JP7303525B2 - 水硬性組成物用添加剤、及び水硬性組成物 - Google Patents
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X成分:下記の化1で示される構成単位1及び下記の構成単位2を有し、
前記X成分中において構成単位1及び構成単位2の合計100質量%に対し、前記構成単位1を75~99.5質量%、及び前記構成単位2を0.5~25質量%の割合でそれぞれ含有し、前記X成分中のカルボン酸及びその塩の酢酸換算含有割合が0.1~4.0質量%であり、かつ、質量平均分子量が1000~200000であるビニル共重合体
構成単位1:
構成単位2:
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも一つから形成される構成単位
Y成分:グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも一つ
Z成分:スクロースまたはフルクトース
構成単位3:
(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも一つから形成される構成単位
(1)型枠への水硬性組成物の打ち込み時の水硬性組成物温度が25℃以上
(2)型枠への水硬性組成物の打ち込み時の日平均気温が25℃以上
(3)型枠への水硬性組成物の打ち込み日の最高気温が30℃以上
(1)型枠への水硬性組成物の打ち込み時の水硬性組成物温度が25℃以上
(2)型枠への水硬性組成物の打ち込み時の日平均気温が25℃以上
(3)型枠への水硬性組成物の打ち込み日の最高気温が30℃以上
すなわち、上述した標準環境から逸脱した高温環境下での使用に好適に使用することができる。
水硬性組成物用添加剤に供されるX成分として、下記表1に示す構成単位1及び構成単位2と、必要に応じて加えられる構成単位3によって構成されたビニル共重合体からなる8種類(P-1~P-8)を用いた。ここで、P-1~P-8は、それぞれ各構成単位1,2,3の種類及び配合比率がそれぞれ異なるものである。
イオン交換水78.0gを温度計、撹拌機、窒素導入管を備えた反応容器(以下、同様の反応容器を使用)に仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて65℃に保持した。次に、イオン交換水141.7g、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(9モル)オキシエチレン147.8g、ヒドロキシエチルアクリレート45.3g、メタクリル酸3.9g、及び連鎖移動剤として2-メルカプトエタノール1.4g(分子量 78.1)を均一に溶解させた水溶液を2時間かけて滴下するとともに、10%過硫酸アンモニウム28.6gを3時間かけて滴下した。その後、65℃で1時間保持し、重合反応を終了した。重合反応終了後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応系をpH=6に調整し、イオン交換水にて濃度を40%に調整して、ビニル共重合体(P-1)の40%水溶液を得た。このビニル共重合体(P-1)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量は41000であった。なお、ビニル共重合体(P-3、P-4、P-6)は、上記製造例1の合成方法に準拠し、構成単位1、構成単位2、及び構成単位3として使用する化合物及び配合割合を変化させ、連鎖移動剤として3-メルカプトプロピオン酸を用いてそれぞれ合成を行った。なお、ビニル共重合体(P-7)については、連鎖移動剤を使用せずに合成を行っている。
イオン交換水76.6g及びα-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(115モル)オキシエチレン156.4gを反応容器に仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて65℃に保持した。次に、1%過酸化水素水8.8gを3時間かけて滴下するとともに、イオン交換水39.1gにヒドロキシエチルアクリレート15.6gとアクリル酸3.9gとアクリル酸メチル19.5gを均一に溶解させた水溶液を3時間かけて滴下し、更にそれと同時に、イオン交換水7.0gにL-アスコルビン酸0.8gと連鎖移動剤としてチオグリコール酸1.0g(分子量92.1)を溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。その後、65℃で2時間保持し、重合反応を終了した。重合反応終了後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応系をpH=6に調整し、イオン交換水にて濃度を40%に調整して、ビニル共重合体(P-2)の40%水溶液を得た。このビニル共重合体(P-2)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量は42000であった。
イオン交換水214.0g及びα-メタクリロイル-ω-ヒドロキシ-ポリ(21モル)オキシエチレンポリ(2モル)オキシプロピレン147.1g、メタクリル酸34.4g、アクリル酸ブチル9.6g、及び連鎖移動剤として3-メルカプトプロピオン酸1.5gを反応容器に仕込み、撹拌しながら均一に溶解した後、雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水浴にて65℃に保持した。次に、10%過硫酸ナトリウム水溶液27.7gを4時間かけて滴下した。その後、65℃で2時間保持し、重合反応を終了した。重合反応終了後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応系をpH=6に調整し、イオン交換水にて濃度を40%に調整して、ビニル共重合体(P-5)の40%水溶液を得た。このビニル共重合体(P-5)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分析したところ、質量平均分子量は37000であった。なお、ビニル共重合体(P-8)は、上記製造例3の合成方法に準拠し、構成単位1、構成単位2、及び構成単位3として使用する化合物及び配合割合を変化させ、連鎖移動剤として3-メルカプトプロピオン酸を用いてそれぞれ合成を行った。
<構成単位1>
a-1:α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(9モル)オキシエチレン
a-2:α-(3-メチル-3-ブテニル) -ω-ヒドロキシ-ポリ(115モル)オキシエチレン
a-3:α-メタリル-ω-ヒドロキシ-ポリ(53モル)オキシエチレン
a-4:α-メタクリロイル-ω-ヒドロキシ-ポリ(21モル)オキシエチレンポリ(2モル)オキシプロピレン
a-5:α-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(50モル)オキシエチレン
a-6:α-アリル-ω-メトキシ-ポリ(33モル)オキシエチレン
a-7:ヒドロキシエチルアクリレート
<構成単位2>
b-1:メタクリル酸
b-2:アクリル酸
b-3:マレイン酸
<構成単位3>
c-1:アクリル酸メチル
c-2:アクリル酸ブチル
をそれぞれ示すものである。
検出器:示差屈折計(RI)
カラム:昭和電工株式会社製OHpak SB-G+SB-806M HQ+SB-806M HQ
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流速:0.7mL/分
カラム温度:40℃
標準物質:プルラン(昭和電工株式会社製)
合成された表1記載のビニル共重合体(P-1~P-8)を下記表2に示す配合割合によって混合し、ビニル共重合体(X-1~X-7、RX-1~RX-3)を構成した。なお、RX-4として竹本油脂株式会社製の凝結遅延剤T-21、及びRX-5として竹本油脂株式会社製の流動化剤ハイフルードHをそれぞれ用意した。
調整された表2記載のX成分(X-1~X-7)、下記に示すY成分、下記に示すZ成分、及び水を、それぞれ表3に示す割合で配合容器に投入し、撹拌機を用いて十分撹拌混合し、水硬性組成物用添加剤(S-1~S-15)を調整した(実施例1~15)。同様に表3に示す割合で、水硬性組成物用添加剤(RS-1~RS-6)を調整した(比較例1~6)。更に、比較例7,8(RS-7、RS-8)として、上述したRX-4(竹本油脂株式会社製 凝結遅延剤T-21)、及びRX-5(竹本油脂株式会社製 流動化剤ハイフルードH)をそれぞれ水硬性組成物用添加剤として使用した。なお、X成分の酢酸換算含有割合が4.0質量%以下であれば、複数のビニル共重合体を用いることも可能である(X-4~X-7参照)。
Y-1:グルコン酸ナトリウム
Y-2:クエン酸ナトリウム
Z-1:スクロース
Z-2:フルクトース
をそれぞれ示すものである。
室内温度を40℃(一部を除く。)に設定した試験室内で、60Lの強制二軸ミキサーに普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製、密度=3.16)と、骨材として、細骨材(木更津産陸砂、密度=2.60)及び粗骨材(青海産砕石、密度=2.67)を順次投入して10秒間空練りを行った後、市販のAE減水剤 遅延形I種であるチューポール EX60R(竹本油脂株式会社製)または高性能AE減水剤 遅延形I種であるチューポール HP-11R(竹本油脂株式会社製)を加え、更に市販のAE剤であるAE-300(竹本油脂株式会社製)及び消泡剤であるAFK-2(竹本油脂株式会社製)を練り混ぜ水とともに投入し、60秒間練り混ぜた後、180秒間ミキサーで静置したのちに排出した。5分後にミキサーに戻し、水硬性組成物用添加剤(実施例1~15、及び比較例1~8)を加え、30秒間練り混ぜて排出し、得られた実施例16~45、及び比較例9~30のコンクリート組成物(水硬性組成物)により各種試験を行った。
上記により得られたコンクリート組成物の物性の評価を行った。ここで、スランプ、空気量、ブリーディング率、凝結時間及び圧縮強度の測定は、下記に基づいて実施した。
・スランプ(cm):練り混ぜ直後のコンクリート組成物について、JIS-A1101(2014)に準拠して測定した。
・空気量(容積%):練り混ぜ直後のコンクリート組成物について、JIS-A1128(2019)に準拠して測定した。
・ブリーディング率(%):練り混ぜ直後のコンクリート組成物について、JIS-A1123(2012)に準拠して測定した。
・凝結時間:練り混ぜ直後のコンクリート組成物について、JIS-A1147(2019)に準拠して測定した。
・圧縮強度(N/mm2):JIS-A1108(2018)に準拠し、供試体寸法を直径100mm×高さ200mmとし、材齢28日で測定した。
実施例16~30、及び比較例9~19のコンクリート組成物について、上記の試験方法により、スランプ、ブリーディング率、凝結時間及び圧縮強度を測定した測定結果を下記の表6、及びその評価のまとめを下記の表7に示す。全ての試験において空気量は4.5±0.5%であることを確認し、練上がり温度は試験室内温度と同温度であることを確認した。また、実施例においては型枠へのコンクリート組成物の打ち込み時のコンクリート組成物温度が38℃であることを確認した。
S:練り上がりから5分後のスランプ値と所定時間経過後のスランプとの差が0~2.5cm以下
A:練り上がりから5分後のスランプ値と所定時間経過後のスランプとの差が2.5cm超~5.0cm以下
B:練り上がりから5分後のスランプ値と所定時間経過後スランプとの差が5.0cm超~7.5cm以下
C:練り上がりから5分後のスランプ値と所定時間経過後スランプとの差が7.5cm超、または練り上がりから5分後のスランプ値より大きいもの
S:比較例19の測定結果に対して±0.5%以下
A:比較例19の測定結果に対して±0.5%超~1.0%以下
B:比較例19の測定結果に対して±1.0%超~1.5%以下
C:比較例19の測定結果に対して±1.5%超
S:比較例19の測定結果に対して±30分以内
A:比較例19の測定結果に対して±30分超~1時間以下
B:比較例19の測定結果に対して±1時間超~2時間以下
C:比較例19の測定結果に対して±2時間超
実施例31~45、及び比較例20~30のコンクリート組成物について、上記の試験方法により、スランプ、ブリーディング率、凝結時間及び圧縮強度を測定した測定結果を下記の表8及び表9に示す。全ての試験において空気量は4.5±0.5%であることを確認し、練上がり温度は試験室内温度と同温度であることを確認した。また、実施例においては型枠へのコンクリート組成物の打ち込み時のコンクリート組成物温度が38℃であることを確認した。
S:練り上がりから5分後のスランプ値と所定時間経過後のスランプとの差が0~2.5cm以下
A:練り上がりから5分後のスランプ値と所定時間経過後のスランプとの差が2.5cm超~5.0cm以下
B:練り上がりから5分後のスランプ値と所定時間経過後のスランプとの差が5.0cm超~7.5cm以下
C:練り上がりから5分後のスランプ値と所定時間経過後のスランプとの差が7.5cm超、または練り上がりから5分後のスランプ値より大きいもの
S:比較例30の測定結果に対して±0.5%以下
A:比較例30の測定結果に対して±0.5%超~1.0%以下
B:比較例30の測定結果に対して±1.0%超~1.5%以下
C:比較例30の測定結果に対して±1.5%超
S:比較例30の測定結果に対して±30分以内
A:比較例30の測定結果に対して±30分超~1時間以下
B:比較例30の測定結果に対して±1時間超~2時間以下
C:比較例30の測定結果に対して±2時間超
上記表6~表9に示す結果から明らかなように、40℃環境下において、実施例1~7(S-1~S-7)を後添加型の添加剤として使用したコンクリート組成物は、20℃環境下において現行のAE減水剤 標準形I種(チューポールEX60)または高性能AE減水剤 標準形I種(チューポールHP-11)を使用したコンクリート組成物と比較し、同等以上のスランプ保持性、ブリーディング率、及び凝結時間(以下、「スランプ保持性等」と称す。)を示すことが認められる(実施例16~22、及び実施例31~37参照)。
Claims (5)
- 予め調製された水硬性組成物を使用場所まで運搬する運搬中、或いは運搬後の前記使用場所で前記水硬性組成物に添加され、流動性を保持するための水硬性組成物用添加剤であって、
下記のX成分と、下記のY成分と、下記のZ成分とを含有し、
前記X成分、前記Y成分、及び前記Z成分の含有割合の合計を100質量%とした場合において、
前記X成分を20~80質量%、前記Y成分を10~70質量%、及び前記Z成分を10~70質量%の割合でそれぞれ含有する水硬性組成物用添加剤。
X成分:下記の化1で示される構成単位1及び下記の構成単位2を有し、
前記X成分中において構成単位1及び構成単位2の合計100質量%に対し、前記構成単位1を75~99.5質量%、及び前記構成単位2を0.5~25質量%の割合でそれぞれ含有し、前記X成分中のカルボン酸及びその塩の酢酸換算含有割合が0.1~4.0質量%であり、かつ、質量平均分子量が1000~200000であるビニル共重合体
構成単位1:
構成単位2:
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、及びそれらの塩から選ばれる少なくとも一つから形成される構成単位
Y成分:グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも一つ
Z成分:スクロースまたはフルクトース - 前記X成分は、
下記の構成単位3を更に有し、
前記X成分中に前記構成単位3を0~10質量%の割合で含有する請求項1に記載の水硬性組成物用添加剤。
構成単位3:
(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも一つから形成される構成単位 - 前記X成分を20~70質量部、前記Y成分を15~65質量部、及び前記Z成分を15~65質量部の割合でそれぞれ含有する請求項1または2に記載の水硬性組成物用添加剤。
- 下記の(1)~(3)から選ばれる少なくとも一つの使用条件下で使用される請求項1~3のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤。
(1)型枠への水硬性組成物の打ち込み時の水硬性組成物温度が25℃以上
(2)型枠への水硬性組成物の打ち込み時の日平均気温が25℃以上
(3)型枠への水硬性組成物の打ち込み日の最高気温が30℃以上 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤と、
セメントを含有する結合材と、
水と、
細骨材と、
粗骨材と
を含有する水硬性組成物。
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