JP7320154B1 - ハニカム構造体、電気加熱型担体及び排ガス浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱分布の均一性が改善されたハニカム構造体を提供する。【解決手段】セラミックス製のハニカム構造部と、外周壁の外表面に設けられてセルの延びる方向に帯状に延び、ハニカム構造部の中心軸を挟んで対向するように設けられた一対の電極層とを備え、セラミックスが少なくとも珪素と炭化珪素を含み、以下の(1)及び(2)の一方又は両方の条件を満たすハニカム構造体。(1)セラミックス中の珪素含有量が21~30質量%であり、珪素はP及びBを含み、珪素中のP濃度からB濃度を差し引いた値(P-B量)が20質量ppm以上である。(2)セラミックス中の炭化珪素含有量が50質量%以上であり、炭化珪素はAl及びNを含み、炭化珪素中のAl濃度からN濃度を差し引いた値(Al-N量)が130質量ppm以上450質量ppm以下である。【選択図】図1

Description

本発明はハニカム構造体に関する。また、本発明はハニカム構造体を備える電気加熱型担体に関する。また、本発明は電気加熱型担体を備える排ガス浄化装置に関する。
従来、コージェライトや炭化珪素を材料とするハニカム構造体に触媒を担持したものが、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いられている。ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要があるが、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題が従来生じていた。そこで、導電性セラミックス製のハニカム構造体に電極を配設し、通電によりハニカム構造体自体を発熱させることで、ハニカム構造体に担持された触媒をエンジン始動前又はエンジン始動時に活性温度まで昇温する電気加熱触媒(EHC)と呼ばれるシステムが開発されてきた。
EHCは一般に、外周壁、及び、外周壁の内側に配設され、第一端面から第二端面まで流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁を有する導電性のハニカム構造部と、ハニカム構造部の外周壁に配設された一対の電極層とを備える。EHCを、例えば、自動車等に搭載して使用する場合、自動車等の電気系統に使用される電源が共通で使用される。このため、EHCに過剰の電流が流れると、電源回路が損傷するおそれがある。EHC用の電源には様々な電圧が使用されるため、使用される電圧ごとにEHC用ハニカム構造体の抵抗を調整して、過剰の電流が流れないように制御することが重要となる。
特許文献1には、隔壁及び外周壁が、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有し、400℃における体積電気抵抗が1~40Ωcmであるハニカム構造体が記載されている。特許文献1には、炭化珪素粒子の平均粒子径を3~40μmとすることにより、ハニカム構造体の400℃における体積電気抵抗を1~40Ωcmにすることができると記載されている。当該ハニカム構造体は、400℃における体積電気抵抗が1~40Ωcmであるため、電圧の高い電源を用いて電流を流しても、過剰に電流が流れず、ヒーターとして好適に用いることができることも記載されている。
しかしながら、例えば、搭載する自動車の種類等によって、EHC用の電源には非常に広範囲の電圧が使用される。特に、EHC用の電源に、60V以下、例えば48Vといった低い電圧が使用される場合、過剰電流の発生を抑制するのに適切な体積抵抗率は、0.1Ωcm付近である。このように、広範囲の電圧が使用される近年のEHCにおいて、低電圧下で使用された場合であっても過剰電流の発生を良好に抑制する技術の研究・開発が望まれている。
そこで、特許文献2、3では、EHCを構成する珪素中に含まれるドーパント量の範囲について規定している。特許文献2、3では、ハニカム構造体の隔壁及び外周壁を構成するセラミックス中の珪素中のドーパントの濃度が、1×1016~5×1020個/cm3であることが記載されている。
また、EHCにおいては発熱分布の均一性も課題となっている。通常、ハニカム構造部は電極層より電気抵抗率が高いため、電極層に接続される端子からの電流は当該電極層において広げられてからハニカム構造部に流れる傾向がある。このため、ハニカム構造部を通過する距離が短くなる電極層の端部付近に多くの電流が流れ、ハニカム構造部の発熱分布が偏り触媒の加熱にばらつきが生じるという問題があった。発熱分布が悪いとEHCの一部が極端に発熱するため、クラックの発生が増加する傾向があった。
そこで、特許文献4では、ハニカム構造部の一対の電極部付近にある端部領域と、端部領域を除いた中央領域の電気抵抗率の分布を制御することが提案されている。具体的には、端部領域を構成する材料の平均電気抵抗率を、中央領域を構成する材料の平均電気抵抗率より低くすることで、ハニカム構造体の発熱分布の均一性を改善させることが提案されている。
特許第5735428号公報 特開2020-204300号公報 特開2022-142543号公報 特開2019-173662号公報
特許文献2、3で提案されているように、ハニカム構造体の隔壁及び外周壁を構成するセラミックス中の珪素中のドーパントの濃度を制御することは、ハニカム構造体の体積抵抗率を調節する上で有用である。また、特許文献4で提案されているように、ハニカム構造部内で電気抵抗率の分布を制御することも発熱分布の均一性の向上に有用である。しかしながら、ドーパントを含有するハニカム構造体では、これまでとは異なる手法により発熱分布の均一性を改善させる余地が残されている。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、一実施形態において、従来とは異なる手法で発熱分布の均一性が改善されたハニカム構造体を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、ハニカム構造体における発熱分布の不均一性は、従来知られているハニカム構造体のセル構造に起因する他、ハニカム構造体を構成する炭化珪素及び珪素といった材料のNTCサーミスタ特性に起因することが分かった。つまり、ハニカム構造体のうち発熱しやすい電極層端部は、珪素及び炭化珪素のNTCサーミスタ特性により電気抵抗が更に下がり、より電気を流し易く(=発熱しやすく)なる。それが繰り返されると、ハニカム構造体のセルの延びる方向に垂直な断面において発熱分布の大きな偏りを招き、クラックの発生確率を高めていたことが分かった。
そこで、本発明者はNTCサーミスタ特性を緩和することが、ハニカム構造体の発熱分布の均一性を改善するのに重要であると考え、鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者は炭化珪素及び珪素の含有量、所定のドーパント濃度を適切に制御することでNTCサーミスタ特性が緩和され、ハニカム構造体の発熱分布の均一性を有意に改善可能であることを見出した。本発明は当該知見に基づいて完成したものであり、以下に例示される。
[態様1]
外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第一端面から第二端面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画する隔壁とを有するセラミックス製のハニカム構造部と、
前記外周壁の外表面に設けられて前記セルの延びる方向に帯状に延び、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで対向するように設けられた一対の電極層と、
を備え、
前記セラミックスが少なくとも珪素と炭化珪素を含み、以下の(1)及び(2)の一方又は両方の条件を満たすハニカム構造体。
(1)前記セラミックス中の珪素含有量が21~30質量%であり、前記珪素はP及びBを含み、前記珪素中のP濃度からB濃度を差し引いた値(P-B量)が20質量ppm以上である。
(2)前記セラミックス中の炭化珪素含有量が50質量%以上であり、前記炭化珪素はAl及びNを含み、前記炭化珪素中のAl濃度からN濃度を差し引いた値(Al-N量)が130質量ppm以上450質量ppm以下である。
[態様2]
前記(1)及び(2)の両方の条件を満たす態様1に記載のハニカム構造体。
[態様3]
前記セラミックスが以下の(3)及び(4)の一方又は両方の条件を満たす態様1又は2に記載のハニカム構造体。
(3)前記セラミックス中の珪素含有量が21~30質量%であり、前記珪素はP及びBを含み、前記珪素中のP濃度からB濃度を差し引いた値(P-B量)が20質量ppm以上である。
(4)前記セラミックス中の炭化珪素含有量が50質量%以上であり、前記炭化珪素はAl及びNを含み、前記炭化珪素中のAl濃度からN濃度を差し引いた値(Al-N量)が300質量ppm以上450質量ppm以下である。
[態様4]
前記(3)及び(4)の両方の条件を満たす態様3に記載のハニカム構造体。
[態様5]
前記セラミックス中の珪素と炭化珪素の合計含有量が80~95質量%である態様1~4の何れかに記載のハニカム構造体。
[態様6]
前記セラミックスが更に酸化珪素を5~20質量%含有する態様1~5の何れかに記載のハニカム構造体。
[態様7]
前記ハニカム構造部の隔壁の気孔率が30%以上である態様1~6の何れかに記載のハニカム構造体。
[態様8]
前記ハニカム構造部の50℃での体積抵抗率(ρv50)に対する500℃での体積抵抗率(ρv500)の比(ρv500/ρv50)が0.30~0.80であることを特徴とする、態様1~7の何れかに記載のハニカム構造体。
[態様9]
態様1~8の何れかに記載のハニカム構造体と、
前記一対の電極層のそれぞれの外表面に接合された金属端子と、
を備える電気加熱型担体。
[態様10]
態様9に記載の電気加熱型担体と、
前記電気加熱型担体を収容する金属管と、
を備える排ガス浄化装置。
本発明の一実施形態によれば、発熱分布の均一性が改善されたハニカム構造体を提供することができる。従来知られている他の手法と組み合わせることで発熱分布の均一性の更なる向上も期待できる。このハニカム構造体に金属端子を接合して電気加熱型担体を作製することができる。電気加熱型担体は、例えば排ガス浄化装置の触媒担体として好適に使用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体を第一端面から観察したときの模式図である。 本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体の模式的な斜視図である。 本発明の一実施形態に係る排ガス浄化装置を示す模式的な断面図である。
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1.電気加熱型担体)
図1は、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体100を第一端面116から観察したときの模式図である。図2は、本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体100の模式的な斜視図である。
電気加熱型担体100は、ハニカム構造体110及び金属端子130を備える。電気加熱型担体100に触媒を担持することにより、電気加熱型担体100を触媒体として使用することができる。触媒としては、例えば、貴金属系触媒又はそれ以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒から選択される二種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、ハニカム構造体に触媒を担持する公知の方法を採用することができる。
(1-1.ハニカム構造体)
一実施形態において、ハニカム構造体110は、
外周壁114と、外周壁114の内側に配設され、第一端面116から第二端面118まで流路を形成する複数のセル115を区画する隔壁113とを有するセラミックス製のハニカム構造部、
外周壁114の外表面に設けられ、セル115の延びる方向に帯状に延びる第一電極層112a、及び
外周壁114の外表面に設けられ、セル115の延びる方向に帯状に延びる第二電極層112bであって、ハニカム構造部の中心軸Oを挟んで第一電極層112aと対向するように設けられた第二電極層112b、
を備える。
ハニカム構造体110の外形は特に限定されず、例えば端面が円形状、オーバル形状、楕円形状、レーストラック形状及び長円形状等のラウンド形状の柱体、端面が三角形状及び四角形状等の多角形状の柱体、並びに、端面がその他の異形形状を有する柱体とすることができる。図示のハニカム構造体110は、端面形状が円形状であり、全体として円柱状である。
ハニカム構造体110の高さ(一方の端面から他方の端面までの長さ)は特に制限はなく、用途や要求性能に応じて適宜設定すればよい。ハニカム構造体110の高さと各端面の最大径(ハニカム構造体の各端面の重心を通る径のうち、最大長さを指す)の関係についても特に制限はない。従って、ハニカム構造体110の高さが各端面の最大径よりも長くてもよいし、ハニカム構造体110の高さが各端面の最大径よりも短くてもよい。
また、ハニカム構造体110の大きさは、耐熱性を高める(外周壁の周方向に入るクラックを抑制する)という理由により、一つの端面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、5000~15000mm2であることが更に好ましい。
<ハニカム構造部>
セラミックス製のハニカム構造部は、電極層112a、112bよりも体積抵抗率は高いものの導電性を有する。ハニカム構造部の体積抵抗率は、通電してジュール熱により発熱可能である限り特に制限はなく、印加する電圧に応じて適宜設定すればよいが、例えば、25℃で測定したときに、0.001~500Ω・cmとすることができる。60Vより大きい高電圧用には2~100Ω・cmとすることができ、典型的には5~100Ω・cmとすることができる。また、48V等の60V以下の低電圧用には0.001~2Ω・cmとすることができ、典型的には0.001~1Ω・cmとすることができ、より典型的には0.01~1Ω・cmとすることができる。
一実施形態において、ハニカム構造部の50℃での体積抵抗率(ρv50)に対する500℃での体積抵抗率(ρv500)の比(ρv500/ρv50)が0.30以上である。ρv500/ρv50が0.30以上であることは、NTCサーミスタ特性が緩和されていることを意味し、発熱分布の均一性が有意に向上する。ρv500/ρv50は好ましくは0.35以上であり、より好ましくは0.40以上である。また、ハニカム構造部に珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とするセラミックスを使用するため、ρv500/ρv50の上限は0.80以下であることが好ましく、0.75以下であることがより好ましく、0.70以下であることが更により好ましい。従って、ρv500/ρv50は、例えば0.30~0.80であることが好ましく、0.35~0.75であることがより好ましく、0.40~0.70であることが更により好ましい。
本明細書において、ハニカム構造部の体積抵抗率は以下の手順で測定する。ハニカム構造部から、一つ当たり5mm×5mm×50mm(セルの延びる方向)の大きさの隔壁サンプルを合計5個採取し、それぞれについて四端子法により特段の指定がない限り25℃での体積抵抗率を測定し、5個のサンプルの平均値をハニカム構造部の体積抵抗率とする。隔壁サンプルの採取箇所は、ハニカム構造部の高さ方向及び径方向の中央付近とする。
一実施形態において、外周壁114及び隔壁113を有するハニカム構造部を構成するセラミックスは少なくとも(金属)珪素と炭化珪素を含み、好ましくは当該セラミックス中の珪素と炭化珪素の合計含有量は80~95質量%である。典型的には、当該セラミックスは炭化珪素-珪素複合材を含有する。耐熱性と導電性の両立の観点から、当該セラミックスは、炭化珪素-珪素複合材を主成分とすることが好ましい。当該セラミックスが、炭化珪素-珪素複合材を主成分とするものであるというときは、当該セラミックス中で炭化珪素-珪素複合材(合計質量)が全体の70質量%以上を占めることを意味し、80~95質量%を占めることが好ましい。NTCサーミスタ特性を緩和する観点からは、ハニカム構造部を構成するセラミックスにおける珪素及び炭化珪素の含有量を調整することが有利である。
ここで、炭化珪素-珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての(金属)珪素を含有するものである。当該セラミックスは、骨材として、炭化珪素粒子の他に窒化珪素粒子及び窒化アルミニウム粒子から選択される一種又は二種を含んでもよい。他の骨材を一種又は二種以上含んでもよい。他の骨材としては、例えば、アルミナ、ムライト、ジルコニア及びコージェライト等の酸化物系セラミックスが挙げられる。
しかしながら、骨材の主成分が炭化珪素であると、熱伝導率がより高く、珪素との熱膨張係数差も小さくなるため好ましい。骨材の主成分が炭化珪素であるというときは、炭化珪素(合計質量)が、骨材の80質量%以上を占めることを意味し、より好ましくは骨材の90質量%以上を占める。
ハニカム構造部を構成するセラミックス中の珪素及び炭化珪素はドーパントを一種又は二種以上含むことができる。
珪素及び炭化珪素中のドーパントとしては、例えば、周期表の第13族元素及び第15族元素から選択される1種又は2種以上とすることができる。例えば、第13族元素として、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等が挙げられ、第15族元素としては窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等が挙げられる。この中でも、NTCサーミスタ特性を緩和する観点からは、珪素中のP濃度からB濃度を差し引いた値(P-B量)、及び炭化珪素中のAl濃度からN濃度を差し引いた値(Al-N量)の少なくとも一方を制御することが好ましく、両方を制御することがより好ましい。
従って、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体は、ハニカム構造部を構成するセラミックスにおける珪素の含有率、炭化珪素の含有量、珪素中のP濃度からB濃度を差し引いた値(P-B量)、炭化珪素中のAl濃度からN濃度を差し引いた値(Al-N量)が以下の(1)及び(2)の少なくとも一方の条件を満たすことが好ましく、両方の条件を満たすことがより好ましい。
(1)前記セラミックス中の珪素含有量が21~30質量%であり、前記珪素はP及びBを含み、前記珪素中のP-B量が20質量ppm以上である。
(2)前記セラミックス中の炭化珪素含有量が50質量%以上であり、前記炭化珪素はAl及びNを含み、前記炭化珪素中のAl-N量が130質量ppm以上450質量ppm以下である。
前記セラミックスは、以下の(3)及び(4)の少なくとも一方を満たすことがより好ましく、両方の条件を満たすことが更により好ましい。
(3)前記セラミックス中の珪素含有量が21~30質量%であり、前記珪素はP及びBを含み、前記珪素中のP-B量が20質量ppm以上である。
(4)前記セラミックス中の炭化珪素含有量が50質量%以上であり、前記炭化珪素はAl及びNを含み、前記炭化珪素中のAl-N量が300質量ppm以上450質量ppm以下である。
前記セラミックスに含まれる珪素中のP-B量は20質量ppm以上であればよく、25質量ppm以上であることが好ましい。前記セラミックスに含まれる珪素中のP-B量の上限は特に設定されないが、一般的に珪素中にドーパントとして添加されるP濃度及びB濃度を考慮すれば、100質量ppm以下であるのが通常であり、90質量ppm以下であるのが典型的である。従って、前記セラミックスに含まれる珪素中のP-B量は、例えば20~100質量ppmであることが好ましく、25~90質量ppmであることがより好ましく、例えば20~50質量ppmとすることができる。
珪素の体積抵抗率を均一にする観点から、前記セラミックスに含まれる珪素中のB濃度の上限は60質量ppm以下であることが好ましく、50質量ppm以下であることがより好ましい。また、一般的に高純度の珪素でも微量のBはドーパントとして添加されており、10質量ppm以上である。よって、前記セラミックスに含まれる珪素中のB濃度は、例えば、10~60質量ppmであることが好ましく、10~50質量ppmであることがより好ましく、例えば10~20質量ppmとすることができる。
炭化珪素中のNドーパント濃度が増えるに従い、前記ハニカム構造体の電気抵抗は減少する傾向にある。ハニカム構造体の電気抵抗を所定の範囲に収める観点から、炭化珪素中のN濃度は、例えば、50~500質量ppmであることが好ましく、50~450質量ppmであることがより好ましく、例えば50~200質量ppmとすることができ、60~120質量ppmとすることもできる。
NTCサーミスタ特性を緩和する観点からは、ハニカム構造部を構成するセラミックスにおける酸化珪素の含有量を合わせて制御することが好ましい。好ましくは当該セラミックスにおける酸化珪素の含有量は5~20質量%であり、例えば10~15質量%とすることができる。
ハニカム構造部を構成するセラミックスにおけるSi(珪素)、SiC(炭化珪素)、及びSiO2(酸化珪素)の含有量は、以下の方法で測定可能である。以下の方法では、セラミックス原料として、(ドーピングされた)珪素と炭化珪素を用いた場合の算出方法について説明する。セラミックス原料として、珪素と炭化珪素を用いた場合には、ハニカム構造部を構成するセラミックスは、珪素(Si)、炭化珪素(SiC)及び酸化珪素(SiO2)で構成される。そして、当該セラミックス中のSi(珪素)、SiC(炭化珪素)、SiO2(酸化珪素)の含有量については、蛍光X線法により珪素元素量及び酸素元素量を測定し、抵抗加熱式赤外吸収法により炭素元素量を測定することができる。測定用のサンプルをハニカム構造部の高さ方向及び径方向の中央付近から採取する。一つのサンプルの質量は、10gとする。5個のサンプルにおける各成分の含有量の平均値を当該セラミックスにおけるSi(珪素)、SiC(炭化珪素)、及びSiO2(酸化珪素)の含有量とする。
SiC(炭化珪素)量については、炭素元素は全てSiCによるものとし、分子量計算によりセラミックス中のSiC量を算出する。また、SiO2(酸化珪素)量については、酸素元素が全てSiO2によるものとし、分子量計算によりセラミックス中のSiO2量を算出する。Si(珪素)量については、上記で算出したSiC量及びSiO2量から、SiC中のSi量と、SiO2中のSi量とを合計したSi量を全体の珪素元素量から差し引くことで算出することができる。なお、セラミックス原料として炭化珪素以外を用いた場合は、セラミックス原料に基づきハニカム構造部を構成するセラミックスの組成を確認した後、蛍光X線法、抵抗加熱式赤外吸収法により元素量を測定し、同様に算出することが可能である。
ハニカム構造部を構成するセラミックスにおける珪素中のP濃度及びB濃度については、ハニカム構造部の高さ方向及び径方向の中央付近から、一つ当たり10gの隔壁サンプルを、合計5個採取し、それぞれについて珪素中のP濃度及びB濃度を下記の手順で測定し、平均値を求め、測定値とする。
隔壁サンプルにおける珪素(Si)中のP濃度及びB濃度の測定方法は以下のとおりである。JIS G1322-3:2010「金属けい素分析方法」に規定されている珪素分離ICP発光分光法に従い、隔壁サンプルを硝酸及びふっ化水素酸で分解し、過塩素酸を加え、加熱して過塩素酸の白煙を発生させ、珪素を四ふっ化珪素として揮散させて分離した後、塩類を水で溶解する。次いで、溶液に含まれるP及びBをICP発光分光分析法にて測定し、珪素中の濃度を算出する。
ハニカム構造部を構成するセラミックスにおける炭化珪素中のAl濃度及びN濃度については、以下の方法によって測定可能である。まず、ハニカム構造部から隔壁サンプルをハニカム構造部の高さ方向及び径方向の中央付近から合計5個採取する。一つのサンプルの大きさは、1cm3サイズ(1cm×1cm×1cmの立方体状)とする。サンプルをSEM(走査電子顕微鏡)観察(倍率1000倍)し、コントラストが暗い部分を目視で炭化珪素部と特定した後、炭化珪素部をSIMS(二次イオン質量分析法)により分析し、炭化珪素中のAl濃度及びN濃度を求める。5個のサンプルにおけるAl濃度及びN濃度の平均値を、当該セラミックスにおける炭化珪素中のAl濃度及びN濃度とする。
ハニカム構造部の隔壁113は、Si含浸SiCの形態等のように緻密質でもよいが、多孔質とすることが好ましい。隔壁113の気孔率が30%以上であると、焼成時の変形をより抑制しやすくなる。また、隔壁113の気孔率が60%以下であるとハニカム構造部の強度が十分に維持される。従って、隔壁113の気孔率は例えば30%以上であることが好ましく、サーミスタ特性を所定の範囲に収めるようにするため35~60%であることがより好ましく、37~45%であることが更により好ましい。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。なお、緻密質というのは気孔率が5%以下のことを指す。
セル115を区画形成する隔壁113の厚みは、0.1~0.3mmであることが好ましく、0.1~0.2mmであることがより好ましい。隔壁113の厚みが0.1mm以上であることで、ハニカム構造部の強度が低下するのを抑制可能である。隔壁113の厚みが0.3mm以下であることで、ハニカム構造部を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなるのを抑制できる。本発明において、隔壁113の厚みは、セル115の延びる方向に垂直な断面において、隣接するセル115の重心同士を結ぶ線分のうち、隔壁113を通過する部分の長さとして定義される。
ハニカム構造部に外周壁114を設けることは、ハニカム構造部の構造強度を確保し、また、セル115を流れる流体が外周壁114から漏洩するのを抑制する観点で有用である。この点で、外周壁114の厚みは好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.15mm以上であり、更により好ましくは0.2mm以上である。但し、外周壁114を厚くしすぎると高強度になりすぎてしまい、隔壁113との強度バランスが崩れて耐熱衝撃性が低下することから、外周壁114の厚みは好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.5mm以下である。従って、外周壁114の厚みは例えば0.1~1.0mmであることが好ましく、0.15~0.7mmであることがより好ましく、0.2~0.5mmであることが更により好ましい。ここで、外周壁114の厚みは、厚みを測定しようとする外周壁114の箇所をセル115の延びる方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における外周壁114の外表面の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
好ましい。
ハニカム構造部は、セル115の延びる方向に垂直な断面において、セル密度が40~150セル/cm2であることが好ましく、70~100セル/cm2であることがより好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、ハニカム構造部に排ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cm2以上であると、触媒担持面積が十分に確保される。セル密度が150セル/cm2以下であるとハニカム構造体110を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排ガスを流したときの圧力損失が大きくなりすぎることが抑制される。セル密度は、外周壁114よりも内周側のハニカム構造部の一つの端面の面積でセル数を除して得られる値である。
セル115の延びる方向に垂直な断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これ等のなかでも、四角形及び六角形がより好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造体110に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。構造強度及び加熱均一性を両立させやすいという観点からは、六角形が特に好ましい。
セル115は第一端面116から第二端面118まで貫通していてもよい。その際、セル115は、第一端面116及び第二端面118の両方が開口していてもよい。また、第一端面116が目封止されており第二端面118が開口を有する第1セルと、第一端面116が開口を有し第二端面118が目封止されている第2セルとが隔壁113を挟んで交互に隣接配置されていてもよい。
<電極層>
外周壁114の外表面には、第一電極層112a及びこれにハニカム構造部の中心軸Oを挟んで対向する第二電極層112bを設けることができる。外周壁114よりも体積抵抗率の低い電極層112a、112bが配設されることで、電流がハニカム構造体110の周方向及びセル115の延びる方向に広がりやすくなるので、ハニカム構造体110の均一発熱性を高めることが可能となる。図1を参照すると、セル115の延びる方向に垂直な断面において、一対の電極層112a、112bのそれぞれの周方向中心からハニカム構造体110の中心軸O(重心)まで延ばした二つの線分のなす角度θ(0°≦θ≦180°)は、150°≦θ≦180°であることが好ましく、160°≦θ≦180°であることがより好ましく、170°≦θ≦180°であることが更により好ましく、180°であることが最も好ましい。
一対の電極層112a、112bの形成領域に特段の制約はないが、ハニカム構造体110の均一発熱性を高めるという観点からは、一対の電極層112a、112bはそれぞれ、外周壁114の外表面上でハニカム構造体110の周方向及びセル115の延びる方向に帯状に延設されていることが好ましい。具体的には、セル115の延びる方向に垂直な断面において、各電極層112a、112bの周方向の両側端と中心軸O(重心)とを結ぶ2本の線分が作る中心角αは、電流を周方向に広げて均一発熱性を高めるという観点から、30°以上であることが好ましく、40°以上であることがより好ましく、60°以上であることが更により好ましい(図1参照)。但し、中心角αを大きくし過ぎると、ハニカム構造体110の内部を通過する電流が少なくなり、外周壁114付近を通過する電流が多くなる。そこで、当該中心角αは、ハニカム構造体110の均一発熱性の観点から、140°以下であることが好ましく、130°以下であることがより好ましく、120°以下であることが更により好ましい。また、電極層112a、112bはそれぞれ、ハニカム構造体110の両端面間の長さの80%以上の長さに亘って、好ましくは90%以上の長さに亘って、より好ましくは全長に亘って延びていることが望ましい。電極層112a、112bは単層で構成されていてもよく、複数層が積層された積層構造を有することもできる。
電極層112a、112bの厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることがより好ましい。このような範囲とすることにより均一発熱性を高めることができる。電極層112a、112bの厚みが0.01mm以上であると、電気抵抗が適切に制御され、より均一に発熱することができる。電極層112a、112bの厚みが5mm以下であると、キャニング時に破損する恐れが低減される。電極層112a、112bの厚みは、厚みを測定しようとする電極層112a、112bの箇所をセル115の延びる方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における電極層112a、112bの外表面の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
電極層112a、112bの体積抵抗率を隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率より低くすることにより、電極層112a、112bに優先的に電気が流れやすくなり、通電時に電気がハニカム構造体110の周方向及びセル115の延びる方向に広がりやすくなる。電極層112a、112bの体積抵抗率は、隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率の1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましく、1/30以下であることが更により好ましい。但し、両者の体積抵抗率の差が大きくなりすぎると対向する電極層112a、112bの端部間に電流が集中してハニカム構造体110の発熱が偏ることから、電極層112a、112bの体積抵抗率は、隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率の1/200以上であることが好ましく、1/150以上であることがより好ましく、1/100以上であることが更により好ましい。従って、電極層112a、112bの体積抵抗率は、例えば、隔壁113及び外周壁114の体積抵抗率の1/200~1/10であることが好ましく、1/150~1/20であることがより好ましく、1/100~1/30であることが更により好ましい。ここでの電極層、隔壁及び外周壁の体積抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
電極層112a、112bの材質は、限定的ではないが、金属とセラミックス(とりわけ導電性セラミックス)との複合材(サーメット)を使用することができる。金属としては、例えばCr、Fe、Co、Ni、Si又はTiの単体金属又はこれらの金属から選択される少なくとも一種の金属を含有する合金が挙げられる。セラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)の他、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられる。金属とセラミックスとの複合材(サーメット)の具体例としては、珪素と炭化珪素の複合材、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と珪素と炭化珪素の複合材、更には上記の一種又は二種以上の金属に熱膨張低減の観点から、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素及び窒化アルミ等の絶縁性セラミックスを一種又は二種以上添加した複合材が挙げられる。電極層112a、112bの材質としては、上記の各種金属及びセラミックスの中でも、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と珪素と炭化珪素の複合材とすることが、隔壁及び外周壁と同時に焼成できるので製造工程の簡素化に資するという理由により好ましい。
(1-2.金属端子)
金属端子130は、一対の電極層112a、112bのそれぞれの外表面に直接又は間接的に接合することができる。金属端子130を介してハニカム構造体110に電圧を印加すると通電してジュール熱によりハニカム構造体110を発熱させることが可能である。このため、ハニカム構造体110はヒーターとしても好適に用いることができる。これにより、ハニカム構造体110の均一発熱性を向上させることが可能となる。印加する電圧は12~900Vが好ましく、48~600Vが更に好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
金属端子130と電極層112a、112bは直接接合してもよいが、電極層112a、112bと金属端子130の間の熱膨張差を緩和して金属端子130の接合信頼性を向上する目的で、一層又は二層以上の下地層120を介して接合してもよい。従って、好ましい実施形態において、ハニカム構造体110は外周壁114上に、ハニカム構造体110の中心軸O(重心)を挟んで対向するように配設された第一電極層112a及び第二電極層112bを有しており、各電極層112a、112bには下地層120を介して、一つ又は複数の金属端子130が接合される。
熱膨張率は金属端子130→(下地層120)→電極層112a、112b→外周壁114の順に段階的に小さくすることが、接合信頼性を向上する観点で好ましい。なお、ここでの「熱膨張率」は、25℃から800℃まで変化させたときのJIS R1618:2002に従って測定される線膨張係数を意味する。
金属端子130の材質としては、金属であれば特段の制約はなく、単体金属及び合金等を採用することもできるが、耐食性、体積抵抗率及び線膨張率の観点から例えば、Cr、Fe、Co、Ni及びTiよりなる群から選択される少なくとも一種を含む合金とすることが好ましく、ステンレス鋼及びFe-Ni合金がより好ましい。金属端子130の数、形状及び大きさは、特に限定されず、ハニカム構造体110の大きさや通電性能等に応じて、適宜設計することができる。
下地層120の材質は、限定的ではないが、金属とセラミックス(とりわけ導電性セラミックス)との複合材(サーメット)を使用することができる。下地層120の熱膨張率は、例えば、金属とセラミックスの配合比を調整することで制御可能である。
下地層120は、限定的ではないが、Ni基合金、Fe基合金、Ti基合金、Co基合金、珪素、及びCrから選択される一種又は二種以上の金属を含有することが好ましい。
下地層120は、限定的ではないが、アルミナ、ムライト、ジルコニア、ガラス及びコージェライト等の酸化物系セラミックス、並びに、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックスから選択される一種又は二種以上のセラミックスを含有することが好ましい。
下地層120の厚みは、特に制限はないが、クラック抑制の観点からは0.1~1.5mmであることが好ましく、0.3~0.5mmであることがより好ましい。下地層120の厚みは、厚みを測定しようとする下地層120をセルの延びる方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における下地層120の外表面の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
金属端子130と電極層112a、112b又は下地層120の接合方法には、特に制限はないが、例えば、溶射、溶接及びロウ付が挙げられる。
(2.排ガス浄化装置)
本発明の一実施形態に係る電気加熱型担体は、排ガス浄化装置に用いることができる。図3を参照すると、排ガス浄化装置200は、電気加熱型担体100と、当該電気加熱型担体100を収容する金属管220とを有する。電気加熱型担体100の金属端子130には給電のための電線240を接続することができる。金属管220を構成する金属としては限定的ではないが、クロム系ステンレス鋼を始めとする各種ステンレス鋼等を挙げることができる。これらの金属を使用することで、高い耐熱性と耐腐食性を有する排ガス浄化装置となる。
排ガス浄化装置200において、電気加熱型担体100は、自動車排ガス等の流体の流路の途中に設置することができる。電気加熱型担体100は、例えば、セルの延びる方向と金属管220の延びる方向が一致する位置関係で金属管220内に押し込んで嵌合させる押し込みキャニングによって、金属管220内に固定することができる。金属管220と電気加熱型担体100の間には保持材(マット)260を配設することが好ましい。保持材(マット)260を構成する素材は限定的ではないが、アルミナファイバー、ムライトファイバー、アルミナ-シリカを主成分とするセラミックスファイバー等のセラミックスが挙げられる。
(3.製造方法)
次に、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体を製造する方法について説明する。ハニカム構造体は、坏土を作製する工程1と、坏土を成形してハニカム成形体を得る工程2と、外周壁の外表面に、前記ハニカム成形体の中心軸を挟んでセルの延びる方向に帯状に延びるように一対の電極層形成ペーストを塗布し、電極層形成ペースト付きハニカム成形体を作製する工程3と、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製する工程4とを含む製造方法により製造可能である。
(工程1)
工程1では、炭化珪素粉末と、(金属)珪素粉末とを含む成形原料を混錬し、坏土を作製する。炭化珪素粉末及び珪素粉末の一方又は両方は、B、Al、N、P等のドーパントがドーピングされたものを適宜使用可能である。炭化珪素粉末及び珪素粉末中のドーパント濃度は、例えば、成形原料製造時にドーパント元素を微量添加しドープする方法や、異なるドーパント量を有する成形原料を任意の割合で混合する方法によって、調整することができる。また、珪素中へのP及びBのドーピングについては、所定量のドーパント源(水溶性無機塩、水溶性有機化合物など)を含有する水溶液を成形原料と一緒に混錬して坏土中にドーパント源を取り込み、焼成時にドープする方法も挙げられる。
成形原料中の金属珪素粉末の質量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~80質量部であるのが好ましく、25~60質量部であるのがより好ましく、25~45質量部であるのが更により好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3~50μmが好ましく、3~40μmがより好ましい。金属珪素粉末における金属珪素粒子の平均粒子径は、2~35μmが好ましく、2~25μmがより好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。
成形原料中の水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、例えば、20~60質量部であることが好ましく、25~50質量部であることがより好ましい。
工程1では、成形原料を混練して坏土を作製する。混練手段としては、任意の適切な装置・機構が採用され得る。具体例としては、ニーダー、真空土練機が挙げられる。
成形原料は、炭化珪素粉末及び珪素粉末以外にも、バインダ、界面活性剤、造孔材を含有することができる。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0~10.0質量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10~30μmであることが好ましい。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径のことである。
(工程2)
工程2では、工程1で作製した坏土を成形してハニカム成形体を得る。具体的には、坏土を押出成形して、外周壁及び隔壁を有する柱状のハニカム成形体を作製する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。次に、得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。ハニカム成形体のセルの延びる方向の長さが、所望の長さではない場合は、ハニカム成形体の両端部を切断して所望の長さとすることができる。乾燥後のハニカム成形体をハニカム乾燥体と呼ぶ。
工程2の変形例として、ハニカム成形体を一旦焼成してもよい。すなわち、この変形例では、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製し、当該ハニカム焼成体に対して工程3を実施する。
(工程3)
工程3は、ハニカム成形体の外周壁の外表面に、ハニカム成形体の中心軸を挟んでセルの延びる方向に帯状に延びるように一対の電極層形成ペーストを塗布し、電極層形成ペースト付きハニカム成形体を作製する工程である。電極層形成ペーストは、電極層の要求特性に応じて配合した原料粉(金属粉末、及び、セラミックス粉末等)に各種添加剤を適宜添加して混練することで形成することができる。原料粉の平均粒子径は、限定的ではないが、例えば、5~50μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましい。原料粉の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
次に、得られた電極層形成ペーストを、ハニカム成形体(典型的にはハニカム乾燥体)の外周壁の外表面の所要箇所に塗布し、電極層形成ペースト付きハニカム成形体を得る。電極層形成ペーストを調合する方法、及び電極層形成ペーストをハニカム成形体に塗布する方法については、公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができるが、電極層を外周壁及び隔壁に比べて低い体積抵抗率にするために、外周壁及び隔壁よりも金属の含有比率を高めたり、原料粉中の金属粒子の粒径を小さくしたりすることができる。塗布後、電極層形成ペーストを乾燥させることが好ましい。
(工程4)
工程4は、電極層形成ペースト付きハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体、すなわち目的とするハニカム構造体を得る工程である。焼成前に、バインダ等を除去するため、脱脂を行ってもよい。脱脂及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件としては、ハニカム構造体の材質にもよるが、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。
このようにして得られたハニカム構造体の電極層に金属端子を接合することで、電気加熱型担体を製造可能である。接合方法としては、特に制限はないが、例えば、溶射、溶接及びロウ付が挙げられる。電極層と金属端子との接合性を向上させる点から、溶射等の方法により下地層を形成してもよい。
電気加熱型担体には用途に応じて適切な触媒を担持してもよい。ハニカム構造体に触媒を担持させる方法としては、例示的には、触媒スラリーを、従来公知の吸引法等によりセル内に導入し、隔壁の表面や細孔に付着させた後、高温処理を施して、触媒スラリーに含まれる触媒を隔壁に焼き付けて、担持する方法が挙げられる。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1.円柱状の坏土の作製)
30gのリン酸エステル塩を及び12.5gのホウ酸を30kgの純水に添加して20分間撹拌し、P及びBを含有する水溶液を得た。
次いで、Al及びNがドーピングされた炭化珪素(SiC)粉末と、珪素(Si)粉末を、65:35の質量割合で混合してセラミックス原料を調製した。SiC(炭化珪素)中にドーピングするAl及びNの量は、Al及びNのドーピング量が異なるSiC(炭化珪素)を混合することにより調整した。このセラミックス原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、先のP及びBを含有する水溶液を添加して成形原料とした。次いで、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。
成形原料において、バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部とした。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部とした。水溶液の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに30質量部とした。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は20μmであった。炭化珪素粉末、珪素粉末及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
(2.ハニカム乾燥体の作製)
得られた円柱状の坏土を所定の口金構造を有する押出成形機を用いて成形し、セルの延びる方向に垂直な断面における各セル形状が六角形である円柱状のハニカム成形体を得た。このハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて更に120℃で2時間、大気雰囲気下で乾燥し、両端面を所定量切断して、ハニカム乾燥体を作製した。
(3.電極層形成ペーストの調製)
珪素(Si)粉末、炭化珪素(SiC)粉末、メチルセルロース、グリセリン、及び水を、自転公転攪拌機で混合して、電極層形成ペーストを調製した。Si粉末、及びSiC粉末は体積比で、Si粉末:SiC粉末=40:60となるように配合した。また、Si粉末、及びSiC粉末の合計を100質量部としたときに、メチルセルロースは0.5質量部であり、グリセリンは10質量部であり、水は38質量部であった。珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素粉末の平均粒子径は35μmであった。これらの平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
(4.電極層形成ペーストの塗布)
上記の電極層形成ペーストを上記のハニカム乾燥体の外周壁の外表面上に中心軸を挟んで対向するように、曲面印刷機によって二箇所塗布した。各塗布部は、ハニカム乾燥体の両端面間の全長に亘って帯状に形成した(角度θ=180°、中心角α=127°)。次に、ハニカム乾燥体に塗布した電極層形成ペーストを乾燥させて、電極層形成ペースト付きハニカム乾燥体を得た。乾燥温度は、70℃とした。
(5.焼成)
得られた電極層形成ペースト付きハニカム乾燥体を、550℃で3時間、大気雰囲気下で脱脂した。次に、脱脂したハニカム乾燥体を1450℃で2時間、アルゴン雰囲気下で焼成し、円柱状のハニカム構造体を得た。ハニカム構造体は以下の試験に必要な数を製造した。
(6.ハニカム構造体の仕様)
上記で得られたハニカム構造体は端面が直径80mmの円形であり、高さ(セルの延びる方向における長さ)が80mmであり、隔壁の厚みは125mmであり、外周壁の厚みは0.5mmであり、セル密度は90セル/cm2であり、隔壁の気孔率は38%であった。
(7.Si、SiC、及びSiO2の含有量)
上記で得られたハニカム構造体のハニカム構造部を構成するセラミックスにおけるSi(珪素)、SiC(炭化珪素)、及びSiO2(酸化珪素)の含有量を先述した方法に従って測定した。結果を表1に示す。
(8.珪素中のドーパント濃度)
上記で得られたハニカム構造体のハニカム構造部を構成するセラミックスにおける珪素(Si)中のP濃度及びB濃度を先述した方法に従って測定した。ICP(高周波誘導結合プラズマ)分析装置としては、日立ハイテク社製の型式PS3510DDを使用した。結果を表1に示す。
(9.炭化珪素中のドーパント濃度)
上記で得られたハニカム構造体のハニカム構造部を構成するセラミックスにおける炭化珪素(SiC)中のAl濃度及びN濃度を先述した方法に従って測定した。SEMとしては、日立ハイテク社製の型式S-3400Nを使用し、SIMSとしてはCAMECA社製の型式NanoSIMS 50Lを使用した。結果を表1に示す。
(10.体積抵抗率測定)
上記で得られたハニカム構造体のハニカム構造部の25℃における体積抵抗率を先述した方法に従って測定した。結果を表1に示す。
(11.NTCサーミスタ特性:ρv500/ρv50
ハニカム構造部の50℃での体積抵抗率(ρv50)に対する500℃での体積抵抗率(ρv500)の比(ρv500/ρv50)を先述した方法に従って測定した。結果を表1に示す。
(12.気孔率)
上記で得られたハニカム構造体のハニカム構造部から隔壁のサンプルを採取し、気孔率を水銀ポロシメータにより求めた。結果を表1に示す。
(13.発熱分布)
上記で得られたハニカム構造体の一対の電極層のそれぞれの表面中央に400Vの電圧を20s印加したときの、ハニカム構造体の両端面及び外周壁における温度分布をサーモグラフィで観測し、発熱分布の均一性を評価した。評価基準は以下とした。結果を表1に示す。
A:ハニカム構造体に通電した際に、最高温度と最低温度の差が、実施例1の最高温度と最低温度の差と比較して、+150℃以内である。
B:ハニカム構造体に通電した際に、最高温度と最低温度の差が、実施例1の最高温度と最低温度の差と比較して、+150℃超、+250℃以内である。
C:ハニカム構造体に通電した際に、最高温度と最低温度の差が、実施例1の最高温度と最低温度の差と比較して、+250℃超であり、クラックへの影響が懸念される状態である。
<実施例2~3>
ハニカム構造体のハニカム構造部を構成するセラミックスにおけるSi(珪素)、SiC(炭化珪素)、及びSiO2(酸化珪素)の含有量が表1に記載の値になるように、成形原料における炭化珪素(SiC)粉末と珪素(Si)粉末の配合比を変更した。また、Si中のB濃度及びP濃度が実施例1と同じになるように、P及びBを含有する水溶液中のP及びBの濃度を調整した。それ以外は実施例1と同じ方法でハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
Si(珪素)中にドーピングするP及びBの量を、P及びBを含有する水溶液中のP及びBの濃度を変更することによって変更した他は、実施例2と同じ方法でハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5、6、8>
Si(珪素)中にドーピングするP及びBの量を、P及びBを含有する水溶液中のP及びBの濃度を変更することによって変更した他は、実施例1と同じ方法でハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
ハニカム構造体のハニカム構造部を構成するセラミックスにおけるSi(珪素)、SiC(炭化珪素)、及びSiO2(酸化珪素)の含有量が表1に記載の値になるように、成形原料における炭化珪素(SiC)粉末と珪素(Si)粉末の配合比を変更した。また、Si中のB濃度及びP濃度が実施例6と同じになるように、P及びBを含有する水溶液中のP及びBの濃度を調整した。それ以外は実施例6と同じ方法でハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例9>
Si(珪素)中にドーピングするP及びBの量を、P及びBを含有する水溶液中のP及びBの濃度を変更することによって変更した他は、実施例3と同じ方法でハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実例1と同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例10>
SiC(炭化珪素)中にドーピングするAl及びNの量を、Al及びNのドーピング量が異なるSiC(炭化珪素)を混合することにより変更した他は、実施例2と同じ方法でハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例11~18>
SiC(炭化珪素)中にドーピングするAl及びNの量を、Al及びNのドーピング量が異なるSiC(炭化珪素)を混合することにより変更した他は、実施例1と同じ方法でハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
Si(珪素)中にドーピングするP及びBの量を、P及びBを含有する水溶液中のP及びBの濃度を変更することによって変更し、SiC(炭化珪素)中にドーピングするAl及びNの量を、Al及びNのドーピング量が異なるSiC(炭化珪素)を混合することにより変更した他は、実施例1と同じ方法でハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
ハニカム構造体のハニカム構造部を構成するセラミックスにおけるSi(珪素)、SiC(炭化珪素)、及びSiO2(酸化珪素)の含有量が表1に記載の値になるように、成形原料における炭化珪素(SiC)粉末と珪素(Si)粉末の配合比を変更した。Si(珪素)中にドーピングするP及びBの量を、P及びBを含有する水溶液中のP及びBの濃度を変更することによって変更し、SiC(炭化珪素)中にドーピングするAl及びNの量を、Al及びNのドーピング量が異なるSiC(炭化珪素)を混合することにより変更した。その他は、実施例1と同じ方法でハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体に対して、実施例1と同様の特性評価を行った。結果を表1に示す。
上記の実施例、比較例から分かるように、ハニカム構造部を構成するセラミックスにおける炭化珪素及び珪素の含有量、P-B量、Al-N量を適切に制御することでNTCサーミスタ特性が緩和され、ハニカム構造体の発熱分布の均一性が有意に改善する。
100 :電気加熱型担体
110 :ハニカム構造体
112a :第一電極層
112b :第二電極層
113 :隔壁
114 :外周壁
115 :セル
116 :第一端面
118 :第二端面
120 :下地層
130 :金属端子
200 :排ガス浄化装置
220 :金属管
240 :電線

Claims (10)

  1. 外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、第一端面から第二端面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画する隔壁とを有するセラミックス製のハニカム構造部と、
    前記外周壁の外表面に設けられて前記セルの延びる方向に帯状に延び、前記ハニカム構造部の中心軸を挟んで対向するように設けられた一対の電極層と、
    を備え、
    前記セラミックスが少なくとも珪素と炭化珪素を含み、以下の(1)及び(2)の一方又は両方の条件を満たすハニカム構造体。
    (1)前記セラミックス中の珪素含有量が21~30質量%であり、前記珪素はP及びBを含み、前記珪素中のP濃度からB濃度を差し引いた値(P-B量)が20質量ppm以上である。
    (2)前記セラミックス中の炭化珪素含有量が50質量%以上であり、前記炭化珪素はAl及びNを含み、前記炭化珪素中のAl濃度からN濃度を差し引いた値(Al-N量)が130質量ppm以上450質量ppm以下である。
  2. 前記(1)及び(2)の両方の条件を満たす請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記セラミックスが以下の(3)及び(4)の一方又は両方の条件を満たす請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
    (3)前記セラミックス中の珪素含有量が21~30質量%であり、前記珪素はP及びBを含み、前記珪素中のP濃度からB濃度を差し引いた値(P-B量)が20質量ppm以上である。
    (4)前記セラミックス中の炭化珪素含有量が50質量%以上であり、前記炭化珪素はAl及びNを含み、前記炭化珪素中のAl濃度からN濃度を差し引いた値(Al-N量)が300質量ppm以上450質量ppm以下である。
  4. 前記(3)及び(4)の両方の条件を満たす請求項3に記載のハニカム構造体。
  5. 前記セラミックス中の珪素と炭化珪素の合計含有量が80~95質量%である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  6. 前記セラミックスが更に酸化珪素を5~20質量%含有する請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  7. 前記ハニカム構造部の隔壁の気孔率が30%以上である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  8. 前記ハニカム構造部の50℃での体積抵抗率(ρv50)に対する500℃での体積抵抗率(ρv500)の比(ρv500/ρv50)が0.30~0.80であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  9. 請求項1又は2に記載のハニカム構造体と、
    前記一対の電極層のそれぞれの外表面に接合された金属端子と、
    を備える電気加熱型担体。
  10. 請求項9に記載の電気加熱型担体と、
    前記電気加熱型担体を収容する金属管と、
    を備える排ガス浄化装置。
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