JP7306518B1 - エレベータの群管理システム - Google Patents

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【課題】可変速エレベータにおいて、定格速度よりも速い速度でエレベータを走行させる機会を増加させることが可能なエレベータの群管理システムを提供すること。【解決手段】所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間において、定格速度よりも速い速度で走行する速度アップ運転を実行可能なエレベータの群管理システムは、利用者が所望の行先階を示す行先階呼びを登録するための行先階登録装置と、登録された行先階呼びに基づいてエレベータの複数台の号機のうちのいずれかに行先階呼びを割り当てる制御装置と、を備え、制御装置は、行先階呼びに基づいて、複数台の号機のうちの特定の号機が、利用者の出発階から行先階に向かう行先方向とは逆行する逆方向に走行する運行において利用者が乗車すると、速度アップ運転条件が満たされるか否かを予測し、予測の結果に応じて、エレベータにおいて逆方向の運行を行うか否かを制御する。【選択図】図7

Description

本発明は、登録された行先階に基づいて複数台のエレベータのうちのいずれかを割当可能なエレベータの群管理システムに関する。
特許文献1は、かご内荷重及び走行距離が所定の条件を満たす場合に、定格速度よりも速い速度で走行させることが可能な可変速エレベータを開示している。
特許第5404394号公報
本発明は、可変速エレベータにおいて、定格速度よりも速い速度でエレベータを走行させる機会を増加させることが可能なエレベータの群管理システムを提供することを目的とする。
本発明に係るエレベータの群管理システムは、所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間において、定格速度よりも速い速度で走行する速度アップ運転を実行可能なエレベータの群管理システムであって、利用者が所望の行先階を示す行先階呼びを登録するための行先階登録装置と、利用者によって行先階登録装置で登録された行先階呼びに基づいてエレベータの複数台の号機のうちのいずれかに行先階呼びを割り当てる制御装置と、を備え、制御装置は、行先階呼びに基づいて、複数台の号機のうちの特定の号機が、利用者の出発階から行先階に向かう行先方向とは逆行する逆方向に走行する運行において利用者が乗車すると、速度アップ運転条件が満たされるか否かを予測し、予測の結果に応じて、エレベータにおいて逆方向の運行を行うか否かを制御する。
本発明に係るエレベータの群管理方法は、所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間において、定格速度よりも速い速度でエレベータが走行する速度アップ運転を実行可能であり、利用者が所望の行先階を示す行先階呼びを登録するための行先階登録装置で登録された行先階呼びに基づいてエレベータの複数台の号機のうちのいずれかに行先階呼びを割り当てるエレベータの群管理方法であって、行先階呼びに基づいて、複数台の号機のうちの特定の号機が、利用者の出発階から行先階に向かう行先方向とは逆行する逆方向に走行する運行において利用者が乗車すると、速度アップ運転条件が満たされるか否かを予測し、予測の結果に応じて、エレベータにおいて逆方向の運行を行うか否かを制御する。
本発明に係るコンピュータプログラムは、演算回路に本発明に係るエレベータの群管理方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。
本発明によれば、可変速エレベータにおいて、定格速度よりも速い速度でエレベータを走行させる機会を増加させることが可能なエレベータの群管理システムを提供することができる。
実施の形態1に係るエレベータの群管理システムを備えるエレベータシステムの構成を示すブロック図 実施の形態1に係るエレベータの群管理システムの行先階登録装置の構成を示すブロック図 実施の形態1に係るエレベータの群管理システムのエレベータ制御装置の構成を示すブロック図 従来方式のエレベータシステムの課題を説明するための図 実施の形態1に係るエレベータの群管理システムの動作の概要を説明するための図 実施の形態1に係るエレベータの群管理システムの群管理制御装置の割当処理の一例を示すフローチャート 実施の形態1に係るエレベータの群管理システムの群管理制御装置の逆方向割当の判定処理の一例を示すフローチャート 実施の形態1に係るエレベータの群管理システムのエレベータ制御装置の設定処理の一例を示すフローチャート 実施の形態1に係るエレベータの群管理システムのエレベータ制御装置におけるエレベータの運転制御を例示するフローチャート
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施の形態に限定されることはなく、これらの実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施の形態1)
1.構成
1-1.概要
図1は、本発明の実施の形態に係るエレベータの群管理システム1を備えるエレベータシステム100の構成例を示すブロック図である。エレベータシステム100は、エレベータの群管理システム1により、複数のエレベータ40A~40Fの走行及び運行を統合的に制御する。本実施の形態では、一例としてA号機からF号機の6台のエレベータ40A~40F(以下、適宜「号機」という)が設けられている。なお、以下において、各エレベータ40A~40Fを区別せず「エレベータ40」という場合がある。
エレベータシステム100は、エレベータの群管理システム1及び複数のエレベータ40A~40Fを備える。エレベータの群管理システム1は、群管理制御装置10と、複数の行先階登録装置20と、複数のエレベータ制御装置30A~30Fと、を備える。なお、以下において、各エレベータ制御装置30A~30Fを区別せず「エレベータ制御装置30」という場合がある。
エレベータの群管理システム1は、行先階登録方式を採用する。本実施の形態では、行先階登録装置20は、各階の乗場又は乗場近傍に配備されている。利用者は、所望の行先階を指定するために、行先階登録装置20に所定の登録操作を行う。本システム1は、登録された行先階をA号機~F号機のエレベータ40A~40Fのうちのいずれかのエレベータ40に割り当て、行先階登録装置20に、割り当てたエレベータ40(割当号機)を示す割当号機情報を表示する。利用者は、登録操作中に行先階登録装置20の表示を視認することにより、自身が搭乗すべき割当号機を認識できる。
各エレベータ40は、かご、巻上機(モータ)、釣合おもり、重量センサ等を有する。重量センサは、例えばエレベータ40のかごの床下に設けられ、かご内の重量を測定することができる。重量センサは、エレベータ40を吊り下げるロープの張力を測定することで、重量を測定するセンサであってもよい。
各エレベータ40のエレベータ制御装置30は、群管理制御装置10からの制御信号(割当呼び信号)に基づいて、巻上機等の動作を制御することにより、かごの上昇、下降、停止、走行速度等を制御する。本実施の形態において、各エレベータ40は、可変速エレベータである。
可変速エレベータは、かご(利用者(乗客)を含む)と釣合おもりとの重量差が小さい場合において走行距離が所定距離以上であれば、定格速度よりも速い走行速度で走行可能なエレベータである。定格速度とは、昇降するときの最高速度である。かごと釣合おもりとの重量差が小さいときとは、例えば定格積載量に対する積載荷重が40%~60%程度のときであり、このとき、定格速度でかごを昇降させるために要する巻上機の出力は、当該重量差が大きいときよりも小さくてよい。つまり、重量差が小さいとき、かごを定格速度で走行させた場合でも巻上機は、巻上機の出力に余力を有する。そのため、エレベータ制御装置30は、定格速度以上にエレベータ40の走行速度をアップさせることが可能である。例えば、定格速度が45m/分であれば、走行速度は60m/分にアップし得る。
エレベータ40のエレベータ制御装置30は、速度アップ運転条件が成立したときに、巻上機の回転速度等を制御することにより、定格速度よりも速い走行速度でかご(エレベータ40)を走行させる。以下適宜、各エレベータ40を定格速度よりも速い走行速度で運転することを「速度アップ運転」という。
速度アップ運転は、速度アップ運転条件を満たすことで実行され得る。速度アップ運転条件は、本実施の形態において(1)走行区間の走行距離が所定の閾値距離以上であり(以下、「走行距離条件」という)、かつ(2)かご内の乗車率が所定範囲内にある(以下、「乗車率条件」という)ことである。走行区間は、エレベータ40が走行可能な2つの階の間の区間である。乗車率は、かご内の積載荷重により規定されてもよいし、かごに乗車する人数により規定されてもよい。
乗車率が積載荷重によって規定される場合、上記した所定範囲は、巻上機の出力に余裕が生じる、かご内の最小積載荷重に対応する下限と、巻上機の出力に余裕が生じる、かご内の最大積載荷重に対応する上限と、により設定される。乗車率が人数によって規定される場合、上記した所定範囲は、巻上機の出力に余裕が生じる、かごの乗客の最小人数に対応する下限と、かごの乗客の最大人数に対応する上限と、によって設定される。また、所定範囲の下限および上限は、かごの定員に基づいて設定可能である。
1-2.群管理制御装置の構成
群管理制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、入出力インタフェース13とを備える。
制御部11は、群管理制御装置10全体の動作を制御する。制御部11は、例えば、演算回路で構成され得る。制御部11は、プログラムを実行することにより所定の処理又は機能を実現するCPU又はMPUのような汎用プロセッサを含む。制御部11は、記憶部12と通信可能に構成され、当該記憶部12に格納された演算プログラム等を読み出して実行することにより、制御部11における各種の機能を実現する。
例えば、制御部11は、行先階登録装置20で登録された行先階を、複数のエレベータ40A~40Fのうちのいずれかのエレベータ40に割り当てる機能を実現する。具体的には、制御部11は、割当依頼信号を、行先階登録装置20から入出力インタフェース13を介して受信すると、エレベータ40の割当処理を開始する。割当依頼信号は、行先階登録装置20で登録された行先階を、複数のエレベータ40A~40Fのうちのいずれかに割り当てることを要求する信号である。割当依頼信号は、後述する行先階情報と出発階情報と識別情報とを含む。制御部11は、受信した割当依頼信号が示す行先階を、複数のエレベータ40A~40Fのうちのいずれかに割り当てる。
制御部11は、各エレベータ40の運行情報に基づいて、所定の演算処理により、行先階を割り当てるべきエレベータ40(割当号機)を決定する。各エレベータ40の運行情報は、例えば、各エレベータ40に割り当てられた行先階呼びに関する行先階及び出発階、各エレベータ40のかごの状態、予想される待ち時間(予測待ち時間)、予想されるサービス完了時間、かごの予定される停止回数などを示す情報を含む。エレベータ40のかごの状態は、かごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含む。サービス完了時間は、割当号機が行先階に到着するまでの時間である。かごの予定される停止回数は、サービス完了までの間に予定されるエレベータ40の停止回数である。
例えば、制御部11は、各エレベータ40の運行情報に基づいて、行先階を割り当てるべきエレベータ40(割当号機)を選択するための評価値を、エレベータ40毎に算出する。評価値の算出後、制御部11は、エレベータ40A~40Fのうちから最も高い評価値を有するエレベータ40を選択し、行先階を、選択したエレベータ40に割り当てる。本実施の形態において、予測待ち時間は、例えば、記憶部12に格納された所定の予測待ち時間テーブルに記録されている。こうした演算処理は、例えば行先階呼びの各種割当方式に準じて適宜、設定可能である。
本実施の形態では、制御部11は、上記の割当処理において、利用者が向かいたい方向とは逆方向に運行中のエレベータ40に乗車することで、速度アップ運転条件を満たすと予測されるエレベータ40がある場合には、割当号機の候補として当該エレベータ40を選択する。こうした本実施の形態の群管理制御装置10の動作については後述する。
制御部11は、割当号機を決定すると、決定した割当号機を示す割当号機信号を決定し、割当依頼信号を送信した行先階登録装置20に入出力インタフェース13を介して割当号機信号を送信する。制御部11は、これによって、割当依頼信号の受信に応じて割り当てた割当号機を行先階登録装置20に通知する。割当号機信号は、後述する逆方向乗車情報を含んでもよい。
また、制御部11は、割当号機を決定すると、行先階呼びの出発階および行先階に関する割当呼び信号を生成し、割当号機を制御するエレベータ制御装置30に入出力インタフェース13を介して割当呼び信号を送信する。制御部11は、これによって、割当依頼信号の受信に応じて利用者の出発階から行先階に向かうエレベータ40の運行を行わせるための情報をエレベータ制御装置30に伝達する。割当呼び信号は、後述する逆方向停止指令を含んでもよい。
制御部11は、ハードウェア資源とソフトウェアとが協働して所定の機能を実現する態様に限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路で構成されてもよい。すなわち、制御部11はCPU、MPU以外にも、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現され得る。このような制御部11は、例えば、半導体集積回路である信号処理回路で実現され得る。
記憶部12は、種々の情報を記憶できる記憶媒体である。当該情報は、プログラム及びデータを含む。例えば、記憶部12は、上記したように、本実施の形態に係る各種の機能を実現するための演算プログラムを格納する。また、記憶部12は、各エレベータ40の運行情報を格納する。記憶部12は、例えば、DRAM、SRAM若しくはフラッシュメモリ等のメモリ、HDD、SSD、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。
入出力インタフェース13は、群管理制御装置10と、行先階登録装置20、及びエレベータ制御装置30A~30Fとの間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース13は、制御部11から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース13は、行先階登録装置20、及びエレベータ制御装置30A~30Fから入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部11に出力する。
1-3.行先階登録装置の構成
図2は、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1の行先階登録装置20の構成を示すブロック図である。
行先階登録装置20は、制御部21、記憶部22、入出力インタフェース23、報知部24及び操作部25を有する。
制御部21は、行先階登録装置20の動作を制御する。制御部21は、記憶部22と通信可能に構成され、当該記憶部22に格納された演算プログラム等を読み出して実行することにより、制御部21における各種の機能を実現する。制御部21は、例えば、報知部24に対して表示信号を出力し、エレベータ40の号機及び当該エレベータ40の走行方向を報知部24に表示して利用者に報知することができる。制御部21は、上記した制御部11と同様に構成され得る。
記憶部22は、種々の情報を記憶できる記憶媒体である。記憶部22は、上述した記憶部12と同様に構成され得る。
入出力インタフェース23は、行先階登録装置20と群管理制御装置10との間で信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース23は、制御部21から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース23は、群管理制御装置10から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部21に出力する。
報知部24は、任意の手段により利用者に報知することができる。報知部24は、例えば制御部21から出力される表示信号に基づく表示を行う表示部である。表示部は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイで構成される。
操作部25は、利用者が行先階を入力するためのインタフェースである。本実施の形態では、操作部25として、例えば、図1に示すように、テンキーが使用されている。操作部25は、操作部25の操作内容に対応する信号を制御部21に出力する。なお、報知部24の表示部と操作部25とは、タッチパネル式表示装置として一体的に構成されてもよい。
1-4.エレベータ制御装置の構成
図3は、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1のエレベータ制御装置30の構成を示すブロック図である。エレベータ制御装置30A~30Fはそれぞれ、同一の構成を有するため、簡単にエレベータ制御装置30として説明する。
エレベータ制御装置30は、図1に示す群管理制御装置10と同様に、制御部31、記憶部32及び入出力インタフェース33等のハードウェア資源を有する。エレベータ制御装置30の制御部31は、エレベータ制御装置30の動作を制御する。制御部31は、記憶部32と通信可能に構成され、当該記憶部32に格納された演算プログラム等を読み出して実行することにより、制御部31における各種の機能を実現する。
また、制御部31は、エレベータ40の重量センサが測定した、エレベータ40のかご内の重量を示す情報をエレベータ40から入出力インタフェース33を介して取得できるように構成されている。制御部31は、取得した重量に基づいて、後述する速度アップ運転条件のうちの乗車率条件を判定することができる。制御部31は、上述した制御部11と同様に構成され得る。
エレベータ制御装置30A~30Fは、群管理制御装置10からの割当呼び信号にしたがって、対応するエレベータ40A~40Fをそれぞれ駆動制御する。また、エレベータ制御装置30A~30Fはそれぞれ、対応するエレベータ40A~40Fのかごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含むかご状態を検知して、検知したかご状態を示す情報を含むかご状態信号を群管理制御装置10に出力してもよい。
2.動作
本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1の動作について説明する。本システム1において、行先階登録装置20は、操作部25において、利用者による行先階の登録操作を受け付ける。利用者は、操作部25を操作することで所望の行先階を示す行先階呼びを登録する。群管理制御装置10は、行先階登録装置20及びエレベータ制御装置30とのデータ通信を介して、登録された行先階呼びに基づき、各エレベータ40の運行を制御する。
本実施の形態において、各エレベータ40は、所定の速度アップ運転条件を満たしたときに、当該条件を満たしていないときよりも高速となる速度アップ運転を行うように、群管理システム1において管理される。エレベータ40の速度アップ運転を行う頻度を増加できると、エレベータシステム100の運行効率などを向上することができる。以下では、速度アップ運転条件が、乗車率40%以上60%以下で且つ走行距離5階床以上であり、かごの定員が20人である場合の動作の一例について説明する。
従来、行先階登録方式を採用したエレベータシステムでは、登録された行先階の割当方式として、セレクティブコレクティブ方式が広く用いられている。セレクティブコレクティブ方式は、利用者の出発階から行先階に向かう方向(即ち、行先方向)と同じ方向で出発するエレベータに利用者が乗車することを前提とする方式である。しかし、こうした従来方式では、例えば以下のように、速度アップ運転を行える機会の観点から課題がある。
図4は、従来方式のエレベータシステムの課題を説明するための図である。図4(a)は、利用者がエレベータを待つ状況の一例を示す。図4(b)は、図4(a)の例についての、従来方式によるエレベータの運行線図を示す。
図4(a)は、1階~8階を有する建物(ビル)に設けられたエレベータシステムにおいて、1階から7人の利用者が7階に向かう行先階呼びを登録し、その後に2階から1人の利用者が6階に向かう行先階呼びを登録した状況を例示する。また、図4(a)の例において、上記の行先階呼びが割り当てられたエレベータ(かご)は、現在7階に位置することとする。
図4(a)の状況において、従来方式のエレベータは、図4(b)に示すように、まず、1階の利用者を乗車させるために7階から1階まで下降する。次に、エレベータは、1階から7階まで上昇する過程において、2階から6階に向かう利用者を乗車させるために2階に停止し、当該利用者を降車させるために6階に停止する。この場合、エレベータに乗車中の利用者(即ち、乗客)の人数は、1階から2階までの走行区間A1において7人であり、2階から6階までの走行区間A2において8人であり、6階から7階までの走行区間A3において7人である。
こうした図4(a),(b)の例において、速度アップ運転条件における乗車率条件は、乗客が8人の走行区間A2のみで満たされる。しかしながら、この走行区間A2では、エレベータの走行距離が2階から6階までの4階床分であり、走行距離条件が満たされない。したがって、従来方式では、図4(a)のような状況において速度アップ運転を行うことができない。
そこで、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1は、上記のような従来方式では速度アップ運転ができない状況であっても、速度アップ運転を実行可能にするために、逆方向乗車許容方式を採用する。逆方向乗車許容方式は、利用者が行先方向とは逆方向に運行中のエレベータ40に乗車すること(以下「逆方向乗車」という)を許容する割当方式である。こうした本システム1の動作の概要を、図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1の動作の概要を説明するための図である。図5(a)は、図4(a)の例と同様に、利用者がエレベータ40を待つ状況を例示する。図5(b)は、図5(a)の例についての、本実施の形態のエレベータ40の運行線図を示す。なお、図5(b)中では、従来方式の運行線図(図4(b))を破線で併記している。
図5(a)(図4(a)と同様)の状況において、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1は、2階で待つ利用者について、逆方向乗車許容方式にしたがって利用者の行先方向とは逆方向に運行中のエレベータ40に行先階呼びを割り当てる(以下「逆方向割当」という)。
上記の逆方向割当により、本実施の形態のエレベータ40は、図5(b)に示すように、まず、現在の7階から下降する過程において、2階で待つ利用者を乗車させるために2階に停止し、その後に1階に停止する。次に、エレベータ40は、1階から上昇し、各乗客の行先階である6階と7階とに順次、停止する。この場合、エレベータ40の乗客人数は、2階から1階までの走行区間B1において1人であり、1階から6階までの走行区間B2において8人であり、6階から7階までの走行区間B3において7人である。
こうした図5(a),(b)の例において、本実施の形態におけるエレベータ40の運行は、一部の走行区間B1において乗客の行先方向とは逆方向へ走行する点で、従来方式の運行(図5(b)中の破線参照)とは異なる。さらに、このような逆方向乗車の走行区間B1の後で、乗客の行先階に向かう走行区間B2において、乗車率条件と走行距離条件との両方が満たされている。したがって、本実施の形態のエレベータ40は、当該走行区間B1において速度アップ運転を実行できる。これにより、図5(b)の例では、エレベータ40が従来方式よりも行先階(6,7階)に早く到着できている。
本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1は、上記のように速度アップ運転条件が満たされる走行区間B2が予測される際に、逆方向乗車の走行区間B1を許容するように、逆方向乗車許容方式を適用した割当処理を行う。これにより、本システム1は、従来方式よりも速度アップ運転を行える機会を増やすことができ、エレベータシステム100の運行効率を向上できる。以下、本システム1の動作の詳細を説明する。
2-1.行先階呼びの割当処理
本システム1において、行先階登録装置20に新たに登録される行先階呼び(即ち、新規呼び)に応じて群管理制御装置10が割当処理を行う動作の一例について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態における群管理制御装置10の割当処理の一例を示すフローチャートである。
本実施の形態では、速度アップ運転条件を判定する基準とする階として予め設定される基準階を1階(ロビー階)として、基準階から上方向への走行に速度アップ運転が適用される動作例を説明する。図6のフローチャートに示す各処理は、例えば群管理制御装置10の制御部11によって実行される。
まず、群管理制御装置10の制御部11は、入出力インタフェース13を介して行先階登録装置20から割当依頼信号を受信したか否かを判定する(S11)。制御部11は、割当依頼信号を受信していないと判定すると(S11:NO)、ステップS11の判断を再度実行する。
ステップS11について、行先階登録装置20において利用者の操作により新規呼びが登録されると、行先階登録装置20の制御部21は、行先階情報と出発階情報と識別情報とを含む割当依頼信号を生成する。行先階情報は、利用者により登録された行先階を示す。出発階情報は、当該利用者がエレベータ40に乗車する出発階として、例えば当該操作が行われた行先階登録装置20の設置階を示す。識別情報は、当該行先階登録装置20を識別するための情報である。行先階登録装置20の制御部21は、生成した割当依頼信号を、群管理制御装置10に送信する。
制御部11は、行先階登録装置20から割当依頼信号を受信したと判定すると(S11:YES)、例えば、受信した割当依頼信号に含まれている出発階情報及び行先階情報に基づいて、次式(1)を満たすか否かを判断する(S12)。
行先階>出発階>基準階 …(1)
つまり、制御部11は、上式(1)のように、割当依頼信号における行先階情報が示す行先階が、出発階情報が示す出発階よりも上の階であって、且つ出発階が基準階よりも上の階であるか否かを判定する(S12)。ステップS12の判断は、受信した割当依頼信号に対応する新規呼びにおいて、行先方向が上方向であり、その逆の下方向への走行により出発階から基準階に向かえるか否かを確認するために行われる。例えば、図5の例において、1階で待つ利用者による行先階呼びの登録時のステップS12の判断はNOであり、2階で待つ利用者による行先階呼びの登録時のステップS12の判断はYESである。
上式(1)を満たさない場合(S12:NO)、制御部11は、逆方向割当を行わない通常の割当方式により、新規呼びに割り当てる割当号機を決定する(S13)。この場合、新規呼びの行先方向が下方向であるか、あるいは出発階から下方向への走行では基準階に向かわないことから、本実施の形態では、特に当該新規呼びは逆方向割当の対象としない。ステップS13は、例えば、セレクティブコレクティブ方式などに準じた演算処理を用いて、全ての号機等の中から最適な号機を割当号機として選択することにより行われる。
その後、制御部11は、決定した割当号機を示す割当号機信号を生成して、割当依頼信号の送信元の行先階登録装置20に、生成した割当号機信号を送信する(S14)。行先階登録装置20の制御部21は、上述の割当依頼信号の送信に対する応答として群管理制御装置10から割当号機信号を受信すると、利用者によって登録された行先階と、割当号機情報に含まれる割当号機を示す情報とを報知部24に表示させる。これによって、行先階登録装置20において、登録された行先階が、表示された割当号機に割り当てられたことが利用者に報知される。
また、制御部11は、新規呼びの出発階および行先階に関する割当呼び信号を生成して、決定した割当号機のエレベータ制御装置30に、生成した割当呼び信号を送信する(S15)。エレベータ制御装置30の制御部31は、群管理制御装置10から受信される割当呼び信号に基づいて、エレベータ40の動作を駆動制御する。ステップS15で送信される割当呼び信号によると、利用者の行先方向に沿ったエレベータ40の運行が行われる。
一方、上式(1)を満たす場合(S12:YES)、制御部11は、受信した割当依頼信号に基づいて、逆方向割当の判定処理を行う(S16)。逆方向割当の判定処理(S16)は、例えば速度アップ運転の可否の予測により、全号機40A~40Fの中で、逆方向割当を適用する候補となる号機の有無を判定する処理である。逆方向割当の判定処理の詳細は後述する(S16)。
制御部11は、逆方向割当の判定処理(S16)の結果において、候補号機があるかどうかを判定する(S17)。
逆方向割当の候補号機がある場合(S17:YES)、制御部11は、逆方向割当の候補号機の中から、割当依頼信号の新規呼びを割り当てる割当号機を決定する(S18)。複数の候補号機がある場合、ステップS18において制御部11は、例えば逆方向乗車許容方式に準じた演算処理を用いて、複数の候補号機の中から最適な候補号機を割当号機として選択できる。
その後、制御部11は、例えば割当号機を示す割当号機信号を、逆方向乗車情報を含めるように生成して、割当依頼信号の送信元の行先階登録装置20に、逆方向乗車情報を含む割当号機信号を送信する(S19)。逆方向乗車情報は、例えば利用者が逆方向乗車する際の割当号機の進行方向として、新規呼びの行先方向とは逆方向を示す。
行先階登録装置20の制御部21は、ステップS19における割当号機信号を受信すると、例えば上述したステップS14の場合と同様の割当号機等と共に、利用者に逆方向乗車を案内する情報を報知部24に表示する。こうして行先階登録装置20において報知される逆方向情報の案内情報は、当該利用者の乗車時における割当号機の進行方向を示す。
又、制御部11は、例えばステップS15と同様の割当呼び信号を、逆方向停止指令を含めるように生成して、決定した割当号機のエレベータ制御装置30に、逆方向停止指令を含む割当呼び信号を送信する(S20)。逆方向停止指令は、逆方向割当による割当号機の運行において、新規呼びの行先方向とは逆方向の運行中に出発階等に停止させる指令である。
エレベータ制御装置30の制御部31は、ステップS20における割当呼び信号を受信すると、逆方向停止指令に基づいて、新規呼びの出発階に停止する際のタイミングを行先方向とは逆方向に設定する。この場合、例えば逆方向乗車後の基準階からのエレベータ40の走行時に、速度アップ運転を実行し得る。エレベータ制御装置30の動作の詳細については後述する。
一方、逆方向割当の候補号機がない場合(S17:NO)、制御部11は、上述した通常の割当方式によるステップS13~S15の処理を行う。ステップS14の割当号機信号は、特に逆方向乗車情報を含まない。又、ステップS15の割当呼び信号は、特に逆方向停止指令を含まない。
制御部11は、例えばエレベータ制御装置30への割当呼び信号の送信(S15,S20)後に、図6のフローチャートに示す割当処理を終了する。
以上の割当処理によると、新規呼びが逆方向割当の対象となり得る場合(S12:YES)、制御部11は、ステップS16の処理を行って、逆方向割当の候補号機があるか否かを判断する(S17)。候補号機がある場合(S17:YES)、逆方向許容乗車方式を適用して、候補号機の中から最適な号機が割当号機として選択される(S18)。このように、利用者によって行先階呼びが登録された際、逆方向乗車により速度アップ運転が可能と予測される号機に、優先的に当該行先階呼びを割り当てることができる。これにより、群管理システム1は、エレベータ40の速度アップ運転を行う頻度を増加できる。
また、ステップS19の処理により割当号機信号を受信すると、行先階登録装置20は、新規呼びが割り当てられた割当号機と共に、逆方向乗車を案内する情報を利用者に報知する。これによって、群管理システム1は、利用者の行先方向とは逆方向に進行する号機を割り当てたとしても、利用者に当該号機への乗車を促すことができる。
2-1-1.逆方向割当の判定処理
次に、図6のステップS16における逆方向割当の判定処理について説明する。図7は、群管理制御装置10による逆方向割当の判定処理の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部11は、号機番号cを設定する(S31)。号機番号cは、例えばA号機~F号機の6台のエレベータ40A~40Fに対応して、c=1~6の範囲内で設定される。例えば、制御部11は、初回のステップS31では号機番号c=1を設定し、次回以降のステップS31において号機番号cを順次インクリメントする。以下、号機番号cのエレベータ40を「c号機」ともいう。c号機は、本実施の形態において逆方向割当の対象となり得る特定の号機の一例である。
次に、制御部11は、例えば群管理制御装置10の記憶部12に格納された運行情報を参照して、基準階を出発階とする呼び割当(即ち、基準階への運行予定)がc号機に登録されているかどうかを判定する(S32)。ステップS32の判断は、c号機へ乗車する予定の利用者が、基準階で待っている状況か否かを確認するために行われる。
基準階への運行予定がc号機に登録されていない場合(S32:NO)、制御部11は、c号機を、新規呼びについての逆方向割当の候補号機でないと判定する(S33)。
基準階への運行予定がc号機に登録されている場合(S32:YES)、制御部11は、例えばc号機の運行情報に基づいて、c号機が上昇中の運行状態であるかどうかを判定する(S34)。上昇中の運行状態は、エレベータ40が上昇走行中の状態と、上昇走行の途中に停止した状態とを含む。
c号機が上昇中の運行状態ではない場合(S34:NO)、制御部11は、例えばc号機のエレベータ制御装置30から取得される現在のかごの状態に基づいて、c号機が下降中の運行状態において現在階が出発階よりも上の階であるかどうかを判定する(S35)。下降中の運行状態は、エレベータ40が下降走行中の状態と、下降走行の途中に停止した状態とを含む。現在階は、エレベータ40のかごが現在位置する階であり、かごが停止中の階に限らず、かごが走行中の最も近い階であってもよい。
c号機が下降中の運行状態において現在階が出発階よりも上の階でない場合(S35:NO)、制御部11は、c号機が逆方向割当の候補号機ではないと判定する(S33)。
c号機が上昇中の運行状態である場合(S34:YES)、又は、下降中の運行状態において現在階が出発階よりも上の階である場合(S35:YES)、c号機は、予定された基準階における停止よりも前に、当該出発階に停止できる。こうした場合、制御部11は、c号機が基準階において速度アップ運転を行えるかを予測するための各種の条件判定を行う(S36~S39)。
例えば、制御部11は、c号機が基準階の次に停止する予定の階(即ち、次の停止予定階)に基づいて、次式(21)を満たすかどうか(即ち、基準階から次の停止予定階までの差分が所定の階床数FL以上かどうか)を判定する(S36)。
次の停止予定階-基準階≧FL …(21)
上式(21)において、所定の階床数FLは、速度アップ運転条件における走行距離条件の閾値距離を示し、例えば5階床であるが特にこれに限定されない。ステップS36において、制御部11は、例えば次の停止予定階として、c号機の運行情報において基準階よりも後に停止する予定の階において最も低い階を参照する。
上式(21)を満たさない場合(S36:NO)、制御部11は、c号機が逆方向割当の候補号機ではないと判定する(S33)。
上式(21)を満たす場合(S36:YES)、制御部11は、次式(22)を満たすかどうか(すなわち、基準階から行先階までの差分が所定の階床数FL以上かどうか)を判定する(S37)。
行先階-基準階≧FL …(22)
ステップS36,S37によると、c号機に新規呼びを割り当てた場合に、基準階において、速度アップ運転条件における走行距離条件が満たされるか否かが予測できる。
上式(22)を満たさない場合(S37:NO)、制御部11は、c号機が逆方向割当の候補号機ではないと判定する(S33)。
上式(22)を満たす場合(S37:YES)、制御部11は、基準階におけるc号機の乗車率条件の下限に関する次式(23)を満たすどうかを判定する(S38)。
基準階出発人数≧Pmin×P …(23)
上式(23)において、基準階出発人数は、例えば新規呼びの利用者は含めずに、c号機が基準階を出発する際に予定された乗客の人数である。当該人数は、例えばc号機の呼び割当に基づいて算出できる。下限人数Pminは、乗車率条件における下限の人数であり、例えば8人であるが特にこれに限定されない。所定係数Pは、1未満の正の値であり、例えば0.7、0.8、0.9などであるがこれらに限定されない。
上式(23)は、基準階出発人数が、乗車率条件における下限人数Pminを所定係数Pの乗算により引き下げた閾値Pmin×P(第1閾値の一例)と比較して大きい条件を示す。上式(23)によるステップS38の判断は、新規呼びの割り当て前の基準階出発人数が、今後の乗車により基準階から速度アップ運転を実行可能と予測される程度の人数以上である号機に、逆方向割当の候補号機を絞り込むために行われる。
乗車率条件の下限に関する上式(23)を満たさない場合(S38:NO)、制御部11は、c号機が逆方向割当の候補号機ではないと判定する(S33)。
乗車率条件の下限に関する上式(23)を満たす場合(S38:YES)、制御部11は、基準階におけるc号機の乗車率条件の上限に関する次式(24)を満たすどうかを判定する(S39)。
基準階出発人数+1≦Pmax …(24)
上式(24)において、上限人数Pmaxは、乗車率条件における最大の人数であり、例えば12人であるが特にこれに限定されない。上式(24)の左辺は、基準階出発人数から、新規呼びの利用者に応じて1人増員している。上式(24)は、基準階出発人数から逆方向乗車による増員を考慮した人数が、乗車率条件における上限人数Pmax(第2閾値の一例)と比較して小さい条件を示す。上式(24)によるステップS39の判断は、新規呼びを割り当てた場合に基準階から出発する際の乗客の人数が、速度アップ運転を行えないと予測される程度に多人数である号機を、逆方向割当の候補号機から除外するために行われる。
乗車率条件の上限に関する上式(24)を満たさない場合(S39:NO)、制御部11は、c号機が逆方向割当の候補号機ではないと判定する(S33)。
乗車率条件の上限に関する上式(24)を満たす場合(S39:YES)、制御部11は、c号機が候補号機であると判定する(S40)。例えば、制御部11は、全ての号機40A~40Fを逆方向割当の候補号機とするか否かを号機毎に管理するフラグ(Rf[1]~Rf[6]とする)において、c号機のフラグRf[c]をONに設定する(S40)。各フラグRf[1]~Rf[6]は、例えば逆方向割当の判定処理(S16)の開始以前において初期値をOFFに設定される。又、c号機が候補号機でないと判定されると、対応するフラグRf[c]はOFFで維持される。
c号機について逆方向割当の候補号機か否かが判定されると(S33,S40)、制御部11は、全号機40A~40Fについての判定が完了したか否かを判断する(S41)。全号機40A~40Fについての判定が完了していない場合(S41:NO)、制御部11は、ステップS31において号機番号cを未判定の号機に設定して、ステップS32以降の処理を行う。
全号機40A~40Fについての判定が完了した場合(S41:YES)、制御部11は、逆方向割当の判定処理(S16)を終了する。その後、図6のステップS17が行われる。
以上の逆方向割当の判定処理(S16)によると、ステップS36~S37の処理により、特定の号機に当該新規呼びを割り当てた場合、当該号機が走行距離条件を満たすか否かが予測される。また、ステップS38~S39の処理により、例えばかご内の実際の重量の代わりに乗客人数に基づいて、当該号機が乗車率条件を満たすか否かが予測される。制御部11は、このような新規呼びを逆方向割当によって割り当てた場合に速度アップ運転条件を満たすか否かの予測により、各号機40A~40Fが登録された新規呼びに対する逆方向割当の候補号機であるか否かを判定することができる。
また、ステップS39の処理により、新規呼びを特定の号機に割り当てた場合に基準階から出発する際の乗客の人数が乗車率条件の上限を超えると予測される場合(S39:NO)、当該号機が逆方向割当の候補号機ではないと判定される(S33)。これにより、すでに速度アップ運転条件を満たすと予測される号機が、新規呼びを割り当てると乗車率条件、ひいては速度アップ運転条件を充足しなくなる事態を回避できる。したがって、群管理システム1は、エレベータ40の速度アップ運転を行う頻度の減少を抑制できる。
上記したステップS37の処理は、特にステップS31~S41の間に限らず、例えばステップS31の前に行われてもよい。この場合、制御部11は、ステップS37の上式(22)を満たす号機についてのみ、後続のステップS31~S41を実行する。
また、ステップS38の閾値は、上述した下限人数Pminに対する所定係数Pの乗算に限らず、種々の設定が可能である。例えば、当該閾値は、上式(23)の右辺の代わりに、下限人数Pminからの所定数(例えば1又は2)の減算により設定されてもよい。また、ステップS38の下限値は、必ずしも乗車率条件から緩和しなくてもよく、下限人数Pminと同一であってもよい。
2-2.エレベータ制御装置の動作
本システム1におけるエレベータ制御装置30の動作について、図8~9を用いて説明する。以下では、速度アップ運転が特に1階から上向きに限らないエレベータ制御装置30の動作例を説明する。
2-2-1.エレベータ制御装置の設定処理
図8は、エレベータ制御装置30における設定処理の一例を示すフローチャートである。図8のフローチャートに示す設定処理は、任意のエレベータ制御装置30A~30Fの制御部31A~31Fにより実行される。以下では一例として、A号機を制御するエレベータ制御装置30Aの制御部31Aが当該設定処理を行う例を説明する。
図8に例示する設定処理は、エレベータ制御装置30の記憶部32に、各階及び上下方向についての停止予定フラグSp[f][D]が格納された状態で開始され、例えば周期的に実行される。停止予定フラグSp[f][D]は、f階に停止する予定があるか否かをON/OFFで示すフラグであり、上方向(D=UP)の走行と下方向(D=DOWN)の走行とについて別々に管理される。例えば、A号機がf階に停止してから上方向に走行する予定がある場合、Sp[f][UP]が「ON」に予め設定される。
まず、エレベータ制御装置30Aの制御部31Aは、群管理制御装置10からの割当呼び信号を受信したか否かを判定する(S51)。
制御部31Aは、割当呼び信号を受信していないと判定すると(S51:NO)、A号機の現在の走行状態に基づいて、A号機が何れかの階(「F階」とする)にD方向行きで停止したか否かを判定する(S52)。例えば、A号機がF階に停止し、その後に上方向又は下方向で走行する予定であるとき、ステップS52の判断はYESとなる。
制御部31Aは、A号機がF階にD方向行きで停止したと判定すると(S52:YES)、停止予定フラグSp[F][D]を「OFF」に設定して(S53)、ステップS51に戻る。ステップS53により、F階におけるD方向行きで停止予定の設定が、その予定の完了に応じてリセットされる。
一方、制御部31Aは、A号機がF階にD方向行きで停止していないと判定すると(S52:NO)、特に停止予定フラグSp[F][D]の設定を変更せずに、ステップS51に戻る。
制御部31Aは、割当呼び信号を受信したと判定すると(S51:YES)、受信した割当呼び信号が逆方向停止指令を含むか否かを判定する(S54)。
制御部31Aは、割当呼び信号が逆方向停止指令を含まない場合(S54:NO)、割当呼び信号に含まれている出発階及び行先階に基づいて、出発階よりも行先階が上の階であるかどうかを判定する(S55)。
出発階よりも行先階が上の階である場合(S55:YES)、制御部31Aは、出発階について上方向の停止予定フラグSp[f=出発階][UP]を「ON」に設定する(S56)。これにより、A号機が出発階で停止して、その後に乗客の行先方向と同じ上方向に向かって走行する予定が設定される。
出発階よりも行先階が上の階ではない場合(S55:NO)、制御部31Aは、出発階について下方向の停止予定フラグSp[f=出発階][DOWN]を「ON」に設定する(S57)。これにより、A号機が出発階で停止して、その後に乗客の行先方向と同じ下方向に走行する予定が設定される。
制御部31Aは、割当呼び信号が逆方向停止指令を含む場合(S54:YES)、割当呼び信号に含まれている出発階及び行先階に基づいて、出発階よりも行先階が上の階であるかどうかを判定する(S58)。
出発階よりも行先階が上の階である場合(S58:YES)、出発階について下方向の停止予定フラグSp[f=出発階][DOWN]を「ON」に設定する(S59)。これにより、A号機が出発階で停止して、その後に乗客の行先方向とは逆の下方向に向かって走行する予定が設定される。
出発階よりも行先階が上の階ではない場合(S58:NO)、制御部31Aは、出発階について上方向の停止予定フラグSp[f=出発階][UP]を「ON」に設定する(S60)。これにより、A号機が出発階で停止して、その後に乗客の行先方向とは逆の上方向に走行する予定が設定される。
ステップS56、S57、S59又はS60を実行すると、エレベータ制御装置30Aは、受信した割当呼び信号に対する設定処理を終了する。制御部31Aは、当該処理が終了すると、ステップS51に戻り、別の割当呼び信号を受信したか否かを判定する。
以上のエレベータ制御装置30における設定処理によると、制御部31は、受信した割当呼び信号が逆方向停止指令を含む場合(S54:NO)、ステップS58以降の処理により、エレベータ40を、乗客が逆方向乗車するように当該乗客の出発階に停止するように設定できる。
2-2-2.エレベータ制御装置の運転制御
以上のようにエレベータ40の停止予定階が設定された状態で、エレベータ制御装置30が速度アップ運転条件を満たすか否かを判定してエレベータ40の走行を制御する動作の一例を、図9を用いて説明する。
図9は、エレベータ制御装置30におけるエレベータ40の運転制御を例示するフローチャートである。図9のフローチャートに示す処理は、図8と同様に、任意のエレベータ制御装置30A~30Fの制御部31A~31Fにより実行され、以下ではA号機を走行させる例を説明する。
まず、制御部31Aは、A号機の出発準備が完了したか否か判定する(S71)。出発準備は、例えば、A号機が、任意の階に停止しており、次の停止予定階が決定された状態で、かごのドアを閉じること等を含む。制御部31Aは、出発準備が完了していないと判定すると(S71:NO)、ステップS71の判定を再度実行する。
制御部31Aは、出発準備が完了したと判定すると(S71:YES)、例えばA号機からかご内の現在の重量を示す情報を取得して、A号機のかご内の重量が所定範囲内であるかどうかを判定する(S72)。つまり、制御部31Aは、ステップS72において、A号機のかご内の重量が、速度アップ運転条件における乗車率条件を満たすかどうかを判定する。
かご内の重量が所定範囲内ではない場合(S72:NO)、A号機は、速度アップ運転条件を満たさない。この場合、制御部31Aは、A号機の現在階から次の停止予定階までの走行を、速度アップ運転ではない通常運転で行うように、A号機を走行させる(S73)。
かご内の重量が所定範囲内である場合(S72:YES)、A号機は、速度アップ運転条件のうちの乗車率条件を満たす。この場合、制御部31Aは、現在階と次の停止予定階との間の走行距離が、所定階床FL以上であるかどうかを判定する(S74)。つまり、制御部31Aは、ステップS74において、A号機がこれから走行する走行区間について、走行距離条件を満たすかどうかを判定する。
現在階と次の停止予定階との間の走行距離が、所定階床FL以上でない場合(S74:NO)、A号機は、速度アップ運転条件を満たさない。この場合、制御部31Aは、A号機を、次の停止予定階へと通常運転で走行させる(S73)。
現在階と次の停止予定階との間の走行距離が、所定階床FL以上である場合(S74:YES)、A号機は、速度アップ運転条件を満たす。したがって、この場合に、制御部31Aは、A号機の現在階から次の停止予定階までの走行を、速度アップ運転で行うように、A号機を走行させる(S75)。
制御部31Aは、通常運転又は速度アップ運転によりA号機を走行させて(S73又はS75)、図9のフローチャートに示す処理を終了する。制御部31Aは、その後、A号機が停止予定階等に停止すると、再び、ステップS71から当該処理を実行する。
以上のエレベータ制御装置30における運転制御によると、制御部31は、エレベータ40の出発前に実際のかご内の重量に基づいて乗車率条件を満たすか否かを判断することにより(S72)、速度アップ運転条件の充足性の判断を高精度に行うことができる。こうした判断に応じて、エレベータ制御装置30では、通常運転と速度アップ運転とのいずれでエレベータ40を運転するかが切り換えられる(S72,S74)。
3.まとめ
以上説明したように、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1は、所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間において、定格速度よりも速い速度で走行する速度アップ運転を実行可能なエレベータの群管理システム1であって、利用者が所望の行先階を示す行先階呼びを登録するための行先階登録装置20と、利用者によって行先階登録装置20で登録された行先階呼びに基づいてエレベータ40の複数台の号機のうちのいずれかに行先階呼びを割り当てる制御装置10と、を備え、制御装置10は、行先階呼びに基づいて、複数台の号機のうちの特定の号機が、利用者の出発階から行先階に向かう行先方向とは逆行する逆方向に走行する運行において利用者が乗車すると、速度アップ運転条件が満たされるか否かを予測し、予測の結果に応じて、エレベータ40において逆方向の運行を行うか否かを制御する。
これにより、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1は、利用者が逆方向乗車すると速度アップ運転条件を満たすか否かの予測結果に応じてエレベータにおいて逆方向の運行を行うか否かを制御する。これにより、本システム1は、逆方向乗車許容方式を利用して、可変速エレベータにおいて定格速度よりも速い速度でエレベータを走行させる機会(すなわち速度アップ運転を行う機会)を増加させることができる。
また、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1において、制御装置10は、速度アップ運転条件が満たされると予測した場合、逆方向の運行において特定の号機を、行先階呼びを割り当てる候補(すなわち候補号機)に分類し、候補の中から行先階呼びを割り当てる割当号機を決定してもよい。
これにより、本システム1は、利用者が逆方向乗車すると速度アップ運転条件が満たされると予測される号機がある場合、そのような号機のいずれかに、利用者が登録した行先階呼びを割り当てる。したがって、群管理システム1は、逆方向乗車許容方式を用いて、速度アップ運転の頻度の増加を図ることができる。
また、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1において、制御装置10は、速度アップ運転条件が満たされないと予測した場合、逆方向の運行を用いずに複数台の号機から行先階呼びを割り当てる割当号機を決定してもよい。
これにより、本システム1は、利用者の逆方向乗車を許容しても速度アップ運転を行うことができる号機がない行先階呼びについては、逆方向割当をせずに最適な号機に当該行先階呼びを割り当て、エレベータシステム100の群管理制御を行うことができる。
また、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1において、速度アップ運転条件は、所定の基準階における特定の号機の乗車率が所定範囲内であることと、基準階と、基準階の次に特定の号機が停止する停止予定階との間の走行距離が、閾値距離以上であることと、を含んでもよい。
これにより、本システム1は、エレベータ40の特定の号機の乗車率と、特定の号機が走行する走行距離とに基づいて、特定の号機について速度アップ運転を行うか否かを制御する。例えば、本システム1は、エレベータ40の巻上機の出力に余力があり、かつ、定格速度より速い速度で走行できる長さの距離を有する区間を走行する場合に、速度アップ運転を行うようにエレベータ40を制御できる。
また、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1において、制御装置10は、逆方向の運行における利用者の乗車を考慮しない場合において基準階における特定の号機の乗車率と、所定範囲の下限よりも小さい第1閾値とを比較して、速度アップ運転条件が満たされるか否かを予測してもよい。
これにより、本システム1は、利用者が特定の号機に乗車しない場合の特定の号機の乗車率が、乗車率条件の所定範囲の下限よりも小さい第1閾値を上回ると、利用者の乗車時には乗車率が当該下限を超える可能性があることを予測することができる。これにより、本システム1は、速度アップ運転を行える機会を確保し、その頻度を増加させることができる。
また、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1において、制御装置10は、逆方向の運行における利用者の乗車を考慮した場合において基準階における特定の号機の乗車率と、所定範囲の上限を示す第2閾値とを比較して、速度アップ運転条件が満たされるか否かを予測してもよい。
これにより、本システム1は、利用者が特定の号機に乗車した場合の乗車率が、乗車率条件の所定範囲の上限を示す第2閾値を上回らない限り、速度アップ運転条件を満たす可能性を予測することができる。これにより、本システム1は、速度アップ運転によるエレベータシステム100の運行効率を向上できる。
また、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1において、制御装置10は、複数台の号機において、基準階における乗車率が第2閾値を上回る号機を、上記の候補から除外してもよい。
これにより、本システム1は、行先階呼びを割り当てた場合の乗車率が第2閾値を上回る号機がある場合、逆方向割当において当該号機以外の号機に行先階呼びを優先的に割り当てることができる。したがって、本システム1は、すでに逆方向割当により速度アップ運転が可能と予測された号機に対して新規の行先階呼びを割り当てて速度アップ運転ができなくなる事態を抑制することができる。そのため、本システム1は、速度アップ運転の頻度の増加を図ることができる。
また、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1において、行先階登録装置20は、割当号機を利用者に報知する報知部24を有し、制御装置10が、割当号機を逆方向に運行することを決定した場合、報知部24は、割当号機が逆方向へ進むことを報知してもよい。
これにより、本システム1は、利用者が逆方向乗車する場合、利用者に割当号車が行先方向とは逆行する逆方向に走行することを報知する。これにより、利用者は、自身の乗車する号機が、行先方向とは逆行する逆方向に走行することを、乗車前にあらかじめ把握することができる。したがって、本システム1は、利用者の利便性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1は、エレベータ40における所定の号機の運転を制御するエレベータ制御装置30をさらに備え、エレベータ制御装置30は、所定の号機が速度アップ運転条件を満たすか否かに応じて、所定の号機を速度アップ運転で運転するか否かを切り換えてもよい。
これにより、本システム1は、所定の号機の運転を制御する際に、当該号機が速度アップ運転条件を満たすか否かに応じて、当該号機を速度アップ運転で運転するか否かを切り換えることができる。例えば、群管理システム1は、より確実にエレベータ40の巻上機の出力に余力があり、かつ、定格速度より速い速度で走行できる長さの距離を有する区間を走行する場合に、速度アップ運転を行うようにエレベータ40を制御できる。
本実施の形態に係るエレベータの群管理方法は、所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間において、定格速度よりも速い速度でエレベータが走行する速度アップ運転を実行可能であり、利用者が所望の行先階を示す行先階呼びを登録するための行先階登録装置20で登録された行先階呼びに基づいてエレベータ40の複数台の号機のうちのいずれかに行先階呼びを割り当てるエレベータの群管理方法であって、行先階呼びに基づいて、複数台の号機のうちの特定の号機が、利用者の出発階から行先階に向かう行先方向とは逆行する逆方向に走行する運行において利用者が乗車すると、速度アップ運転条件が満たされるか否かを予測し、予測の結果に応じて、エレベータ40において逆方向の運行を行うか否かを制御する。
このようなエレベータの群管理方法によれば、利用者が逆方向乗車すると速度アップ運転条件を満たすか否かの予測により、速度アップ運転の機会を増加させることができる。
本実施の形態に係るコンピュータプログラムは、上記のエレベータの群管理方法を演算回路に実行させることができる。
(他の実施の形態)
上記した実施の形態1では、群管理制御装置10の割当処理において、基準階は、1階(ロビー階)を例として設定されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、基準階は、ビルの最上階であってもよい。この場合、群管理制御装置10の制御部11は、図6のステップS12において式(1)における各不等号を反転させた条件を判定することで、実施の形態1のロビー階の場合と同様に割当処理を実行することができる。
上記の場合、エレベータの群管理システム1は、利用者の行先方向が、実施の形態1と同様の上方向の場合の代わりに、行先方向が下方向の場合に、利用者が逆方向乗車するようにエレベータ40を割り当てることで、速度アップ運転を行う頻度の増加を図る。又、この場合、制御部11は、上記した実施の形態1と同様の逆方向割当の判定処理において、ステップS34においてc号機が下降中の運行状態であるか否か、及びステップS35においてc号機が上昇中の運行状態において現在階が出発階よりも下の階であるか否か、を判定する。
また、本実施の形態に係るエレベータの群管理システム1において、基準階は、1階又は最上階以外の階であってもよい。又、複数の基準階が設定されてもよい。基準階は、エレベータ40のかごが走行方向を反転させる階であってもよく、例えば2階又は他の階であってもよい。具体的には、エレベータ40のかごが3階以上の階から2階に停車し、再度、3階以上の階へと上昇する場合、当該2階を基準階として考えることができる。これと同様に、ビルが地下階を備える場合であっても、制御部11は、例えば1階を基準階として、逆方向割当の判定処理を行うことができる。また、各基準階において、速度アップ運転を行える走行方向は、上下方向のうちの一方又は双方に適宜、設定可能である。
上記した実施の形態では、逆方向割当の判定処理(図7)のステップS38において、制御部11は、式(23)を満たすかどうかを判定しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御部11は、基準階から出発するときのc号機の乗車率が所定範囲の下限を下回る場合、乗車率条件を満たさないと判定してもよい。
また、上記した実施の形態では、逆方向割当の判定処理において、図7のステップS39で定めるように、制御部11は、式(24)を満たすかどうかを判定しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御部11は、基準階から出発するときのc号機の乗車率が所定範囲の上限を上回る場合、乗車率条件を満たさないと判定してもよい。
上記した実施の形態において、走行区間の走行距離は、例えば、エレベータ40のかごの現在階と、次の停止予定階との間の差の階床数で表されているが、本走行区間の走行距離はこれに限定されない。例えば、ビルによっては、1階と2階との間の階間距離が、他の階と間の階間距離よりも大きいことがある。したがって、各制御部11、31は、群管理システム1が配置されているビルの階間距離の違いを補正して、走行区間の走行距離を特定してもよい。また、走行区間の走行距離は、現在階と、次の停止予定階との間の階間距離であってもよい。この場合、各制御部11、31は、群管理システム1が配置されているビルの各階の階間距離に基づいて、走行区間の走行距離を特定することができる。各階の階間距離の違いは、各記憶部12、32に格納され得る。走行距離条件に関する所定の閾値距離も、走行区間の走行距離と同様、階間距離を考慮して定められてもよい。
上記した実施の形態において、制御部11は、速度アップ運転条件を満たすと予測される候補号機がない場合、割当依頼信号に対応する行先階呼びに割り当てる割当号機を、全ての号機から最適な号機を割当号機として選択しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、特定の号機についてすでに速度アップ運転条件を満たしていると予測され、利用者が特定の号機に乗車すると当該速度アップ運転条件を満たさなくなると予測される場合、制御部11は、当該特定の号機以外の号機に当該利用者の行先階呼びを可能な限り割り当ててもよい。これにより、すでに速度アップ運転を満たすと予測される特定の号機以外の号機に行先階呼びを優先的に割り当てることができる。そのため、制御部11は、群管理システム1を有するエレベータシステム100において、すでに速度アップ運転が可能となっている号機に対して新規の行先階呼びを割り当てて速度アップ運転ができなくなることを抑制できる。
上記した実施の形態では、新規の行先階呼びは、利用者が行先階登録装置20を操作することで登録されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、利用者は、携帯電話、スマートフォン、又はタブレットなどの情報端末を操作して行先階呼びを登録してもよい。この場合、群管理制御装置10は、割当号機信号を情報端末に送信する。情報端末は、受信した割当号機信号に基づいて、行先階及び割当号機を情報端末のディスプレイに表示できる。また、割当号機信号が逆方向乗車情報を含む場合、情報端末は、割当号機の走行方向をディスプレイに表示できる。
上記した実施の形態では、報知部24は、表示部である例を説明したが、報知部24はこれに限定されない。報知部24は、表示部に代えて又は加えて、スピーカなどの音声出力部を有してもよい。これにより、報知部24は、視覚的な手段だけでなく、聴覚的な手段によって利用者に行先階、割当号機及び走行方向に報知できる。
本発明に係るエレベータの群管理システム、群管理方法及びコンピュータプログラムは、ハードウェア資源、例えば、プロセッサ、メモリ、と、ソフトウェア(コンピュータプログラム)との協働などによって実現される。
1 群管理システム
10 群管理制御装置
11 制御部
20 行先階登録装置
24 報知部
30、30A~30F エレベータ制御装置
40、40A~40F エレベータ(割当号機)
100 エレベータシステム

Claims (7)

  1. 所定の速度アップ運転条件を満たす走行区間において、定格速度よりも速い速度で走行する速度アップ運転を実行可能なエレベータの群管理システムであって、
    利用者が所望の行先階を示す行先階呼びを登録するための行先階登録装置と、
    前記利用者によって前記行先階登録装置で登録された前記行先階呼びに基づいて前記エレベータの複数台の号機のうちのいずれかに前記行先階呼びを割り当てる制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記行先階呼びに基づいて、前記複数台の号機のうちの特定の号機が、前記利用者の出発階から前記行先階に向かう行先方向とは逆行する逆方向に走行する運行において前記利用者が乗車すると、前記逆方向の運行後に基準階から前記行先階に向かって走行する運行において前記速度アップ運転条件が満たされるか否かを予測し、
    前記基準階は、前記速度アップ運転条件を判定する基準とする階として予め設定され、
    前記制御装置は、
    前記速度アップ運転条件が満たされると予測した場合、前記逆方向の運行を用いて前記行先階呼びを割り当てる割当号機を決定し、
    前記速度アップ運転条件が満たされないと予測した場合、前記逆方向の運行を用いずに前記複数台の号機から前記割当号機を決定し、
    前記速度アップ運転条件は、
    前記基準階における前記特定の号機の乗車率が所定範囲内であることと、
    前記基準階と、前記基準階の次に前記特定の号機が停止する停止予定階との間の走行距離が、閾値距離以上であることと、
    を含む、エレベータの群管理システム。
  2. 前記制御装置は、
    前記速度アップ運転条件が満たされると予測した場合、前記逆方向の運行において前記特定の号機を、前記行先階呼びを割り当てる候補に分類し、
    前記候補の中から前記割当号機を決定する、
    請求項1に記載のエレベータの群管理システム。
  3. 前記制御装置は、前記基準階における前記特定の号機の乗車率と、前記所定範囲の下限よりも小さい第1閾値とを比較して、前記速度アップ運転条件が満たされるか否かを予測する、
    請求項に記載のエレベータの群管理システム。
  4. 前記制御装置は、前記逆方向の運行における前記利用者の乗車を考慮した場合において前記基準階における前記特定の号機の乗車率と、前記所定範囲の上限を示す第2閾値とを比較して、前記速度アップ運転条件が満たされるか否かを予測する、請求項又は請求項に記載のエレベータの群管理システム。
  5. 前記制御装置は、前記逆方向の運行における前記利用者の乗車を考慮した場合において前記基準階における前記特定の号機の乗車率が前記第2閾値を上回るとき、当該特定の号機を、前記候補から除外する、請求項に記載のエレベータの群管理システム。
  6. 前記行先階登録装置は、前記割当号機を前記利用者に報知する報知部を有し、
    前記制御装置が、前記割当号機を前記逆方向に運行することを決定した場合、前記報知部は、前記割当号機が前記逆方向へ進むことを報知する、請求項から請求項のいずれか一項に記載のエレベータの群管理システム。
  7. 前記群管理システムは、前記エレベータにおける所定の号機の運転を制御するエレベータ制御装置をさらに備え、
    前記エレベータ制御装置は、前記所定の号機が前記速度アップ運転条件を満たすか否かに応じて、前記所定の号機を前記速度アップ運転で運転するか否かを切り換える、
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載のエレベータの群管理システム。
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