JP2022148732A - ハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置 - Google Patents

ハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置を提供する。【解決手段】外周壁と、外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製のハニカム構造部を備え、第1端面に、複数のスリットが設けられており、複数のスリットの少なくとも一部が交差している、ハニカム構造体。【選択図】図7

Description

本発明は、ハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置に関する。
近年、エンジン始動直後の排気ガス浄化性能の低下を改善するため、電気加熱触媒(EHC)が提案されている。EHCは、例えば、導電性セラミックスからなる柱状のハニカム構造体に金属電極を接続し、通電によりハニカム構造体自体を発熱させることで、エンジン始動前に触媒の活性温度まで昇温できるようにしたものである。
EHCは、ハニカム構造体の通電経路を遮断しないため、また、ハニカム構造体の脱落を防ぐために、排気ガス温度の変化に対してクラックが発生し難い、良好な耐熱衝撃性を備える構造を有することが好ましい。
特許文献1には、ハニカム構造体の外周部と電極部にスリットを設けることにより、耐熱衝撃性を向上させる技術が開示されている。
特許第6126434号公報
本発明者の検討の結果、特許文献1に記載のスリットを設けたEHCは、耐熱衝撃性の点でさらなる改善の余地があることが分かった。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の本発明によって解決されるものであり、本発明は以下のように特定される。
(1)外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製のハニカム構造部を備え、
前記第1端面に、複数のスリットが設けられており、前記複数のスリットの少なくとも一部が交差している、ハニカム構造体。
(2)前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで、前記外周壁の外面上において、前記セルの延伸方向に帯状に延びるように設けられた一対の電極部を更に備えた、(1)に記載のハニカム構造体。
(3)(2)に記載のハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の前記電極部に電気的に接続された金属電極と、
を備えた電気加熱式担体。
(4)(3)に記載の電気加熱式担体と、
前記電気加熱式担体を保持するための金属製の筒状部材と、
を有する排気ガス浄化装置。
本発明によれば、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の外観模式図である。 本発明の実施形態に係るハニカム構造体の第1端面の模式図である。 (A)~(H)は、第1端面における複数のスリット21の形状の具体例を示す模式図である。 ハニカム構造体の第1端面の中央領域と外周領域を説明するための模式図である。 (A)~(C)は、ハニカム構造体の第1端面に設けられたスリットの深さ方向の種々の形態の具体例を示す模式図である。 (A)は、ハニカム構造体の第1端面のスリットの形状を示す模式図である。(B)は、(A)のハニカム構造体を半円筒状に分割した様子を示す斜視図である。 (A)及び(B)は、それぞれハニカム構造体を半円筒状に分割した様子を示す斜視図である。 (A)は、ハニカム構造体の第1端面のスリットの形状を示す模式図である。(B)は、(A)のハニカム構造体を半円筒状に分割した様子を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る電気加熱式担体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
本発明者らは、従来のハニカム構造体の耐熱衝撃性に関して、これまで認識していなかった新たな課題があることを見出した。特許文献1では、電極部スリットの深さをハニカム構造体スリットの深さよりも深くすることで、電極部付近のクラックが発生することを抑制している。しかしながら、車両の使用条件により、電極部付近ではなく、ハニカム構造体の端面にクラックが発生することが明らかとなった。具体的には、高温となっているハニカム構造体に対して、冷たいガスが勢い良く流れ込んでくるような車両の使用条件においては、ハニカム構造体に大きな熱膨張差が生まれる。この大きな熱膨張差によって、ハニカム構造体の端面にクラックが発生し、この端面に発生するクラックがEHCの通電性能の低下や故障を早める要因となることが分かった。また、この端面に発生するクラックは、クラックが伸展してしまうため、ハニカム構造体を分断し、脱落させる可能性がある。本発明は、このような端面のクラックの発生を抑制し、耐熱衝撃性をさらに向上させるものである。
<1.ハニカム構造体>
図1は、本発明の実施形態におけるハニカム構造体10の外観模式図である。ハニカム構造体10は、ハニカム構造部11と、電極部13a、13bとを備えている。なお、電極部13a、13bは設けなくてもよい。
(1-1.ハニカム構造部)
ハニカム構造部11は、外周壁12と、外周壁12の内側に配設され、第1端面15から第2端面16まで延びる流路を形成する複数のセル18を区画形成する隔壁19とを有する。
ハニカム構造部11の外形は柱状である限り特に限定されず、例えば、端面が円形の柱状(円柱形状)、端面がオーバル形状の柱状、端面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造部11の大きさは、耐熱性を高める(外周壁の周方向に入るクラックを抑制する)という理由により、端面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、5000~15000mm2であることが更に好ましい。
ハニカム構造部11の材質としては、限定的ではないが、アルミナ、ムライト、ジルコニア及びコージェライト等の酸化物系セラミックス、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックスからなる群から選択することができる。また、炭化珪素-金属珪素複合材や炭化珪素/グラファイト複合材等を用いることもできる。これらの中でも、耐熱性と導電性の両立の観点から、ハニカム構造部11の材質は、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とするセラミックスを含有していることが好ましい。ハニカム構造部11の材質が、珪素-炭化珪素複合材を主成分とするものであるというときは、ハニカム構造部11が、珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。ハニカム構造部11の材質が、炭化珪素を主成分とするものであるというときは、ハニカム構造部11が、炭化珪素(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
ハニカム構造部11が、珪素-炭化珪素複合材を含んでいる場合、ハニカム構造部11に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、ハニカム構造部11に含有される「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、ハニカム構造部11に含有される「結合材としての珪素の質量」の比率が、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。
セル18の延伸方向に垂直な断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これらのなかでも、構造強度及び加熱均一性を両立させやすいという観点から、四角形及び六角形が好ましい。
セル18を区画形成する隔壁19の厚みは、0.1~0.3mmであることが好ましく、0.15~0.25mmであることがより好ましい。本発明において、隔壁19の厚みは、セル18の延伸方向に垂直な断面において、隣接するセル18の重心同士を結ぶ線分のうち、隔壁19を通過する部分の長さとして定義される。
ハニカム構造部11は、セル18の流路方向に垂直な断面において、セル密度が40~150セル/cm2であることが好ましく、70~100セル/cm2であることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排気ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度は、外周壁12部分を除くハニカム構造部11の一つの底面部分の面積でセル数を除して得られる値である。
ハニカム構造部11の外周壁12を設けることは、ハニカム構造部11の構造強度を確保し、また、セル18を流れる流体が外周壁12から漏洩するのを抑制する観点で有用である。具体的には、外周壁12の厚みは好ましくは0.05mm以上であり、より好ましくは0.1mm以上、更により好ましくは0.15mm以上である。但し、外周壁12を厚くしすぎると高強度になりすぎてしまい、隔壁19との強度バランスが崩れて耐熱衝撃性が低下すること、および外周壁12の厚みを大きくしすぎると、熱容量が増加し、外周壁12の外周側と内周側の間で温度差が大きくなり、耐熱衝撃性が低下することから、外周壁12の厚みは好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.5mm以下である。ここで、外周壁12の厚みは、厚みを測定しようとする外周壁12の箇所をセルの延伸方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における外周壁12の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
ハニカム構造部11の隔壁19の平均細孔径は、2~15μmであることが好ましく、4~8μmであることが更に好ましい。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
隔壁19は多孔質としてもよい。多孔質とする場合、隔壁19の気孔率は、35~60%であることが好ましく、35~45%であることが更に好ましい。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
(1-2.電極部)
ハニカム構造部11の中心軸を挟んで、外周壁12の外面上において、セル18の延伸方向に帯状に延びるように、一対の電極部13a、13bが設けられている。一対の電極部13a、13bがこのように設けられていることで、ハニカム構造体10の均一発熱性を高めることができる。電極部13a、13bは、ハニカム構造体10の両端面間の80%以上の長さに亘って、好ましくは90%以上の長さに亘って、より好ましくは全長に亘って延びていることが、電極部13a、13bの軸方向へ電流が広がりやすいという観点から望ましい。
電極部13a、13bの厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより均一発熱性を高めることができる。電極部13a、13bの厚みは、厚みを測定しようとする箇所をセル18の延伸方向に垂直な断面で観察したときに、電極部13a、13bの外面の当該測定箇所における接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
電極部13a、13bの電気抵抗率をハニカム構造部11の電気抵抗率より低くすることにより、電極部13a、13bに優先的に電気が流れやすくなり、通電時に電気がセル18の流路方向及び周方向に広がりやすくなる。電極部13a、13bの電気抵抗率は、ハニカム構造部11の電気抵抗率の1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましく、1/30以下であることが更により好ましい。但し、両者の電気抵抗率の差が大きくなりすぎると、対向する電極部の端部間に電流が集中してハニカム構造部11の発熱が偏ることから、電極部13a、13bの電気抵抗率は、ハニカム構造部11の電気抵抗率の1/200以上であることが好ましく、1/150以上であることがより好ましく、1/100以上であることが更により好ましい。本発明において、電極部13a、13bの電気抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
電極部13a、13bの材質は、導電性セラミックス、金属、又は金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)を使用することができる。金属としては、例えばCr、Fe、Co、Ni、Si又はTiの単体金属又はこれらの金属よりなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有する合金が挙げられる。導電性セラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)が挙げられ、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられる。金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)の具体例としては、金属珪素と炭化珪素の複合材、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材、更には上記の一種又は二種以上の金属に熱膨張低減の観点から、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素及び窒化アルミ等の絶縁性セラミックスを一種又は二種以上添加した複合材が挙げられる。
(1-3.スリット)
ハニカム構造体10の第1端面15には複数のスリット21が設けられており、複数のスリットの少なくとも一部が交差している。このように、ハニカム構造体10の第1端面15に少なくとも一部が交差する複数のスリットを設けることにより、第1端面15に冷たいガスが勢い良く流れ込んで来ても、複数の交差するスリットによって端面の複数方向に応力緩和が機能するため、ハニカム構造体10内の熱膨張差の発生による端面のクラックの発生を良好に抑制することができる。
上述の高温となっているハニカム構造体に対して、冷たいガスが勢い良く流れ込んでくるような車両の使用条件を模擬するハニカム構造体の評価試験として、加熱冷却試験がある。加熱冷却試験は、サンプルを収納する金属ケースと、当該金属ケース内に加熱ガスを供給することができるガスバーナーと、を備えたガスバーナー試験機等を用いて行われる。加熱ガスは、ガスバーナーでガスを燃焼させることにより発生する燃焼ガスとし、サンプルにクラックが発生するか否かを確認することにより、耐熱衝撃性を評価するものである。このとき、ガスバーナーにより加熱されたガス(燃焼ガス)がハニカム構造体内を通過するが、流入する加熱ガスの温度条件について、所定の指定温度で昇温、冷却、保持の一連の操作を実施する。このとき、指定温度が高くなると昇温峻度が大きくなり、ハニカム構造体の端面において中心部に対して外周部の昇温が遅れることにより、中心部と外周部付近の温度差が拡大し、発生応力が大きくなる。当該発生応力は、ハニカム構造体の端面において、クラック(端面クラック)を発生させる。これに対し、本発明の実施形態に係るハニカム構造体10は、第1端面15に少なくとも一部が交差する複数のスリット21を設けることにより、このような加熱冷却試験におけるハニカム構造体10の端面のクラックの発生を良好に抑制することができる。
ハニカム構造体10の第1端面15に設けられた複数のスリット21は、少なくとも一部が交差するように形成されていれば、形状及び数は特に限定されず、適宜設計することができる。また、スリット21の長さ及び幅は特に限定されない。スリット21の幅はセル18の幅と同程度に形成してもよく、スリット21の幅を、セル18の幅より小さく、または大きく形成してもよい。各スリット21の幅は、特に限定されないが、0.3~30mmであってもよい。各スリット21の長さ及び幅は、ハニカム構造体10の大きさ、材質、用途、及び、スリット21の本数等によって適宜設計することができる。
スリット21は、スリット21が延びる方向に沿って、分割して設けられていてもよい。このとき、同程度の長さのスリットに分割されていてもよく、長さの異なるスリットに分割されていてもよい。スリット21を分割して形成することで、ハニカム構造体10におけるクラックの発生を良好に制御することができる。スリット21の分割数は特に限定されず、2つ、3つ、または、4つ以上に分割して形成されていてもよい。また、分割して形成されたスリットと、分割していないスリットとの混合による、複数本のスリットが設けられていてもよい。
スリット21は、ハニカム構造体10の第1端面15において、外周壁に設けられていてもよいが、外周壁に設けられたスリット21は加熱時の外周壁に発生する縦クラック(外周壁においてセルの延伸方向に進展するクラック)の起点となるおそれがある。このため、スリット21が外周壁に設けられていない形態がより好ましい。
ハニカム構造体10の第1端面15が、スリット21によって、4~84個の領域に分割されているのが好ましい。ハニカム構造体10の第1端面15が、スリット21によって、4個以上の領域に分割されていると、端面に発生する応力を均等に分散させることができるため、端面のクラックの発生をより良好に抑制することができる。ハニカム構造体10の第1端面15が、スリット21によって、84個以下の領域に分割されていると、金属製の缶体中で保持される際にかかる面圧による破壊を抑制することができる。ハニカム構造体10の第1端面15は、スリット21によって、4~70個の領域に分割されているのがより好ましく、4~54個の領域に分割されているのが更により好ましい。
ハニカム構造体10の第1端面15におけるスリット21によって分割された各領域(但し、外周壁に接する領域であって、且つ、第1端面15の中心を含まない領域Pを除く)の面積S1が、第1端面15の面積から領域Pの面積を引いた面積を、スリット21により分割された領域の個数で除した値S2に対し、それぞれ20~160%の範囲であるのが好ましい。図2に、ハニカム構造体10の第1端面15の模式図を示す。図2ではセル及び隔壁について図示を省略している。図2に示す例では、第1端面15(中心O)が複数の交差するスリット21によって複数の領域a~lに分割されている。ここで、前述の「外周壁に接する領域であって、且つ、第1端面15の中心を含まない領域P」は、図2の例においては、領域a、b、e、h、k及びlの合計領域が該当する。また、前述の「ハニカム構造体10の第1端面15におけるスリット21によって分割された各領域(但し、外周壁に接する領域であって、且つ、第1端面15の中心を含まない領域Pを除く)の面積S1」は、図2の例においては、領域c、d、f、g、i、jの6個の領域の各面積が該当する。また、前述の「第1端面15の面積から領域Pの面積を引いた面積を、スリット21により分割された領域の個数で除した値S2」は、図2の例においては、スリット21により分割された領域が領域c、d、f、g、i、jの6個であるため、「S2=(第1端面の面積-領域Pの面積)/6」の式で算出される。ハニカム構造体10の第1端面15におけるスリット21によって分割された各領域(但し、外周壁に接する領域であって、且つ、第1端面15の中心を含まない領域Pを除く)の面積S1が、第1端面15の面積から領域Pの面積を引いた面積を、スリット21により分割された領域の個数で除した値S2に対し、それぞれ20%以上であると、金属製の缶体中で保持される際にかかる面圧による破壊を抑制することができ、160%以下であると、端面のクラックの発生をより抑制することができる。また、当該S2に対するS1の割合は、40~140%の範囲であるのがより好ましく、60~120%の範囲であるのが更により好ましい。
第1端面15における複数のスリット21の形状について、図3(A)~(H)に具体例を示す。なお、図3(A)~(H)では、ハニカム構造体10の第1端面15の外径と、スリットの形状のみを模式的に示している。
スリット21は、図3(A)に示すように、ハニカム構造体10の第1端面15において、それぞれ中心で交差し、両側の外周壁の内周端まで延びる3本のスリットであってもよい。また、図3(B)に示すように、それぞれ中心で交差し、両側の外周壁の内周端まで延びる6本のスリットであってもよい。
スリット21は、図3(C)に示すように、図3(A)で示した3本のスリットがそれぞれ外周壁にも形成され、外周壁の外周端まで延びていてもよい。また、図3(D)に示すように、図3(A)で示した3本のスリットが、それぞれ途切れて分割されたスリットであってもよい。また、図3(E)に示すように、図3(A)で示した3本のスリットがそれぞれ外周壁の内周端に到達しない長さに形成されていてもよい。
スリット21は、図3(F)に示すように、ハニカム構造体10の第1端面15において、中心を通る1本のスリットに対し、中心で交差する1本のスリット、それぞれ中心以外で交差する2本のスリットの合計4本のスリットであってもよい。
スリット21は、図3(G)に示すように、多数のスリット21が交差することで、第1端面15にスリット21で囲まれた三角形の領域を複数形成するように設けられていてもよい。また、スリット21は、図3(H)に示すように、多数のスリット21が交差することで、第1端面15にスリット21で囲まれた四角形の領域を複数形成するように設けられていてもよい。
スリット21の、ハニカム構造部11の軸方向における深さが、ハニカム構造部11の軸方向の長さに対して、10~50%であるのが好ましい。当該スリット21の深さがハニカム構造部11の軸方向の長さに対して10%以上であると、第1端面15の表面のみでなく、深さ方向にも応力緩和がより機能し、第1端面15に冷たいガスが勢い良く流れ込んで来たときの端面のクラックの発生をより良好に抑制することができる。また、加熱冷却試験におけるハニカム構造体10の外周部の縦クラックの発生をより良好に抑制することができる。当該スリット21の深さがハニカム構造部11の軸方向の長さに対して50%以下であると、ハニカム構造体10の第1端面15の強度の低下を抑制することができる。当該スリット21の深さは、ハニカム構造部11の軸方向の長さに対して15~45%であるのがより好ましく、20~40%であるのが更により好ましい。
ハニカム構造体10は、図4に示すように、第1端面15の半径をrとしたとき、第1端面15の中心から1/2rまでの中央領域におけるスリットの深さが、第1端面15の中心から1/2r~rまでの外周領域におけるスリットの深さより大きいことが好ましい。なお、図4は、ハニカム構造体10の第1端面15の外形を簡略的に示すものであり、セル18、隔壁19及び外周壁12等の記載は省略している。このような構成によれば、ハニカム構造体10の外周壁12側のスリット21の深さを小さくしながら、外周壁12とは離れた中央領域のスリット21の深さを大きくすることができる。このため、ハニカム構造体10の外周壁付近のスリット21が起因となるクラックの発生を抑制しつつ、第1端面15の耐熱衝撃性を向上させることができる。
中央領域におけるスリットの深さが、外周領域におけるスリットの深さに対して、120%以上であるのが好ましい。このような構成によれば、ハニカム構造体10の外周壁側のスリット21の深さをより小さく抑えながら、外周壁とは離れた中央領域のスリット21の深さをより大きくすることができる。このため、ハニカム構造体10の外周壁付近のスリット21が起因となるクラックの発生をより良好に抑制しつつ、第1端面15の耐熱衝撃性をより向上させることができる。中央領域と外周領域との境界において、中央領域におけるスリットの深さが、外周領域におけるスリットの深さに対して、150%以上であるのがより好ましく、180%以上であるのが更により好ましい。当該外周領域におけるスリットの深さに対する当該中央領域におけるスリットの深さの割合の上限は特に限定されないが、300%以下であってもよく、500%以下であってもよい。なお、上述の中央領域におけるスリットの深さと、外周領域におけるスリットの深さとの比は、それぞれの平均値同士を比較したものである。
スリット21は、第1端面15の外周側から中心へ向かうにつれて、徐々に深く設けられているのが好ましい。このような構成によれば、スリット21の深さが中心へ向かうにつれて徐々に大きくなるため、入口端面中心付近を起点とするクラックを抑制することができる。図5(A)~(C)は、第1端面15に設けられたスリット21の深さ方向の種々の形態の具体例を示している。図5(A)の例では、スリット21の第1端面15からの最深部Dを繋げた線(点線部分)が一定の角度をもって傾斜するように形成されている。図5(B)及び(C)の例では、スリット21の第1端面15からの最深部Dを繋げた線(点線部分)が第1端面15の端部から中心Oに向かうにつれて指数関数的に増加するように形成されている。
更に、スリット21の深さの具体例について、以下に詳述する。図6(A)は、ハニカム構造体10の第1端面15のスリットの形状を示している。スリット21は、第1端面15において、それぞれ中心で交差し、両側の外周端まで延びる3本のスリットで構成されている。スリット21同士のなす角はそれぞれ60度であり、第1端面15において互いに均等に離間して配置されている。図6(B)は、図6(A)のハニカム構造体10を半円筒状に分割した様子を示す斜視図である。図6(B)に示すように、各スリットは第1端面15の外周側から中心へ向かうにつれて、徐々に深く設けられており、スリット21の第1端面15からの最深部Dを繋げた線(点線部分)が第1端面15の端部から中心Oに向かうにつれて指数関数的に増加するように形成されている。すなわち、図6(B)に示すハニカム構造体10の複数のスリットの最深部Dを繋げると、半円球の表面を形成する。
また、第1端面15のスリットの形状が図6(A)に示す形状であるハニカム構造体10であって、スリット21の深さが図7(A)のように形成されていてもよく、図7(B)のように形成されていてもよい。図7(A)では、全てのスリット21の深さが同じ大きさである。また、図7(B)では、第1端面15の外周領域におけるスリット21の深さが均一であり、第1端面15の中央領域と外周領域との境界において、中央領域におけるスリットの深さが、外周領域におけるスリットの深さに対して、所定の割合だけ大きく形成されている。また、中央領域におけるスリット21の深さが均一である。この場合、第1端面15の中央領域と外周領域との境界は、第1端面15の径方向において、どのような位置であってもよい。
図8(A)は、ハニカム構造体10の第1端面15のスリットの形状を示している。スリット21は、第1端面15において、多数のスリット21が交差することで、第1端面15にスリット21で囲まれた三角形の領域を複数形成するように設けられている。各三角形の領域の面積は均一に形成されている。図8(B)は、図8(A)のハニカム構造体10を半円筒状に分割した様子を示す斜視図である。図8(B)に示すように、全てのスリット21の深さが均一である。
上述のように、ハニカム構造体10の第1端面15のスリット21は、第1端面15において少なくとも一部が交差していれば、それ以外の構成は限定されず、所望の特性に応じて適宜設計することができる。例えば図3(A)~(H)に示したような第1端面15に形成された種々のスリット21について、それぞれ、図6(B)に示したように最深部Dを繋げた線が半円球の表面を形成するように構成してもよく、図7(A)に示したように、全てが均一の深さを有してもよく、図7(B)に示したように、第1端面15の中央領域と外周領域との境界において、中央領域におけるスリットの深さが、外周領域におけるスリットの深さに対して、所定の割合だけ大きく形成されていてもよい。
<2.電気加熱式担体>
図9は、本発明の実施形態における電気加熱式担体30のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。電気加熱式担体30は、ハニカム構造体10と、ハニカム構造体10の電極部13a、13bに電気的に接続された金属電極33a、33bとを備えている。
(2-1.金属電極)
金属電極33a、33bは、ハニカム構造体10の電極部13a、13b上に設けられている。金属電極33a、33bは、一方の金属電極33aが、他方の金属電極33bに対して、ハニカム構造部11の中心軸を挟んで対向するように配設される一対の金属電極であってもよい。金属電極33a、33bは、電極部13a、13bを介して電圧を印加すると通電してジュール熱によりハニカム構造部11を発熱させることが可能である。このため、電気加熱式担体30はヒーターとしても好適に用いることができる。印加する電圧は12~900Vが好ましく、48~600Vが更に好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
金属電極33a、33bの材質としては、金属であれば特段の制約はなく、単体金属及び合金等を採用することもできるが、耐食性、電気抵抗率及び線膨張率の観点から例えば、Cr、Fe、Co、Ni及びTiよりなる群から選択される少なくとも一種を含む合金とすることが好ましく、ステンレス鋼及びFe-Ni合金がより好ましい。金属電極33a、33bの形状及び大きさは、特に限定されず、電気加熱式担体30の大きさや通電性能等に応じて、適宜設計することができる。
電気加熱式担体30に触媒を担持することにより、電気加熱式担体30を触媒体として使用することができる。ハニカム構造体10の複数のセル18の流路には、例えば、自動車排気ガス等の流体を流すことができる。触媒としては、例えば、貴金属系触媒又はこれら以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒からなる群から選択される二種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、従来、ハニカム構造体に触媒を担持する担持方法に準じて行うことができる。
<3.ハニカム構造体の製造方法>
次に、本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法について説明する。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法は、ハニカム成形体を作製する成形工程と、ハニカム乾燥体を作製する乾燥工程と、ハニカム焼成体を作製する焼成工程と、を備える。
(成形工程)
成形工程では、まず、導電性のセラミックス原料を含有する成形原料を準備する。成形原料は、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が10~40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3~50μmが好ましく、3~40μmが更に好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2~35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。なお、これは、ハニカム構造体の材質を、珪素-炭化珪素系複合材とする場合の成形原料の配合であり、当該材質を炭化珪素とする場合には、金属珪素は添加しない。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0~10.0質量部であることが好ましい。
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~60質量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10~30μmであることが好ましい。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径を指す。
次に、得られた成形原料を混練して坏土を形成した後、坏土を押出成形してハニカム成形体を作製する。ハニカム成形体は、外周壁と、外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有する。
(乾燥工程)
次に、得られたハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製する。乾燥方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30~99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。乾燥温度は、50~120℃とすることが好ましい。
次に、ハニカム乾燥体の第1端面に、少なくとも一部が交差した複数のスリットを形成する。各スリットの形成方法は一般的なスリットの形成方法に準じ、第1端面側から切削工具等を用いて形成することができる。スリットの形状、本数、交差数、長さ、幅、及び、深さ等は、作製するハニカム構造体の所望の特性などに応じてそれぞれ適宜設計することができる。また、スリットには、充填材を充填してもよい。
(焼成工程)
次に、スリットが形成されたハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を作製する。ハニカム乾燥体を焼成する前に、バインダ等を除去するため、脱脂を行ってもよい。脱脂工程は400~500℃で大気雰囲気、不活性雰囲気、または減圧雰囲気にて実施する。脱脂の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件としては、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200~1350℃で、1~10時間、酸化処理を行うことが好ましい。焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。
ハニカム焼成体は、このままハニカム構造体としてもよい。また、電極部を有するハニカム構造体の製造方法としては、まず、ハニカム乾燥体の側面に、セラミックス原料を含有する電極部形成原料を塗布し、乾燥させて、ハニカム乾燥体の中心軸を挟んで、外周壁の外面上において、セルの延伸方向に帯状に延びるように一対の未焼成電極部を形成して、未焼成電極部付きハニカム乾燥体を作製する。次に、未焼成電極部付きハニカム乾燥体を焼成して一対の電極部を有するハニカム焼成体を作製する。これにより、電極部を有するハニカム構造体が得られる。なお、電極部はハニカム焼成体を作製した後に形成してもよい。具体的には、一旦、ハニカム焼成体を作製し、ハニカム焼成体上に一対の未焼成電極部を形成し、これを焼成して一対の電極部を有するハニカム焼成体を作製してもよい。
電極部形成原料は、電極部の要求特性に応じて配合した原料粉(金属粉末、及び/又は、セラミックス粉末等)に各種添加剤を適宜添加して混練することで形成することができる。
電極部形成原料を調合する方法、及び電極部形成原料をハニカム焼成体に塗布する方法については、公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができるが、電極部をハニカム構造部に比べて低い電気抵抗率にするために、ハニカム構造部よりも金属の含有比率を高める、または、金属粒子の粒径を小さくすることができる。
<4.電気加熱式担体の製造方法>
本発明の実施形態に係る電気加熱式担体30の製造方法は一実施形態において、ハニカム構造体10の電極部上に、金属電極を固定する。固定方法としては、例えば、レーザー溶接、溶射、超音波溶接などが挙げられる。より具体的には、ハニカム構造体10のハニカム構造部の中心軸を挟んで、電極部の表面上において、一対の金属電極を設ける。このようにして、本発明の実施形態に係る電気加熱式担体30が得られる。
<5.排気ガス浄化装置>
上述した本発明の実施形態に係る電気加熱式担体は、排気ガス浄化装置に用いることができる。当該排気ガス浄化装置は、電気加熱式担体と、当該電気加熱式担体を保持する金属製の筒状部材とを有する。排気ガス浄化装置において、電気加熱式担体は、エンジンからの排気ガスを流すための排気ガス流路の途中に設置される。排気ガス浄化装置において、ハニカム構造体10の第1端面が、排気ガス流れの上流側に設けられていることが好ましい。このような構成によれば、高温のハニカム構造体10に対し、冷たいガスが勢い良く流れ込んで来ても、ハニカム構造体10内の熱膨張差の発生による端面のクラックの発生を良好に抑制することができる。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1.坏土の作製)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合してセラミックス原料を調製した。そして、セラミックス原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。そして、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部とした。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部とした。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部とした。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は20μmであった。炭化珪素粉末、金属珪素粉末及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
(2.ハニカム乾燥体の作製)
得られた円柱状の坏土を碁盤目状の口金構造を有する押出成形機を用いて成形し、セルの流路方向に垂直な断面における各セル形状が六角形である円柱状ハニカム成形体を得た。このハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、ハニカム乾燥体を作製した。
(3.スリットの作製)
ハニカム乾燥体の第1端面から深さ方向に、切削工具によってスリットを形成した。第1端面におけるスリットの形状は、表1の「入口側端面スリット形状」に示すように、それぞれ中心軸を通り、両端の外周壁まで延びない2本のスリットが、第1端面の中心で90度に交わるように形成した。また、各スリットについて、表1の「基材中央部断面図」に示すように、スリットの第1端面からの最深部を繋げた線(点線部分)が第1端面の端部から中心に向かうにつれて指数関数的に増加するように形成した。
(4.電極部形成ペーストの調製及び塗布)
金属珪素(Si)粉末、炭化珪素(SiC)粉末、メチルセルロース、グリセリン、及び水を、自転公転攪拌機で混合して、電極部形成ペーストを調製した。Si粉末、及びSiC粉末は体積比で、Si粉末:SiC粉末=40:60となるように配合した。また、Si粉末、及びSiC粉末の合計を100質量部としたときに、メチルセルロースは0.5質量部であり、グリセリンは10質量部であり、水は38質量部であった。金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素粉末の平均粒子径は35μmであった。これらの平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
次に、この電極部形成ペーストを曲面印刷機によって、スリットを形成したハニカム乾燥体に対して適切な面積及び膜厚で塗布した。
(5.ハニカム焼成体の作製)
次に、電極部形成ペースト付きハニカム乾燥体をAr雰囲気にて1400℃で3時間焼成し、柱状のハニカム構造体とした。
ハニカム構造体は、端面が直径100mm(基材外径100mm)の円形であり、高さ(セルの流路方向における長さ:基材全長)が100mmであった。セル密度は93セル/cm2であり、隔壁の厚みは101.6μmであり、隔壁の気孔率は45%であり、隔壁の平均細孔径は8.6μmであった。電極部の厚みは0.3mmであった。また、表1に示す基材中央部断面図におけるスリット深さ(中央部)が10mm(ハニカム構造体の長さに対して10%)であり、外周壁にはスリットを設けなかった。また、2本のスリットにより、第1端面を4個の領域に分割した。
<実施例2>
表1の「基材中央部断面図」に示すように、スリット深さ(中央部)を実施例1より深く、30mm(ハニカム構造体の長さに対して30%)とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
<実施例3>
表1の「基材中央部断面図」に示すように、スリット深さ(中央部)を実施例1より深く、60mm(ハニカム構造体の長さに対して60%)とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
<実施例4>
表1の「入口側端面スリット形状」に示すように、それぞれ中心軸を通り、両端の外周壁まで延びない3本のスリットが、第1端面の中心で互いに60度に交わるように形成して第1端面を6個の領域に分割した以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
<実施例5~7>
表1の「入口側端面スリット形状」に示すように、それぞれ中心軸を通り、両端の外周壁まで延びない3本のスリットが、第1端面の中心で互いに60度に交わるように形成し、さらに当該3本のスリットに平行なスリットを複数形成することで、スリットで囲まれた三角形の領域を複数形成した以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。なお、実施例5は、第1端面を24個の領域に分割しており、実施例6は、第1端面を12個の領域に分割しており、実施例7は、第1端面を54個の領域に分割している。
<実施例8>
表1の「基材中央部断面図」に示すように、それぞれ中心軸を通り、両端の外周壁まで延びる2本のスリットが、第1端面の中心で90度に交わるように形成し、表1の「基材中央部断面図」に示すように、スリットの深さを30mmで一定とした。これ以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
<比較例1>
スリットを形成しない以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
<比較例2>
スリットを、中心軸を通り、両端の外周壁まで延びる1本のスリットとし、表1の「基材中央部断面図」に示すように、スリットの深さを30mmで一定とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
<比較例3>
スリットを、中心軸を通り、両端の外周壁まで延びる1本のスリット、及び、当該スリットに交わらない平行な2本のスリットの合計3本のスリットとし、表1の「基材中央部断面図」に示すように、スリットの深さを30mmで一定とした以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
(6.面積S1/面積S2
実施例1~8のハニカム構造体について、図2に示す例を用いて詳述したように、第1端面におけるスリットによって分割された各領域(但し、外周壁に接する領域であって、且つ、第1端面の中心を含まない領域Pを除く)の面積S1の、第1端面の面積から領域Pの面積を引いた面積を、スリットにより分割された領域の個数で除した値S2に対する割合[(面積S1/面積S2)×100](%)を求めた。上述の第1端面の分割された領域の面積は、デジタルカメラによって撮影した画像から測定した。
(7.耐熱衝撃性試験)
サンプルを収納する金属ケースと、当該金属ケース内に加熱ガスを供給することができるプロパンガスバーナーと、を備えたプロパンガスバーナー試験機を用いて、実施例1~8及び比較例1~3のハニカム構造体(サンプル)の加熱冷却試験を実施した。上記加熱ガスは、ガスバーナー(プロパンガスバーナー)でプロパンガスを燃焼させることにより発生する燃焼ガスとした。そして、上記加熱冷却試験によって、サンプルに端面のクラック及び/又は外周部の縦クラックが発生するか否かを確認することにより、耐熱衝撃性を評価した。具体的には、まず、プロパンガスバーナー試験機の金属ケースに、得られたサンプルを収納(キャニング)した。そして、金属ケース内に、プロパンガスバーナーにより加熱されたガス(燃焼ガス)を供給し、ハニカム構造体内を通過するようにした。金属ケースに流入する加熱ガスの温度条件(入口ガス温度条件)を以下のようにした。まず、5分で指定温度まで昇温し、指定温度で10分間保持し、その後、5分で100℃まで冷却し、100℃で10分間保持した。このような昇温、冷却、保持の一連の操作を「昇温、冷却操作」と称する。その後、サンプルの端面のクラック及び/又は外周部の縦クラックを確認した。そして、指定温度を825℃から25℃ずつ上昇させながら上記「昇温、冷却操作」を繰り返した。指定温度は、サンプルにクラックが発生するまで25℃ずつ上昇させた。指定温度が高くなると昇温峻度が大きくなり、発生応力が大きくなる。評価結果を表1に示す。表1において、「耐熱衝撃性試験」の欄は、耐熱衝撃性試験において、ハニカム構造体に端面のクラック及び/又は外周部の縦クラックが発生したときの指定温度を示している。
(8.ISO強度)
実施例1~8及び比較例1~3のハニカム構造体について、測定用サンプルを準備した。社団法人自動車技術会発行の自動車規格であるJASO規格M505-87に規定されているアイソスタティック破壊強度(ISO強度)の測定方法に従って、この測定用サンプルのISO強度を測定した。ISO強度とは、水中で静水圧をかけて測定した破壊強度である。評価結果を表1に示す。
Figure 2022148732000002
(9.考察)
実施例1~8に係るハニカム構造体は、いずれも第1端面(入口側端面)に、複数のスリットが設けられており、複数のスリットの少なくとも一部が交差しているため、良好な耐熱衝撃性が得られた。
比較例1~3に係るハニカム構造体は、いずれも、スリットを形成していない、または、スリットを形成しているが、第1端面(入口側端面)で交差していないものであり、耐熱衝撃性が実施例1~8に対して劣っていた。
10 ハニカム構造体
11 ハニカム構造部
12 外周壁
13a、13b 電極部
15 第1端面
16 第2端面
18 セル
19 隔壁
21 スリット
30 電気加熱式担体
33a、33b 金属電極

Claims (13)

  1. 外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第1端面から第2端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製のハニカム構造部を備え、
    前記第1端面に、複数のスリットが設けられており、前記複数のスリットの少なくとも一部が交差している、ハニカム構造体。
  2. 前記第1端面において、前記スリットが前記外周壁に設けられていない、請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記スリットの、前記ハニカム構造部の軸方向における深さが、前記ハニカム構造部の軸方向の長さに対して、10~50%である、請求項1または2に記載のハニカム構造体。
  4. 前記第1端面の半径をrとしたとき、前記第1端面の中心から1/2rまでの中央領域における前記スリットの深さが、前記第1端面の中心から1/2r~rまでの外周領域における前記スリットの深さより大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  5. 前記スリットが、前記第1端面の外周側から中心へ向かうにつれて、徐々に深く設けられている、請求項4に記載のハニカム構造体。
  6. 前記中央領域における前記スリットの深さが、前記外周領域における前記スリットの深さに対して、120%以上である、請求項4に記載のハニカム構造体。
  7. 前記第1端面が、前記スリットによって、4~84個の領域に分割されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  8. 前記第1端面における前記スリットによって分割された各領域(但し、前記外周壁に接する領域であって、且つ、前記第1端面の中心を含まない領域Pを除く)の面積S1が、前記第1端面の面積から前記領域Pの面積を引いた面積を、前記スリットにより分割された前記領域の個数で除した値S2に対し、それぞれ20~160%の範囲である、請求項7に記載のハニカム構造体。
  9. 前記ハニカム構造部の第1端面が、排気ガス流れの上流側である、請求項1~8のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  10. 前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで、前記外周壁の外面上において、前記セルの延伸方向に帯状に延びるように設けられた一対の電極部を更に備えた、請求項1~9のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  11. 請求項10に記載のハニカム構造体と、
    前記ハニカム構造体の前記電極部に電気的に接続された金属電極と、
    を備えた電気加熱式担体。
  12. 請求項11に記載の電気加熱式担体と、
    前記電気加熱式担体を保持するための金属製の筒状部材と、
    を有する排気ガス浄化装置。
  13. 前記ハニカム構造部の第1端面が、排気ガス流れの上流側である、請求項12に記載の排気ガス浄化装置。
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