JP2014117636A - セメント含有廃棄物の利用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セメント製造設備から排出される排ガス中の二酸化炭素が大気中へ排出されるのを抑制することができると共に、セメントを含有する廃棄物をセメント原料として再利用することができるセメント含有廃棄物の利用方法を提供することを課題とする。
【解決手段】セメントを含有する廃棄物が水に浸漬されてスラリー状に形成された廃棄物スラリー中に、セメント製造設備から排出される二酸化炭素を含有する排ガスを供給することで、廃棄物スラリー中に溶出したカルシウム成分と排ガス中の二酸化炭素とを反応させて二酸化炭素を炭酸カルシウムとして固定化する炭素固定化工程と、該炭素固定化工程で処理された廃棄物スラリーから固体分を分離してセメント原料として使用する再原料化工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】セメントを含有する廃棄物が水に浸漬されてスラリー状に形成された廃棄物スラリー中に、セメント製造設備から排出される二酸化炭素を含有する排ガスを供給することで、廃棄物スラリー中に溶出したカルシウム成分と排ガス中の二酸化炭素とを反応させて二酸化炭素を炭酸カルシウムとして固定化する炭素固定化工程と、該炭素固定化工程で処理された廃棄物スラリーから固体分を分離してセメント原料として使用する再原料化工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、セメントを含有する廃棄物を二酸化炭素の固定化に利用すると共に、斯かる廃棄物をセメント原料として利用するセメント含有廃棄物の利用方法に関する。
近年、地球温暖化を抑制する目的で、温室効果ガスである二酸化炭素の大気中への排出を抑制する取り組みがなされている。例えば、石炭、石油や天然ガス等の化石燃料の燃焼や、廃棄物等の焼却によって発生する排ガス中の二酸化炭素を炭酸カルシウムとして固定化し、大気中への排出を抑制する方法が提案されている。
具体的には、セメントコンクリート構造物を粉砕して水に浸漬することでスラリー状の混合物とした後、該混合物を遠心分離等によって固体分と液体分とに分離する。この際、分離された液体(以下、分離液と記す)中には、セメントコンクリートを構成するセメント中のカルシウム成分(例えば、水酸化カルシウム等)が溶出することになる。そして、斯かる分離液中に二酸化炭素を含有する排ガスを供給することで、カルシウム成分と二酸化炭素とが反応し、炭酸カルシウムが生成される。これにより、二酸化炭素を炭酸カルシウムとして大気に放出されない形態に固定化することが可能となる(特許文献1参照)。
ところで、セメントコンクリートを用いた構造物を解体した際に発生するコンクリート廃材は、その大半が路盤材として再利用されている。また、コンクリートを製造する際等に発生するセメントを含有したスラッジは、他の用途で利用することが困難であることが多く、産業廃棄物として埋め立て処分されるのが一般的である。つまり、コンクリート廃材やセメント含有スラッジ等のセメントを含有する廃棄物は、セメント原料として再利用されることが殆ど無い。このため、セメント原料に占める石灰石等の天然資源の割合は、非常に高いのが現状である。
しかし、このような天然資源は、枯渇する可能性があると共に、自然環境に様々な影響を与えるものである。このため、資源を有効利用し、自然環境の保護を図る観点から、セメントを含有する廃棄物をセメント原料として再利用することが要求されている。
また、セメント製造設備から排出される排ガス中には、セメント原料の一つである石灰石が熱分解することで発生する二酸化炭素が含有されている。このため、斯かる二酸化炭素の大気中への排出を抑制することも要求されている。
そこで、本発明は、セメント製造設備から排出される排ガス中の二酸化炭素が大気中へ排出されるのを抑制することができると共に、セメントを含有する廃棄物をセメント原料として再利用することができるセメント含有廃棄物の利用方法を提供することを課題とする。
本発明に係るセメント含有廃棄物の利用方法は、セメントを含有する廃棄物が水に浸漬されてスラリー状に形成された廃棄物スラリー中に、セメント製造設備から排出される二酸化炭素を含有する排ガスを供給することで、廃棄物スラリー中に溶出したカルシウム成分と排ガス中の二酸化炭素とを反応させて二酸化炭素を炭酸カルシウムとして固定化する炭素固定化工程と、該炭素固定化工程で処理された廃棄物スラリーから固体分を分離してセメント原料として使用する再原料化工程とを備えることを特徴とする。
斯かる構成によれば、セメントを含有する廃棄物が水に浸漬されてスラリー状に形成されることで、廃棄物中のセメントからカルシウム成分が廃棄物スラリー中に溶出することになる。そして、斯かる廃棄物スラリー中に二酸化炭素を含有する排ガスが供給されることで、廃棄物スラリー中に溶出したカルシウム成分と排ガス中の二酸化炭素とが反応し、炭酸カルシウムが生成される。これにより、廃棄物スラリー中へのカルシウム成分の溶出が促進されるため、炭酸カルシウムの生成が促進される。これにより、二酸化炭素が大気中へ放散されない形態に固定化され(炭素固定化工程)、大気中への二酸化炭素の排出を抑制することができる。
そして、炭素固定化工程後の廃棄物スラリーから固体分が分離されてセメント原料として使用されることで(再原料化工程)、セメント製造設備から排出される二酸化炭素の大気中への排出量を低減することができる。具体的には、斯かる固体分(以下、再生原料とも記す)は、上述のように生成した炭酸カルシウムを含有するものである。このため、斯かる再生原料をセメント原料として使用することで、セメント原料として使用される炭酸カルシウムのうち、天然から産出される石灰石の使用量を低減することができる。
更に、再生原料中の炭酸カルシウムは、セメント製造設備から排出される二酸化炭素が固定化されたものである。このため、セメント製造設備から排出される二酸化炭素は、セメント製造設備と炭素固定化工程との間で循環されることになり、セメント製造設備から大気中へ排出される二酸化炭素の排出量が低減される。
また、再生原料を構成する成分は、セメントに由来するものであるため、通常のセメント原料と同等の成分構成となる。このため、再生原料をセメント原料として支障なく有効に使用することができる。
前記炭素固定化工程では、排ガスは、廃棄物スラリー中に散気されることが好ましい。
斯かる構成によれば、廃棄物スラリー中に排ガスが散気されることで、排ガスの気泡が廃棄物スラリー中に分散されることになる。これにより、廃棄物スラリー中で局所的に炭酸カルシウムが多量に生成して析出し、比較的大きな炭酸カルシウムの塊状体(種結晶)が形成されるのが防止される。このため、比較的細かい粒径の炭酸カルシウムの析出物が廃棄物スラリー中に均一に分散して形成される。
このように、炭酸カルシウムの析出物の大きさが比較的細かいものになることで、再生原料に由来する炭酸カルシウムと他のセメント原料との接触面積が大きくなるため、他のセメント原料との反応効率の高い再生原料となる。
また、前記炭素固定化工程では、排ガスは、直径0.1mm以上15mm以下の気泡として廃棄物スラリー中に散気されることが好ましい。また、前記炭素固定化工程では、排ガスは、廃棄物スラリー1tあたり0.1m3/分以上20m3/分以下の供給量で廃棄物スラリー中へ供給されることが好ましい。また、前記炭素固定化工程では、排ガスは、廃棄物スラリーの体積に対して102個/L以上107個/L以下の気泡濃度で廃棄物スラリー中に散気されることが好ましい。
また、本発明に係る他のセメント含有廃棄物の利用方法によれば、セメント製造設備から排出される排ガス中の二酸化炭素が溶解した霧状の水分と、セメントを含有する廃棄物とを接触させることで、霧状の水分中に溶解した二酸化炭素と廃棄物中のカルシウム成分とを反応させて二酸化炭素を炭酸カルシウムとして固定化する炭素固定化工程と、該炭素固定化工程で処理された廃棄物を水分から分離してセメント原料として使用する再原料化工程とを備えることを特徴とする。
斯かる構成によれば、排ガス中の二酸化炭素が溶解した霧状の水分に、廃棄物中のセメントからカルシウム成分が溶解することになる。これにより、二酸化炭素とカルシウム成分とが反応し、炭酸カルシウムが生成される。これにより、二酸化炭素が大気中へ放散されない形態に固定化され(炭素固定化工程)、大気中への二酸化炭素の排出を抑制することができる。
また、排ガス中の二酸化炭素が溶解した水分が霧状であるため、斯かる水分と廃棄物とが分散した箇所で接触すると共に、微細な水の粒子中にカルシウム成分が溶出する。このため、廃棄物中で局所的に炭酸カルシウムが多量に生成して析出し、比較的大きな炭酸カルシウムの塊状体(種結晶)が形成されるのが防止される。このため、比較的細かい大きさの炭酸カルシウムの析出物を含有する再生原料を得ることができる。
このように、炭酸カルシウムの析出物の大きさが比較的細かいものになることで、再生原料に由来する炭酸カルシウムと他のセメント原料との接触面積が大きくなるため、他のセメント原料との反応効率の高い再生原料となる。
そして、炭素固定化工程後の廃棄物を水分から分離してセメント原料として使用することで(再原料化工程)、セメント製造設備から大気中へ排出される二酸化炭素の排出量を低減することができる。具体的には、炭素固定化工程後の廃棄物(以下、再生原料とも記す)は、上述のように、生成した炭酸カルシウムを含有するものである。このため、斯かる再生原料をセメント原料として用いることで、セメント原料として使用される炭酸カルシウムのうち、天然から産出される石灰石の使用量を低減することができる。
更に、再生原料中の炭酸カルシウムは、セメント製造設備から排出される二酸化炭素が固定化されたものである。このため、セメント製造設備から排出される二酸化炭素は、セメント製造設備と炭素固定化工程との間で循環されることなり、セメント製造設備から大気中に排出される二酸化炭素の排出量が低減される。
また、前記炭素固定化工程では、水分に対する廃棄物の質量割合が1質量%以上100質量%以下となることが好ましい。
斯かる構成によれば、水分の質量に対する廃棄物の質量の割合が上記の範囲であることで、廃棄物中のセメントからのカルシウム成分の溶出が効率的に行われると共に、廃棄物から溶出したカルシウム成分と排ガス中の二酸化炭素との接触が効率的に行われる。これにより、炭酸カルシウムの生成(即ち、二酸化炭素の固定化)を効率的に行うことができると共に、セメント原料を構成する炭酸カルシウム以外の成分との反応性に優れた大きさの(比較的小さい)炭酸カルシウムの析出物を形成することができる。
以上のように、本発明によれば、セメント製造設備から排出される排ガス中の二酸化炭素が大気中へ排出されるのを抑制することができると共に、セメントを含有する廃棄物をセメント原料として再利用することができる。
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について、図1を参照しながら説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
以下、本発明の第一実施形態について、図1を参照しながら説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
本実施形態に係るセメント含有廃棄物の利用方法は、セメント製造設備から排出される二酸化炭素を固定化し、セメント含有廃棄物(以下、廃棄物とも記す)をセメント原料として使用可能にするものである。
前記廃棄物としては、セメントを含有するものであれば、特に限定されるものではなく、セメントモルタルやセメントコンクリートからなる構造物が粉砕された廃材、セメントコンクリート廃材から再生骨材の製造時に排出される残粉、セメントモルタルやセメントコンクリートのスラッジ、又は、セメントを含有する排水汚泥等が挙げられる。水に対する分散性が良好であることから、再生骨材製造時に排出される残粉、セメントモルタルやセメントコンクリートのスラッジ、セメントを含有する排水汚泥を廃棄物として用いることが好ましい。また、未硬化のセメントモルタルや生コンクリート等からスクリーンを用いて砂や砂利等の骨材を除去してセメント分を採取したものを廃棄物として用いることもできる。
セメントモルタルやセメントコンクリートのスラッジとしては、未硬化のセメントモルタルやセメントコンクリート、土木工事等で発生した土砂等を含むものであってもよい。また、セメントを含有する排水汚泥としては、セメントモルタル、生コンクリート、又は、コンクリート製品等の製造設備における混練設備から排出される洗浄排水汚泥等が挙げられる。
セメント製造設備から排出される二酸化炭素は、セメント製造設備から排出される排ガス中に含有される。斯かる排ガスとしては、特に限定されるものではなく、例えば、セメント製造設備を構成する焼成キルンから排出されるガスが各種の除塵設備を通過してダストが取り除かれた排ガスであってもよく、除塵設備を通過する前の排ガスであってもよい。排ガス中の二酸化炭素の一部は、セメント原料として使用される炭酸カルシウムが焼成時に熱分解することで生成される。排ガス中の二酸化炭素の濃度としては、特に限定されるものではなく、例えば、1%以上40%以下であることが好ましく、2%以上30%以下であることがより好ましい。なお、排ガスを高圧化して二酸化炭素濃度を高めたり、ガス分離膜やアミン溶液で二酸化炭素を分離回収して二酸化炭素濃度を高めたりした排ガスを用いることもできる。
本実施形態に係るセメント含有廃棄物の利用方法は、排ガス中の二酸化炭素を炭酸カルシウムとして大気に放出されない形態に固定化する炭素固定化工程を備える。該炭素固定化工程は、廃棄物が水に浸漬されてスラリー状に形成された廃棄物スラリー中に、セメント製造設備から排出される排ガスを供給することで行われる。
本実施形態では、炭素固定化工程を行う際には、図1に示すような排ガス供給設備Aが用いられる。該排ガス供給設備Aは、廃棄物スラリーSを収容する容器本体A1と、該容器本体A1の底部上に載置されて容器本体A1内に排ガスを散気させる散気手段A2と、該散気手段A2に排ガスを供給するガス供給手段A3とを備える。そして、散気手段A2とガス供給手段A3とが配管を介して流体的に連結されると共に、ガス供給手段A3がセメント製造設備(図示せず)に配管を介して流体的に連結される。
前記容器本体A1は、底部に散気手段A2を載置可能に構成され、廃棄物スラリーSが収容された際に、廃棄物スラリーSの下方側に散気手段A2が位置するように構成される。容器本体A1に収容される廃棄物スラリーSは、廃棄物と水分とが所定の割合で混合されて形成される。具体的には、廃棄物スラリーSは、水分に対する廃棄物の質量割合が1質量%以上100質量%以下であることが好ましく、2質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。なお、廃棄物が水中で均一に分散しないような形態(例えば、塊状体等)である場合には、廃棄物を所定の大きさ(具体的には、10mm以下の粉状)に粉砕することが好ましい。
前記散気手段A2は、容器本体A1の底部上に載置される。具体的には、複数の散気手段A2が容器本体A1の底部の略全域に亘って配置されてもよく、又は、容器本体A1の底部の略全域を覆うような形状に形成された一つの散気手段A2が配置されてもよい。これにより、容器本体A1に廃棄物スラリーSが収容された状態で、廃棄物スラリーSの略全体に廃棄物スラリーSの下方側から上方側に向かって排ガスを供給することが可能となる。
また、散気手段A2は、排ガスが流通する内部空間Rを備えると共に、該内部空間Rに連通する複数の開孔Hを備える。また、散気手段A2は、排ガスの気泡が所定の大きさとなるように廃棄物スラリーS中に排ガスを散気可能に構成される。具体的には、散気手段A2は、廃棄物スラリーSと接する表面に形成される一つの開口面(開孔Hの開口面)の面積が7.85×10-3 mm2 以上177mm2 以下であることが好ましく、31.4×10-3 mm2 以上78.5mm2 以下であることが好ましい。これにより、廃棄物スラリー中での排ガスの気泡の直径は、0.1mm以上15mm以下となることが好ましく、0.2mm以上10mm以下となることがより好ましい。なお、排ガスの気泡の直径は、目視にて概略算定されるものである。
前記ガス供給手段A3としては、散気手段A2の内部空間Rに向かって排ガスを圧送可能に構成されたポンプ等を用いることができる。また、ガス供給手段A3は、廃棄物スラリーS中への排ガスの供給量を調節可能に構成される。これにより、廃棄物スラリー中の気泡濃度が調節可能となる。廃棄物スラリー中への排ガスの供給量としては、特に限定されるものではないが、例えば、スラリー1tあたり0.1m3/分以上20m3/分以下であることが好ましく、0.2m3/分以上10m3/分以下であることがより好ましい。また、気泡濃度としては、特に限定されるものではないが、102個/L以上107個/L以下であることが好ましく、103個/L以上106個/L以下であることがより好ましい。
上記のような構成を有する排ガス供給設備Aを用いて、炭素固定化工程を行う手順としては、初めに、廃棄物と水とを混合して廃棄物スラリーSを形成し、容器本体A1内に収容する(又は、廃棄物スラリーSを容器本体A1内で形成する)。廃棄物スラリーS中には、廃棄物中のセメントからカルシウム成分(具体的には、水酸化カルシウム)が溶出することになる。
そして、ガス供給手段A3を稼動させて、散気手段A2の内部空間Rへ排ガスを圧送し、散気手段A2の複数の開孔Hから排ガスの気泡を放出させる。これにより、上記の気泡径を有する排ガスの気泡が上記の気泡濃度および供給量で廃棄物スラリーS内に散気される。この際、必要に応じて、容器本体A1内を攪拌機等を用いて撹拌してもよい。
そして、廃棄物スラリーS中に散気された排ガス中の二酸化炭素と廃棄物スラリーS中に溶出したカルシウム成分とが反応して炭酸カルシウムが生成される。これにより、排ガス中の二酸化炭素が炭酸カルシウムとして大気中に放出されない形態に固定化される(炭素固定化工程)。生成した炭酸カルシウムは、廃棄物スラリーS中で析出する。具体的には、微細な気泡として排ガスが廃棄物スラリーS中に供給されることで、廃棄物スラリーS内の分散した箇所で炭酸カルシウムが析出することになる。これにより、局所的に炭酸カルシウムが析出して比較的大きな炭酸カルシウムの塊状体が形成されるのが抑制される。
次に、炭素固定化工程で処理された廃棄物スラリーSから固体分を分離して、該固体分(以下、再生原料とも記す)をセメント原料として使用する(再原料化工程)。廃棄物スラリーSから固体分を分離する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、遠心分離、フィルター濾過、圧搾等が挙げられる。斯かる再生原料は、排ガス中の二酸化炭素が固定化された炭酸カルシウムと廃棄物に由来する他の成分とから構成されるものである。
再生原料中の他の成分としては、例えば、セメントコンクリートからなる廃棄物を用いた場合には、SiO2やAl(OH)3等が挙げられる。これらの成分は、二酸化炭素の固定化による炭酸カルシウムの生成によって、セメントコンクリートを構成するカルシウム化合物(具体的には、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム水和物、アルミン酸カルシウム水和物等)からカルシウムが消費され、斯かるカルシウム化合物が分解して生成されるものである。このように、セメントコンクリートからなる廃棄物に由来する再生原料中の他の成分は、一般的にセメント原料として使用される成分と近似したものである。このため、斯かる再生原料をセメント原料として使用することで、新たに必要となるセメント原料(天然資源)の使用量を削減することができる。
また、セメントモルタルやセメントコンクリートに由来する再生原料は、二酸化炭素との反応により中和されているため、セメントモルタルやセメントコンクリートよりもpHが低い(具体的には、通常のコンクリートのpHが12.5程度であるのに対して弱アルカリ性である)ため、容易に保管することができ、セメント原料として使用しやすいものとなる。
以上のように、本実施形態に係るセメント含有廃棄物の利用方法によれば、セメント製造設備から排出される排ガス中の二酸化炭素が大気中へ排出されるのを抑制することができると共に、セメントを含有する廃棄物をセメント原料として再利用することができる。
即ち、廃棄物が水に浸漬されてスラリー状に形成されることで、廃棄物中のセメントからカルシウム成分が廃棄物スラリー中に溶出することになる。そして、斯かる廃棄物スラリー中に二酸化炭素を含有する排ガスが供給されることで、廃棄物スラリー中に溶出したカルシウム成分と排ガス中の二酸化炭素とが反応し、炭酸カルシウムが生成される。これにより、二酸化炭素が大気中へ放散されない形態に固定化され(炭素固定化工程)、大気中への二酸化炭素の排出を抑制することができる。
そして、炭素固定化工程後の廃棄物スラリーから固体分が分離されてセメント原料として使用されることで(再原料化工程)、セメント製造設備から排出される二酸化炭素の大気中への排出量を低減することができる。具体的には、斯かる固体分(以下、再生原料とも記す)は、上述のように生成した炭酸カルシウムを含有するものである。このため、斯かる再生原料をセメント原料として使用することで、セメント原料として使用される炭酸カルシウムのうち、天然から産出される石灰石の使用量を低減することができる。
更に、再生原料中の炭酸カルシウムは、セメント製造設備から排出される二酸化炭素が固定化されたものである。このため、セメント製造設備から排出される二酸化炭素は、セメント製造設備と炭素固定化工程との間で循環されることになり、セメント製造設備から大気中へ排出される二酸化炭素の排出量が大幅に低減される。
また、再生原料を構成する成分は、セメントに由来するものであるため、通常のセメント原料と同等の成分構成となる。このため、再生原料をセメント原料として有効に使用することができる。
また、廃棄物スラリー中で排ガスの直径、供給量および気泡濃度が上記の範囲となることで、比較的細かい排ガスの気泡が廃棄物スラリー中に均一に分散されることになる。これにより、廃棄物スラリー中で局所的に炭酸カルシウムが多量に生成して析出し、比較的大きな炭酸カルシウムの塊状体(種結晶)が形成されるのが防止される。これにより、比較的細かい粒径の炭酸カルシウムの析出物が廃棄物スラリー中に均一に分散して形成される。
このように、炭酸カルシウムの析出物の大きさが比較的細かいものになることで、再生原料に由来する炭酸カルシウムと他のセメント原料との接触面積が大きくなるため、他のセメント原料との反応効率の高い再生原料となる。
また、水分の質量に対する廃棄物の質量の割合が上記の範囲であることで、廃棄物中のセメントからのカルシウム成分の溶出が効率的に行われると共に、廃棄物から溶出したカルシウム成分と排ガス中の二酸化炭素との接触が効率的に行われる。これにより、炭酸カルシウムの生成(即ち、二酸化炭素の固定化)を効率的に行うことができると共に、セメント原料を構成する炭酸カルシウム以外の成分との反応性に優れた大きさの(比較的小さい)炭酸カルシウムの析出物を形成することができる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図2を用いて説明する。第二実施形態に係るセメント含有廃棄物の処理方法は、第一実施形態に係る方法と比較して、炭素固定化工程の構成が一部異なる点を有する。従って、以下では、第一実施形態と異なる点を中心に説明し、同一の構成に対しては同一の符号を付すこととして説明を省略する。
次に、本発明の第二実施形態について、図2を用いて説明する。第二実施形態に係るセメント含有廃棄物の処理方法は、第一実施形態に係る方法と比較して、炭素固定化工程の構成が一部異なる点を有する。従って、以下では、第一実施形態と異なる点を中心に説明し、同一の構成に対しては同一の符号を付すこととして説明を省略する。
本実施形態に係る炭素固定化工程は、セメント製造設備から排出される排ガスを霧状の水分と共に廃棄物に接触させることで行われる。
本実施形態では、炭素固定化工程を行う際には、図2に示すような排ガス供給設備A’が用いられる。該排ガス供給設備A’は、廃棄物S’を収容する容器本体A1と、該容器本体A1内に排ガスおよび水分を噴射させる気液噴射手段A2’と、該気液噴射手段A2’に排ガスを供給するガス供給手段A3と、気液噴射手段A2’に水分を供給する水分供給手段A4とを備える。そして、気液噴射手段A2’に対してガス供給手段A3および水分供給手段A4が配管を介して流体的に連結されると共に、ガス供給手段A3がセメント製造設備(図示せず)に配管を介して流体的に連結される。
気液噴射手段A2’は、水分供給手段A4から供給される水分を霧状にして噴射可能に構成される。具体的には、気液噴射手段A2’は、水分供給手段A4からの水分がガス供給手段A3から供給される排ガスと共に噴射されることで、霧状の水分を噴射可能に構成される。また、気液噴射手段A2’は、容器本体A1に収容された廃棄物S’よりも上方に一つ又は複数配置される。そして、気液噴射手段A2’から噴出される排ガスおよび霧状の水分が容器本体A1内の廃棄物S’の全体に接触するように構成される。
上記のような構成を有する排ガス供給設備A’を用いて、炭素固定化工程を行う手順としては、初めに、廃棄物S’を容器本体A1内に収容する。なお、廃棄物S’が塊状である場合には、廃棄物S’を所定の大きさに粉砕した後、容器本体A1に収容する。
そして、ガス供給手段A3および水分供給手段A4を稼動させて、気液噴射手段A2’へ排ガスおよび水分を圧送し、排ガスおよび水分を気液噴射手段A2’から噴射させる。噴射された霧状の水分には、排ガス中の二酸化炭素が溶解した状態となる。具体的には、ガス供給手段A3からの排ガスと水分供給手段A4からの水分とが気液噴射手段A2’内で接触し、気液噴射手段A2’内で水分中に二酸化炭素が溶解することで、二酸化炭素が溶解した状態の水分が気液噴射手段A2’から霧状で噴射されるようにしてもよい。又は、気液噴射手段A2’から噴射された排ガスと霧状の水分とが接触し、霧状の水分に排ガス中の二酸化炭素が溶解することで、霧状の水分に排ガス中の二酸化炭素が溶解した状態となってもよい。そして、斯かる霧状の水分と廃棄物S’とが接触する。この際、必要に応じて、容器本体A1内を攪拌機等を用いて撹拌してもよい。
廃棄物S’と接触した霧状の水分には、廃棄物S’中のセメントからカルシウム成分(具体的には、水酸化カルシウム)が溶出する。これにより、霧状の水分に溶解している二酸化炭素と、セメントから溶出したカルシウム成分とが反応して炭酸カルシウムが生成される。また、排ガスの一部が廃棄物S’と直接接触することで、廃棄物S’を構成するセメント中のカルシウム成分と排ガス中に残った二酸化炭素とが反応し、セメント内に炭酸カルシウムが生成される。これにより、排ガス中の二酸化炭素が炭酸カルシウムとして大気中に放出されない形態に固定化される(炭素固定化工程)。生成した炭酸カルシウムは、廃棄物S’の表面や内部に析出する。具体的には、霧状の水分と共に排ガスが噴射されることで、分散した箇所で炭酸カルシウムが生成されて析出することになる。これにより、局所的に炭酸カルシウムが析出して比較的大きな炭酸カルシウムの塊状体が形成されるのが抑制される。
次に、炭素固定化工程で処理された廃棄物S’を水分から分離する。廃棄物S’を水分から分離する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、水分が付着した廃棄物S’に熱を加えて乾燥させたり、常温で所定時間放置したりする方法が挙げられる。そして、水分から分離された廃棄物S’(以下、再生原料とも記す)をセメント原料として使用する(再原料化工程)。
以上のように、本実施形態に係るセメント含有廃棄物の利用方法によれば、二酸化炭素が溶解した霧状の水分と廃棄物とが接触することで、廃棄物中のセメントからカルシウム成分が霧状の水分中に溶出すると共に、斯かるカルシウム成分と霧状の水分に溶解した二酸化炭素とが反応し、炭酸カルシウムが生成される。これにより、二酸化炭素が大気中へ放散されない形態に固定化され(炭素固定化工程)、大気中への二酸化炭素の排出を抑制することができる。
また、排ガスと共に霧状の水分が廃棄物と接触することで、廃棄物と水分とが分散した箇所で接触すると共に、微細な水の粒子中にカルシウム成分が溶出するため、廃棄物中で局所的に炭酸カルシウムが多量に生成して析出し、比較的大きな炭酸カルシウムの塊状体(種結晶)が形成されるのが防止される。このため、比較的細かい大きさの炭酸カルシウムの析出物を含有する再生原料を得ることができる。
このように、炭酸カルシウムの析出物の大きさが比較的細かいものになることで、再生原料に由来する炭酸カルシウムと他のセメント原料との接触面積が大きくなるため、他のセメント原料との反応効率の高い再生原料となる。
そして、炭素固定化工程後の廃棄物を水分から分離してセメント原料として使用することで(再原料化工程)、セメント製造設備から大気中へ排出される二酸化炭素の排出量を低減することができる。具体的には、炭素固定化工程後の廃棄物(以下、再生原料とも記す)は、上述のように生成した炭酸カルシウムを含有するものである。このため、斯かる再生原料をセメント原料として用いることで、セメント原料として使用される炭酸カルシウムのうち、天然から産出される石灰石の使用量を低減することができる。
更に、再生原料中の炭酸カルシウムは、セメント製造設備から排出される二酸化炭素が固定化されたものである。このため、セメント製造設備から排出される二酸化炭素は、セメント製造設備と炭素固定化工程との間で循環されることになり、セメント製造設備から大気中に排出される二酸化炭素の排出量が低減される。
なお、本発明に係るセメント含有廃棄物の利用方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
例えば、上記第一実施形態では、排ガス供給設備Aが一つの容器本体A1を備えて構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図3に示すように、複数の容器本体A1を備えて多段的に構成された排ガス供給設備A’’であってもよい。
該排ガス供給設備A’’は、各容器本体A1内に排ガスを、順次、供給可能に構成される。具体的には、各容器本体A1内には、散気手段A2が配置されており、一の容器本体A1の内部空間と他の容器本体A1内の散気手段A2とが配管を介して流体的に連結される。そして、初めに排ガスが供給される容器本体A1内の散気手段A2は、ガス供給手段A3と配管を介して流体的に連結されており、最後に排ガスが供給される容器本体A1の内部空間は、該容器本体A1の外側に排ガスを排出可能に構成される。
斯かる構成の排ガス供給設備A’’では、一の容器本体A1内の散気手段A2から散気された排ガスが該容器本体A1内で廃棄物スラリーSと接触した後、他の容器本体A1内の散気手段A2に送られて他の容器本体A1内に散気される。これにより、排ガス供給設備A’’では、多段的に二酸化炭素の固定化が行われる。
また、上記第二実施形態では、霧状の水分および排ガスが廃棄物S’に対して上方から接触するように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、気液噴射手段A2’が廃棄物S’の内部又は下方に配置されて、廃棄物S’内に又は廃棄物S’の下方から廃棄物S’内に排ガスが供給されてもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
1.廃棄物スラリーの作製
セメントコンクリートの混練設備から排出される洗浄廃水スラッジをセメント廃棄物として使用し、水と混練して廃棄物スラリーS(3t)を作製した。なお、該廃棄物スラリーSの固体濃度を10%、固体分中の酸化カルシウムの含有量を64.5%とした。
1.廃棄物スラリーの作製
セメントコンクリートの混練設備から排出される洗浄廃水スラッジをセメント廃棄物として使用し、水と混練して廃棄物スラリーS(3t)を作製した。なお、該廃棄物スラリーSの固体濃度を10%、固体分中の酸化カルシウムの含有量を64.5%とした。
2.炭素固定化工程
図3に示すように、容器本体A1を3つ備えた排ガス供給設備A’’を用いて炭素固定化工程を行った。具体的には、作製した廃棄物スラリーSを3つの容器本体A1に1tずつ収容した。そして、ガス供給手段A3を稼動させて、該ガス供給手段A3に流体的に連結された散気手段A2に二酸化炭素を含有する排ガス(セメント製造設備からの排ガス)を供給し、該容器本体A1内に排ガスを散気させた。廃棄物スラリーS中への排ガスの散気は、2時間行った。なお、排ガスの二酸化炭素濃度は、19.8%であった。また、廃棄物スラリーS中に供給される排ガスの直径は、下記表1の通りとし、各容器本体A1内の廃棄物スラリーSへの排ガスの供給量は、2m3/分とした。
図3に示すように、容器本体A1を3つ備えた排ガス供給設備A’’を用いて炭素固定化工程を行った。具体的には、作製した廃棄物スラリーSを3つの容器本体A1に1tずつ収容した。そして、ガス供給手段A3を稼動させて、該ガス供給手段A3に流体的に連結された散気手段A2に二酸化炭素を含有する排ガス(セメント製造設備からの排ガス)を供給し、該容器本体A1内に排ガスを散気させた。廃棄物スラリーS中への排ガスの散気は、2時間行った。なお、排ガスの二酸化炭素濃度は、19.8%であった。また、廃棄物スラリーS中に供給される排ガスの直径は、下記表1の通りとし、各容器本体A1内の廃棄物スラリーSへの排ガスの供給量は、2m3/分とした。
3.評価
(1)水酸化カルシウムの有無
排ガスが初めに供給される容器本体A1内から廃棄物スラリーSを採取し、105℃にて12時間乾燥して固体分を得た。そして、斯かる固体分を乳鉢にてすりつぶし粉体試料とし、粉末X線回折を用いて含有鉱物の定性を行い、水酸化カルシウムの結晶の有無を評価した。評価結果については、下記表1に示す。
(2)排出される二酸化炭素の濃度
排ガスが最後に供給される容器本体A1から排出される排ガスに対して、赤外線ガス分析計による二酸化炭素の濃度測定を行った。測定結果については、下記表1に示す。
(1)水酸化カルシウムの有無
排ガスが初めに供給される容器本体A1内から廃棄物スラリーSを採取し、105℃にて12時間乾燥して固体分を得た。そして、斯かる固体分を乳鉢にてすりつぶし粉体試料とし、粉末X線回折を用いて含有鉱物の定性を行い、水酸化カルシウムの結晶の有無を評価した。評価結果については、下記表1に示す。
(2)排出される二酸化炭素の濃度
排ガスが最後に供給される容器本体A1から排出される排ガスに対して、赤外線ガス分析計による二酸化炭素の濃度測定を行った。測定結果については、下記表1に示す。
(3)セメント原料としての使用
廃棄物スラリーSから分離された固体分(再生原料)の成分組成を調べ、一般的な原料で製造したセメントクリンカーの成分およびセメントの成分と比較した。比較結果については、下記表2に示す。
廃棄物スラリーSから分離された固体分(再生原料)の成分組成を調べ、一般的な原料で製造したセメントクリンカーの成分およびセメントの成分と比較した。比較結果については、下記表2に示す。
<比較例1>
実施例1と同一条件で作製した廃棄物スラリーSを使用し、該廃棄物スラリー中に散気される排ガスの直径を下記表1の通りとしたこと以外は、実施例1と同一条件で、炭素固定化工程を行った。そして、実施例1と同一条件で、水酸化カルシウムの結晶の有無を評価した。また、実施例1と同一条件で、排ガスの二酸化炭素濃度を測定した。水酸化カルシウムの有無、および、二酸化炭素濃度については、下記表1に示す。
実施例1と同一条件で作製した廃棄物スラリーSを使用し、該廃棄物スラリー中に散気される排ガスの直径を下記表1の通りとしたこと以外は、実施例1と同一条件で、炭素固定化工程を行った。そして、実施例1と同一条件で、水酸化カルシウムの結晶の有無を評価した。また、実施例1と同一条件で、排ガスの二酸化炭素濃度を測定した。水酸化カルシウムの有無、および、二酸化炭素濃度については、下記表1に示す。
<比較例2>
実施例1と同一条件で作製した廃棄物スラリーSを使用し、該廃棄物スラリー中に散気される排ガスの直径および散気時間を下記表1の通りとしたこと以外は、実施例1と同一条件で、炭素固定化工程を行った。そして、実施例1と同一条件で、水酸化カルシウムの結晶の有無を評価した。水酸化カルシウムの有無については、下記表1に示す。
実施例1と同一条件で作製した廃棄物スラリーSを使用し、該廃棄物スラリー中に散気される排ガスの直径および散気時間を下記表1の通りとしたこと以外は、実施例1と同一条件で、炭素固定化工程を行った。そして、実施例1と同一条件で、水酸化カルシウムの結晶の有無を評価した。水酸化カルシウムの有無については、下記表1に示す。
<まとめ>
表1の実施例1と比較例1とを比較すると、実施例1では、水酸化カルシウムの存在が確認されず、且つ、排出される二酸化炭素濃度が低いことが認められる。つまり、排ガスの気泡の直径が0.1mm以上15mm以下となることで、廃棄物中のカルシウム成分から効率的に炭酸カルシウムが生成されるため、廃棄物をセメント原料として、有効に使用することが可能となる。また、排ガス中の二酸化炭素の固定化が効果的に行われるため、二酸化炭素の排出量を低減することが可能となる。
表1の実施例1と比較例1とを比較すると、実施例1では、水酸化カルシウムの存在が確認されず、且つ、排出される二酸化炭素濃度が低いことが認められる。つまり、排ガスの気泡の直径が0.1mm以上15mm以下となることで、廃棄物中のカルシウム成分から効率的に炭酸カルシウムが生成されるため、廃棄物をセメント原料として、有効に使用することが可能となる。また、排ガス中の二酸化炭素の固定化が効果的に行われるため、二酸化炭素の排出量を低減することが可能となる。
また、実施例1と比較例2とを比較すると、実施例1では、水酸化カルシウムの存在が確認されなかったのに対し、比較例2では、水酸化カルシウムの存在が確認された。また、実施例1の方が短時間で廃棄物の処理が終わることが認められる。つまり、排ガスの気泡の直径が0.1mm以上15mm以下であり、且つ、排ガスの供給量が0.1m3/分以上20m3/分以下であることで、短時間で廃棄物の処理と排ガスからの二酸化炭素の除去を行うことが可能となる。
また、実施例1と比較例3とを比較すると、実施例1の方が排出された二酸化炭素濃度が低いことが認められる。これは、比較例3のように、排ガスの供給が過剰となると、排ガス中に二酸化炭素が残存することになる。このため、廃棄物スラリー1tあたり0.1m3/分以上20m3/分以下の供給量で廃棄物スラリー中へ排ガスが供給されることで、二酸化炭素の排出量を効果的に低減することができると認められる。
また、実施例1と比較例3とを比較すると、実施例1の方が排出された二酸化炭素濃度が低いことが認められる。これは、比較例3のように、排ガスの供給が過剰となると、排ガス中に二酸化炭素が残存することになる。このため、廃棄物スラリー1tあたり0.1m3/分以上20m3/分以下の供給量で廃棄物スラリー中へ排ガスが供給されることで、二酸化炭素の排出量を効果的に低減することができると認められる。
実施例1で得られる再生原料は、表2に示す通り、セメントクリンカーおよびセメントと比較して、SiO2 (砂に由来するもの)の含有量が僅かに多いものの、他の成分に関しては略同等であった。
また、再生原料を一般的なセメント原料と混合して、セメントを製造したところ、一般的なセメント原料のみを用いて製造したセメントと同等の物性(強度等)を有するセメントを得ることができた。
つまり、再生原料をセメント原料として使用することが可能であると認められる。
また、再生原料を一般的なセメント原料と混合して、セメントを製造したところ、一般的なセメント原料のみを用いて製造したセメントと同等の物性(強度等)を有するセメントを得ることができた。
つまり、再生原料をセメント原料として使用することが可能であると認められる。
A,A’,A’’…排ガス供給設備、A1…容器本体、A2…散気手段、A2’…気液噴射手段、A3…ガス供給手段、A4…水分供給手段、H…開孔、R…内部空間、S…廃棄物スラリー、S’…廃棄物
Claims (6)
- セメントを含有する廃棄物が水に浸漬されてスラリー状に形成された廃棄物スラリー中に、セメント製造設備から排出される二酸化炭素を含有する排ガスを供給することで、廃棄物スラリー中に溶出したカルシウム成分と排ガス中の二酸化炭素とを反応させて二酸化炭素を炭酸カルシウムとして固定化する炭素固定化工程と、該炭素固定化工程で処理された廃棄物スラリーから固体分を分離してセメント原料として使用する再原料化工程とを備えることを特徴とするセメント含有廃棄物の利用方法。
- 前記炭素固定化工程では、排ガスは、廃棄物スラリー中に散気されることを特徴とする請求項1に記載のセメント含有廃棄物の利用方法。
- 前記炭素固定化工程では、排ガスは、直径0.1mm以上15mm以下の気泡として廃棄物スラリー中に散気されることを特徴とする請求項2に記載のセメント含有廃棄物の利用方法。
- 前記炭素固定化工程では、排ガスは、廃棄物スラリー1tあたり0.1m3/分以上20m3/分以下の供給量で廃棄物スラリー中へ供給されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のセメント含有廃棄物の利用方法。
- セメント製造設備から排出される排ガス中の二酸化炭素が溶解した霧状の水分と、セメントを含有する廃棄物とを接触させることで、霧状の水分中に溶解した二酸化炭素と廃棄物中のカルシウム成分とを反応させて二酸化炭素を炭酸カルシウムとして固定化する炭素固定化工程と、該炭素固定化工程で処理された廃棄物を水分から分離してセメント原料として使用する再原料化工程とを備えることを特徴とするセメント含有廃棄物の利用方法。
- 前記炭素固定化工程では、水に対する廃棄物の質量割合が1質量%以上100質量%以下となることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のセメント含有廃棄物の利用方法。
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