このように、フラッシュ面材は、縦枠材及び横枠材を枠状に連結した四周枠内に多数本の桟材が配置されて固定された基材を備えている。その四周枠及び桟材の厚さは互いに同じとされ、基材の表裏面において四周枠及び桟材が面一状に位置している。この面一となった基材の表裏面にそれぞれ面材を一体的に貼り付けることで、フラッシュ面材が形成されるようになっている。
ところで、フラッシュ面材をフラッシュドアとして用いる場合等では、ドアの遮音効果が必要とされる。この遮音効果を達成するために、従来、例えば以下に説明するような方法がある。
まず、ドアの重量(面密度)を上げる方法が一般的である。しかし、ドアの重量を増すとそれに見合った金具を設定する必要があり、市販の木製建具用金具の流用が難しくなり、仮に流用できたとしても扉のサイズが限定されてしまうので、大きな開口等への対応が困難となる。
具体的には、例えばドア基材の四周枠や桟材の間に形成される空隙に、該枠材や桟材に対し、相対的に密なMDFやパーティクルボードからなる遮音面材を充填したり、表裏に貼り付けるMDFの厚みを厚くしたりすることで、遮音性を向上させることができる。この場合、ドア全体の重量が上がり、建具用金具の大型化を招き、好ましくない。
また、別の方法としては、フラッシュ枠内に存在する空隙内にグラスウール、オレフィン系樹脂繊維やポリエステル繊維からなる吸音ウールや、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂からなる軽量発泡体等の多孔質吸音材を充填することで、上記空隙内の共鳴による特定音域の問題点(いわゆる太鼓現象)を軽減するという方法もある。
具体的には、例えばドア基材の四周枠や桟材の間に形成される空隙に、該枠材や桟材に対し相対的に疎なグラスウールや樹脂発泡体からなる吸音材を充填し、空隙固有の音域が共鳴することによるいわゆる太鼓現象を防ぎ、その吸音材の吸音効果により遮音性能を得るようにしてもよい。
さらに、別の方法としては、ドアの剛性を上げることでフラッシュ枠内に存在する空隙内で共鳴する音域を高くし、遮音し難い低音域の音を共鳴しないようにして遮音性を向上させる方法もある。すなわち、遮音を考えるときには、低音域よりも高音域の音の方が遮音し易いことから、ドアの剛性を上げることで、空隙で共鳴する音を高音域に寄せて低音域が共鳴しないようにし、遮音性が上がることになる。
具体的には、例えばフラッシュドア内に使用する縦横の桟材の本数を増やすという方法により剛性は向上する。
一方、ドアを通して音が伝播するのは、ドアの一方の表面側から入射した音エネルギーが、ドア基材の四周枠や桟材を通じて他方の表面側に伝播され、その他方の表面側から放出されるからである。そのため、上記の方法のように四周枠や桟材の間に形成される空隙に吸音材を充填したとしても、この音エネルギーの伝播を十分に阻止することは困難であった。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、フラッシュ面材の基材の構造について工夫を加え、その基材の四周枠や桟材の間に形成される空隙を旨く活用するようにして、上記3つの方法に加えた4つ目の遮音方法を提案することにより、フラッシュ面材の重量の増大等を招くことなく、遮音性能を向上させるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、四周枠内に配置される桟材の少なくとも一部をその長さ方向の少なくとも中間部が薄肉化された軽量桟材で構成し、軽量桟材の薄肉部において、桟材と表裏の面材との間で音エネルギーの伝搬という関係をなくす(面材と桟材との縁を切る)ことで、表側の面材から裏側の面材への音エネルギーの直接の伝搬を防ぐようにした。
具体的には、第1の発明は、所定の厚さを有する2本の縦枠材及び2本の横枠材が矩形枠状に連結された四周枠と、該四周枠で囲われた内部に固定された複数本の桟材とを備えてなり、表裏面に面材が固定されるように構成されたフラッシュ面材用基材が対象である。
そして、この基材の桟材の少なくとも一部は複数本の軽量桟材で構成されている。各軽量桟材は、長さ方向の中間部に四周枠の厚さよりも薄い薄肉部を有する桟材からなり、各軽量桟材の厚さ方向に対向する第1及び第2側面のうちの第1側面は、軽量桟材の長さ方向全体に亘り上記四周枠と面一に配置され、各軽量桟材の第2側面には、上記薄肉部により該薄肉部を底面とする凹陥部が設けられている。そして、複数本の軽量桟材は、互いに一定の間隔をあけかつ隣り合う軽量桟材の凹陥部が交互に表方向又は裏方向に開口するように配置されており、上記軽量桟材は上記四周枠又は軽量桟材以外の他の桟材に対し、軽量桟材の長さ方向の端面が四周枠又は軽量桟材以外の他の桟材に当接しかつ軽量桟材の上記第1側面が四周枠及び他の桟材と面一になった状態で固定されていることを特徴とする。
この第1の発明では、フラッシュ面材用基材において、四周枠内に固定された複数本の桟材の少なくとも一部が複数本の軽量桟材となっており、各軽量桟材は、長さ方向の少なくとも中間部に四周枠の厚さよりも薄い薄肉部を有し、この薄肉部によって薄肉部を底面とする凹陥部が形成されている。この軽量桟材が四周枠内に固定された状態では、軽量桟材の長さ方向端部の固定部の端面が四周枠又は軽量桟材以外の他の桟材に当接しかつ軽量桟材の第1側面が四周枠及び他の桟材と面一になる。すなわち、各軽量桟材の第1側面は、四周枠及び他の桟材の表裏面の一方と面一になるが、これらの面に対し各軽量桟材の第2側面は、薄肉部において四周枠及び他の桟材の表裏面の他方と面一とならない。そして、上記面一の位置にある四周枠の表裏面、各軽量桟材の薄肉部の第1側面、及び他の桟材の表裏面に対し表裏の面材が固定されることで、フラッシュ面材が構成される。
このフラッシュ面材においては、上記各軽量桟材の凹陥部内に空隙部が形成されており、この空隙部により各軽量桟材が凹陥部において面材と接触せず、フラッシュ面材の内部に各軽量桟材と表裏の面材との間の結合固定を遮断する空間が形成される。仮に、桟材が全体に亘って表裏の面材に当接して結合固定されている場合、フラッシュ面材の表裏面材の一方から入射した音エネルギーが、桟材を通じて他方の面材に伝播されることで、遮音性が落ちる。これに対し、本願発明のように、面材と基材との結合部分が基材における軽量桟材の凹陥部内の空隙部で部分的に遮断されているので、その遮断部分では直接的な音エネルギーの伝搬を防ぐことができる。すなわち、フラッシュ面材の例えば表面側から入射した音エネルギーが桟材を通じて裏面側へ直接的に伝播されようとしても、その伝播は軽量桟材の凹陥部内にある空隙部の空間において遮断されることとなる。このような、表面側から入射した音エネルギーの裏面側への直接的な伝搬の遮断により、フラッシュ面材の遮音性能を高めることができる。
しかも、軽量桟材は、長さ方向の少なくとも中間部に凹陥部が形成されているので、その凹陥部の分だけ重さが軽くなる。この軽量となった軽量桟材をフラッシュ面材用基材に用いることで、該基材ないしフラッシュ面材の重さも軽くなり、フラッシュ面材の軽量化を図ることができる。これらの結果、フラッシュ面材の重量を増すことなく、その遮音性能を高めることができることとなる。そして、こうしてフラッシュ面材が軽量化できるため、フラッシュ面材をドアパネルとして用いる場合に、支持金具(吊車や戸車、丁番等)の強度的な制約を受け難くなる。また、軽量化によりドアの操作性や安全性にも優れる。
また、軽量桟材は、長さ方向の少なくとも中間部に凹陥部が形成されているので、その凹陥部の形成されている第2側面側の強度が反対側(第1側面側)よりも低くなる強度分布が生じる。そのため、複数本に並んだ軽量桟材の凹陥部の開口方向がいずれも表方向又は裏方向の一方で同じ方向である場合、それらの軽量桟材による基材の強度に偏りが生じ、基材に対する面材の固定が不安定になり、フラッシュ面材に反りや膨れ、人や物との衝突時の強度不足等が生じる可能性がある。しかし、この発明では、複数本に並んだ軽量桟材の凹陥部の開口方向が交互に逆向きであるので、面材が基材の表裏において安定して固定され、上記のフラッシュ面材の反りや膨れ、衝突時の強度不足等を防止することができる。
第2の発明は、第1の発明のフラッシュ面材用基材において、各軽量桟材は、長さ方向の中間部に薄肉部を有していて、該薄肉部を除く長さ方向の両端部が四周枠と同じ厚さの厚肉部とされた略コ字状の桟材であり、薄肉部及び厚肉部の第1側面は互いに面一とされていることを特徴とする。
この第2の発明では、軽量桟材は、長さ方向両端部に厚肉部を、また中間部に薄肉部をそれぞれ備えた略コ字状のものであり、その軽量桟材の長さ方向の中間部に位置する薄肉部によって凹陥部が設けられている。この軽量桟材が四周枠内に固定された状態では、長さ方向端部の厚肉部の端面が四周枠又は軽量桟材以外の他の桟材に当接しかつ厚肉部の第1及び第2側面が四周枠及び他の桟材の表裏面と面一になる。すなわち、四周枠の表裏面、各軽量桟材の厚肉部の第1及び第2側面、及び他の桟材の表裏面が互いに面一になるが、これらの面に対し各軽量桟材の薄肉部の第2側面が面一とならない。そして、上記面一の位置にある四周枠の表裏面、各軽量桟材の厚肉部の第1及び第2側面、及び他の桟材の表裏面に対し表裏の面材が固定されることで、フラッシュ面材が構成される。
この構造のフラッシュ面材においても、上記各軽量桟材の長さ方向中間部にある薄肉部による凹陥部内に空隙部が形成されており、この空隙部により、フラッシュ面材の内部に各軽量桟材と表裏の面材との間の結合を遮断する空間が形成される。フラッシュ面材の例えば表面側から入射した音エネルギーが桟材を通じて裏面側へ直接的に伝播されようとするときに、その伝播が軽量桟材の凹陥部内にある空隙部の空間において遮断される。このような音エネルギーの伝播遮断により、フラッシュ面材の重量を増すことなく、フラッシュ面材の遮音性能を高めることができる。
また、軽量桟材自体に長さ方向中間部の薄肉部を長さ方向両端の厚肉部と共に形成しているので、その略コ字状の軽量桟材を予め用意しておいて、その厚肉部の第1及び第2側面を四周枠及び他の桟材の表裏面と面一に固定するだけで、薄肉部により凹陥部が形成されるようになり、軽量桟材の四周枠及び他の桟材との固定作業や凹陥部の形成を容易に行うことができる。
第3の発明は、第2の発明のフラッシュ面材用基材において、軽量桟材は、薄肉部と同じ厚さ及び幅を有する角材状の桟基材と、該桟基材の長さ方向両端部の同じ側面にそれぞれ固定されて一体化された厚さ調整材とからなるものであることを特徴とする。
この第3の発明では、桟基材の長さ方向両端部の同じ側面に厚さ調整材が固定され、その桟基材の両端部と厚さ調整材とで厚肉部が、また両端部以外の桟基材で薄肉部がそれぞれ構成される。このことで軽量桟材を容易に製造することができる。
第4の発明は、第2の発明のフラッシュ面材用基材において、軽量桟材は、厚肉部と同じ厚さ及び幅を有する角材状の桟基材の厚さ方向の一側面において、該桟基材の長さ方向の中間部を両端部が残るように切り欠くことで形成されたものであることを特徴とする。
この第4の発明では、桟基材の厚さ方向の一側面のうち、桟基材の長さ方向の中間部が切り欠かれ、その切欠き部分で薄肉部が、また切り欠かれていない両端部で厚肉部がそれぞれ構成される。このことで軽量桟材を容易に製造することができる。
第5の発明は、第1の発明と同様に、所定の厚さを有する2本の縦枠材及び2本の横枠材が矩形枠状に連結された四周枠と、該四周枠で囲われた内部に固定された複数本の桟材とを備えてなり、表裏面に面材が固定されるように構成されたフラッシュ面材用基材が対象である。
そして、上記桟材の少なくとも一部は複数本の軽量桟材で構成され、各軽量桟材は、長さ方向の全体が上記四周枠の厚さよりも薄い桟材からなり、各軽量桟材の厚さ方向に対向する第1及び第2側面のうちの第1側面は、軽量桟材の長さ方向全体に亘り上記四周枠及び他の桟材の表裏面と面一に配置されている一方、各軽量桟材の第2側面は、四周枠及び他の桟材の表裏面の一方に片寄った位置に配置され、各軽量桟材の第2側面と四周枠及び他の桟材とにより該第2側面を底面とする凹陥部が設けられている。また、上記複数本の軽量桟材は、互いに一定の間隔をあけかつ隣り合う軽量桟材の第2側面を底面とする凹陥部が交互に表方向又は裏方向に開口するように配置されており、軽量桟材は上記四周枠又は軽量桟材以外の他の桟材に対し、軽量桟材の長さ方向の端面が四周枠又は軽量桟材以外の他の桟材に当接しかつ軽量桟材の上記第1側面が四周枠及び他の桟材と面一になった状態で固定されていることを特徴とする。
この第5の発明では、各軽量桟材は、その長さ方向の全体が四周枠の厚さよりも薄い薄肉の桟材からなり、厚さが長さ方向の全体に亘り一定の角材状のもの、或いは厚さが長さ方向の全体に亘って異なるものとされている。このような軽量桟材でも、その第2側面が、四周枠及び他の桟材の表裏面の一方に片寄った位置に配置されているので、この各軽量桟材の第2側面と四周枠及び他の桟材とにより第2側面を底面とする凹陥部が設けられている。この軽量桟材の長さ全体に亘る第2側面を底面とする凹陥部内に空隙部が形成されており、この空隙部により、フラッシュ面材の内部に各軽量桟材と表裏の面材との間の結合を遮断する空間が形成される。よって、第1の発明と同様に、フラッシュ面材の例えば表面側から入射した音エネルギーが桟材を通じて裏面側へ直接的に伝播されることを軽量桟材の凹陥部内にある空隙部の空間で遮断でき、フラッシュ面材の重量を増すことなく、フラッシュ面材の遮音性能を高めることができる。
尚、各軽量桟材は、第2側面が四周枠及び他の桟材の表裏面の一方に片寄った状態で固定されており、その軽量桟材の固定の際には、片寄った分だけの厚さを持った治具を用意し、その治具を軽量桟材に重ねながらタッカー止め等で固定することで、四周枠及び他の桟材と面一に固定することができる。
第6の発明はフラッシュ面材に係り、このフラッシュ面材は、第1~第5の発明のいずれか1つのフラッシュ面材用基材の表裏面にそれぞれ面材が四周枠を覆うように貼着されていることを特徴とする。
この第6の発明では、第1の発明と同様に、遮音性能に優れかつ軽量のフラッシュ面材が得られる。
第7の発明は、第6の発明のフラッシュ面材において、フラッシュ面材用基材の縦枠材、横枠材、桟材又は軽量桟材の間でかつ面材に囲まれた部分に吸音材が充填されていることを特徴とする。
この第7の発明では、フラッシュ面材の内部において、フラッシュ面材用基材の縦枠材、横枠材、桟材又は軽量桟材の間でかつ面材に囲まれた部分に吸音材が充填されており、この吸音材によりフラッシュ面材の遮音性能をより一層高めることができる。
第8の発明は、第6又は第7の発明のフラッシュ面材において、フラッシュ面材用基材の縦枠材、横枠材又は桟材に、開口枠にフラッシュ面材を吊り下げるための吊部材が取付可能であり、フラッシュ面材は該吊部材により開口枠から吊り下げられて使用されることを特徴とする。
この第8の発明では、開口枠から吊部材により吊り下げられて使用されるフラッシュ面材の遮音性能の向上と軽量化とを併せ図ることができる。
第9の発明は、第6又は第7の発明のフラッシュ面材において、フラッシュ面材用基材の縦枠材、横枠材又は桟材に、開口枠にフラッシュ面材を移動可能に支持するための可動部材が取付可能であり、フラッシュ面材は該可動部材により開口枠に支持されて使用されることを特徴とする。
この第9の発明では、開口枠に可動部材により支持されて使用されるフラッシュ面材の遮音性能の向上と軽量化とを併せ図ることができる。
以上説明したように、本発明によると、フラッシュ面材用の基材として、四周枠に配置固定される桟材の少なくとも一部を、長さ方向の少なくとも中間部に他の部分よりも厚さの薄い薄肉部を備えた軽量桟材を用い、軽量桟材の薄肉部によって面材との間で音エネルギーの伝播を遮断するようにしたことにより、基材ないしフラッシュ面材を軽量にしながら、音エネルギーの伝播軽減効果を得ることができ、フラッシュ面材の軽量化及び遮音性能の向上を併せ図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
図8は、本発明の実施形態1に係るフラッシュ面材Aを分解した状態で示し、このフラッシュ面材Aは、図示しないが、例えば建物の開口枠に吊り下げられて移動する吊戸、或いは開口枠に支持されて移動する引戸、開き戸、折れ戸等のドアパネルとして用いられる。
フラッシュ面材Aは、通常のものの構造と同様に、フラッシュ面材用基材A1(芯材)の表裏面にそれぞれ表側及び裏側の面材A2,A2が接着により一体に貼り付けられたものである。基材A1及び各面材A2はいずれも構成要素が例えば木質材からなっており、フラッシュ面材Aは木製とされている。尚、「表」及び「裏」は便宜上使用するもので、基材A1及びフラッシュ面材Aの厚さ方向に対向する一側を「表」とし、他側を「裏」としている。
図1~図3に示すように、上記フラッシュ面材用基材A1は例えば木質材からなる四周枠1を備え、この四周枠1は、左右2本の縦枠材2,2と上下2本の横枠材3,4とが矩形枠状に連結されたものである。縦枠材2,2及び横枠材3,4は、いずれも同じ所定の厚さ(例えば34mm)及び幅(例えば60mm)を有する。上横枠材3は断面矩形状の通常の角材であるが、下横枠材4は、図6に拡大して示すように、下部に凹溝5を有する断面コ字状の角材からなっている。この下横枠材4は、例えば長尺LVLからなる角材4aの両側に、角材4aと同じ長さで角材4aよりも幅の広い合板製の板材4b,4bを貼り付けたものであり、角材4aと板材4b,4bとの間に凹溝5が形成されている。
四周枠1で囲われた内部には、複数本の桟材6~11が互いに間隔をあけて配置されている。桟材6~11は、四周枠1と同じ厚さ(例えば34mm)を有し、長さ方向の端部で四周枠1に表裏面が四周枠1と面一になるように直接又は間接に固定されており、この面一となった四周枠1及び桟材6~11の表裏面に面材A2,A2が貼り付けられて固定されるようになっている。
上記複数本の桟材6~11は、大半が上下縦方向に延びる縦桟材となっている。具体的には、左右の縦枠材2,2の隣りには、上下方向に延びる外縦桟材6,6が縦枠材2,2内面に接着固定された状態で配置され、この各外縦桟材6は上下の横枠材3,4に固定されている。各外縦桟材6の上端部寄り位置には左右水平方向に延びる短尺の補助横桟材8の外端部が固定され、この補助横桟材8の外側下面と下横枠材4の上面との間には、互いに接した状態で平行に上下方向に延びる補強縦桟材9及びその内側の内縦桟材7が固定され、これら補強縦桟材9及び内縦桟材7は外縦桟材6に対し、補強縦桟材9が外縦桟材6と接した状態で一体的に固定されている。補強縦桟材9は、図7に拡大して示すように、その内側の側面に凸条9aが長さ方向の全体に亘って形成され、凸条9aには断面コ字状の鉄芯9bが被さった状態で一体に固定され、鉄芯9bは補強縦桟材9内側の内縦桟材7に接するようになっており、この左右の補強縦桟材9,9によって基材A1を補強して反り等を抑制するようにしている。
上記左右の内縦桟材7,7の上下方向中間部間には、水平方向に延びる中間横桟材10が配置固定され、この中間横桟材10によって四周枠1内部が上下に区画されている。中間横桟材10と上横枠材3との間には、上下方向に延びる複数本(例えば9本)の上側の軽量桟材11,11,…が、また中間横桟材10と下横枠材4との間には、同様に上下方向に延びる複数本(例えば9本)の下側の軽量桟材11,11,…がそれぞれ固定され、上側及び下側の軽量桟材11,11,…の各々は互いに直線上の位置に並ぶように左右位置が対応し、上側の軽量桟材11は長さ(例えば924mm)が下側の軽量桟材11の長さ(例えば920mm)よりも僅かに大きくなっている。尚、上記各補助横桟材8の内端部は、外側端に位置する上側の軽量桟材11に固定されている。
図4及び図5に示すように、上記複数本(例えば18本)の軽量桟材11,11,…は基本的に同じ構造であり、各軽量桟材11はフラッシュ面材Aの左右側方から見たときに全体として略コ字状の形状を有する。すなわち、軽量桟材11の長さ方向両端部にはそれぞれ厚肉部11a,11a(固定部)が形成され、この各厚肉部11aは上記四周枠1の縦枠材2,2及び横枠材3,4、中間横桟材10等と同じ厚さを有する。また、軽量桟材11において、厚肉部11a以外の長さ方向中間部には薄肉部11b(非固定部)が形成され、この薄肉部11bは両側の厚肉部11a,11aよりも所定寸法(例えば4mm)だけ薄い厚さを有する。厚肉部11a及び薄肉部11bの断面形状はいずれも矩形状で厚さのみが異なる。
より具体的には、図4(a)及び図5に示すように、軽量桟材11は、薄肉部11bと同じ厚さ及び幅を有するLVL等の角材状の桟基材13と、この桟基材13の長さ方向両端部の同じ側面にそれぞれ固定されて一体化された合板等の厚さ調整材14,14との2つの要素からなっており、桟基材13と厚さ調整材14とで厚肉部11aが、また桟基材13のみで薄肉部11bがそれぞれ構成されている。
この他、図4(b)に示すように、軽量桟材11は、厚肉部11aと同じ厚さ及び幅を有するLVL等の角材状の桟基材15の厚さ方向の一側面において、該桟基材15の長さ方向の中間部を両端部が残るように切り欠くことで形成されたものであってもよい。この場合、軽量桟材11は、桟基材15のみの1つの要素からなり、切欠き後に残った部分で厚肉部11aが、また切欠き部分で薄肉部11bがそれぞれ構成されている。
そして、軽量桟材11は厚さ方向(フラッシュ面材Aの表裏方向)に対向する側面の一方が第1側面(図4右側の側面)とされ、他方が第2側面(図4左側の側面)とされており、軽量桟材11の薄肉部11bにおいて、厚さ方向の一方の第1側面(図4右側の側面)は厚肉部11aと面一となっている。一方、薄肉部11bにおいて、厚さ方向の他方の第2側面(図4左側の側面)と上下の厚肉部11a,11aとによって凹陥部17が区画形成されている。そして、この凹陥部17内に空隙部21が形成され、凹陥部17によって軽量桟材11が略コ字状の形状を有する。このことで、各軽量桟材11は、長さ方向の中間部に薄肉部11bを有していて、該薄肉部11bを除く長さ方向の両端部が四周枠1と同じ厚さの厚肉部11aとされた略コ字状の桟材で、薄肉部11b及び各厚肉部11aの第1側面は互いに面一とされている。
各軽量桟材11は上記四周枠1の上下の横枠材3,4及び中間横桟材10に対し、軽量桟材11の長さ方向端部にある厚肉部11a,11aの上下端面が該横枠材3,4及び中間横桟材10に当接しかつ各厚肉部11aの第1及び第2側面(表裏面)が横枠材3,4及び中間横桟材10の表裏面と面一になった状態でそれぞれタッカー等の固定具(図示せず)により該横枠材3,4及び中間横桟材10に固定されている。そのとき、複数本の軽量桟材11,11,…は、左右横方向に互いに一定の間隔をあけかつ隣り合う軽量桟材11,11の凹陥部17,17が交互にフラッシュ面材A(基材A1)の表方向又は裏方向に開口するように配置される千鳥配置となっている。また、中間横桟材10を間にして上下に直線上の位置に並ぶ上側及び下側の軽量桟材11,11は、それぞれ凹陥部17,17の開口方向が逆向きになっており、その上側(下側)の軽量桟材11の凹陥部17はフラッシュ面材A(基材A1)の表方向に、下側(上側)の軽量桟材11の凹陥部17は同裏方向にそれぞれ開口している。
フラッシュ面材用基材A1は以上のように構成されている。この基材A1の縦枠材2,2、横枠材3,4、桟材6~10及び軽量桟材11,11,…の間に形成されている空間、具体的には、左右に並んだ軽量桟材11,11間の空間、左右端部の軽量桟材11と内縦桟材7との間の空間には多孔質吸音材や軽量発泡体等の吸音材19,19,…(図1では斜線にて示す)が配置されている。
そして、図8に示すように、上記基材A1の表裏面にそれぞれ面材A2,A2が四周枠1を覆うように配置されて接着剤により貼着され、このことでフラッシュ面材Aが形成されている。
このフラッシュ面材Aでは、各軽量桟材11の中間部にある凹陥部17内の空隙部21は、その開口が一方の面材A2で閉じられた状態になる。また、上記吸音材19,19,…は、基材A1の縦枠材2,2、横枠材3,4、桟材9~10及び軽量桟材11,11,…と表裏の面材A2,A2とに囲まれた部分に充填されていることとなる。
図示しないが、上記フラッシュ面材Aが建物の開口枠に吊り下げられて使用される場合、フラッシュ面材Aにおいて、その基材A1の縦枠材2、上下横枠材3,4、桟材6等に、開口枠にフラッシュ面材Aを吊り下げるための吊部材(図示せず)が取付可能であり、該吊部材により開口枠から吊り下げられて使用される。例えば、吊戸として用いられるフラッシュ面材Aでは、左右の縦枠材2,2の外側面上端部に取付凹部が形成されるようになっており、この取付凹部に、鴨居(開口枠)に取り付けられる吊戸レールの吊車(吊部材)が嵌合されて固定される。
また、フラッシュ面材Aが建物の開口枠に支持されて使用される場合、同様に、フラッシュ面材Aにおいて、その基材A1の縦枠材2,2、横枠材3,4、桟材6等に、開口枠にフラッシュ面材Aを移動可能に支持するための可動部材(図示せず)が取付可能であり、フラッシュ面材Aは該可動部材により開口枠に支持されて使用される。例えば、引戸として用いられるフラッシュ面材Aでは、下横枠材4の下面に戸車取付部が、また上横枠材3の上面にガイド取付部がそれぞれ形成されており、戸車取付部に、敷居のレール上を転動する戸車(可動部材)が、またガイド取付部に、鴨居のガイドレールに案内されるガイドがそれぞれ取付固定される。また、開き戸として用いられるフラッシュ面材Aでは、一方の縦枠材2,2に扉開口枠との間で連結される丁番(可動部材)が取付可能であり、この丁番によってフラッシュ面材Aが回動可能に使用される。
したがって、この実施形態においては、フラッシュ面材用基材A1における複数本の桟材6~11の一部が軽量桟材11であり、この各軽量桟材11は、長さ方向両端部の厚肉部11a,11aと同中間部の薄肉部11bとを備えた略コ字状のもので、薄肉部11bによって軽量桟材11に凹陥部17が形成されている。この軽量桟材11が基材A1の四周枠1内に固定された状態では、長さ方向端部の厚肉部11aの端面が四周枠1及び中間横桟材10に当接しかつ厚肉部11aの第1及び第2側面(表裏面)が四周枠1や中間横桟材10を含む他の桟材6~10の表裏面と面一になる。このように、四周枠1の表裏面、各軽量桟材11の厚肉部11aの表裏面、及び他の桟材6~10の表裏面が互いに面一状になるが、各軽量桟材11の薄肉部11bの第2側面(図4左側の側面)は、上記面一状の面に対し面一とならない。上記面一状の位置にある四周枠1の表裏面、各軽量桟材11の厚肉部11aの第1及び第2側面、及び他の桟材6~10の表裏面に対し表裏の面材A2,A2が固定されることで、フラッシュ面材Aが構成される。
そして、このフラッシュ面材Aにおいては、上記各軽量桟材11の中間部の凹陥部17内に、一方の面材A2で開口が閉じられる空隙部21が形成され、この空隙部21により各軽量桟材11が凹陥部17において面材A2と接触せず、フラッシュ面材Aの内部に各軽量桟材11と表裏の面材A2,A2との間の結合固定を遮断する空間が形成されていることになる。仮に、桟材が全体に亘って表裏の面材A2,A2に当接した状態で結合固定されている場合、フラッシュ面材の表裏の面材A2,A2の一方から入射した音エネルギーが、桟材を通じて他方の面材A2に伝播されることで、良好な遮音性が得られない。これに対し、本実施形態のように、面材A2と基材A1との結合部分が基材A1における各軽量桟材11の凹陥部17内の空隙部21で部分的に遮断されているので、その遮断部分では直接的な音エネルギーの伝搬を防ぐことができる。すなわち、フラッシュ面材Aの例えば表面側から入射した音エネルギーが桟材を通じて裏面側へ直接的に伝播されようとしても、その伝播は軽量桟材11の凹陥部17内にある空隙部21の空間において遮断されることとなる。このような、表面側から入射した音エネルギーの裏面側への直接的な伝搬の遮断により、フラッシュ面材Aの遮音性能を高めることができる。
また、軽量桟材11の凹陥部17内の空隙部21は、隣接する軽量桟材11の空隙部21に、両軽量桟材11,11間にあって吸音材19が充填されている空間を経由して連通している。このように軽量桟材11,11,…の凹陥部17,17,…による空隙部21,21,…が互いに連通することにより、フラッシュ面材Aの内部に大きな空間部が形成され、その空間部によっても吸音することができ、フラッシュ面材Aの遮音性能を高めることができる。
しかも、フラッシュ面材Aの内部において、フラッシュ面材用基材A1の縦枠材2,2、横枠材3,4、桟材6~10及び軽量桟材11の間でかつ面材A2,A2に囲まれた部分に吸音材19が充填されているので、この吸音材19によりフラッシュ面材Aの遮音性能をより一層高めることができる。
また、各軽量桟材11は、長さ方向の中間部に凹陥部17が形成されているので、その凹陥部17の分だけ重さが軽くなる。この軽量となった軽量桟材11をフラッシュ面材用基材A1に用いることで、該基材A1ないしフラッシュ面材Aの重さも軽くなり、フラッシュ面材Aの軽量化を図ることができる。よって、フラッシュ面材Aの重量を増すことなく、その遮音性能を高めることができる。そして、このようなフラッシュ面材Aの軽量化により、フラッシュ面材Aをドアパネルとして用いる場合の吊車や戸車、丁番等の可動部材となる支持金具の強度的な制約を受け難くなり、それだけでなく、ドアパネルの軽量化によりドアの操作性や安全性にも優れることとなる。
上記各軽量桟材11は、長さ方向の中間部に凹陥部17が形成されているので、その凹陥部17の形成されている第2側面側が低くなる強度分布が生じている。そのため、複数本に並んだ軽量桟材11,11,…の凹陥部17,17,…の開口方向が仮に同じ方向(表方向又は裏方向の一方)である場合、それらの軽量桟材11,11,…による基材A1の強度に偏りが生じ、基材A1に対する面材A2,A2の固定が不安定になり、フラッシュ面材Aに反りや膨れ、人や物との衝突時の強度不足等が生じる可能性がある。しかし、この実施形態では、複数本の軽量桟材11,11,…は、互いに一定の間隔をあけかつ隣り合う軽量桟材11,11の凹陥部17,17が交互に表方向又は裏方向に開口するようにいわゆる千鳥配置に配置され、複数本に並んだ軽量桟材11,11,…の凹陥部17,17,…の開口方向が交互に逆向きであるので、面材A2,A2は基材A1の表裏において安定して固定される。このことによって、フラッシュ面材Aの反りや膨れ、衝突時の強度不足等を防止することができる。
上記各軽量桟材11は、図4(a)に示すように、角材状の桟基材13と、該桟基材13の長さ方向両端部の同じ側面にそれぞれ固定されて一体化された厚さ調整材14とからなるもの、或いは図4(b)に示すように、角材状の桟基材15の厚さ方向の一側面において、該桟基材15の長さ方向の中間部を両端部が残るように切り欠くことで形成されたものとされ、図4(a)に示す軽量桟材11は、桟基材13の長さ方向両端部と厚さ調整材14とで厚肉部11aが、また両端部以外の桟基材13で薄肉部11bがそれぞれ構成されている。図4(b)に示す軽量桟材11は、桟基材15の切欠き部分で薄肉部11bが、また切り欠かれていない両端部で厚肉部11aがそれぞれ構成される。このことで、いずれによっても軽量桟材11を容易に製造することができる。
そして、このようなフラッシュ面材Aを、吊部材により開口枠から吊り下げられて移動する吊戸等、或いは開口枠に支持されて移動する引戸、開き戸、折れ戸等として用いることにより、それら吊戸、引戸、開き戸、折れ戸等の遮音性能の向上と軽量化とを併せ図ることができる。
(実施形態2)
図9及び図10は本発明の実施形態2を示し(尚、この実施形態では、図1~図8と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)、軽量桟材11の構造を変更したものである。
すなわち、この実施形態では、図9及び図10に示すように、各軽量桟材11は、長さ方向の全体の厚さが四周枠1の上横枠材3や下横枠材4、中間横桟材10の厚さよりも薄い桟材からなっている。つまり、各軽量桟材11は厚さが長さ方向の全体に亘り一定となっている角材状のもので、例えば実施形態1の図4(a)に示す桟基材13と同様のものである。その厚さは枠材3,4及び横桟材10よりも所定寸法(例えば4mm)の差分だけ薄く、実施形態1の軽量桟材11の薄肉部11bと同じとされている。
そして、この角材状の各軽量桟材11は、四周枠1の横枠材3,4及び中間横桟材10(他の桟材)の表裏面の一方に片寄った状態で固定され、その厚さ方向に対向する第1及び第2側面のうちの第1側面(図10の右側面)は、軽量桟材11の長さ方向全体に亘り上記横枠材3,4及び中間横桟材10と面一に配置され、一方、各軽量桟材11の第2側面(図10の左側面)は、上記横枠材3,4及び中間横桟材10の表面又は裏面と上記厚さの差分だけずれている。このことで、軽量桟材11の長さ方向全体に亘るように凹陥部17が形成されている。詳しくは、この凹陥部17は、軽量桟材11の長さ方向全体を底面とし、横枠材3,4及び中間横桟材10を側面としたものである。その他の構成は実施形態1と同じである。
尚、この実施形態では、各軽量桟材11は四周枠1の枠材3,4及び横桟材10の表裏面の一方に片寄った状態で固定されているので、その軽量桟材11を固定するときには、片寄った分の厚さの治具(図示せず)を用意し、その治具を軽量桟材11に重ねながらタッカー止め等で固定すればよく、枠材3,4及び横桟材10と第1側面が面一になるように固定することができる。
したがって、この実施形態でも実施形態1と同様の作用効果を奏することができ、フラッシュ面材Aの重量を増すことなく、その遮音性能を高めることができる。
尚、この実施形態2において、各軽量桟材11は厚さが長さ方向の全体に亘り一定となっている角材状に限定する必要はない。例えば、厚さの異なる部分が長さ方向の全体に亘り段差状に形成された軽量桟材11を用いることもでき、長さ方向の全体が薄肉部11bとされたものとしてもよい。要は、軽量桟材11の少なくとも長さ方向の中間部に表裏の面材A2から離れた空隙が形成されるようにすればよい。
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、フラッシュ面材用基材A1内に中間横桟材10を配置し、この中間横桟材10と上下横枠材3,4との間に軽量桟材11,11,…を固定しているが、中間横桟材10を省略し、上下横枠材3,4間に長尺の軽量桟材11,11,…を固定してもよい。また、複数本の軽量桟材11,11,…は、上記実施形態のように縦方向に並べるのではなく、水平横方向や斜め方向に並べて配置することもできる。
さらに、上記実施形態では、フラッシュ面材用基材A1内の桟材6~11の一部を軽量桟材11で構成しているが、桟材の全体を軽量桟材11で構成することもできる。
次に、具体的に実施した例について説明する。
(実施例)
上記実施形態1の構造のラッシュ面材Aをそのまま実施例とした。すなわち、実施例のラッシュ面材Aは、基材A1が略コ字状の軽量桟材11,11,…を備え、隣り合う軽量桟材11,11は、各々の凹陥部17,17が交互にフラッシュ面材A(基材A1)の表方向又は裏方向に開口するように千鳥配置に配置されている。
(比較例)
実施例のフラッシュ面材Aにおいて、略コ字状の軽量桟材11に代えて角材状の桟材を用いた。この桟材は、長さ方向中間部に薄肉部11b(非固定部)がなく、従って該薄肉部11bによって凹陥部17も形成されていないLVLからなる角材状のものであり、その厚さが枠材3,4及び横桟材10と同じで、表裏面が枠材3,4及び横桟材10と面一になっている。この桟材を実施例のフラッシュ面材Aにおける軽量桟材11と同様に中間横桟材10と上横枠材3及び下横枠材4との間に固定した。軽量桟材11以外の他の要素は実施例のフラッシュ面材Aと同じである。
(試験)
上記実施例及び比較例のフラッシュ面材について、遮音試験室において遮音性能の比較を行った。具体的には、2つの密閉状の遮音試験室が各々の壁部にて隣接し、その隣接する壁部にそれぞれ開口部が互いに連通するように形成された試験装置において、壁部の開口部に扉枠を介して実施例及び比較例のフラッシュ面材を扉パネルとして施工し、その扉パネルを閉じた状態で一方の遮音試験室の音源装置からの発生音を他方の遮音試験室内で受音装置により測定した。尚、遮音試験は、JIS A 1416「実験室における建築部材の空気遮断性能の測定方法」の手順を参考に遮音試験室で簡易的に実施した。遮音室内の界壁の一部に扉パネルを設置し、その扉パネル以外の要素(戸当たりパッキンやエアタイト等)の影響を除外するために、設置後に扉パネルの四周にある扉枠や床面との隙間を粘土等で塞いでこれらを界壁とみなして測定した。その測定結果を図11及び図12に示す。
この図11及び図12の測定結果を見ると、オクターブバンド周波数が250Hzを少し超える特定周波数までは、実施例は比較例と同等の遮音性能である。しかし、その特定周波数よりも高い周波数域では、実施例の遮音性能は比較例に比べて顕著に高くなっている。このことから、本願発明のフラッシュ面材は、基材の軽量桟材による遮音効果が確実に得られていることが明らかとなった。