JP7307287B1 - 半導体受光素子 - Google Patents

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Abstract

本開示の半導体受光素子(100)は、半導体基板(1)と、半導体基板(1)上に形成されたn型バッファ層(2)と、n型バッファ層(2)上に形成された増倍層(3)と、増倍層(3)上に形成されたp型電界緩和層(4)と、p型電界緩和層(4)上に形成された光吸収層(5)と、を備え、n型バッファ層(2)、増倍層(3)、及びp型電界緩和層(4)のいずれか1層、いずれか2層、または3層がデジタルアロイ構造からなることを特徴とする。

Description

本開示は、半導体受光素子に関する。
デジタル情報を活用するデジタルトランスフォーメーションの進展とともに、デジタル情報をやりとりする通信ネットワークとデータの蓄積処理を行うデータセンタの発展が著しい。通信ネットワーク及びデータセンタ内通信には光通信が用いられ、近年、高速化及び大容量化が目覚ましい進展を遂げている。その中で光通信の受信側では高い受信感度が得られるアバランシェフォトダイオード(APD:Avalanche Photodiode)が使用されている。
APDには大別して、ウエハの上面方向から光を入射する面入射型、及びチップの端面方向から光を入射する導波路型の2種類がある。面入射型APDは、受光部の直径が10~100μm程度で光ファイバーとの光の結合が容易である反面、受光感度を大きくするためには光吸収層を数μmと厚くする必要があり、電子及び正孔が光吸収層を走行する時間が長くなるため高速応答性が劣る。一方、導波路型APDは、チップ端面から入射した光を導波路状の光吸収層に伝搬させながら光を吸収する構造であるため、光吸収層は1μm以下に薄層化しても高い受信感度が得られる。
以上のように、導波路型APDは高速応答性に優れているため、25Gbit/sec以上の高速通信では最も重要な受光デバイスとなっている。近年ではさらなる高速化及び高感度化が導波路型APDに要求されているため、一層の高感度化を図るには、入射した光をAPDの光導波路に効率よく結合することが必要となる。
特開2007-311455号公報
Jiyuan Zheng etal, "Digital Alloy InAlAs Avalanche Photodiodes",JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, VOL. 36, NO. 17, SEPTEMBER 1, pp.3580-3585,2018
APDは、光吸収層(InGaAs)、電界緩和層(InPまたはInAlAs)、増倍層(InPまたはInAlAs)を主要部として構成される。増倍層には800kV/cm程度の高い電界をかけて、光吸収層で発生した正孔及び電子を増倍(イオン化)する。電界緩和層は増倍層の高い電界が光吸収層に印加されないように電界を弱める機能を有する。
一般に、導波路型APDの電界緩和層、増倍層には、基板及びクラッド層を構成する半導体材料であるInPよりも屈折率nが高いInAlAs、InAlGaAsなどの化合物半導体が用いられる。APDでは、正孔と電子のイオン化率の差が大きいほど、増倍時に発生する過剰雑音が小さくなり、受信感度が高くなる。InAlAsはInPよりも電子と正孔のイオン化率の差が大きい。ちなみに、InPでは正孔は電子よりもイオン化率が大きい、すなわち、正孔のイオン化率は電子のイオン化率の約2倍である。一方、InAlAsでは電子のイオン化率が正孔のイオン化率よりも大きい、すなわち、電子のイオン化率は正孔のイオン化率の約5倍である。
したがって、APDの増倍層としてInAlAsを適用する方がInPよりも受信感度が高くなるため、導波路型APDの増倍層にはInPよりもInAlAsの方が好適である。
導波路型APDを構成する光吸収層(InGaAs)、電界緩和層(InAlAs)、増倍層(InAlAs)、バッファ層(InAlAs)と上下方向に位置するクラッド層(InP)において、光吸収層がもっとも屈折率nが高く、次に、電界緩和層、増倍層、及びバッファ層の屈折率nが高い。光は、導波路を伝搬する場合、屈折率nの高い層に多く閉じ込められる性質がある。つまり、最も屈折率nの高い光吸収層に光が多く閉じ込められるが、次に屈折率nの高い電界緩和層、増倍層、及びバッファ層にも光が閉じ込められるため、光分布が上下方向に非対称となる。その結果、光吸収層に閉じ込められる光の量(光閉じ込め率)が減少してしまうという問題があった。なお、上述において、上下方向とは、基板表面に垂直な方向において、光吸収層を起点に基板から離れる方向を上方向、基板に近づく方向を下方向とそれぞれ意味する。
特許文献1に記載の半導体受光素子のように、光の閉じ込め率を高くするために、光吸収層を屈折率nの高いInAlGaAs(光閉じ込め層)で挟むアイデアも提示されている。しかしながら、電子及び正孔が光閉じ込め層を走行するための時間が余分にかかるため高速応答性が損なわれるという問題がある。また、InAlGaAsあるいはInGaAsPなどの屈折率nが高い層は熱伝導率が低く放熱性が悪化するため、光の入力強度が大きい場合に半導体受光素子が劣化する懸念がある。
本開示は上記のような問題点を解消するためになされたもので、受光感度が高く、かつ高速応答性に優れた半導体受光素子を得ることを目的とする。
本開示による半導体受光素子は、
InP基板と、
前記InP基板上に形成されたn型InAlAsバッファ層と、
前記n型InAlAsバッファ層上に形成されたInAlAs増倍層と、
前記InAlAs増倍層上に形成されたp型InAlAs電界緩和層と、
前記p型InAlAs電界緩和層上に形成されたInGaAs光吸収層と、を備え、
前記InAlAs増倍層及び前記p型InAlAs電界緩和層の2層、前記n型InAlAsバッファ層及び前記p型InAlAs電界緩和層の2層、前記n型InAlAsバッファ層及び前記InAlAs増倍層の2層のいずれか、または、前記n型InAlAsバッファ層、前記InAlAs増倍層、及び前記p型InAlAs電界緩和層3層がデジタルアロイ構造からなる。
本開示による半導体受光素子によれば、n型バッファ層、増倍層、及びp型電界緩和層のいずれか1層、いずれか2層、または3層をデジタルアロイ構造で構成したので、受光感度が高く、かつ高速応答性に優れた半導体受光素子を得ることができるという効果を奏する。
実施の形態1に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 比較例による半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 DA-InAlAs、バルク結晶であるInAlAs、及びInPにおける、屈折率nと波長の関係を表す図である。 実施の形態2に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態3に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態3に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態4に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態4の変形例1に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態4の変形例2に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態4の変形例3に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態5に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態5の変形例1に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態6に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。 実施の形態6の変形例1に係る半導体受光素子の素子構造を表す断面図である。
実施の形態1.
<実施の形態1に係る半導体受光素子の素子構造>
図1は、実施の形態1に係る半導体受光素子100の素子構造を表す断面図である。実施の形態1に係る半導体受光素子100の一例として、導波路型APDを挙げている。
実施の形態1に係る半導体受光素子100は、n型InP基板1上に順次形成された、キャリア濃度が1~5×1018cm-3であり層厚が全体として0.1~1.0μmである、n型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とn型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなるn型InAlAsバッファ層2(以下、n型DA-InAlAsバッファ層2と呼ぶ)と、層厚が全体として0.05~0.4μmでありキャリア濃度が5×1017cm-3以下である、i型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)と、i型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなるi型InAlAs増倍層3(以下、i型DA-InAlAs増倍層3と呼ぶ)と、キャリア濃度が0.1~10×1017cm-3であり層厚が全体として10~100nmである、p型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とp型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなるp型InAlAs電界緩和層4(以下、p型DA-InAlAs電界緩和層4と呼ぶ)と、層厚が0.1~1.0μmであるi型InGaAs光吸収層5と、層厚が1~3μmであるp型InPクラッド層6と、n型InP基板1の裏面側に形成されたn型電極31と、p型InPクラッド層6上に形成されたp型電極32と、で構成される。
デジタルアロイ構造について、例えばAlAs層とInAs層を交互に複数回積層したデジタルアロイ構造を、以下ではDA-InAlAsと呼ぶ。
p型DA-InAlAs電界緩和層4とi型InGaAs光吸収層5との間に、InAlGaAsあるいはInGaAsPなどの化合物半導体材料からなる層厚0.1μm以下の遷移層を設けてもよい。遷移層を構成するInAlGaAsあるいはInGaAsPは、p型DA-InAlAs電界緩和層4を構成するInAlAsのバンドギャップエネルギーとi型InGaAs光吸収層5を構成するInGaAsのバンドギャップエネルギーに対して、中間のバンドギャップエネルギー値となる。かかる遷移層を設けることにより、ヘテロ接合界面での電子及び正孔の蓄積を防止することが可能となる。
また、上述の遷移層と同様の目的で、i型InGaAs光吸収層5とp型InPクラッド層6との間に、InAlGaAsあるいはInGaAsPなどの化合物半導体材料からなる層厚0.1μm以下の遷移層を設けてもよい。遷移層を構成するInAlGaAsあるいはInGaAsPは、i型InGaAs光吸収層5を構成するInGaAsのバンドギャップエネルギーとp型InPクラッド層6を構成するInPのバンドギャップエネルギーに対して、中間のバンドギャップエネルギー値となる。かかる遷移層を設けることにより、ヘテロ接合界面での電子及び正孔の蓄積を防止することが可能となる。
実施の形態1に係る半導体受光素子100では、n型DA-InAlAsバッファ層2、i型DA-InAlAs増倍層3、及びp型DA-InAlAs電界緩和層4のすべての層にDA-InAlAsを用いたが、一部の層にのみDA-InAlAsを適用しても、ある程度の効果は得られる。例えば、n型バッファ層としてバルク結晶であるn型InPまたはバルク結晶であるn型InAlAsを用いることも可能であり、逆に、増倍層または電界緩和層としてバルク結晶であるInAlAsを用い、n型バッファ層にのみDA-InAlAsを適用することも可能である。
実施の形態1に係る半導体受光素子100では、DA-InAlAsの一例として、AlAs層(層厚が2原子層、約0.5nm)とInAs層(層厚が2原子層、約0.5nm)を交互に複数回積層した構造としたが、AlAs層及びInAs層の層厚が、それぞれ1原子層以上10原子層以下の範囲であれば、デジタルアロイ特有の原子層配列の規則性に起因して屈折率が低下すると考えられる。しかしながら、AlAs層及びInAs層の層厚が1原子層の場合は、周期が小さすぎるためランダムに原子配列した場合に近く、屈折率nの低下の度合いが小さい。また、AlAs層及びInAs層の層厚が8原子層を超える場合は、各層間のバンド不連続が発現し始め、正孔の走行に影響が出始めるため応答速度が低下するので2原子層以上8原子層以下が望ましい。さらに、6原子層を超えると各層が量子井戸として機能し不要な光吸収が発生するため、AlAs層及びInAs層の層厚として、それぞれ2原子層以上6原子層以下が好適である。
すなわち、DA-InAlAsにおけるAlAs層の層厚は、AlAs層の層厚が単原子層のN倍(2≦N≦6)の範囲内、InAs層の層厚が単原子層のM倍(2≦M≦6)の範囲内がそれぞれ好適である。
さらに、AlAs層及びInAs層の層厚が2原子層以上4原子層以下(2≦M、N≦4)であれば、結晶成長の観点で、各層の厚みが薄く臨界膜厚に対して余裕があるため各層の格子不整合度が原因の結晶欠陥が発生しにくい。理想的には臨界膜厚に対してもっとも余裕がある2原子層が望ましい。図3は、DA-InAlAs(AlAs層及びInAs層の層厚が2原子層)、バルク結晶であるInAlAs及びInPにおける、屈折率nと波長の関係を表す図である。DA-InAlAsの各層を理想的には2原子層の層厚とすることで屈折率nの低下が極大となる。この結果、図3に示すように、DA-InAlAsの屈折率nは、InPの屈折率nとほぼ一致する。つまり、DA-InAlAsの屈折率nは、バルク結晶であるInAlAsの屈折率nよりも顕著に低下することがわかる。なお、上述のほぼ一致するとは、例えばDA-InAlAsの屈折率nとInPの屈折率nの屈折率差Δnは、0≦Δn≦0.02の範囲が好適である。
DA-InAlAs以外のデジタルアロイ構造として、InAlzGa(1-z)As(層厚が2原子層以上6原子層以下、Al組成比z)とInAlz’Ga(1-z’)As(層厚が2原子層以上6原子層以下,Al組成比z’)とを交互に複数回結晶成長したDA-InAlGaAsも同様に、増倍層などの各層への適用が可能である。さらに、Sbを加えた化合物半導体材料系、例えばInAlAsSbなどの4元化合物半導体からなるデジタルアロイ構造でも同様に増倍層などの各層への適用が可能である。
また、i型DA-InAlAs増倍層3について、i型DA-InAlAs増倍層3の層厚が0.05~0.4μmであって2原子層のAlAs層(0.5nm)と2原子層のInAs層(0.5nm)とを交互に複数回積層する場合の積層回数は、100回以上800回以下の範囲が好適である。
APDの素子構造において、導波路に対して上下方向のクラッド層(InP)の屈折率nと、電界緩和層、増倍層、及びn型バッファ層の屈折率nをほぼ同じにし、光吸収層のみの屈折率nが高くなるように構成すれば、光分布が光吸収層に集中する、つまり光吸収層に対する光の閉じ込め率を高くすることができる。
しかしながら、増倍層を上下方向のクラッド層と同一の化合物半導体材料であるInPとすると、上述のように雑音が増加するいう問題がある。かかる問題の対策を発明者らが鋭意研究したところ、3元化合物半導体のバルク結晶であるInAlAsをデジタルアロイ構造とすることで、増倍層の屈折率nが低下し、2元化合物半導体であるInPとほぼ同じ屈折率nになることを初めて見出した。
以下では、デジタルアロイ構造の具体例として、InAlAsで構成された層を一例として説明する。通常のInAlAsは、Al、In、Asが一定の構成比率を保持しながら、Al原子及びIn原子がランダムに配列しており、バルク結晶、あるいは、ランダムアロイ構造などと呼ばれる。
一方、2元化合物半導体であるAlAsと、同じく2元化合物半導体であるInAsとを数原子層(各層の層厚が2原子層以上6原子層以下:各層の層厚は0.5~1.8nm)の層厚で交互に複数回積層してInAlAsを形成した構造は、デジタルアロイ(Digital Alloy)、疑似アロイ(Pseudoalloy)などと呼ばれる。なお、デジタルアロイについては、非特許文献1に記載されている。また、疑似アロイについては米国特許第6326650号明細書に記載されている。
以上の説明のように、デジタルアロイ構造は、数原子層レベルの層厚で、物性値が異なる複数の半導体が積層され、各構成原子が人工的に配列された構造を有する。デジタルアロイ構造に類似した構造として、多重量子井戸構造(MQW:Multiple Quantum Well)、あるいは超格子構造(SL:Superlattice)などの積層構造がある。しかしながら、これらの構造は、各層の中では各構成原子が一定の構成比率を保持しながらランダムに配列している点において、デジタルアロイ構造とは本質的に構造が異なる。
一般的な多重量子井戸構造あるいは超格子構造では、各層がそれぞれのバンド構造を持つ。一方、デジタルアロイ構造は数原子層ずつの層を交互に積層した周期的な積層構造であるため、AlAs層及びInAs層の各層それぞれの性質は発現せず、平均化された組成比率に相当するバルク結晶であるInAlAsに近いバンド構造を有する。デジタルアロイ構造では、各構成原子が規則正しく積層されてランダムアロイ構造にはない原子の周期性を保持しているため、バルク結晶の場合に比べて屈折率nが低下すると考えられる。
デジタルアロイ構造は、上述のような2元化合物半導体であるAlAs及びInAsの積層構造以外に、同じく2元化合物半導体であるInAs及びGaAsを交互に積層したInGaAs、3元化合物半導体であるInAlAsとInGaAsなどを数原子層の層厚で交互に積層したInAlGaAs、4化合物半導体であるInAlzGa(1-z)AsとInAlz’Ga(1-z’)Asなどを数原子層の層厚で交互に積層したInAlGaAsなどによって構成することも可能である。
2元化合物半導体であるAlAsと3元化合物半導体である(InzGa(1-z)As)とを交互に積層したInAlGaAs、3元化合物半導体であるInzGa(1-z)Asと4元化合物半導体であるInAlz’Ga(1-z’)Asを交互に積層した積層構造も、デジタルアロイ構造に適用可能である。
2元化合物半導体であるGaAsまたはInAsと3元化合物半導体であるInzGa(1-z)Asとを積層したInGaAs、2元化合物半導体であるInAs、GaAs、またはAlAsと4元化合物半導体であるInAlz’Ga(1-z’)Asを積層した積層構造も、デジタルアロイ構造に適用可能である。ここで、上述の化合物半導体材料を構成するAlをPに置き換えた場合も同様に適用可能である。
Sbを加えた化合物半導体材料系(InAlAsSb)などでも同様に適用可能である。さらに、4元化合物半導体であるInAlGaAsまたはInGaAsPを積層した5元化合物半導体であるInAlGaAsPでも可能である。
実施の形態1に係る半導体受光素子100に適用するデジタルアロイ構造として、上述のような化合物半導体材料の組み合わせが適宜選択可能であり、層厚が数原子層の各層が交互に複数回積層された周期的な積層構造によって、バルク結晶に対する屈折率nの低下が発現する。上述のように、デジタルアロイ構造として、2原子層以上6原子層以下の層厚による積層構造が最適と考えられる。7原子層以上の層厚による積層構造となると各層が量子井戸として機能するため、不要な光吸収が発生するという不具合が発生するおそれがあるからである。
デジタルアロイ構造では結晶歪の問題が懸念されるものの、各層は高々数原子層程度の層厚なので、各層の格子不整合度がたとえプラス数%とマイナス数%であっても、積算した格子不整合度が小さければ、積層構造の結晶成長は可能である。
デジタルアロイ構造として、各層の層厚が1原子層の周期でもよいが、デジタルアロイ構造のエピタキシャル結晶成長では、数原子層ごとにエピタキシャル結晶成長装置のシャッター開閉、あるいは原料ガスの切り替えなどが必要になりエピタキシャル結晶成長に長時間を要するため、生産性の観点では数原子層レベル、例えば2原子層以上6原子層以下が望ましい。さらに、1原子層の場合は、周期が小さすぎて屈折率nの低下が小さいという問題も発生する。
米国特許第6326650号明細書、米国特許第6436784号明細書、米国特許第7045833号明細書、米国特許第6437362号明細書などには、増倍層に層厚が数nm以上の周期の超格子構造またはMQW構造を適用して雑音低減あるいは高速応答性の向上を図ったAPDが開示されている。
一方、本開示では、デジタルアロイ構造に関して、屈折率nが低減される現象を実験的に初めて見出し、さらに、導波路型APDを構成する層にデジタルアロイ構造を適用することによって、光導波路内の光分布を制御することに成功した。つまり、本開示のデジタルアロイ構造と、上述の先行技術文献に開示された超格子構造またはMQW構造とは、作用原理が異なると言える。
そもそも、上述の各先行技術文献は、超格子構造などの各層間で生じるバンドギャップの不連続性を利用して、電子及び正孔をイオン化するという作用原理に基づき動作するため、数nm以上の層厚を有する各層の周期的な超格子構造としなければ、バンドギャップの不連続性が生じない。
一方、上述の各先行技術文献に対して、本開示に示す各層の層厚を2原子層以上6原子層以下の周期とするデジタルアロイ構造を適用すると、非特許文献1に記載されているように、もはや各層の個別のバンドギャップは発現せず、疑似的にバルク結晶と同じく均一なバンドギャップを有することなる。すなわち、上述の各先行技術文献において、意図されたバンドギャップ不連続による電子及び正孔のイオン化効果は発現しない。つまり、上述の先行技術文献においてAPDに適用されている超格子構造と本開示のデジタルアロイ構造では、作用原理が異なる。なお、上述の先行技術文献では、屈折率nが低減される現象を見出しておらず、導波路型APDと組み合わせることで光導波路内の光分布を制御できるということに関する記載もない。
次に、非特許文献1と実施の形態1に係る半導体受光素子100との違いについて述べる。非特許文献1の図1(c)にAPDの断面構造が示されているが、第一に、光吸収層がなく、バンドギャップの大きな増倍層自体で543nm波長のレーザ光を吸収する構造であることが異なる。デジタルアロイ層の上下方向の位置にコンタクト層としてキャリア濃度が1×1019cm-3と高いInGaAs層が存在するが、高キャリア濃度のため拡散長が短く、光吸収により発生したキャリアは瞬時に再結合するため光電流として取り出すことはできない。さらに、高キャリア濃度のため電界が印加されないので光吸収層としては働かない。
第二に、非特許文献1に開示されたAPDは光を導波する構造、つまり導波路型APDではない。屈折率は、デジタルアロイ層が低く、デジタルアロイ層の上下方向のコンタクト層部分が高くなっており、端面から入射した光は上下方向のコンタクト層部分に散逸してしまう。
第三に、非特許文献1に開示されたAPDは雑音の測定を目的として、光の入射が容易となるように作られた構造であることから、チップの上下方向から光を入射する面入射型APDと考えられる。面入射型APDと比較して、導波路型APDでは光の入射位置トレランスが1桁以上小さいため雑音を正確に測定することができないからである。また、上記の第二の理由から、非特許文献1に開示されたAPDは、導波路型APDではない。以上より、導波路型APDである実施の形態1に係る半導体受光素子100とは異なり、非特許文献1の図1(c)に開示されたAPDは面入射型APDであることが分かる。
ここで、チップの上下面から光を入射する面入射型APDの増倍層にデジタルアロイ構造を適用すると問題が発生することが本開示において初めて明らかになったことを指摘しておく。図3に示すように、デジタルアロイ構造の増倍層では屈折率nが低下するため、光吸収層あるいは電界緩和層との屈折率差が大きくなってしまう。チップの上下面から光を入射した場合、増倍層部分での屈折率差に起因する多重反射、干渉あるいは共振が生じてしまうため、入射光波長及び位相によって受光感度が変化して問題となる。
例えば、光通信でよく用いられる光波長1300nmの場合を考えてみる。干渉あるいは共振が発生するのは4分1波長の光学厚みTの半導体材料である。屈折率をnとすると
T=1300/4/n(nm)・・・・(1)
となる。
光波長1300nmに対するDA-InAlAsの屈折率nは図3より約3.2である。式(1)に代入すると、T=101.6nmとなる。10Gbit/secあるいは25Gbit/sec以上の高速で使用するAPDの増倍層には100nm程度の層厚が一般的に用いられるが、共振を生じるT=101.6nmに近い値となり、受光感度の波長依存性が極大化してしまう。
一方、実施の形態1に係る半導体受光素子100では、デジタルアロイ構造の増倍層に端面方向から光を入射するように構成したので、面入射型APDの増倍層にデジタルアロイ構造を適用した場合に問題となる、干渉に起因する受光感度の入射光波長依存性が生じないという利点がある。
つまり、発明者らは、デジタルアロイ構造において屈折率が低下することを初めて見出し、デジタルアロイ構造を増倍層とする非特許文献1の面入射型APDでは受光感度の波長依存性が増大することを原理的に指摘し、さらに、デジタルアロイ構造を増倍層とする端面入射の導波路型APDとすることで受光感度の波長依存性が解決でき、かつ高感度化もできることを初めて見出して、本開示に係る半導体受光素子を完成するに至ったのである。
以上の説明では、実施の形態1に係る半導体受光素子100を構成する各層の中で、デジタルアロイ構造からなるn型DA-InAlAsバッファ層2、i型DA-InAlAs増倍層3、及びp型DA-InAlAs電界緩和層4について、デジタルアロイ構造を構成する具体的な半導体材料、層厚などについて詳述した。しかしながら、例示した半導体材料に限定されるわけではない。すなわち、増倍層、電界緩和層、及びn型バッファ層は、下記のような構成でもよい。
i型増倍層は、単原子層のM倍(2≦M≦6)の層厚からなる第1増倍構成層、及び単原子層のN倍(2≦N≦6)の層厚からなり第1増倍構成層よりもバンドギャップエネルギーが小さい第2増倍構成層が交互に複数回積層されたデジタルアロイ構造からなる。
p型電界緩和層は、単原子層のP倍(2≦P≦6)の層厚からなる第1電界緩和構成層、及び単原子層のQ倍(2≦Q≦6)の層厚からなり第1電界緩和構成層よりもバンドギャップエネルギーが小さい第2電界緩和構成層が交互に複数回積層されたデジタルアロイ構造からなる。
n型バッファ層は、単原子層のR倍(2≦R≦6)の層厚からなる第1バッファ構成層、及び単原子層のS倍(2≦S≦6)の層厚からなり第1バッファ構成層よりもバンドギャップエネルギーが小さい第2バッファ構成層が交互に複数回積層されたデジタルアロイ構造からなる。
<実施の形態1に係る半導体受光素子の製造方法>
実施の形態1に係る半導体受光素子100の一例である導波路型APDの製造方法を、以下に説明する。
n型InP基板1の表面に、層厚が全体として0.1~1.0μmであり2原子層からなるn型AlAs層と2原子層からなるn型InAs層とを交互に複数回積層したn型DA-InAlAsバッファ層2と、層厚が全体として0.05~0.4μmであり2原子層からなるi型AlAs層と2原子層からなるi型InAs層とを交互に複数回積層したi型DA-InAlAs増倍層3と、層厚が全体として10~100nmであり2原子層からなるp型AlAs層と2原子層からなるp型InAs層とを交互に複数回積層したp型DA-InAlAs電界緩和層4と、層厚が0.1~1.0μmであるi型InGaAs光吸収層5と、層厚が1~3μmであるp型InPクラッド層6とを有機金属気相成長法(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)、あるいは、分子線エピタキシャル成長法(MBE:Molecular Beam Epitaxy)などのエピタキシャル結晶成長方法によって順次結晶成長する。
結晶成長後、p型InPクラッド層6の表面に、Ti/Auなどの金属材料を蒸着などによって成膜して、さらにパターニングすることにより、p型電極32を形成する。
ウエハの表面側の加工の終了後、n型InP基板1の裏面側を研削し、AuGeNiなどの金属材料を蒸着などによって成膜して、n型電極31を形成する。へき開などにより、ウエハから個々のチップに分離することにより、導波路型APDが完成する。
以上が、実施の形態1に係る半導体受光素子100の一例である導波路型APDの製造方法である。
<実施の形態1に係る半導体受光素子の作用>
図3は、InP、InAlAs(バルク結晶)、及びDA-InAlAsのそれぞれの屈折率nの波長依存性を実際に測定した結果である。屈折率nは、半導体の吸収端波長よりも長い波長帯では、波長が長くなるほど単調に低下する。InAlAs(バルク結晶)の吸収端波長は860nm、InPの吸収端波長は920nmであるため、1000nm~1600nmの波長帯では、各半導体の屈折率nは長波長になるほど低下する。
短距離の光通信でよく用いられる1300nmの波長において、InPの屈折率nは3.204、InAlAs(バルク結晶)の屈折率nは3.254、DA-InAlAsの屈折率nは3.212である。また、長距離の光通信でよく用いられる1550nmの波長において、InPの屈折率nは3.166、InAlAs(バルク結晶)の屈折率nは3.219、DA-InAlAsの屈折率nは3.169である。つまり、1300nmと1550nmのいずれの波長においても、DA-InAlAsの屈折率nは、InAlAs(バルク結晶)の屈折率nよりも低く、InPの屈折率nとほぼ一致する。
以上に説明したように、発明者らはデジタルアロイ構造の屈折率nがバルク結晶(ランダムアロイ構造)の屈折率nよりも小さくなることを初めて見出した。デジタルアロイ構造では、バルク結晶(ランダムアロイ構造)と比べて原子が規則正しく配列しているため、屈折率nが低下すると考えられる。
図2に、比較例として、一般的な、すなわち、デジタルアロイ構造ではない通常のバルク結晶からなる半導体受光素子300の一例である導波路型APDの断面構造を示す。半導体受光素子300は、n型InP基板1上に順次形成されたn型InAlAsバッファ層2aと、i型InAlAs増倍層3aと、p型InAlAs電界緩和層4aと、i型InGaAs光吸収層5と、p型InPクラッド層6と、n型InP基板1の裏面側に形成されたn型電極31と、p型InPクラッド層6上に形成されたp型電極32と、で構成される。
図2に示される伝搬光の光分布から分かるように、入射光は、導波路の屈折率分布を反映してi型InGaAs光吸収層5以外に、i型InAlAs増倍層3a及びn型InAlAsバッファ層2aの方向にも広がる。したがって、伝搬光の光分布がi型InAlAs増倍層3a側に引き寄せられてi型InGaAs光吸収層5の光閉じ込め率が低下する。つまり、伝搬光の光分布の広がりの影響により、i型InGaAs光吸収層5の光閉じ込め係数が小さくなる。したがって、受信感度のさらなる向上が難しいという問題がある。
一方、実施の形態1に係る半導体受光素子100の一例である導波路型APDでは、それぞれDA-InAlAsからなるn型DA-InAlAsバッファ層2、i型DA-InAlAs増倍層3、及びp型DA-InAlAs電界緩和層4の屈折率nは、p型InPクラッド層6を構成するInPの屈折率nとほぼ同じ値であるため、InGaAsで構成されたi型InGaAs光吸収層5のみで屈折率nが高くなるので、図1に示すように、伝搬光の光分布はi型InGaAs光吸収層5を中心として上下方向に対称となる。
上述したように、図2に示す比較例では、伝搬光の光分布がi型InAlAs増倍層3a側に引き寄せられてi型InGaAs光吸収層5の光閉じ込め率が低下したが、図1に示す実施の形態1に係る半導体受光素子100では、光分布が上下方向に対称となるため、i型InGaAs光吸収層5の光閉じ込め率が大きくなるので、高い受光感度が得られるという効果を奏する。
<実施の形態1の効果>
以上、実施の形態1に係る半導体受光素子によれば、少なくとも増倍層及び電界緩和層をデジタルアロイ構造によって構成したので、高い受光感度が得られるという効果を奏する。さらに、この高い受信感度によりSN比が改善されて、受信感度も向上するという効果を奏する。
また、実施の形態1に係る半導体受光素子によれば、光吸収層の光閉じ込め率が高いため、導波路長を短くすることが可能となりpn接合容量を低減できるため、高速化が実現できるという効果を奏する。さらに、光吸収層の光閉じ込め率が高いので、光吸収層の層厚を薄くできるため、電子及び正孔の走行時間が短くなり、さらに高速応答が可能となる効果も奏する。
実施の形態2.
<実施の形態2に係る半導体受光素子の素子構造>
図4は、実施の形態2に係る半導体受光素子110の素子構造を表す断面図である。実施の形態2に係る半導体受光素子110の一例として、光導波部を有する導波路型APDを挙げている。
実施の形態2に係る半導体受光素子110は、共通のn型InP基板1上に形成された、受光部110aと、接続部13を介して受光部110aと接する光導波部110bと、で構成される。
受光部110aには、実施の形態1に係る半導体受光素子100を構成する各層と同一の構造が形成されている。各層の構成は、実施の形態1において既に説明したので、ここでは省略する。
光導波部110bは、n型InP基板1上に形成されたInPクラッド層(n型InP基板1と同一のInPからなるので図示せず)と、導波する光の波長よりもバンドギャップ波長が短い4元化合物半導体であるInGaAsPまたはInAlGaAsからなる光導波層11と、上部InPクラッド層12と、で構成される。例えば、1300nmの波長の光を導波する場合は、InGaAsPからなる光導波層11では、バンドギャップ波長は1000nmから1200nm程度の範囲内が好適である。
上部InPクラッド層12を構成するInPは、n型またはp型の導電型、あるいはi型のいずれでもよい。受光部110aのi型InGaAs光吸収層5と光導波部110bの光導波層11は、素子の底面から見た高さが概ね一致するように接続される。
InGaAsPの組成波長が1150nmでInPと格子整合する場合、InGaAsPの組成比をIn(1-x)Ga(x)As(y)P(1-y)で表すと、x=0.18、y=0.41となる。InGaAsPの屈折率nは、3.4+0.256y-0.095y^2で与えられるので、約3.5となる。一方、InGaAsの屈折率nは約3.6であるため、InPクラッド層の屈折率nである3.2に対して、InGaAsP及びInGaAsの屈折率nは両方とも大きいため、図4の光分布に示すように、光導波部110bでは光導波層11に専ら光が閉じ込められ、受光部110aではi型InGaAs光吸収層5に専ら光が閉じ込められる。
InPに対する屈折率差Δnは、光導波層11を構成するInGaAsPに対しては0.3、i型InGaAs光吸収層5を構成するInGaAsに対しては0.4となるため、InGaAsP光導波層11の最適な層厚はi型InGaAs光吸収層5を構成するInGaAsの0.4/0.3=4/3倍となる。i型InGaAs光吸収層5を構成するInGaAsの層厚は0.15~0.9μm程度の範囲内であるから、InGaAsP光導波層11の層厚を0.2~1.2μm程度に設定すると、InGaAsP光導波層11の光分布とi型InGaAs光吸収層5の光分布がほぼ一致する。つまり、InGaAsP光導波層11の層厚dpとi型InGaAs光吸収層5の層厚daを、以下の式(2)を満たすように設定すれば、受光部110aと光導波部110bとの間で光分布及び等価屈折率を概ね一致させることが可能となる。
Δnp:Δna=da:dp・・・・(2)
式(2)において、Δnaはi型InGaAs光吸収層5とp型InPクラッド層6との間の屈折率差、ΔnpはInGaAsP光導波層11と上部InPクラッド層12との間の屈折率差、daはi型InGaAs光吸収層5の層厚、dpはInGaAsP光導波層11の層厚である。
<実施の形態2に係る半導体受光素子の作用>
図4の左端に光導波部110bの屈折率分布を、図4の右端に受光部110aの屈折率分布をそれぞれ示す。図4の入射光の光分布に示されるように、レンズあるいはファイバーから半導体受光素子110に入射する光は上下方向において対称となっている。したがって、光導波部110b内を伝搬する伝搬光の光分布も上下方向において対称とする方が、光の結合効率が高くなる。一方、比較例である半導体受光素子120の伝搬光の光分布は、図2に示されるように、上下方向における非対称な屈折率分布を反映して、やはり上下方向において非対称となっているため、仮に受光部110aを比較例である半導体受光素子120の構成とした場合は、光導波部110bと受光部110aが接する接続部13において、結合損失が発生する。
一方、実施の形態2に係る半導体受光素子110の場合は、図4の受光部110aの光分布に示されるように、光分布は上下方向において対称となっているため、接続部13における結合損失を低減できる。さらに、上述の式(2)を満たすように、InGaAsP光導波層11の層厚及び屈折率nを設定すれば、光導波部110bの光分布と受光部110aの光分布を概ね一致させることが可能となり、接続部13における結合損失を一層低減することが可能となる。
さらに、光導波部110bと受光部110aのそれぞれの等価屈折率を、式(2)のような簡単な式で概ね一致させることが可能となるため、素子設計が容易となり、設計精度も向上する。光導波部110bと受光部110aとの等価屈折率を一致させることが可能となると、接続部13からの反射戻り光が低減できるため、集積デバイス特有の光の干渉による感度揺らぎあるいは雑音を低減することが可能となる。反射戻り光が低減できれば、APDの受光感度が向上し、かつ素子間の受光感度のバラツキも低減できる。
<実施の形態2の効果>
以上、実施の形態2に係る半導体受光素子によれば、光導波部と受光部とを接続した素子構造において、受光部のバッファ層、増倍層、及び電界緩和層にデジタルアロイ構造を適用することによって、光導波部の光分布と受光部の光分布を概ね一致させることが可能となり、光分布の不整合による接続部における結合損失が低減できるので、光導波部と受光部の結合効率が向上することでAPDの受光感度も高まるという効果を奏する。
また、接続部での等価屈折率を光導波部と受光部との間でほぼ一致させることが容易に可能となり、接続部での反射が減少するため、集積デバイス特有の光の干渉による受信感度揺らぎ及び雑音が低減できるという効果を奏する。
実施の形態3.
<実施の形態3に係る半導体受光素子の素子構造>
図5は、実施の形態3に係る半導体受光素子120の素子構造を表す断面図である。実施の形態3に係る半導体受光素子120の一例として、光導波部を有する導波路型APDを挙げている。
実施の形態3に係る半導体受光素子120は、共通のn型InP基板1上に形成された、受光部120aと、接続部13を介して受光部120aと接する光導波部120bと、で構成される。
受光部120aは、n型InP基板1上に形成された、キャリア濃度が1~5×1018cm-3で層厚が0.1~1.0μmであり光導波層を兼ねるn型InAlAsバッファ層2bと、層厚が全体として0.05~0.4μmでありキャリア濃度が5×1017cm-3以下である、i型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とi型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したi型DA-InAlAs増倍層3と、キャリア濃度が0.1~10×1017cm-3であり層厚が全体として10~100nmである、p型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とp型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したp型DA-InAlAs電界緩和層4と、層厚が0.1~1.0μmであるi型InGaAs光吸収層5と、層厚が1~3μmであるp型InPクラッド層6と、n型InP基板1の裏面側に形成されたn型電極31と、p型InPクラッド層6上に形成されたp型電極32と、で構成される。
なお、上述の構成において、n型InAlAsバッファ層2bはバルク結晶であるInAlGaAsまたはInGaAsPを用いて構成してもよい。また、上述の構成では、n型InAlAsバッファ層2bは光導波層を兼ねており、i型DA-InAlAs増倍層3よりも下側、つまりn型InP基板1側に設けられた層であり、かつn型InPクラッド層(n型InP基板1が兼ねている)よりも屈折率nが高い層であることを意味している。上述の構成において、n型InAlAsバッファ層2bの上側に、別途光導波層を設けてもよい。例えば、InPクラッド層上にn型InAlAsバッファ層2b、InAlGaAs光導波層、i型DA-InAlAs増倍層3を順に形成してもよい。
電界緩和層では通常、増倍は生じないので、必ずしもDA-InAlAsで構成する必要はなく、電界緩和層として屈折率nが低いバルク結晶であるp型InPを適用してもよい。
p型DA-InAlAs電界緩和層4とi型InGaAs光吸収層5との間に、InAlGaAs及びInGaAsPなどの中間のバンドギャップエネルギー値となる0.1μm程度以下の層厚の遷移層を設け、電子及び正孔の蓄積を防止してもよい。また、同様の目的で、i型InGaAs光吸収層5とp型InPクラッド層6の間に、InAlGaAs及びInGaAsPなどの中間のバンドギャップエネルギー値となる0.1μm程度以下の層厚の遷移層を設けてもよい。
光導波部120bは、n型InP基板1上に形成されたn型InPクラッド層(n型InP基板と同一のInPからなるので図示せず)と、導波する光の波長よりもバンドギャップ波長が短い4元化合物半導体であるInGaAsPまたはInAlGaAsからなる光導波層11と、上部InPクラッド層12と、で構成される。例えば、1300nmの波長の光を導波する場合は、InGaAsP光導波層11では、バンドギャップ波長は1000nmから1200nm程度の範囲内が好適である。
上部InPクラッド層12を構成するInPは、n型またはp型の導電型、あるいはi型のいずれでもよい。受光部120aのn型InAlAsバッファ層2bと光導波部120bの光導波層11とは、素子の底面から見た高さが概ね一致するように接続される。つまり、光導波部120bの光導波層11に導光された伝搬光がi型DA-InAlAs増倍層3の下側に位置するn型InAlAsバッファ層2b付近に入射する構造である。
実施の形態3に係る半導体受光素子120では、DA-InAlAsの一例として、AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)及びInAs層(一例として層厚が2原子層、層厚約0.5nm)の積層構造としたが、InAs層及びAlAs層の層厚は、1原子層以上10原子層以下の範囲内であればよい。ただし、AlAs層及びInAs層の層厚が1原子層の場合は屈折率nの低下の度合いが小さい。一方、AlAs層及びInAs層の層厚が6原子層を超える場合は各層間のバンド不連続が発生することから、DA-InAlAsとして層厚が2原子層以上6原子層以下の各層からなる積層構造が好適である。
DA-InAlAs以外のデジタルアロイ構造として、InAlzGa(1-z)As(層厚が2原子層以上6原子層以下、Al組成比z)とInAlz’Ga(1-z’)As(層厚が2原子層以上6原子層以下、Al組成比z’)を交互に複数回積層したDA-InAlGaAsも同様に増倍層などの各層への適用が可能である。さらに、Sbを加えた化合物半導体材料系、例えばInAlAsSbなどからなるデジタルアロイ構造でも同様に増倍層などの各層への適用が可能である。
バルク結晶からなるn型InAlAsバッファ層2bの屈折率nは約3.3である。一方、InGaAsP光導波層11を構成するInGaAsPの組成波長が1080nmでありInPと格子整合する場合、In(1-x)Ga(x)As(y)P(1-y)とすると、x=0.13、y=0.30となる。かかる組成比のInGaAsPの屈折率nは、3.4+0.256y-0.095y^2で与えられ、約3.5である。InPクラッド層の屈折率nである3.2に対して、InGaAsP光導波層11及びn型InAlAsバッファ層2bの屈折率nは両方とも大きいため、受光部120aと光導波部120bが接する接続部13の近傍では、図5に示される光分布のように、それぞれ光が閉じ込められる。
接続部13における伝搬光の反射を抑制するには、受光部120a及び光導波部120bの等価屈折率をなるべく一致させる必要がある。InPに対する屈折率差Δnは、InGaAsP光導波層11を構成するInGaAsPでは0.3、n型InAlAsバッファ層2bを構成するInAlAsでは0.1となるため、InGaAsP光導波層11の最適な層厚はn型InAlAsバッファ層2bを構成するInAlAs層の層厚の0.1/0.3=1/3倍となる。
n型InAlAsバッファ層2bの層厚は0.3~0.9μm程度の範囲内であるから、InGaAsP光導波層11の層厚の範囲内を0.1~0.3μmとすると、InGaAsP光導波層11の光分布とn型InAlAsバッファ層2bの光分布が概ね一致する。つまり、InGaAsP光導波層11の層厚とn型InAlAsバッファ層2bの層厚を以下の式(3)を満たすように設定すれば、受光部120aと光導波部120bの間で光分布及び等価屈折率をほぼ一致させることが容易に可能となる。
Δnp:Δnb=db:dp・・・・(3)
式(3)において、ΔnpはInGaAsP光導波層11と上部InPクラッド層12との間の屈折率差、Δnbはn型InAlAsバッファ層2bとInPクラッド層との間の屈折率差、dbはn型InAlAsバッファ層2bの層厚、dpはInGaAsP光導波層11の層厚である。
<実施の形態3に係る半導体受光素子の作用>
図5を用いて実施の形態3に係る半導体受光素子120における作用を説明する。光導波部120bを伝搬してきた伝搬光は、接続部13を通過して受光部120aのn型InAlAsバッファ層2bに入射する。n型InAlAsバッファ層2b内の光分布は、光導波部120bのInGaAsP光導波層11内の光分布と概ね一致するように、つまり、式(3)を満たすように形成している。この結果、接続部13での結合損失が抑制される。また、受光部120aと光導波部120bとの等価屈折率もほぼ一致しているため、集積デバイスで問題となる反射戻り光が低減される。もし、増倍層の屈折率nが高いと放射損失及び反射戻り光が接続部13において発生するが、実施の形態3に係る半導体受光素子120では、屈折率nが低いデジタルアロイ構造を用いているため、接続部13における放射損失及び反射戻り光が低減できるという効果を奏する。
n型InAlAsバッファ層2bに入射した光は、エバネセント結合により屈折率nがさらに高いi型InGaAs光吸収層5の方に徐々にシフトしながら伝搬していく。エバネセント結合型APDの利点は、接続部13における光吸収が大きくなりすぎず、光の進行と共に徐々に光が光吸収層において吸収されていくため、導波路の進行方向に対して光電流密度が平均化される点にある。光電流密度が導波路方向において一様になると、大きな光量が入射した場合であっても空間電荷効果が抑制され、増倍率の低下が発生しない。つまり、APDの受信ダイナミックレンジが向上するという効果を奏する。
一方、通常のエバネセント結合型APDは、増倍層に屈折率nが比較的大きなバルク結晶であるInAlAsを用いているため、光吸収層への光の染み出しが大きくなってしまう。この結果、接続部付近での光吸収、つまり光電流密度が大きくなりダイナミックレンジが制限されていたが、実施の形態3に係る半導体受光素子120のような構成とすることで、受信ダイナミックレンジを大幅に改善することができる。
受信ダイナミックレンジの改善効果は、例えば、図6に示すように、光導波部を接続しない素子構造でも同様に得られる。図6に示す半導体受光素子130の一例である導波路型APDは、光導波部が備わっていないこと以外は、図5に示された半導体受光素子120と同じ構成である。つまり、半導体受光素子130は、半導体受光素子120の受光部120aと同じ構成である。
図6に示す半導体受光素子130の場合は、レンズまたはファイバーから来た光は、i型DA-InAlAs増倍層3の下側に位置するn型InAlAsバッファ層2bあるいは光導波層(図示せず)に入射する。半導体受光素子130は、図5に示される素子構造と同様、屈折率nの低いi型DA-InAlAs増倍層3とすることで、端面から入射した光が緩やかにi型InGaAs光吸収層5内に伝搬するため、光強度の大きい光が入射した際の増倍率の低下が抑制されるので、受信ダイナミックレンジが改善するという効果を奏する。
<実施の形態3の効果>
以上、実施の形態3に係る半導体受光素子によれば、増倍層に屈折率の低いデジタルアロイ構造を用いて、増倍層の下側の光導波層を兼ねたバッファ層に光が入射するエバネセント型の導波路型APDとしたことで、光導波部と受光部との接続部における光の放射損失及び反射戻り光が抑制され、増倍層に屈折率の低いデジタルアロイ構造を適用することで光が緩やかに光吸収層に移るため接続部付近の光吸収が抑制され、大きな光が入射した際の増倍率の低下が抑制され、受信ダイナミックレンジが改善するという効果を奏する。
実施の形態4.
<実施の形態4に係る半導体受光素子の素子構造>
図7は、実施の形態4に係る半導体受光素子140の素子構造を表す断面図である。実施の形態4に係る半導体受光素子140の一例として、導波路型APDを挙げている。実施例4においては、実施の形態1に係る半導体受光素子100に対して、pn接合を上下反転した素子構造となっている。
実施の形態4に係る半導体受光素子140は、Feをドープした半絶縁性InP基板1a上に順次形成された、キャリア濃度が0.1~10×1018cm-3であり層厚が0.1~10μmである光導波層を兼ねるp型InPクラッド層7と、層厚が0.1~1.0μmであるi型InGaAs光吸収層5と、キャリア濃度が0.1~10×1017cm-3であり層厚が全体として10~100nmである、p型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とp型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したp型DA-InAlAs電界緩和層4と、層厚が全体として0.05~0.4μmでありキャリア濃度が5×1017cm-3以下である、i型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とi型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したi型DA-InAlAs増倍層3と、キャリア濃度が0.5~10×1018cm-3であり層厚が1~3μmであるn型InPクラッド層6aと、半絶縁性InP基板1aの裏面側に形成されたp型電極32aと、n型InPクラッド層6a上に形成されたn型電極31aと、で構成される。
電界緩和層では通常、増倍は生じないので、必ずしもDA-InAlAsで構成する必要はなく、電界緩和層として屈折率nが低いバルク結晶であるp型InPを適用してもよい。
p型InPクラッド層7は導電層を兼ねる。p型InPクラッド層7の代わりにp型InGaAsP、またはp型InGaAsからなるp型クラッド層、あるいはp型InP、p型InGaAsP、p型InGaAs、p型InAlGaAsのいずれかの積層構造からなるp型クラッド層を用いてもよい。
p型電極32aは、p型InPクラッド層7と電気的につながるように接続する。例えば、p型InPクラッド層7よりも下層部を部分的に除去して、コンタクトを取る方法が考えられる。
実施の形態4の変形例1.
<実施の形態4の変形例1に係る半導体受光素子の素子構造>
図8は、実施の形態4の変形例1に係る半導体受光素子150の素子構造を表す断面図である。実施の形態4の変形例1に係る半導体受光素子150の一例として、光導波部を有する導波路型APDを挙げている。
実施の形態4の変形例1に係る半導体受光素子150は、共通の半絶縁性InP基板1a上に形成された、受光部150aと、接続部13を介して受光部150aと接続された光導波部150bと、で構成される。
受光部150aには、実施の形態4に係る半導体受光素子140を構成する各層と同一の構造が形成されている。各層の構成は、実施の形態4において既に説明したので、ここでは省略する。
光導波部150bは、半絶縁性InP基板1a上に形成されたInPクラッド層(半絶縁性InP基板1aと同一のInPからなるので図示せず)と、導波する光の波長よりもバンドギャップ波長が短い4元化合物半導体であるInGaAsPまたはInAlGaAsからなる光導波層11と、上部InPクラッド層12と、で構成される。例えば、1300nmの波長の光を導波する場合は、InGaAsP光導波層11の場合、バンドギャップ波長は1000nmから1200nmの範囲内が好適である。
上部InPクラッド層12を構成するInPは、n型またはp型の導電型、あるいはi型のいずれでもよい。受光部150aのi型InGaAs光吸収層5と光導波部150bのInGaAsP光導波層11は、素子の底面から見た高さが概ね一致するように接続される。
実施の形態4の変形例2.
<実施の形態4の変形例2に係る半導体受光素子の素子構造>
図9は、実施の形態4の変形例2に係る半導体受光素子160の素子構造を表す断面図である。実施の形態4の変形例2に係る半導体受光素子160の一例として、光導波部を有する導波路型APDを挙げている。
実施の形態4の変形例2に係る半導体受光素子160は、共通の半絶縁性InP基板1a上に形成された、受光部160aと、接続部13を介して受光部160aと接続された光導波部160bと、で構成される。実施の形態4の変形例2に係る半導体受光素子160は、図5に示す実施の形態3に係る半導体受光素子120と同様、光導波部とエバネセント結合型の受光部を接続した素子構造である。
受光部160aには、実施の形態4に係る半導体受光素子140を構成する各層とほぼ同一の構造が形成されているが、i型DA-InAlAs増倍層3の上側にn型InAlAs光導波層8を設けている点が異なる。n型InAlAs光導波層8の層厚は0.1~1μm程度で、キャリア濃度は0.1~10×1018cm-3である。n型光導波層は、n型InGaAsPまたはn型InAlGaAsからなる層、あるいは、n型InGaAsPまたはn型InAlGaAsの積層構造でもよい。
実施の形態4の変形例2に係る半導体受光素子160は、実施の形態4に係る半導体受光素子140と同様、上面側をn型電極31aとして、p型電極32aはi型InGaAs光吸収層5の下側のp型InPクラッド層7と電気的につながるように接続する。実施の形態3に係る半導体受光素子120と同様、光導波部160bのInGaAsP光導波層11は、受光部160aのn型InAlAs光導波層8に接する構造となっている。
実施の形態4の変形例3.
<実施の形態4の変形例3に係る半導体受光素子の素子構造>
図10は、実施の形態4の変形例3に係る半導体受光素子170の素子構造を表す断面図である。実施の形態4の変形例3に係る半導体受光素子170の一例として、光導波部を有する導波路型APDを挙げている。
実施の形態4の変形例3に係る半導体受光素子170は、実施の形態4の変形例2に係る半導体受光素子160から、光導波部160bを除去して、受光部160aのみとした素子構造で構成されている。
実施の形態4の変形例3に係る半導体受光素子170は、端面からn型InAlAs光導波層8に光を入射させる構造である。
<実施の形態4及び実施の形態4の変形例1~3に係る半導体受光素子の作用>
導波路型APDでは、高速応答及び広い受信ダイナミックレンジを得るため、光吸収層に高い電界を印加させるように、電界緩和層のキャリア濃度を設定する。光吸収層は、導波路型APDに使われている半導体材料の中で最もバンドギャップが狭いため(InGaAsの場合、バンドギャップ波長は1670nm)、トンネル電流及び発生再結合電流が発生し、暗電流が増加する。発生再結合電流を低減するためには、格子整合した結晶上に光吸収層を構成するInGaAsを積層することが望ましい。
実施の形態1~3ではいずれも、i型InGaAs光吸収層5をデジタルアロイ構造からなるi型DA-InAlAs増倍層3の上部に結晶成長する構造となっている。デジタルアロイ構造の形成にあたっては、圧縮歪と引張歪がかかった層を交互に積層して全体としてほぼ無歪となるように結晶成長する。InAlAsからなるデジタルアロイ構造は、例えば、InAs層(層厚が2原子層、約0.5nm)とAlAs層(層厚が2原子層、約0.5nm)を交互に複数回積層した半導体層である。
InAsの格子間隔は0.618nm、AlAsの格子間隔は0.566nmであり、基板であるInPの0.588nmと格子間隔がずれているため、各層に圧縮歪と引張歪が交互に印加される。交互に歪が印加されると、i型DA-InAlAs増倍層3全体の歪が打ち消されるが、結晶成長時の層厚のばらつきによっては残留歪が残る場合もある。歪が残留した結晶上に、i型InGaAs光吸収層5を構成するバンドギャップの狭いInGaAs層を結晶成長すると、発生再結合電流の源となる結晶欠陥及び転位が発生してしまう懸念がある。つまり、デジタルアロイ構造からなる層の上側にi型InGaAs光吸収層5を設けると、暗電流の製造ばらつきが増大するおそれがある。
一方、実施の形態4及び実施の形態4の変形例1~3に係る半導体受光素子140、150、160、170では、i型InGaAs光吸収層5の結晶成長後にi型DA-InAlAs増倍層3及びp型DA-InAlAs電界緩和層4を構成するデジタルアロイ構造を結晶成長することになるため、i型InGaAs光吸収層5は歪のないInP層上に結晶成長することが可能となる。したがって、i型InGaAs光吸収層5では発生再結合電流の源となる結晶欠陥及び転位が低減するため、半導体受光素子の暗電流の製造ばらつきが低減するという効果を奏する。
<実施の形態4及び実施の形態4の変形例1~3の効果>
以上、実施の形態4及び実施の形態4の変形例1~3に係る半導体受光素子によれば、実施の形態1~3に係る半導体受光素子が奏する効果に加えて、暗電流が発生しやすい光吸収層を、残留歪が発生しやすいデジタルアロイ構造の上側ではなく、歪のない光導波層を兼ねるクラッド層上に結晶成長することが可能となるため、暗電流の製造ばらつきが低減できるという効果を奏する。また、光吸収層で結晶欠陥及び転位が抑制されるため、光吸収により発生したキャリアの再結合が防止できるので、量子効率が向上するという効果を奏する。
実施の形態5.
<実施の形態5に係る半導体受光素子の素子構造>
図11は、実施の形態1に係る半導体受光素子180の素子構造を表す断面図である。実施の形態5に係る半導体受光素子180の一例として、導波路型APDを挙げている。
実施の形態5に係る半導体受光素子180は、n型InP基板1上に順次形成された、キャリア濃度が1~5×1018cm-3であり層厚が0.1~1.0μmであるn型InAlAsバッファ層2cと、層厚が0.05~0.4μmでありキャリア濃度が5×1017cm-3以下であるi型InAlAs増倍層3cと、キャリア濃度が0.1~10×1017cm-3であり層厚が全体として10~100nmである、p型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とp型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなるp型DA-InAlAs電界緩和層4と、層厚が0.1~1.0μmであるi型InGaAs光吸収層5と、層厚が1~3μmであるp型InPクラッド層6と、n型InP基板1の裏面側に形成されたn型電極31と、p型InPクラッド層6上に形成されたp型電極32と、で構成される。
実施の形態5に係る半導体受光素子180は、電界緩和層のみがデジタルアロイ構造で構成されている点に特徴がある。
実施の形態5の変形例1.
<実施の形態5の変形例1に係る半導体受光素子の素子構造>
図12は、実施の形態5の変形例1に係る半導体受光素子190の素子構造を表す断面図である。実施の形態5の変形例1に係る半導体受光素子190の一例として、導波路型APDを挙げている。
実施の形態5の変形例1に係る半導体受光素子190は、n型InP基板1上に順次形成された、キャリア濃度が1~5×1018cm-3であり層厚が0.1~1.0μmであるn型InAlAsバッファ層2cと、層厚が全体として0.05~0.4μmでありキャリア濃度が5×1017cm-3以下である、i型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)と、i型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなるi型DA-InAlAs増倍層3と、キャリア濃度が0.1~10×1017cm-3であり層厚が10~100nmであるp型InAlAs電界緩和層4cと、層厚が0.1~1.0μmであるi型InGaAs光吸収層5と、層厚が1~3μmであるp型InPクラッド層6と、n型InP基板1の裏面側に形成されたn型電極31と、p型InPクラッド層6上に形成されたp型電極32と、で構成される。
実施の形態5の変形例1に係る半導体受光素子190は、増倍層のみがデジタルアロイ構造で構成されている点に特徴がある。
実施の形態5の変形例2.
<実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子の素子構造>
図13は、実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子200の素子構造を表す断面図である。実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子200の一例として、導波路型APDを挙げている。
実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子200は、n型InP基板1上に順次形成された、キャリア濃度が1~5×1018cm-3であり層厚が全体として0.1~1.0μmである、n型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とn型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなるn型DA-InAlAsバッファ層2と、層厚が0.05~0.4μmでありキャリア濃度が5×1017cm-3以下であるi型InAlAs増倍層3cと、キャリア濃度が0.1~10×1017cm-3であり層厚が10~100nmであるp型InAlAs電界緩和層4cと、層厚が0.1~1.0μmであるi型InGaAs光吸収層5と、層厚が1~3μmであるp型InPクラッド層6と、n型InP基板1の裏面側に形成されたn型電極31と、p型InPクラッド層6上に形成されたp型電極32と、で構成される。
実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子200は、バッファ層のみがデジタルアロイ構造で構成されている点に特徴がある。
実施の形態5、実施の形態5の変形例1、実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子180、190、200において、p型DA-InAlAs電界緩和層4またはp型InAlAs電界緩和層4cとi型InGaAs光吸収層5との間に、InAlGaAsあるいはInGaAsPなどの化合物半導体材料からなる層厚0.1μm以下の遷移層を設けてもよい。遷移層を構成するInAlGaAsあるいはInGaAsPは、p型DA-InAlAs電界緩和層4またはp型InAlAs電界緩和層4cを構成するInAlAsのバンドギャップエネルギーとi型InGaAs光吸収層5を構成するInGaAsのバンドギャップエネルギーに対して、中間のバンドギャップエネルギー値となる。かかる遷移層を設けることにより、ヘテロ接合界面での電子及び正孔の蓄積を防止することが可能となる。
また、上述の遷移層と同様の目的で、i型InGaAs光吸収層5とp型InPクラッド層6との間に、InAlGaAsあるいはInGaAsPなどの化合物半導体材料からなる層厚0.1μm以下の遷移層を設けてもよい。遷移層を構成するInAlGaAsあるいはInGaAsPは、i型InGaAs光吸収層5を構成するInGaAsのバンドギャップエネルギーとp型InPクラッド層6を構成するInPのバンドギャップエネルギーに対して、中間のバンドギャップエネルギー値となる。かかる遷移層を設けることにより、ヘテロ接合界面での電子及び正孔の蓄積を防止することが可能となる。
実施の形態1に係る半導体受光素子100では、n型DA-InAlAsバッファ層2、i型DA-InAlAs増倍層3、及びp型DA-InAlAs電界緩和層4のすべての層にDA-InAlAs構造を用いたが、実施の形態5、実施の形態5の変形例1、実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子180、190、200では、バッファ層、増倍層、電界緩和層のいずれか1層にDA-InAlAs構造を適用している。さらに、それぞれのバッファ層、増倍層、電界緩和層の一部分にDA-InAlAs構造を適用した構成も実施の形態5、実施の形態5の変形例1、実施の形態5の変形例2に含まれる。
<実施の形態5、実施の形態5の変形例1、実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子の作用>
光吸収層の下層(基板側)と上層(上面側)で屈折率が異なると、実施の形態1で記載したように、光の伝搬モードが上下方向で非対称となる。上下方向の非対称の度合いは、以下の式(4)に依存し、式(4)の値が大きくなるほど光の伝搬モードが基板側へ偏る。
Γa・Δna・Ta+Γb・Δnb・Tb+Γc・Δnc・Tc・・・(4)
式(4)において、Γa、Γb、Γcはそれぞれ電界緩和層、増倍層、バッファ層の光閉じ込め係数、Δna、Δnb、Δncはそれぞれ電界緩和層、増倍層、バッファ層の屈折率とInPの屈折率の差、Ta、Tb、Tcはそれぞれ電界緩和層、増倍層、バッファ層の層厚である。
式(4)の値をできるだけ小さくすれば、光の伝搬モードの上下方向の非対称性が低減される。したがって、電界緩和層、増倍層、バッファ層のいずれか1層を、あるいは、いずれか1層の一部を、デジタルアロイ構造とすることでΔna、Δnb、Δncのいずれかを小さくすることが可能である。
<実施の形態5、実施の形態5の変形例1、実施の形態5の変形例2の効果>
以上、実施の形態5、実施の形態5の変形例1、実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子によれば、電界緩和層、増倍層、バッファ層のいずれか1層、または電界緩和層、増倍層、バッファ層のいずれか1層の一部をデジタルアロイ構造によって構成したので、導波路型APD内での光の伝搬モードが上下方向において対称となるため、高い受光感度が得られるという効果を奏する。さらに、この高い受信感度によりSN比が改善されて、受信感度も向上するという効果を奏する。
実施の形態5、実施の形態5の変形例1、実施の形態5の変形例2に係る半導体受光素子は、電界緩和層、増倍層、バッファ層のすべてをデジタルアロイ構造とした実施の形態1に比べて、光の伝搬モードの非対称性の低減効果は小さいが、各層の結晶成長に用いるMOVPE装置あるいはMBE装置での元素切り替え回数が減少するため結晶成長時間の短縮が図れるので、MOVPE装置あるいはMBE装置の消耗が低減できるという効果を奏する。
実施の形態6.
<実施の形態6に係る半導体受光素子の素子構造>
図14は、実施の形態6に係る半導体受光素子210の素子構造を表す断面図である。実施の形態6に係る半導体受光素子210の一例として、導波路型APDを挙げている。
実施の形態6に係る半導体受光素子210は、n型InP基板1上に順次形成された、キャリア濃度が1~5×1018cm-3であり層厚が全体として0.1~1.0μmである、n型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とn型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなるn型DA-InAlAsバッファ層2と、層厚が0.05~0.4μmでありキャリア濃度が5×1017cm-3以下であるi型InAlAs増倍層3cと、キャリア濃度が0.1~10×1017cm-3であり層厚が全体として10~100nmである、p型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とp型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなるp型DA-InAlAs電界緩和層4と、層厚が0.1~1.0μmであるi型InGaAs光吸収層5と、層厚が1~3μmであるp型InPクラッド層6と、n型InP基板1の裏面側に形成されたn型電極31と、p型InPクラッド層6上に形成されたp型電極32と、で構成される。
実施の形態6に係る半導体受光素子210は、バッファ層と電界緩和層のみがデジタルアロイ構造で構成されている点に特徴がある。
実施の形態6の変形例1.
<実施の形態6の変形例1に係る半導体受光素子の素子構造>
図15は、実施の形態6の変形例1に係る半導体受光素子220の素子構造を表す断面図である。実施の形態6の変形例1に係る半導体受光素子220の一例として、導波路型APDを挙げている。
実施の形態6の変形例1に係る半導体受光素子220は、n型InP基板1上に順次形成された、キャリア濃度が1~5×1018cm-3であり層厚が全体として0.1~1.0μmである、n型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とn型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなるn型DA-InAlAsバッファ層2と、層厚が全体として0.05~0.4μmでありキャリア濃度が5×1017cm-3以下である、i型AlAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)と、i型InAs層(一例として層厚が2原子層、約0.5nm)とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなるi型DA-InAlAs増倍層3と、キャリア濃度が0.1~10×1017cm-3であり層厚が10~100nmであるp型InAlAs電界緩和層4cと、層厚が0.1~1.0μmであるi型InGaAs光吸収層5と、層厚が1~3μmであるp型InPクラッド層6と、n型InP基板1の裏面側に形成されたn型電極31と、p型InPクラッド層6上に形成されたp型電極32と、で構成される。
実施の形態6の変形例1に係る半導体受光素子220は、バッファ層と増倍層のみがデジタルアロイ構造で構成されている点に特徴がある。
実施の形態6、実施の形態6の変形例1に係る半導体受光素子210、220において、p型DA-InAlAs電界緩和層4またはp型InAlAs電界緩和層4cとi型InGaAs光吸収層5との間に、InAlGaAsあるいはInGaAsPなどの化合物半導体材料からなる層厚0.1μm以下の遷移層を設けてもよい。遷移層を構成するInAlGaAsあるいはInGaAsPは、p型DA-InAlAs電界緩和層4またはp型InAlAs電界緩和層4cを構成するInAlAsのバンドギャップエネルギーとi型InGaAs光吸収層5を構成するInGaAsのバンドギャップエネルギーに対して、中間のバンドギャップエネルギー値となる。かかる遷移層を設けることにより、ヘテロ接合界面での電子及び正孔の蓄積を防止することが可能となる。
また、上述の遷移層と同様の目的で、i型InGaAs光吸収層5とp型InPクラッド層6との間に、InAlGaAsあるいはInGaAsPなどの化合物半導体材料からなる層厚0.1μm以下の遷移層を設けてもよい。遷移層を構成するInAlGaAsあるいはInGaAsPは、i型InGaAs光吸収層5を構成するInGaAsのバンドギャップエネルギーとp型InPクラッド層6を構成するInPのバンドギャップエネルギーに対して、中間のバンドギャップエネルギー値となる。かかる遷移層を設けることにより、ヘテロ接合界面での電子及び正孔の蓄積を防止することが可能となる。
実施の形態1に係る半導体受光素子100では、n型DA-InAlAsバッファ層2、i型DA-InAlAs増倍層3、及びp型DA-InAlAs電界緩和層4のすべての層にDA-InAlAs構造を用いたが、実施の形態6に係る半導体受光素子210ではバッファ層と電界緩和層の2層に、実施の形態6の変形例1に係る半導体受光素子220ではバッファ層と増倍層の2層に、それぞれDA-InAlAs構造を適用したものである。さらに、それぞれのバッファ層、増倍層、電界緩和層の一部分にDA-InAlAsを適用した構成も実施の形態6、実施の形態6の変形例1に含まれる。
<実施の形態6、実施の形態6の変形例1の効果>
以上、実施の形態6、実施の形態6の変形例1に係る半導体受光素子によれば、バッファ層と電界緩和層の2層またはバッファ層と増倍層の2層、あるいは、バッファ層と電界緩和層の2層の一部またはバッファ層と増倍層の2層の一部をデジタルアロイ構造によって構成したので、導波路型APD内での光の伝搬モードが上下方向において対称となるため、高い受光感度が得られるという効果を奏する。さらに、この高い受信感度によりSN比が改善されて、受信感度も向上するという効果を奏する。
実施の形態6、実施の形態6の変形例1に係る半導体受光素子は、電界緩和層、増倍層、バッファ層のすべてをデジタルアロイ構造とした実施の形態1に比べて、光の伝搬モードの非対称性の低減効果は小さいが、各層の結晶成長に用いるMOVPE装置あるいはMBE装置での元素切り替え回数が減少するため結晶成長時間の短縮が図れるので、MOVPE装置あるいはMBE装置の消耗が低減できるという効果を奏する。
本開示は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 n型InP基板、2 n型DA-InAlAsバッファ層、2a、2b、2c n型InAlAsバッファ層、3 i型DA-InAlAs増倍層、3a、3c i型InAlAs増倍層、4 p型DA-InAlAs電界緩和層、4a、4c p型InAlAs電界緩和層、5 i型InGaAs光吸収層、6、7 p型InPクラッド層、6a n型InPクラッド層、8 n型InAlAs光導波層、11 光導波層、12 上部InPクラッド層、31、32a n型電極、31a、32 p型電極、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、300 半導体受光素子、110a、120a、150a、160a 受光部、110b、120b、150b、160b 光導波部

Claims (17)

  1. InP基板と、
    前記InP基板上に形成されたn型InAlAsバッファ層と、
    前記n型InAlAsバッファ層上に形成されたInAlAs増倍層と、
    前記InAlAs増倍層上に形成されたp型InAlAs電界緩和層と、
    前記p型InAlAs電界緩和層上に形成されたInGaAs光吸収層と、を備え、
    前記InAlAs増倍層及び前記p型InAlAs電界緩和層の2層、前記n型InAlAsバッファ層及び前記p型InAlAs電界緩和層の2層、前記n型InAlAsバッファ層及び前記InAlAs増倍層の2層のいずれか、または、前記n型InAlAsバッファ層、前記InAlAs増倍層、及び前記p型InAlAs電界緩和層3層がデジタルアロイ構造からなる半導体受光素子。
  2. InP基板と、
    前記InP基板上に形成されたp型InPクラッド層と、
    前記p型InPクラッド層上に形成されたInGaAs光吸収層と、
    前記InGaAs光吸収層上に形成されたp型InAlAs電界緩和層と、
    前記p型InAlAs電界緩和層上に形成されたInAlAs増倍層と、
    前記InAlAs増倍層上に形成されたn型InPクラッド層と、を備え、
    前記InAlAs増倍層、及び前記p型InAlAs電界緩和層の2層がデジタルアロイ構造からなる半導体受光素子。
  3. 前記n型InAlAsバッファ層がデジタルアロイ構造からなる場合は、前記n型InAlAsバッファ層は単原子層のR倍(2≦R≦6)の層厚からなる第1バッファ構成層と、単原子層のS倍(2≦S≦6)の層厚からなり前記第1バッファ構成層よりもバンドギャップエネルギーが小さい第2バッファ構成層とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造であることを特徴とする請求項1に記載の半導体受光素子。
  4. 前記InP基板上に形成され、前記n型InAlAsバッファ層と、前記InAlAs増倍層と、前記p型InAlAs電界緩和層と、前記InGaAs光吸収層とを少なくとも有する受光部と、
    前記InP基板上で前記受光部に接して形成され、入射光を前記InGaAs光吸収層に導波するInGaAsPまたはInAlGaAs光導波層を少なくとも有する光導波部と、
    を備える請求項1または3に記載の半導体受光素子。
  5. 前記InP基板上に形成され、前記n型InAlAsバッファ層と、前記InAlAs増倍層と、前記p型InAlAs電界緩和層と、前記InGaAs光吸収層とを少なくとも有する受光部と、
    前記InP基板上で前記受光部に接して形成され、入射光を前記n型InAlAsバッファ層に導波するInGaAsPまたはInAlGaAs光導波層を少なくとも有する光導波部と、
    を備える請求項1または3に記載の半導体受光素子。
  6. 前記InAlAs増倍層と前記n型InPクラッド層の間に形成され、前記InAlAs増倍層よりも屈折率が高いn型InGaAsPまたはInAlGaAs光導波層をさらに備える請求項2に記載の半導体受光素子。
  7. 前記InP基板上に形成され、前記p型InPクラッド層と、前記InGaAs光吸収層と、前記p型InAlAs電界緩和層と、前記InAlAs増倍層と、n型InPクラッド層とを少なくとも備える受光部と、
    前記InP基板上で前記受光部に接して形成され、入射光を前記InGaAs光吸収層に導波するInGaAsPまたはInAlGaAs光導波層を少なくとも備える光導波部と、
    を備える請求項2に記載の半導体受光素子。
  8. 前記InP基板上に形成され、前記p型InPクラッド層と、前記InGaAs光吸収層と、前記p型InAlAs電界緩和層と、前記InAlAs増倍層と、n型InAlAs、InGaAsPまたはInAlGaAs光導波層と、前記n型InPクラッド層とを少なくとも備える受光部と、
    前記InP基板上で前記受光部に接して形成され、入射光を前記n型InAlAs、InGaAsPまたはInAlGaAs光導波層に導波するInGaAsPまたはInAlGaAs光導波層を少なくとも有する光導波部と、
    を備える請求項2に記載の半導体受光素子。
  9. 前記InAlAs増倍層がデジタルアロイ構造からなる場合は、前記InAlAs増倍層は単原子層のM倍(2≦M≦6)の層厚からなる第1増倍構成層と、単原子層のN倍(2≦N≦6)の層厚からなり前記第1増倍構成層よりもバンドギャップエネルギーが小さい第2増倍構成層とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造であることを特徴とする請求項1から3、6から8のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
  10. 前記p型InAlAs電界緩和層がデジタルアロイ構造からなる場合は、前記p型InAlAs電界緩和層は単原子層のP倍(2≦P≦6)の層厚からなる第1電界緩和構成層と、単原子層のQ倍(2≦Q≦6)の層厚からなり前記第1電界緩和構成層よりもバンドギャップエネルギーが小さい第2電界緩和構成層とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造であることを特徴とする請求項1から3、6から8のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
  11. 前記第1増倍構成層はAlAs層からなり、前記第2増倍構成層はInAs層からなることを特徴とする請求項9に記載の半導体受光素子。
  12. 前記第1電界緩和構成層はAlAs層からなり、前記第2電界緩和構成層はInAs層からなることを特徴とする請求項10に記載の半導体受光素子。
  13. 前記第1バッファ構成層はAlAs層からなり、前記第2バッファ構成層はInAs層からなることを特徴とする請求項3に記載の半導体受光素子。
  14. InP基板と、
    前記InP基板上に形成され、単原子層のM倍(2≦M≦6)の層厚からなるAlAs層と、単原子層のN倍(2≦N≦6)の層厚からなるInAs層とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなり、1200nm以上1600nm以下の波長帯においてInPの屈折率との屈折率差の絶対値が0以上0.02以下であるInAlAs増倍層と、
    前記InAlAs増倍層上に形成され、単原子層のM倍(2≦M≦6)の層厚からなるAlAs層と、単原子層のN倍(2≦N≦6)の層厚からなるInAs層とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなり、1200nm以上1600nm以下の波長帯において前記デジタルアロイ構造とInPの屈折率との屈折率差の絶対値が0以上0.02以下であるp型InAlAs電界緩和層と、
    前記p型InAlAs電界緩和層上に形成されたInGaAs光吸収層と、
    を備える半導体受光素子。
  15. 前記半導体受光素子は端面から光を入射する導波路型APDであることを特徴とする請求項1から3、6から8、14のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
  16. InAlAs増倍層は、単原子層のM倍(2≦M≦6)の層厚からなるAlAs層と、単原子層のN倍(2≦N≦6)の層厚からなるInAs層とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなり、1200nm以上1600nm以下の波長帯においてInPの屈折率との屈折率差の絶対値が0以上0.02以下であることを特徴とする請求項1から3、6から8のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
  17. 記p型InAlAs電界緩和層は単原子層のM倍(2≦M≦6)の層厚からなるAlAs層と、単原子層のN倍(2≦N≦6)の層厚からなるInAs層とを交互に複数回積層したデジタルアロイ構造からなり、1200nm以上1600nm以下の波長帯において前記デジタルアロイ構造とInPの屈折率との屈折率差の絶対値が0以上0.02以下であることを特徴とする請求項1から3、6から8のいずれか1項に記載の半導体受光素子。
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