JP2015117114A - エレベータの群管理制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】各かごの各階・各方向の到着予測時間を一切計算せずに、交通パターンを識別して、各交通パターンにおける必要十分な制御を行うことを、同一のコンピュータで処理することができる安価なエレベータの群管理制御システムを提供する。
【解決手段】エレベータの群管理制御システムであって、かご台数を2で割った整数値nのセクタに建物のサービス階床を分割するセクタ分割手段と、最下セクタから最上セクタへ順に1からn、続いて最上セクタから最下セクタへ順に(n+1)から2nの番号を有する誘導エリアを設定し、前記かご台数が奇数の場合は誘導エリア1〜2nの対象から基準階を除いて、更に基準階を対象とする誘導エリア0を設定する誘導エリア設定手段と、誘導エリアにかごを1台ずつ割り当てる誘導エリア割当手段17と、呼びが発生した場合に誘導エリアを割り当てられた何れかのかごに前記呼びを割り当てる呼び割当手段18を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレベータの群管理制御システムに係り、特に、かごを効率よく誘導する等間隔制御を備えたエレベータの群管理制御システムに関する。
従来、エレベータ群管理制御システムはリレーシーケンスで実現され、時間帯毎に想定される交通パターンに適した制御が行われていた。
その後、時間帯で制御するのではなく、交通パターンをパターン認識の技術を用いて識別するものが出現した。ただし、リレーシーケンスはパターン認識には適さないので、交通パターン認識装置が別に設置され、該装置で識別された交通パターンに応じてリレーシーケンスで群管理制御するようになった。
そして、エレベータの群管理制御をコンピュータで行うようになると、ビル内の交通需要の変化に応じて、交通パターンと交通量に応じた柔軟な制御を行い、輸送効率を向上させるものが出現し、平均待ち時間を最小にするなど評価関数を最小にするように呼びを各かごに割り当てる呼び割り当て方式が一般的になった。
例えば、交通状態や交通量に応じた柔軟な制御を行い、輸送効率を向上させることを目的として、交通パターンとエレベータの制御手段とを関連付ける群管理ルール群の中から識別された交通パターンに基づき最適なルールを選択する最適ルール選択手段と、その最適ルール選択手段により選択されたルールに指定されている制御手順に従って新規ホール呼びに対する割当号機を決定する割当号機決定手段を有し、さらには日々のエレベータ制御結果を解析,学習することにより、群管理ルール群を自動的に修正し、また群管理ルールの生成・削除を行う修正手段を備えたエレベータ群管理制御装置が提供されている。(特許文献1を参照)
このようなコンピュータによる群管理制御では、交通パターン認識装置を別に設置して交通パターンの識別を行う必要は無くなった。
ところで、エレベータの乗客のAWT平均待ち時間は、運転間隔が均等な時に最小になる。平均一周時間をRTT、かごの台数をc、運転間隔の確率分布をアーラン分布とした時に、平均運転間隔AIは、平均一周時間RTTから、RTT/cで求まる。積み残しが無視できる場合、乗客の平均待ち時間AWTはAI(1+1/k)/2となる。kは、運転間隔の確率分布をアーラン分布で表現した場合の位相であり、kは等間隔の時に∞、等間隔制御を行わずに運転間隔がランダムになるとk≦1となる。従って、乗客の平均待ち時間AWTは、等間隔の時に最小(AI/2)となる。
また、2台の場合は、2つの運転間隔T1とT2があるが、単位時間当たりに到着する人数をλとすると、T1内に到着した乗客(平均到着人数λT1)の平均待ち時間はT1/2であり、T2内に到着した乗客(平均到着人数λT2)の平均待ち時間はT2/2であり、平均待ち時間は、(λT1 2/2+λT2 2/2)/λ(T1+T2)=(T1 2+T2 2) /2(T1+T2)となる。T1 2+T2 2≧2T12であり、等号が成り立つのは、T1=T2の時であるから、等間隔、即ちT1=T2の時に平均待ち時間が最小になる。
エレベータの乗客の平均待ち時間は運転間隔が均等な時に最小になるため、従来、かご呼びの割り当てについては、呼びを各かごに仮割り当てした場合の各かごの各階・各方向の到着予想時間を計算して、予測される平均待ち時間が短く、運転間隔が等間隔になるように制御してきた。
例えば、各エレベータかごの間隔(時間的間隔)を長期にかつ安定して等間隔状態に保つことを可能とすることを目的として、ビルの複数階床を運行する複数のエレベータかごを制御するエレベータの群管理システムにおいて、現時点から将来方向の基準時間までを調整エリアとし、各エレベータかごを調整エリアで将来的に目指すべき状態となるように誘導するエレベータの群管理システムが提供されている。(特許文献2を参照)
特開平6−107381号公報 特開2008−50171号公報
しかし、将来の呼びの発生について、その発生階、行先方向、時刻を正確に予測することは不可能であるので、エレベータの運転も予測できず、よって将来のエレベータの運転間隔も正確に予測することは困難である。
もしエレベータのかごの減速点の手前で呼びが発生した場合、その呼びに該かごは応答するが、減速点を通過した後に呼びが発生した場合は、その呼びに該かごは応答できない。つまり、エレベータの運転内容は、かごの呼びの発生時が減速点通過時の前かどうかで大きく変化するので、正確に等間隔制御しようとしても現実的には困難である。
正確な等間隔制御は現実的に困難であるにもかからわらず、将来の呼びの発生についてあえて発生階、行先方向、時刻を少しでも精度良く予測して制御しようとすると、膨大な量の計算をDSP(Digital Signal Processor)などを活用して実施しなければならず、高機能で高価なコンピュータシステムが必要になるという問題がある。
そこで、本発明の目的は、各かごの各階・各方向の到着予測時間を一切計算せずに、交通パターンを識別して、各交通パターンにおける必要十分な制御を行うことを、同一のコンピュータで処理することができる安価なエレベータの群管理制御システムを提供することにある。
上記の課題を解決するために請求項1記載の発明は、エレベータの群管理制御システムであって、群管理下のエレベータのかご台数を2で割った整数値nのセクタに建物のサービス階床を分割するセクタ分割手段と、前記セクタ分割手段によって分割されたセクタについて、最下セクタから最上セクタへ順に1からn、続いて最上セクタから最下セクタへ順に(n+1)から2nの番号を有する誘導エリアを設定し、前記かご台数が奇数の場合は誘導エリア1〜2nの対象から基準階を除いて、更に基準階を対象とする誘導エリア0を設定する誘導エリア設定手段と、前記誘導エリア設定手段によって前記かご台数と同数が設定された誘導エリアにかごを1台ずつ割り当てる誘導エリア割当手段と、呼びが発生した場合に前記誘導エリア割当手段によって誘導エリアを割り当てられた何れかのかごに前記呼びを割り当てる呼び割当手段を備え、各誘導エリアにかごを1台ずつ割り当てて各かごの運転間隔が等間隔になるように制御することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記誘導エリア割当手段は、前記かご台数が奇数の場合は先ず基準階にかごがいる時は該かごに、いない時は運転方向が下降方向の最下のかごに誘導エリア0を割り当てた後、前記かご台数が偶数の場合も含めて、まだ誘導エリアが割り当てられていないかごについて、運転方向が上昇方向または方向無しのかごがn台以上の場合は、運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを1から2nまで昇順に割り当て、運転方向が上昇方向または方向無しのかごがn台未満の場合は、運転方向が上昇方向または方向無しの上方の階のかごから下へ順に、続いて運転方向が下降方向の下方の階のかごから上へ順に誘導エリアをnから1まで降順に割り当て、次に運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを(n+1)から2nまで昇順に割り当てることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記呼び割当手段は、上昇呼びについては、該呼びの発生階が属する0〜nの範囲内の誘導エリアを割り当てられたかごの先行階以上を発生階とする呼びは該かごに割り当て、該先行階より下を発生階とする呼びは該かごの一つ前の誘導エリア(ただし、前記かご台数が偶数で該発生階が属する誘導エリアが誘導エリア1だった場合は誘導エリア2n、前記かご台数が奇数で該発生階が属する誘導エリアが誘導エリア0だった場合は誘導エリア2n)を割り当てられたかごに割り当て、下降呼びについては、該呼びの発生階が属する(n+1)〜2nの範囲内の誘導エリアを割り当てられたかごの先行階以下を発生階とする呼びは該かごに割り当て、該先行階より上を発生階とする呼びは該かごの一つ前の誘導エリアを割り当てられたかごに割り当てることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、複数のかごが存在する誘導エリアxを探索する第1の探索手段と、かごが存在しない誘導エリアyを探索する第2の探索手段と、かごが存在しない誘導エリアの数mを算出する算出手段と、複数のかごが存在する誘導エリアが発生した場合に各かごに割り当てられていた誘導エリアをリセットするリセット手段と、xが0の場合は、基準階に存在する号機番号の小さいかごから順に誘導エリアを0から昇順に割り当て、
次に残っている誘導エリアを運転方向が上昇方向または方向無しの基準階を除く下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを2nまで昇順に割り当て、xが1以上n以下かつxより小のyが存在しない場合は、前記かご台数が偶数の場合は1、奇数の場合は0から、運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを2nまで昇順に割り当て、xが1以上n以下かつxより小のyが存在する場合、またはxがnより大の場合は、前記かご台数が奇数の場合は先ず基準階にかごがいる時は該かごに、いない時は運転方向が下降方向の最下のかごに誘導エリア0を割り当てた後、前記かご台数が偶数の場合も含めてまだ誘導エリアを割り当てられていない運転方向が下降方向の下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が上昇方向または方向無しの上方の階のかごから下へ順に誘導エリアをmから1まで降順に割り当て、次にまだ誘導エリアを割り当てられていない運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを(m+1)から2nまで昇順に割り当てる誘導エリア再割当手段を更に備え、複数のかごが存在する誘導エリアが発生した場合に各誘導エリアの割り当て台数が1台になるように誘導エリアの割り当てを見直すことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、最尤法を用いて各方向の集中率を算出する各方向集中率算出手段と、基準階を除くサービス階床数、基準階以外で発生する乗り場呼びの数のサンプル値の平均、及びかご呼びの数のサンプル値の平均を基に基準階で乗車または降車する割合を算出する基準階乗降率算出手段と、前記各方向集中率算出手段及び基準階乗降率算出手段によって算出された値に基いて交通パターンを識別する交通パターン識別手段を更に備えたことを特徴とする。
本願発明によれば、第1に、ビル内の交通需要が変化しても、交通パターンの特徴を活用して、エレベータの平均一周時間RTTを短くすることにより、エレベータの輸送効率を向上させることができるという効果がある。
第2に、交通パターンを識別して各交通パターンにおける必要十分な制御を行うことを、同一のコンピュータで処理するので、エレベータの群管理制御装置を安価に実現できるという効果がある。
群管理制御装置の内部構成を示すブロック図である。 各エレベータの号機制御装置の内部構成を示すブロック図である。 開始時の誘導エリアの割り当て処理を示したフローチャートである。 かごが複数の誘導エリアが発生した時の誘導エリアの再割り当て処理を示したフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳しく説明する。
図1は、群管理制御装置の内部構成を示すブロック図である。群管理制御装置は、交通パターンを識別する交通パターン識別部10、行先方向を入力する行先方向入力部11、群管理制御装置が故障などで休止しているかどうかを検出する運転休止検出部12、号機制御装置との通信を行う通信部13、各種の入力信号を元に制御を行う制御部14、行先階呼びなどの情報が記憶されている記憶部15、時間を計時する計時部16、誘導エリアの割り当てを行う誘導エリア割当部17、呼びの割り当てを行う呼び割当部18、エレベータホールなどに設けられて情報を表示する情報出力部19などから構成されている。
図2は、各エレベータの号機制御装置の内部構成を示すブロック図である。号機制御装置は、かごの位置を検出するかご位置検出部21、かごの移動方向である行先方向を検出するかご方向検出部22、かごの移動速度を検出するかご速度検出部23、号機制御装置が故障などで休止しているかどうかを検出する運転休止検出部24、かごが応答する呼びがなくなり乗り捨てられた状態を検出する空かご検出部25、群管理制御装置との通信を行う通信部26、各種の入力信号を元に制御を行う制御部27、行先階呼びなどの情報が記憶されている記憶部28、時間を計時する計時部29、エレベータの駆動源であるモータを駆動する駆動部30、ブレーキを働かせることによってモータの回転を制動する制動部31、行先階を入力する行先階入力部32、かご内などに設けられて情報を表示する情報出力部33などから構成されている。
行先方向入力部11は、行先方向入力手段であって、各階床に設けられ、具体的には、かごが停止する階の2台のエレベータの出入り口の間などに設置される。行先方向入力部11は、例えばタッチパネルによって構成され、液晶ディスプレイなどの表示画面に情報を表示することができる表示部と、表示画面に表示された操作ボタンを利用者が触ることによって、触られた操作ボタンに対応する入力情報を入力することができる入力部とを有する。
行先階入力部32は、行先階入力手段であって、かご内に設けられ、例えばタッチパネルによって構成され、液晶ディスプレイなどの表示画面に情報を表示することができる表示部と、表示画面に表示された操作ボタンを利用者が触ることによって、触られた操作ボタンに対応する入力情報を入力することができる入力部とを有する。行先階入力部32の入力部、つまりタッチパネルに表示される操作ボタンは、少なくとも行先階を選択するための行先階選択ボタンを含み、好ましくは、扉が開いている時間を延長するための開延長ボタン、各種設定をする設定画面を選択する画面を表示させるためのメニュー表示ボタン、及びメニューの中の項目を選択するためのメニュー選択ボタンを含む。
記憶部15及び28は、記憶手段であって、例えば半導体メモリあるいは磁気ディスク装置などの記憶装置によって構成される。
記憶部15は、行先方向入力部11によって入力された行先方向を、入力された方向及び入力された時刻と関連付けて記憶したり、出発階、未応答や応答中などの応答状態、乗車や降車などの乗降状態などに関する情報を記憶する。
また、記憶部15または28に記憶される情報には、制御部14または27によって実行されるプログラム、保守のために用いられる保守情報、建物を複数のセクタに分割するためのセクタ分割情報、及び誘導エリアの設定や割り当てに関する情報なども含む。計時部16または29は、時間を計時して、制御部14または27からの指令に基づいて、現在時間に基づく情報を制御部14または27に出力する。
情報出力部19に表示される表示情報は、例えば、かごの状況に関する情報であり、かごの到着の予告を示す到着予告情報、開いている扉が閉じるまでの時間を表す戸開待機時間情報、移動中のかごが現在位置している階を示す現在階情報、行先の停止予定階を示す行先階情報、かごが停止している階を示す停止階情報、扉が複数ある場合その複数の扉の内、どの扉が開いているかを示す戸開方向情報、故障に関する故障情報、及び保守のために用いられる保守情報などを含む。
情報出力部33は、例えば各種の情報を表示する案内表示手段によって実現される。案内表示手段が出力する情報として、移動中のかごが現在位置している階を示す現在階情報、行先の停止予定階を示す行先階情報、故障に関する故障情報、及び保守のために用いられる保守情報を含む。
次に、交通パターン識別部10における交通パターンの識別について、説明する。
交通パターンの識別において制御に活かすために重要なのは、乗合運転の要否を判断するための集中率、一方向交通・二方向交通、基準階での乗降割合などを明確にして、到着予想時間を計算せずに等間隔制御を可能にする交通パターンを識別することである。
本実施例では、ICRA法を用いた基準階乗降率の推定と最尤推定法を用いた各方向の乗客の集中率の推定を採用することによって,交通パターンの識別をPLC(Programmable Logic Controller)でもできるようにしている。なお、誘導等間隔制御方式によって,呼びの発生がランダムな平常時・混雑時の等間隔制御もPLCで実現する。
<乗合運転の必然性>
ところで、エレベータが乗客一人ずつ個別に輸送すると、一人を輸送するために、かごが現在いる階から乗客の乗車階までの運転と乗車階から降車階までの運転の合わせて2回の運転(2回の戸開閉を含む)が必要になり、乗客一人当たり少なくとも20秒のサービス時間が必要になる。従って、乗合運転しない場合は、単位時間当たりに輸送できる人数μは1/20人未満になる。
一方、平常時には、上昇方向及び下降方向共に集中率3%の交通量があるとされている。なお、集中率は、5分間に到着する乗客数の居住人口に占める割合(百分率)である。
通常は、概ね、居住人口250人当たり1台のエレベータが設置されるので、平常時に各方向の単位時間当たりに到着する人数λ/2は1/40人となり、両方向合わせると、単位時間当たりに到着する人数λは1/20人となる。平衡条件はλ<μであり、平衡条件を満たさないと乗り場の待ち客数は時間と共に増加して、待ち客が乗り場に溢れることになる。
そのために、平常時以上の交通量の時は、乗合運転をして一人当たりのサービス時間を短くして、μ>λを満たさざるを得なくなる。因みに、建物の階床数は固定なので、乗客数が多くなるほどμが大きくなる。なお、rを一方向の平均乗車人数とすると、μ=2r/RTTである。RTTは、rの増加に伴って停止回数が増加するために増加するが、停止回数はサービス階床数を超えることはないので、rが一定数を超えると平均一周時間RTTの増加は抑制され飽和する。
従って、かごの定員を大きくすることで平衡条件を満たすことができる。この時、待ち客数が増加すると乗客数が増加してμが増加して待ち客数が減少する。待ち客数が減少するとμが減少して待ち客数が増加する。このようにして一定の乗客数の乗合運転で平衡状態になって安定することになる。
乗客がポワソン到着する時、ある時間間隔の平均到着人数がr人の時にその時間間隔にi人が到着する確率は、ri/i!×e-rである。従って、乗客がポワソン到着する時、平均乗客数がr人の時にi人が乗車する確率は、ri/i!×e-rである。
基準階で乗車する乗客の割合をαとすると、基準階以外で乗車する乗客数は(1−α)rとなる。着目している階に乗り場呼びが発生しない確率は、全員が着目している階以外で乗車する確率と等しく、乗客の乗車確率はどの階も等しく1/N(Nは基準階を除くサービス階数)とすると、任意の乗客が着目している階で乗車する確率は1/Nであり、乗車しない確率は、1−1/Nである。
乗客数がi人の時に誰も着目している階で乗車しない確率は(1−1/N)iである。
従って、平均乗車人数がrで、乗客数がiの時に、基準階以外の着目している階で乗り場呼びが発生しない確率は、次の数式となる。
Figure 2015117114
ここで、次の数式が成り立つ。
Figure 2015117114
そして、基準階以外から乗車する平均乗客数は(1−α)rなので、乗り場呼びが発生しない確率はe-(1-α)r/Nとなり、乗り場呼びの数の期待値はN(1−e-(1-α)r/N)となる。
また、かご呼びは、基準階で乗車する乗客αr人と基準階以外で乗車する乗客(1−α)r人の合計r人によって発生するから、かご呼びの数の期待値はN(1−e-r/N)となる。
<ICRA法による基準階乗降率の推定>
ICRA法は、一方向の運転中の乗り場呼びの数の平均とかご呼びの数の平均から、平均乗車人数rと基準階で乗車する乗客の割合αを推定する方法である。
先ず、運転方向が上昇方向について説明する。平均乗車人数をr、基準階で乗車する割合をα、基準階を除くサービス階床数をNとすると、基準階以外で発生する乗り場呼びの数NHの期待値ENHは、ENH=N(1−e-(1-α)r/N)であり、かご呼びの数NCの期待値ENCは、ENC=N(1−e-r/N)である。従って、ENH/N=1−e-(1-α)r/N、ENC/N=1−e-r/Nとなる。NHのサンプル値の平均をMHC、NCのサンプル値平均をMCCとすると、αとrについて、1−MHC/N=e-(1-α)r/Nと1−MCC/N=e-r/Nの連立方程式が成り立つ。
これらの式の両辺の自然対数をとることで、r/N=−ln(1−MCC/N)、(1−α)r/N=−ln(1−MHC/N)の連立方程式が成り立つ。ただし、lnは、自然対数を表わす。これを解くと、αについては、以下のように求まる。
(1−α)=ln(1−MHC/N)/ln(1−MCC/N)となる。従って、α=1−ln(1−MHC/N)/ln(1−MCC/N)である。また、r=−Nln(1−MCC/N)である。
次に、運転方向が下降方向について説明する。平均乗車人数をr、基準階で降車する割合をα、基準階を除くサービス階床数をNとすると、基準階以外のかご呼びの数NCの期待値ENCは、ENC=N(1−e-(1-α)r/N)であり、乗り場呼びの数NHの期待値ENHは、ENH=N(1−e-r/N)である。
従って、ENC/N=1−e-(1-α)r/N、ENH/N=1−e-r/Nとなる。NHのサンプル値の平均をMHC、NCのサンプル値平均をMCCとすると、αとrについて、1−MCC/N=e-(1-α)r/N、(1−MHC/N)=e-r/Nの連立方程式が成り立つ。
これらの式の両辺の対数をとることで、r/N=−ln(1−MHC/N)、(1−α)r/N=−ln(1−MCC/N)の連立方程式が成り立つ。これを解くと、αについては、以下のように求まる。
(1−α)=ln(1−MCC/N)/ln(1−MHC/N)となる。従って、α=1−ln(1−MCC/N)/ln(1−MHC/N)である。
また、r=−Nln(1−MHC/N)である。
ところで、このICRA法でも平均乗車人数の推定値から集中率を求めることもできるが、ICRA法は乗り合いを前提としているので、乗り合いが必要でない閑散時を識別する目的では使用できない。
そこで、各方向集中率は、最尤推定法を用いて算出し、乗り合いが前提となる基準階で乗車または降車する割合である基準階乗降率αはICRA法で算出する。
<最尤法による各方向集中率の推定>
次に、最尤法による各方向集中率の推定について、説明する。乗客の到着がポワソン分布の場合に平均乗客到着率がλの時、時間tの間にi人が到着する確率は、(λt)i/i!×e-λtである。従って、i=0である確率f(t,λ)は、e-λtである。
乗客が一人も到着しない時間間隔t1、2、・・・、tcが観察された時、尤度関数L(t,λ)を、L(t,λ)=f(t1,λ)×f(t2,λ)×f(t3,λ)×・・・×f(tc,λ)とする。この量は標本値が1点の近傍の値をとる確率に比例するから、λの真の値はLに大きな値を与えると考えられる。そこで、Lを最大にするλをλの推定量とみなすことができる。そのようなλは次の最尤方程式を満たす。
Figure 2015117114
ここで、logL(t,λ)=−λ(t1+t2+・・・+tc)であり、(t1+t2+・・・+tc)>0であるから、最尤方程式を満たすためには、(t1+t2+・・・+tc)=c/λ、即ち、λ(t1+t2+・・・+tc)=cが成り立っていなければならない。つまり、λの最尤推定値は、λ=c/(t1+t2+・・・+tc)である。
集中率は5分間に到着する乗客の居住人口に対する百分率であり、通常は居住人口250人当たりのエレベータ設置台数が1台であるから、集中率はλ×30000/(250×設置台数)で算出することができる。乗客が一人も到着しない時間間隔は、呼びが全て無くなった時点から、最初に呼びが登録されるまでの時間間隔として観察・測定できる。
<交通パターンの識別>
各方向の集中率、及び基準階での乗降率の値に基いて、交通パターン識別部10において、閑散時、平常時・混雑時、出勤時、退勤時の何れかの交通パターンに識別する。例えば、次のように交通パターンを識別する。
第1に、運転方向が上昇方向の集中率、運転方向が下降方向の集中率が共に3%未満の場合に、閑散時と判定する。
第2に、運転方向が上昇方向の集中率≒運転方向が下降方向の集中率で共に3%以上6%以下、かつ、 基準階での乗降率α<0.8の場合に、平常時・混雑時と判定する。
第3に、運転方向が上昇方向の集中率>運転方向が下降方向の集中率、かつ、基準階での乗降率α≧0.8の場合に、出勤時(アップピーク時)と判定する。
第4に、運転方向が下降方向の集中率>運転方向が上昇方向の集中率、かつ、基準階での乗降率α≧0.8の場合に、退勤時(ダウンピーク時)と判定する。
<交通パターン別の制御方法>
第1に、閑散時について説明する。閑散時は、集中率が低いので、乗り合いしなくても、また呼びが無い間は待機していても平衡条件を満たせる。従って、先ず台数分のゾーンに分割した後、かごをゾーンの中央の階に分散して待機させる。次に、乗り合いの必要がないので、かごが呼びに応答した後は元の待機階に戻って待機し、そして呼びが発生すると、最も近い待機階で待機しているかごに呼びを割り当てる。
第2に、平常時・混雑時について説明する。平常時・混雑時は2方向に同量で乗り合いが必要な交通があり、基準階以外で待つ乗客の割合も半分以上ある。そのため、全てのサービス階で運転間隔が等間隔である必要がある。そこで、かご台数を2で割った整数値nのセクタに建物のサービス階床を分割し、運転方向が上昇または下降の方向を考慮したものを誘導エリアを設定する。
例えば、かごが2、3台の場合はセクタ数がセクタ1(S1)のみの1で、誘導エリア数がセクタ1の運転方向が上昇方向(S1U)とセクタ1の運転方向が下降方向(S1D)の2となり、各誘導エリアを1台のかごが分担する。ただし、3台の場合は1台が基準階を対象とする誘導エリアを分担する。各誘導エリアを分担するかごが1台なので、かごが偏在することがなく等間隔になる。そして、等間隔になると平均待ち人数が最小になるので、平均乗客数rが最小になり、結果としてRTTが最小になる。
第3に、出勤時(アップピーク)について説明する。基準階から上昇する乗客が多数を占める。従って、RTTを短くして、基準階から上昇する乗客の待ち時間を短縮するために、空かごは基準階に呼び戻す。
第4に、退勤時(ダウンピーク)について説明する。基準階へ下降する乗客が多数を占める。従って、RTTを短くして、基準階へ下降する乗客の平均待ち時間を短縮するために、空かごは上方階に呼び戻す。
エレベータ群管理システムの乗客の平均待ち時間AWTは、セレクティブコレクティブで運転方向と同一方向の乗客が乗合運転をする場合、AWT=AI(1+1/k)/2+(p−1)AIである。なお、AIは平均運転間隔、kは運転間隔の確率分布をアーラン分布で表現した場合の位相、pは乗客が平均何台目に到着するかごに乗車するかを示している。
平均運転間隔AIは、平均一周時間RTTから、AI=(RTT/台数)で求まる。kは、運転間隔が一定間隔(等間隔)の時にk=∞となり、指数分布の時にk=1となり、運転間隔が変動して一様分布に近づくとk<1となる。pは、通過されたり積み残されたりすることなく、必ず1台目のかごに乗車できる場合にp=1となる。
従って、乗り合いが必要な交通量において平均待ち時間を短くするためには、RTTを短くする、運転間隔を等間隔にする、通過や積み残しをしないことを念頭において制御を行う必要がある。
閑散時以外は、乗客の平均待ち時間はかごの運転間隔が等間隔の時に最小となるが,各階でのかごの到着予想時刻を計算する従来方式では、呼びを仮割り当てする組み合わせの数が多いために計算量が膨大となるために呼び割り当て制御にも高機能のコンピュータが必要であった。しかし、本実施例では、誘導等間隔制御方式を導入することにより、PLCを用いて安価に等間隔制御を実現することが可能である。
<平常時・混雑時の制御>
平常時・混雑時の制御について、さらに詳しく説明する。平常時・混雑時の制御は、セクタ分割、誘導エリアの設定、誘導エリアの割り当て、呼びの割り当ての順で行われ、各セクタに運転方向が上昇方向のかごと運転方向が下降方向のかごが1台ずついるように割り当てを制御して、運転間隔を等間隔に近づけて平均待ち時間を短縮する。
運転間隔が長い、即ち平均待ち時間が長いと、エレベータホールには多くの乗客が到着する。一方、運転間隔が短い、即ち平均待ち時間が短いと、到着する乗客は少ない。そのため、トータルの乗客の平均待ち時間は、運転間隔が等間隔になった時に最小になる。また、呼びの割り当て方を工夫するだけで運転間隔を維持することによって、出発管制の導入などによってRTTを悪化させてしまうこともなく、従って、平均運転間隔を維持したままでkを大きくすることによって、平均待ち時間を短縮することが可能である。
<セクタ分割>
先ず、セクタ分割について説明する。
群管理下のエレベータのかご台数を2で割った整数値nのセクタに建物のサービス階床を分割する。つまり、かご台数が偶数の場合はかご台数/2、かご台数が奇数の場合は(かご台数−1)/2のセクタに建物のサービス階床を分割する。ここでセクタ番号は、セクタ数がnの場合、最下セクタから最上セクタまで順に1〜nとなる。
例えば、群管理制御下のエレベータ台数が4台の場合は、セクタ数が2となる。6階建ての建物であった場合は、1階から3階までがセクタ1(S1)、4階から6階までがセクタ2(S2)などと分割され、そのセクタ分割情報は、記憶部15または28に記憶される。
次に、エレベータ台数が7台の場合は、セクタ数が3となる。10階建ての建物であった場合は、1階から4階までがセクタ1(S1)、5階から7階までがセクタ2(S2)、8階から10階までがセクタ3(S3)などと分割され、このセクタ分割情報は、記憶部15または28に記憶される。
<誘導エリアの設定>
セクタ分割によって分割されたセクタについて、最下セクタから最上セクタへ順に1からn、続いて最上セクタから最下セクタへ順に(n+1)から2nの番号を有する誘導エリアを設定する。この誘導エリアの設定情報は、記憶部15または28に記憶される。ただし、かご台数が奇数の場合は誘導エリア1〜2nの対象から基準階を除いて、更に基準階を対象とする誘導エリア0を設定する。
例えば、群管理制御下のエレベータ台数が4台、即ちセクタ数が2で6階建ての建物の1階から3階までがセクタ1、4階から6階までがセクタ2と分割された場合、先ず下から上へ順に、セクタ1に誘導エリア1,セクタ2に誘導エリア2を設定し、次に、上から下へ順に、セクタ2に誘導エリア3,セクタ1に誘導エリア4を設定する。その誘導エリアの設定情報は、記憶部15または28に記憶される。
次に、群管理制御下のエレベータ台数が7台、即ちセクタ数が3で10階建ての建物の1階から4階までがセクタ1、5階から7階までがセクタ2、8階から10階までがセクタ3と分割された場合、先ず下から上へ順に、セクタ1に誘導エリア1,セクタ2に誘導エリア2,セクタ3に誘導エリア3を設定し、次に、上から下へ順に、セクタ3に誘導エリア4,セクタ2に誘導エリア5,セクタ1に誘導エリア6を設定する。
ただし、セクタ1の最下階である1階が基準階である場合は、運転方向が上昇方向の誘導エリア1、運転方向が下降方向の誘導エリア6の対象から1階を除き、基準階である1階を対象として誘導エリア0を設定する。
<誘導エリアの割り当て>
誘導エリア割当部17は、群管理下のエレベータのかご台数と同数が設定された誘導エリア毎に、かごを1台ずつ割り当てる。各セクタには、2台のかご、言い換えると運転方向が上昇方向と、運転方向が下降方向を担当する各1台のかごが割り当てられ。そのため、等間隔制御が実現されている定常状態では、平常時・混雑時は運転方向が上昇方向の交通量と運転方向が下降方向の交通量が同量あるため、かご台数が奇数時の基準階のかごを除くと、各セクタ内には運転方向が上昇方向のかごと運転方向が下降方向のかごが1台ずついることになり、運転方向が上昇方向のかご台数と運転方向が下降方向のかご台数が等しくなる。
セクタ内に運転方向が上昇方向のかごと運転方向が下降方向のかごが1台ずついるように呼び割り当てを利用して誘導することを実現するため、誘導エリア番号と誘導先行階と誘導方向を導入する。
先ず、誘導エリア番号について、セクタ数に応じて具体的に説明する。なお、S1Uはセクタ1の運転方向が上昇方向、S1Dはセクタ1の運転方向が下降方向を意味しており、以下同様である。
セクタ数が1の時、S1Uは誘導エリア1、S1Dは誘導エリア2となる。
セクタ数が2の時、S1Uは誘導エリア1、S2Uは誘導エリア2、S2Dは誘導エリア3、S1Dは誘導エリア4となる。
セクタ数が3の時、S1Uは誘導エリア1、S2Uは誘導エリア2、S3Uは誘導エリア3、S3Dは誘導エリア4、S2Dは誘導エリア5、S1Dは誘導エリア6となる。
セクタ数が4の時、S1Uは誘導エリア1、S2Uは誘導エリア2、S3Uは誘導エリア3、S4Uは誘導エリア4、S4Dは誘導エリア5、S3Dは誘導エリア6、S2Dは誘導エリア7、S1Dは誘導エリア8となる。
ただし、一般に、セクタ数がnの時、運転方向が上昇方向の誘導エリア番号=セクタ番号、運転方向が下降方向の誘導エリア番号=(2n+1−セクタ番号)となる。ここでセクタ番号は、セクタ数がnの場合、最下セクタから最上セクタまで順に1〜nとなる。
かご台数が奇数の場合は、基準階が運転方向が上昇方向の誘導エリア0となる。なお、基準階に運転方向が下降方向の誘導エリアは存在せず、基準階に割り当てられるかごは誘導エリア0に割り当てられる1台のみである。
次に、群管理下にあるエレベータのかごの台数に応じて、誘導エリアがどのように初期設定されるのかについて、具体的に説明する。
<台数が1台の場合>
セクタ分割は行われない。そのため、誘導エリアは設定されない。
<かご台数が2台の場合>
かご台数が2台の場合、セクタ数は1である。
先ず、運転方向が上昇方向または方向無しのかごが1台以上いる場合、最下階から最上階まで運転方向が上昇方向(先行階)または方向無し(現在階)で階が一致するかごを探し、見つけた最初のかごの誘導エリアを1とし、誘導方向を上昇方向とする。それより上方の運転方向が上昇方向(先行階)または方向無し(現在階)で階が一致するかご、なければ続いて最上階から最下階まで運転方向が下降方向(先行階)で階が一致するかごを探し、見つけたかごの誘導エリアを2とし、誘導方向を下降方向とする。
次に、運転方向が下降方向のかごが2台いる場合、最下階から最上階まで運転方向が下降方向(先行階)で階が一致するかごを探し、見つけた最初のかごの誘導エリアを1とし、誘導方向を上昇方向とする。そして、それより上方の運転方向が下降方向のかごの誘導エリアを2とし、誘導方向を下降方向とする。
なお、「方向無し」とは、かごの運転方向が未定の状態であり、最終かご呼びに応答して減速する時に、他に呼びが無い場合は方向無しになる。つまり、方向無しの状態は停止中の状態とは限らない。空かごの場合は、減速開始から呼びが割り当てられて方向を持つまでの間、方向無しの状態になる。
また、運転方向とは、次にサービスする方向であり、上昇方向または下降方向の2種類があり、実際に運転している方向である走行方向とは異なる。運転方向の上昇方向または下降方向については、停止前の減速時点で次に運転する方向として決定される。減速時点で次に運転する方向が未定の場合は、方向無しとなる。
「先行階」とは、かごが次にサービス可能な階である。例えば、低速のエレベータでも、1階にいて上昇方向に加速を開始すると、1階はサービスできなくなるので、先行階は2階になる。そして、2階の減速点を通過すると、2階はサービスできなくなるので、先行階は3階になる。高速のエレベータの場合は、1階から加速開始して一定時間経過すると速度指令値が高速化し、2階に減速不可能になって先行階は3階、4階へと移動する。かごが最上階に向けて上昇している時に減速点を過ぎると、走行方向は上昇方向、運転方向は下降方向になる。同様に、かごが最下階に向けて下降している時に減速点を過ぎると、走行方向は下降方向、運転方向は上昇方向になる。
<かご台数が3台の場合>
次に、かご台数が3台の場合、セクタ数は1である。
かご台数が奇数なので、先ず基準階にかごがいる時は該かごに、基準階にかごがいない時は運転方向が下降方向の最下のかごに誘導エリア0を割り当てる。
そして、まだ誘導エリアが割り当てられていない運転方向が上昇方向または方向無しのかごが1台以上いる場合、最下階から最上階まで運転方向が上昇方向(先行階)または方向無し(現在階)で階が一致するかごを探し、見つけた最初のかごの誘導エリアを1とし、誘導方向を上昇方向とする。その後、それより上方の運転方向が上昇方向(先行階)または方向無し(現在階)で階が一致するかご、なければ続いて最上階から最下階までにいる運転方向が下降方向(先行階)で階が一致するかごを探し、見つけたかごの誘導エリアを2とする。誘導エリア0のかごは、基準階を分担し、誘導方向を上昇方向とする。
次に、まだ誘導エリアが割り当てられていない運転方向が下降方向のかごが2台いる場合、最下階から最上階まで運転方向が下降方向(先行階)で階が一致するかごを探し、見つけた最初のかごに誘導エリア1を割り当て、誘導方向を上昇方向とする。そして、それより上方の運転方向が下降方向のかごに誘導エリア2を割り当て、誘導方向を下降方向とする。
<かご台数が4、6または8台の場合>
かご台数が4台の場合のセクタ数は2、かご台数が6台の場合のセクタ数は3、かご台数が8台の場合のセクタ数は4である。
先ず、運転方向が上昇方向または方向無しのかご台数がn台以上いる時、最下階から最上階に向けて運転方向が上昇方向(先行階)または方向無し(現在階)で階が一致するかごを探し、見つけたかごに誘導エリアを1から昇順に割り当てる。もし同一階にかごが複数台いる場合は、号機番号の小さいかごから順に誘導エリアを割り当てる。
続いて、最上階から最下階に向けて運転方向が下降方向(先行階)で階が一致するかごで誘導エリアがまだ割り当てられていないかごを探し、見つけたかごに、残っている誘導エリアを2nまで昇順に割り当てる。同一階に複数台いる場合は、号機番号の大きいかごから順に誘導エリアを割り当てる。
次に、運転方向が上昇方向または方向無しのかご台数がn台未満の時、最上階から最下階に向けて運転方向が上昇方向(先行階)または方向無し(現在階)で階が一致するかごを探し、見付かれば、見つけたかごに誘導エリアをnから降順に割り当てる。なお、nはセクタ数である。もし同一階にかごが複数台いる場合は、号機番号の大きいかごから順に誘導エリアを割り当てる。そして、運転方向が上昇方向または方向無しのかごだけでは誘導エリア1〜nのかごが揃わないため、運転方向が下降方向のかごから補充する必要がある。従って、続いて最下階から最上階に向けて運転方向が下降方向(先行階)で階が一致するかごを探し、誘導エリア1〜nの中で残った誘導エリアを1まで降順に割り当てる。
誘導エリアnから1までのかごが見つかった後は、最上階から最下階に向けて運転方向が下降方向(先行階)で階が一致するかごで誘導エリアがまだ割り当てられていないかごを探し、見つけたかごに誘導エリアを(n+1)から2nまで昇順に割り当てる。もし同一階にかごが複数台いる場合は、号機番号の小さいかごから順に誘導エリアを割り当てる。
<かご台数が5または7台の場合>
かご台数が5台の場合のセクタ数は2、かご台数が7台の場合のセクタ数は3である。
かご台数が奇数なので、先ず基準階にかごがいる時は該かごに、基準階にかごがいない時は運転方向が下降方向の最下のかごに誘導エリア0を割り当てる。
そして、まだ誘導エリアが割り当てられていない運転方向が上昇方向または方向無しのかご台数がn台以上いる時、最下階から最上階に向けて運転方向が上昇方向(先行階)または方向無し(現在階)で階が一致する誘導エリアがまだ割り当てられていないかごを探し、見つけたかごに誘導エリアを1から2nまで昇順に割り当てる。もし同一階にかごが複数台いる場合は、号機番号の小さいかごから順に誘導エリアを割り当てる。
足りなければ、続いて最上階から最下階に向けて運転方向が下降方向(先行階)で階が一致するかごで誘導エリアがまだ割り当てられていないかごを探し、見つけたかごに、残っている誘導エリアを2nまで昇順に割り当てる。同一階に複数台いる場合は、号機番号の大きいかごから順に誘導エリアを割り当てる。
次に、まだ誘導エリアが割り当てられていない運転方向が上昇方向または方向無しのかご台数がn台未満の時、最上階から最下階に向けて運転方向が上昇方向(先行階)または方向無し(現在階)で階が一致する誘導エリアがまだ割り当てられていないかごを探し、見つけたかごに誘導エリアをnから降順に割り当てる。なお、nはセクタ数である。もし同一階にかごが複数台いる場合は、号機番号の大きいものから順に誘導エリアを割り当てる。そして、運転方向が上昇方向または方向無しのかごだけでは誘導エリア1〜nのかごが揃わないため、運転方向が下降方向のかごから補充する必要がある。従って、続いて最下階から最上階に向けて運転方向が下降方向(先行階)で階が一致するかごを探し、誘導エリア1〜nの中で残った誘導エリアを1まで降順に割り当てる。
誘導エリアnから1までのかごが見つかった後は、最上階から最下階に向けて運転方向が下降方向(先行階)で階が一致するかごで誘導エリアがまだ割り当てられていないかごを探し、見つけたかごに誘導エリアを(n+1)から2nまで昇順に割り当てる。もし同一階にかごが複数台いる場合は、号機番号の小さいかごから順に誘導エリアを割り当てる。
図3は、開始時の誘導エリアの割り当て処理を示したフローチャートである。
実施の開始後(ステップS101)、群管理下のエレベータのかご台数が奇数かどうかを判断する(ステップS102)。
もし、かご台数が奇数でなかった場合は、判断結果は「NO」となり、ステップS104へ進む。
一方、かご台数が奇数だった場合は、判断結果は「YES」となり、基準階にかごがいる時は該かごに、基準階にかごがいない時は運転方向が下降方向の最下のかごに、誘導エリア割当部17により、誘導エリア0を割り当てる(ステップS103)。
次に、かご台数が偶数の場合も含めて、まだ誘導エリアが割り当てられていないかごについて、かご位置検出部21、かご方向検出部22、及び空かご検出部25などの情報を基に制御部14により、運転方向が上昇方向または方向無しのかごの台数がn台以上かどうかを判断する(ステップS104)。
もし、運転方向が上昇方向または方向無しのかごの台数がn台以上であった場合は、判断結果は「YES」となり、かご位置検出部21、かご方向検出部22、及び空かご検出部25などの情報を基に誘導エリア割当部17により、運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に、まだ誘導エリアが割り当てられていないかごに誘導エリアを1から2nまで昇順に割り当て(ステップS105)、終了となる(ステップS108)。なお、nはセクタ数である。
一方、ステップS104における判断において運転方向が上昇方向または方向無しのかごの台数がn台以上でなかった場合、即ち運転方向が上昇方向または方向無しのかごの台数がn台未満の場合は、判断結果は「NO」となり、かご位置検出部21、かご方向検出部22、及び空かご検出部25などの情報を基に誘導エリア割当部17により、運転方向が上昇方向または方向無しの上方の階のかごから下へ順に、続いて運転方向が下降方向の下方の階のかごから上へ順に、まだ誘導エリアが割り当てられていないかごに誘導エリアをnから1まで降順に割り当てる(ステップS106)。
次に、運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを(n+1)から2nまで昇順に割り当て(ステップS107)、終了となる(ステップS108)。
呼び割当部18における、かごの呼びの割り当てについて説明する。なお、nはセクタ数である。
先ず、上昇呼びについて説明する。
上昇呼びの発生階が属する0〜nの範囲内の誘導エリアを割り当てられたかごの先行階以上を発生階とする呼びは、該かごに割り当てる。誘導エリア自体は0〜2nの範囲内で割り当てられているが、運転方向が上昇方向を担当するのは0〜nの範囲内の誘導エリアなので、先ず0〜nの範囲内の誘導エリアを割り当てられたかごに割り当て可能ならば該かごに割り当てる。該かごの先行階以上を発生階とする呼びであれば、該かごからみて逆呼びに該当しないからである。
しかし、該かごの先行階より下を発生階とする呼びは、該かごからみて逆呼びに該当するので、該かごの一つ前の誘導エリアを割り当てられたかごに割り当てる。
ただし、かご台数が偶数で該発生階が属する誘導エリアが誘導エリア1だった場合は誘導エリア2n、かご台数が奇数で該発生階が属する誘導エリアが誘導エリア0だった場合は誘導エリア2nを割り当てられたかごに割り当てる。本実施例において誘導エリアは、かご台数が偶数の場合は1〜n、かご台数が奇数の場合は0〜nの範囲で言わば環状に続いているので、かご台数が偶数の場合の誘導エリア1の一つ前の誘導エリアは誘導エリア2nが該当し、かご台数が奇数の場合の誘導エリア0の一つ前の誘導エリアは誘導エリア2nが該当する。
次に、下降呼びについて説明する。
下降呼びの発生階が属する(n+1)〜2nの範囲内の誘導エリアを割り当てられたかごの先行階以下を発生階とする呼びは、該かごに割り当てる。運転方向が下降方向を担当するのは(n+1)〜2nの範囲内の誘導エリアなので、先ず(n+1)〜2nの範囲内の誘導エリアを割り当てられたかごに割り当て可能ならば該かごに割り当てる。該かごの先行階以下を発生階とする呼びであれば、該かごからみて逆呼びに該当しないからである。
しかし、該かごの先行階より上を発生階とする呼びは、該かごからみて逆呼びに該当するので、該かごの一つ前の誘導エリアを割り当てられたかごに割り当てる。
より具体的に、かご台数7台、セクタ数3、誘導エリア数7(誘導エリアの範囲は0〜6)、10階建ての建物でセクタ1が1〜4階、セクタ2が5〜7階、セクタ3が8〜10階、基準階が1階の場合を例に説明する。
上昇呼びが6階で発生した場合、6階はセクタ2に属し、セクタ2の運転方向が上昇方向の誘導エリアは誘導エリア2であり、誘導エリア2を割り当てられたかごの先行階が5階だった場合は、該呼びは該かごに割り当てる。しかし、誘導エリア2を割り当てられたかごの先行階が7階だった場合は、該呼びは該かごに割り当てず、誘導エリア1を割り当てられたかごに割り当てる。
そして、上昇呼びが1階で発生した場合、1階は基準階なので誘導エリアは誘導エリア0であり、誘導エリア0を割り当てられたかごの先行階が1階だった場合は、該呼びは該かごに割り当てる。しかし、誘導エリア0を割り当てられたかごの先行階が2階だった場合は、該呼びは該かごに割り当てず、誘導エリア6を割り当てられたかごに割り当てる。ここで、誘導エリア0を割り当てられたかごの先行階が2階だった場合とは、基準階の上昇呼びに応じて誘導エリア0のかごが上昇運転を開始し、減速点を過ぎ該かごの先行階が誘導エリア1の2階になった後に、新たな基準階の呼びが発生したような場合である。
次に、下降呼びが10階で発生した場合、10階はセクタ3に属し、セクタ3の運転方向が下降方向の誘導エリアは誘導エリア4であり、誘導エリア4を割り当てられたかごの先行階が10階だった場合は、該呼びは該かごに割り当てる。しかし、誘導エリア4を割り当てられたかごの先行階が9階だった場合は、該呼びは該かごに割り当てず、誘導エリア3を割り当てられたかごに割り当てる。
誘導等間隔制御方式によるエレベータの運行について、群管理下にあるエレベータの台数が4台の場合について説明する。
サービス階は、S1(下方のセクタ)とS2(上方のセクタ)の2セクタに分割され、セクタ数は2である。誘導エリアは、S1U(誘導エリア1)、S2U(誘導エリア2)、S2D(誘導エリア3)、S1D(誘導エリア4)の4種類があり、群管理下にある各かごは、S1U→S2U→S2D→S1Dと一周する。
平常時・混雑時には、上昇方向の交通量と下降方向の交通量が等しいから、定常状態では、運転方向が上昇方向のかご台数と運転方向が下降方向のかご台数は等しく、4台の中の2台が運転方向が上昇方向で2台が運転方向が下降方向である。そして、等間隔に制御されていると、1〜4の各誘導エリアにかごがそれぞれ1台ずついて運行することになる。
平常時・混雑時には、運転方向が上昇方向の交通量の半分が基準階(S1の最下階)から上昇する乗客によるものである。
基準階の呼びが発生すると、基準階にかごがいる時は、そのかごに割り当てる。基準階にかごがいない時は、誘導エリア番号が最大、即ち誘導エリア4(S1D)のかごが割り当てられ、このかごが基準階に到着して乗客を乗車させ、運転方向が上昇方向でS1Uの運行を開始することになり、その際は一時的に、一つの誘導エリア内に2台のかごが存在する状態になる。
誘導エリアが最初に割り当てられて、エレベータが運行を開始した後に、等間隔に乱れが生じて複数のかごが存在する誘導エリアが発生した場合は、全てのかごを台数分の誘導エリアに再割り当てをして過渡状態を解消する。
通常、誘導エリアは、群管理下のエレベータのかご台数が偶数の場合は1、奇数の場合は0から、2nまでの範囲にそれぞれ1台ずつ割り当てられているが、過渡的に一つの誘導エリアに複数のかごが存在することがあるからである。
先ず、ある誘導エリア内に2台目以降のかごがどこからやってくるのかについて、かご台数が偶数の場合を例に説明する。
誘導エリア1〜nのかごは、誘導エリア番号が大きくなる方向にしか移動しない。そして、逆呼びに応答して方向が反転すると誘導エリア(n+1)〜2nになるが、何れにしても、割り当てられる誘導エリアは誘導エリア番号が大きくなる方向にしか変化しない。
ところが、誘導エリア(n+1)〜2nのかごは、通常は誘導エリア番号が大きくなる方向に移動するが、最終かご呼びに応答して空かご(方向無し)になると、誘導エリア1〜nのかごになるので、誘導エリア番号が小さくなる方向にも変化する。
1〜nの範囲内のある誘導エリアxにかごが複数台存在する場合、2台目以降のかごは、第1に背後呼びに応答するために次順の番号の1つ小さい誘導エリアから移動してきた、第2に誘導エリア内のかご呼びに応答するために後方の番号の小さい誘導エリアから移動してきた、第3に誘導エリア(n+1)〜2nから空かごになって移動してきた、の何れかであると考えられる。
第1の場合は、次順の誘導エリア(x−1)にかごがいない。第2の場合は、後方の誘導エリアにかごがいない誘導エリアがある。第3の場合は、誘導エリア(2n+1−x)にかごがいない。
次に、(n+1)〜2nの範囲内のある誘導エリアxにかごが複数台存在する場合、2台目以降のかごは、第4に背後呼びに応答するために次順の番号の1つ小さい誘導エリアから移動してきた、第5に誘導エリア内のかご呼びに応答するために後方の番号の小さい誘導エリアから移動してきた、の何れかであると考えられる。
第4の場合は、次順の誘導エリア(x−1)にかごがいない。第5の場合は、後方の誘導エリアにかごがいない誘導エリアがある。
次に、誘導エリアxに複数台のかごが存在する場合の誘導エリアの割り当ての見直しについて、説明する。なお、xは複数のかごが存在する誘導エリア、yはかごが存在しない誘導エリア、mはかごが存在しない誘導エリアの数である。
第1に、xが0の場合は、基準階に存在する号機番号の小さいかごから順に誘導エリアを0から昇順に割り当て、次に運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを2nまで昇順に誘導エリア割当部17により割り当てる。
第2に、xが1以上n以下、かつxより小のyが存在しない場合は、かご台数が偶数の場合は1、奇数の場合は0から、運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを2nまで昇順に誘導エリア割当部17により割り当てる。
第3に、xが1以上n以下、かつxより小のyが存在する場合、またはxがnより大の場合は、先ずかご台数が奇数の場合は先ず基準階にかごがいる時は該かごに、基準階にかごがいない時は運転方向が下降方向の最下のかごに誘導エリア0を割り当てる。その後、かご台数が偶数の場合も含めてまだ誘導エリアを割り当てられていない運転方向が下降方向の下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が上昇方向または方向無しの上方の階のかごから下へ順に誘導エリアをmから1まで降順に割り当て、次にまだ誘導エリアを割り当てられていない運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを(m+1)から2nまで昇順に誘導エリア割当部17により割り当てる。
誘導エリアxに複数台のかごが存在する場合の誘導エリアの割り当ての見直しは、上記の方法に限られるものではなく、複数のかごが存在する誘導エリアが発生した場合に。次の方法で各誘導エリアの割り当て台数が1台になるように誘導エリアの割り当てを見直しても良い。なお、xは複数のかごが存在する誘導エリア、yはかごが存在しない誘導エリア、mはかごが存在しない誘導エリアの数である点は、上記と同様である。
第1に、xが0の場合、即ち基準階のかごが複数存在する場合、基準階にいる号機番号の小さいかごから順に誘導エリアを0から昇順に割り当て、次に残っている誘導エリアを基準階にいるかごを除き、運転方向が上昇方向または方向無しのかごに下方のかごから上へ順に昇順に割り当て、最後に運転方向が下降方向のかごに上方のかごから下へ順に昇順に誘導エリアを2nまで誘導エリア割当部17により割り当てる。
第2に、xが1以上n以下かつxより小のyが存在しない場合、運転方向が上昇方向または方向無しのかごに下方のかごから上へ順に誘導エリアをかご台数が偶数の場合は1、奇数の場合は0から昇順に割り当て、続いて、運転方向が下降方向のかごに上方のかごから下へ順に2nまで昇順に誘導エリアを誘導エリア割当部17により割り当てる。
第3に、xが1以上n以下かつxより小のyが存在する場合、運転方向が上昇方向または方向無しのかごに下方のかごから上へ順に誘導エリアを(m+1)からnまで昇順に割り当て、次に運転方向が下降方向のかごに下方のかごから上へ順に誘導エリアをmから1へ降順に割り当てる。そして、運転方向が上昇方向または方向無しのかごに上方のかごから下へ順に誘導エリアを(n+m)から(n+1)まで降順に割り当て、最後に誘導エリアに割り当てられていない運転方向が下降方向のかごに上方のかごから下へ順に(n+m+1)から2nまで昇順に誘導エリアを誘導エリア割当部17により割り当てる。
第4に、xがnより大の場合、運転方向が上昇方向または方向無しのかごに上方のかごから下へ順に誘導エリアを(n+m)から(n+1)まで降順に割り当てる。次に、運転方向が下降方向のかごに上方のかごから下へ順に誘導エリアを(n+m+1)から2nまで昇順に割り当てる。そして、まだ割り当てられていない運転方向が上昇方向または方向無しのかごに下方のかごから上へ順に誘導エリアを(m+1)からnまで昇順に割り当てる。最後に、運転方向が下降方向のかごに下方のかごから上へ順に誘導エリアをmから1まで降順に誘導エリア割当部17により割り当てる。
ただし、第3と第4の場合、群管理下のエレベータのかご台数が奇数の場合は、先ず基準階にかごがいる時は該かごに、基準階にかごがいない時は運転方向が下降方向の最下のかごに誘導エリア0を割り当て、その後、かご台数が偶数の場合も含めてまだ誘導エリアを割り当てられていないかごに対して上記の割り当てを行うものとする。
図4は、かごが複数の誘導エリア発生した時の誘導エリアの再割り当て処理を示したフローチャートである。
実施の開始後(ステップS201)、かご位置検出部21の情報を基に制御部14により、複数のかごが存在する誘導エリアx、及びかごが存在しない誘導エリアyを探索する(ステップS202)。
制御部14によりかごが存在しない誘導エリアの数mを算出する(ステップS203)。
複数のかごが存在する誘導エリアが発生した場合に、誘導エリア割当部17によりかごに割り当てられていた誘導エリアをリセットする(ステップS204)。
次に、複数のかごが存在する誘導エリアxが0かどうかを制御部14により判断する(ステップS205)。
もし、xが0でなかった場合は、判断結果は「NO」となり、ステップS206へ進む。
一方、xが0だった場合は、判断結果は「YES」となり、基準階に存在する号機番号の小さいかごから順に誘導エリアを0から昇順に誘導エリア割当部17により割り当て、次に運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを2nまで昇順に誘導エリア割当部17により割り当て(ステップS208)、終了となる(ステップS213)。
次に、複数のかごが存在する誘導エリアxが1以上n以下、かつxより小のyが存在しないかどうかを制御部14により判断する(ステップS206)。
もし、xが1以上n以下、かつxより小のyが存在しない場合は、判断結果は「YES」となり、群管理下のエレベータのかご台数が偶数の場合は1、奇数の場合は0から、運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを2nまで昇順に誘導エリア割当部17により割り当て(ステップS209)、終了となる(ステップS213)。
一方、xが1以上n以下、かつxより小のyが存在しない場合に該当しない場合、即ちxが1以上n以下かつxより小のyが存在する場合、またはxがnより大の場合は、判断結果は「NO」となり、群管理下のエレベータのかご台数が奇数かどうかを制御部14により判断する(ステップS207)。
もし、かご台数が奇数でなかった場合は、判断結果は「NO」となり、ステップS211へ進む。
一方、かご台数が奇数だった場合は、判断結果は「YES」となり、基準階にかごがいる時は該かごに、基準階にかごがいない時は運転方向が下降方向の最下のかごに誘導エリア0を誘導エリア割当部17により割り当てる(ステップS210)。
そして、かご台数が偶数の場合も含めて、まだ誘導エリアが割り当てられていない運転方向が下降方向の下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が上昇方向または方向無しの上方の階のかごから下へ順に誘導エリアをmから1まで降順に誘導エリア割当部17により割り当てる(ステップS211)。
次に、まだ誘導エリアを割り当てられていない運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを(m+1)から2nまで昇順に誘導エリア割当部17により割り当て(ステップS212)、終了となる(ステップS213)。
なお、図4における実施開始のタイミングは、複数かごの誘導エリアが発生時、及び複数かごの誘導エリアが発生した状態で何れかのかごの位置が変化した時である。
具体的に、かご台数6台、セクタ数3、誘導エリア数6(誘導エリアの範囲は1〜6)、9階建ての建物でセクタ1が1〜3階、セクタ2が4〜6階、セクタ3が7〜9階の場合を例に説明する。
1階にいた誘導エリア1のかごAが3階で発生した上昇呼びに応じて、3階で乗客をかごに乗せて行先階である9階まで上昇する際に、途中で誘導エリア2の5階にいる方向無しのかごB、続いて誘導エリア3の8階にいる方向無しのかごCを追い越したとする。
この場合にかごAに割り当てられる誘導エリアは、4階到達時に誘導エリア2、5階到達時に誘導エリア2または3、6階到達時に誘導エリア3、7階到達時に誘導エリア3、8階到達時に誘導エリア3または4、9階到達時に誘導エリア4となる。
そして、5階ではAとBの号機番号の大小、8階ではAとCの号機番号の大小で誘導エリアが決定される。もし、Aの号機番号がB及びCより小さかった場合は、かごAに割り当てられる誘導エリアは5階では誘導エリア2、8階では誘導エリア3となる。
10 交通パターン識別部
11 行先方向入力部
12 運転休止検出部
13、26 通信部
14、27 制御部
15、28 記憶部
16、29 計時部
17 誘導エリア割当部
18 呼び割当部
19、33 情報出力部
21 かご位置検出部
22 かご方向検出部
23 かご速度検出部
24 運転休止検出部
25 空かご検出部
30 駆動部
31 制動部
32 行先階入力部

Claims (5)

  1. 群管理下のエレベータのかご台数を2で割った整数値nのセクタに建物のサービス階床を分割するセクタ分割手段と、
    前記セクタ分割手段によって分割されたセクタについて、最下セクタから最上セクタへ順に1からn、続いて最上セクタから最下セクタへ順に(n+1)から2nの番号を有する誘導エリアを設定し、前記かご台数が奇数の場合は誘導エリア1〜2nの対象から基準階を除いて、更に基準階を対象とする誘導エリア0を設定する誘導エリア設定手段と、
    前記誘導エリア設定手段によって前記かご台数と同数が設定された誘導エリアにかごを1台ずつ割り当てる誘導エリア割当手段と、
    呼びが発生した場合に前記誘導エリア割当手段によって誘導エリアを割り当てられた何れかのかごに前記呼びを割り当てる呼び割当手段を備え、
    各誘導エリアにかごを1台ずつ割り当てて各かごの運転間隔が等間隔になるように制御することを特徴とするエレベータの群管理制御システム。
  2. 前記誘導エリア割当手段は、
    前記かご台数が奇数の場合は先ず基準階にかごがいる時は該かごに、いない時は運転方向が下降方向の最下のかごに誘導エリア0を割り当てた後、前記かご台数が偶数の場合も含めて、まだ誘導エリアが割り当てられていないかごについて、
    運転方向が上昇方向または方向無しのかごがn台以上の場合は、
    運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを1から2nまで昇順に割り当て、
    運転方向が上昇方向または方向無しのかごがn台未満の場合は、
    運転方向が上昇方向または方向無しの上方の階のかごから下へ順に、続いて運転方向が下降方向の下方の階のかごから上へ順に誘導エリアをnから1まで降順に割り当て、
    次に運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを(n+1)から2nまで昇順に割り当てることを特徴とする請求項1記載のエレベータの群管理制御システム。
  3. 前記呼び割当手段は、
    上昇呼びについては、
    該呼びの発生階が属する0〜nの範囲内の誘導エリアを割り当てられたかごの先行階以上を発生階とする呼びは該かごに割り当て、
    該先行階より下を発生階とする呼びは該かごの一つ前の誘導エリア(ただし、前記かご台数が偶数で該発生階が属する誘導エリアが誘導エリア1だった場合は誘導エリア2n、前記かご台数が奇数で該発生階が属する誘導エリアが誘導エリア0だった場合は誘導エリア2n)を割り当てられたかごに割り当て、
    下降呼びについては、
    該呼びの発生階が属する(n+1)〜2nの範囲内の誘導エリアを割り当てられたかごの先行階以下を発生階とする呼びは該かごに割り当て、
    該先行階より上を発生階とする呼びは該かごの一つ前の誘導エリアを割り当てられたかごに割り当てることを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータの群管理制御システム。
  4. 複数のかごが存在する誘導エリアxを探索する第1の探索手段と、
    かごが存在しない誘導エリアyを探索する第2の探索手段と、
    かごが存在しない誘導エリアの数mを算出する算出手段と、
    複数のかごが存在する誘導エリアが発生した場合に各かごに割り当てられていた誘導エリアをリセットするリセット手段と、
    xが0の場合は、
    基準階に存在する号機番号の小さいかごから順に誘導エリアを0から昇順に割り当て、
    次に残っている誘導エリアを運転方向が上昇方向または方向無しの基準階を除く下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを2nまで昇順に割り当て、
    xが1以上n以下かつxより小のyが存在しない場合は、
    前記かご台数が偶数の場合は1、奇数の場合は0から、運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを2nまで昇順に割り当て、
    xが1以上n以下かつxより小のyが存在する場合、またはxがnより大の場合は、
    前記かご台数が奇数の場合は先ず基準階にかごがいる時は該かごに、いない時は運転方向が下降方向の最下のかごに誘導エリア0を割り当てた後、
    前記かご台数が偶数の場合も含めてまだ誘導エリアを割り当てられていない運転方向が下降方向の下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が上昇方向または方向無しの上方の階のかごから下へ順に誘導エリアをmから1まで降順に割り当て、
    次にまだ誘導エリアを割り当てられていない運転方向が上昇方向または方向無しの下方の階のかごから上へ順に、足りなければ続いて運転方向が下降方向の上方の階のかごから下へ順に誘導エリアを(m+1)から2nまで昇順に割り当てる誘導エリア再割当手段を更に備え、
    複数のかごが存在する誘導エリアが発生した場合に各誘導エリアの割り当て台数が1台になるように誘導エリアの割り当てを見直すことを特徴とする請求項1ないし3に記載のエレベータの群管理制御システム。
  5. 最尤法を用いて各方向の集中率を算出する各方向集中率算出手段と、
    基準階を除くサービス階床数、基準階以外で発生する乗り場呼びの数のサンプル値の平均、及びかご呼びの数のサンプル値の平均を基に基準階で乗車または降車する割合を算出する基準階乗降率算出手段と、
    前記各方向集中率算出手段及び基準階乗降率算出手段によって算出された値に基いて交通パターンを識別する交通パターン識別手段を更に備えたことを特徴とする請求項1ないし4に記載のエレベータの群管理制御システム。

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JP2017178474A (ja) * 2016-03-28 2017-10-05 株式会社日立製作所 エレベーター装置及びエレベーター装置の制御方法

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