JP2022158927A - 電気加熱型担体及び排ガス浄化装置 - Google Patents

電気加熱型担体及び排ガス浄化装置 Download PDF

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直樹 吉田
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Abstract

【課題】発熱均一性が改善された電気加熱型担体を提供する。【解決手段】導電性のハニカム構造部及び一対の電極層を備え、セルの延びる方向に直交する断面において、ハニカム構造部が以下の三つの領域に分類される電気加熱型担体。・第一電極層への接触部を有する第一抵抗領域、・第二電極層への接触部を有する第二抵抗領域、及び、・第一電極層及び第二電極層の何れにも接触せず、第一抵抗領域及び第二抵抗領域に挟まれるように当該断面を横断する第三抵抗領域であって、第一抵抗領域及び第二抵抗領域における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗よりも単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の高い第三抵抗領域。【選択図】図3

Description

本発明は、電気加熱型担体に関する。また、本発明は電気加熱型担体を利用した排ガス浄化装置に関する。
近年、エンジン始動直後の排ガス浄化性能の低下を改善するため、ハニカム構造体を有する電気加熱触媒(EHC)が提案されている。EHCは一般に、外周壁、及び、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁を有する導電性のハニカム構造部と、ハニカム構造部の外周壁に配設された一対の電極層とを備える。EHCにおいては、ハニカム構造部内での温度分布を制御することが望まれており、種々の技術が開発されてきた。
特許文献1(特開2014-198321号公報)には、ハニカム構造部が、側面を含む外周領域、及び前記外周領域を除いた中央の領域である中央領域から構成されること、並びに、前記外周領域を構成する材料の電気抵抗率が、前記中央領域を構成する材料の電気抵抗率より低いことが記載されている。外周領域の電気抵抗率を、中央領域の電気抵抗率より低くすることで、ハニカム構造体に電圧を印加したときに、電極からの電流がハニカム構造部(担体)に流れやすくなり、ハニカム構造部が均一に発熱し易くなるとされている。
特許文献2(特開2014-198446号公報)には、ハニカム構造部が、側面を含む外周領域、及び前記外周領域を除いた中央の領域である中央領域から構成されること、並びに、前記中央領域の電気抵抗率が、前記外周領域の電気抵抗率より低いことが記載されている。当該構成により、中央領域の電気抵抗率が、外周領域の電気抵抗率より低いため、ハニカム構造体に電圧を印加したときに流入側領域に多くの電流が流れ、電圧の印加により流れる電流を、効果的に排ガス中の被処理物質の処理に用いることができるとされている。
特許文献3(特開2019-173663号公報)には、ハニカム構造部が、側面を含む外周領域、中央の領域である中央領域、及び前記外周領域と中央領域を除いた中間領域から構成されること、並びに、前記外周領域を構成する材料の平均電気抵抗率Aと、前記中央領域を構成する材料の平均電気抵抗率Bと、前記中間領域を構成する材料の平均電気抵抗率Cとが、A≦B<Cの関係を満たすことが記載されている。当該構成により、ハニカム構造体の均一発熱性が向上するとされている。
特許文献4(特開2019-173662号公報)には、ハニカム構造部が、一対の電極部付近にある端部領域と、前記端部領域を除いた中央領域から構成されること、並びに、前記端部領域を構成する材料の平均電気抵抗率Aが、前記中央領域を構成する材料の平均電気抵抗率Bより低いことが記載されている。当該構成により、ハニカム構造体の均一発熱性が向上するとされている。
特開2014-198321号公報 特開2014-198446号公報 特開2019-173663号公報 特開2019-173662号公報
このように、ハニカム構造部の温度分布を制御するための技術が種々提案されてきた。しかしながら、ハニカム構造部内の発熱均一性に関しては未だ改善の余地が残されている。特許文献1に記載の技術では、外周領域の電気抵抗率が中央領域の電気抵抗率より低いことで、外周領域に電流が流れやすく、外周領域の温度が高くなりやすい。特許文献2に記載の技術は発熱均一性を目的としておらず、電極付近の温度が上昇する。特許文献3に記載の技術においても、外周領域を構成する材料の平均電気抵抗率Aが低いことで、やはり電流が外周領域に流れやすく、依然として外周領域の温度が高くなりやすい。特許文献4に記載の技術では、一対の電極部付近にある端部領域に電流が集中し、電流が左右に広がりにくいため、セルの延びる方向に直交する断面において一対の電極部に挟まれた領域から離れた外周部の温度が低くなりやすい。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、一実施形態において、発熱均一性が改善された電気加熱型担体を提供することを課題とする。また、本発明は別の一実施形態において、そのような電気加熱型担体を備える排ガス浄化装置を提供することを課題とする。
上記課題は、以下に例示される本発明によって解決される。
[1]
外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有する導電性のハニカム構造部、
前記外周壁の表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第一電極層、及び、
前記外周壁の表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第二電極層であって、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで前記第一電極層と対向するように設けられた前記第二電極層、
を備え、
前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記ハニカム構造部は、
・前記第一電極層への接触部を有する第一抵抗領域、
・前記第二電極層への接触部を有する第二抵抗領域、及び、
・前記第一電極層及び前記第二電極層の何れにも接触せず、前記第一抵抗領域及び前記第二抵抗領域に挟まれるように当該断面を横断する第三抵抗領域、の三つの領域に分類され、
前記第三抵抗領域は、前記第一抵抗領域及び前記第二抵抗領域における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗よりも単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の高い、
電気加熱型担体。
[2]
[1]に記載の電気加熱型担体と、
前記電気加熱型担体を収容する筒状の金属管と、を備える排ガス浄化装置。
本発明の一実施形態によれば、発熱均一性が改善された電気加熱型担体を提供することができる。この結果、ハニカム構造部における温度差低減が可能となるので、クラックの発生を抑制することもできる。この電気加熱型担体は、例えば排ガス浄化装置の触媒担体として使用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体を一方の端面から観察したときの模式図である。 本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体の模式的な斜視図である。 本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体のセルの延びる方向に直交する断面において各抵抗領域を特定する方法を説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体のセルの延びる方向に直交する断面における各抵抗領域の配置例を示す模式図である。 本発明の別の一実施形態に係る電気加熱型担体のセルの延びる方向に直交する断面における各抵抗領域の配置例を示す模式図である。 本発明の更に別の一実施形態に係る電気加熱型担体のセルの延びる方向に直交する断面における各抵抗領域の配置例を示す模式図である。 本発明の更に別の一実施形態に係る電気加熱型担体のセルの延びる方向に直交する断面における複数のスリットの配置例を示す模式図である。
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1.電気加熱型担体)
図1Aは、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体100を一方の端面116から観察したときの模式図である。図1Bは、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体100の模式的な斜視図である。
電気加熱型担体100は、
外周壁114と、外周壁114の内側に配設され、一方の端面116から他方の端面118まで流路を形成する複数のセル115を区画形成する隔壁113と、を有する導電性のハニカム構造部110、
外周壁114の表面においてセル115の延びる方向に帯状に設けられた第一電極層112a、及び
外周壁114の表面においてセル115の延びる方向に帯状に設けられた第二電極層112bであって、ハニカム構造部110の中心軸Oを挟んで第一電極層112aと対向するように設けられた第二電極層112b、
を備える。
電気加熱型担体100に触媒を担持することにより、電気加熱型担体100を触媒体として使用してもよい。複数のセル115には、例えば、自動車排ガス等の流体を流すことができる。触媒としては、例えば、貴金属系触媒又はこれら以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒から選択される2種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、従来、ハニカム構造体に触媒を担持する担持方法に準じて行うことができる。
(1-1.ハニカム構造部)
ハニカム構造部110は、外周壁114と、外周壁114の内側に配設され、一方の端面116から他方の端面118まで流路を形成する複数のセル115を区画形成する隔壁113とを有する。ハニカム構造部110は、導電性の柱状の部材である。柱状とは、セルの延びる方向(ハニカム構造部の軸方向)に厚みを有する立体形状と理解できる。ハニカム構造部の軸方向長さとハニカム構造部の端面の直径又は幅との比(アスペクト比)は任意である。柱状には、ハニカム構造部の軸方向長さが端面の直径又は幅よりも短い形状(偏平形状)も含まれていてよい。
ハニカム構造部110の外形は、例えば、端面が円形の柱状(円柱形状)、端面がオーバル形状の柱状、端面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造部110の大きさは、耐熱性を高める(外周壁の周方向に入るクラックを抑制する)という理由により、一つの端面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、5000~15000mm2であることが更に好ましい。
ハニカム構造部110の高さ(一方の端面116から他方の端面118までの長さ)は特に制限はなく、用途や要求性能に応じて適宜設定すればよい。
ハニカム構造部110に外周壁114を設けることは、ハニカム構造部110の構造強度を確保し、また、セル115を流れる流体が外周壁114から漏洩するのを抑制する観点で有用である。この点で、外周壁114の厚みは好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.15mm以上であり、更により好ましくは0.2mm以上である。但し、外周壁114を厚くしすぎると高強度になりすぎてしまい、隔壁113との強度バランスが崩れて耐熱衝撃性が低下することから、外周壁114の厚みは好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.5mm以下である。ここで、外周壁114の厚みは、厚みを測定しようとする外周壁114の箇所をセル115の延びる方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における外周壁114の外表面の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
外周壁114及び隔壁113は、電極層112a、112bよりも体積抵抗率は高いものの導電性を有する。外周壁114及び隔壁113の体積抵抗率は、通電してジュール熱により発熱可能である限り特に制限はないが、0.1~200Ωcmであることが好ましく、1~200Ωcmであることがより好ましく、10~100Ωcmであることが更に好ましい。
図2を参照すると、ハニカム構造部110は、セル115の延びる方向に直交する断面において、以下の三つの領域に分類することができる。そして、ハニカム構造部110は、セル115の延びる方向に直交する何れの断面においても以下の三つの領域に分類されることが好ましい。
・第一電極層112aへの接触部を有する第一抵抗領域110A
・第二電極層112bへの接触部を有する第二抵抗領域110B
・第一電極層112a及び第二電極層112bの何れにも接触せず、第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bに挟まれるように当該断面を横断する第三抵抗領域110Cであって、第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bにおける単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗よりも単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の高い第三抵抗領域110C
理論によって本発明が限定されることを意図するものではないが、本実施形態に係るハニカム構造部110において発熱均一性が向上する推定メカニズムについて考察する。まず、ハニカム構造部110における電気抵抗が場所によらず一定の場合は、電流の出入口となる第一電極層112a及び第二電極層112bの付近の温度が高くなる一方で、ハニカム構造部の中心付近の温度は低くなりやすい。また、第一電極層112a及び第二電極層112bに挟まれた領域から離れた外周部の温度も低くなりやすい。
これに対して、第一抵抗領域110A、第二抵抗領域110B、及び第三抵抗領域110Cを有するハニカム構造部110の場合、相対的に電気抵抗の高い第三抵抗領域は第一電極層112a及び第二電極層112bの何れにも接触する部分を有しない。つまり、第一電極層112a及び第二電極層112bには電気抵抗の低い第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bがそれぞれ接触しているので、第一電極層112a及び第二電極層112bの近傍における過剰な発熱が抑制される。一方で、ハニカム構造部110の中心軸Oを含む第三抵抗領域110Cは電気抵抗が高いので、電流量が同じであれば発熱量が大きくなる。これにより、発熱均一性が向上する。
更に、第三抵抗領域110Cがハニカム構造部110の断面を横断していることで、例えば第一電極層112aを陽極側、第二電極層112bを陰極側として両者間に電圧を印加すると、第一電極層112aから第二電極層112bへ流れる電流は、必ず電気抵抗の高い第三抵抗領域110Cを通過する。つまり、本実施形態に係るハニカム構造部110においては、外周部に電流の逃げ場がないので、電流は外周部及び中央部の両方に高い均一性で流れることが可能である。
よって、本実施形態に係るハニカム構造部110によれば、第一電極層112a及び第二電極層112bの間に電圧を印加した時の発熱均一性が向上する。
なお、第一電極層112aを陰極側、第二電極層112bを陽極側として両者間に電圧を印加しても上記と同様のことが言える。
各抵抗領域の単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗は、四端子法に従って室温(25℃)で測定される。
セル115の延びる方向に直交する断面において、第一抵抗領域110A、第二抵抗領域110B、及び第三抵抗領域110Cは以下のように特定することができる。まず、当該断面の中心軸Oから第一電極層112a及び第二電極層112bの何れか一方の電極層の周方向中心に向かって線分Mを引く。次に、中心軸Oを重心とし、当該線分Mに平行な一対の辺をもつ面積1cm2の正方形Sを描く。次に、正方形Sと一辺を共有し、正方形Sに隣接する面積1cm2の正方形を8個描く。次に、これら8個の正方形のそれぞれと一辺を共有して隣接する面積1cm2の正方形を描く。これを繰り返して、当該断面を面積1cm2の正方形によって分割する。図2には、ハニカム構造部110を隣接し合う面積1cm2の多数の正方形によって分割したときの模式図が示されている。
当該断面を分割する1cm2のそれぞれの正方形について奥行き3cmの3cm3の直方体サンプルを採取し、先述した方法により直方体サンプルの電気抵抗を測定し、その後1cm3当たりの電気抵抗を算出する。外周部においては3cm3の直方体を採取することができない部位があり得るが、そのような部位は採取可能な範囲でサンプルを採取し、先述した方法に準じてサンプルの電気抵抗を測定し、体積比によって1cm3当たりの電気抵抗に換算する。なお、サンプルの電気抵抗が既知又は明らかである場合はサンプルの採取は不要である。
上記手順により、ハニカム構造部110の前記断面を1cm2の正方形の区画によって分割したときの各区画の1cm3当たりの電気抵抗が得られる。次いで、線分Mと交点を持つ電極層を第一電極層112aとして、第一電極層112aの周方向中心と接触する外周壁114の表面地点を包含する正方形Tの区画を特定し、正方形Tの区画(電極層は除く)の1cm3当たりの電気抵抗をRTとすると、正方形Tの区画から連続する、電気抵抗がRT×0.6以上RT×1.1未満の範囲にあるハニカム構造部の正方形の区画の集合を第一抵抗領域110Aとする。
また、上記断面において、第一電極層112aに対向する第二電極層112bの周方向中心と接触する外周壁114の表面地点を包含する正方形Uを特定し、正方形Uの区画から連続する、電気抵抗がRT×0.6以上RT×1.1未満の範囲にあるハニカム構造部の区画の集合を第二抵抗領域110Bとする。なお、第二抵抗領域110Bを特定するのに使用する電気抵抗の基準は正方形Uの区画(電極層は除く)の1cm3当たりの電気抵抗RUではなく、RTとする。
また、上記断面において、第一電極層112a及び第二電極層112bの何れにも接触せず、第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bに挟まれるように当該断面を横断する領域が特定され、当該領域に含まれるハニカム構造部の各区画の電気抵抗が常にRT×1.1以上である場合、当該領域は第三抵抗領域であると認定することができる。
第三抵抗領域110Cにおいて、単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗を相対的に高くする方法としては、限定的ではないが、例えば、第三抵抗領域110Cにおける隔壁113の厚みを第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bの隔壁の厚みに比べて薄くする方法が挙げられる。このような第二抵抗領域110Bにおける隔壁構造は、ハニカム構造部を押出成形する際に使用する口金構造を、所望の隔壁厚みが各抵抗領域において得られるように設計すれば実現可能である。また、第三抵抗領域110Cの一部の隔壁113に欠損して構成されたスリットを設ける方法も考えられる。この場合も、ハニカム構造部を押出成形する際に使用する口金構造を、第三抵抗領域110Cにおける一部の隔壁に欠損したスリットが形成されるように設計すれば実現可能である。
第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bを構成するハニカム構造部の複数の区画の単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗は変動が少ないことが望ましい。第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bについては、同一抵抗領域内で電気抵抗に大きな変動があると、電流の流れが偏って、発熱均一性の向上効果が低下するからである。具体的には、上記断面において、第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bの各抵抗領域を構成する複数の正方形区画の単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の最小値Rminに対する最大値Rmaxの比率が、1.0≦Rmax/Rmin≦2を満たすことが好ましく、1.0≦Rmax/Rmin≦1.6を満たすことがより好ましく、1.0≦Rmax/Rmin≦1.3を満たすことが更により好ましい。
第三抵抗領域110Cについても、同領域内で電気抵抗に大きな変動があることは発熱均一性の向上効果が低下することにつながり得る。従って、上記断面において、第三抵抗領域110Cを構成する複数の正方形区画の単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の最小値Rminに対する最大値Rmaxの比率が、1.0≦Rmax/Rmin≦2を満たすことが好ましく、1.0≦Rmax/Rmin≦1.6を満たすことがより好ましく、1.0≦Rmax/Rmin≦1.3を満たすことが更により好ましい。
図3には、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体のセルの延びる方向に直交する断面における各抵抗領域(110A、110B、110C)の配置例を示す模式図が示されている。図3に示す実施形態においては、セルの延びる方向に直交する断面を、第一電極層112aが上側に、第二電極層112bが下側に位置するように観察したときに、第三抵抗領域110Cは第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bに挟まれるように、セルの延びる方向に直交する断面を左右に横断する。そして、第三抵抗領域110Cは上下方向の幅が一定の帯状に形成されている。この場合、第三抵抗領域110Cを形成する複数の正方形区画の単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗が一定だとすると、中心軸Oの近傍よりもハニカム構造部110の外周部の電流量が少なくなり、発熱量も小さくなりやすい。
そこで、第三抵抗領域110Cにおいて、外周部における電流量を多くして外周部の発熱量を増やし、発熱均一性を更に向上させることが好ましい。第三抵抗領域110Cにおいて、外周部の電流量を増やす方法としては、第三抵抗領域110Cのうち、ハニカム構造部110の外周部に対応する領域における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗を低くする方法が挙げられる。図4には、本発明の別の一実施形態に係る電気加熱型担体のセルの延びる方向に直交する断面における各抵抗領域(110A、110B、110C)の配置例を示す模式図が描かれている。
図4に示す実施形態において、セルの延びる方向に直交する断面を、第一電極層112aが上側に、第二電極層112bが下側に位置するように観察すると、第三抵抗領域110Cは、
・ハニカム構造部110の中心軸Oを含む中心部110C1、
・中心部110C1の左端に隣接して第三抵抗領域110Cの左端まで延び、中心部110C1よりも単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗が低い左側部110C2、及び
・中心部110C1の右端に隣接して第三抵抗領域110Cの右端まで延び、中心部110C1よりも単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗が低い右側部110C3、
の三つの領域に分類される。
中心部110C1と左側部110C2の区別、及び、中心部110C1と右側部110C3の区別は、以下のようにして特定可能である。まず、先述した手順により第三抵抗領域110Cを特定する。次に、先述した正方形Sに対応する1cm3当たりの電気抵抗を基準抵抗とし、第三抵抗領域110Cの中で、基準抵抗に対して90%以下の電気抵抗を有する先述した区画を低抵抗領域として特定する。第三抵抗領域110Cを形成するそれ以外の区画は高抵抗領域として特定する。そして、低抵抗領域及び高抵抗領域が、図4に示すように左側から右側に向かって低抵抗領域→高抵抗領域→低抵抗領域と配列されている場合には、左側の低抵抗領域を左側部110C2と認定し、中央の高抵抗領域を中心部110C1と認定し、右側の低抵抗領域を右側部110C3と認定することができる。
左側部110C2における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値に対する中心部110C1における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値の比は、1.15~4が好ましく、1.15~2がより好ましい。
右側部110C3における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値に対する中心部110C1における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値の比は、1.15~4が好ましく、1.15~2がより好ましい。
左側部110C2における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値に対する右側部110C3における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値の比は、0.8~1.2が好ましく、0.9~1.1がより好ましい。左側部110C2及び右側部110C3の単位容積当たりの電気抵抗の平均値は、どちらも同じ程度であることが特に好ましい。
第三抵抗領域110Cにおいて、外周部の電流量を増やす別の方法としては、第三抵抗領域110Cのうち、ハニカム構造部110の外周部に対応する領域における上下方向の幅を狭くする方法が挙げられる。図5には、本発明の更に別の一実施形態に係る電気加熱型担体のセルの延びる方向に直交する断面における各抵抗領域(110A、110B、110C)の配置例を示す模式図が描かれている。
図5に示す実施形態において、セルの延びる方向に直交する断面を、第一電極層112aが上側に、第二電極層112bが下側に位置するように観察すると、第三抵抗領域110Cは、
・ハニカム構造部110の中心軸Oを含む中心部110C1、
・中心部110C1の左端に隣接して第三抵抗領域110Cの左端まで延び、中心部110C1よりも上下方向の幅の狭い左側部110C2、及び
・中心部110C1の右端に隣接して第三抵抗領域110Cの右端まで延び、中心部110C1よりも上下方向の幅の狭い右側部110C3、
の三つの領域に分類される。
図4及び図5に示す何れの実施形態においても、第三抵抗領域110Cの中心部110C1の左右方向の長さは、発熱量の分布を考慮して適宜設定すればよい。但し、第三抵抗領域110Cにおいては、電流は第一電極層112a及び第二電極層112bの左右方向の幅の内側に流れやすく、当該幅の外側の発熱量が小さくなりやすい。このことから、第一電極層112a及び第二電極層112bの左右方向の幅の外側において電流量の増加が促されることが好ましい。従って、好ましい実施形態においては、第三抵抗領域110Cの中心部110C1の右端は、第一電極層112aの外周方向右端よりも右側にあり、且つ、第二電極層112bの外周方向右端よりも右側にある。更に、第三抵抗領域110Cの中心部110C1の左端は、第一電極層112aの外周方向左端よりも左側にあり、且つ、第二電極層112bの外周方向左端よりも左側にある。
図4に示す実施形態に関し、セルの延びる方向に直交する断面において、中心軸Oを通り、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線に垂直な直線Nを引く。直線N上で、第一電極層112a(第二電極層112b)の外周方向右端よりも右側にある第三抵抗領域110Cの長さをaとし、その内、第三抵抗領域110Cの中心部110C1が占める長さをbとする。このとき、例えば0.05≦b/a≦0.95とすることができ、典型的には、0.1≦b/a≦0.9とすることができる。
同様に、直線N上で、第一電極層112a(第二電極層112b)の外周方向左端よりも左側にある第三抵抗領域110Cの長さをcとし、その内、第三抵抗領域110Cの中心部110C1が占める長さをdとする。このとき、例えば0.05≦d/c≦0.95とすることができ、典型的には、0.1≦d/c≦0.9とすることができる。
図5に示す実施形態に関し、セルの延びる方向に直交する断面において、中心軸Oを通り、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線に垂直な直線Nを引く。直線N上で、第一電極層112a(第二電極層112b)の外周方向右端よりも右側にある第三抵抗領域110Cの長さをaとし、その内、第三抵抗領域110Cの中心部110C1が占める長さをbとする。このとき、例えば0.05≦b/a≦0.95とすることができ、典型的には、0.1≦b/a≦0.9とすることができる。
同様に、直線N上で、第一電極層112a(第二電極層112b)の外周方向左端よりも左側にある第三抵抗領域110Cの長さをcとし、その内、第三抵抗領域110Cの中心部110C1が占める長さをdとする。このとき、例えば0.05≦d/c≦0.95とすることができ、典型的には、0.1≦d/c≦0.9とすることができる。
更に、図5に示す実施形態に関し、セルの延びる方向に直交する断面において、第三抵抗領域110Cの中心部110C1の上下方向の幅をeとし、第三抵抗領域110Cの左側部110C2の上下方向の幅をfとし、第三抵抗領域110Cの右側部110C3の上下方向の幅をgとする。このとき、例えば0.05≦f/e≦0.95、且つ、0.05≦g/e≦0.95とすることができ、典型的には、0.1≦f/e≦0.9、且つ、0.1≦g/e≦0.9とすることができる。
第一抵抗領域110Aの単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値をR1ave、第二抵抗領域110Bの単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値をR2ave、第三抵抗領域110Cの単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値をR3aveとすると、R3ave/R1ave及びR3ave/R2aveは、大きいほうが過剰発熱しやすい第一電極層112a及び第二電極層112bの近傍における温度上昇を抑制するのに有利である。但し、過度に大きくすると逆にハニカム構造部の中心軸付近の温度が相対的に高くなり、また、クラック発生の原因となる。
従って、好ましい実施形態においては、(1)及び(2)の何れか又は両方の関係が成立することが望ましく、(1)及び(2)の両方の関係が成立することがより望ましい。
1.2≦(R3ave/R1ave)≦4・・・(1)
1.2≦(R3ave/R2ave)≦4・・・(2)
より好ましい実施形態においては、(3)及び(4)の何れか又は両方の関係が成立することが望ましく、(3)及び(4)の両方の関係が成立することがより望ましい。
1.5≦(R3ave/R1ave)≦3.5・・・(3)
1.5≦(R3ave/R2ave)≦3.5・・・(4)
更により好ましい実施形態においては、(5)及び(6)の何れか又は両方の関係が成立することが望ましく、(5)及び(6)の両方の関係が成立することがより望ましい。
2≦(R3ave/R1ave)≦3・・・(5)
2≦(R3ave/R2ave)≦3・・・(6)
各抵抗領域における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値は、各抵抗領域を構成するハニカム構造部の複数の正方形区画の単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗をすべて求め、それらの算術平均として算出することが可能である。
R1ave、R2ave及びR3aveは印加する電圧に応じて適宜設定すればよく、特段の制限はない。例えば、R3aveは0.0001~20Ωとすることができる。64V以上の高電圧用には0.1~20Ωとすることができ、典型的には0.5~15Ωとすることができる。また、64V未満の低電圧用には0.0001~1Ωとすることができ、典型的には0.001~0.5Ωとすることができる。
第三抵抗領域110Cは第一電極層112a及び第二電極層112bの何れにも接触する部分を有しない。発熱均一性を高めるという観点からは、第三抵抗領域110Cは、第一電極層112a及び第二電極層112bから離れている方が望ましい。
具体的には、図3を参照すると、セルの延びる方向に直交する断面において、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線が、ハニカム構造部110を横切る長さ(外周壁の表面間の距離であって、電極層は含まない)をLとすると、第三抵抗領域110Cは、第一電極層112aとの最短距離D1が0.02×L以上であり、且つ、第二電極層112bとの最短距離D2が0.02×L以上であることが好ましい。最短距離D1が0.03×L以上であり、且つ、最短距離D2が0.03×L以上であることがより好ましい。最短距離D1が0.05×L以上であり、且つ、最短距離D2が0.05×L以上であることが更により好ましい。
最短距離D1及び最短距離D2は、第三抵抗領域110Cが存在可能な限りにおいて長くしてもよいが、均一発熱性の観点からは、最短距離D1が0.5×L未満であり、且つ、最短距離D2が0.5×L未満であることがより好ましい。最短距離D1が0.45×L以下であり、且つ、最短距離D2が0.45×L以下であることが更により好ましく、特に好ましくは、最短距離D1が0.3×L以下であり、且つ、最短距離D2が0.3×L以下である。
従って、好ましい実施形態においては、0.02×L≦D1<0.5×L、且つ、0.02×L≦D2<0.5×Lを満たし、より好ましい実施形態においては、0.03×L≦D1≦0.3×L、且つ、0.03×L≦D2≦0.3×Lを満たし、更に好ましい実施形態においては、0.05×L≦D1≦0.3×L、且つ、0.05×L≦D2≦0.3×Lを満たす。
再び図3を参照すると、好ましい実施形態においては、セルの延びる方向に直交する断面において、第一抵抗領域110A、第二抵抗領域110B及び第三抵抗領域110Cは、中心軸Oを通り、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線に垂直な直線Nを対称中心として線対称に形成される。また、好ましい実施形態においては、セルの延びる方向に直交する断面において、第一電極層112a及び第二電極層112bは、中心軸Oを通り、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線に垂直な直線Nを対称中心として線対称に形成される。三つの抵抗領域及び一対の電極層が線分Nを対称中心として線対称に形成されることで、第一電極層112a及び第二電極層112bの何れを陽極としても(何れを陰極としても)同一の発熱性能をもつ電気加熱型担体が得られる。なお、本明細書において中心軸Oとは、セルの延びる方向に直交する断面におけるハニカム構造部の重心位置のことを指す。
先述したように、スリットは第三抵抗領域における電気抵抗を高くするために設けてもよいが、ハニカム構造部が第一抵抗領域、第二抵抗領域、及び第三抵抗領域の区別を有しない場合であっても設けることができる。図6には、本発明の更に別の一実施形態に係る電気加熱型担体のセルの延びる方向に直交する断面における複数のスリットの配置例を示す模式図が示されている。
図6を参照すると、当該実施形態に係る電気加熱型担体は、第一電極層112a及び第二電極層112bが何れも表面に設けられていない対向する一対の外周壁部分114a、114bに挟まれた領域110Dに、隔壁113の一部が欠損して構成されており、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線に対して平行な仮想線119に交差する方向に延びる一本又は二本以上のスリット120を有する。好ましい実施形態においては、一本又は二本以上のスリット120は、当該仮想線119となす角度φ(但し、0°≦φ≦90°とする。)が80°以上90°以下の範囲にある。
スリット120の存在によって通電経路が減じるため、スリット120が設けられている領域(スリット形成領域)においては、電気抵抗が高くなる。よって、第一電極層112a及び第二電極層112bの何れも表面に設けられていない一対の外周壁部分114a、114bに挟まれた領域110Dに、スリット120を設けることで、上述した第三抵抗領域110Cを設けた場合と類似の効果が期待できる。スリット120は、隔壁113のみを欠損させて構成してもよいが、スリット120は隔壁113のみならず更に外周壁114を欠損させて構成してもよい。
スリット形成領域は、第三抵抗領域110Cが広がる範囲と同じ範囲とすることが好ましい。例えば、図3に示す実施形態における第三抵抗領域110Cのように、セルの延びる方向に直交する断面を左右に横断し、上下方向の幅が一定の帯状に広がる領域内にスリット120を複数設けることができる。
また、図5に示す第三抵抗領域110Cのように、中心軸Oを含む中心部と、中心部の左側に隣接して設けられ、中心部よりも上下方向の幅の狭い左側部と、中心部の右側に隣接して設けられ、中心部よりも上下方向の幅の狭い右側部とによって画定されるスリット形成領域内にスリット120を複数設けることができる。図6に示す実施形態において、スリット形成領域の上下方向の幅は、中心部110D1よりも左側部110D2及び右側部110D3の方が狭い。
発熱均一性を高めるという観点からは、スリット120は、第一電極層112a及び第二電極層112bから離れている方が望ましい。
具体的には、図6を参照すると、セルの延びる方向に直交する断面において、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線が、ハニカム構造部110を横切る長さ(外周壁の表面間の距離であって、電極層は含まない)をLとすると、スリット120は、第一電極層112aとの最短距離D1が0.02×L以上であり、且つ、第二電極層112bとの最短距離D2が0.02×L以上であることが好ましい。最短距離D1が0.03×L以上であり、且つ、最短距離D2が0.03×L以上であることがより好ましい。最短距離D1が0.05×L以上であり、且つ、最短距離D2が0.05×L以上であることが更により好ましい。
最短距離D1及び最短距離D2は、スリット120が存在可能な限りにおいて長くしてもよいが、均一発熱性の観点からは、最短距離D1が0.5×L未満であり、且つ、最短距離D2が0.5×L未満であることがより好ましい。最短距離D1が0.45×L以下であり、且つ、最短距離D2が0.45×L以下であることが更により好ましく、特に好ましくは、最短距離D1が0.3×L以下であり、且つ、最短距離D2が0.3×L以下である。
従って、好ましい実施形態においては、0.02×L≦D1<0.5×L、且つ、0.02×L≦D2<0.5×Lを満たし、より好ましい実施形態においては、0.03×L≦D1≦0.3×L、且つ、0.03×L≦D2≦0.3×Lを満たし、更に好ましい実施形態においては、0.05×L≦D1≦0.3×L、且つ、0.05×L≦D2≦0.3×Lを満たす。
また、好ましい実施形態においては、セルの延びる方向に直交する断面において、複数のスリット120が、中心軸Oを通り、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線に垂直な直線Nを対称中心として線対称に形成される。また、好ましい実施形態においては、セルの延びる方向に直交する断面において、第一電極層112a及び第二電極層112bは、中心軸Oを通り、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線に垂直な直線Nを対称中心として線対称に形成される。複数のスリット120及び一対の電極層が線分Nを対称中心として線対称に形成されることで、第一電極層112a及び第二電極層112bの何れを陽極としても(何れを陰極としても)同一の発熱性能をもつ電気加熱型担体が得られる。
図6に示す実施形態において、セルの延びる方向に直交する断面を、第一電極層112aが上側に、第二電極層112bが下側に位置するように観察したときに、スリット形成領域の中心部110D1の左右方向の長さは、発熱量の分布を考慮して適宜設定すればよい。但し、スリット形成領域においては、電流は第一電極層112a及び第二電極層112bの左右方向の幅の内側に流れやすく、当該幅の外側の発熱量が小さくなりやすい。このことから、第一電極層112a及び第二電極層112bの左右方向の幅の外側において電流量の増加が促されることが好ましい。従って、好ましい実施形態においては、スリット形成領域の中心部110D1の右端は、第一電極層112aの外周方向右端よりも右側にあり、且つ、第二電極層112bの外周方向右端よりも右側にある。更に、スリット形成領域の中心部110D1の左端は、第一電極層112aの外周方向左端よりも左側にあり、且つ、第二電極層112bの外周方向左端よりも左側にある。
図6に示す実施形態に関し、セルの延びる方向に直交する断面において、中心軸Oを通り、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線に垂直な直線Nを引く。直線Nが延びる方向において、第一電極層112a(第二電極層112b)の外周方向右端よりも右側にあるスリット形成領域の長さをaとし、その内、中心部110D1が占める長さをbとする。このとき、例えば0.05≦b/a≦0.95とすることができ、典型的には、0.1≦b/a≦0.9とすることができる。
同様に、直線Nが延びる方向において、第一電極層112a(第二電極層112b)の外周方向左端よりも左側にあるスリット形成領域の長さをcとし、その内、中心部110D1が占める長さをdとする。このとき、例えば0.05≦d/c≦0.95とすることができ、典型的には、0.1≦d/c≦0.9とすることができる。
更に、図6に示す実施形態に関し、セルの延びる方向に直交する断面において、スリット形成領域の中心部110D1の上下方向の幅をeとし、左側部110D2の上下方向の幅をfとし、右側部110D3の上下方向の幅をgとする。このとき、例えば0.05≦f/e≦0.95、且つ、0.05≦g/e≦0.95とすることができ、典型的には、0.1≦f/e≦0.9、且つ、0.1≦g/e≦0.9とすることができる。
各スリット120の長手方向(図6の左右方向)の長さの下限は、特に制限はないが、一般的には2mm以上である。各スリット120の長手方向の長さの上限は、強度(セル欠損が多いと、強度が低下し、キャニング時の応力に耐えられない)の理由から、0.5×L以下であることが好ましく、0.25×L以下であることがより好ましく、0.125×L以下であることが更により好ましい。
各スリット120の短手方向(図6の上下方向)の長さの下限は、特に制限はないが、一般的には1mm以上である。各スリット120の短手方向の長さの上限は、強度(セル欠損が多いと、強度が低下し、キャニング時の応力に耐えられない)の理由から、0.07×L以下であることが好ましく、0.05×L以下であることがより好ましく、0.015×L以下であることが更により好ましい。
複数のスリット120の配置については、限定的ではないが、スリット形成領域において偏りなく配置することが好ましい。具体的には、セルの延びる方向に直交する断面において、複数のスリット120は、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線に垂直な方向(図6の左右方向)に等間隔で並んだスリット120の列を構成することが好ましい。一つのスリット120の列は、例えば1~27個のスリットで構成されることができる。また、複数のスリット120の列が、上下方向に等間隔に設けられることが好ましい。上下方向に設けられるスリット120の列の数は、例えば1~50個とすることができる。図6に示す実施形態においては、左右方向に等間隔で並んだスリット120の列が、上下方向に等間隔に5列設けられている。
複数のスリット120の列を上下方向に配置する場合は、スリット120を互い違いに(千鳥状に)配置することが好ましい。これにより、第一電極層112aと第二電極層112bの間に電圧を印加したときにスリット形成領域において通電経路が偏りなく減じられるので発熱均一性が向上する。更に、複数のスリット120の列を上下方向に配置する場合、スリット形成領域を、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線が延びる方向(図6の上下方向)に直線状に貫通する通電経路が存在しなくなるように複数のスリット120を配置することがより好ましい。
外周壁114及び隔壁113の材質は、通電してジュール熱により発熱可能である限り特に材質に制限はなく、セラミックス(とりわけ導電性セラミックス)等を単独で又は組み合わせて使用可能である。外周壁114及び隔壁113の材質としては、限定的ではないが、アルミナ、ムライト、ジルコニア及びコージェライト等の酸化物系セラミックス、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックスの一種又は二種以上を使用することができる。また、炭化珪素-金属珪素複合材や炭化珪素/グラファイト複合材等を用いることもできる。これらの中でも、耐熱性と導電性の両立の観点から、外周壁114及び隔壁113の材質は、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とすることが好ましく、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素であることが更に好ましい。外周壁114及び隔壁113の材質が、珪素-炭化珪素複合材を主成分とするものであるというときは、外周壁114及び隔壁113がそれぞれ、珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。外周壁114及び隔壁113の材質が、炭化珪素を主成分とするものであるというときは、外周壁114及び隔壁113がそれぞれ、炭化珪素(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
外周壁114及び隔壁113が、珪素-炭化珪素複合材を含んでいる場合、外周壁114及び隔壁113に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、外周壁114及び隔壁113に含有される「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、外周壁114及び隔壁113に含有される「結合材としての珪素の質量」の比率はそれぞれ、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。10質量%以上であると、外周壁114及び隔壁113の強度が十分に維持される。40質量%以下であると、焼成時に形状を保持しやすくなる。
セル115の延びる方向に垂直な断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これ等のなかでも、四角形及び六角形が好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造部110に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。
セル115は一方の端面116から他方の端面118まで貫通していてもよい。また、セル115は、一方の端面116が目封止されており他方の端面118が開口を有する第1セルと、一方の端面116が開口を有し他方の端面118が目封止されている第2セルとが隔壁113を挟んで交互に隣接配置されていてもよい。
セル115を区画形成する隔壁113の厚みは、0.1~0.3mmであることが好ましく、0.1~0.2mmであることがより好ましい。隔壁113の厚みが0.1mm以上であることで、ハニカム構造部110の強度が低下するのを抑制可能である。隔壁113の厚みが0.3mm以下であることで、ハニカム構造部110を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなるのを抑制できる。本発明において、隔壁113の厚みは、セル115の延びる方向に垂直な断面において、隣接するセル115の重心同士を結ぶ線分のうち、隔壁113を通過する部分の長さとして定義される。
ハニカム構造部110は、セル115の延びる方向に垂直な断面において、セル密度が40~150セル/cm2であることが好ましく、70~100セル/cm2であることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、ハニカム構造部110に排ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cm2以上であると、触媒担持面積が十分に確保される。セル密度が150セル/cm2以下であるとハニカム構造部110を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなりすぎることが抑制される。セル密度は、外周壁114よりも内周側のハニカム構造部110の一つの端面の面積でセル数を除して得られる値である。
隔壁113はSi含浸SiCの形態等のように緻密質でもよいが、多孔質とすることが好ましい。隔壁113の気孔率は、35~60%であることが好ましく、35~45%であることが更に好ましい。気孔率が35%以上であると、焼成時の変形をより抑制しやすくなる。気孔率が60%以下であるとハニカム構造部110の強度が十分に維持される。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。なお、緻密質というのは気孔率が5%以下のことを指す。
隔壁113の平均細孔径は、2~15μmであることが好ましく、4~8μmであることが更に好ましい。平均細孔径が2μm以上であると、体積抵抗率が大きくなりすぎることが抑制される。平均細孔径が15μm以下であると、体積抵抗率が小さくなりすぎることが抑制される。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
(1-2.電極層)
図1A及び図1Bを参照しながら電極層(112a、112b)について説明する。外周壁114の表面には、第一電極層112aがセル115の延びる方向に帯状に設けられている。また、外周壁114の表面には、ハニカム構造部110の中心軸Oを挟んで第一電極層112aと対向するように、第二電極層112bがセル115の延びる方向に帯状に設けられている。一般に、第一電極層112a及び第二電極層112bは、外周壁114よりも体積抵抗率が低い。このため、一対の電極層112a、112bが外周壁114の表面に配設されることで、電流がハニカム構造部110の周方向及びセル115の延びる方向に広がりやすくなるので、ハニカム構造部110の均一発熱性を高めることが可能となる。具体的には、セル115の延びる方向に垂直な断面において、一対の電極層112a、112bのそれぞれの周方向中心からハニカム構造部110の中心軸Oまで延ばした二つの線分のなす角度θ(0°≦θ≦180°)は、150°≦θ≦180°であることが好ましく、160°≦θ≦180°であることがより好ましく、170°≦θ≦180°であることが更により好ましく、180°であることが最も好ましい。
電極層112a、112bの形成領域に特段の制約はないが、ハニカム構造部110の均一発熱性を高めるという観点からは、電極層112a、112bはそれぞれ、外周壁114の外表面上でハニカム構造部110の周方向及びセル115の延びる方向に帯状に延設することが好ましい。具体的には、セル115の延びる方向に垂直な断面において、各電極層112a、112bの周方向の両端と中心軸Oとを結ぶ2本の線分が作る中心角αは、電流を周方向に広げて均一発熱性を高めるという観点から、30°以上であることが好ましく、40°以上であることがより好ましく、60°以上であることが更により好ましい。但し、中心角αを大きくし過ぎると、ハニカム構造部110の内部を通過する電流が少なくなり、外周壁114付近を通過する電流が多くなる。そこで、当該中心角αは、ハニカム構造部110の均一発熱性の観点から、140°以下であることが好ましく、130°以下であることがより好ましく、120°以下であることが更により好ましい。また、電極層112a、112bはそれぞれ、ハニカム構造部110の両端面間の長さの80%以上の長さに亘って、好ましくは90%以上の長さに亘って、より好ましくは全長に亘って延びていることが望ましい。電極層112a、112bは単層で構成されていてもよく、複数層が積層された積層構造を有することもできる。
電極層112a、112bの厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより均一発熱性を高めることができる。電極層112a、112bの厚みが0.01mm以上であると、電気抵抗が適切に制御され、より均一に発熱することができる。5mm以下であると、キャニング時に破損する恐れが低減される。電極層112a、112bの厚みは、厚みを測定しようとする電極層112a、112bの箇所をセル115の延びる方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における電極層112a、112bの外表面の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
電極層112a、112bの体積抵抗率を隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率より低くすることにより、電極層112a、112bに優先的に電気が流れやすくなり、通電時に電気がハニカム構造部110の周方向及びセル115の延びる方向に広がりやすくなる。電極層112a、112bの体積抵抗率は、隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率の1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましく、1/30以下であることが更により好ましい。但し、両者の体積抵抗率の差が大きくなりすぎると対向する電極層112a、112bの端部間に電流が集中してハニカム構造部110の発熱が偏ることから、電極層112a、112bの体積抵抗率は、隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率の1/200以上であることが好ましく、1/150以上であることがより好ましく、1/100以上であることが更により好ましい。本発明において、電極層、隔壁及び外周壁の体積抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
電極層112a、112bの材質は、限定的ではないが、金属とセラミックス(とりわけ導電性セラミックス)との複合材(サーメット)を使用することができる。金属としては、例えばCr、Fe、Co、Ni、Si又はTiの単体金属又はこれらの金属から選択される少なくとも一種の金属を含有する合金が挙げられる。セラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)の他、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられる。金属とセラミックスとの複合材(サーメット)の具体例としては、金属珪素と炭化珪素の複合材、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材、更には上記の一種又は二種以上の金属に熱膨張低減の観点から、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素及び窒化アルミ等の絶縁性セラミックスを一種又は二種以上添加した複合材が挙げられる。電極層112a、112bの材質としては、上記の各種金属及びセラミックスの中でも、金属珪素と炭化珪素の複合材とすることが、隔壁及び外周壁と同時に焼成できるので製造工程の簡素化に資するという理由により好ましい。
(1-3.金属端子)
図1A及び図1Bを参照すると、電気加熱型担体100は、第一電極層112aに電気的に接続された少なくとも一つの第一金属端子130aと、第二電極層112bに電気的に接続された少なくとも一つの第二金属端子130bとを設けることができる。第一電極層112aと第一金属端子130aは直接接合されもよいし、熱膨張差を緩和して接合信頼性の改善を図る目的で両者の間に一層又は二層以上の下地層(不図示)を設けてもよい。同様に、第二電極層112bと第二金属端子130bは直接接合されもよいし、熱膨張差を緩和して接合信頼性の改善を図る目的で両者の間に一層又は二層以上の下地層を設けてもよい。
金属端子130a、130bを介してハニカム構造部110に電圧を印加すると通電してハニカム構造部110にジュール熱が発生する。このため、ハニカム構造部110はヒーターとしても好適に用いることができる。これにより、ハニカム構造部110の均一発熱性を向上させることが可能となる。印加する電圧は12~900Vが好ましく、48~600Vが更に好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
金属端子130a、130bと電極層112a、112b(下地層が設けられる場合は下地層)の接合方法には、特に制限はないが、例えば、溶接、溶射、ロウ付が挙げられる。中でも、800℃以上に加熱しても接合部の変質が少ないという理由により、溶接、溶射が好ましい。
金属端子130a、130bの材質としては、金属であれば特段の制約はなく、単体金属及び合金等を採用することもできるが、耐食性、体積抵抗率及び線膨張率の観点から例えば、Cr、Fe、Co、Ni及びTiよりなる群から選択される少なくとも一種を含む合金とすることが好ましく、ステンレス鋼及びFe-Ni合金がより好ましい。
(2.製造方法)
次に、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体を製造する方法について例示的に説明する。当該電気加熱型担体は、ハニカム成形体を得る工程A1と、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を得る工程A2と、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を焼成してハニカム構造体を得る工程A3と、ハニカム構造体の電極層に金属端子を接合する工程A4とを含む製造方法により製造可能である。
(工程A1)
工程A1は、ハニカム構造体の前駆体であるハニカム成形体を成形する工程である。ハニカム成形体の作製は、公知のハニカム構造体の製造方法におけるハニカム成形体の作製方法に準じて行うことができる。例えば、まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素粉末の質量との合計に対して、金属珪素粉末の質量が10~40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3~50μmが好ましく、3~40μmが更に好ましい。金属珪素粉末における金属珪素粒子の平均粒子径は、2~35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。なお、これは、ハニカム構造体の材質を、珪素-炭化珪素複合材とする場合の成形原料の配合であり、ハニカム構造体の材質を炭化珪素とする場合には、金属珪素は添加しない。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0~10.0質量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10~30μmであることが好ましい。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径のことである。
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~60質量部であることが好ましい。
次に、得られた成形原料を混練して坏土を形成した後、坏土を押出成形して、外周壁及び隔壁を有するハニカム成形体を作製する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。第三抵抗領域110Cの一部の隔壁113に欠損して構成されたスリットを設ける場合には、隔壁を欠損させる部分に対応する口金の一部を閉塞することによって、隔壁を欠損することができる。次に、得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、ハニカム成形体の両端部を切断して所望の長さとすることができる。乾燥後のハニカム成形体をハニカム乾燥体と呼ぶ。
工程A1の変形例として、ハニカム成形体を一旦焼成してもよい。すなわち、この変形例では、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製し、当該ハニカム焼成体に対して工程A2を実施する。
(工程A2)
工程A2は、ハニカム成形体の側面に電極層形成ペーストを塗布して、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を得る工程である。電極層形成ペーストは、電極層の要求特性に応じて配合した原料粉(金属粉末、及び、セラミックス粉末等)に各種添加剤を適宜添加して混練することで形成することができる。原料粉の平均粒子径は、限定的ではないが、例えば、5~50μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましい。原料粉の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
次に、得られた電極層形成ペーストを、ハニカム成形体(典型的にはハニカム乾燥体)の側面の所要箇所に塗布し、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を得る。電極層形成ペーストを調合する方法、及び電極層形成ペーストをハニカム成形体に塗布する方法については、公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができるが、電極層を外周壁及び隔壁に比べて低い体積抵抗率にするために、外周壁及び隔壁よりも金属の含有比率を高めたり、原料粉中の金属粒子の粒径を小さくしたりすることができる。
(工程A3)
工程A3は、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を焼成してハニカム構造体を得る工程である。焼成前に、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造体を乾燥してもよい。また、焼成前に、バインダ等を除去するため、脱脂を行ってもよい。焼成条件としては、ハニカム構造体の材質にもよるが、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200~1350℃で、1~10時間、酸化処理を行うことが好ましい。脱脂及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。
(工程A4)
工程A4は、ハニカム構造体の電極層上に金属端子を接合する工程である。接合方法としては、溶接、溶射、ロウ付などがあり、これらの方法により金属端子を接合する。
ハニカム構造体には用途に応じて適切な触媒を担持してもよい。ハニカム構造体に触媒を担持させる方法としては、例示的には、触媒スラリーを、従来公知の吸引法等によりセル内に導入し、隔壁の表面や細孔に付着させた後、高温処理を施して、触媒スラリーに含まれる触媒を隔壁に焼き付けて、担持する方法が挙げられる。
(3.排ガス浄化装置)
本発明の実施形態に係る電気加熱型担体は、排ガス浄化装置に用いることができる。排ガス浄化装置は、電気加熱型担体と、電気加熱型担体を収容する筒状の金属管とを有する。排ガス浄化装置において、電気加熱型担体は、エンジンからの排ガスを流すための排ガス流路の途中に設置することができる。金属管としては、電気加熱型担体を収容する金属製の筒状部材等を用いることができる。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<I.試験番号1~8>
(1.円柱状の坏土の作製)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合してセラミックス原料を調製した。そして、セラミックス原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。そして、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部とした。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部とした。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部とした。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は20μmであった。炭化珪素粉末、金属珪素粉末及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
(2.ハニカム乾燥体の作製)
得られた円柱状の坏土を碁盤目状の口金構造を有する押出成形機を用いて成形し、セルの流路方向に垂直な断面における各セル形状が六角形である円柱状ハニカム成形体を得た。押出成形の際、試験番号1においてはすべての隔壁の厚みが一定となるように口金を設計した。一方、試験番号2~8に対しては、セルの延びる方向に直交する断面を、第一電極層112aが上側に、第二電極層112bが下側に位置するように観察したときに、図3に示すような、当該断面を左右に横断し、上下方向の幅が一定の帯状の第三抵抗領域110Cが形成されるように、第三抵抗領域110Cを形成予定の場所にある隔壁の厚みを、第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bを形成予定の場所にある隔壁の厚みに比べて薄くした。薄さの度合いは試験番号に応じて変化させた。このハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断して、ハニカム乾燥体を作製した。
(3.電極層形成ペーストの調製)
金属珪素(Si)粉末、炭化珪素(SiC)粉末、メチルセルロース、グリセリン、及び水を、自転公転攪拌機で混合して、電極層形成ペーストを調製した。Si粉末、及びSiC粉末は体積比で、Si粉末:SiC粉末=40:60となるように配合した。また、Si粉末、及びSiC粉末の合計を100質量部としたときに、メチルセルロースは0.5質量部であり、グリセリンは10質量部であり、水は38質量部であった。金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素粉末の平均粒子径は35μmであった。これらの平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
(4.電極層形成ペーストの塗布)
上記の電極層形成ペーストを上記のハニカム乾燥体の外周壁の外表面上に中心軸を挟んで対向するように、曲面印刷機によって二箇所塗布した。各塗布部は、ハニカム乾燥体の両端面間の全長に亘って帯状に形成した(角度θ=180°、中心角α=100°)。
(5.焼成)
電極層形成ペースト付きハニカム乾燥体を120℃で乾燥した後、大気雰囲気において、550℃で3時間、脱脂した。次に、脱脂した電極層形成ペースト付きハニカム乾燥体を焼成し、その後に酸化処理して、電極層付きハニカム構造体を作製した。焼成は、1450℃のアルゴン雰囲気中で2時間行った。酸化処理は、1300℃の大気中で1時間行った。なお、各試験番号における電極層付きハニカム構造体は以下の評価に必要な個数を作製した。
上記の製造条件で得られた電極層付きハニカム構造体は、端面が直径93mm(電極層を除く)の円形であり、高さ(セルの延びる方向における長さ)が65mmであった。セル密度は90セル/cm2であり、外周壁の厚みは300μmであり、隔壁の気孔率は45%であり、隔壁の平均細孔径は8.6μmであった。電極層の厚みは0.3mmであった。また、各試験番号における抵抗領域毎の隔壁の厚みを表1に示す。
また、上記の製造条件で得られた試験番号2~8に係る電極層付きハニカム構造体のハニカム構造部における抵抗領域の配置については何れも、L=93mm、D1=0.05×L(4.89mm)、D2=0.05×L(4.89mm)であった。L、D1及びD2の定義は先述した通りである。また、第一抵抗領域110A、第二抵抗領域110B及び第三抵抗領域110Cは、中心軸Oを通り、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線Lに垂直な直線Nを対称中心として線対称に形成されていた。
試験番号1においては、ハニカム構造部内における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗は実質的に一定であることから、ハニカム構造部から任意の一箇所について3cm3の直方体サンプルを採取し、四端子法に従って室温(25℃)で測定することで求めた。試験番号2~8においては、第一抵抗領域110A、第二抵抗領域110B及び第三抵抗領域110Cにおける単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗は各領域内でそれぞれ実質的に一定であるため、ハニカム構造部の各抵抗領域から任意の一箇所について3cm3の直方体サンプルを採取し、四端子法に従って室温(25℃)で測定することで求めた。結果を表1に示す。なお、表1に記載の電気抵抗の値は、各抵抗領域における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値と一致する。
(6.温度分布のシミュレーション)
上記の製造条件で得られたハニカム構造体について、一対の電極層のそれぞれの表面中央に7kWの電力となるような電圧を30s印加したときの、セルの延びる方向に直交する断面であって、ハニカム構造部のセルの延びる方向の中央における温度分布を市販の有限要素法CAE解析のソフトウェアを使用して、シミュレーションした。温度の測定箇所は図3に示すt1~t5の5箇所ある。なお、第一抵抗領域110A、第二抵抗領域110B及び第三抵抗領域110Cは、直線Nを対称中心として線対称に形成されているため、図3における下半分の温度分布は記載していないが、概ね上半分と線対称に現れる。結果を表2に示す。
(7.クラック評価)
上記の製造条件で得られたハニカム構造体について、一対の電極層のそれぞれの表面中央に7kWの電力となるような電圧を30s印加した後の外周壁及び電極層のクラックを目視で評価した。クラックの評価は以下の基準とした。結果を表2に示す。
A:クラック無し
B:微小クラックあり(通電分布からクラックが確認できず、通電性能に影響しないレベル)
C:クラックあり(通電分布からクラックが確認でき、通電性能に影響するレベル)
<II.試験番号9~12>
第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線が、ハニカム構造部110を横切る長さ(L)、電極層の形成領域(中心角α)、第一抵抗領域110A、第二抵抗領域110B及び第三抵抗領域110Cの配置(D1及びD2)を表2に示すように変化させた他は、試験番号3と同様の手順で円柱状のハニカム構造体を得た。得られたハニカム構造体について、試験番号3と同様の方法で、温度分布のシミュレーション及びクラック評価を行った。結果を表2に示す。
<III.試験番号13>
(1.円柱状の坏土の作製)
直径が異なる他は、試験番号1と同様の手順で円柱状の坏土を作製した。
(2.ハニカム乾燥体の作製)
得られた円柱状の坏土を碁盤目状の口金構造を有する押出成形機を用いて成形し、セルの流路方向に垂直な断面における各セル形状が六角形である円柱状ハニカム成形体を得た。押出成形の際、セルの延びる方向に直交する断面を、第一電極層112aが上側に、第二電極層112bが下側に位置するように観察したときに、図4に示すような、セルの延びる方向に直交する断面を左右に横断し、上下方向の幅が一定の帯状の第三抵抗領域110Cが形成されるように、第三抵抗領域110Cを形成予定の場所にある隔壁の厚みを、第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bを形成予定の場所にある隔壁の厚みに比べて薄くした。更に、第三抵抗領域110Cの中に以下の三つの領域が形成されるように、第三抵抗領域110Cにおける隔壁の厚みを調整した。
・ハニカム構造部110の中心軸Oを含む中心部110C1。
・中心部110C1の左端に隣接して第三抵抗領域110Cの左端まで延び、中心部110C1よりも単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗が低い左側部110C2。
・中心部110C1の右端に隣接して第三抵抗領域110Cの右端まで延び、中心部110C1よりも単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗が低い右側部110C3。
このハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断して、ハニカム乾燥体を作製した。
(3.電極層形成ペーストの調製)
試験番号1と同様の電極層形成ペーストを調製した。
(4.電極層形成ペーストの塗布)
上記の電極層形成ペーストを上記のハニカム乾燥体の外周壁の外表面上に中心軸を挟んで対向するように、曲面印刷機によって二箇所塗布した。各塗布部は、ハニカム乾燥体の両端面間の全長に亘って帯状に形成した(角度θ=180°、中心角α=93°)。
(5.焼成)
電極層形成ペースト付きハニカム乾燥体を120℃で乾燥した後、大気雰囲気において、550℃で3時間、脱脂した。次に、脱脂した電極層形成ペースト付きハニカム乾燥体を焼成し、その後に酸化処理して、電極層付きハニカム構造体を作製した。焼成は、1450℃のアルゴン雰囲気中で2時間行った。酸化処理は、1300℃の大気中で1時間行った。なお、各試験番号における電極層付きハニカム構造体は以下の評価に必要な個数を作製した。
上記の製造条件で得られた電極層付きハニカム構造体は、端面が直径118mm(電極層を除く)の円形であり、高さ(セルの延びる方向における長さ)が65mmであった。セル密度は90セル/cm2であり、外周壁の厚みは300μmであり、隔壁の気孔率は45%であり、隔壁の平均細孔径は8.6μmであった。電極層の厚みは0.3mmであった。また、抵抗領域毎の隔壁の厚みを表1に示す。
また、上記の製造条件で得られた電極層付きハニカム構造体のハニカム構造部における抵抗領域の配置については、L=118mm、D1=0.05×L(5.61mm)、D2=0.05×L(5.61mm)、b/a=0.14、d/c=0.14であった。L、D1、D2、b/a、及びd/cの定義は先述した通りである。また、第一抵抗領域110A、第二抵抗領域110B及び第三抵抗領域110Cは、中心軸Oを通り、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線Lに垂直な直線Nを対称中心として線対称に形成されていた。
第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bにおける単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗は各領域内でそれぞれ実質的に一定であるため、ハニカム構造部の各抵抗領域から任意の一箇所について3cm3の直方体サンプルを採取し、四端子法に従って室温(25℃)で測定することで求めた。また、第三抵抗領域110Cは、中心部110C1、左側部110C2及び右側部110C3の三つの領域に分類され、各領域における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗はそれぞれ実質的に一定である。そこで、単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗を、中心部110C1、左側部110C2及び右側部110C3から任意の一箇所について3cm3の直方体サンプルを採取し、四端子法に従って室温(25℃)で測定することで求めた。結果を表1に示す。なお、表1に記載の電気抵抗の値は、各抵抗領域における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値と一致する。
(6.特性評価)
得られたハニカム構造体について、試験番号1と同様の方法で、温度分布のシミュレーションを行った。結果を表2に示す。
<IV.試験番号14>
(1.円柱状の坏土の作製)
直径が異なる他は、試験番号1と同様の手順で円柱状の坏土を作製した。
(2.ハニカム乾燥体の作製)
得られた円柱状の坏土を碁盤目状の口金構造を有する押出成形機を用いて成形し、セルの流路方向に垂直な断面における各セル形状が六角形である円柱状ハニカム成形体を得た。押出成形の際、セルの延びる方向に直交する断面を、第一電極層112aが上側に、第二電極層112bが下側に位置するように観察したときに、図5に示すような、セルの延びる方向に直交する断面を左右に横断し、上下方向の幅が変化する第三抵抗領域110Cが形成されるように、第三抵抗領域110Cを形成予定の場所にある隔壁の厚みを、第一抵抗領域110A及び第二抵抗領域110Bを形成予定の場所にある隔壁の厚みに比べて薄くした。また、第三抵抗領域110Cの中に以下の三つの領域が形成されるように、第三抵抗領域110Cの配置を調整した。
・ハニカム構造部110の中心軸Oを含む中心部110C1。
・中心部110C1の左端に隣接して第三抵抗領域110Cの左端まで延び、中心部110C1よりも上下方向の幅の狭い左側部110C2。
・中心部110C1の右端に隣接して第三抵抗領域110Cの右端まで延び、中心部110C1よりも上下方向の幅の狭い右側部110C3。
このハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両端面を所定量切断して、ハニカム乾燥体を作製した。
(3.電極層形成ペーストの調製)
試験番号1と同様の電極層形成ペーストを調製した。
(4.電極層形成ペーストの塗布)
上記の電極層形成ペーストを上記のハニカム乾燥体の外周壁の外表面上に中心軸を挟んで対向するように、曲面印刷機によって二箇所塗布した。各塗布部は、ハニカム乾燥体の両端面間の全長に亘って帯状に形成した(角度θ=180°、中心角α=93°)。
(5.焼成)
電極層形成ペースト付きハニカム乾燥体を120℃で乾燥した後、大気雰囲気において、550℃で3時間、脱脂した。次に、脱脂した電極層形成ペースト付きハニカム乾燥体を焼成し、その後に酸化処理して、電極層付きハニカム構造体を作製した。焼成は、1450℃のアルゴン雰囲気中で2時間行った。酸化処理は、1300℃の大気中で1時間行った。なお、各試験番号における電極層付きハニカム構造体は以下の評価に必要な個数を作製した。
上記の製造条件で得られた電極層付きハニカム構造体は、端面が直径118mm(電極層を除く)の円形であり、高さ(セルの延びる方向における長さ)が65mmであった。セル密度は90セル/cm2であり、外周壁の厚みは300μmであり、隔壁の気孔率は45%であり、隔壁の平均細孔径は8.6μmであった。電極層の厚みは0.3mmであった。また、抵抗領域毎の隔壁の厚みを表1に示す。
また、上記の製造条件で得られた電極層付きハニカム構造体のハニカム構造部における抵抗領域の配置については、L=118mm、D1=0.05×L(5.61mm)、D2=0.05×L(5.61mm)、b/a=0.14、d/c=0.14、f/e=0.71、g/e=0.71であった。L、D1、D2、b/a、d/c、f/e、g/eの定義は先述した通りである。また、第一抵抗領域110A、第二抵抗領域110B及び第三抵抗領域110Cは、中心軸Oを通り、第一電極層112aの外周方向中心と第二電極層112bの外周方向中心を結ぶ直線Lに垂直な直線Nを対称中心として線対称に形成されていた。
第一抵抗領域110A、第二抵抗領域110B及び第三抵抗領域110Cにおける単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗は各領域内でそれぞれ実質的に一定であるため、ハニカム構造部の各抵抗領域から任意の一箇所について3cm3の直方体サンプルを採取し、四端子法に従って室温(25℃)で測定することで求めた。結果を表1に示す。
(6.特性評価)
得られたハニカム構造体について、試験番号1と同様の方法で、温度分布のシミュレーションを行った。結果を表2に示す。
Figure 2022158927000002
Figure 2022158927000003
<V.考察>
表1及び表2の結果から分かるように、本発明の実施形態に係るハニカム構造体(電気加熱型担体)(試験番号2~14)を使用することで、クラックの発生を抑制しながら発熱均一性が改善したことが分かる。また、試験番号3、9~11と試験番号12との対比により、第一抵抗領域、第二抵抗領域、及び第三抵抗領域の配置を適切化することで、クラックの発生を抑制しながら顕著に発熱均一性が改善したことが分かる。
100 :電気加熱型担体
110 :ハニカム構造部
110A :第一抵抗領域
110B :第二抵抗領域
110C :第三抵抗領域
110C1 :中心部
110C2 :左側部
110C3 :右側部
110D1 :中心部
110D2 :左側部
110D3 :右側部
112a :第一電極層
112b :第二電極層
113 :隔壁
114 :外周壁
115 :セル
116 :端面
118 :端面
119 :仮想線
130a :第一金属端子
130b :第二金属端子

Claims (10)

  1. 外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有する導電性のハニカム構造部、
    前記外周壁の表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第一電極層、及び、
    前記外周壁の表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第二電極層であって、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで前記第一電極層と対向するように設けられた前記第二電極層、
    を備え、
    前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記ハニカム構造部は、
    ・前記第一電極層への接触部を有する第一抵抗領域、
    ・前記第二電極層への接触部を有する第二抵抗領域、及び、
    ・前記第一電極層及び前記第二電極層の何れにも接触せず、前記第一抵抗領域及び前記第二抵抗領域に挟まれるように当該断面を横断する第三抵抗領域、の三つの領域に分類され、
    前記第三抵抗領域は、前記第一抵抗領域及び前記第二抵抗領域における単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗よりも単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の高い、
    電気加熱型担体。
  2. 前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記第三抵抗領域は、前記第一電極層との最短距離が0.02×L以上であり、前記第二電極層との最短距離が0.02×L以上である、
    (上記Lは、前記第一電極層の外周方向中心と前記第二電極層の外周方向中心を結ぶ直線が、前記ハニカム構造部を横切る長さを示す)
    請求項1に記載の電気加熱型担体。
  3. 前記第一抵抗領域の単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値をR1ave、前記第二抵抗領域の単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値をR2ave、前記第三抵抗領域の単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗の平均値をR3aveとすると、(1)及び(2)の何れか又は両方の関係が成立する請求項1又は2に記載の電気加熱型担体。
    1.2≦(R3ave/R1ave)≦4・・・(1)
    1.2≦(R3ave/R2ave)≦4・・・(2)
  4. 前記セルの延びる方向に直交する断面を、前記第一電極層が上側に、前記第二電極層が下側に位置するように観察したときに、前記第三抵抗領域は、
    ・前記ハニカム構造部の中心軸を含む中心部、
    ・前記中心部の左端に隣接して前記第三抵抗領域の左端まで延び、前記中心部よりも単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗が低い左側部、及び
    ・前記中心部の右端に隣接して前記第三抵抗領域の右端まで延び、前記中心部よりも単位容積(1cm3)当たりの電気抵抗が低い右側部、
    の三つの領域に分類される、
    請求項1~3の何れか一項に記載の電気加熱型担体。
  5. 前記セルの延びる方向に直交する断面を、前記第一電極層が上側に、前記第二電極層が下側に位置するように観察したときに、前記第三抵抗領域は、
    ・前記ハニカム構造部の中心軸を含む中心部、
    ・前記中心部の左端に隣接して前記第三抵抗領域の左端まで延び、前記中心部よりも上下方向の幅の狭い左側部、及び
    ・前記中心部の右端に隣接して前記第三抵抗領域の右端まで延び、前記中心部よりも上下方向の幅の狭い右側部、
    の三つの領域に分類される、
    請求項1~4の何れか一項に記載の電気加熱型担体。
  6. 前記第三抵抗領域の中心部の右端は、前記第一電極層の外周方向右端よりも右側にあり、且つ、前記第二電極層の外周方向右端よりも右側にあり、
    前記第三抵抗領域の中心部の左端は、前記第一電極層の外周方向左端よりも左側にあり、且つ、前記第二電極層の外周方向左端よりも左側にある、
    請求項4又は5に記載の電気加熱型担体。
  7. 前記第三抵抗領域の隔壁の厚みが、前記第一抵抗領域及び前記第二抵抗領域の隔壁の厚みよりも小さい請求項1~6の何れか一項に記載の電気加熱型担体。
  8. 前記第三抵抗領域の一部の隔壁が欠損して構成されたスリットを有する請求項1~7の何れか一項に記載の電気加熱型担体。
  9. 外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有する導電性のハニカム構造部、
    前記外周壁の表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第一電極層、及び、
    前記外周壁の表面においてセルの延びる方向に帯状に設けられた第二電極層であって、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで前記第一電極層と対向するように設けられた前記第二電極層、
    を備え、
    前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記第一電極層及び前記第二電極層が何れも表面に設けられていない対向する一対の外周壁部分に挟まれた領域に、前記隔壁の一部が欠損して構成されており、前記第一電極層の外周方向中心と前記第二電極層の外周方向中心を結ぶ直線に対して平行な仮想線に交差する方向に延びる一本又は二本以上のスリットを有する、電気加熱型担体。
  10. 請求項1~9の何れか一項に記載の電気加熱型担体と、
    前記電気加熱型担体を収容する筒状の金属管と、を備える排ガス浄化装置。
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