以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返されない。
[過給システムの構成について]
図1は、本実施の形態におけるエンジン1の概略構成の一例を示す図である。図1を参照して、このエンジン1は、走行のための駆動源として車両に搭載される。本実施の形態においては、エンジン1が搭載される車両が、エンジン1と駆動輪とに間に自動変速機(AT)を搭載した車両である例について説明する。また、本実施の形態においては、エンジン1がディーゼルエンジンである例について説明する。なお、エンジン1は、たとえばガソリンエンジンであってもよい。
エンジン1は、バンク10A,10Bと、エアクリーナ20と、インタークーラ25と、吸気マニホールド28A,28Bと、過給機30,40と、排気マニホールド50A,50Bと、排気処理装置81と、制御装置200とを備える。
バンク10Aには、複数の気筒12Aが形成される。バンク10Bには、複数の気筒12Bが形成される。各気筒12A,12B内にはピストン(図示せず)が収納されており、ピストンの頂部と気筒の内壁とによって燃焼室(燃料が燃焼する空間)が形成されている。各気筒12A,12B内をピストンが摺動することによって燃焼室の容積が変化される。各気筒12A,12Bには、インジェクタ(図示せず)が設けられており、エンジン1の動作中においては、制御装置200によって設定されたタイミングおよび量の燃料を各気筒12A,12B内に噴射する。なお、各インジェクタから噴射する燃料の噴射量およびタイミングは、たとえば、エンジン回転数NE、吸入空気量Qin、アクセルペダルの踏み込み量あるいは車両の速度等から制御装置200によって設定される。
各気筒12A,12Bのピストンは、コネクティングロッドを介して共通のクランクシャフト(図示せず)に連結される。各気筒12A,12B内において所定の順序で燃料が燃焼することによってピストンが各気筒12A,12B内を摺動し、ピストンの上下運動がコネクティングロッドを経由してクランクシャフトの回転運動に変換される。
過給機30は、コンプレッサ31とタービン32とを含むターボチャージャーである。過給機30のコンプレッサ31は、エンジン1の吸気通路(すなわち、エアクリーナ20から吸気マニホールド28A,28Bまでの通路)に設けられる。過給機30のタービン32は、エンジン1の排気通路(すなわち、排気マニホールド50A,50Bから排気処理装置81までの通路)に設けられる。
コンプレッサ31内には、コンプレッサホイール33が回転自在に収納される。タービン32内には、タービンホイール34と可変ノズル機構35とが設けられる。タービンホイール34は、回転自在にタービン32内に収納される。コンプレッサホイール33と、タービンホイール34とは、回転軸36によって連結されており、一体的に回転する。コンプレッサホイール33は、タービンホイール34に供給される排気のエネルギ(排気エネルギ)によって回転駆動される。エンジン1の作動中においては、エンジン1の動力によって作動する図示しないオイルポンプから潤滑用のオイルが過給機30の回転軸36に供給される。
可変ノズル機構35は、タービン32を作動させる排気の流速を変化させる。可変ノズル機構35は、タービンホイール34の外周側に配置され、排気流入口から供給される排気をタービンホイール34に導く複数のノズルベーン(図示せず)と、複数のノズルベーンの各々を回転させることによって隣接するノズルベーン間の隙間(以下の説明においてこの隙間をVN開度と記載する)を変化させる駆動装置(図示せず)とを含む。可変ノズル機構35は、たとえば、制御装置200からの制御信号VN1に応じて駆動装置を用いてノズルベーンを回転させることによってVN開度を変化させる。
過給機40は、コンプレッサ41とタービン42とを含むターボチャージャーである。過給機40のコンプレッサ41は、エンジン1の吸気通路において、コンプレッサ31に並列して設けられ、エンジン1の吸気を過給する。過給機40のタービン42は、エンジン1の排気通路において、タービン32に並列して設けられる。
コンプレッサ41内には、コンプレッサホイール43が回転自在に収納される。タービン42内には、タービンホイール44と可変ノズル機構45とが設けられる。タービンホイール44は、回転自在にタービン42内に収納される。コンプレッサホイール43と、タービンホイール44とは、回転軸46によって連結されており、一体的に回転する。コンプレッサホイール43は、タービンホイール44に供給される排気エネルギによって回転駆動される。エンジン1の作動中においては、エンジン1の動力によって作動する図示しないオイルポンプから潤滑用のオイルが過給機40の回転軸46に供給される。
なお、可変ノズル機構45は、可変ノズル機構35と同様の構成を有するため、その詳細な説明は繰り返さない。可変ノズル機構45は、たとえば、制御装置200からの制御信号VN2に応じて駆動装置を用いてノズルベーンを回転させることによってVN開度を変化させる。
エアクリーナ20は、吸気口(図示せず)から吸入された空気から異物を除去する。エアクリーナ20には、吸気管23の一方端が接続される。吸気管23の他方端は、分岐して吸気管21の一方端および吸気管22の一方端に接続される。
吸気管21の他方端は、過給機30のコンプレッサ31の吸気流入口に接続される。過給機30のコンプレッサ31の吸気流出口には、吸気管37の一方端が接続される。吸気管37の他方端は、インタークーラ25に接続される。コンプレッサ31は、コンプレッサホイール33の回転によって吸気管21を通じて吸入される空気を過給して吸気管37に供給する。
吸気管22の他方端は、過給機40のコンプレッサ41の吸気流入口に接続される。過給機40のコンプレッサ41の吸気流出口には、吸気管47の一方端が接続される。吸気管47の他方端は、吸気管37の途中の接続部P3に接続される。コンプレッサ41は、コンプレッサホイール43の回転によって吸気管22を通じて吸入される空気を過給して吸気管47に供給する。
吸気管47の途中には第1制御弁62が設けられている。第1制御弁62は、たとえば、制御装置200によってON(開)/OFF(閉)制御されるノーマリーオフのVSV(負圧切替弁)である。
また、吸気管47において第1制御弁62よりも上流側(コンプレッサ41側)に位置する接続部P4に、還流管48の一方端が接続されている。また、還流管48の他方端は吸気管21に接続されている。還流管48は、吸気管47を流れる空気の少なくとも一部を過給機30のコンプレッサ31よりも上流側に還流させるための通路である。還流管48を通じて吸気管21に還流した空気は、コンプレッサ31に供給される。
還流管48の途中には第2制御弁64が設けられている。第2制御弁64は、たとえば、制御装置200によってON(開)/OFF(閉)制御されるノーマリーオフの電磁弁(ソレノイドバルブ)である。
接続部P3には、コンプレッサ31によって過給された空気と、コンプレッサ41によって過給され、第1制御弁62を通過した空気とが供給される。これらの空気は、接続部P3で合流してインタークーラ25に流入する。
インタークーラ25は、流入した空気を冷却するように構成される。インタークーラ25は、たとえば空冷式又は水冷式の熱交換器である。インタークーラ25には、2カ所の吸気流出口が設けられる。インタークーラ25の一方の出口には、吸気管27Aの一方端が接続される。吸気管27Aの他方端は、吸気マニホールド28Aに接続される。インタークーラ25の他方の出口には、吸気管27Bの一方端が接続される。吸気管27Bの他方端は、吸気マニホールド28Bに接続される。
吸気マニホールド28A、28Bは、それぞれバンク10A、10Bにおける気筒12A、12Bの吸気ポート(図示せず)に連結される。一方、排気マニホールド50A,50Bは、それぞれバンク10A,10Bにおける気筒12A,12Bの排気ポート(図示せず)に連結される。
各気筒12A,12Bの燃焼室から排気ポートを通じて気筒外に排出された排気(燃焼後のガス)は、エンジン1の排気通路を経由して車外に排出される。上記の排気通路は、排気マニホールド50A,50B、排気管51A,51Bと、接続部P1と、排気管52A,52B,53A,53Bと、接続部P2とを含む。排気管51Aの一方端は、排気マニホールド50Aに接続される。排気管51Bの一方端は、排気マニホールド50Bに接続される。排気管51Aの他方端と、排気管51Bの他方端とは、接続部P1において一旦合流した後に、分岐して排気管52Aの一方端および排気管52Bの一方端に接続される。
排気管52Aの他方端は、タービン32の排気流入口に接続される。タービン32の排気流出口には、排気管53Aの一方端が接続される。排気管52Bの他方端は、タービン42の排気流入口に接続される。タービン42の排気流出口には、排気管53Bの一方端が接続される。
排気管52Bの途中には第3制御弁66が設けられる。第3制御弁66は、たとえば、制御装置200によってON(開)/OFF(閉)制御されるノーマリーオンのVSV(負圧切替弁)である。
排気管53Aの他方端と排気管53Bの他方端とは、接続部P2において合流し、排気処理装置81に接続される。排気処理装置81は、たとえば、SCR触媒、酸化触媒、あるいは、PM除去フィルタ等によって構成され、排気管53Aおよび排気管53Bから流通する排気を浄化する。
エンジン1の動作は、制御装置200によって制御される。制御装置200は、各種処理を行なうCPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよびデータを記憶するROM(Read Only Memory)およびCPUの処理結果等を記憶するRAM(Random Access Memory)等を含むメモリと、外部との情報のやり取りを行なうための入・出力ポート(いずれも図示せず)とを含む。入力ポートには、各種センサ類(たとえば、エアフローメータ102、エンジン回転数センサ104、第1圧力センサ106、第2圧力センサ108、シフトセンサ110、外気温センサ112、水温センサ114等)が接続される。出力ポートには、制御対象となる機器(たとえば、複数のインジェクタ、可変ノズル機構35,45等)が接続される。
制御装置200は、各センサおよび機器からの信号、ならびにメモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、エンジン1が所望の運転状態となるように各種機器を制御する。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)により処理することも可能である。また、制御装置200には、時間の計測を行うためのタイマー回路(図示せず)が内蔵されている。
エアフローメータ102は、吸入空気量Qinを検出し、検出結果を示す信号を制御装置200に送信する。エンジン回転数センサ104は、エンジン回転数NEを検出し、検出結果を示す信号を制御装置200に送信する。第1圧力センサ106は、吸気管27A内の圧力Ppを検出し、検出結果を示す信号を制御装置200に送信する。第2圧力センサ108は、吸気管47の接続部P4における圧力Psを検出し、検出結果を示す信号を制御装置200に送信する。
シフトセンサ110は、エンジン1が搭載される車両のシフトレンジを検出し、検出結果を示す信号を制御装置200に送信する。車両のシフトレンジには、前進走行レンジ(Dレンジ)、後進走行レンジ(Rレンジ)、ニュートラルレンジ(Nレンジ)、パーキングレンジ(Pレンジ)などが含まれる。
Dレンジでは、エンジン1から駆動輪へ前進方向の動力が伝達される。Rレンジでは、エンジン1から駆動輪へ後進方向の動力が伝達される。DレンジおよびRレンジは、エンジン1の動力による車両走行が可能な「走行レンジ」である。
Nレンジでは、エンジン1から駆動輪への動力伝達が遮断される。Pレンジでは、車両の駆動輪の回転が機械的にロックされる。NレンジおよびPレンジは、エンジン1の動力による車両走行ができない「非走行レンジ」である。
外気温センサ112は、車両周辺の環境温度を外気温THaとして検出し、検出結果を示す信号を制御装置200に送信する。水温センサ114は、エンジン1の冷却水の温度をエンジン水温THwとして検出、検出結果を示す信号を制御装置200に送信する。
[過給モードの切替制御]
本実施の形態においては、過給機30,40と制御装置200とによって「過給システム」が構成される。
制御装置200は、第1制御弁62、第2制御弁64および第3制御弁66を制御することにより、過給モードを、シングル過給モードとツイン過給モードとのうちのいずれか一方から他方に切り替える切替制御を実行可能に構成される。シングル過給モードは、過給機30(プライマリターボ)のみで過給を行なう制御モードである。ツイン過給モードは、過給機30(プライマリターボ)および過給機40(セカンダリターボ)の両方で過給を行なう制御モードである。
切替制御の実行中においてシングル過給モードからツイン過給モードへの切り替えを行なう場合には、制御装置200は、シングル過給モードから、過給機40による過給圧を一定以上に上昇させる第1助走運転を実行した後に、ツイン過給モードに切り替える。
また、切替制御の実行中においてツイン過給モードからシングル過給モードへの切り替えを行なう場合には、制御装置200は、ツイン過給モードから、過給機40による過給圧を一定以下に低下させる第2助走運転を実行した後に、シングル過給モードに切り替える。
以下、シングル過給モード、第1助走運転、ツイン過給モード、および第2助走運転の各々における過給システムの動作について図2、図3、図4、および図5を参照しつつ説明する。
(シングル過給モード)
制御装置200は、たとえばエンジン1の負荷が基準値よりも低い低負荷状態である場合に、シングル過給モードで過給システムを動作させる。なお、エンジン1が低負荷状態であるか否かは、たとえばエンジン回転数NEおよび吸入空気量Qinなどに基づいて判定することができる。制御装置200は、過給モードがシングル過給モードである場合には、第1制御弁62、第2制御弁64および第3制御弁66をいずれも閉状態(オフ状態)にする。
図2は、シングル過給モード時の過給システムの動作を説明するための図である。図2の矢印に示すように、排気マニホールド50A,50Bを流通する排気は、排気管52Aを経由して過給機30のタービン32に流れ、排気管53Aを経由して排気処理装置81に流れる。
タービン32に供給された排気によって、タービンホイール34が回転し、タービンホイール34の回転にともなってコンプレッサホイール33が回転する。エアクリーナ20から吸入される空気は、吸気管23および吸気管21を経由してコンプレッサ31に流れる。コンプレッサ31から吐出された吸気は、吸気管37を経由してインタークーラ25に流れる。インタークーラ25に流れた吸気は、吸気管27A,27Bに分岐して吸気マニホールド28A,28Bの各々に流れる。
したがって、シングル過給モード中においては、過給機30が駆動状態となり過給機30による過給が行なわれるが、過給機40は非駆動状態となるため過給機40による過給は行なわれない。
(第1助走運転)
制御装置200は、過給モードがシングル過給モードであって、かつたとえばエンジン1の負荷が基準値よりも高い高負荷状態である場合に、シングル過給モードからツイン過給モードへの切替要求があると判定する。制御装置200は、シングル過給モードからツイン過給モードへの切替要求がある場合には、第1助走運転を実行する。すなわち、制御装置200は、第2制御弁64および第3制御弁66の両方を開状態(オン状態)にし、第1制御弁62を閉状態(オフ状態)にする。
図3は、第1助走運転時の過給システムの動作を説明するための図である。図3の矢印に示すように、排気マニホールド50A,50Bを流通する排気は、接続部P1で一旦合流した後に排気管52A,52Bに分岐し、過給機30,40のタービン32,42の両方に流れ、排気管53A,53Bを経由して排気処理装置81に流通する。
タービン32に供給された排気によって、タービンホイール34が回転し、タービンホイール34の回転にともなってコンプレッサホイール33が回転する。タービン42に供給された排気によって、タービンホイール44が回転し、タービンホイール44の回転にともなってコンプレッサホイール43が回転する。
エアクリーナ20から吸入される空気は、吸気管23から吸気管21,22に分岐してコンプレッサ31,41の両方に流れる。
コンプレッサ31から吐出された吸気は、吸気管37を経由してインタークーラ25に流れる。コンプレッサ41から吐出された吸気は、吸気管47から接続部P4を経由して還流管48に流れ、還流管48から吸気管21を経由してコンプレッサ31に流れる。
インタークーラ25に流れた吸気は、吸気管27A,27Bに分岐して吸気マニホールド28A,28Bの各々に流れる。第1助走運転中においては、過給機30によってインタークーラ25に流れる吸気を過給しつつ、過給機40の回転数が上昇される。過給機40の回転数が上昇するにつれて過給機40のコンプレッサ41から吐出される吸気の圧力が上昇していく。これにより、ツイン過給モードに切り替える前に過給機40による過給圧を予め一定以下に上昇させておくことができる。そのため、その後にツイン過給モードに切り替える際に過給機40による過給圧の急増(過給圧段差)が生じることが抑制されるため、ドライバビリティが向上される。
(ツイン過給モード)
制御装置200は、第1助走運転中における過給機40の過給能力が十分高くなったタイミングで、ツイン過給モードで過給システムを動作させる。制御装置200は、過給モードがツイン過給モードである場合には、第1制御弁62を開状態(オン状態)にするとともに、第2制御弁64を閉状態(オフ状態)にする。
図4は、ツイン過給モード時の過給システムの動作を説明するための図である。第1助走運転時においては、過給機40のコンプレッサ41から吐出された吸気が吸気管47の途中から還流管48を経由して吸気管21に流れていたのに対して、ツイン過給モード時においては、図4の矢印に示すように、過給機40のコンプレッサ41から吐出された吸気が吸気管47から吸気管37を経由してインタークーラ25に流れる。なお、上述以外の排気および吸気の流れは第1助走運転時の排気および吸気の流れと同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
ツイン過給モード中においては、過給機30および過給機40が駆動状態となり、過給機30および過給機40による過給が行なわれる。
(第2助走運転)
制御装置200は、過給モードがツイン過給モードであって、かつたとえばエンジン1が低負荷状態である場合に、ツイン過給モードからシングル過給モードへの切替要求があると判定する。制御装置200は、ツイン過給モードからシングル過給モードへの切替要求がある場合には、第2助走運転を実行する。すなわち、制御装置200は、第2制御弁64を開状態(オン状態)にし、第1制御弁62および第3制御弁66の両方を閉状態(オフ状態)にする。
図5は、第2助走運転時の過給システムの動作を説明するための図である。図5の矢印に示すように、排気マニホールド50A,50Bを流通する排気は、排気管52Aを経由して過給機30のタービン32に流れ、排気管53Aを経由して排気処理装置81に流れる。タービン32に供給された排気によって、タービンホイール34およびコンプレッサホイール33が回転する。
エアクリーナ20から吸入される空気は、吸気管23から吸気管21,22に分岐してコンプレッサ31,41の両方に流れる。
コンプレッサ31から吐出された吸気は、吸気管37を経由してインタークーラ25に流れる。コンプレッサ41から吐出された吸気は、吸気管47から接続部P4を経由して還流管48に流れ、還流管48から吸気管21を経由してコンプレッサ31に流れる。
インタークーラ25に流れた吸気は、吸気管27A,27Bに分岐して吸気マニホールド28A,28Bの各々に流れる。
第2助走運転中においては、過給機30によってインタークーラ25に流れる吸気を過給しつつ、過給機40のタービン42には排気が供給されないため過給機40の回転数が低下される。過給機40の回転数が低下するにつれて過給機40のコンプレッサ41から吐出される吸気の圧力が低下していく。これにより、シングル過給モードに切り替える前に過給機40による過給圧を予め一定以下に低下させておくことができる。そのため、その後にシングル過給モードに切り替える際に過給機40による過給圧の急減(過給圧段差)が生じることが抑制されるため、ドライバビリティが向上される。
(過給モードの切替制御フロー)
図6は、制御装置200は、過給モードの切替制御を実行する際に行なう処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、エンジン1の作動中に予め定められた条件が成立する毎(たとえば所定周期毎)に繰り返し実行される。
まず、制御装置200は、エンジン1が低負荷状態であるか否かを判定する(ステップS10)。
エンジン1が低負荷状態である場合(ステップS10においてYES)、制御装置200は、現在の過給モードがツイン過給モード中であるか否かを判定する(ステップS11)。
ツイン過給モード中である場合(ステップS11においてYES)、制御装置200は、上述の第2助走運転を行ない(ステップS12)、その後にシングル過給モードへの切り替えを行なう(ステップS13)。一方、既にシングル過給モード中である場合(ステップS11においてNO)、制御装置200は、シングル過給モードをそのまま維持する(ステップS13)。
エンジン1が高負荷状態である場合(ステップS10においてNO)、制御装置200は、現在の過給モードがシングル過給モード中であるか否かを判定する(ステップS15)。
シングル過給モード中である場合(ステップS15においてYES)、制御装置200は、上述の第1助走運転を行ない(ステップS16)、その後にツイン過給モードへの切り替えを行なう(ステップS17)。一方、既にツイン過給モード中である場合(ステップS15においてNO)、制御装置200は、ツイン過給モードをそのまま維持する(ステップS17)。
[オイルの掃気制御]
上述したように、制御装置200は、エンジン1が低負荷状態である場合は過給モードをシングル過給モードとし、エンジン1が高負荷状態である場合は過給モードをツイン過給モードとする。したがって、エンジン1の作動中において、過給機30は常時駆動状態であるのに対し、過給機40はシングル過給モード中において非駆動状態となる。
また、エンジン1の作動中においては、上述したように、オイルポンプから潤滑用のオイルが、過給機30の回転軸36および過給機40の回転軸46に供給される。過給機40が非駆動状態となるシングル過給モード中においては、過給機40に過給圧および排気圧が加わらないため、過給機40のコンプレッサホイール43周辺から吸気管22,47にオイルが漏洩する可能性がある。たとえば吸気管47に局所的に低い低領域R(図2参照)があると、シングル過給モード中に過給機40から漏洩したオイルが吸気管47の低領域Rに溜まることになる。シングル過給モードでの運転が長期間継続されると、吸気管47に多量のオイルが溜まってしまう。吸気管47に多量のオイルが溜まってしまうと、その後にツイン過給モードに切り替えられて過給機40が駆動されたときに吸気管47に溜まった多量のオイルが一気に気筒12A,12Bに供給されるため、黒煙や白煙の発生要因となり、エンジン1の燃焼状態やエミッションの悪化を招き得る。
このような問題を解決すべく、本実施の形態による制御装置200は、エンジン1が搭載される車両のシフトレンジが非走行レンジ(PレンジあるいはNレンジ)である状態でエンジン1が始動された場合、上述の切替制御に代えて、過給モードをツイン過給モードにすることによって過給機40を経由する吸気管22,47を掃気する「掃気制御」を実行する。これにより、シングル過給モード中に吸気管22,47の溜まったオイルを、非走行レンジでエンジン1が始動される毎に実行される掃気制御によって定期的に少量ずつ気筒12A,12Bに掃気することができる。そのため、多量のオイルが一気に気筒12A,12Bに供給されることが抑制される。これにより、シングル過給モード中に非駆動状態となる過給機40から漏洩したオイルによってエンジン1の燃焼状態およびエミッションが悪化することを、非走行レンジでエンジン1が始動される毎にツイン過給モードにするという簡易な制御で抑制することができる。
図7は、制御装置200が上述の掃気制御を実行する際に行なう処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、エンジン1の停止中であって、かつシフトレンジが非走行レンジである場合に開始される。なお、以下では、非走行レンジをPレンジとする例について説明する。
まず、制御装置200は、エンジン1が始動されたか否かを判定する(ステップS20)。エンジン1が始動されていない場合(ステップS20においてNO)、制御装置200は、以降の処理を実行することなく処理を終了する。
エンジン1が始動された場合(ステップS20においてYES)、制御装置200は、上述の掃気制御を開始する(ステップS22)。具体的には、制御装置200は、過給モードをツイン過給モード(図4参照)にする。
次いで、制御装置200は、シフトセンサ110による検出結果に基づいて、シフトレンジがPレンジから走行レンジ(DレンジあるいはRレンジ)に切り替えられたか否かを判定する(ステップS24)。シフトレンジが走行レンジに切り替えられられずにPレンジに維持されている場合(ステップS24においてNO)、制御装置200は、処理をステップS24に戻し、シフトレンジが走行レンジに切り替えられるまで待つ。
シフトレンジが走行レンジに切り替えられた場合(ステップS24においてYES)、制御装置200は、掃気制御の実行を終了する(ステップS26)。
図8は、掃気制御の実行タイミングを示すタイミングチャートである。シフトレンジがPレンジである時刻t1にてエンジン1が始動されると、掃気制御の実行が開始され、過給モードがツイン過給モードとされる。これにより、吸気管22,47に溜まったオイルが掃気される。このようなオイルの掃気がPレンジでエンジン1が始動される毎に定期的に実行される。そのため、吸気管22,47に溜まったオイルが少量ずつ気筒12A,12Bに供給されることになるため、多量のオイルが一気に気筒12A,12Bに供給されることが抑制される。これにより、シングル過給モード中に非駆動状態となる過給機40から漏洩したオイルによってエンジン1の燃焼状態およびエミッションが悪化することを、Pレンジでエンジン1が始動される毎に定期的にツイン過給モードにするという簡易な制御で抑制することができる。
その後の時刻t2にてシフトレンジが走行レンジであるDレンジに切り替えられると、掃気制御の実行が終了される。すなわち、本実施の形態においては、Pレンジでエンジン1が始動されてからシフトレンジがDレンジに切り替えられるまでの期間はユーザに車両を走行させる意思はなく過給圧の応答性などを考慮する必要がないことに鑑み、この期間に掃気制御が実行される。そのため、ドライバビリティを悪化させることなく、オイルの掃気を行なうことができる。
なお、本実施の形態においては、Pレンジでのエンジン1の始動時に実行される掃気制御(以下「始動時掃気制御」ともいう)によって、吸気管22,47に溜まったオイルが十分に掃気されるとの考えから、車両走行後の時刻t3にてエンジン1の作動中にシフトレンジが走行レンジ(Dレンジ)からPレンジに切り替えられたとしても、掃気制御を実行していない。
以上のように、本実施の形態による制御装置200は、Pレンジでエンジン1が始動された場合、切替制御に代えて、過給モードをツイン過給モードにすることによって過給機40を経由する吸気管22,47を掃気する掃気制御(始動時掃気制御)を実行する。これにより、シングル過給モード中に非駆動状態となる過給機40から漏洩して吸気管22,47の溜まったオイルは、非走行レンジでエンジン1が始動される毎に実行される掃気制御(始動時掃気制御)によって定期的に少量ずつ気筒12A,12Bに掃気される。そのため、多量のオイルが一気に気筒12A,12Bに供給されることが抑制される。これにより、シングル過給モード中に過給機40から漏洩したオイルによってエンジン1の燃焼状態およびエミッションが悪化することを、Pレンジでエンジン1が始動される毎にツイン過給モードにするという簡易な制御で抑制することができる。
[変形例1]
上述の実施の形態においては、掃気制御(始動時掃気制御)の実行中にシフトレンジがPレンジから走行レンジに切り替わった場合に、掃気制御が終了される。しかしながら、掃気制御の実行が継続された時間がしきい時間Tに達した場合には、シフトレンジがPレンジであっても掃気制御が終了されるようにしてもよい。
図9は、本変形例1による制御装置200が掃気制御を実行する際に行なう処理手順の一例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、上述の図7に示すフローチャートのステップS24をステップS24Aに変更し、さらにステップS30,S32,S34を追加したものである。その他のステップ(図7に示したステップと同じ番号を付しているステップ)については、既に説明したため詳細な説明はここでは繰り返さない。
ステップS22にて掃気制御を開始した後、制御装置200は、メモリに記録されている掃気カウンタをカウントアップする(ステップS30)。掃気カウンタは、掃気制御の実行が継続された時間を表わすパラメータである。掃気カウンタの初期値は0である。
次いで、制御装置200は、掃気カウンタがしきい時間Tに達した(しきい時間Tを超えた)か否かを判定する(ステップS32)。しきい時間Tは、たとえば、吸気管22,47に溜まったオイルが掃気制御によって十分に掃気されるのに要する時間に設定される。しきい時間Tは、実験等によって予め求められた固定値であってもよいし、掃気制御によるオイル掃気量に相関するパラメータに応じて変動する変動値であってもよい。
掃気カウンタがしきい時間Tに達していない場合(ステップS32においてNO)、制御装置200は、シフトレンジがPレンジから走行レンジに切り替えられたか否かを判定する(ステップS24A)。シフトレンジが走行レンジに切り替えられられずにPレンジに維持されている場合(ステップS24AにおいてNO)、制御装置200は、処理をステップS30に戻し、ステップS30以降の処理を繰り返す。
そして、シフトレンジが走行レンジに切り替えられる前に掃気カウンタがしきい時間Tに達した場合(ステップS32においてYES)、制御装置200は、シフトレンジがPレンジであっても掃気制御の実行を終了する(ステップS26)。その後、制御装置200は、掃気カウンタをクリアして初期値0にする(ステップS34)。
図10は、本変形例1の掃気制御の実行タイミングを示すタイミングチャートである。なお、図10においては、しきい時間Tが「第1しきい時間Ta」に設定されている例が示されている。シフトレンジがPレンジである時刻t11にてエンジン1が始動されると、掃気制御の実行が開始され、過給モードがツイン過給モードとされる。掃気制御の実行が開始されると、掃気カウンタの計時が開始される。
そして、時刻t12にて掃気カウンタがしきい時間Tに達すると、シフトレンジがPレンジであっても、掃気制御の実行が終了される。すなわち、本変形例においては、掃気カウンタ(掃気制御の実行が継続された時間)がしきい時間Tに達した場合には、吸気管22,47に溜まったオイルが掃気制御によって十分に掃気されたと想定して、掃気制御の実行を終了している。これにより、掃気制御が不必要に継続されることが抑制される。
以上のように、掃気制御の実行が継続された時間がしきい時間Tに達した場合には、シフトレンジがPレンジであっても掃気制御を終了するようにしてもよい。
[変形例2]
上述の実施の形態においては、シングル過給モード中に吸気管22,47に溜まったオイルが、Pレンジでのエンジン1の始動時に実行される「始動時掃気制御」によって十分に掃気されるとの考えから、車両走行後にシフトレンジが走行レンジからPレンジに切り替えられたとしても掃気制御は実行されない。
しかしながら、Pレンジでのエンジン1の始動時のオイルの温度が極低温である場合には、オイルの動粘度が高く始動時掃気制御によって十分に掃気されない場合も想定される。
この点に鑑み、Pレンジでのエンジン1の始動時における外気温THaおよびエンジン水温THwの少なくとも一方がしきい温度未満である場合には、オイルの温度が極低温でありオイルの動粘度が高いと推定して、始動時掃気制御に代えてあるいは加えて、「走行後掃気制御」を実行するようにしてもよい。「走行後掃気制御」は、エンジン1の作動中にシフトレンジが走行レンジから非走行レンジに切り替わった場合に、過給モードをツイン過給モードにする排気制御である。
図11は、本変形例2による制御装置200が掃気制御を実行する際に行なう処理手順の一例を示すフローチャートである。図11に示すフローチャートは、上述の図9に示すフローチャートのステップS32,S24AをステップS32B,S24Bに変更し、さらにステップS40,S42,S44,S46を追加したものである。その他のステップ(図9に示したステップと同じ番号を付しているステップ)については、既に説明したため詳細な説明はここでは繰り返さない。
Pレンジでのエンジン1が始動された場合(ステップS20においてYES)、制御装置200は、始動時掃気制御を開始する(ステップS22)。始動時掃気制御の開始後、制御装置200は、外気温センサ112によって検出された外気温THaがしきい温度A未満であり、かつ水温センサ114によって検出されたエンジン水温THwがしきい温度B未満であるか否かを判定する(ステップS40)。この判定は、外気温THaおよびエンジン水温THwに基づいてオイルの温度が極低温であるか否かを推定するために行なわれる。なお、外気温THaおよびエンジン水温THwのどちらか一方のみに基づいてオイルの温度が極低温であるか否かを推定するようにしてもよいし、オイルの温度を直接的に検出するセンサが搭載されている場合には当該センサの検出値に基づいてオイルの温度が極低温であるか否かを推定するようにしてもよい。
外気温THaがしきい温度A以上である場合、またはエンジン水温THwがしきい温度B以上である場合(ステップS40においてNO)、制御装置200は、オイルの温度は極低温ではないと推定して、掃気カウンタのカウントアップを行ない(ステップS30)、その後に、掃気カウンタがしきい時間Tに達したか否かを判定する(ステップS32B)。
一方、外気温THaがしきい温度A未満であり、かつエンジン水温THwがしきい温度B未満である場合(ステップS40においてYES)、制御装置200は、吸気管22,47に溜まったオイルが極低温であり動粘度が高く始動時掃気制御を行ったとしてもオイルは実質的に掃気されないことを想定して、掃気カウンタをカウントアップすることなく、掃気カウンタがしきい時間Tに達したか否かを判定する(ステップS32B)。したがって、オイルが極低温である場合には、掃気カウンタは初期値「0」に維持され、しきい時間Tには達しないことになる。
掃気カウンタがしきい時間Tに達していない場合(ステップS32BにおいてNO)、制御装置200は、シフトレンジがPレンジから走行レンジに切り替えられたか否かを判定する(ステップS24B)。シフトレンジが走行レンジに切り替えられられずにPレンジに維持されている場合(ステップS24BにおいてNO)、制御装置200は、処理をステップS40に戻し、ステップS40以降の処理を繰り返す。
そして、シフトレンジが走行レンジに切り替えられた場合(ステップS24BにおいてYES)、制御装置200は、始動時掃気制御の実行を終了する(ステップS42)。その後、制御装置200は、シフトレンジが走行レンジからPレンジに切り替えられたか否かを判定する(ステップS44)。Pレンジに切り替えられていない場合(ステップS44においてNO)、まだ車両が走行レンジでの走行中あると想定されるため、制御装置200は、処理をステップS44に戻し、Pレンジに切り替えられるまで待つ。
Pレンジに切り替えられた場合(ステップS44においてYES)、すなわち車両が走行を終えて駐車されたと想定される場合、制御装置200は、次に実行される予定の走行後掃気制御において掃気カウンタと比較される「しきい時間T」を設定する(ステップS46)。この処理を設けることで、走行後掃気制御用のしきい時間Tを、始動時掃気制御用のしきい時間Tとは異なる値に設定することが可能になる。たとえば、エンジン1の始動時には燃料増量によりエンジン回転数が一時的にアイドル回転数よりも高くなりオイルが掃気され易いのに対し、車両走行後においては始動時のような燃料増量はなくエンジン回転数がアイドル回転数に維持されることに鑑み、走行後掃気制御用のしきい時間Tを、始動時掃気制御用のしきい時間Tよりも長い値に設定するようにしてもよい。また、車両走行後においては始動時よりもオイルの温度が上昇してオイルの動粘度が低下していることに鑑み、走行後掃気制御用のしきい時間Tを、始動時掃気制御用のしきい時間Tよりも短い値に設定するようにしてもよい。また、走行後掃気制御用のしきい時間Tを、始動時掃気制御用のしきい時間Tとは同じ値に設定するようにしてもよい。
ステップS46にて走行後掃気制御用のしきい時間Tを設定した後、制御装置200は、処理をステップS22に戻し、走行後掃気制御の実行を開始する。そして、制御装置200は、ステップS40以降の処理を行なう。
走行後掃気制御の実行開始時においては、車両走行後であり、少なくともエンジン水温THwがしきい温度B以上となる(ステップS40においてNO)ため、掃気カウンタのカウントアップが実行される(ステップS30)。そして、掃気カウンタがステップS46にて設定された走行後掃気制御用のしきい時間Tに達した場合(ステップS32BにおいてYES)に、走行後掃気制御の実行が終了され(ステップS26)、掃気カウンタがクリアされる(ステップS34)。
図12は、本変形例2の掃気制御の実行タイミングを示すタイミングチャートである。なお、図12には、極低温でのエンジン始動によって始動時掃気制御が実行されるとともに、車両走行後に走行後掃気制御が実行される例が示されている。また、図12においては、始動時掃気制御用のしきい時間Tが「第1しきい時間Ta」に設定され、走行後掃気制御用のしきい時間Tが第1しきい時間Taよりも短い「第2しきい時間Tb」に設定される例が示されている。
シフトレンジがPレンジである時刻t21にてエンジン1が始動されると、始動時掃気制御の実行が開始され、過給モードがツイン過給モードとされる。始動時掃気制御が実行される時刻t21~t22までの期間は、オイルが極低温であると判定されているため、掃気カウンタはカウントアップされず初期値0に維持される。したがって、掃気カウンタが第1しきい時間Taに達することはない。
時刻t22にてシフトレンジがPレンジからDレンジに切り替えられると、始動時掃気制御が終了される。その後の時刻t23にてシフトレンジがDレンジからPレンジに切り替えられると、走行後掃気制御用のしきい時間Tが第1しきい時間Taよりも短い「第2しきい時間Tb」に設定され、走行後掃気制御が開始される。
走行後掃気制御中においては、エンジン始動時よりもオイルの温度が上昇しておりオイルが極低温であると判定されることはないため、掃気カウンタがカウントアップされる。そして、掃気カウンタが第2しきい時間Tbに達した時刻t24にて、走行後掃気制御の実行が終了される。
以上のように、Pレンジでのエンジン1の始動時における外気温THaおよびエンジン水温THwの少なくとも一方がしきい温度未満である場合には、オイルの温度が極低温でありオイルの動粘度が高く始動時掃気制御では十分にオイルの掃気ができないと推定して、始動時掃気制御に代えてあるいは加えて、走行後掃気制御を実行するようにしてもよい。
なお、上述の図11および図12においては、オイルの温度が極低温である場合に始動時掃気制御を実行した上で走行後掃気制御を実行する例を説明したが、オイルの温度が極低温である場合には始動時掃気制御を実行することなく走行後掃気制御を実行するようにしてもよい。
[変形例3]
上述の実施の形態においては、エンジン1が搭載される車両が、自動変速機(AT)を搭載した車両である例について説明した。しかしながら、エンジン1が搭載される車両は、手動変速機(MT)を搭載した車両であってもよい。
図13は、本変形例3による制御装置200が、手動変速機(MT)を搭載した車両に対して上述の掃気制御を実行する際に行なう処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、エンジン1と駆動輪との間の動力伝達が遮断された状態で、かつエンジン1の停止中に開始される。
まず、制御装置200は、エンジン1が始動されたか否かを判定する(ステップS20)。エンジン1が始動されていない場合(ステップS20においてNO)、制御装置200は、以降の処理を実行することなく処理を終了する。
エンジン1が始動された場合(ステップS20においてYES)、制御装置200は、上述の掃気制御を開始する(ステップS22)。具体的には、制御装置200は、過給モードをツイン過給モード(図4参照)にする。これにより、上述の実施の形態1と同様、シングル過給モード中に非駆動状態となる過給機40から漏洩して吸気管22,47の溜まったオイルが、エンジン1が始動される毎に定期的に少量ずつ気筒12A,12Bに掃気される。そのため、多量のオイルが一気に気筒12A,12Bに供給されることが抑制される。これにより、シングル過給モード中に過給機40から漏洩したオイルによってエンジン1の燃焼状態およびエミッションが悪化することを、エンジン1が始動される毎にツイン過給モードにするとう簡易な制御で抑制することができる。
次いで、制御装置200は、初回のクラッチペダル操作が検出されたか否かを判定する(ステップS50)。初回のクラッチペダル操作とは、エンジン1の始動後において、ユーザがエンジン1の動力を駆動輪に伝達して車両を走行させるために初めて行うクラッチペダル操作をいう。なお、クラッチペダル操作は、たとえばクラッチペダルが踏み込まれていることを検出するスイッチなどによって検出することができる。
初回のクラッチペダル操作が検出されていない場合(ステップS50においてNO)、制御装置200は、処理をステップS50に戻し、初回のクラッチペダル操作が検出されるまで待つ。一方、初回のクラッチペダル操作が検出された場合(ステップS50においてYES)、制御装置200は、掃気制御の実行を終了する(ステップS26)。これにより、掃気制御が車両走行性能に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
以上のように、手動変速機(MT)を搭載した車両に対して掃気制御を実行するようにしてもよい。
なお、上述の実施の形態およびその変形例1-3は、技術的に矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。