含み、前記ドーパント源が周期表の第13族元素及び第15族元素から選択される1種又は2種以上のドーパントを含有しており、前記ドーパント源の水溶液中の少なくとも1種の前記ドーパントの原子数が前記金属珪素の体積に対する前記ドーパントの原子数で表して1×1016~5×1020個/cm3である、ハニカム構造体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ハニカム構造体の製造方法に関する。とりわけ、本発明は電気加熱型担体として好適に利用可能なハニカム構造体の製造方法に関する。
従来、コージェライトや炭化珪素を材料とするハニカム構造体に触媒を担持したものが、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いられている。ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要があるが、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題が従来生じていた。そこで、導電性セラミックス製のハニカム構造体に電極を配設し、通電によりハニカム構造体自体を発熱させることで、ハニカム構造体に担持された触媒をエンジン始動前又はエンジン始動時に活性温度まで昇温する電気加熱触媒(EHC)と呼ばれるシステムが開発されてきた。
EHCは一般に、外周壁、及び、外周壁の内側に配設され、第一端面から第二端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁を有する導電性のハニカム構造部と、ハニカム構造部の外周壁に配設された一対の電極層とを備える。EHCを、例えば、自動車等に搭載して使用する場合、自動車等の電気系統に使用される電源が共通で使用される。このため、EHCに過剰の電流が流れると、電源回路が損傷するおそれがある。EHC用の電源には様々な電圧が使用されるため、使用される電圧ごとにEHC用ハニカム構造体の抵抗を調整して、過剰の電流が流れないように制御することが重要となる。
特許文献1には、隔壁及び外周壁が、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有し、400℃における体積電気抵抗が1~40Ωcmであるハニカム構造体が記載されている。特許文献1には、炭化珪素粒子の平均粒子径を3~40μmとすることにより、ハニカム構造体の400℃における体積電気抵抗を1~40Ωcmにすることができると記載されている。当該ハニカム構造体は、400℃における体積電気抵抗が1~40Ωcmであるため、電圧の高い電源を用いて電流を流しても、過剰に電流が流れず、ヒーターとして好適に用いることができるとも記載されている。
しかしながら、例えば、搭載する自動車の種類等によって、EHC用の電源には非常に広範囲の電圧が使用される。特に、EHC用の電源に、60V以下、例えば48Vといった低い電圧が使用される場合、過剰電流の発生を抑制するのに適切な体積抵抗率は、0.1Ωcm付近である。このように、広範囲の電圧が使用される近年のEHCにおいて、低電圧下で使用された場合であっても過剰電流の発生を良好に抑制する技術の研究・開発が望まれている。
そこで、特許文献2、3では、EHCを構成する珪素中に含まれるドーパント量の範囲について規定している。特許文献2、3では、ハニカム構造体の隔壁及び外周壁を構成するセラミックス中の珪素中のドーパントの濃度が、1×1016~5×1020個/cm3であることが記載されている。
特許文献2には、ドーパントを添加した珪素粉末、又は、当該ドーパントを添加したケイ素粉末に他のセラミックス材料を混合させた粉末に、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する工程と、得られた成形原料を混練して坏土を形成する工程と、坏土を押出成形して未焼成の柱状ハニカム構造体を作製する工程と、未焼成の柱状ハニカム構造体を焼成する工程とを実施することを含むハニカム構造体の製造方法が記載されている。
特許文献3には、炭化珪素粉末を含むセラミックス粉末に、バインダ、界面活性剤、水等を添加して成形原料を作製する工程と、得られた成形原料を混練して坏土を形成する工程と、坏土を押出成形して未焼成のハニカム成形体を作製する工程と、得られたハニカム成形体を乾燥し、脱脂することでハニカム脱脂体を作製する工程と、ハニカム脱脂体に珪素(金属珪素)を含浸焼成する工程であって、ドーパントによりドープされている珪素、又はハニカム脱脂体中のドーパント源と共に含浸焼成する工程とを含むハニカム構造体の製造方法が記載されている。
特許第5735428号公報 特開2020-204300号公報 特開2022-142543号公報
特許文献2、3で提案されているように、ハニカム構造体の隔壁及び外周壁を構成するセラミックス中の珪素中のドーパントの濃度を制御することは、ハニカム構造体の体積抵抗率を調節する上で有用である。しかしながら、従来のハニカム構造体の製造方法ではハニカム構造体におけるドーパントの均一分布性という観点では改善余地が残されている。ドーパントをハニカム構造体中で均一に分布させることは、ハニカム構造体の品質安定性の観点から望ましい。
特許文献2及び3には、ドーパントを珪素に添加することが記載されているものの、具体的な方法は記載されていない。珪素へドーパントをドープするためには、珪素を溶融した上で、ドーパントを溶解させるステップを踏む方法が考えられるが、以下のような問題がある。まず、溶融珪素の粘度高く、ドーパントを珪素中に均一に分散することが難しい。次に、珪素を溶融させるため1400℃程度に加熱する必要があり、溶融炉から不純物が混入し純度を下げることがある。更には、Siを溶融するのに、工数・コストがかかる。
また、半導体製造では、珪素中のドーパントを制御する方法としてドーピングがあり、部分溶融した珪素にガスとしてドーピングする(FZ法)や、イオン注入法によるドープ方法が知られている。しかし、これらの方法はハニカム構造体へ均一にドープする方法としては適切でなかった。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、一実施形態において、ドーパントの分布の均一性が高いハニカム構造体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、炭化珪素粉末と、金属珪素粉末と、所定の濃度に調整したドーパント源の水溶液とを含む成形原料を混練して坏土を作製する工程を経ることが、ドーパントの分布の均一性が高いハニカム構造体を得る上で有利であることが分かった。本発明は当該知見に基づき完成したものであり、以下に例示される。
[態様1]
炭化珪素粉末と、金属珪素粉末と、ドーパント源の水溶液とを含む成形原料を混錬し、坏土を作製する工程と、
前記坏土を成形し、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第一端面から第二端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有するハニカム成形体を作製する工程と、
前記ハニカム成形体を焼成し、ハニカム焼成体を作製する工程と、
を含み、
前記ドーパント源が周期表の第13族元素及び第15族元素から選択される1種又は2種以上のドーパントを含有しており、前記ドーパント源の水溶液中の少なくとも1種の前記ドーパントの原子数が前記金属珪素の体積に対する前記ドーパントの原子数で表して1×1016~5×1020個/cm3である、
ハニカム構造体の製造方法。
[態様2]
前記ドーパント源が、前記ドーパントを含有する無機塩及び前記ドーパントを含有する有機化合物から選択される1種又は2種以上を含む態様1に記載の製造方法。
[態様3]
前記ドーパント源がPを含有する態様1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
[態様4]
前記ドーパント源が、Pを含有する無機塩及びPを含有する有機化合物から選択される1種又は2種以上を含む態様1~3の何れかに記載の製造方法。
[態様5]
前記ドーパント源が、有機燐酸塩を含む態様1~4の何れかに記載の製造方法。
[態様6]
前記ドーパント源が前記ドーパントを含有する化合物を含み、当該化合物の20℃における水への溶解度が、1g/100gH2O以上である、態様1~5の何れかに記載の製造方法。
[態様7]
前記ハニカム構造体の前記隔壁における金属珪素の含有率が20質量%以上である態様1~6の何れかに記載の製造方法。
[態様8]
前記ハニカム構造体の前記隔壁における金属珪素中の少なくとも1種の前記ドーパントの平均濃度が1×1016~5×1020個/cm3である態様1~7の何れかに記載の製造方法。
[態様9]
前記ハニカム成形体を焼成する前に、前記外周壁の外表面に、前記ハニカム成形体の中心軸を挟んでセルの延びる方向に帯状に延びるように一対の電極層形成ペーストを塗布し、電極層形成ペースト付きハニカム成形体を作製する工程を更に含む態様1~8の何れかに記載のハニカム構造体の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、ドーパントの分布の均一性が高いハニカム構造体の製造方法を提供することができる。このハニカム構造体に金属端子を接合して電気加熱型担体を作製することができる。電気加熱型担体は、例えば排ガス浄化装置の触媒担体として好適に使用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体を第一端面から観察したときの模式図である。 本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体の模式的な斜視図である。
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1.電気加熱型担体)
図1は、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体100を第一端面116から観察したときの模式図である。図2は、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体100の模式的な斜視図である。
電気加熱型担体100は、ハニカム構造体110及び金属端子130を備える。電気加熱型担体100に触媒を担持することにより、電気加熱型担体100を触媒体として使用することができる。触媒としては、例えば、貴金属系触媒又はそれ以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒から選択される二種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、ハニカム構造体に触媒を担持する公知の方法を採用することができる。
(1-1.ハニカム構造体)
一実施形態において、ハニカム構造体110は、
外周壁114と、外周壁114の内側に配設され、第一端面116から第二端面118まで流路を形成する複数のセル115を区画形成する隔壁113とを有するハニカム構造部、
外周壁114の外表面に設けられ、セル115の延びる方向に帯状に延びる第一電極層112a、及び
外周壁114の外表面に設けられ、セル115の延びる方向に帯状に延びる第二電極層112bであって、ハニカム構造部の中心軸Oを挟んで第一電極層112aと対向するように設けられた第二電極層112b、
を備える。
必要のない場合、第一電極層112a及び第二電極層112bは省略してもよい。
ハニカム構造体110の外形は特に限定されず、例えば端面が円形状、オーバル形状、楕円形状、レーストラック形状及び長円形状等のラウンド形状の柱体、端面が三角形状及び四角形状等の多角形状の柱体、並びに、端面がその他の異形形状を有する柱体とすることができる。図示のハニカム構造体110は、端面形状が円形状であり、全体として円柱状である。
ハニカム構造体110の高さ(一方の端面から他方の端面までの長さ)は特に制限はなく、用途や要求性能に応じて適宜設定すればよい。ハニカム構造体110の高さと各端面の最大径(ハニカム構造体の各端面の重心を通る径のうち、最大長さを指す)の関係についても特に制限はない。従って、ハニカム構造体110の高さが各端面の最大径よりも長くてもよいし、ハニカム構造体110の高さが各端面の最大径よりも短くてもよい。
また、ハニカム構造体110の大きさは、耐熱性を高める(外周壁の周方向に入るクラックを抑制する)という理由により、一つの端面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、5000~15000mm2であることがより好ましい。
<ハニカム構造部>
ハニカム構造部を構成する外周壁114及び隔壁113は、電極層112a、112bよりも体積抵抗率は高いものの導電性を有する。外周壁114及び隔壁113の体積抵抗率は、通電してジュール熱により発熱可能である限り特に制限はなく、印加する電圧に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.001~100Ω・cmとすることができる。60Vより大きい高電圧用には2~100Ω・cmとすることができ、典型的には5~100Ω・cmとすることができる。また、48V等の60V以下の低電圧用には0.001~2Ω・cmとすることができ、典型的には0.001~1Ω・cmとすることができ、より典型的には0.01~1Ω・cmとすることができる。本明細書において、電極層、隔壁及び外周壁の体積抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
一実施形態において、外周壁114及び隔壁113は、炭化珪素-珪素複合材を含有する。耐熱性と導電性の両立の観点から、外周壁114及び隔壁113は、炭化珪素-珪素複合材を主成分とすることが好ましい。外周壁114及び隔壁113の材質が、炭化珪素-珪素複合材を主成分とするものであるというときは、外周壁114及び隔壁113がそれぞれ、炭化珪素-珪素複合材(合計質量)を全体の80質量%以上含有していることを意味する。ここで、炭化珪素-珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての金属珪素を含有するものである。外周壁114及び隔壁113は、骨材として、炭化珪素粒子の他に窒化珪素粒子及び窒化アルミニウム粒子から選択される一種又は二種を含んでもよい。他の骨材を一種又は二種以上含んでもよい。他の骨材としては、例えば、アルミナ、ムライト、ジルコニア及びコージェライト等の酸化物系セラミックスが挙げられる。
しかしながら、骨材の主成分が炭化珪素であると、熱伝導率がより高く、珪素との熱膨張係数差も小さくなるため好ましい。骨材の主成分が炭化珪素であるというときは、炭化珪素(合計質量)が、骨材の80質量%以上含有していることを意味し、より好ましくは骨材の90質量%以上含有する。
ハニカム構造体110の外周壁114及び隔壁113に含まれる金属珪素は、連続層として存在することが好ましい。このような構成によれば、低い体積抵抗率に制御しやすくなる。ここで、金属珪素が連続層として存在するとは、上記炭化珪素等の粒子をドメインとし、ケイ素をマトリックスとした、マトリックス-ドメイン構造であることを指す。
ハニカム構造体110の外周壁114及び隔壁113における金属珪素が連続層を形成する上では、外周壁114及び隔壁113における金属珪素の含有率が20質量%以上であることが好ましい。外周壁114及び隔壁113における金属珪素の含有率が20質量%以上であると、金属珪素が微構造的に直列的に配置された構造をとりやすくなる。その結果、ハニカム構造体110の体積抵抗率を効果的に下げることができ、48V等の60V以下の低電圧用としても過剰電流の発生を適切に抑制することができる。また、外周壁114及び隔壁113における金属珪素の含有率が80質量%以下であると、ハニカム構造体110の形状安定性を得ることができる。従って、ハニカム構造体110の外周壁114及び隔壁113における金属珪素の含有率は、20~80質量%であるのが好ましく、25~60質量%であるのがより好ましく、25~45質量%であるのが更により好ましい。
ハニカム構造体110の外周壁114及び隔壁113における金属珪素の含有率は、以下の方法で測定可能である。以下の方法では、セラミックス原料として、金属珪素と炭化珪素を用いた場合の算出方法について説明する。セラミックス原料として、金属珪素と炭化珪素を用いた場合には、外周壁114及び隔壁113は、金属珪素(Si)、炭化珪素(SiC)及び二酸化珪素(SiO2)で構成される。そして、外周壁114及び隔壁113におけるSi、SiC、SiO2の含有率については、蛍光X線法により珪素元素量及び酸素元素量を測定し、抵抗加熱式赤外吸収法により炭素元素量を測定することができる。SiC量については、炭素元素は全てSiCによるものとし、分子量計算により外周壁114及び隔壁113におけるSiC量を算出する。また、SiO2量については、酸素元素が全てSiO2によるものとし、分子量計算により外周壁114及び隔壁113におけるSiO2量を算出する。金属珪素を構成するSi量については、上記で算出したSiC量及びSiO2量から、SiC中のSi量と、SiO2中のSi量とを合計したSi量を全体の珪素元素量から差し引くことで算出することができる。なお、セラミックス原料として炭化珪素以外を用いた場合は、セラミックス原料に基づきハニカム構造体の組成を確認した後、蛍光X線法、抵抗加熱式赤外吸収法により元素量を測定し、同様に算出することが可能である。
ハニカム構造体110の外周壁114及び隔壁113における金属珪素はドーパントを含むことができる。金属珪素中のドーパントは、周期表の第13族元素及び第15族元素から選択される1種又は2種以上である。第13族元素及び第15族元素から選択される少なくとも1種のドーパントは、金属珪素の体積に対する当該ドーパントの原子数で表して、1×1016~5×1020個/cm3の平均濃度で金属珪素中に含まれることが好ましい。ここで、第13族元素とは、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等を指し、第15族元素とは窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等を指す。ハニカム構造体110に含まれる金属珪素中のドーパントは同族元素であれば、カウンタードーピングの影響を受けずに導電性を発現できるため、複数の種類の元素を含んでいてもよい。また、ドーパントが、B及びAlから選択される一種又は二種であるのがより好ましい。また、N及びPから選択される一種又は二種であるのも好ましい。B、Al、N及びPは、それぞれ1×1016~5×1020個/cm3という濃度範囲で金属珪素中により容易にドーパントとして含ませることができる。ケイ素と原子半径が近く、実用上物質の取り回しの簡易さの理由により、ドーパントとしては特にPが含まれることが好ましい。
ハニカム構造体110の外周壁114及び隔壁113における金属珪素中の、周期表の第13族元素及び第15族元素から選択される少なくとも1種のドーパントの平均濃度が1×1016~5×1020個/cm3である場合、48V等の60V以下の低電圧用としても過剰電流が発生しないようにハニカム構造体110の体積抵抗率を下げる上で有利である。ハニカム構造体110の外周壁114及び隔壁113における金属珪素中のドーパントの濃度は、ハニカム構造体110において所望する体積抵抗率によって適宜調整することができる。一般に、金属珪素中のドーパントの濃度が高くなるとハニカム構造体110の体積抵抗率が下がり、金属珪素中のドーパントの濃度が低くなるとハニカム構造体110の体積抵抗率が上がる。骨材として機能する炭化珪素粒子等の化合物ではなく、金属珪素(単体珪素)にドーピングすることにより、ハニカム構造体110の体積抵抗率を有効に下げることができる。ハニカム構造体110の外周壁114及び隔壁113における金属珪素中の、周期表の第13族元素及び第15族元素から選択される少なくとも1種のドーパントの平均濃度は、5×1017~5×1020個/cm3であることがより好ましい。体積抵抗率を制御し易くする観点から、ハニカム構造体110の外周壁114及び隔壁113における金属珪素中の、周期表の第13族元素及び第15族元素から選択される1種のドーパントの平均濃度が、5×1017~5×1020個/cm3であることが好ましく、前記1種のドーパント以外の周期表の第13族元素及び第15族元素に属する何れのドーパントについてもそれぞれ1×1018個/cm3以下であることが好ましい。
ハニカム構造体110の外周壁114及び隔壁113における金属珪素中の各ドーパントの平均濃度については、以下の方法によって測定可能である。外周壁については、ハニカム構造体の外周壁から、一つ当たり10gの外周壁サンプルを偏りがないように合計5個採取し、それぞれについて金属珪素中のドーパントの濃度を下記の手順で測定し、平均値を求める。隔壁については、ハニカム構造体の高さ方向及び径方向の中央付近から、一つ当たり10gの隔壁サンプルを、合計5個採取し、それぞれについて金属珪素中のドーパントの濃度を下記の手順で測定し、平均値を求める。
外周壁又は隔壁における金属珪素(Si)中のドーパント測定方法は以下の通りである。JIS G 1322-3:2010「金属けい素分析方法」に規定されている珪素分離ICP発光分光法に従い、外周壁又は隔壁サンプルを硝酸及びふっ化水素酸で分解し、過塩素酸を加え、加熱して過塩素酸の白煙を発生させ、珪素を四ふっ化珪素として揮散させて分離した後、塩類を水で溶解する。次いで、溶液に含まれる各ドーパント量をICP発光分光分析法にて測定し、Si中の濃度を算出する。
ハニカム構造体110に含まれる金属珪素はAl及びFeである不純物を含んでもよい。このとき、ハニカム構造体110に含まれる金属珪素における、不純物であるAl及びFeの含有率が、金属珪素に対して、それぞれ2質量%以下であるのが好ましい。ハニカム構造体110に含まれる金属珪素における、不純物であるAl及びFeの含有率が、金属珪素に対して、それぞれ2質量%以下であると、製造時のハニカム構造体110の形状のバラツキを良好に抑制することができる。ハニカム構造体110に含まれる金属珪素における、不純物であるAl及びFeの含有率は、1質量%以下であるのがより好ましく、0.1質量%以下であるのが更により好ましい。
なお、本発明の実施形態において、ハニカム構造体110に含まれる金属珪素が不純物を含むとき、当該不純物は、金属珪素に付着する形態で存在している。これに対し、本発明の実施形態において、ハニカム構造体110に含まれる金属珪素がドーパントを含むとき、当該ドーパントは、金属珪素粒子中に溶け込んで存在していると思われるが、本明細書のドーパント濃度の測定方法によって測定される値は、ドーパントの溶け込みの有無は考慮しない値である。
ハニカム構造部に外周壁114を設けることは、ハニカム構造部の構造強度を確保し、また、セル115を流れる流体が外周壁114から漏洩するのを抑制する観点で有用である。この点で、外周壁114の厚みは好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.15mm以上であり、更により好ましくは0.2mm以上である。但し、外周壁114を厚くしすぎると高強度になりすぎてしまい、隔壁113との強度バランスが崩れて耐熱衝撃性が低下することから、外周壁114の厚みは好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.5mm以下である。ここで、外周壁114の厚みは、厚みを測定しようとする外周壁114の箇所をセル115の延びる方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における外周壁114の外表面の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
好ましい。
セル115を区画形成する隔壁113の厚みは、0.1~0.3mmであることが好ましく、0.1~0.2mmであることがより好ましい。隔壁113の厚みが0.1mm以上であることで、ハニカム構造部の強度が低下するのを抑制可能である。隔壁113の厚みが0.3mm以下であることで、ハニカム構造部を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなるのを抑制できる。本発明において、隔壁113の厚みは、セル115の延びる方向に垂直な断面において、隣接するセル115の重心同士を結ぶ線分のうち、隔壁113を通過する部分の長さとして定義される。
隔壁113はSi含浸SiCの形態等のように緻密質でもよいが、多孔質とすることが好ましい。隔壁113の気孔率は、35~60%であることが好ましく、35~45%であることがより好ましい。気孔率が35%以上であると、EHCの発熱速度を速めることができる。気孔率が60%以下であるとハニカム構造部の強度が十分に維持される。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。なお、緻密質というのは気孔率が5%以下のことを指す。
ハニカム構造部は、セル115の延びる方向に垂直な断面において、セル密度が40~150セル/cm2であることが好ましく、70~100セル/cm2であることがより好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、ハニカム構造部に排ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cm2以上であると、触媒担持面積が十分に確保される。セル密度が150セル/cm2以下であるとハニカム構造体110を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなりすぎることが抑制される。セル密度は、外周壁114よりも内周側のハニカム構造部の一つの端面の面積でセル数を除して得られる値である。
セル115の延びる方向に垂直な断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これ等のなかでも、四角形及び六角形が好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造体110に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。構造強度及び加熱均一性を両立させやすいという観点からは、六角形が特に好ましい。
セル115は第一端面116から第二端面118まで貫通していてもよい。その際、セル115は、第一端面116及び第二端面118の両方が開口していてもよい。また、第一端面116が目封止されており第二端面118が開口を有する第1セルと、第一端面116が開口を有し第二端面118が目封止されている第2セルとが隔壁113を挟んで交互に隣接配置されていてもよい。
<電極層>
外周壁114の外表面には、第一電極層112a及びこれにハニカム構造部の中心軸Oを挟んで対向する第二電極層112bを設けることができる。外周壁114よりも体積抵抗率の低い電極層112a、112bが配設されることで、電流がハニカム構造体110の周方向及びセル115の延びる方向に広がりやすくなるので、ハニカム構造体110の均一発熱性を高めることが可能となる。図1を参照すると、セル115の延びる方向に垂直な断面において、一対の電極層112a、112bのそれぞれの周方向中心からハニカム構造体110の中心軸O(重心)まで延ばした二つの線分のなす角度θ(0°≦θ≦180°)は、150°≦θ≦180°であることが好ましく、160°≦θ≦180°であることがより好ましく、170°≦θ≦180°であることが更により好ましく、180°であることが最も好ましい。
一対の電極層112a、112bの形成領域に特段の制約はないが、ハニカム構造体110の均一発熱性を高めるという観点からは、一対の電極層112a、112bはそれぞれ、外周壁114の外表面上でハニカム構造体110の周方向及びセル115の延びる方向に帯状に延設されていることが好ましい。具体的には、セル115の延びる方向に垂直な断面において、各電極層112a、112bの周方向の両側端と中心軸O(重心)とを結ぶ2本の線分が作る中心角αは、電流を周方向に広げて均一発熱性を高めるという観点から、30°以上であることが好ましく、40°以上であることがより好ましく、60°以上であることが更により好ましい(図1参照)。但し、中心角αを大きくし過ぎると、ハニカム構造体110の内部を通過する電流が少なくなり、外周壁114付近を通過する電流が多くなる。そこで、当該中心角αは、ハニカム構造体110の均一発熱性の観点から、140°以下であることが好ましく、130°以下であることがより好ましく、120°以下であることが更により好ましい。また、電極層112a、112bはそれぞれ、ハニカム構造体110の両端面間の長さの80%以上の長さに亘って、好ましくは90%以上の長さに亘って、より好ましくは全長に亘って延びていることが望ましい。電極層112a、112bは単層で構成されていてもよく、複数層が積層された積層構造を有することもできる。
電極層112a、112bの厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることがより好ましい。このような範囲とすることにより均一発熱性を高めることができる。電極層112a、112bの厚みが0.01mm以上であると、電気抵抗が適切に制御され、より均一に発熱することができる。電極層112a、112bの厚みが5mm以下であると、キャニング時に破損する恐れが低減される。電極層112a、112bの厚みは、厚みを測定しようとする電極層112a、112bの箇所をセル115の延びる方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における電極層112a、112bの外表面の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
電極層112a、112bの体積抵抗率を隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率より低くすることにより、電極層112a、112bに優先的に電気が流れやすくなり、通電時に電気がハニカム構造体110の周方向及びセル115の延びる方向に広がりやすくなる。電極層112a、112bの体積抵抗率は、隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率の1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましく、1/30以下であることが更により好ましい。但し、両者の体積抵抗率の差が大きくなりすぎると対向する電極層112a、112bの端部間に電流が集中してハニカム構造体110の発熱が偏ることから、電極層112a、112bの体積抵抗率は、隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率の1/200以上であることが好ましく、1/150以上であることがより好ましく、1/100以上であることが更により好ましい。先述した通り、本明細書において、電極層、隔壁及び外周壁の体積抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
電極層112a、112bの材質は、限定的ではないが、金属とセラミックス(とりわけ導電性セラミックス)との複合材(サーメット)を使用することができる。金属としては、例えばCr、Fe、Co、Ni、Si又はTiの単体金属又はこれらの金属から選択される少なくとも一種の金属を含有する合金が挙げられる。セラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)の他、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられる。金属とセラミックスとの複合材(サーメット)の具体例としては、金属珪素と炭化珪素の複合材、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材、更には上記の一種又は二種以上の金属に熱膨張低減の観点から、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素及び窒化アルミ等の絶縁性セラミックスを一種又は二種以上添加した複合材が挙げられる。電極層112a、112bの材質としては、上記の各種金属及びセラミックスの中でも、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材とすることが、隔壁及び外周壁と同時に焼成できるので製造工程の簡素化に資するという理由により好ましい。
(1-2.金属端子)
金属端子130は、一対の電極層112a、112bのそれぞれの外表面に直接又は間接的に接合することができる。金属端子130を介してハニカム構造体110に電圧を印加すると通電してジュール熱によりハニカム構造体110を発熱させることが可能である。このため、ハニカム構造体110はヒーターとしても好適に用いることができる。これにより、ハニカム構造体110の均一発熱性を向上させることが可能となる。印加する電圧は12~900Vが好ましく、48~600Vがより好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
金属端子130と電極層112a、112bは直接接合してもよいが、電極層112a、112bと金属端子130の間の熱膨張差を緩和して金属端子130の接合信頼性を向上する目的で、一層又は二層以上の下地層120を介して接合してもよい。従って、好ましい実施形態において、ハニカム構造体110は外周壁114上に、ハニカム構造体110の中心軸O(重心)を挟んで対向するように配設された第一電極層112a及び第二電極層112bを有しており、各電極層112a、112bには下地層120を介して、一つ又は複数の金属端子130が接合される。
熱膨張率は金属端子130→(下地層120)→電極層112a、112b→外周壁114の順に段階的に小さくすることが、接合信頼性を向上する観点で好ましい。なお、ここでの「熱膨張率」は、25℃から800℃まで変化させたときのJIS R1618:2002に従って測定される線膨張係数を意味する。
金属端子130の材質としては、金属であれば特段の制約はなく、単体金属及び合金等を採用することもできるが、耐食性、体積抵抗率及び線膨張率の観点から例えば、Cr、Fe、Co、Ni及びTiよりなる群から選択される少なくとも一種を含む合金とすることが好ましく、ステンレス鋼及びFe-Ni合金がより好ましい。金属端子130の数、形状及び大きさは、特に限定されず、ハニカム構造体110の大きさや通電性能等に応じて、適宜設計することができる。
下地層120の材質は、限定的ではないが、金属とセラミックス(とりわけ導電性セラミックス)との複合材(サーメット)を使用することができる。下地層120の熱膨張率は、例えば、金属とセラミックスの配合比を調整することで制御可能である。
下地層120は、限定的ではないが、Ni基合金、Fe基合金、Ti基合金、Co基合金、金属珪素、及びCrから選択される一種又は二種以上の金属を含有することが好ましい。
下地層120は、限定的ではないが、アルミナ、ムライト、ジルコニア、ガラス及びコージェライト等の酸化物系セラミックス、並びに、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックスから選択される一種又は二種以上のセラミックスを含有することが好ましい。
下地層120の厚みは、特に制限はないが、クラック抑制の観点からは0.1~1.5mmであることが好ましく、0.3~0.5mmであることがより好ましい。下地層120の厚みは、厚みを測定しようとする下地層120をセルの延びる方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における下地層120の外表面の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
金属端子130と電極層112a、112b又は下地層120の接合方法には、特に制限はないが、例えば、溶射、溶接及びロウ付が挙げられる。
(2.製造方法)
次に、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体を製造する方法について説明する。ハニカム構造体は、坏土を作製する工程1と、坏土を成形してハニカム成形体を得る工程2と、外周壁の外表面に、前記ハニカム成形体の中心軸を挟んでセルの延びる方向に帯状に延びるように一対の電極層形成ペーストを塗布し、電極層形成ペースト付きハニカム成形体を作製する工程3と、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製する工程4とを含む製造方法により製造可能である。電極層が不要な場合は工程3を省略してもよい。
(工程1)
工程1では、炭化珪素粉末と、金属珪素粉末と、ドーパント源の水溶液とを含む成形原料を混錬し、坏土を作製する。ドーパント源は、ドーパントとなる元素を含有する物質であればよく、単体及び化合物が含まれるが、単体は水への溶解度が小さいので化合物として提供されることが好ましい。好適なドーパントの種類は先述した通りである。ドーパント源が水溶液の形態で提供されることにより、ドーパント源を炭化珪素粉末及び金属珪素粉末と共に混錬する際に、ドーパント源が炭化珪素粉末及び金属珪素粉末と高い均一性で分散する。ドーパント源中のドーパントは、主に金属珪素中に溶け込むが、一部のドーパントが炭化珪素中に溶け込まれてもよい。
工程1では、成形原料を混練して坏土を作製する。混練手段としては、任意の適切な装置・機構が採用され得る。具体例としては、ニーダー、真空土練機が挙げられる。
当該水溶液中のドーパント原子数を調整することでハニカム構造体の外周壁及び隔壁における金属珪素中のドーパントの濃度を制御可能である。ドーパント原子数の調整幅を大きくする観点からは、ドーパント源は、ドーパントを含有する水溶性化合物として提供されることが好ましい。この際、ドーパントを含有する水溶性化合物の20℃における水への溶解度は、1g/100gH2O以上であることが好ましく、5g/100gH2O以上であることがより好ましく、10g/100gH2O以上であることが更により好ましい。当該溶解度に上限は特に設定されないが、入手容易性の観点から、一般的には50g/100gH2O以下であり、典型的には30g/100gH2O以下である。従って、ドーパントを含有する水溶性化合物の20℃における水への溶解度は、例えば、1~50g/100gH2Oであることが好ましく、5~30g/100gH2Oであることがより好ましい。本明細書において、ドーパントを含有する水溶性化合物の20℃における水への溶解度は、メスフラスコに貯めた100mL水(20℃)に、水溶性化合物を種々の濃度で添加・撹拌(回転数500rpm、20分間)し、溶け残った固形分の有無を確認することを繰り返すことによって、飽和溶液における水溶性化合物の濃度を求め、測定する。
ドーパント源の水溶液の量は、目的とする成形原料又はハニカム構造体中のドーパント濃度に応じて適宜設定すればよいが、例えば、ドーパント源の水溶液中の少なくとも1種のドーパント原子数が、金属珪素の体積に対するドーパントの原子数で表して、1×1016~5×1020個/cm3となるように設定されることが好ましく、5×1017~5×1020個/cm3となるように設定されることがより好ましい。金属珪素の体積は、金属珪素粉末の質量から金属珪素の密度(2.3290g/cm3)に基づいて算出する。例えば、Pをドーパントとしたとき、成形原料又はハニカム構造体中のドーパント濃度が、金属珪素の体積に対するドーパントの原子数で表して、1×1016個/cm3が目標である場合、ドーパント源の水溶液中のドーパント原子数は以下の計算式に従って設定可能である。なお、水溶液中のドーパントは実質的にすべてを金属珪素中に取り込むことが可能である。
(a)添加するドーパント数(P原子数)の算出
1×1016個/cm3×金属珪素の体積V(cm3)=V×1016(個)
(b)添加するドーパントの質量(P質量)算出
V×1016個÷6.02×1023/mol(アボガドロ定数)×30.97g/mol(P原子量)=5.14×10-7×V(g)
ドーパントを含有する水溶性化合物としては、無機塩及び有機化合物から選択される1種又は2種以上を好適に用いることができる。
ドーパントがPである場合、Pを含有する水溶性無機塩としては、十酸化四リン、リン酸、リン酸アンモニウムなどが挙げられる。Pを含有する水溶性有機化合物としては、ホスフィンオキシド、ホスフィンアルケン、ホスフィンアルキン、ホスホン酸エステル、リン酸エステルの他、ホスホン酸エステル塩、リン酸エステル塩などの有機燐酸塩が挙げられる。
ドーパントがNである場合、Nを含有する水溶性無機塩としては、五酸化二窒素、アンモニア水、硝酸などが挙げられる。
ドーパントがBである場合、Bを含有する水溶性無機塩としては、ホウ酸などが挙げられる。Bを含有する水溶性有機化合物としては、メチルボロン酸、ボロン酸エステルなどが挙げられる。
ドーパントがAlである場合、Alを含有する水溶性無機塩としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが挙げられる。
成形原料中の金属珪素粉末の質量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~80質量部であるのが好ましく、25~60質量部であるのがより好ましく、25~45質量部であるのが更により好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3~50μmが好ましく、3~40μmがより好ましい。金属珪素粉末における金属珪素粒子の平均粒子径は、2~35μmが好ましく、2~25μmがより好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。
成形原料は、ドーパント源の水溶液以外から水分が添加されてもよいが、成形原料中の水の合計含有量(ドーパント源の水溶液中の水及び存在する場合はその他の水分を含む)は、ドーパント源を均一に分散させるという理由により、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることがより好ましい。また、成形原料中の水の合計含有量(ドーパント源の水溶液中の水及び存在する場合はその他の水分を含む)は、ハニカム構造体の形状を保たせる理由により、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、60質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましい。従って、成形原料中の水の合計含有量(ドーパント源の水溶液中の水及び存在する場合はその他の水分を含む)は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、例えば、20~60質量部であることが好ましく、25~50質量部であることがより好ましい。
成形原料は、炭化珪素粉末、金属珪素粉末、及びドーパント源の水溶液以外にも、バインダ、界面活性剤、造孔材を含有することができる。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0~10.0質量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10~30μmであることが好ましい。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径のことである。
(工程2)
工程2では、工程1で作製した坏土を成形してハニカム成形体を得る。具体的には、坏土を押出成形して、外周壁及び隔壁を有する柱状のハニカム成形体を作製する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。次に、得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、ハニカム成形体の両端部を切断して所望の長さとすることができる。乾燥後のハニカム成形体をハニカム乾燥体と呼ぶ。
工程1の変形例として、ハニカム成形体を一旦焼成してもよい。すなわち、この変形例では、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製し、当該ハニカム焼成体に対して工程3を実施する。
(工程3)
工程3は、ハニカム成形体の外周壁の外表面に、ハニカム成形体の中心軸を挟んでセルの延びる方向に帯状に延びるように一対の電極層形成ペーストを塗布し、電極層形成ペースト付きハニカム成形体を作製する工程である。電極層形成ペーストは、電極層の要求特性に応じて配合した原料粉(金属粉末、及び、セラミックス粉末等)に各種添加剤を適宜添加して混練することで形成することができる。原料粉の平均粒子径は、限定的ではないが、例えば、5~50μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましい。原料粉の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
次に、得られた電極層形成ペーストを、ハニカム成形体(典型的にはハニカム乾燥体)の外周壁の外表面の所要箇所に塗布し、電極層形成ペースト付きハニカム成形体を得る。電極層形成ペーストを調合する方法、及び電極層形成ペーストをハニカム成形体に塗布する方法については、公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができるが、電極層を外周壁及び隔壁に比べて低い体積抵抗率にするために、外周壁及び隔壁よりも金属の含有比率を高めたり、原料粉中の金属粒子の粒径を小さくしたりすることができる。塗布後、電極層形成ペーストを乾燥させることが好ましい。
(工程4)
工程4は、電極層付きハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体、すなわち目的とするハニカム構造体を得る工程である。焼成前に、バインダ等を除去するため、脱脂を行ってもよい。脱脂及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件としては、ハニカム構造体の材質にもよるが、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。
このようにして得られたハニカム構造体の電極層に金属端子を接合することで、電気加熱型担体を製造可能である。接合方法としては、特に制限はないが、例えば、溶射、溶接及びロウ付が挙げられる。電極層と金属端子との接合性を向上させる点から、溶射等の方法により下地層を形成してもよい。
電気加熱型担体には用途に応じて適切な触媒を担持してもよい。ハニカム構造体に触媒を担持させる方法としては、例示的には、触媒スラリーを、従来公知の吸引法等によりセル内に導入し、隔壁の表面や細孔に付着させた後、高温処理を施して、触媒スラリーに含まれる触媒を隔壁に焼き付けて、担持する方法が挙げられる。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<試験番号1>
(1.円柱状の坏土の作製)
30gのリン酸エステル塩を、30kgの純水に添加し、20分間撹拌して、ドーパント源の水溶液を得た。リン酸エステル塩の20℃における水への溶解度を先述した方法で測定したところ、8.4g/100gH2Oであった。
また、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを75:25の質量割合で混合してセラミックス原料を調製した。このセラミックス原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、上記ドーパント源の水溶液を添加して成形原料とした。次いで、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。
成形原料において、バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに8質量部とした。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部とした。ドーパント源の水溶液の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに30質量部とした。これにより、成形原料において、ドーパントであるPの原子濃度は、金属珪素(1cm3)に対して2.9×1018個/cm3に調整された。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は20μmであった。炭化珪素粉末、金属珪素粉末及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
(2.ハニカム乾燥体の作製)
得られた円柱状の坏土を所定の口金構造を有する押出成形機を用いて成形し、セルの延びる方向に垂直な断面における各セル形状が六角形である円柱状のハニカム成形体を得た。このハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間、大気雰囲気下で乾燥し、両端面を所定量切断して、ハニカム乾燥体を作製した。
(3.焼成)
得られたハニカム乾燥体を、550℃で3時間、大気雰囲気下で脱脂した。次に、脱脂したハニカム乾燥体を1450℃で0.5時間、Ar雰囲気下で焼成した。最後に、ハニカム構造体を950℃で50時間、水蒸気雰囲気下で加熱処理し、円柱状のハニカム構造体を得た。ハニカム構造体は以下の試験に必要な数を製造した。
(4.ハニカム構造体の仕様)
上記で得られたハニカム構造体は端面が直径80mmの円形であり、高さ(セルの延びる方向における長さ)が80mmであり、隔壁の厚みは0.125mmであり、外周壁の厚みは0.5mmであり、セル密度は90セル/cm2であり、隔壁の気孔率は38%であった。
(5.金属珪素の含有率)
上記で得られたハニカム構造体について、前記隔壁及び前記外周壁における金属珪素の含有率を先述した方法に従って測定したところ、共に30重量%であった。
(6.金属珪素中のドーパントの濃度)
上記で得られたハニカム構造体の高さ方向及び径方向の中央付近から、一つ当たり10gの隔壁サンプルを、合計5個採取し、それぞれについて金属珪素中のドーパント(P)の濃度を先述した方法に準じて測定し、平均値を求めた。また、上記で得られたハニカム構造体の外周壁から、一つ当たり10gの外周壁サンプルを偏りがないように合計5個採取し、それぞれについて金属珪素中のドーパント(P)の濃度を先述した方法に準じて測定し、平均値を求めた。ICP(高周波誘導結合プラズマ)分析装置としては、日立ハイテク社製の型式PS3510DDを使用した。その結果、共に2.8×1018個/cm3であった。
(7.金属珪素中のドーパントの濃度分布測定)
ドーパント(P)の平均濃度を求めた5個の隔壁サンプルの金属珪素中のドーパント(P)の濃度に基づき標準偏差を求めたところ、標準偏差は7.0×1016個/cm3(平均値に対しσ=2.5%)であった。
(8.体積抵抗率測定)
上記で得られたハニカム構造体から、一つ当たり5mm×5mm×50mm(セルの延びる方向の長さ)の大きさの隔壁サンプルを合計5個採取し、それぞれについて四端子法により25℃での体積抵抗率を測定した。隔壁サンプルの採取箇所は、ハニカム構造体の中央付近とした。その結果、平均値は61Ω・cmであり、標準偏差は1.9Ω・cm(平均値に対しσ=3.1%)であった。
<試験番号2(比較例)>
(1.円柱状の坏土の作製)
炭化珪素(SiC)粉末とPをドープした金属珪素(Si)粉末とを65:35の質量割合で混合してセラミックス原料を調製した。Pをドープした金属珪素(Si)粉末は、溶融炉でSiを溶解させた後、リン鉱石(3Ca3(PO42・CaF2)を溶解炉に添加しPをドープする方法で調製した。当該方法によって、ドーパントであるPの濃度は、金属珪素(1cm3)に対して3.0×1018個/cm3に調整された。
このセラミックス原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、純水を添加して成形原料とした。次いで、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。
成形原料において、バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部とした。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部とした。純水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに30質量部とした。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は20μmであった。炭化珪素粉末、金属珪素粉末及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
(2.ハニカム構造体の作製)
得られた円柱状の坏土を用いて、試験番号1と同じ方法に従って下記の試験に必要な数のハニカム構造体を得た。
(3.ハニカム構造体の仕様)
上記で得られたハニカム構造体は端面が直径80mmの円形であり、高さ(セルの延びる方向における長さ)が80mmであり、隔壁の厚みは125mmであり、外周壁の厚みは0.5mmであり、セル密度は90セル/cm2であり、隔壁の気孔率は38%であった。
(4.金属珪素の含有率)
上記で得られたハニカム構造体について、前記隔壁及び前記外周壁における金属珪素の含有率を先述した方法に従って測定したところ、共に30重量%であった。
(5.金属珪素中のドーパントの濃度)
上記で得られたハニカム構造体について、前記隔壁及び前記外周壁における金属珪素中のドーパント(P)の平均濃度を先述した方法に従って測定したところ、共に2.6×1018個/cm3であった。
(6.金属珪素中のドーパントの濃度分布測定)
試験番号1と同様に、ドーパント(P)の平均濃度を求めた5個の隔壁サンプルの金属珪素中のドーパント(P)の濃度に基づき標準偏差を求めたところ、3.5×1017個/cm3(平均値に対しσ=14%)であった。
(7.体積抵抗率測定)
試験番号1と同様に、合計5個の隔壁サンプルをハニカム構造体の中央付近から採取し、四端子法により25℃での体積抵抗率を測定した。その結果、平均値は74Ω・cmであり、標準偏差は11Ω・cm(平均値に対しσ=15%)であった。
100 :電気加熱型担体
110 :ハニカム構造体
112a :第一電極層
112b :第二電極層
113 :隔壁
114 :外周壁
115 :セル
116 :第一端面
118 :第二端面
120 :下地層
130 :金属端子

Claims (9)

  1. 炭化珪素粉末と、金属珪素粉末と、ドーパント源の水溶液とを含む成形原料を混錬し、坏土を作製する工程と、
    前記坏土を成形し、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第一端面から第二端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁とを有するハニカム成形体を作製する工程と、
    前記ハニカム成形体を焼成し、ハニカム焼成体を作製する工程と、
    を含み、
    前記ドーパント源が周期表の第13族元素及び第15族元素から選択される1種又は2種以上のドーパントを含有しており、前記ドーパント源の水溶液中の少なくとも1種の前記ドーパントの原子数が前記金属珪素の体積に対する前記ドーパントの原子数で表して1×1016~5×1020個/cm3である、
    ハニカム構造体の製造方法。
  2. 前記ドーパント源が、前記ドーパントを含有する無機塩及び前記ドーパントを含有する有機化合物から選択される1種又は2種以上を含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ドーパント源がPを含有する請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
  4. 前記ドーパント源が、Pを含有する無機塩及びPを含有する有機化合物から選択される1種又は2種以上を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 前記ドーパント源が、有機燐酸塩を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
  6. 前記ドーパント源が前記ドーパントを含有する化合物を含み、当該化合物の20℃における水への溶解度が、1g/100gH2O以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  7. 前記ハニカム構造体の前記隔壁における金属珪素の含有率が20質量%以上である請求項1又は2に記載の製造方法。
  8. 前記ハニカム構造体の前記隔壁における金属珪素中の少なくとも1種の前記ドーパントの平均濃度が1×1016~5×1020個/cm3である請求項1又は2に記載の製造方法。
  9. 前記ハニカム成形体を焼成する前に、前記外周壁の外表面に、前記ハニカム成形体の中心軸を挟んでセルの延びる方向に帯状に延びるように一対の電極層形成ペーストを塗布し、電極層形成ペースト付きハニカム成形体を作製する工程を更に含む請求項1又は2に記載のハニカム構造体の製造方法。
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