JP7302518B2 - 数値制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、数値制御装置に関する。
特許文献1は、モータの負荷状態を検出して表示する数値制御装置を開示する。数値制御装置はモータ負荷検出部、負荷状態表示制御部、色分け制御部、及び表示装置を有する。モータ負荷検出部は検出した負荷状態信号を負荷状態表示制御部に出力する。負荷状態表示制御部は負荷状態信号を表示用データに変換処理する。色分け制御部は負荷値に応じた色分け情報を表示用データに付加する。表示装置は色分け情報を付加した表示用データを表示する。
特開昭58-120455号公報
工作機械では、工作機械が正常に加工しているかを判断する為に負荷状態としてモータの瞬時の出力の大きさ(例えば、モータが出力するトルク)の変動を表示する時がある。一方、工作機械では、工作機械が連続でモータを出力して加工する時にモータに過剰な負荷がかかっているかを判断する為にモータにかかる負荷の大きさ(例えば、モータの発熱量)の変動を表示する時がある。従来、工作機械は互いに異なる二つの画面に、二つの情報を夫々表示する。作業者にとって運転中の工作機械の情報を把握する為に二つの画面を確認する作業が煩わしいという問題点がある。
本発明の目的は、運転中の工作機械における複数の情報を作業者が容易に把握できる数値制御装置を提供することである。
請求項1の数値制御装置は、モータを備え、前記モータの出力に依り駆動して被削材を加工する工作機械の動作を制御する数値制御装置において、前記モータに入力する電流の大きさを検出する電流検出部と、前記電流検出部が検出する前記電流の大きさに基づき、前記モータに依る瞬時的な出力の大きさである瞬時出力を算出する瞬時出力算出部と、前記電流検出部が検出する前記電流の大きさに基づき、前記モータが連続して出力することに依り前記モータにかかる負荷の大きさである実効負荷を算出する実効負荷算出部と、前記瞬時出力を表示する瞬時出力表示と、前記実効負荷を表示する実効負荷表示とが隣合う表示画面を表示部に出力する表示出力部とを備えることを特徴とする。
上記数値制御装置は、瞬時出力表示と実効負荷表示を含む表示画面を表示部に出力する。故に、作業者は運転中の工作機械における複数の情報を容易に把握できる。
請求項2の数値制御装置において、前記実効負荷表示は、前記実効負荷の定格値に対する割合に応じて、変化する画像、数値の少なくとも一方に依り前記実効負荷を表示してもよい。該時、作業者は実効負荷の定格値に対して加工中における実効負荷が大きいか小さいかを評価し易い。
請求項3の数値制御装置において、前記瞬時出力算出部及び前記実効負荷算出部は、所定の間隔で前記瞬時出力と前記実効負荷を夫々算出し、前記表示出力部は、前記瞬時出力算出部及び前記実効負荷算出部が前記瞬時出力と前記実効負荷を夫々算出したことに応じて、前記瞬時出力表示と前記実効負荷表示を更新した前記表示画面を出力してもよい。該時、表示出力部は所定の間隔で瞬時出力表示と実効負荷表示を更新する。故に、作業者は運転中に変動する瞬時出力と実効負荷を把握し易い。
請求項4の数値制御装置は、前記モータの出力が飽和したか否かを判定する飽和判定部を更に備え、前記表示出力部は、前記モータの出力が飽和したと前記飽和判定部が判定した時、前記モータの出力が飽和していることを示す飽和表示を更に含んだ前記表示画面を出力してもよい。該時、作業者は飽和表示を含む複数の情報を容易に把握できる。
請求項5の数値制御装置は、前記飽和表示の表示時間を計時する表示計時部と、前記表示計時部が計時する前記表示時間が所定時間を経過したか否かを判定する時間判定部とを更に備え、前記表示出力部は、前記モータの出力が飽和したと前記飽和判定部が判定してから、前記表示時間が前記所定時間を経過したと前記時間判定部が判定する迄の間、前記飽和表示を更に含んだ前記表示画面を出力してもよい。該数値制御装置はモータの出力が飽和する時、所定時間の間、飽和表示を含んだ表示画面を出力する。故に、作業者は短時間の間だけモータの出力の飽和した時でも飽和表示に依りモータの出力の飽和したことを把握できる。
請求項6の数値制御装置は、前記被削材を加工する為の加工プログラムに基づき、前記モータを制御する制御部と、前記制御部が前記加工プログラムを一回実行する時の前記実効負荷の大きさに基づき、前記制御部が前記加工プログラムを連続で繰返して実行した時の前記実効負荷である予測負荷を算出する予測負荷算出部とを更に備え、前記表示出力部は、前記制御部が前記加工プログラムを一回実行した後、前記予測負荷を表示する予測負荷表示を更に含んだ前記表示画面を出力してもよい。該数値制御装置は加工プログラムを一回実行した後、該加工プログラムにおける予測負荷を表示する予測負荷表示を更に含んだ表示画面を出力する。故に、作業者は運転中の工作機械における複数の情報を容易に把握できる。
請求項7の数値制御装置は、前記制御部が実行する前記加工プログラムと、前記制御部が前回に実行した前記加工プログラムとが異なるか否かを判定するプログラム判定部を更に備え、前記表示出力部は、前記制御部が実行する前記加工プログラムと、前記制御部が前回に実行した前記加工プログラムとが異なると前記プログラム判定部が判定した時、前記予測負荷表示を含んだ前記表示画面から前記予測負荷表示を除いて出力してもよい。該時、数値制御装置は前回実行した加工プログラムの予測負荷を今回実行する加工プログラムの予測負荷と作業者が誤認することを抑制できる。
請求項8の数値制御装置において、前記予測負荷表示は、前記実効負荷の定格値に対する前記予測負荷の割合に応じて、変化する画像、数値の少なくとも一方に依り前記予測負荷を表示してもよい。該時、作業者は実効負荷の定格値に対して予測負荷が大きいか小さいかを評価し易い。
請求項9の数値制御装置は、前記予測負荷の前記定格値に対する割合を評価する評価部を更に備え、前記表示出力部は、前記評価部の評価結果に応じて決まる所定の色彩で着色した画像、数値の少なくとも一方に依り前記予測負荷を表示してもよい。該時、予測負荷を表示する画像、又は数値が実効負荷の定格値に対する割合に応じて色彩が変化する。故に、作業者は実効負荷の定格値に対して予測負荷が大きいか小さいかをより評価し易い。
数値制御装置30と工作機械1の電気ブロック図。 表示画面70の説明図。 主処理の流れ図。 図3に続く主処理の流れ図。 図4に続く主処理の流れ図。 飽和履歴表示80の説明図。
本発明の実施形態を説明する。図1に示す数値制御装置30は工作機械1の動作を制御することで、治具装置(図示略)に保持した被削材(図示略)の切削加工を行う。工作機械1の左右方向、前後方向、上下方向は夫々X軸方向、Y軸方向、Z軸方向である。
図1を参照し、工作機械1の構成を説明する。工作機械1は回転台、QTモータ55、第一治具装置、第二治具装置、A1軸モータ56、B1軸モータ58、A2軸モータ57、B2軸モータ59、主軸ヘッド、X軸モータ52、Y軸モータ53、Z軸モータ54、主軸、主軸モータ51等を備える。
回転台はQTモータ55の駆動でZ軸方向に平行な回転軸線を中心に回転可能に設ける。第一治具装置、第二治具装置夫々は回転台上面に設け、被削材を保持する。第一治具装置はA1軸モータ56の駆動で水平方向に延びる回転軸線を中心に被削材を回転できる。第一治具装置はB1軸モータ58の駆動でZ軸方向に平行な回転軸線を中心に被削材を回転できる。第二治具装置はA2軸モータ57の駆動で水平方向に延びる回転軸線を中心に被削材を回転できる。第二治具装置はB2軸モータ59の駆動でZ軸方向に平行な回転軸線を中心に被削材を回転できる。
主軸ヘッドは回転台より上方に設け、X軸モータ52、Y軸モータ53、Z軸モータ54夫々の駆動でX軸、Y軸、Z軸の三軸方向に移動できる。主軸ヘッドは主軸を支持する。主軸はZ軸方向に延び、工具を装着してZ軸方向に平行な回転軸線を中心に回転できる。工作機械1は回転台を回転して第一治具装置、第二治具装置の何れか一方を主軸ヘッド下方に移動し、被削材と主軸ヘッドがX、Y、Z軸方向に相対移動し、主軸に装着した工具で加工を行う。
図1を参照し、数値制御装置30と工作機械1の電気的構成を説明する。数値制御装置30はCPU31、ROM32、RAM33、記憶装置34、タイマ35、入出力部36、軸制御部41a~49a、アンプ41~49、電流検出部41b~49bを備える。工作機械1は更に操作部20を備える。
CPU31は工作機械1の動作を統括制御する。ROM32は運転プログラムを解析して実行する制御プログラムを記憶する。運転プログラムは被削材を加工する為のNCプログラムである。RAM33は種々のデータを一時記憶する。記憶装置34は不揮発性であり、複数の運転プログラム等を記憶する。
軸制御部41a~49aは入出力部36を介してCPU31と接続する。軸制御部41a~49aはアンプ41~49と接続する。アンプ41~49は主軸モータ51、X軸モータ52、Y軸モータ53、Z軸モータ54、QTモータ55、A1軸モータ56、A2軸モータ57、B1軸モータ58、B2軸モータ59(以下モータ51~59と総称する。)と接続する。モータ51~59はエンコーダ51a~59aを備える。エンコーダ51a~59aは一般的なアブソリュートエンコーダである。エンコーダ51a~59aはモータ51~59の出力軸の回転の絶対位置(回転位置)を検出する。電流検出部41b~49bはアンプ41~49がモータ51~59に入力する駆動電流を検出する。
操作部20は表示部21、入力部22を備える。表示部21はCPU31の出力に応じて表示画面70(図2参照)等を表示する液晶ディスプレイである。入力部22は作業者の操作に応じて各種指示をCPU31に出力する。
CPU31は運転プログラムに基づき移動指令量を軸制御部41a~49aに出力する。移動指令量を受信した軸制御部41a~49aは電流指令量(トルク指令値)をアンプ41~49に出力する。電流指令量を受信したアンプ41~49はモータ51~59に駆動電流を入力する。モータ51~59は駆動電流に応じたトルクを出力する。
エンコーダ51a~59aは軸制御部41a~49aに回転位置の位置フィードバック信号を入力する。位置フィードバック信号を受信した軸制御部41a~49aは回転位置のフィードバック制御を行う。電流検出部41b~49bは軸制御部41a~49aに駆動電流の検出結果を入力する。駆動電流の検出結果を受信した軸制御部41a~49aは検出結果に基づき電流(トルク)制御を行う。
CPU31は駆動電力の検出結果に基づきモータ51~59が出力する瞬時的なトルクを計算する。CPU31は計算したモータ51~59が出力するトルクを表示画面70に表示する。
運転プログラムの実行中、モータ51~59が出力するトルクは時間で変動する。モータ51~59が連続して駆動した時にモータ51~59にかかる負荷は、モータ51~59が運転プログラムに基づき駆動した時に出力するトルクの実効値に因る。トルクの実効値はモータ51~59の駆動に因る発熱量(以下実効負荷という。)と対応する。CPU31は駆動電力の検出結果に基づきモータ51~59の実効負荷を計算する。CPU31は計算したモータ51~59の実効負荷を表示画面70に表示する。
実効負荷はCPU31が運転プログラムを連続して実行することで増加する。CPU31は一回の運転プログラムの実行における実効負荷に基づき、該運転プログラムを連続で繰返して実行した時の実効負荷の予測値(以下過負荷予測値という。)を計算する。CPU31は計算したモータ51~59の過負荷予測値を表示画面70に表示する。
図2を参照し、表示画面70を説明する。以下説明では、図2の上側、下側、左側、右側は夫々、表示画面70の上側、下側、左側、右側とする。
表示画面70は複数のモニタ71、目盛部79を表示する。複数のモニタ71はモータ51~59が出力するトルク、実効負荷、過負荷予測値を表示する。複数のモニタ71はモータ51~59が出力するトルクと、連続駆動時のトルクの定格値との比率を百分率(以下トルク率という。)で表示する。尚、モータ51~59が瞬時で出力するトルクの瞬時最大トルクは連続駆動時のトルクの定格値の約三倍(300%)である。複数のモニタ71はモータ51~59の実効負荷と、連続駆動時の実効負荷の定格値との比率を百分率(以下実効負荷率という。)で表示する。複数のモニタ71は同じ運転プログラムを連続して実行し続けた場合のモータ51~59の実効負荷である過負荷予測値と、連続駆動時の実効負荷の定格値との比率を百分率(以下過負荷予測率という。)で表示する。目盛部79は複数のモニタ71上側に設け、モータ51~59が出力するトルク、実効負荷、過負荷予測値の目盛を左右方向に並べて表示する。目盛部79が表示する目盛の最大値はトルクの瞬時最大トルクにあわせて300(%)である。
モニタ71は名称部77、枠72、過負荷予測表示75、飽和表示76を有する。名称部77はモータ51~59夫々を特定する情報を表示する。モニタ71は名称部77に対応するモータ51~59の情報(トルク等)を表示する。枠72は長方形状であり、左右方向の長さが目盛部79の長さと略等しい。
枠72内部はトルクモニタ73、実効負荷モニタ74を表示する。枠72は実効負荷モニタ74をトルクモニタ73下側に隣接して表示する。トルクモニタ73はモータ51~59が出力するトルクをトルク率に依り表示する。トルクモニタ73は左右方向に並ぶ複数のブロックを表示する。トルクモニタ73はトルク率に応じてブロックの数が変動する。具体的には、トルクモニタ73が表示するブロックの数はトルク率を10で割った値から小数点以下切り捨てた値である。トルクモニタ73は複数のブロックを枠72左端から目盛部79の目盛にあわせて右方に並べて表示する。トルクモニタ73は複数のブロックを目盛部79の目盛にあわせて最大30個並べる。
トルクモニタ73はトルク率の大きさに応じてブロックの色が変更する。トルクモニタ73は左右方向に並ぶブロックの内、左側から10個迄のブロックを緑色、左側から11個から20個迄のブロックを黄色、左側から21個から30個迄のブロックを赤色で表示する。
実効負荷モニタ74はモータ51~59の実効負荷を実効負荷率に依り表示する。実効負荷モニタ74は左右方向に並ぶ複数の白色のブロックを表示する。実効負荷モニタ74は実効負荷率に応じてブロックの数が変動する。具体的には、実効負荷モニタ74が表示するブロックの数は実効負荷率を10で割った値から小数点以下切り捨てた値である。実効負荷モニタ74は複数のブロックを枠72左端から目盛部79の目盛にあわせて右方に並べて表示する。CPU31は後述の主処理(図5参照)において実効負荷が定格値に達した時、エラー処理を実行する(S66)。該時、CPU31はモータ51~59の駆動を停止する。故に実効負荷モニタ74は複数のブロックを最大10個並べる。
過負荷予測表示75はモータ51~59の過負荷予測値を過負荷予測率に依り表示する。過負荷予測表示75は枠72下側に隣合って表示する。即ちモニタ71において、上から順にトルクモニタ73、実効負荷モニタ74、過負荷予測表示75が隣合って並ぶ。過負荷予測表示75は過負荷予測率に応じて左右方向の位置が目盛部79の目盛にあわせて変化する。過負荷予測表示75は過負荷予測率に応じて色が変更する。過負荷予測表示75は過負荷予測率が0%以上90%未満の時に白色、90%以上100%未満の時に橙色、100%以上の時に赤色で表示する。過負荷予測値は実効負荷の予測値であるので、過負荷予測表示75は過負荷予測率を目盛部79の目盛にあわせて最大300%迄表示する。
飽和表示76はモータ51~59が出力するトルクが瞬時最大トルクに到達した時、名称部77左側に表示する。以下トルクが瞬時最大トルクに到達することを、トルクが飽和するという。CPU31はモータ51~59が出力するトルクが飽和した時から所定時間、飽和表示76を表示画面70に表示する。
図3~図5を参照し、主処理を説明する。主処理は表示画面70の表示を制御する為の処理である。工作機械1の電源を投入すると、CPU31はROM32に記憶した制御プログラムを読み出し、主処理を実行する(図3参照)。
CPU31が主処理で使用するフラグを説明する。RAM33は変更フラグ、飽和フラグ等を記憶する。変更フラグは運転プログラムを変更する時、値を1に設定し、変更した運転プログラムを実行する時、値を0にする。飽和フラグはモータ51~59の何れかが出力するトルクが飽和する時、値を1に設定し、飽和表示76の表示を消去する時、値を0にする。主処理の開始時、変更フラグ、飽和フラグは夫々0である。
図3の如く、CPU31は運転プログラム変更指示を受信したか否かを判断する(S1)。作業者は運転プログラムを変更する時、入力部22を操作する。運転プログラムの変更がないと判断した時(S1:NO)、CPU31は処理をS4に移行する。運転プログラムの変更があると判断した時(S1:YES)、CPU31は入力部22の操作に応じた運転プログラムに変更し(S2)、変更フラグの値を1にし(S3)、処理をS4に移行する。
CPU31は作業者に依る運転開始指示を受信したか否かを判断する(S4)。作業者は運転プログラムの実行を開始する時、入力部22を操作する。入力部22の操作がないと判断した時(S4:NO)、CPU31は処理をS1に戻す。入力部22の操作があったと判断した時(S4:YES)、CPU31は処理をS11に移行する。該時、CPU31は運転プログラムの実行を開始する。
CPU31は変更フラグの値に基づき、今回実行する運転プログラムと前回実行した運転プログラムとで変更したか否かを判断する(S11)。変更フラグの値が0であり、運転プログラムを変更していない時(S11:NO)、CPU31は処理をS21(図4参照)に移行する。変更フラグの値が1であり、運転プログラムを変更した時(S11:YES)、CPU31はモニタ71から過負荷予測表示75の表示を消去した表示画面70を表示部21に出力する(S12)。CPU31は変更フラグの値を0にし(S13)、処理をS21に移行する。
図4の如く、CPU31はタイマ35からタイマ信号を受信したか否かを判断する(S21)。タイマ35からタイマ信号を受信する迄(S21:NO)、CPU31は処理を待機する。タイマ35からタイマ信号を受信した時(S21:YES)、CPU31はトルク計算処理を実行する(S22)。トルク計算処理において、CPU31は電流検出部41b~49bの検出結果に基づきモータ51~59夫々が出力するトルクを計算する。CPU31はS22の計算結果に基づきモータ51~59夫々が出力するトルク率を評価する(S23)。
CPU31はトルク飽和判定処理を実行する(S24)。トルク飽和判定処理において、CPU31はS22の計算結果に基づきモータ51~59が出力するトルクが飽和したか否かを判定する。CPU31はS24の判定結果に基づきモータ51~59が出力するトルクの何れかが飽和したか否かを判断する(S31)。モータ51~59が出力するトルクが何れも飽和していない時(S31:NO)、CPU31は処理をS41(図5参照)に移行する。
モータ51~59が出力するトルクの何れかが飽和した時(S31:YES)、CPU31は所定時間の計時を開始し(S32)、飽和したモータ51~59に対応する名称部77左側に飽和表示76を表示したモニタ71を表示部21に出力する(S33)。CPU31はモータ51~59が出力するトルクが飽和した旨をトルク飽和履歴として記憶装置34に記憶し(S34)、飽和フラグの値を1にし(S35)、処理をS41に移行する。
作業者はトルク飽和履歴を確認する時、入力部22を操作する。主処理と異なる処理において、トルク飽和履歴を確認する操作を受信した時、CPU31は飽和履歴表示80を表示画面70と異なる画面で表示する(図6参照)。飽和履歴表示80は飽和した時の日時、その運転プログラム名、実行したブロックの行番号、ブロックの具体的な内容を表示する。
図5の如く、CPU31は飽和フラグの値に基づきモニタ71に飽和表示76を表示中であるか否かを判断する(S41)。飽和フラグの値が0であり、モニタ71に飽和表示76を表示中でない時(S41:NO)、CPU31は処理をS51に移行する。飽和フラグの値が1であり、モニタ71に飽和表示76を表示中である時(S41:YES)、CPU31はS32で計時を開始時から所定時間経過したか否かを判断する(S42)。所定時間経過していない時(S42:NO)、CPU31は処理をS51に移行する。
所定時間経過した時(S42:YES)、CPU31はS32を開始した計時を終了し(S43)、表示中のモニタ71から飽和表示76の表示を消去する(S44)。CPU31は飽和フラグの値を0にし(S45)、処理をS51に移行する。
CPU31は実効負荷計算処理を実行する(S51)。実効負荷計算処理において、CPU31は電流検出部41b~49bの検出結果に基づきモータ51~59夫々の実効負荷を計算する。CPU31はS22で計算したモータ51~59が出力するトルクに基づきトルクモニタ73を表示画面70に表示し、S51で計算したモータ51~59の実効負荷に基づき実効負荷モニタ74を表示画面70に表示して表示部21に出力する(S52)。S52において、CPU31はS23での評価結果に応じてトルクモニタ73の複数のブロックを色分けして表示画面70に表示する。CPU31は過負荷予測計算処理を実行する(S53)。過負荷予測計算処理において、CPU31はS51の計算結果に基づきモータ51~59夫々の過負荷予測値を計算する。CPU31は処理をS61に移行する。
CPU31はS51の計算結果に基づき実効負荷が定格値より小さいか否かを判断する(S61)。実効負荷が定格値以上である時(S61:NO)、運転プログラムに応じたモータ51~59の駆動でモータ51~59が高熱になったとして、CPU31はエラー処理を実行する(S66)。エラー処理において、CPU31は運転プログラムの実行を停止して、モータ51~59の駆動の制御を停止する。
実効負荷が定格値より小さい時(S61:YES)、CPU31は運転プログラムの実行を終了するか否かを判断する(S62)。運転プログラムを実行中である時(S62:NO)、CPU31は処理をS21(図4参照)に戻す。CPU31はS21~S62を繰返し実行し、トルクモニタ73、実効負荷モニタ74夫々の表示を更新し、過負荷予測値を運転プログラムもにあわせて繰返し計算する。
運転プログラムの実行を終了する時(S62:YES)、CPU31はS53の計算結果に基づきモータ51~59夫々の過負荷予測率を評価する(S64)。CPU31はS53で計算したモータ51~59夫々の過負荷予測値に基づき過負荷予測表示75を表示した表示画面70を表示部21に出力する(S65)。CPU31はS64での評価結果に応じた色で過負荷予測表示75を表示画面70に表示する。CPU31は処理をS1(図3参照)に戻す。
以上の如く、数値制御装置30はモータ51~59に入力する駆動電流の大きさを検出する電流検出部41b~49bを備える。CPU31は電流検出部41b~49bの検出結果に基づきモータ51~59が出力するトルク(S22)、実効負荷(S51)を計算する。CPU31はS22で計算したモータ51~59が出力するトルクを表示するトルクモニタ73と、S51で計算したモータ51~59の実効負荷を表示する実効負荷モニタ74とが隣合う表示画面70を表示部21に出力する(S52)。数値制御装置30はトルクモニタ73と実効負荷モニタ74を含む同一画面の表示画面70を出力する。故に数値制御装置30において、作業者は表示画面70に基づき運転中の工作機械1における複数の情報を容易に把握できる。
実効負荷モニタ74は複数のブロックの数で実効負荷率を表示する。実効負荷モニタ74はモータ51~59の実効負荷率に応じてブロックの数が変動する。故に数値制御装置30において、作業者は実効負荷の定格値に対して加工中における実効負荷が大きいか小さいかを評価し易い。
CPU31は運転プログラムの実行中、CPU31はタイマ35が一定間隔で出力するタイマ信号を受信した時(S21:YES)、モータ51~59が出力するトルク(S22)、実効負荷(S51)を計算し、計算結果に基づいてトルクモニタ73、実効負荷モニタ74の表示を更新する(S52)。故に数値制御装置30において、作業者は運転中に変動するトルクと実効負荷を把握し易い。
CPU31はモータ51~59が出力するトルクが飽和したか否かを判定するトルク飽和判定処理を実行する(S24)。CPU31はモータ51~59が出力するトルクが飽和したと判断した時(S31:YES)、トルクが飽和したモータ51~59に対応する名称部77左側に飽和表示76を表示した表示画面70を表示部21に出力する(S33)。故に数値制御装置30において、作業者はモータ51~59が出力するトルク、実効負荷を表示する表示画面70に基づき、モータ51~59が出力するトルクが飽和したことを容易に把握できる。
CPU31はモータ51~59が出力するトルクが飽和したと判断した時(S31:YES)、所定時間の計時を開始する(S32)。CPU31は飽和表示76を表示中、所定時間が経過したか否かを判断する(S42)。CPU31はモータ51~59が出力するトルクが飽和したと判断してから、所定時間が経過したと判断する迄、飽和表示76を表示した表示画面70を出力する。数値制御装置30はモータ51~59が出力するトルクが飽和する時、所定時間の間、飽和表示76を表示する。故に数値制御装置30において、作業者は短時間の間だけモータ51~59が出力するトルクが飽和した時でも、飽和表示76に依りモータ51~59が出力するトルクが飽和したことを把握できる。
CPU31は運転プログラムに基づき軸制御部41a~49aを介してモータ51~59の駆動を制御する。CPU31は一回の運転プログラムの実行における実効負荷に基づき、過負荷予測値を計算する(S53)。CPU31は運転プログラムの実行を終了する時、計算したモータ51~59の過負荷予測値に基づき過負荷予測表示75を実効負荷モニタ74に隣合うように表示した表示画面70を表示部21に出力する(S65)。故に数値制御装置30において、作業者はモータ51~59が出力するトルク、実効負荷を表示する表示画面70に基づき、モータ51~59の過負荷予測値を容易に把握できる。
CPU31は作業者の操作に応じて実行する運転プログラムを変更する時(S1:YES)、変更フラグの値を1にする(S3)。CPU31は変更フラグに基づき今回実行する運転プログラムと前回実行した運転プログラムとで変更したか否かを判断する(S11)。CPU31は実行する運転プログラムを変更した時(S11:YES)、CPU31はモニタ71から過負荷予測表示75の表示を消去した表示画面70を表示部21に出力する(S12)。故に数値制御装置30は前回実行した加工プログラムの過負荷予測値を今回実行する加工プログラムの過負荷予測値と作業者が誤認することを抑制できる。
過負荷予測表示75は過負荷予測率に応じてモニタ71における左右方向の位置が変化する。故に数値制御装置30において、作業者は実効負荷の定格値に対して過負荷予測値が大きいか小さいかを評価し易く、同じ運転プログラムを連続して実行し続けた場合にモータ51~59の負荷がどこまであがるかを把握することができる。
CPU31は計算した過負荷予測値に基づき過負荷予測率を評価する(S64)。CPU31は評価結果に応じた色で過負荷予測表示75を表示画面70に表示する。故に数値制御装置30において、作業者は実効負荷の定格値に対して過負荷予測値が大きいか小さいかを評価し易く、同じ運転プログラムを連続して実行し続けた場合にモータ51~59の負荷がどこまであがるかを把握することができる。
上記実施形態において、モータ51~59が出力するトルクは本発明の瞬時出力の一例である。S22を実行するCPU31は本発明の瞬時出力算出部の一例である。S51を実行するCPU31は本発明の実効負荷算出部の一例である。トルクモニタ73は本発明の瞬時出力表示の一例である。実効負荷モニタ74は本発明の実効負荷表示の一例である。S52を実行するCPU31は本発明の表示出力部の一例である。S24、S31を実行するCPU31は本発明の飽和判定部の一例である。S32を実行するCPU31は本発明の表示計時部の一例である。S42を実行するCPU31は本発明の時間判定部の一例である。運転プログラムは本発明の加工プログラムの一例である。過負荷予測値は本発明の予測負荷の一例である。S53を実行するCPU31は本発明の予測負荷算出部の一例である。過負荷予測表示75は本発明の予測負荷表示の一例である。S11を実行するCPU31は本発明のプログラム判定部の一例である。S64を実行するCPU31は本発明の評価部の一例である。
本発明は上記実施形態の他に種々の変更ができる。トルクモニタ73、実効負荷モニタ74、過負荷予測表示75は文字、記号等によりモータ51~59が出力するトルク、実効負荷、過負荷予測値を表示してもよい。トルクモニタ73はトルクの瞬時最大トルクに対する比率でモータ51~59が出力するトルクを表示してもよい。トルクモニタ73、実効負荷モニタ74、過負荷予測表示75が表示するモータ51~59が出力するトルク、実効負荷、過負荷予測値の範囲は適宜変更してもよい。
CPU31はモータ51~59の何れか一つに対応するモニタ71のみを表示する表示画面を出力してもよい。該時、CPU31は他のモータ51~59に対応するモニタ71に切替可能に表示することが望ましい。
実効負荷モニタ74は目盛部79以外の目盛にあわせて複数のブロックを表示してもよい。CPU31は実効負荷が定格値に達した時、エラー出力(S66)を実行しなくてもよい。該時、実効負荷モニタ74は10個より大きい数のブロックを並べてもよい。CPU31は実効負荷率を評価してもよい。該時、CPU31は実効負荷率の評価結果に応じて実効負荷モニタ74の複数のブロックを色分けして表示画面70に表示してもよい。
CPU31はトルク率、過負荷予測率を評価しなくてもよい。該時、CPU31はトルクモニタ73の複数のブロック、過負荷予測表示75の色を変更しなくてもよい。モニタ71は過負荷予測表示75を枠72内に表示してもよい。例えばモニタ71は実効負荷モニタ74の複数のブロックの隙間に区切り線をいれることで過負荷予測値を表示してもよい。該時、区切り線は本発明の予測負荷表示の一例である。
飽和表示76はモータ51~59が出力するトルクが飽和している間のみ表示してもよい。CPU31は飽和履歴表示80を含む表示画面70を出力してもよい。
数値制御装置30はタイマ35を備えなくてもよい。該時、S21を省略してもよい。工作機械1の構成は適宜変更してもよい。工作機械1はモータ51~59の一部を備えなくてもよい。X軸モータ52、Y軸モータ53の少なくとも一方は主軸ではなくテーブルを移動してもよい。
CPU31が図3~図5の処理を実行する為の指令を含むプログラムはCPU31がプログラムを実行する迄に数値制御装置30の記憶機器に記憶すればよい。従って、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は適宜変更してもよい。CPU31が実行するプログラムはケーブル又は無線通信を介して他の装置から受信し、不揮発性メモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えばPC、ネットワーク網を介して数値制御装置30と接続するサーバを含む。
図3~図5の処理の各ステップについて、CPU31が実行する例に限定せず、他の電子機器(例えば、ASIC)が一部又は全部を実行してもよい。複数の電子機器(例えば、複数のCPU)が図3~図5の処理の各ステップを分散処理してもよい。図3~図5の処理の各ステップは適宜順序の変更、ステップの省略、及び追加してもよい。数値制御装置30上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等がCPU31からの指令に依り図3~図5の処理の一部又は全部を行ってもよい。実施形態で挙げた各種数値は単なる例示であり、適宜変更できる。
1 工作機械
21 表示部
30 数値制御装置
31 CPU
51~59 モータ
70 表示画面
73 トルクモニタ
74 実効負荷モニタ
75 過負荷予測表示
76 飽和表示

Claims (9)

  1. モータを備え、前記モータの出力に依り駆動して被削材を加工する工作機械の動作を制御する数値制御装置において、
    前記モータに入力する電流の大きさを検出する電流検出部と、
    前記電流検出部が検出する前記電流の大きさに基づき、前記モータに依る瞬時的な出力の大きさである瞬時出力を算出する瞬時出力算出部と、
    前記電流検出部が検出する前記電流の大きさに基づき、前記モータが連続して出力することに依り前記モータにかかる負荷の大きさである実効負荷を算出する実効負荷算出部と、
    前記瞬時出力を表示する瞬時出力表示と、前記実効負荷を表示する実効負荷表示とが隣合う表示画面を表示部に出力する表示出力部と
    前記モータの出力が飽和したか否かを判定する飽和判定部と
    を備え
    前記表示出力部は、前記モータの出力が飽和したと前記飽和判定部が判定した時、前記モータの出力が飽和していることを示す飽和表示を更に含んだ前記表示画面を出力し、
    前記飽和表示の表示時間を計時する表示計時部と、
    前記表示計時部が計時する前記表示時間が所定時間を経過したか否かを判定する時間判定部と
    を更に備え、
    前記表示出力部は、前記モータの出力が飽和したと前記飽和判定部が判定してから、前記表示時間が前記所定時間を経過したと前記時間判定部が判定する迄の間、前記飽和表示を更に含んだ前記表示画面を出力する
    ことを特徴とする数値制御装置。
  2. 前記実効負荷表示は、前記実効負荷の定格値に対する割合に応じて、変化する画像、数値の少なくとも一方に依り前記実効負荷を表示することを特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  3. 前記瞬時出力算出部及び前記実効負荷算出部は、所定の間隔で前記瞬時出力と前記実効負荷を夫々算出し、
    前記表示出力部は、前記瞬時出力算出部及び前記実効負荷算出部が前記瞬時出力と前記実効負荷を夫々算出したことに応じて、前記瞬時出力表示と前記実効負荷表示を更新した前記表示画面を出力する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の数値制御装置。
  4. モータを備え、前記モータの出力に依り駆動して被削材を加工する工作機械の動作を制御する数値制御装置において、
    前記モータに入力する電流の大きさを検出する電流検出部と、
    前記電流検出部が検出する前記電流の大きさに基づき、前記モータに依る瞬時的な出力の大きさである瞬時出力を算出する瞬時出力算出部と、
    前記電流検出部が検出する前記電流の大きさに基づき、前記モータが連続して出力することに依り前記モータにかかる負荷の大きさである実効負荷を算出する実効負荷算出部と、
    前記瞬時出力を表示する瞬時出力表示と、前記実効負荷を表示する実効負荷表示とが隣合う表示画面を表示部に出力する表示出力部と
    前記被削材を加工する為の加工プログラムに基づき、前記モータを制御する制御部と、
    前記制御部が前記加工プログラムを一回実行する時の前記実効負荷の大きさに基づき、前記制御部が前記加工プログラムを連続で繰返して実行した時の前記実効負荷である予測負荷を算出する予測負荷算出部と
    を備え
    前記表示出力部は、前記制御部が前記加工プログラムを一回実行した後、前記予測負荷を表示する予測負荷表示を更に含んだ前記表示画面を出力する
    ことを特徴とする数値制御装置。
  5. 前記実効負荷表示は、前記実効負荷の定格値に対する割合に応じて、変化する画像、数値の少なくとも一方に依り前記実効負荷を表示することを特徴とする請求項4に記載の数値制御装置。
  6. 前記瞬時出力算出部及び前記実効負荷算出部は、所定の間隔で前記瞬時出力と前記実効負荷を夫々算出し、
    前記表示出力部は、前記瞬時出力算出部及び前記実効負荷算出部が前記瞬時出力と前記実効負荷を夫々算出したことに応じて、前記瞬時出力表示と前記実効負荷表示を更新した前記表示画面を出力する
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の数値制御装置。
  7. 前記制御部が実行する前記加工プログラムと、前記制御部が前回に実行した前記加工プログラムとが異なるか否かを判定するプログラム判定部を更に備え、
    前記表示出力部は、前記制御部が実行する前記加工プログラムと、前記制御部が前回に実行した前記加工プログラムとが異なると前記プログラム判定部が判定した時、前記予測負荷表示を含んだ前記表示画面から前記予測負荷表示を除いて出力する
    ことを特徴とする請求項4~6の何れかに記載の数値制御装置。
  8. 前記予測負荷表示は、前記実効負荷の定格値に対する前記予測負荷の割合に応じて、変化する画像、数値の少なくとも一方に依り前記予測負荷を表示することを特徴とする請求項4~7の何れかに記載の数値制御装置。
  9. 前記予測負荷の前記定格値に対する割合を評価する評価部を更に備え、
    前記表示出力部は、前記評価部の評価結果に応じて決まる所定の色彩で着色した画像、数値の少なくとも一方に依り前記予測負荷を表示する
    ことを特徴とする請求項8に記載の数値制御装置。
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