JP7298471B2 - 光コヒーレントセンサ及び光コヒーレントセンシング方法 - Google Patents

光コヒーレントセンサ及び光コヒーレントセンシング方法 Download PDF

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この発明は、例えば、光ファイバを用いた分布型振動センサに適用可能な、光コヒーレントセンサ及び光コヒーレントセンシング方法に関する。
光ファイバにプローブ光として光パルスを入射すると、光パルスの伝搬に伴って後方散乱光が発生していく。光ファイバの長手方向の各位置において発生した後方散乱光は、光が光ファイバの入力端から後方散乱光の発生位置までの往復に要する時間だけ遅れて観測される。例えば、光ファイバに破断点がある場合、破断点に対応する時刻において後方散乱光の強度が変化する。この原理は、通信用光ファイバの破断点の検知に利用され、時間領域反射測定(OTDR:Optical Time Domain Reflectrometry)として知られている。
このOTDRは、光ファイバに伝わる振動の分布的な測定など、光センサにも応用されている。光ファイバに振動が加わると、振動が加わった位置近傍で発生した後方散乱光の位相が変化する。このため、OTDRによって得られた後方散乱光の位相の変化を観測することにより、分布的に光ファイバに加えられた振動の情報を得ることができる。このような、光ファイバに加えられた振動を分布的に測定する光ファイバセンサは、分布型振動センサ(DVS:Distributed Vibration Sensor)や、分布型音響センサ(DAS:Distributed Acoustic Sensor)と呼ばれる。
後方散乱光の位相は、光ファイバに外部から加えられた振動によって変化するが、プローブ光の位相にも依存する。プローブ光の位相は、後方散乱光の発生位置(観測点)に到達するまでに受けた振動によって変化する。このため、通常、各位置の振動を測定するために、光ファイバ上の異なる2点で発生した後方散乱光の位相差を測定する手段が採られる。一般に、この2点間の距離は、ゲージ長と呼ばれる。
時間経過に伴って入射される複数の光パルス(以下、光パルス列とも称する。)に対して同様の測定を行うと、求めた位相差の時間変化から振動の波形が得られる。
一般に、プローブ光の光源として高コヒーレンスなレーザを利用して得られるOTDRの波形は、光パルスが伝搬する間に発生する複数の散乱中心からの後方散乱光が干渉した結果として得られる。このため、後方散乱光の強度は、発生位置に対して不規則に異なる。この現象は、フェーディングと呼ばれ、振動の測定結果に影響を与える。
DASにおいて、位相差の算出に利用する2点からの後方散乱光のうち少なくとも一方の強度が、フェーディングにより微弱な場合、この点を利用して求めた位相情報の精度が著しく劣化する。フェーディングによる精度の劣化を回避する技術として、プローブ光の波長の多重化(例えば、非特許文献1参照。)や、強度が微弱になる位置を補完する位相変調などの技術がある。
Y. Lu, X. Zhang, C. Liang, M. Chen, J. Wang, and Z. Meng, "Fading noise reduction in distributed vibration measurements utilizing multi-wavelength based Φ-OTDR," in 26th International Conference on Optical Fiber Sensors, OSA Technical Digest (Optical Society of America, 2018),paper TuE21 Aleksander Karol Wojcik, "Signal statics of phase dependent optical time domain reflectometry", Dissertation of Texax A&M University MARK F.SCHILLING,"The Surprising Predictability of Long Runs", Math Mag. 85(2012)141-149
しかしながら、上述の波長の多重化や位相変調の技術では、高価な装置を導入しなければならず、光コヒーレントセンサの入手コストを増大させる課題がある。
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、高価な装置を導入することなく、信号処理によってフェーディングによる精度の劣化を回避する、光コヒーレントセンサ及び光コヒーレントセンシング方法を提供することにある。
上述した目的を達成するために、この発明の光コヒーレントセンサは、プローブ光として光パルスを生成する光源部と、プローブ光によって測定対象物で発生する信号光をコヒーレント検波してビート信号を生成する受光部と、ビート信号が入力される演算部とを備えて構成される。演算部は、光情報取得手段、基準時間可変幅取得手段、精度劣化回避手段、及び、振動情報取得手段を備える。
光情報取得手段は、光パルスごとに、信号光の受光時刻tに対する、信号光の強度I(t)及び位相P(t)の分布を、ビート信号から取得する。基準時間可変幅取得手段は、光情報取得手段が取得した信号光の強度I(t)の分布から、初期状態の基準時間STに対する基準時間可変幅Tを取得する。精度劣化回避手段は、初期状態の基準時間STと、基準時間可変幅Tとに基づいて基準時間STを設定する。振動情報取得手段は、信号光の受光時刻tに対する位相差を、受光時刻tjに対する位相P(tj)と受光時刻tiに対する位相P(ti)との差として取得し、この位相差から振動情報を取得する。ここで、tj>t>tiであり、tj-ti=STである。
また、この発明の光コヒーレントセンサの他の好適実施形態によれば、精度劣化回避手段は、初期状態の基準時間STに対して、第1時間Δt1を基準時間可変幅Tの範囲内で変化させて、各第1時間Δt1について、それぞれ複数の光パルスにおける強度I(tj+Δt1)の最小値を取得し、この最小値が最大となる最大第1時間Δt1maxを取得する。また、初期状態の基準時間STに対して、第2時間Δt2を基準時間可変幅Tの範囲内で変化させて、各第2時間Δt2について、それぞれ複数の光パルスにおける強度I(ti-Δt2)の最小値を取得し、この最小値が最大となる最大第2時間Δt2maxを取得する。その後、ST+Δt1max+Δt2maxを基準時間STとする。
また、この発明の光コヒーレントセンシング方法は、以下の過程を備えて構成される。先ず、プローブ光として光パルスを生成する。次に、プローブ光によって測定対象物で発生する信号光をコヒーレント検波してビート信号を生成する。次に、光パルスごとに、信号光の受光時刻tに対する、信号光の強度I(t)及び位相P(t)の分布を、ビート信号から取得する。次に、基準時間可変幅Tを取得する。次に、基準時間STを設定する。次に、信号光の受光時刻tに対する位相差を、受光時刻tjに対する位相P(tj)と受光時刻tiに対する位相P(ti)との差として取得し、この位相差から振動情報を取得する。
また、この発明の光コヒーレントセンシング方法の好適実施形態によれば、基準時間STを設定する過程では、初期状態の基準時間STに対して、第1時間Δt1を変化させて、各第1時間Δt1について、それぞれ複数の光パルスにおける強度I(tj+Δt1)の最小値を取得し、この最小値が最大となる最大第1時間Δt1maxを取得する。また、初期状態の基準時間STに対して、第2時間Δt2を変化させて、各第2時間Δt2について、それぞれ複数の光パルスにおける強度I(ti-Δt2)の最小値を取得し、この最小値が最大となる最大第2時間Δt2maxを取得する。その後、ST+Δt1max+Δt2maxを基準時間STとする。
また、この発明の光コヒーレントセンサ及び光コヒーレントセンシング方法の好適実施形態によれば、測定対象物として、光ファイバにプローブ光が入力される。プローブ光が光ファイバに入力されていない状態での、信号光の強度Is0と、プローブ光が光ファイバに入力されている状態での、信号光の強度Iと、予め定められたフェーディング確率qから、以下の式(1)及び(2)を用いて、整数mを算出する。そして、光ファイバ上でのレイリー散乱光の強度分布が互いに独立しているとみなせる時間tと、整数mの積を、基準時間可変幅Tとして取得する。
Figure 0007298471000001
この発明の光コヒーレントセンサ及び光コヒーレントセンシング方法によれば、位相差を求めるにあたり、第1時間Δt1及び第2時間Δt2を変化させて、2点からの信号光の強度Iがともに大きくなるように基準時間STを設定することにより、フェーディングによる精度劣化を回避することができる。
この発明の光コヒーレントセンサを説明するための模式図である。 振動検知光ファイバセンサの特性試験の結果を示す図である。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
図1を参照して、この発明の一実施形態に係る光コヒーレントセンサを説明する。図1は、この発明の光コヒーレントセンサを説明するための模式図である。ここでは、光コヒーレントセンサの構成例として、振動検知光ファイバセンサを説明する。
振動検知光ファイバセンサは、光源部10、光サーキュレータ20、光ファイバ30及び計測部40を備えて構成される。また、計測部40は、受光部50及び演算部60を備えて構成される。この振動検知光ファイバセンサは、例えば、OTDRに用いられる。
光源部10は、プローブ光として、周期的に光パルスを生成する。すなわち、光源部10は光パルス列を生成する。振動検知光ファイバセンサの空間分解能は、この光パルスの幅に依存する。また、振動検知光ファイバセンサの測定距離は、光パルスの繰り返し周波数に依存する。光パルスは、測定対象物である光ファイバ30を1m伝搬するのに5nsの時間を要する。信号光として、光ファイバ30で発生する後方散乱光を観測する場合は,順方向の伝搬と,逆方向の伝搬の往復の時間を要するので、1mあたり10nsの遅延が発生する。例えば、パルス幅を100ns、繰り返し周波数を5kHzとしたとき、空間分解能は10mとなり、最大の測定距離は20kmとなる。
光源部10は、例えば、レーザ光源12、ファイバカプラ13、強度変調器14、関数発生器16及び光増幅器18を備えて構成される。
レーザ光源12は、通信波長帯の連続光として、レーザ光を生成する。レーザ光源12として、線幅が10kHz以下のいわゆる狭線幅レーザを用いるのが良い。レーザ光源12として狭線幅レーザを用いると、この振動検知光ファイバセンサは、位相感応OTDRに用いることができる。レーザ光の波長は、任意で良いが、標準単一モード光ファイバで低損失の1550nmにするのが良い。レーザ光源12で生成されたレーザ光は、ファイバカプラ13に送られる。
ファイバカプラ13は、レーザ光を2分岐する。2分岐された一方は、強度変調器14に送られる。また、2分岐された他方は、参照光として受光部50に送られる。
関数発生器16は、矩形状の電気パルスを生成する。この電気パルスは、強度変調器14に送られる。関数発生器16が生成する電気パルスは、例えば、パルス幅が100nsで、繰り返し周波数が5kHzである。また、関数発生器16の出力は、後述するアナログ-ディジタル(A/D)変換器56にも送られ、トリガー信号として用いられる。
強度変調器14は、レーザ光を電気パルスで光パルス化して、光パルスを生成する。この光パルスは、光増幅器18に送られる。強度変調器14が生成する光パルスのパルス幅と繰り返し周波数は、共に関数発生器16が生成する電気パルスと同じである。この例では、光パルスは、パルス幅が100nsで、繰り返し周波数が5kHzである。
強度変調器14として、例えば、音響光学変調器(AOM:Acoustic Optic Modulator)が用いられる。AOMを用いる場合、光ドップラー効果により、強度変調器14で生成される光パルスの周波数は、強度変調器14に入力されるレーザ光の周波数から変化する。このため、受光部50でのコヒーレント検波の際には、ヘテロダイン検波となることが多い。
強度変調器14で生成された光パルスは、光増幅器18で所定の増幅を受ける。これは、光パルスの強度が強いほど、光ファイバ30での後方散乱光の強度が強くなるためである。光増幅器18で増幅された光パルスは、プローブ光として、光サーキュレータ20を経て光ファイバ30に送られる。なお、ここでは図示及び説明を省略するが、一般的には、光増幅器18の後段に、バンドパスフィルタ(BPF)が用いられる。BPFは、光増幅器18で発生する自然放出光(ASE:Amprified Spontaneous
Emission)のノイズを取り除く。
光ファイバ30に送られたプローブ光は、光ファイバ30を伝播する。プローブ光の伝播に伴って後方散乱光が発生する。この後方散乱光は、信号光として光サーキュレータ20を経て受光部50に送られる。なお、ここでは図示及び説明を省略するが、後方散乱光を増幅するために、受光部50の前段に光増幅器とBPFが設けられることが多い。
受光部50は、プローブ光によって、光ファイバ30で発生する後方散乱光をコヒーレント検波して電気信号を生成する。
受光部50は、コヒーレントレシーバ52、バランス型フォトダイオード(PD)54、アナログ・ディジタル(A/D)変換器56を備えて構成される。
コヒーレントレシーバ52は、参照光を用いて、後方散乱光のコヒーレント検波を行う。コヒーレントレシーバ52として、例えば、光90°ハイブリッドカプラを用いることができる。コヒーレントレシーバ52からの出力は、バランス型PD54に送られる。
バランス型PD54は、コヒーレントレシーバ52からの出力をバランス検波する。これにより、後方散乱光の強度と位相の情報を持つ、I相(cos波)とQ相(sin波)のビート信号が生成される。このI相及びQ相のビート信号は、A/D変換器56に送られる。
A/D変換器56は、I相及びQ相のビート信号をディジタル信号に変換する。ディジタル信号に変換された、I相及びQ相のビート信号は、演算部60に入力される。
演算部60としては、例えば、市販のパーソナルコンピュータ(PC)を利用できる。ここでは、一例として、演算部60が、CPU(Central Processing
Unit)70、RAM(Random Access Memory)62、ROM(Read Only Memory)64及び記憶手段66を備えて構成されるものとして説明する。CPU70は、ROM64に格納されているプログラムを実行することにより、後述する各機能手段を実現する。各機能手段での処理結果は、一時的にRAM62に格納される。
演算部60が備える機能手段として、光情報取得手段72、基準時間可変幅取得手段74、精度劣化回避手段76及び振動情報取得手段78がある。これら機能手段の動作は、受光部50の構成に依存する。ここでは、コヒーレントレシーバ52として、例えば、光90°ハイブリッドカプラを用いたヘテロダイン検波の例を説明する。
光情報取得手段72は、光パルスごとに、後方散乱光の受光時刻tに対する、後方散乱光の強度I(t)及び位相P(t)の分布を、A/D変換器56から送られたビート信号から取得する。基準時間可変幅取得手段74は、光情報取得手段72によって取得される強度I(t)の分布から、適切な基準時間可変幅Tを決定する。精度劣化回避手段76は、0から基準時間可変幅Tまでの範囲で、最大第1時間Δt1max及び最大第2時間Δt2maxを設定する。振動情報取得手段78は、k番目の光パルスに対する信号光の、受光時刻tにおける位相差を、P(t+ST/2+Δt1max、k)-P(t-ST/2-Δt1max、k)として取得する。ここで、STは、初期状態の基準時間である。その後、k番目の光パルスに対する信号光の、受光時刻tにおける位相差を、k方向にアンラップすることで振動情報を取得する。以下、各機能手段の動作をより詳細に説明する。
強度I(t)及び位相P(t)を取得するにあたり、光情報取得手段72は、先ず、I相及びQ相のビート信号から、後方散乱光の複素振幅を生成する。
この後方散乱光の複素振幅もビート信号であるので、ダウンコンバートする必要がある。そこで、次に、後方散乱光の複素振幅をダウンコンバートする。このダウンコンバートする方法として、例えば、ビート周波数を持つ逆回転の複素振幅を、後方散乱光の複素振幅に積算し、ローパスフィルター(LPF)を作用させる方法が用いられる。
その後、ダウンコンバートして得られた複素振幅の絶対値を計算することで、後方散乱光の受光時刻tに対する、後方散乱光の強度I(t)の分布が得られる。また、このとき、後方散乱光の位相P(t)の分布も得られる。強度I(t)及び位相P(t)の分布は、例えば、記憶手段66に格納される。記憶手段66には、記憶手段66の容量に応じて定められる数の光パルスについて、強度I(t)及び位相P(t)の分布が格納される。なお、記憶手段66に換えて、RAM62に格納してもよい。
基準時間可変幅取得手段74は、基準時間可変幅Tを取得する。一般的に、光ファイバにおけるレイリー散乱光の強度分布Pr(I)は、以下の式(a1)で示される指数分布に従うことが知られている(例えば、非特許文献2参照)。
Figure 0007298471000002
ここで、<I>は、レイリー散乱光の強度の平均値を示す。
また、観測される位相の精度は、雑音強度Iと、レイリー散乱光の強度Iの比で決まる。観測される位相と、レイリー散乱光の位相の誤差δφの最大値max(δφ)は、以下の式(a2)で与えられる。
Figure 0007298471000003
従って、位相の誤差をφ以下に抑えたい場合、レイリー散乱光の強度Iは、以下の式(a3)で与えられる条件を満たさなければならない。
Figure 0007298471000004
位相の誤差がφを上回ることを、フェーディングが発生すると呼ぶとすると、光ファイバ上のある一点において、フェーディングが発生する確率qは、以下の式(1)で与えられる。
Figure 0007298471000005
ここで、光ファイバ上でのレイリー散乱光の強度分布Pr(I)が、受信時間tごとに独立しているとみなせるとする。m点(mは1以上の整数)以上のR点(Rは1以上の整数)連続してフェーディングが発生する確率をPr(R≧m)と表す。なお、m点以下のR点連続してフェーディングが発生する確率Pr(R≦m)は、以下の式(b1)で与えられることが知られている(例えば、非特許文献3参照)。
Figure 0007298471000006
ここで、Nは、光ファイバ上で、レイリー散乱光の強度分布Prが、独立な指数分布とみなせる点の数である。上式(b1)を用いると、m点以上のR点連続してフェーディングが発生する確率Pr(R≧m)は、以下の式(b2)で与えられる。
Figure 0007298471000007
ここで、基準時間可変幅TをT=t×mとしたとき、m+1点以上のR点連続してフェーディングが発生する場合に、振動情報取得手段78で得られる振動情報がフェーディングの影響を受ける。
このため、振動情報取得手段78で得られる振動情報がフェーディングの影響を受ける確率をある一定値q以下に抑えるためには、q>Pr(R≧m+1)を満たす最小のm(=m)を用いて、T=t×mとすればよい。
上式(b2)を整理すると、mは、以下の式(2)から得られる。
Figure 0007298471000008
ここで、[]はガウス記号であり、[x]は、x以下の最大の整数を示す。
なお、強度分布が独立しているとみなせる受信時間tは、実際に測定したフェーディング確率を、最小二乗法などを用いて、上式(b2)にフィッティングすることで得られる。
基準時間可変幅取得手段74は、光パルスを光ファイバ30に入力しない状態で、受光部50が検出する光強度を雑音強度Iとし、光パルスを光ファイバ30に入力している状態で、受光部50が検出するレイリー散乱光の強度の平均値を<I>として、上式(1)及び(2)を用いて、基準時間可変幅Tを算出する。ここで、許容できる位相の誤差φと、許容できるフェーディング確率qは、予め定めておけばよい。
精度劣化回避手段76は、光情報取得手段78によって得られた強度情報から、基準時間可変幅取得手段74によって得られた基準時間可変幅の範囲で,強度の大きな点を利用して、基準時間STを決定する。これにより,フェーディングによる精度劣化を回避できる。
精度劣化回避手段76は、初期状態の基準時間STと、第1時間Δt1に対して、記憶手段66に格納されている複数の光パルスにおける強度I(t+ST/2+Δt1)の最小値Imin(Δt1)を取得する。さらに、第1時間Δt1を基準時間可変幅Tの範囲内で変化させて、各第1時間Δt1について得られた最小値Imin(Δt1)の中で、最小値Imin(Δt1)が最大となる第1時間Δt1を最大第1時間Δt1maxとして取得する。
また、精度劣化回避手段76は、初期状態の基準時間STと、第2時間Δt2に対して、記憶手段66に格納されている複数の光パルスにおける強度I(t-ST/2-Δt2)の最小値Imin(Δt2)を取得する。さらに、第2時間Δt2を基準時間可変幅Tの範囲内で変化させて、各第2時間Δt2について得られた最小値Imin(Δt2)の中で、最小値Imin(Δt2)が最大となる第2時間Δt2を最大第2時間Δt2maxとして取得する。
振動情報取得手段78は、受信時刻tにおける位相差を取得する。ここでは、tj>t>ti、且つ、tj-ti=STとしたときに、信号光の受光時刻tに対する位相差を、受光時刻tjに対する位相P(tj)と受光時刻tiに対する位相P(ti)との差として取得する。
光情報取得手段72で得られた位相情報と、精度劣化回避手段76で得られたΔt1maxとΔt2maxを用いて、各光パルスk、受信時刻tに対して、P(t+ST/2+Δt1max、k)-P(t-ST/2-Δt2max、k)を計算して位相差ΔP(k)を得る。すなわち、tj=t+ST/2+Δt1maxかつti=t-ST/2-Δt2maxである。また、ST=ST+Δt1max+Δt2maxである。
さらに、この計算で得られた位相差ΔPを、k方向にアンラップする。振動情報取得手段78は、位相差ΔPの分布から、受信時刻tにおける振動情報を、任意好適な従来公知の方法で取得する。この受信時刻tは、光ファイバに長手方向における位置xに対応する。従って、振動情報取得手段78は、光ファイバの長手方向の位置xにおける振動情報を取得できる。
光ファイバ上の各位置の振動を測定するために、光ファイバ上の異なる2点で発生した後方散乱光の位相差を測定する際の、この2点間の距離であるゲージ長に基準時間STが対応する。そして、この発明では、許容できる位相の誤差φと、許容できるフェーディング確率qに応じて、基準時間STをST+Δt1max+Δt2maxと設定して
いる。このため、この発明の光コヒーレントセンサを用いると、フェーディングの発生を所望の確率以下に抑え、所望の精度で振動情報を取得することができる。
図2を参照して、分布型振動検知光ファイバセンサの特性試験を説明する。図2は、分布型振動検知光ファイバセンサの特性試験の結果を示す図である。図2では、横軸に、ゲージ長可変幅[単位:m]を取って示し、左側の縦軸に、フェーディング確率[単位:%]を取って示し、右側の縦軸にフェーディングが発生するまでの平均時間[単位:年]を取って示している。なお、ゲージ長可変幅は、基準時間可変幅Tと光ファイバ中での光速を乗算することで得られる。
図2では、各点が、測定結果を表している。また、曲線Iは、測定結果に対して得られた、理論式のフィッティング曲線を示し、曲線IIは、ゲージ長可変幅に対するフェーディングが発生するまでの平均時間を示している。フェーディングが発生するまでの平均時間は、フィッティング曲線とパルスの繰返し周波数から計算される。
ここでは、光ファイバ30の長さを12[km]とした。また、レーザ光源12として、線幅3kHzの狭線幅レーザを用いた。さらに、強度変調器16では,パルス幅を200[nsec]とした。このとき、許容できる位相の誤差φをπ/6として、各ゲージ長可変幅に対するフェーディング確率を測定した。
独立の指数分布と見なせる距離間隔は、フィッティング結果から約4[m]であった。図2の結果から,この系においては、100年に一回程度のフェーディング確率に抑えたい場合は、ゲージ長可変幅を30[m]程度とすればよいことが分かる。また,フィッティング曲線のパラメータIs0/<I>は、0.011程度となった。
一方、光パルスが存在しないときに観測される散乱光強度Iとφから計算されるパラメータIs0は、4.29程度となり、レイリー散乱光の平均強度<I>は、360程度となった。従って、観測結果から計算されるパラメータは、0.012程度となり、フィッティング結果とほぼ等しい。
このように、ゲージ長可変幅が小さく、フェーディングが起こりやすい状況でのフェーディング確率から、100年に一度程度フェーディングが発生するゲージ長可変幅の値が分かる。
(他の実施形態)
ここでは、振動検知光ファイバセンサを例にとり、フェーディングによる精度劣化を低減できる光コヒーレントセンサを説明したが、これに限定されない。2点間における位相の差を利用する光コヒーレントセンサであれば、この発明を適用できる。
また、ここでは、受光部50でのコヒーレント検波の際には、ヘテロダイン検波となる場合を説明したが、ホモダイン検波であってもよい。ホモダイン検波にする場合は、強度変調器14として周波数シフトのないものを用いるか、あるいは、ファイバカプラ13とコヒーレントレシーバ52の間に参照光の周波数をシフトさせる周波数シフタを用いればよい。ホモダイン検波の場合は、A/D変換器56として広帯域のものを用いる必要がない。
10 光源部
12 レーザ光源
13 ファイバカプラ
14 強度変調器
16 関数発生器
18 光増幅器
20 光サーキュレータ
30 光ファイバ
40 計測部
50 受光部
52 コヒーレントレシーバ
54 バランス型フォトダイオード(PD)
56 アナログ・ディジタル(A/D)変換器
60 演算部
62 RAM
64 ROM
66 記憶手段
70 CPU
72 光情報取得手段
74 基準時間可変幅取得手段
76 精度劣化回避手段
78 振動情報取得手段

Claims (6)

  1. プローブ光として光パルスを生成する光源部と、
    前記プローブ光によって測定対象物で発生する信号光をコヒーレント検波してビート信号を生成する受光部と、
    前記ビート信号が入力される演算部と
    を備え、
    前記演算部は、
    前記光パルスごとに、前記信号光の受光時刻tに対する、前記信号光の強度I(t)及び位相P(t)の分布を、前記ビート信号から取得する光情報取得手段と、
    前記光情報取得手段が取得した前記信号光の強度I(t)の分布から、初期状態の基準時間STに対する基準時間可変幅Tを取得する基準時間可変幅取得手段と、
    前記初期状態の基準時間STと、前記基準時間可変幅Tとに基づいて基準時間STを設定する精度劣化回避手段と、
    tj>t>ti、且つ、tj-ti=STとしたときに、前記信号光の受光時刻tに対する位相差を、受光時刻tjに対する位相P(tj)と受光時刻tiに対する位相P(ti)との差として取得し、前記位相差から、振動情報を取得する振動情報取得手段と
    を備える
    ことを特徴とする光コヒーレントセンサ。
  2. 前記測定対象物として、光ファイバに前記プローブ光が入力され、
    前記基準時間可変幅取得手段は、
    前記プローブ光が前記光ファイバに入力されていない状態での、信号光の強度Is0と、
    前記プローブ光が前記光ファイバに入力されている状態での、信号光の強度Iと、
    予め定められたフェーディング確率q
    から、以下の式(1)及び(2)を用いて、整数mを算出し、
    前記光ファイバ上でのレイリー散乱光の強度分布が互いに独立しているとみなせる時間tと、前記整数mの積を、前記基準時間可変幅Tとして取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光コヒーレントセンサ。
    Figure 0007298471000009
  3. 前記精度劣化回避手段は、
    前記初期状態の基準時間STに対して、第1時間Δt1を前記基準時間可変幅Tの範囲内で変化させて、各第1時間Δt1について、それぞれ複数の光パルスにおける強度I(tj+Δt1)の最小値を取得し、該最小値が最大となる最大第1時間Δt1maxを取得し、
    前記初期状態の基準時間STに対して、第2時間Δt2を前記基準時間可変幅Tの範囲内で変化させて、各第2時間Δt2について、それぞれ複数の光パルスにおける強度I(ti-Δt2)の最小値を取得し、該最小値が最大となる最大第2時間Δt2maxを取得し、
    ST+Δt1max+Δt2maxを前記基準時間STとする
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光コヒーレントセンサ。
  4. プローブ光として光パルスを生成する過程と、
    前記プローブ光によって測定対象物で発生する信号光をコヒーレント検波してビート信号を生成する過程と、
    前記光パルスごとに、前記信号光の受光時刻tに対する、前記信号光の強度I(t)及び位相P(t)の分布を、前記ビート信号から取得する過程と、
    前記信号光の強度I(t)の分布から、初期状態の基準時間STに対する基準時間可変幅Tを取得する過程と、
    前記初期状態の基準時間STと、前記基準時間可変幅Tとに基づいて基準時間STを設定する過程と、
    tj>t>ti、且つ、tj-ti=STとしたときに、前記信号光の受光時刻tに対する位相差を、受光時刻tjに対する位相P(tj)と受光時刻tiに対する位相P(ti)との差として取得し、前記信号光の受光時刻に対する前記位相差から、振動情報を取得する過程と
    を備えることを特徴とする光コヒーレントセンシング方法。
  5. 前記測定対象物として、光ファイバに前記プローブ光が入力され、
    前記基準時間可変幅Tを取得する過程は、
    前記プローブ光が前記光ファイバに入力されていない状態での、信号光の強度Is0と、
    前記プローブ光が前記光ファイバに入力されている状態での、信号光の強度Iと、
    予め定められたフェーディング確率q
    から、以下の式(1)及び(2)を用いて、整数mを算出する過程と、
    前記光ファイバ上でのレイリー散乱光の強度分布が互いに独立しているとみなせる時間tと、前記整数mの積を、前記基準時間可変幅Tとして取得する過程と
    を備えることを特徴とする請求項4に記載の光コヒーレントセンシング方法。
    Figure 0007298471000010
  6. 前記基準時間STを設定する過程では、
    前記初期状態の基準時間STに対して、第1時間Δt1を前記基準時間可変幅Tの範囲内で変化させて、各第1時間Δt1について、それぞれ複数の光パルスにおける強度I(tj+Δt1)の最小値を取得し、該最小値が最大となる最大第1時間Δt1maxを取得し、
    前記初期状態の基準時間STに対して、第2時間Δt2を前記基準時間可変幅Tの範囲内で変化させて、各第2時間Δt2について、それぞれ複数の光パルスにおける強度I(ti-Δt2)の最小値を取得し、該最小値が最大となる最大第2時間Δt2maxを取得し、
    ST+Δt1max+Δt2maxを前記基準時間STとする
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の光コヒーレントセンシング方法。
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