JP7310094B2 - 電極に用いる炭素多孔質体、及び電池 - Google Patents
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Description
[1]炭素繊維が樹脂炭化物により結着されたシート状の裁断された炭素多孔質体であって、
裁断面の正面視での平面方向の単位長さあたりの、前記裁断面の平面方向に延びる外縁から10μm以上飛び出した前記炭素繊維の数nAが2個/mm以下である、炭素多孔質体。
[2]前記裁断面の正面視での平面方向の単位長さあたりに付着した10μm以上の炭素多孔質体の断片の付着数nBが2個/mm以下である、[1]に記載の炭素多孔質体。
[3]下記工程(1)~(4)で測定される短絡電流が1mA/2cm以下である、[1]又は[2]に記載の炭素多孔質体。
工程(1):導電性の下側圧盤上に、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ[2-(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]共重合体で形成された厚み0.025mmの膜を載置する。
工程(2):前記膜上に炭素多孔質体を載置する。
工程(3):下面が縦2cm×横2cmの正方形である導電性の上側圧盤を用い、平面視で前記裁断面の縁が前記上側圧盤の横方向の中間を縦方向に延びるように位置し、前記上側圧盤における前記炭素多孔質体の加圧面積が2cm2となるように、前記下側圧盤と前記上側圧盤で前記膜と前記炭素多孔質体を2.0MPaで加圧する。
工程(4):前記膜と前記炭素多孔質体を加圧した状態の前記下側圧盤と前記上側圧盤の間に1.0Vの電圧を加えたときの電流値(mA/2cm)を測定し、短絡電流とする。
「平面方向」とは、シート状の炭素多孔質体の平面部分に沿う方向であり、炭素多孔質体の厚さ方向に直交する方向を意味する。
「10μm以上の炭素多孔質体の断片」とは、炭素多孔質体の断片(切粉)のうち、サイズが10μm以上のものを意味する。
なお、炭素繊維の平均繊維長は、走査型電子顕微鏡等の顕微鏡で炭素繊維を50倍以上に拡大して観察し、無作為に選択した50本の短繊維の繊維長を計測し、それらの値を平均したものである。
なお、炭素繊維の平均繊維径は、走査型電子顕微鏡等の顕微鏡で炭素繊維断面を50倍以上に拡大して観察し、無作為に選択した50本の単繊維の繊維径を計測し、それらの値を平均したものである。偏平な断面の炭素繊維の場合、即ち、断面に長径と短径がある場合には、長径をその繊維の繊維径とする。
炭素繊維の引張弾性率は、単繊維引張り試験で求められる。単繊維引張り試験では、炭素繊維から単繊維を1本取り出し、万能試験機を用いて試長5mm、引張り速度0.5mm/分の試験条件にて単繊維の弾性率を測定する。同一の炭素繊維から50本の単繊維を選び、それらの弾性率を測定し、平均した値を炭素繊維の引張弾性率とする。
炭素繊維の引張強度は、単繊維引張り試験で求められる。単繊維引張り試験では、炭素繊維から単繊維を1本取り出し、万能試験機を用いて試長5mm、引張り速度0.5mm/分の試験条件にて単繊維の強度を測定する。同一の炭素繊維から50本の単繊維を選び、それらの強度を測定し、平均した値を炭素繊維の引張強度とする。
バインダ樹脂としては、炭素繊維との結着力を有し、かつ炭素化するものであればよく、フェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂を例示できる。バインダ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フェノール樹脂としては、市販品を用いてもよい。
アルデヒド類としては、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラールを例示できる。アルデヒド類としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
水分散性フェノール樹脂としては、特開2004-307815号公報、特開2006-56960号公報等に記載のレゾール型フェノール樹脂乳濁液、あるいは水系ディスパージョンとも呼ばれる水分散性フェノール樹脂が挙げられる。
水溶性フェノール樹脂としては、特開2009-84382号公報等に記載の水溶性が良好なレゾール型フェノール樹脂が挙げられる。
カーボン粉としては、黒鉛粉、カーボンブラック、ミルドファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、コークス、活性炭、非晶質炭素を例示できる。カーボン粉としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
黒鉛粉としては、熱分解黒鉛、球状黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛を例示でき、導電性発現の点から、熱分解黒鉛、球状黒鉛又は鱗片状黒鉛が好ましい。
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラックを例示できる。
なお、数nAは、裁断面の正面視での平面方向の2mm幅を計測範囲とし、10個の計測範囲についてそれぞれ計測した値の平均値とする。
なお、付着数nBは、裁断面の正面視での平面方向の2mm幅を計測範囲とし、10個の計測範囲についてそれぞれ計測した値の平均値とする。
図1及び図2に示すように、導電性の下側圧盤110上に、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ[2-(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]共重合体で形成された厚み0.025mmの膜112を載置する。
下側圧盤110の材質としては、金メッキした銅板又は炭素板が挙げられる。
膜112としては、例えば、ナフィオン膜(製品名「NRE-212」、Dupont社製)を使用できる。
膜112上に炭素多孔質体200を載置する。
下面が縦2cm×横2cmの正方形である導電性の上側圧盤114を用意する。下側圧盤110と上側圧盤114で膜112と炭素多孔質体200を挟み、膜112と炭素多孔質体200を2.0MPaで加圧する。このとき、上側圧盤114の位置を、平面視で、炭素多孔質体200の裁断面210の縁が上側圧盤114の横方向の中間を縦方向に延び、かつ上側圧盤114における炭素多孔質体200の加圧面積Sが2cm2となるように調節する。
上側圧盤114の材質としては、金メッキした銅板又は炭素板が挙げられる。
膜112と炭素多孔質体200を加圧した状態の下側圧盤110と上側圧盤114の間に1.0Vの電圧を加えたときの電流値(mA/2cm)を測定し、短絡電流とする。
燃料電池の多孔質電極基材として使用する場合、炭素多孔質体には、フッ素樹脂を用いた撥水処理や、炭素粒子からなる表面緻密化(MPL:Micro Porous Layer)加工が施されてもよい。
レドックスフロー電池の多孔質電極として使用する場合、炭素多孔質体には、親水処理が施されてもよい。
本発明の炭素多孔質体の製造方法は、特に限定されない。例えば、以下の方法が挙げられる。
炭素繊維とバインダ繊維をシート化して炭素繊維シートとし、前記炭素繊維シートにフェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させ、熱プレス処理した後、不活性雰囲気下で炭素化し、炭素多孔質体を得る。
バインダ繊維としては、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ポリ酢酸ビニル繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレン(PE)パルプを例示できる。なかでも、結着力に優れ、炭素繊維の脱落をより効果的に抑制できる点から、PVA繊維、ポリエチレン繊維が好ましく、PVA繊維やPEパルプがより好ましい。バインダ繊維としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
液体媒体としては、炭素繊維及びバインダ繊維が溶解しない媒体であればよく、水や、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の有機溶媒を例示でき、生産性の点から、水が好ましい。
炭素繊維シートの目付は、10~200g/m2が好ましい。
炭素繊維シートの厚みは、100~2000μmが好ましい。
交絡処理としては、ニードルパンチング法等の機械交絡法、ウォータージェットパンチング法等の高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法等の高圧気体噴射法を例示できる。交絡処理による炭素繊維の破断を容易に抑制でき、かつ適切な交絡性が容易に得られる点から、高圧液体噴射法が好ましい。
なお、熱硬化性樹脂とカーボン粉等の他の成分を含む樹脂組成物を含侵してもよい。
炭素繊維シートへの熱硬化性樹脂の含浸量は、炭素繊維シート100質量部に対して、50~200質量部が好ましく、80~150質量部がより好ましい。
熱プレス処理時の圧力は、1~20MPaが好ましく、5~15MPaがより好ましい。
プレス時間は、0.1~5.0分が好ましく、0.1~2.0分がより好ましい。
炭素化処理後の炭素多孔質体には、必要に応じて撥水処理、MPL加工、親水処理を施してもよい。
本発明の炭素多孔質体は、短絡の発生を抑制しやすい点から、リチウムイオン電池、燃料電池、レドックスフロー電池等の電池の電極に用いることが特に有効である。
[数nAの計測]
各例の裁断面を光学顕微鏡で観察し、裁断面の正面視での平面方向の単位長さあたりの、裁断面の平面方向に延びる外縁から10μm以上飛び出した炭素繊維の数nA(個/mm)を計測した。なお、裁断面の正面視での平面方向の2mm幅を計測範囲とし、10個の計測範囲それぞれにおいて10μm以上飛び出した炭素繊維の数を計測し、それらの値の平均値を数nAとした。
各例の裁断面を光学顕微鏡で観察し、裁断面の正面視での平面方向の単位長さあたりに付着した10μm以上の炭素多孔質体の断片の付着数nB(個/mm)を計測した。なお、裁断面の正面視での平面方向の2mm幅を計測範囲とし、10個の計測範囲それぞれについて10μm以上の炭素多孔質体の断片の付着数を計測し、それらの値の平均値を付着数nBとした。
図1及び図2に示すように、下側圧盤110上に、膜112としてナフィオン膜(製品名NRE-212、厚み0.025mm、Dupont社製)を載置し、その上に各例で得た炭素多孔質体(炭素多孔質体200)を載置した。
下面が縦2cm×横2cmの正方形である上側圧盤114を用い、平面視で、炭素多孔質体200の裁断面210の縁が上側圧盤114の横方向の中間を縦方向に延び、かつ上側圧盤114における炭素多孔質体200の加圧面積Sが2cm2となるように膜112と炭素多孔質体200を2.0MPaで加圧した。この状態で、下側圧盤110と上側圧盤114の間に1.0Vの電圧を加えて電流値(mA/2cm)を測定し、短絡電流とした。
炭素繊維(PAN系炭素繊維、平均繊維径:7μm)100質量部を水中に均一に分散して単繊維に解繊し、充分に分散したところに、バインダ繊維としてポリビニルアルコール繊維(クラレ株式会社製、商品名VBP105-1)25質量部を均一に分散し、分散液を調製した。
前記分散液を抄紙した後、乾燥し、目付が40g/m2の炭素繊維シートを得た。
熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂(DIC株式会社製、「フェノライトJ-325」)を炭素繊維シートに含浸させ、目付が72g/m2の樹脂含浸炭素繊維シートを得た。
樹脂含浸炭素繊維シートをダブルベルトプレス装置により250℃、1.0MPaの条件下でプレス処理し、樹脂硬化炭素繊維シートを得た。
炭素化炉にて、窒素ガス雰囲気中、2000℃で樹脂硬化炭素繊維シートを炭素化し、厚み155μmのシート状の炭素多孔質体を得た。
得られた炭素多孔質体を、レーザー裁断機によって、30mm×30mmの矩形状に裁断した。
炭素多孔質体の裁断方法をスリット刃(シャー刃)による切断に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状で矩形状の炭素多孔質体を作成した。
炭素多孔質体の裁断方法をギャング刃による切断に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート状で矩形状の炭素多孔質体を作成した。
Claims (4)
- 炭素繊維が樹脂炭化物により結着されたシート状で裁断されている、電極に用いる炭素多孔質体であって、
前記炭素繊維の平均繊維径が3~20μm、平均繊維長が2~30mmであり、
裁断面の正面視での平面方向の単位長さあたりの、前記裁断面の平面方向に延びる外縁から10μm以上飛び出した前記炭素繊維の数nAが2個/mm以下である、電極に用いる炭素多孔質体。 - 下記工程(1)~(4)で測定される短絡電流が1mA/2cm以下である、請求項1に記載の電極に用いる炭素多孔質体。
工程(1):導電性の下側圧盤上に、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ[2-(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]共重合体で形成された厚み0.025mmの膜を載置する。
工程(2):前記膜上に炭素多孔質体を載置する。
工程(3):下面が縦2cm×横2cmの正方形である導電性の上側圧盤を用い、平面視で前記裁断面の縁が前記上側圧盤の横方向の中間を縦方向に延びるように位置し、前記上側圧盤における前記炭素多孔質体の加圧面積が2cm2となるように、前記下側圧盤と前記上側圧盤で前記膜と前記炭素多孔質体を2.0MPaで加圧する。
工程(4):前記膜と前記炭素多孔質体を加圧した状態の前記下側圧盤と前記上側圧盤の間に1.0Vの電圧を加えたときの電流値(mA/2cm)を測定し、短絡電流とする。 - 前記炭素繊維の繊維方向がランダムな方向に向くように分散された状態で樹脂炭化物により結着されており、前記炭素多孔質体中の前記炭素繊維の含有量は、前記炭素多孔質体の総質量に対して、40~80質量%である、請求項1又は2に記載の電極に用いる炭素多孔質体。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の電極に用いる炭素多孔質体と電解質膜が接合された電池。
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