JP2004247620A - 半導体受光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】WDM通信で用いられる全ての波長で十分な感度を有する端面入射型若しくは光導波路型の半導体受光素子を実現する。
【解決手段】入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリアの生成により光電変換が行われる半導体受光素子において、基板と、この基板上に形成され入射光がエバネッセント光として光強度を減衰させながら伝播する光導波路層と、この光導波路層上の中央部分に形成され基板より格子定数が大きい光吸収層と、この光吸収層の光吸収で発生した光励起キャリアを光信号電流として取り出す電極と、光導波路層内に形成され基板と光吸収層との格子不整合による歪を緩和する歪緩和層とを設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリアの生成により光電変換が行われる半導体受光素子において、基板と、この基板上に形成され入射光がエバネッセント光として光強度を減衰させながら伝播する光導波路層と、この光導波路層上の中央部分に形成され基板より格子定数が大きい光吸収層と、この光吸収層の光吸収で発生した光励起キャリアを光信号電流として取り出す電極と、光導波路層内に形成され基板と光吸収層との格子不整合による歪を緩和する歪緩和層とを設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
本発明は、入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)の生成により光電変換が行われる半導体受光素子に関し、特にWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)通信で用いられる全ての波長で十分な感度を有することが可能な半導体受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)の生成により光電変換が行われる半導体受光素子に関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−318765号公報
【特許文献2】
特開平9−283786号公報
【非特許文献1】
A.Bandyopadhyaya and M.Jamal Deen: Photodetectors and Fiber Optics, edited by H.S.Nalwa, Ch.5, pp.307−368 (Academic Press, New York, 2001)
【非特許文献2】
L.Giraude et al.: Electron. Lett. 37, pp.973−975 (2001)
【非特許文献3】
T.Takeuchi et al.: Electron. Lett. 26, pp.1−2 (2000)
【0004】
従来の半導体受光素子であるフォトダイオードは光センシングや光通信等に用いられ、このようなpin構造のフォトダイオードは表面(若しくは裏面)入射型や端面入射(光導波路)型の2つに大別される。
【0005】
また、ショットキーバリアを有するショットキーバリア・フォトダイオードもまた表面(若しくは裏面)入射型や端面入射(光導波路)型の2つに大別される。
【0006】
図7はこのような従来の表面入射型のpin構造のフォトダイオードの一例を示す構成断面図である。図7において1はn型InP等の基板、2及び6は電極、3はn型InP等のバッファ層、4はn型InGaAs等の光吸収層、5はSiN等の反射防止膜である。
【0007】
基板1上にはバッファ層3、光吸収層4及び反射防止膜5が順次形成され、基板1の裏面には電極2が形成される。また、反射防止膜5の一部には電極6が形成される。
【0008】
入射光は図7中”PH01”に示すように半導体受光素子の表面から入射され、入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)が生成されて電極2及び6から光信号電流として取り出される。
【0009】
また、図8はこのような従来の端面入射(光導波路)型のpin構造のフォトダイオードの一例を示す構成斜視図である。図8において7は半絶縁性InP等の基板、8はポリイミド等の絶縁層、9はp電極、10はn電極、11はInGaAs等の光吸収層である。
【0010】
基板7上には絶縁層8、光吸収層11及びn電極10がそれぞれ形成され、絶縁層8及び光吸収層11の上部にはp電極9が形成される。
【0011】
入射光は図8中”PH11”に示すように半導体受光素子の端面から入射され、入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)が生成されてp電極9及びn電極10から光信号電流として取り出される。
【0012】
図9はこのような従来のショットキーバリアを有するショットキーバリア・フォトダイオードの一例を示す構成断面図である。図9において12は半絶縁性の基板、13はコンタクト層、14は光吸収層、15はn電極、16は半透明のショットキー接合電極である。
【0013】
基板12上にはコンタクト層13が形成され、コンタクト層13上の一部には光吸収層14が形成され、コンタクト層13の他の部分にはn電極15が形成される。また、光吸収層14の上にはショットキー接合電極16が形成される。
【0014】
入射光は図9中”PH21”に示すように半導体受光素子の端面から入射され、入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)が生成されてn電極15及びショットキー接合電極16から光信号電流として取り出される。
【0015】
前述のような構造では、受光面から入射する光強度は光吸収層での光吸収によって減衰して行く。図10は受光面からの距離と光吸収の関係を示す特性曲線図である。
【0016】
図10中”CH31”に示すように、受光面からの距離が長くなると光吸収が減衰し、また、光吸収によって減衰して光励起キャリア(電子−正孔対)が生成される。
【0017】
すなわち、図10中”CH31”からも分かるように受光面近傍での光吸収が一番大きい、言い換えれば、受光面近傍の光励起キャリア(電子−正孔対)の濃度が最も高くなる。
【0018】
このため、入射光の光強度が大きい場合には、光励起キャリア(電子−正孔対)によって半導体受光素子の入射面に損傷が発生してしまう現象が知られている。
【0019】
従って、従来では光導波路と受光素子を集積化し、光導波路からのエバネッセント光を受光素子に導き入射光の光強度を低減させる構造が考案されている。
【0020】
図11はこのような従来の光導波路と受光素子を集積化した半導体受光素子の一例を示す構成断面図である。図11において17は基板、18は光導波路、19は光吸収層、20はキャップ層である。
【0021】
基板17上には光導波路18が形成され、光導波路18の一部分の上には光吸収層19及びキャップ層20が順次形成される。
【0022】
このような構成にすることによって半導体受光素子は、図11中”WG41”に示す光導波路部と、図11中”PD41”に示す受光素子部に分離することができる。
【0023】
一方、ここではエバネッセント光とは、図11中”PH41”に示すような入射光が入射された場合、図11中”EV41”に示すように入射面の近傍であって光導波路18の外部に染み出す光である。
【0024】
ここで、図11中”EV11”に示すエバネッセント光において紙面右方向が光強度を示している。
【0025】
このような、光導波路18内を順次導波した光はエバネッセント光の吸収があると光強度を減衰させるので、半導体受光素子の入射面に損傷の発生を防止することができる。
【0026】
すなわち、図11中”EV42”、”EV43”及び”EV44”に示すように光が光導波路18を伝播することにより、エバネッセント光が吸収されて伝播する光の光強度を減衰させることが可能になる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような従来例ではInGaAs等の光吸収層をInP基板上に形成させる場合には、InGaAs等の光吸収層に結晶欠陥が生じないように、基板であるInPと格子定数が一致(格子整合)するように光吸収層を成長させている。
【0028】
ここで、InxGa1−xAsの格子定数”a”及びバンドギャップエネルギー”Eg”はInの組成”x”によって決定され、InPに格子整合するように形成されたInGaAs(光吸収層)のバンドギャップエネルギーは室温で約”0.74〜0.75eV”となり、これに対応する吸収端波長は”1.65〜1.67μm”である。
【0029】
このため、このような半導体受光素子の感度は”1.65〜1.67μm”に近づくにつれ減少し、吸収端波長よりも長波長側の感度は殆どなく、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)通信で用いられる波長帯域の長波長側のUバンド(1.625〜1.675μm)で十分な感度を得ることができない、言い換えれば、WDM通信で用いられる全ての波長で十分な感度を得ることができないと言った問題点があった。
【0030】
このような問題は「M.Wada et al.: Trans. IEE of Japan, 122−E, pp.29−34 (2002)」に記載されたように、表面入射型の半導体受光素子において格子不整合InGaAs層を光吸収層として用いることにより、”2.5μm”より長波長側に感度波長を拡大することが可能である。
【0031】
但し、数10Gbpsの伝送速度に対応可能な端面入射型や光導波路型の半導体受光素子に関しては格子不整合InGaAsを光吸収層として用いる事例がなく、このため、端面入射型や光導波路型の半導体受光素子は高速動作が可能であるもののWDM通信のUバンド等で十分な感度を有していないと言った問題点があった。
従って本発明が解決しようとする課題は、WDM通信で用いられる全ての波長で十分な感度を有する端面入射型若しくは光導波路型の半導体受光素子を実現することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリアの生成により光電変換が行われる半導体受光素子において、
基板と、この基板上に形成され前記入射光がエバネッセント光として光強度を減衰させながら伝播する光導波路層と、この光導波路層上の中央部分に形成され前記基板より格子定数が大きい光吸収層と、この光吸収層の光吸収で発生した前記光励起キャリアを光信号電流として取り出す電極と、前記光導波路層内に形成され前記基板と前記光吸収層との格子不整合による歪を緩和する歪緩和層とから構成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0033】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の発明である半導体受光素子において、
前記歪緩和層が、
前記基板の格子定数から前記光吸収層の格子定数まで徐々に変化するように形成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0034】
請求項3記載の発明は、
請求項1記載の発明である半導体受光素子において、
前記歪緩和層が、
前記光導波路層の上層部分に形成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0035】
請求項4記載の発明は、
請求項1記載の発明である半導体受光素子において、
前記歪緩和層が、
前記光導波路層の下層部分に形成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0036】
請求項5記載の発明は、
請求項1記載の発明である半導体受光素子において、
前記歪緩和層が、
前記光導波路層の中層部分に形成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0037】
請求項6記載の発明は、
入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリアの生成により光電変換が行われる半導体受光素子において、
基板と、この基板上に形成され端面に入射された前記入射光が伝播する光導波路層と、この光導波路層内の中層部分に形成され前記基板より格子定数が大きい光吸収層と、この光吸収層の光吸収で発生した前記光励起キャリアを光信号電流として取り出す電極と、前記光導波路層内に形成され前記基板と前記光吸収層との格子不整合による歪を緩和する歪緩和層とから構成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する端面入射型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0038】
請求項7記載の発明は、
請求項6記載の発明である半導体受光素子において、
前記歪緩和層が、
前記基板の格子定数から前記光吸収層の格子定数まで徐々に変化するように形成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する端面入射型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1及び図2は本発明に係る半導体受光素子の一実施例を示す構成断面図及び正面図である。
【0040】
図1及び図2において21は半絶縁性のInPの基板、22はn型のInP及びn型のInGaAsPで形成された光導波路層、23は基板21を構成するInPの格子定数よりも大きな格子定数のInGaAsで形成された光吸収層、24はp型のInPで形成されたキャップ層、25及び26は光信号電流を取り出すための電極、27は基板21と光吸収層23の格子不整合による歪を緩和するために光導波路層22内にInGaAsPで形成された歪緩和層である。
【0041】
基板21上であって長手方向の中央部分には光導波路層22が形成され、光導波路層22内であって上層部分には歪緩和層27が形成される。光導波路層22(歪緩和層27)の上であって、中央部分はに光吸収層23が形成され、光吸収層23の上にはキャップ層24及び電極25が順次形成される。
【0042】
また、光導波路層22(歪緩和層27)上、光吸収層23の近傍であって入射光の入射端とは逆側には電極26が形成される。
【0043】
ここで、図1及び図2に示す実施例の動作を図3及び図4を用いて説明する。図3は光導波路層22の詳細を説明する説明図、図4は光導波路層22内の光強度分布を示す説明図である。
【0044】
図3において21,22,23,24及び25は図1と同一符号を付してあり、28は光導波路層22を構成するn型のInP層、29は吸収端波長が”1.1μm”であり格子定数がInPより”約0.0%”大きいn型のInGaAsP層、30は吸収端波長が”1.2μm”であり格子定数がInPより”約0.1%”大きいn型のInGaAsP層、31は吸収端波長が”1.3μm”であり格子定数がInPより”約0.2%”大きいn型のInGaAsP層である。
【0045】
図3に示すように基板21上にはInP層28、InGaAsP層29、InGaAsP層30及びInGaAsP層31が順次形成され光導波路層22を構成する。
【0046】
一方、InGaAsP層29、InGaAsP層30及びInGaAsP層31は歪緩和層27を構成しており、各InGaAsP層の厚さは”0.5〜0.7μm”で形成されている。
【0047】
そして、InGaAsP層31上には格子定数がInPより”約0.2%”大きいInGaAsで光吸収層23が形成される。
【0048】
ここで、InGaAsP層の4元組成層では、3族元素である”In”、”Ga”の組成比と、5族元素である”As”、”P”の組成比を別々に制御することができるので、格子定数と吸収端波長(バンドギャップエネルギー)とをそれぞれ別々に変化させることが容易である。
【0049】
このため、歪緩和層27を構成するInGaAsP層をInP層28側からInPの格子定数に対して”約0.0%”、”約0.1%”及び”約0.2%”と順次大きくなるように形成することが容易に実現でき、言い換えれば、基板21(InP)の格子定数から光吸収層23(InGaAs)の格子定数まで徐々に変化する歪緩和層27を容易に形成することができ、基板21(InP)と光吸収層23(InGaAs)の格子不整合による歪を緩和することができる。
【0050】
図1中”PH51”に示す端面に入射された入射光は図1中”PC51”に示す光導波路部をエバネッセント光として光導波路層22を光の光強度を減衰させながら伝播して図1中”PD51”に示す受光素子部に到達する。
【0051】
図4において21,28,29,30及び31は図3と同一符号を付してあり、例えば、伝播するエバネッセント光の光強度は図4中”CH71”に示すように分布(図4では一端のみを示しているが光強度分布は左右対称である。)している。
【0052】
そして、図1中”PD51”に示す受光素子部に到達したエバネッセント光は光吸収層23において光吸収が生じ、エバネッセント光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)が生成されて電極25及び電極26から光信号電流として取り出される。
【0053】
この時、光吸収層23で吸収されるエバネッセント光は、前述のように光吸収層23のバンドギャップエネルギーで決定される吸収端波長よりも短波長の光であり、光吸収層23(InGaAs)の格子定数は基板21(InP)の格子定数よりも”約0.2%”大きいので、光吸収層23(InGaAs)の吸収端波長は”約1.8μm”となる。
【0054】
このような吸収端波長”約1.8μm”は、Uバンド(1.625〜1.675μm)を含むWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することを意味することになる。
【0055】
また、半導体受光素子の遮断周波数は光吸収層23(InGaAs)における光励起キャリアの走行時間でほぼ決定されるので、”30〜40GHz”の遮断周波数を得るためには光吸収層23(InGaAs)の厚さを”1μm”以下にする。
【0056】
この結果、基板21であるInPよりも大きな格子定数のInGaAsを光吸収層23として用い、基板21と光吸収層23との間の格子不整合による歪を緩和する歪緩和層27を光導波路層22内に設けることにより、WDM通信のUバンドで十分な感度を有する、言い換えれば、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。
【0057】
また、光導波路層22内に歪緩和層27を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0058】
なお、図3の説明では光吸収層23の格子定数を基板21の格子定数よりも”約0.2%”大きくした例を示しているが、勿論、この数値に限定されるものではなく、必要に応じて格子不整合の度合いを調整しても構わない。
【0059】
また、図1及び図2に示す実施例では、歪緩和層27を光導波路層22の上層部分に形成しているが、光導波路層22内であって基板21と光吸収層23との間であれば、中層部分や下層部分であっても構わない。
【0060】
図5は歪緩和層を光導波路層22内の下層部分に設けた他の実施例を示す構成断面図である。
【0061】
図5において21,22,23,24,25及び26は図1と同一符号を付してあり、32は歪緩和層である。基本的な構成や動作に関しては図1に示す実施例と同様であるので説明は省略する。
【0062】
また、図1及び図5では光導波路型の半導体受光素子を例示しているが、端面入射型の半導体受光素子にも適用可能である。
【0063】
図6は端面入射型の半導体受光素子に適用した実施例を示す構成断面図である。
【0064】
図6において33は半絶縁性のInPの基板、34はn型のInP及びn型のInGaAsPで形成された光導波路層、35は基板21を構成するInPの格子定数よりも大きな格子定数のInGaAsで形成された光吸収層、36はp型のInPで形成されたキャップ層、37及び38は光信号電流を取り出すための電極、39は基板33と光吸収層35の格子不整合による歪を緩和するために光導波路層34内にInGaAsPで形成された歪緩和層である。
【0065】
基板33上であって長手方向の中央部分には光導波路層34が形成され、光導波路層34内であって中層部分には光吸収層35が形成され、下層部分には歪緩和層39が形成される。光導波路層34の上にはキャップ層36及び電極37が順次形成される。
【0066】
また、光吸収層35等が形成されていない歪緩和層39上、光吸収層35の近傍であって入射光の入射端とは逆側には電極38が形成される。
【0067】
ここで、図6に示す実施例の動作を説明する。但し、歪緩和層39の構成は図3に示す構成と同様であり、基板33と光吸収層35との間の格子定数の違い等も同様であるのでその説明は省略する。
【0068】
図6中”PH91”に示す端面に入射された入射光は図6中”CD91”に示す光導波路/受光素子部を光導波路層34の中央部分に設けられた光吸収層35によって吸収されながら伝播する。
【0069】
そして、光導波路層34を伝播することによって光吸収層35において光吸収が生じ、入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)が生成されて電極37及び電極38から光信号電流として取り出される。
【0070】
この時、光吸収層35で吸収される入射光は、前述のように光吸収層23のバンドギャップエネルギーで決定される吸収端波長よりも短波長の光であり、図1に示す実施例と同様に、光吸収層35(InGaAs)の格子定数は基板33(InP)の格子定数よりも”約0.2%”大きいので、光吸収層35(InGaAs)の吸収端波長は”約1.8μm”となる。
【0071】
このような吸収端波長”約1.8μm”は、Uバンド(1.625〜1.675μm)を含むWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することを意味することになる。
【0072】
この結果、基板33であるInPよりも大きな格子定数のInGaAsを光吸収層35として用い、基板33と光吸収層35との間の格子不整合による歪を緩和する歪緩和層39を光導波路層34内に設けることにより、WDM通信のUバンドで十分な感度を有する、言い換えれば、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する端面入射型の半導体受光素子を実現することが可能になる。
【0073】
また、光導波路層34内に歪緩和層39を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
請求項1,2,3,4及び請求項5の発明によれば、基板であるInPよりも大きな格子定数のInGaAsを光吸収層として用い、基板と光吸収層との間の格子不整合による歪を緩和する歪緩和層を光導波路層内に設けることにより、WDM通信のUバンドで十分な感度を有する、言い換えれば、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。
【0075】
また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0076】
また、請求項6及び請求項7の発明によれば、基板であるInPよりも大きな格子定数のInGaAsを光吸収層として用い、基板と光吸収層との間の格子不整合による歪を緩和する歪緩和層を光導波路層内に設けることにより、WDM通信のUバンドで十分な感度を有する、言い換えれば、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する端面入射型の半導体受光素子を実現することが可能になる。
【0077】
また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体受光素子の一実施例を示す構成断面図である。
【図2】本発明に係る半導体受光素子の一実施例を示す正面図である。
【図3】光導波路層の詳細を説明する説明図である。
【図4】光導波路層内の光強度分布を示す説明図である。
【図5】歪緩和層を光導波路層内の下層部分に設けた他の実施例を示す構成断面図である。
【図6】端面入射型の半導体受光素子に適用した実施例を示す構成断面図である。
【図7】従来の表面入射型のpin構造のフォトダイオードの一例を示す構成断面図である。
【図8】従来の端面入射(光導波路)型のpin構造のフォトダイオードの一例を示す構成斜視図である。
【図9】従来のショットキーバリアを有するショットキーバリア・フォトダイオードの一例を示す構成断面図である。
【図10】受光面からの距離と光吸収の関係を示す特性曲線図である。
【図11】従来の光導波路と受光素子を集積化した半導体受光素子の一例を示す構成断面図である。
【符号の説明】
1,7,12,17,21,33 基板
2,6,25,26,37,38 電極
3 バッファ層
4,11,14,19,23,35 光吸収層
5 反射防止膜
8 絶縁層
9 p電極
10,15 n電極
13 コンタクト層
16 ショットキー接合電極
18 光導波路
20,24,36 キャップ層
22,34 光導波路層
27,32,39 歪緩和層
28 InP層
29,30,31 InGaAsP層
本発明は、入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)の生成により光電変換が行われる半導体受光素子に関し、特にWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)通信で用いられる全ての波長で十分な感度を有することが可能な半導体受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)の生成により光電変換が行われる半導体受光素子に関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−318765号公報
【特許文献2】
特開平9−283786号公報
【非特許文献1】
A.Bandyopadhyaya and M.Jamal Deen: Photodetectors and Fiber Optics, edited by H.S.Nalwa, Ch.5, pp.307−368 (Academic Press, New York, 2001)
【非特許文献2】
L.Giraude et al.: Electron. Lett. 37, pp.973−975 (2001)
【非特許文献3】
T.Takeuchi et al.: Electron. Lett. 26, pp.1−2 (2000)
【0004】
従来の半導体受光素子であるフォトダイオードは光センシングや光通信等に用いられ、このようなpin構造のフォトダイオードは表面(若しくは裏面)入射型や端面入射(光導波路)型の2つに大別される。
【0005】
また、ショットキーバリアを有するショットキーバリア・フォトダイオードもまた表面(若しくは裏面)入射型や端面入射(光導波路)型の2つに大別される。
【0006】
図7はこのような従来の表面入射型のpin構造のフォトダイオードの一例を示す構成断面図である。図7において1はn型InP等の基板、2及び6は電極、3はn型InP等のバッファ層、4はn型InGaAs等の光吸収層、5はSiN等の反射防止膜である。
【0007】
基板1上にはバッファ層3、光吸収層4及び反射防止膜5が順次形成され、基板1の裏面には電極2が形成される。また、反射防止膜5の一部には電極6が形成される。
【0008】
入射光は図7中”PH01”に示すように半導体受光素子の表面から入射され、入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)が生成されて電極2及び6から光信号電流として取り出される。
【0009】
また、図8はこのような従来の端面入射(光導波路)型のpin構造のフォトダイオードの一例を示す構成斜視図である。図8において7は半絶縁性InP等の基板、8はポリイミド等の絶縁層、9はp電極、10はn電極、11はInGaAs等の光吸収層である。
【0010】
基板7上には絶縁層8、光吸収層11及びn電極10がそれぞれ形成され、絶縁層8及び光吸収層11の上部にはp電極9が形成される。
【0011】
入射光は図8中”PH11”に示すように半導体受光素子の端面から入射され、入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)が生成されてp電極9及びn電極10から光信号電流として取り出される。
【0012】
図9はこのような従来のショットキーバリアを有するショットキーバリア・フォトダイオードの一例を示す構成断面図である。図9において12は半絶縁性の基板、13はコンタクト層、14は光吸収層、15はn電極、16は半透明のショットキー接合電極である。
【0013】
基板12上にはコンタクト層13が形成され、コンタクト層13上の一部には光吸収層14が形成され、コンタクト層13の他の部分にはn電極15が形成される。また、光吸収層14の上にはショットキー接合電極16が形成される。
【0014】
入射光は図9中”PH21”に示すように半導体受光素子の端面から入射され、入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)が生成されてn電極15及びショットキー接合電極16から光信号電流として取り出される。
【0015】
前述のような構造では、受光面から入射する光強度は光吸収層での光吸収によって減衰して行く。図10は受光面からの距離と光吸収の関係を示す特性曲線図である。
【0016】
図10中”CH31”に示すように、受光面からの距離が長くなると光吸収が減衰し、また、光吸収によって減衰して光励起キャリア(電子−正孔対)が生成される。
【0017】
すなわち、図10中”CH31”からも分かるように受光面近傍での光吸収が一番大きい、言い換えれば、受光面近傍の光励起キャリア(電子−正孔対)の濃度が最も高くなる。
【0018】
このため、入射光の光強度が大きい場合には、光励起キャリア(電子−正孔対)によって半導体受光素子の入射面に損傷が発生してしまう現象が知られている。
【0019】
従って、従来では光導波路と受光素子を集積化し、光導波路からのエバネッセント光を受光素子に導き入射光の光強度を低減させる構造が考案されている。
【0020】
図11はこのような従来の光導波路と受光素子を集積化した半導体受光素子の一例を示す構成断面図である。図11において17は基板、18は光導波路、19は光吸収層、20はキャップ層である。
【0021】
基板17上には光導波路18が形成され、光導波路18の一部分の上には光吸収層19及びキャップ層20が順次形成される。
【0022】
このような構成にすることによって半導体受光素子は、図11中”WG41”に示す光導波路部と、図11中”PD41”に示す受光素子部に分離することができる。
【0023】
一方、ここではエバネッセント光とは、図11中”PH41”に示すような入射光が入射された場合、図11中”EV41”に示すように入射面の近傍であって光導波路18の外部に染み出す光である。
【0024】
ここで、図11中”EV11”に示すエバネッセント光において紙面右方向が光強度を示している。
【0025】
このような、光導波路18内を順次導波した光はエバネッセント光の吸収があると光強度を減衰させるので、半導体受光素子の入射面に損傷の発生を防止することができる。
【0026】
すなわち、図11中”EV42”、”EV43”及び”EV44”に示すように光が光導波路18を伝播することにより、エバネッセント光が吸収されて伝播する光の光強度を減衰させることが可能になる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような従来例ではInGaAs等の光吸収層をInP基板上に形成させる場合には、InGaAs等の光吸収層に結晶欠陥が生じないように、基板であるInPと格子定数が一致(格子整合)するように光吸収層を成長させている。
【0028】
ここで、InxGa1−xAsの格子定数”a”及びバンドギャップエネルギー”Eg”はInの組成”x”によって決定され、InPに格子整合するように形成されたInGaAs(光吸収層)のバンドギャップエネルギーは室温で約”0.74〜0.75eV”となり、これに対応する吸収端波長は”1.65〜1.67μm”である。
【0029】
このため、このような半導体受光素子の感度は”1.65〜1.67μm”に近づくにつれ減少し、吸収端波長よりも長波長側の感度は殆どなく、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)通信で用いられる波長帯域の長波長側のUバンド(1.625〜1.675μm)で十分な感度を得ることができない、言い換えれば、WDM通信で用いられる全ての波長で十分な感度を得ることができないと言った問題点があった。
【0030】
このような問題は「M.Wada et al.: Trans. IEE of Japan, 122−E, pp.29−34 (2002)」に記載されたように、表面入射型の半導体受光素子において格子不整合InGaAs層を光吸収層として用いることにより、”2.5μm”より長波長側に感度波長を拡大することが可能である。
【0031】
但し、数10Gbpsの伝送速度に対応可能な端面入射型や光導波路型の半導体受光素子に関しては格子不整合InGaAsを光吸収層として用いる事例がなく、このため、端面入射型や光導波路型の半導体受光素子は高速動作が可能であるもののWDM通信のUバンド等で十分な感度を有していないと言った問題点があった。
従って本発明が解決しようとする課題は、WDM通信で用いられる全ての波長で十分な感度を有する端面入射型若しくは光導波路型の半導体受光素子を実現することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリアの生成により光電変換が行われる半導体受光素子において、
基板と、この基板上に形成され前記入射光がエバネッセント光として光強度を減衰させながら伝播する光導波路層と、この光導波路層上の中央部分に形成され前記基板より格子定数が大きい光吸収層と、この光吸収層の光吸収で発生した前記光励起キャリアを光信号電流として取り出す電極と、前記光導波路層内に形成され前記基板と前記光吸収層との格子不整合による歪を緩和する歪緩和層とから構成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0033】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の発明である半導体受光素子において、
前記歪緩和層が、
前記基板の格子定数から前記光吸収層の格子定数まで徐々に変化するように形成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0034】
請求項3記載の発明は、
請求項1記載の発明である半導体受光素子において、
前記歪緩和層が、
前記光導波路層の上層部分に形成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0035】
請求項4記載の発明は、
請求項1記載の発明である半導体受光素子において、
前記歪緩和層が、
前記光導波路層の下層部分に形成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0036】
請求項5記載の発明は、
請求項1記載の発明である半導体受光素子において、
前記歪緩和層が、
前記光導波路層の中層部分に形成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0037】
請求項6記載の発明は、
入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリアの生成により光電変換が行われる半導体受光素子において、
基板と、この基板上に形成され端面に入射された前記入射光が伝播する光導波路層と、この光導波路層内の中層部分に形成され前記基板より格子定数が大きい光吸収層と、この光吸収層の光吸収で発生した前記光励起キャリアを光信号電流として取り出す電極と、前記光導波路層内に形成され前記基板と前記光吸収層との格子不整合による歪を緩和する歪緩和層とから構成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する端面入射型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0038】
請求項7記載の発明は、
請求項6記載の発明である半導体受光素子において、
前記歪緩和層が、
前記基板の格子定数から前記光吸収層の格子定数まで徐々に変化するように形成されたことにより、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する端面入射型の半導体受光素子を実現することが可能になる。また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1及び図2は本発明に係る半導体受光素子の一実施例を示す構成断面図及び正面図である。
【0040】
図1及び図2において21は半絶縁性のInPの基板、22はn型のInP及びn型のInGaAsPで形成された光導波路層、23は基板21を構成するInPの格子定数よりも大きな格子定数のInGaAsで形成された光吸収層、24はp型のInPで形成されたキャップ層、25及び26は光信号電流を取り出すための電極、27は基板21と光吸収層23の格子不整合による歪を緩和するために光導波路層22内にInGaAsPで形成された歪緩和層である。
【0041】
基板21上であって長手方向の中央部分には光導波路層22が形成され、光導波路層22内であって上層部分には歪緩和層27が形成される。光導波路層22(歪緩和層27)の上であって、中央部分はに光吸収層23が形成され、光吸収層23の上にはキャップ層24及び電極25が順次形成される。
【0042】
また、光導波路層22(歪緩和層27)上、光吸収層23の近傍であって入射光の入射端とは逆側には電極26が形成される。
【0043】
ここで、図1及び図2に示す実施例の動作を図3及び図4を用いて説明する。図3は光導波路層22の詳細を説明する説明図、図4は光導波路層22内の光強度分布を示す説明図である。
【0044】
図3において21,22,23,24及び25は図1と同一符号を付してあり、28は光導波路層22を構成するn型のInP層、29は吸収端波長が”1.1μm”であり格子定数がInPより”約0.0%”大きいn型のInGaAsP層、30は吸収端波長が”1.2μm”であり格子定数がInPより”約0.1%”大きいn型のInGaAsP層、31は吸収端波長が”1.3μm”であり格子定数がInPより”約0.2%”大きいn型のInGaAsP層である。
【0045】
図3に示すように基板21上にはInP層28、InGaAsP層29、InGaAsP層30及びInGaAsP層31が順次形成され光導波路層22を構成する。
【0046】
一方、InGaAsP層29、InGaAsP層30及びInGaAsP層31は歪緩和層27を構成しており、各InGaAsP層の厚さは”0.5〜0.7μm”で形成されている。
【0047】
そして、InGaAsP層31上には格子定数がInPより”約0.2%”大きいInGaAsで光吸収層23が形成される。
【0048】
ここで、InGaAsP層の4元組成層では、3族元素である”In”、”Ga”の組成比と、5族元素である”As”、”P”の組成比を別々に制御することができるので、格子定数と吸収端波長(バンドギャップエネルギー)とをそれぞれ別々に変化させることが容易である。
【0049】
このため、歪緩和層27を構成するInGaAsP層をInP層28側からInPの格子定数に対して”約0.0%”、”約0.1%”及び”約0.2%”と順次大きくなるように形成することが容易に実現でき、言い換えれば、基板21(InP)の格子定数から光吸収層23(InGaAs)の格子定数まで徐々に変化する歪緩和層27を容易に形成することができ、基板21(InP)と光吸収層23(InGaAs)の格子不整合による歪を緩和することができる。
【0050】
図1中”PH51”に示す端面に入射された入射光は図1中”PC51”に示す光導波路部をエバネッセント光として光導波路層22を光の光強度を減衰させながら伝播して図1中”PD51”に示す受光素子部に到達する。
【0051】
図4において21,28,29,30及び31は図3と同一符号を付してあり、例えば、伝播するエバネッセント光の光強度は図4中”CH71”に示すように分布(図4では一端のみを示しているが光強度分布は左右対称である。)している。
【0052】
そして、図1中”PD51”に示す受光素子部に到達したエバネッセント光は光吸収層23において光吸収が生じ、エバネッセント光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)が生成されて電極25及び電極26から光信号電流として取り出される。
【0053】
この時、光吸収層23で吸収されるエバネッセント光は、前述のように光吸収層23のバンドギャップエネルギーで決定される吸収端波長よりも短波長の光であり、光吸収層23(InGaAs)の格子定数は基板21(InP)の格子定数よりも”約0.2%”大きいので、光吸収層23(InGaAs)の吸収端波長は”約1.8μm”となる。
【0054】
このような吸収端波長”約1.8μm”は、Uバンド(1.625〜1.675μm)を含むWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することを意味することになる。
【0055】
また、半導体受光素子の遮断周波数は光吸収層23(InGaAs)における光励起キャリアの走行時間でほぼ決定されるので、”30〜40GHz”の遮断周波数を得るためには光吸収層23(InGaAs)の厚さを”1μm”以下にする。
【0056】
この結果、基板21であるInPよりも大きな格子定数のInGaAsを光吸収層23として用い、基板21と光吸収層23との間の格子不整合による歪を緩和する歪緩和層27を光導波路層22内に設けることにより、WDM通信のUバンドで十分な感度を有する、言い換えれば、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。
【0057】
また、光導波路層22内に歪緩和層27を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0058】
なお、図3の説明では光吸収層23の格子定数を基板21の格子定数よりも”約0.2%”大きくした例を示しているが、勿論、この数値に限定されるものではなく、必要に応じて格子不整合の度合いを調整しても構わない。
【0059】
また、図1及び図2に示す実施例では、歪緩和層27を光導波路層22の上層部分に形成しているが、光導波路層22内であって基板21と光吸収層23との間であれば、中層部分や下層部分であっても構わない。
【0060】
図5は歪緩和層を光導波路層22内の下層部分に設けた他の実施例を示す構成断面図である。
【0061】
図5において21,22,23,24,25及び26は図1と同一符号を付してあり、32は歪緩和層である。基本的な構成や動作に関しては図1に示す実施例と同様であるので説明は省略する。
【0062】
また、図1及び図5では光導波路型の半導体受光素子を例示しているが、端面入射型の半導体受光素子にも適用可能である。
【0063】
図6は端面入射型の半導体受光素子に適用した実施例を示す構成断面図である。
【0064】
図6において33は半絶縁性のInPの基板、34はn型のInP及びn型のInGaAsPで形成された光導波路層、35は基板21を構成するInPの格子定数よりも大きな格子定数のInGaAsで形成された光吸収層、36はp型のInPで形成されたキャップ層、37及び38は光信号電流を取り出すための電極、39は基板33と光吸収層35の格子不整合による歪を緩和するために光導波路層34内にInGaAsPで形成された歪緩和層である。
【0065】
基板33上であって長手方向の中央部分には光導波路層34が形成され、光導波路層34内であって中層部分には光吸収層35が形成され、下層部分には歪緩和層39が形成される。光導波路層34の上にはキャップ層36及び電極37が順次形成される。
【0066】
また、光吸収層35等が形成されていない歪緩和層39上、光吸収層35の近傍であって入射光の入射端とは逆側には電極38が形成される。
【0067】
ここで、図6に示す実施例の動作を説明する。但し、歪緩和層39の構成は図3に示す構成と同様であり、基板33と光吸収層35との間の格子定数の違い等も同様であるのでその説明は省略する。
【0068】
図6中”PH91”に示す端面に入射された入射光は図6中”CD91”に示す光導波路/受光素子部を光導波路層34の中央部分に設けられた光吸収層35によって吸収されながら伝播する。
【0069】
そして、光導波路層34を伝播することによって光吸収層35において光吸収が生じ、入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリア(電子−正孔対)が生成されて電極37及び電極38から光信号電流として取り出される。
【0070】
この時、光吸収層35で吸収される入射光は、前述のように光吸収層23のバンドギャップエネルギーで決定される吸収端波長よりも短波長の光であり、図1に示す実施例と同様に、光吸収層35(InGaAs)の格子定数は基板33(InP)の格子定数よりも”約0.2%”大きいので、光吸収層35(InGaAs)の吸収端波長は”約1.8μm”となる。
【0071】
このような吸収端波長”約1.8μm”は、Uバンド(1.625〜1.675μm)を含むWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することを意味することになる。
【0072】
この結果、基板33であるInPよりも大きな格子定数のInGaAsを光吸収層35として用い、基板33と光吸収層35との間の格子不整合による歪を緩和する歪緩和層39を光導波路層34内に設けることにより、WDM通信のUバンドで十分な感度を有する、言い換えれば、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する端面入射型の半導体受光素子を実現することが可能になる。
【0073】
また、光導波路層34内に歪緩和層39を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
請求項1,2,3,4及び請求項5の発明によれば、基板であるInPよりも大きな格子定数のInGaAsを光吸収層として用い、基板と光吸収層との間の格子不整合による歪を緩和する歪緩和層を光導波路層内に設けることにより、WDM通信のUバンドで十分な感度を有する、言い換えれば、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する光導波路型の半導体受光素子を実現することが可能になる。
【0075】
また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【0076】
また、請求項6及び請求項7の発明によれば、基板であるInPよりも大きな格子定数のInGaAsを光吸収層として用い、基板と光吸収層との間の格子不整合による歪を緩和する歪緩和層を光導波路層内に設けることにより、WDM通信のUバンドで十分な感度を有する、言い換えれば、WDM通信で用いられる全ての波長で感度を有する端面入射型の半導体受光素子を実現することが可能になる。
【0077】
また、光導波路層内に歪緩和層を作りこむことにより、半導体受光素子の厚さを厚くすることなく、従来と同じ厚さのままでWDM通信で用いられる全ての波長で感度を有することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半導体受光素子の一実施例を示す構成断面図である。
【図2】本発明に係る半導体受光素子の一実施例を示す正面図である。
【図3】光導波路層の詳細を説明する説明図である。
【図4】光導波路層内の光強度分布を示す説明図である。
【図5】歪緩和層を光導波路層内の下層部分に設けた他の実施例を示す構成断面図である。
【図6】端面入射型の半導体受光素子に適用した実施例を示す構成断面図である。
【図7】従来の表面入射型のpin構造のフォトダイオードの一例を示す構成断面図である。
【図8】従来の端面入射(光導波路)型のpin構造のフォトダイオードの一例を示す構成斜視図である。
【図9】従来のショットキーバリアを有するショットキーバリア・フォトダイオードの一例を示す構成断面図である。
【図10】受光面からの距離と光吸収の関係を示す特性曲線図である。
【図11】従来の光導波路と受光素子を集積化した半導体受光素子の一例を示す構成断面図である。
【符号の説明】
1,7,12,17,21,33 基板
2,6,25,26,37,38 電極
3 バッファ層
4,11,14,19,23,35 光吸収層
5 反射防止膜
8 絶縁層
9 p電極
10,15 n電極
13 コンタクト層
16 ショットキー接合電極
18 光導波路
20,24,36 キャップ層
22,34 光導波路層
27,32,39 歪緩和層
28 InP層
29,30,31 InGaAsP層
Claims (7)
- 入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリアの生成により光電変換が行われる半導体受光素子において、
基板と、
この基板上に形成され前記入射光がエバネッセント光として光強度を減衰させながら伝播する光導波路層と、
この光導波路層上の中央部分に形成され前記基板より格子定数が大きい光吸収層と、
この光吸収層の光吸収で発生した前記光励起キャリアを光信号電流として取り出す電極と、
前記光導波路層内に形成され前記基板と前記光吸収層との格子不整合による歪を緩和する歪緩和層と
から構成されたことを特徴とする半導体受光素子。 - 前記歪緩和層が、
前記基板の格子定数から前記光吸収層の格子定数まで徐々に変化するように形成されたことを特徴とする
請求項1記載の半導体受光素子。 - 前記歪緩和層が、
前記光導波路層の上層部分に形成されたことを特徴とする
請求項1若しくは請求項2記載の半導体受光素子。 - 前記歪緩和層が、
前記光導波路層の下層部分に形成されたことを特徴とする
請求項1若しくは請求項2記載の半導体受光素子。 - 前記歪緩和層が、
前記光導波路層の中層部分に形成されたことを特徴とする
請求項1若しくは請求項2記載の半導体受光素子。 - 入射光の光励起による電子のバンド間遷移による光励起キャリアの生成により光電変換が行われる半導体受光素子において、
基板と、
この基板上に形成され端面に入射された前記入射光が伝播する光導波路層と、
この光導波路層内の中層部分に形成され前記基板より格子定数が大きい光吸収層と、
この光吸収層の光吸収で発生した前記光励起キャリアを光信号電流として取り出す電極と、
前記光導波路層内に形成され前記基板と前記光吸収層との格子不整合による歪を緩和する歪緩和層と
から構成されたことを特徴とする半導体受光素子。 - 前記歪緩和層が、
前記基板の格子定数から前記光吸収層の格子定数まで徐々に変化するように形成されたことを特徴とする
請求項6記載の半導体受光素子。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US20120235264A1 (en) * | 2011-03-20 | 2012-09-20 | Fujitsu Limited | Light receiving element, light receiving device, and light receiving module |
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-
2003
- 2003-02-17 JP JP2003037567A patent/JP2004247620A/ja not_active Withdrawn
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US8546899B2 (en) | 2011-03-20 | 2013-10-01 | Fujitsu Limited | Light receiving element, light receiving device, and light receiving module |
WO2023233718A1 (ja) * | 2022-06-03 | 2023-12-07 | 浜松ホトニクス株式会社 | 半導体受光素子 |
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