JP7306927B2 - 二酸化炭素固定化工法 - Google Patents
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Description
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二酸化炭素を化学反応により半永久的に削減することにある。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
本項に記載の二酸化炭素固定化工法は、保有水中に二酸化炭素を溶かし込む工程と併せて或いは別々に、海面処分場の管理水位以深に堆積している廃棄物を攪拌する工程を行うものである。この工程を、例えば浚渫船等を用いて海面処分場内を移動しながら行うことにより、場内の広い範囲に堆積している廃棄物を攪拌するものである。廃棄物の攪拌には、ポンプを利用した廃棄物の吸い上げ及び再投入や、水圧による廃棄物の巻き上げ等、任意の方法を利用してよい。このように堆積廃棄物を攪拌することで、二酸化炭素を溶かし込む工程により中和反応が進んでアルカリ成分が減少した保有水中に、廃棄物からアルカリ成分を意図的に溶解させ、保有水のpHを再び上昇させる。その上で、二酸化炭素を溶かし込む工程を行うことにより、より多くの二酸化炭素が炭酸塩として固定化されることになり、二酸化炭素の削減量が増大するものである。
本項に記載の二酸化炭素固定化工法は、保有水中に溶かし込む二酸化炭素として、大気に含まれる二酸化炭素と、各種の工場や火力発電所等の、海面処分場の近隣施設から排出される排ガスに含まれる二酸化炭素と、ボンベに圧縮された液化二酸化炭素とのうち、少なくとも1つを利用するものである。大気中の二酸化炭素を利用する場合は、安価且つ容易な方法で利用されるものとなり、近隣施設の排ガス中の二酸化炭素を利用する場合は、その施設の二酸化炭素の排出量削減に寄与するものとなる。一方、ボンベに圧縮された液化二酸化炭素を利用する場合は、保有水中に効率よく多量の二酸化炭素が溶かし込まれることになる。
本項に記載の二酸化炭素固定化工法は、保有水中に二酸化炭素を溶かし込む方法として、二酸化炭素を含むナノバブルを保有水中に送り込んで曝気する方法を実行するものである。ここで、ナノバブルとは、直径がナノメートルオーダー(1μメートル未満)のサイズの気泡であり、水中では浮上方向の移動速度よりもブラウン運動にて不規則に移動する速度の方が速いものである。従って、二酸化炭素を含むナノバブルが保有水中に送り込まれると、そのナノバブルはすぐに水面に到達することはなく、長時間保有水中に滞留することになる。そのため、ナノバブル中の二酸化炭素が保有水中に溶解する時間が十分に確保され、吸気された二酸化炭素と保有水中のアルカリ成分との中和反応が効率的に行われるものとなる。
本項に記載の二酸化炭素固定化工法は、海面処分場内に堆積している廃棄物の近傍から保有水を揚水し、揚水した保有水に二酸化炭素を含むナノバブルを混気した後、混気した保有水を海面処分場内へ送水するものである。このとき、ナノバブルを混気した水塊を送水する際には、混気する前の保有水を揚水した水深と同じか、それよりも深い水深へと送水するものである。ここで、ナノバブルを混気すると保有水の海水密度は若干小さくなる。又、海面処分場内の保有水は、廃棄物からの塩類の溶出により、底層には海水密度の重たい水塊が滞留し、塩分躍層が発生している場合がある。すなわち、水深によって海水密度が異なり、水深が深いほど海水が重くなっている場合がある。このため、例えば、比較的浅い水深にあった密度の軽い海水(保有水)にナノバブルを混気して更に密度を軽くした水塊を、密度の重い海水がある深い水深に送水すると、送水したナノバブル混合水塊は海水密度が軽いため、ナノバブルと共に直ちに上方に移流してしまい、ナノバブルの溶解時間が十分に確保できない虞がある。そこで、本項に記載の二酸化炭素固定化工法は、ナノバブルを混気する保有水を揚水する水深と送水する水深とを同じ、もしくは送水する水深を揚水する水深より深くにすることで、二酸化炭素を含むナノバブルが保有水中に長時間滞留するものとなり、二酸化炭素の溶解時間及び保有水内での中和時間が効果的に確保されるものである。
図1~図3は、夫々、本発明の第1~第3の実施の形態に係る二酸化炭素固定化工法を概略的に示している。各図に示された海面処分場10は、遮水護岸又は岸壁18により囲われた海水を保有水12として、外海16に隣接して作られたものであり、焼却灰や飛灰や石炭灰等を含む廃棄物14による埋立が進行している段階の、保有水12中の水底に廃棄物14が堆積した状態である。海面処分場10では、廃棄物14の埋立によって保有水12の水位が上昇するため、保有水12の一部を余剰水として排水する必要があるが、そのような余剰水を揚水して浄化処理した後に外海16へ放流する設備等は、図1~図3での図示を省略している。又、海面処分場10は、最終的に、保有水12の管理水位を超えるまで廃棄物14が堆積して、埋立が完了するものである。
次に、各実施の形態について、個別に説明する。
Claims (5)
- 焼却灰と飛灰と石炭灰とのうちの少なくとも1つを含む廃棄物が、保有水中の水底に堆積した状態の海面処分場を利用する二酸化炭素固定化工法であって、
海面処分場への廃棄物の埋立が進行している段階で、海面処分場からポンプにより揚水した保有水をナノバブル発生手段へ供給すると共に、二酸化炭素をナノバブル発生手段へ供給し、ナノバブル発生手段により保有水に対して二酸化炭素を含むナノバブルを混気した後、二酸化炭素を含むナノバブルが混気された保有水をナノバブル発生手段から海面処分場へ送水して、海面処分場の保有水中に二酸化炭素を溶かし込むことで、廃棄物からアルカリ成分が溶出した保有水を中和反応させ、炭酸塩として二酸化炭素を固定化することを特徴とする二酸化炭素固定化工法。 - 保有水中に二酸化炭素を溶かし込む工程と併せて或いは別々に、海面処分場の管理水位以深に堆積している廃棄物を攪拌する工程を行うことを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素固定化工法。
- 保有水中に溶かし込む二酸化炭素として、大気中の二酸化炭素と、海面処分場の近隣施設から排出される排ガス中の二酸化炭素と、ボンベに圧縮された液化二酸化炭素とのうち、少なくとも1つを利用することを特徴とする請求項1又は2記載の二酸化炭素固定化工法。
- 二酸化炭素を含むナノバブルを保有水中に送り込んで曝気することで、保有水中に二酸化炭素を溶かし込むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の二酸化炭素固定化工法。
- 海面処分場内に堆積している廃棄物の近傍から揚水した保有水に、前記ナノバブルを混気して揚水した水深と同じ水深以深へと送水することを特徴とする請求項4記載の二酸化炭素固定化工法。
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