JP4036386B1 - 浄化工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地下水が流れている領域に存在する汚染された地下水(W1、W3)及び土壌(Gp)を浄化する浄化工法において、処理するべき領域を垂直壁(1)で分割し、該垂直壁(1)は透水材(F1)と浄化材(F2)を包含して透水性を有する様に造成されており、浄化材(F2)は水素除放材(HRC)、高級脂肪酸(高級脂肪酸エステルを含む)、栄養材(EDC、大豆由来の栄養材)、鉄の何れかであることを特徴としている。
【選択図】図1
Description
掘削された汚染土壌の処理としては、例えば、薬品を注入し、或いは、微生物を繁殖させることにより、行っていた。
特に、土壌が汚染されているか否かの判定は、10m四方の領域毎に行われるので、10m四方の領域において、所定深さまで掘削しなければならず、そのコストは莫大なものとなる。
上述した様に、10m四方について、不透水壁10を機械撹拌工法で造成するのは、比較的労力及びコストが多くなってしまう。
しかし、係る従来技術(特許文献1)では、汚染地下水を地上側まで揚水して汚染物質の浄化処理を行わなければならないので、地上側に汚染物質処理設備を別途設けなければならない。
また、汚染地下水を全て揚水した場合には、地盤沈下等の問題を惹起する恐れが存在する。
なお、ここで浄化された地下水を注入井として作用する井戸(6)を介して地中に戻す場合に、浄化された地下水に浄化材(F2)を添加してもよい。
そのため、地下水(W)流により汚染物質が拡散してしまうことが防止される。
換言すれば、汚染物質を連行した地下水(W3)が上方から下方へ流れ、垂直壁(1)を透過しない場合でも、底盤(2)を透過する際に汚染物質は分解されるので、拡散は防止される。
また、地下水を汲み上げる必要が無いので、地盤沈下やその他の不都合を生じることも無い。
先ず、図1〜図7を参照して第1実施形態を説明する。
すなわち、図1で示す様に、汚染領域Gpを横断する様に複数の垂直壁1を造成し、且つ、格子状に配置することにより、垂直壁1によって、汚染領域Gpを複数区画に分割している。
それと共に、処理すべき領域、すなわち広範囲に亘る汚染領域Gpは、垂直壁1によって包囲されている。
先ず、図2で示す様に、図示しないボーリングロッドにより、土壌Gにボーリング孔Hを削孔する。このボーリング孔Hは、造成するべき垂直壁1の概略中心部分に削孔する。
モニタ4は、円周方向に少なくとも2箇所のジェット噴射口41が設けられており、且つ、底部42に注入口43が設けられている。
透水材(砂及び/又はビーズ)F1は、垂直壁1において、地下水通路の役割を奏する。
化学反応により汚染物質を分解する材料が、鉄である。
一方、バイオ処理材は、細菌、ウィルス、その他の微生物(微生物等)を繁殖させて、繁殖した微生物等による生物学的反応により、汚染物質を分解するための材料である。
ここで、高級脂肪酸(高級脂肪酸エステルを含む)及び大豆由来の栄養剤(例えば、EDC)は、嫌気性微生物を活性化する作用がある。
この角度θは、造成するべき垂直壁1の厚さにより、施工現場毎に、ケース・バイ・ケースで決定される。
図4で示す様に、モニタ4が角度θの往復揺動(往復回動)をすることにより、垂直壁1における所定の壁厚だけ、土壌Gが切削される。
図3において、高圧水ジェットJwで切削された領域Bに、透水材F1と、浄化材F2との混合流体Fxを注入するに際しては、いわゆる「コンパクショングラウティング」の手法を適用することも可能である。
図5で示す様に、底盤2を造成する手法は、図3で示す連続壁(垂直壁)を造成するのと同様である。
ただし、図3では、ロッド3及びモニタ4を角度θだけ往復揺動(往復回動)しているが、図5の底盤造成では、ロッド3及びモニタ4を回転している(図5の例では、反時計方向R1へ回転)。また、混合流体Fxを注入しつつ、ロッド3及びモニタ4を地上側へ引き上げる距離は、図5の底盤造成では、底盤2の厚さに相当する距離のみでよい。
すなわち、図5で示す底盤造成では、バイオ処理材は注入しない。
図13を参照して後述するが、底盤2には、施工終了後に薬剤等を補充することが困難であり、バイオ処理材は継続的な補充を必要とするからである。
但し、施工条件その他により、ケース・バイ・ケースで、バイオ処理材を含有する底盤2を造成することも可能である。
図6で示す様に、垂直壁1で囲まれた領域において、汚染領域Gpは、平面領域については全域に亘って存在する。しかしながら、図7においては、地下水流(矢印W、W1、W2、W3、W4)による汚染物質の連行を分かり易く表現するため、汚染領域Gpを小さく表現している。
図7において、矢印W、W1、W2、W3、W4は、地下水流を示している。そして、図7における左側が地下水流の上流側であり、地下水流Wは、図7の左側から右側に向って流れているものとする。
図7において、汚染領域Gpから汚染物質を連行する以前の地下水流は、白抜きで表現された矢印Wで示されている。一方、汚染領域Gpから汚染物質を連行した地下水流、すなわち汚染物質を包含する地下水流は、ハッチングの矢印W1(W3)で示されている。
図7において、右側の垂直壁1を透過した際に、化学反応及び/又は生物学的反応により汚染物質が分解されて、汚染物質を包含しなくなった地下水流は、白抜きで表現された矢印W2で示されている。
換言すれば、汚染物質を連行した地下水Wが、上方から下方へ流れて垂直壁1を透過しない場合でも、底盤2を透過する際に汚染物質は分解され、拡散は防止される。
底盤2を透過する際に汚染物質が分解された地下水流W4も、白抜きの矢印で表現されている。
垂直壁1を透過する際に、地下水に連行された汚染物質は、上述した通り、化学的及び/又は生物学的に分解される。
そして、汚染物質を連行した地下水Wが垂直壁1、底盤2を通過する際に、汚染物質は化学的に分解され、或いは、生物化学的に分解される。そのため、地下水の流れにより汚染物質が拡散されることは無い。
図1〜図7の第1実施形態では、汚染領域Gpが広範囲に亘っており、複数の垂直壁1を格子状に造成して、汚染領域Gpを複数の垂直壁1が横断する様に配置し、以って、汚染領域Gpを分割或いは分断している。
これに対して、図8の第2実施形態は、垂直壁1により、汚染土壌Gpを含む施工区画の外殻部(外縁部)が包囲されている。
ここで、図8では井桁状に4つの垂直壁1を造成しているが、矩形状の垂直壁を造成しても良い。
図9の第3実施形態は、汚染領域Gpが多数、点在する場合に、複数の垂直壁1を格子状に造成した実施形態である。
図9で示す様に垂直壁1を造成すれば、各汚染領域毎に井桁状に垂直壁1で囲うよりも、施工が容易となる。
図10の第4実施形態では、汚染領域Gpを分割している垂直壁1に、縦孔5を形成している。
この縦孔5は、例えば、施工から所定期間が経過してバイオ処理材が減少してきた場合等に、バイオ処理材を供給(注入)して補充するための注入井として作用する。
また、鉄が不足した場合には、鉄を供給する注入井として作用する。
さらに、縦孔5に圧力(正圧)を作用することも可能である。縦孔5に圧力を作用すれば、浄化材の注入が効率的に行われる。或いは、複数の垂直壁1に形成された複数の縦孔5の一部に圧力を作用し、一部に負圧を作用する様に構成しても良い。
図11の第5実施形態では、垂直壁1に縦孔5を形成すると共に、垂直壁1で囲まれた領域にも井戸6を削孔した実施形態である。
図11の例では、井戸6は、垂直壁1で囲まれた(分割或いは分断された)汚染土壌Gpに削孔されている。
井戸6(吸引井)から揚水された地下水は、例えば地上側に設けた水処理施設(図示せず)により、浄化処理される。そして、図示しない水処理施設により浄化された地下水を、縦孔5(注入井として作用)から地中に戻す。
浄化された地下水を縦孔5から地中に戻すことにより、不等沈下を防止することが出来る。
そして、注入井である縦孔5から浄化された地下水を戻す際に、浄化材(鉄及び/又はバイオ処理材)を添加しても良い。
注入井である井戸6から鉄及び/又はバイオ処理材を供給する。そして、鉄及び/又はバイオ処理材が不足する恐れが存在する垂直壁1における縦孔(吸引井)5に負圧を作用させて、井戸6から供給された鉄及び/又はバイオ処理材を、垂直壁(鉄及び/又はバイオ処理材が不足する恐れが存在する垂直壁)1へ吸引する。
図11では、4つの垂直壁1に形成された全ての吸引井5に負圧を作用させて、4つの垂直壁1の全てに鉄及び/又はバイオ処理材を供給している(図11における矢印S)が、特定の垂直壁1のみに負圧を作用させて、負圧を作用させた垂直壁1にのみ鉄及び/又はバイオ処理材を供給しても良い。
図12の第6実施形態では、垂直壁1には空隙7が設けられている。この空隙7は、板状部材1Aを挿入可能に構成されており、且つ、板状部材1Aを空隙7から取り外し可能に構成されている。
そして、板状部材1Aは、透水材(F1)及び浄化材(F2)を包含して構成されている。
そして、板状部材1Bが撤去された空隙7に、新しい板状部材1A(図12では実線で示す)を挿入する。
図12の第6実施形態で説明した通り、垂直壁は地中から取り出して、新しい部材と交換することが可能である。しかし、底盤2は、交換不可能である。
また、垂直壁1については、図10、図11で説明した通り、施工完了後に、鉄及び/又はバイオ処理材を新たに供給することが可能である。しかし、底盤2では、施工完了後に、鉄及び/又はバイオ処理材を新たに供給することは困難である。
そのため、底盤2は、バイオ処理材を包含せずに、透水材と鉄とを混合して構成される。
そこで、図13で示す様に、透水材と鉄を包含する底盤2を、垂直方向(図13では上下方向)に複数段(図13の例では3段)形成する。
第1段(最上段)の底盤2における鉄の分解能力が低下しても、それよりも下方の底盤2、さらに下方の底盤2が存在するので、複数段の底盤全体における浄化期間を長くすることが出来る。
例えば、図示の実施形態では、垂直壁は汚染土壌を浄化するべき区画の外殻(外縁)を井桁状に包囲しているが、矩形状に包囲しても良い。あるいは、三角形状に垂直壁を造成しても良く、六角形状に(ハニカム状に)垂直壁を造成することも可能である。
2・・・底盤
3・・・ロッド
4・・・モニタ
5・・・縦穴
6・・・第2の縦孔
7・・・垂直壁が除去された後の空間
11・・・最深部
41・・・ジェット噴射孔
42・・・モニタ底部
43・・・注入口
Fx・・・混合流体
G・・・地盤
Gc・・・粘性土層
Gp・・・汚染された土壌
W・・・地下水
Claims (2)
- 地下水が流れている領域に存在する汚染された地下水及び土壌を浄化するために処理する領域を垂直壁で分割する浄化工法において、高圧流体(JW)を水平方向に噴射して溝(B)を掘削し、掘削された溝(B)中に透水材(F1)と浄化材(F2)との混合流体(Fx)を注入して透水性を有する垂直壁(1)を造成し、ここで浄化材(F2)は水素徐放材、高級脂肪酸、栄養材、鉄のいずれかであり、前記垂直壁はその最深部(11)が粘性土層(Gc)に到達しており、前記垂直壁に縦孔(5)を削孔し、その縦孔(5)を経由して浄化材(F1)を供給し、前記縦孔(5)を経由して圧力或いは負圧を供給し、垂直壁(1)で囲まれた領域に井戸(6)を削孔し、該井戸(6)を吸引井として作用させて井戸(6)から地下水(W1)を地上側に揚水して地下水(W1)を浄化し、注入井として作用させた井戸(6)を介して浄化された地下水を地中に戻すことを特徴とする浄化工法。
- 垂直壁(1)に透水材(F1)及び浄化材(F2)を含む板状部材(1A)が挿入可能な空隙(7)を形成し、透水材(F1)の透水作用或いは浄化材(F2)の浄化作用が低下した場合に前記板状部材(1A)を空隙(7)から抜き取り、新たな透水材及び浄化材を含む板状部材(1A)を前記空隙(7)に挿入する請求項1記載の浄化工法。
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