JP4087374B2 - 負荷トルク監視機能を備えた数値制御装置 - Google Patents

負荷トルク監視機能を備えた数値制御装置 Download PDF

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本発明は、数値制御装置によって制御される機械のモータの状態を監視する監視機能を備えた数値制御装置に関する。
数値制御装置で制御される工作機械の主軸や送り軸のモータの負荷トルクを監視することによって、工具の破損や摩耗又は機械可動部(送り軸)の摩耗等を検出する機能を備える数値制御装置はすでに公知である。
この機能においては、検出しようとする対象によって、加工プログラム中の様々な機械動作の中から、負荷トルクを監視する部分を特定する必要がある。例えば、ドリルの摩耗や折損を検出するためには、ドリルによる穴あけ加工時の負荷トルクを監視するなどの、切削加工時の主軸や送り軸のモータの負荷トルクを監視する必要があり、切削時等の動作を特定する必要がある。又、機械の可動部(送り軸)の摩耗等を監視するには、可動部の送りに必要なトルクを検出できる動作を特定する必要がある。
そのため、従来は、加工プログラムにおいて負荷トルクを計測・監視しようとする部分を補助機能(Mコード)を用いて特定し、この補助機能により負荷トルク監視の信号をON/OFFするようにしている。加工プログラムにおいて、負荷トルクを監視しようとする箇所のプログラムの先頭に、この信号をONさせる補助機能を配置し、負荷トルク監視箇所の末尾に、この信号をOFFにさせる補助機能を配置することによって、プログラム指令により負荷トルクの監視箇所を指定するようにしている。
プログラム指令によって自由に負荷トルクを監視する箇所を指定することができるが、プログラムに負荷トルクを監視する箇所の前後にON、OFFの補助機能を配置しておかねばならず、負荷トルク監視箇所が多くなると、プログラム作業に多大な労力を要することになる。又、プログラムを変更する際にも同様な労力を要することになる。さらに、すでに作成され負荷トルクを監視するための補助機能が配置されていないプログラムに対しては、負荷トルクの監視ができないという問題もある。
又、数値制御装置が補助機能を実行する際には、数値制御装置内では、数値制御部からプログラマブルコントローラへ、又、プログラマブルコントローラから数値制御部へ信号の受け渡しが行われるため、補助機能の指令が増加すると、この信号の受け渡しの時間が増加し、加工のサイクルタイムが長くなるという不都合があった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を改善し、負荷トルク等のモータの状態を監視する箇所を容易に設定でき、加工サイクルタイムに格別影響を与えず、負荷トルク等のモータの状態を監視できる負荷トルク監視機能を備えた数値制御装置を提供することにある。
本願請求項1に係る発明は、工作機械の送り軸を駆動する送りモータの負荷トルク監視機能を備えた数値制御装置であって、加工プログラム中の、前記送りモータの負荷トルクの監視を行わないブロックのシーケンス番号を入力するシーケンス番号入力手段と、前記シーケンス番号入力手段により入力されたシーケンス番号を記憶するシーケンス番号記憶手段と、加工プログラムにおける実行中のブロックの指令が位置決め指令か否かを判定する位置決め指令検出手段と、加工プログラムの実行中のブロックのシーケンス番号と前記シーケンス番号記憶手段に記憶されたシーケンス番号とを比較するシーケンス番号比較手段とを備え、前記位置決め指令検出手段で実行中のブロックの指令が位置決め指令と判別され、前記シーケンス番号比較手段で、当該指令されたブロックのシーケンス番号が前記シーケンス番号記憶手段に記憶されたシーケンス番号と一致しないとき、位置決め動作中の送りモータの負荷トルクを監視する手段とを備えたことを特徴とする負荷トルク監視機能を備えた数値制御装置である。
又、請求項2に係る発明は、シーケンス番号入力手段を数値制御装置に接続された表示装置及びデータ入力手段で構成したものである。
本願発明は、位置決め動作時には、自動的にその位置決め動作で駆動される送り軸のサーボモータの負荷トルクが測定される。この場合において、シーケンス番号を指定して、位置決め動作でも負荷トルクを測定しないブロックを選定し、送り軸の可動部の摩耗等示す負荷トルクを、その摩耗度検出に適したブロックのみ選択することもできる。
図1は本発明の一実施形態の数値制御装置の要部と該数値制御装置で制御される工作機械の要部を示すブロック図である。
数値制御装置10はプロセッサ11,ROM12,RAM13,サーボ制御部14,表示器、タッチパネル制御部15、スピンドル制御部16等を備え、バス17で接続されている。プロセッサ11は、ROM12に格納されたシステムプログラムを読み出し、このシステムプログラムに従って、数値制御装置を全体的に制御する。RAM13は、一時的な計算データ、表示データ、図示していない入力インターフェースより入力された加工プログラム等が格納されるもので、特に本実施形態と関係して、後述する設定入力されるシーケンス番号等が記憶される。表示器、タッチパネル制御部15は、工作機械の各軸の現在位置、アラーム、各種パラメータ、画像データ等の画像信号、さらには、本実施形態に関係して、測定負荷トルク、負荷トルクの平均値、負荷トルクの最大値等の信号をタッチパネル付き表示器21に送信する。タッチパネル付き表示器21は、表示機能とデータ入力手段の機能を行うもので、このタッチパネル付き表示器21に上述した各種情報を表示する。又、後述するように、負荷トルクを測定するシーケンス番号やアラームを出すための負荷トルクの限界値等を設定する設定入力手段を構成する。
サーボ制御部14は、プロセッサやROM,RAMなどのメモリ等で構成され、加工プログラムに基づいて、数値制御装置10のメインプロセッサ11から送られてくる各送り軸(この実施形態では直交するX,Y,Z軸の送り軸を備えているものとしている)への移動指令を受け、各軸のサーボアンプ22x,22y,22zを介して、各軸サーボモータMx,My,Mzを駆動する。
又、各送り軸のサーボモータMx,My,Mzには、位置・速度検出用のパルスエンコーダが内蔵され、又、各サーボアンプ22x,22y,22zには各サーボモータMx,My,Mzの駆動電流を検出する電流検出器を備えている。サーボ制御部14は、メインプロセッサ11からの移動指令と、各パルスエンコーダ、及び各電流検出器からの位置、速度、電流のフィードバック信号に基づいて、位置ループ、速度ループ、電流ループの各処理を行い各送り軸のサーボモータMx,My,Mzの位置、速度を制御する。又、このサーボ制御部のプロセッサには、外乱推定オブザーバが組み込まれており、このオブザーバによって、各送り軸の負荷トルクを推定するようにしている。
スピンドル制御部16は、メインプロセッサ11からスピンドル回転指令及びオリエンテーション等の指令及び図示しないポジションコーダからのフィードバック信号に基づいてスピンドルアンプ23を介して主軸モータMsを指令された回転速度で回転させる。又、オリエンテーション指令により、所定位置に主軸モータMsの回転位置を位置決めする。又、このスピンドル制御部16にも外乱推定オブザーバが組み込まれ、主軸モータMsに加わる負荷トルクを推定し検出するようにしている。
上述した数値制御装置10及び工作機械のハードウエアの構成は、従来のものと差異はなく、本発明と関係してRAM13に、操作盤としてのタッチパネル付き表示器21から入力設定されるシーケンス番号等を記憶するメモリ部を設け、設定されたシーケンス番号によって、各送り軸モータや主軸モータの負荷トルクの測定・監視を制御する点で従来の数値制御装置と相違する。
工具の破損や摩耗を監視するには、工具により被加工物に対する切削がなされているとき、すなわち、切削指令(G01,G02,G03,G94等の指令)のブロックが実行されているときの主軸モータ及び送り軸のモータの負荷トルクを監視すれば、工具の破損、摩耗を検出することができる。
又、位置決め(早送り)指令(G00の指令)のブロック実行中は、工具による被加工物への切削は行われておらず、送り軸は早送りで駆動されるものであるから、このブロック実行中に早送りされる送り軸のサーボモータの負荷トルクを測定すれば、該送り軸で駆動される機械可動部の摩耗等を検出することができる。
そこで、予めシーケンス番号を設定しておき、設定されたシーケンス番号のブロックの実行時だけ負荷トルクを測定記憶する例について説明する。この例では、タッチパネル付き表示器21をシーケンス番号設定画面に切り替え、運転する加工プログラムに対して、負荷トルクを監視するブロックのシーケンス番号を入力設定する。図4、このようにして入力設定されたシーケンス番号(Nxxxx)のシーケンス番号記憶部の記憶状態を示す例である。
工作機械の運転が開始され加工プログラムが実行されると、プロセッサ11は、図2に示す処理を所定周期毎実行する。まず、現在実行中のブロックのシーケンス番号がシーケンス番号記憶部に設定されているシーケンス番号中に存在するか判断し(ステップa1)、一致するものが無ければ、当該処理周期の処理は終了する。一方、現在実行中のブロックのシーケンス番号と一致するシーケンス番号が設定記憶されていれば、現在実行中のブロックの指令が位置決め(早送り)指令か(G00指令か)判断し(ステップa2)、位置決め指令であれば、該実行中のブロックで駆動されている送り軸のサーボモータの負荷トルクを測定しRAM13に記憶する(ステップa4)。
又、ステップa2で位置決め指令ではない、すなわち切削送りと判断されたときには、主軸モータMs及び該ブロックで実行中の送り軸のサーボモータの負荷トルクを測定しRAM13に記憶する(ステップa3)。
前述したように、サーボ制御部14,スピンドル制御部16では、各送り軸のサーボモータMx,My,Mzに対する外乱推定オブザーバ、主軸モータMsに対する外乱推定オブザーバが組み込まれており、このオブザーバによって、各送り軸モータMx,My,Mz、主軸モータMsに加わる負荷トルクが求められている。このオブザーバによって求められた負荷トルクをステップa3、ステップa4で求めRAM13の所定記憶部に記憶する。
こうして測定され記憶された主軸モータMs、各送り軸のサーボモータMx,My,Mzの負荷トルクは、従来の数値制御装置が備える負荷トルク監視機能と同様に、図2とは異なるタスク処理で、その現在値、平均値、最大値が求められる。そして、タッチパネル付き表示器21を負荷トルク表示画面にセットすると、該画面に主軸モータ及び各送り軸のモータ毎に現在値、平均値、最大値が表示される。又、測定した負荷トルクの最大値が予め設定されている限界値を越えたときには、アラーム信号が出され表示色を変える。なお、この平均値、最大値を求め、負荷トルクの現在値、平均値、最大値を表示する点、測定負荷トルク最大値が限界値を越えたときアラーム表示する点は従来と同様であるから、詳細な説明は省略する。
上述した例では、設定したシーケンス番号のブロックで動作するモータの負荷トルクを測定するようにしたが、本実施形態では、位置決め動作のときは自動的に送り軸のサーボモータの負荷トルクを測定するようにする。位置決め(早送り)動作のとき、自動的に動作中の送り軸のサーボモータの負荷トルクを全て測定するようにしてもよい。しかし、この送り軸のサーボモータの負荷トルクを測定するのは、主に、サーボモータで駆動される送り軸の可動部の摩耗等を検出するためのものであり、送り軸の全移動領域にわたっての負荷トルクを求める必要があるが、移動量(早送り移動量)が小さく、繰り返される場合等では、加減速等の影響からこの負荷トルクが可動部の摩耗を表すファクタにはなり得ず逆に摩耗検出の阻害要因となる恐れがあることや、その他何らかの理由により測定せず負荷トルクの平均値に含めないようにするために、位置決め自動計測モードにおいては、負荷トルクを測定しないシーケンス番号を設定し、この設定されたシーケンス番号の位置決めブロックの実行時には、負荷トルクの測定は行わないようにしている。又、切削送り指令では負荷トルクの測定を行うようにしている。よって本実施形態においては、位置決め指令のブロックについては、負荷トルクの測定を行わないシーケンス番号を設定し、位置決め指令ではない、すなわち切削送り指令では負荷トルクの測定を行うシーケンス番号を設定する。
図3は、本実施形態における数値制御装置10のプロセッサ11が所定周期毎実行する処理のフローチャートである。
まず、位置決め自動計測モードにセットされているか否か判断し(ステップb1)、セットされていなければ、図2に示した例の処理と同じ処理を実行する。すなわち、図3におけるステップb5,b6,b7は図2に示す処理のステップa1,a2,a3の処理と同じである。又、ステップb4の処理は、図2のステップa4の処理と同じである。
位置決め自動計測モードがセットされていると、現在実行中のブロックが位置決め指令(G00の指令)のブロックか判断し(ステップb2)、位置決め指令のブロックでなければ、ステップb5に移行し、シーケンス番号が設定されていれば、主軸モータMsと動作中の送り軸のサーボモータの負荷トルクを測定し記憶する(ステップb7)。又、シーケンス番号が設定されていなければ、ステップb5からそのまま当該周期の処理を終了する。
一方、ステップb2で、位置決め指令のブロックを実行していると判断されたときには、当該ブロックのシーケンス番号が設定されているか判別し(ステップb3)、設定されてなければ、該ブロックで動作指令が出されている送り軸のサーボモータの負荷トルクを測定し記憶する(ステップb4)。しかし、ステップb3でシーケンス番号が設定されていることを検出すると、負荷トルクを測定することなく当該周期の処理を終了する。
このように、この実施形態では、位置決め自動計測モードに設定されていなければ、シーケンス番号が設定されている切削送り指令のブロックでは、主軸モータと、動作中の送り軸のサーボモータの負荷トルクが測定され、シーケンス番号が設定されている位置決めブロックでは、該ブロックで指令され動作中の送り軸のサーボモータの負荷トルクが測定され記憶される。
又、位置決め自動計測モードにセットされていれば、位置決めブロックでは動作中の送り軸のサーボモータの負荷トルクの測定が標準となり、例外としてシーケンス番号が設定されている位置決めブロックについては、送り軸のサーボモータの負荷トルクの測定を行わないものとなる。なお、シーケンス番号が設定されている切削送り指令のブロックでは、主軸モータと、送り軸のサーボモータの負荷トルクが測定される。なお、位置決め自動計測モードで、全ての位置決めブロックにおいて、そのブロックで動作中の送り軸のサーボモータの負荷トルクを測定する場合には、ステップb3の処理をなくし、ステップb2で位置決めブロックの実行中と判断されたときにはステップb4に移行することになる。
上述した実施形態では、主軸モータや各送り軸のサーボモータの負荷トルクを外乱推定オブザーバで推定することによって負荷トルクを監視した例を述べたが、オブザーバを設けない場合には、モータの駆動電流の大きさを負荷トルクの大きさとして検出するようにしてもよい。この場合、モータ駆動電流の測定は、各モータの電流検出器で検出されフィードバックされる電流フィードバック信号を測定してもよく、又は速度ループから出力される電流指令(トルク指令)を負荷トルクとみなし測定するようにしてもよい。
さらに、負荷トルク以外にも、フィードバックされてくるモータの速度フィードバック信号や位置ループから出力される速度指令に基づくモータの速度、位置ループ処理で求められるエラー量(位置誤差)、さらには、熱シミュレーションによって得られる熱量等のモータの状態を、シーケンス番号で動作ブロックを指定することによって監視するようにしてもよい。例えば、ある特定の動作を実行するブロックの主軸モータや送り軸サーボモータの速度やエラー量、熱量を測定することによって、その指定されたブロックでのモータ動作状態を監視することができる。
本発明の一実施形態の数値制御装置の要部と該数値制御装置で制御される工作機械の要部のブロック図である。 シーケンス番号によって、負荷トルクを測定記憶する処理の例のフローチャートである。 本発明の一実施形態の処理フローチャートである。 同実施形態におけるシーケンス番号の設定記憶状態を示す説明図である。
符号の説明
10 数値制御装置
21 タッチパネル付き表示器
22x,22y,22z サーボアンプ
Mx,My,Mz サーボモータ
Ms 主軸モータ

Claims (2)

  1. 工作機械の送り軸を駆動する送りモータの負荷トルク監視機能を備えた数値制御装置であって、加工プログラム中の、前記送りモータの負荷トルクの監視を行わないブロックのシーケンス番号を入力するシーケンス番号入力手段と、
    前記シーケンス番号入力手段により入力されたシーケンス番号を記憶するシーケンス番号記憶手段と、
    加工プログラムにおける実行中のブロックの指令が位置決め指令か否かを判定する位置決め指令検出手段と、
    加工プログラムの実行中のブロックのシーケンス番号と前記シーケンス番号記憶手段に記憶されたシーケンス番号とを比較するシーケンス番号比較手段とを備え、
    前記位置決め指令検出手段で実行中のブロックの指令が位置決め指令と判別され、前記シーケンス番号比較手段で、当該指令されたブロックのシーケンス番号が前記シーケンス番号記憶手段に記憶されたシーケンス番号と一致しないとき、位置決め動作中の送りモータの負荷トルクを監視する手段とを備えたことを特徴とする負荷トルク監視機能を備えた数値制御装置。
  2. 前記シーケンス番号入力手段は数値制御装置に接続された表示装置及びデータ入力手段による操作盤であることを特徴とする請求項1に記載の負荷トルク監視機能を備えた数値制御装置。
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