以下、本発明の光配線部品および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.光配線部品
まず、実施形態に係る光配線部品について説明する。
図1は、実施形態に係る光配線部品を示す斜視図である。図2は、図1に示す光配線部品をX-Y面で切断したときの断面図である。図3は、図2に示す光配線部品のうち、筐体内に収容されている導光部を示す平面図である。図4は、図3のA部拡大図である。図5および図6は、それぞれ図4に示す導光部の断面図である。図7は、図5のB部拡大図である。図8は、図3に示す導光部を曲げた状態を示す平面図である。図9は、図8に示す導光部の一部を拡大して示す斜視図である。
なお、図5および図6では、光導波路の一部の図示を簡略化している。また、各図では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を設定しており、各軸を矢印で示している。なお、矢印の先端側を各軸のプラス側とし、基端側をマイナス側とする。また、以下の説明では、説明の便宜上、Z軸方向のうち、プラス側を「上」、マイナス側を「下」として説明する。
図1および図2に示す光配線部品100は、第1光ファイバー1と、第2光ファイバー2と、第3光ファイバー3と、光導波路4と、筐体5と、を備えている。このうち、第1光ファイバー1と、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3とが、図3に示すように、光導波路4を介して光学的に接続されている。これにより、導光部10が構成されている。図2に示す導光部10は、X-Y面内において、途中で湾曲するように曲げられており、その状態で筐体5の内部に収容されている。
図4に示すように、光導波路4には、Y軸方向に延在するコア部44が形成されており、そのコア部44は分岐部46で2本に分岐している。このため、例えば外部から第1光ファイバー1に入射した光は、図4に示す光導波路4の分岐部46で2つに分岐し、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3に分配される。したがって、この場合の光配線部品100は、光分配器として機能する。一方、外部から第2光ファイバー2および第3光ファイバー3に入射した光は、光導波路4の分岐部46で1つに混合され、第1光ファイバー1に集約される。したがって、この場合の光配線部品100は、光混合器として機能する。
以下、光配線部品100の各部について詳述する。
1.1 筐体
筐体5は、図2に示すように、内部が空洞の箱体であり、その外形は、図1に示すように、Y軸に沿った長軸を有する略直方体形状をなしている。また、筐体5のX軸に沿う長さは、Z軸に沿う長さより長くなっている。
また、筐体5の外部と内部とを隔てる壁のうち、Y-Z面に平行な1つの側壁51には、側壁51を貫通するように装着された第1光アダプター6、第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bが設けられている。このうち、第1光アダプター6は、側壁51のY軸プラス側の端部に設けられ、第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bは、それぞれ側壁51のY軸マイナス側の端部に設けられている。本実施形態に係る光配線部品100は、このような第1光アダプター6、第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bを備えており、このうち、第1光アダプター6には、図2に示すように第1光ファイバー1が挿入されており、第2光アダプター7aには、図2に示すように第2光ファイバー2が挿入されており、第3光アダプター7bには、図2に示すように第3光ファイバー3が挿入されている。
一方、Y-Z面に平行なもう1つの側壁52には、曲げられた状態の導光部10が接している。換言すれば、曲げられた状態の導光部10が側壁52に接することにより、その状態が維持されている。
また、筐体5は、さらに、X-Z面に平行な2つの側壁53、54を備えている。このうち、側壁53は、Y軸プラス側に位置し、側壁54は、Y軸マイナス側に位置している。
なお、図示した筐体5の形状は一例であり、これに限定されない。
1.2 第1光ファイバー
第1光ファイバー1は、第1光ファイバー本体11と、第1光ファイバー本体11の端部に装着された第1光コネクター12と、を備えている。
このうち、第1光ファイバー本体11としては、例えばガラス製光ファイバー、プラスチック製光ファイバー等が挙げられる。
また、第1光ファイバー本体11の導波モードは、シングルモードであっても、マルチモードであってもよいが、マルチモードであるのが好ましい。マルチモードでは、シングルモードに比べて位置合わせの際の軸ずれに対する許容度が大きくなる。このため、マルチモードの第1光ファイバー本体11は、光導波路4との光学的な接続に際し、接続作業を容易にすることができるので、光配線部品100の組立容易性を高めるという観点で有用である。
図5および図6に示す第1光ファイバー本体11は、横断面形状が円形をなしており、その中央に位置するコア部111と、その側面を覆うクラッド部112と、を有している。第1光ファイバー本体11は、必要に応じて、クラッド部112の側面を覆う被覆部を有していてもよい。被覆部の構成材料としては、例えば、樹脂材料、ガラス材料、金属材料、繊維強化複合材料等が挙げられる。
なお、図5は、第1光ファイバー1から光導波路4を経由して第2光ファイバー2に至る線に沿って切断してなる断面図である。また、図6は、第1光ファイバー1から光導波路4を経由して第3光ファイバー3に至る線に沿って切断してなる断面図である。
また、第1光ファイバー本体11の2つの端面のうち、光導波路4側の端面を第1光入出射面113とする。この第1光入出射面113と光導波路4との間が後述する第1接着部81を介して光学的に接続されている。
第1光コネクター12は、図示しない挿通孔を有しており、この挿通孔に第1光ファイバー本体11の端部を装着することにより、第1光ファイバー本体11を保持する。
第1光コネクター12としては、例えばセラミックス製光コネクター、ガラス製光コネクター、プラスチック製光コネクター等が挙げられる。また、第1光コネクター12は、これらの各種光コネクターを本体とし、その本体に金具が装着されてなるものであってもよい。
さらに、第1光コネクター12は、フェルールと、このフェルールを挿入可能なハウジングと、の組立体であってもよい。ハウジングは、光接続用の種々の規格に応じた形状を有している。この規格としては、例えばSC、FC、MU、D、DJ、ST、LC、SCF、SCH、MT、MPO、MT-RJ等が挙げられる。
1.3 第2光ファイバー
第2光ファイバー2は、第2光ファイバー本体21と、第2光ファイバー本体21の端部に装着された第2光コネクター22と、を備えている。
このうち、第2光ファイバー本体21としては、例えばガラス製光ファイバー、プラスチック製光ファイバー等が挙げられる。
また、第2光ファイバー本体21の導波モードは、シングルモードであっても、マルチモードであってもよいが、マルチモードであるのが好ましい。マルチモードでは、シングルモードに比べて位置合わせの際の軸ずれに対する許容度が大きくなる。このため、マルチモードの第2光ファイバー本体21は、光導波路4との光学的な接続に際し、接続作業を容易にすることができるので、光配線部品100の組立容易性を高めるという観点で有用である。
図5に示す第2光ファイバー本体21は、横断面形状が円形をなしており、その中央に位置するコア部211と、その側面を覆うクラッド部212と、を有している。第2光ファイバー本体21は、必要に応じて、クラッド部212の側面を覆う被覆部を有していてもよい。被覆部の構成材料としては、例えば、樹脂材料、ガラス材料、金属材料、繊維強化複合材料等が挙げられる。
また、第2光ファイバー本体21の2つの端面のうち、光導波路4側の端面を第2光入出射面213とする。この第2光入出射面213と光導波路4との間が後述する第2接着部82を介して光学的に接続されている。
第2光コネクター22は、図示しない挿通孔を有しており、この挿通孔に第2光ファイバー本体21の端部を装着することにより、第2光ファイバー本体21を保持する。
第2光コネクター22としては、例えばセラミックス製光コネクター、ガラス製光コネクター、プラスチック製光コネクター等が挙げられる。また、第2光コネクター22は、これらの各種光コネクターを本体とし、その本体に金具が装着されてなるものであってもよい。
さらに、第2光コネクター22は、フェルールと、このフェルールを挿入可能なハウジングと、の組立体であってもよい。ハウジングは、光接続用の種々の規格に応じた形状を有している。この規格としては、例えばSC、FC、MU、D、DJ、ST、LC、SCF、SCH、MT、MPO、MT-RJ等が挙げられる。
1.4 第3光ファイバー
第3光ファイバー3は、第3光ファイバー本体31と、第3光ファイバー本体31の端部に装着された第3光コネクター32と、を備えている。
このうち、第3光ファイバー本体31としては、例えばガラス製光ファイバー、プラスチック製光ファイバー等が挙げられる。
また、第3光ファイバー本体31の導波モードは、シングルモードであっても、マルチモードであってもよいが、マルチモードであるのが好ましい。マルチモードでは、シングルモードに比べて位置合わせの際の軸ずれに対する許容度が大きくなる。このため、マルチモードの第3光ファイバー本体31は、光導波路4との光学的な接続に際し、接続作業を容易にすることができるので、光配線部品100の組立容易性を高めるという観点で有用である。
図6に示す第3光ファイバー本体31は、横断面形状が円形をなしており、その中央に位置するコア部311と、その側面を覆うクラッド部312と、を有している。第3光ファイバー本体31は、必要に応じて、クラッド部312の側面を覆う被覆部を有していてもよい。被覆部の構成材料としては、例えば、樹脂材料、ガラス材料、金属材料、繊維強化複合材料等が挙げられる。
また、第3光ファイバー本体31の2つの端面のうち、光導波路4側の端面を第3光入出射面313とする。この第3光入出射面313と光導波路4との間が後述する第3接着部83を介して光学的に接続されている。
第3光コネクター32は、図示しない挿通孔を有しており、この挿通孔に第3光ファイバー本体31の端部を装着することにより、第3光ファイバー本体31を保持する。
第3光コネクター32としては、例えばセラミックス製光コネクター、ガラス製光コネクター、プラスチック製光コネクター等が挙げられる。また、第3光コネクター32は、これらの各種光コネクターを本体とし、その本体に金具が装着されてなるものであってもよい。
さらに、第3光コネクター32は、フェルールと、このフェルールを挿入可能なハウジングと、の組立体であってもよい。ハウジングは、光接続用の種々の規格に応じた形状を有している。この規格としては、例えばSC、FC、MU、D、DJ、ST、LC、SCF、SCH、MT、MPO、MT-RJ等が挙げられる。
1.5 光導波路
光導波路4は、前述したように、第1光ファイバー1と第2光ファイバー2および第3光ファイバー3との間に設けられ、これらを光学的に接続している。
図7に示す光導波路4は、下側から、下側保護層47、クラッド層41、コア層43、クラッド層42、および上側保護層48がこの順で積層されてなる積層体を備えている。また、コア層43中には、図4に示すように、線状のコア部44と、コア部44に隣接して設けられた側面クラッド部45と、が形成されている。
以下、光導波路4の各部についてさらに詳述する。
1.5.1 コア層
図4に示すコア部44は、その側面が、図4に示す側面クラッド部45および図7に示すクラッド層41、42で囲まれている。そして、コア部44の屈折率は、側面クラッド部45やクラッド層41、42の屈折率よりも高くなっている。これにより、コア部44に光を閉じ込めて伝搬させることができる。
コア層43において、光路に直交する面内における屈折率分布は、いかなる分布であってもよく、例えば屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。
また、コア部44の光路に直交する面によるコア部44の断面形状は、特に限定されず、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形、その他の異形状であってもよい。
さらに、コア層43の平均厚さは、特に限定されず、第1光ファイバー本体11、第2光ファイバー本体21、第3光ファイバー本体31のコア部111、211、311の直径に応じて結合損失が最小になるように最適化されるが、1~500μm程度であるのが好ましく、10~300μm程度であるのがより好ましく、30~100μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア部44に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
コア層43の構成材料(主材料)としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料等が挙げられる。なお、樹脂材料には、異なる組成のものを組み合わせた複合材料も用いられる。
また、図4に示すコア部44は、分岐部46を備えている。分岐部46では、1本のコア部44が2本に分岐している。これにより、1本のコア部44に入射した光を分岐部46において2本のコア部44に分配することができる。
1.5.2 クラッド層
クラッド層41、42の平均厚さは、それぞれ1~200μm程度であるのが好ましく、3~100μm程度であるのがより好ましく、5~60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、クラッド層41、42に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
また、クラッド層41、42の構成材料としては、例えば、前述したコア層43の構成材料と同様の材料を用いることができる。
なお、クラッド層41、42は、必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。このとき、例えばコア層43が外気(空気)に曝されていれば、その外気がクラッド層41、42として機能する。
また、コア層43中の側面クラッド部45と、クラッド層41およびクラッド層42の一方または双方とが、一体になっていてもよい。
1.5.3 保護層
下側保護層47および上側保護層48は、コア層43やクラッド層41、42を保護し、外部環境等に起因したコア部44の伝送効率の低下を抑制するとともに、光導波路4の機械的強度を高める。
下側保護層47および上側保護層48の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド等の各種樹脂を含む材料が挙げられる。
下側保護層47および上側保護層48の平均厚さは、特に限定されないが、5~500μm程度であるのが好ましく、10~400μm程度であるのがより好ましい。
また、下側保護層47および上側保護層48は、互いに同じ構成であっても互いに異なる構成であってもよい。
なお、下側保護層47および上側保護層48は、それぞれ必要に応じて設けられればよく、少なくとも一方が省略されていてもよい。
1.6 接着部
光導波路4のうち、第1光ファイバー1側端部の端面を第4光入出射面491とし、第2光ファイバー2側端部および第3光ファイバー3側端部の端面を第5光入出射面492とする。第1光ファイバー1の第1光入出射面113と光導波路4の第4光入出射面491との間が第1接着部81を介して光学的に接続されている。また、第2光ファイバー2の第2光入出射面213と光導波路4の第5光入出射面492との間が第2接着部82を介して光学的に接続されている。さらに、第3光ファイバー3の第3光入出射面313と光導波路4の第5光入出射面492との間が第3接着部83を介して光学的に接続されている。なお、第2接着部82および第3接着部83は、互いに一体化して境界が判別できない状態になっていてもよい。
第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83としては、光透過性を有する接着剤であれば、いかなる接着剤も用いられるが、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、オレフィン系接着剤、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)等が挙げられる。
また、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83の各硬化原理は、特に限定されず、熱硬化型、硬化剤混合型、溶剤揮散型等であってもよいが、好ましくは光硬化型であるのが好ましい。すなわち、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83は、それぞれ光硬化性接着剤の硬化物を含んでいるのが好ましい。光硬化型接着剤は、透光性を有する治具等で接着対象物を保持したまま、短時間で硬化可能である。このため、後述するようにして光導波路4と、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、を位置合わせした状態で、これらを精度よく簡単に固定することができる。その結果、接続部の光結合効率をより高めることができる。なお、光硬化型には紫外線硬化型を含む。
また、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83が光硬化性接着剤の硬化物を含んでいる場合、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83の弾性率を比較的大きくすることができる。具体的には、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83の各弾性率は、好ましくは100~20000MPa程度とされ、より好ましくは300~15000MPa程度とされ、さらに好ましくは500~12500MPa程度とされ、特に好ましくは1000~10000MPa程度とされる。第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83の各弾性率を前記範囲内に設定することにより、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83が変形しにくくなるため、光導波路4と、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、を位置合わせした後、位置ずれが発生しにくくなる。このため、光結合効率を良好に維持することができる。
なお、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83の各弾性率は、JIS K 7127に規定された方法で測定され、測定温度は25℃とする。
さらに、第1接着部81の屈折率は、特に限定されないが、第1光ファイバー本体11のコア部111の屈折率と光導波路4のコア部44の屈折率との間の値であるのが好ましい。第1接着部81の屈折率を前記範囲内に設定することにより、第1接着部81が屈折率調整機能を有することになる。このため、第1光ファイバー1と光導波路4との間で、屈折率差に伴う結合損失が発生するのを抑制することができ、光結合効率が良好な光配線部品100を実現することができる。
同様に、第2接着部82の屈折率は、特に限定されないが、第2光ファイバー本体21のコア部211の屈折率と光導波路4のコア部44の屈折率との間の値であるのが好ましい。第2接着部82の屈折率を前記範囲内に設定することにより、第2接着部82が屈折率調整機能を有することになる。このため、第2光ファイバー2と光導波路4との間で、屈折率差に伴う結合損失が発生するのを抑制することができ、光結合効率が良好な光配線部品100を実現することができる。
同様に、第3接着部83の屈折率は、特に限定されないが、第3光ファイバー本体31のコア部311の屈折率と光導波路4のコア部44の屈折率との間の値であるのが好ましい。第3接着部83の屈折率を前記範囲内に設定することにより、第3接着部83が屈折率調整機能を有することになる。このため、第3光ファイバー3と光導波路4との間で、屈折率差に伴う結合損失が発生するのを抑制することができ、光結合効率が良好な光配線部品100を実現することができる。
1.7 光アダプター
第1光アダプター6は、例えば外形が略直方体をなす部材であって、前述したように、筐体5の側壁51を貫通するように装着されている。第1光アダプター6のX軸に直交する2つの面のうち、X軸プラス側の面には、第1光ファイバー1を挿入可能な挿入部61が1つ設けられている。一方、X軸マイナス側の面には、第1光ファイバー1と光学的に接続される接続相手の光ファイバーを挿入可能な挿入部62が1つ設けられている。したがって、第1光アダプター6を介して、第1光ファイバー1と接続相手の光ファイバーとが光学的に接続される。
第1光アダプター6は、光コネクターハウジングに関する種々の規格に準拠していてもよい。この規格としては、例えばSC、FC、MU、D、DJ、ST、LC、SCF、SCH、MT、MPO、MT-RJ等が挙げられる。
本実施形態では、Y軸に沿って並ぶ第2光アダプター7aと第3光アダプター7bとが一体化し、多連光アダプター7を構成している。多連光アダプター7も、例えば外形が略直方体をなす部材であって、前述したように、筐体5の側壁51を貫通するように装着されている。多連光アダプター7のX軸に直交する2つの面のうち、X軸プラス側の面には、第2光ファイバー2を挿入可能な挿入部71aおよび第3光ファイバー3を挿入可能な挿入部71bが設けられている。2つの挿入部71a、71bは、Y軸に沿って並んでいる。一方、X軸マイナス側の面には、第2光ファイバー2または第3光ファイバー3と光学的に接続される接続相手の光ファイバーが挿入される挿入部72a、72bが設けられている。したがって、多連光アダプター7を介して、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と接続相手の2本の光ファイバーとが光学的に接続される。2つの挿入部72a、72bは、Y軸に沿って並んでいる。
第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bは、それぞれ光コネクターハウジングに関する種々の規格に準拠していてもよい。この規格としては、例えばSC、FC、MU、D、DJ、ST、LC、SCF、SCH、MT、MPO、MT-RJ等が挙げられる。
なお、第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bは、互いに独立していてもよい。
1.8 導光部
ここで、本実施形態に係る導光部10は、前述したように、第1光ファイバー1と、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3とが、図3に示すように、光導波路4を介して光学的に接続されてなる部材である。そして、この導光部10では、図5および図6に示すように、光導波路4の厚さtが、第1光ファイバー1の直径φ1、第2光ファイバー2の直径φ2および第3光ファイバー3の直径φ3のいずれよりも薄い。なお、本願において「第1光ファイバー1の直径φ1」とは、第1光ファイバー本体11の直径のことをいう。同様に、本願において「第2光ファイバー2の直径φ2」とは、第2光ファイバー本体21の直径のことをいう。同様に、本願において「第3光ファイバー3の直径φ3」とは、第3光ファイバー本体31の直径のことをいう。また、光導波路4の厚さとは、光導波路4のZ軸に沿った長さのことをいう。
このように、シート状をなす光導波路4を用いるとともに、光導波路4と各光ファイバーとの間で上記のような寸法差を設けることにより、例えば光配線部品100を製造するにあたって、図8に示すように導光部10を曲げたとき、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3に比べて、光導波路4が優先的に曲がる。優先的に曲がるとは、例えば、導光部10を曲げるように力を加えたとき、まず、光導波路4が曲がり始め、その後に、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3が曲がり始めることをいう。このような挙動を示す理由は、光導波路4がシート状をなしており、その厚さが、各光ファイバーの直径より薄いためである。そして、各光ファイバーに比べて光導波路4が厚さ方向に曲がりやすいことから、曲げ半径が相対的に小さくなるように光導波路4が曲げられ、それによって導光部10を小さくまとめることが可能になる。その結果、導光部10を筐体5の内部に容易に収容することができ、光配線部品100の小型化を容易に図ることができる。
また、本実施形態に係る光配線部品100は、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、光導波路4と、を接着剤で接着することによって製造可能である。そして、導光部10を曲げたとしても、光導波路4が優先的に曲がることによって、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83には負荷が及びにくいため、伝送損失の増大が生じにくい。このため、製造工程が比較的簡単であり、低コスト化および生産性の向上も容易である。このため、本実施形態に係る光配線部品100は、製造難易度が低いという点でも有用である。
本実施形態に係る導光部10は、光導波路4が厚さ方向に曲がった状態で筐体5内に収容される。
このようにして導光部10が曲げられたとき、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3、ならびに光導波路4には、曲げられた状態から元に戻ろうとする復元力が発生する。導光部10の各部において大きな復元力が発生すると、第1光ファイバー1と光導波路4とを接着する第1接着部81、第2光ファイバー2と光導波路4とを接着する第2接着部82、および第3光ファイバー3と光導波路4とを接着する第3接着部83には、復元力に伴う負荷が発生する。負荷の例としては、光ファイバーと光導波路4とが位置ずれする方向に発生する力等が挙げられる。この負荷が大きすぎる場合、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83において光結合損失の増大を招くおそれがあるだけでなく、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83が破断するおそれがある。
これに対し、本実施形態では、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3に比べて、光導波路4が優先的に曲がる。このため、導光部10を必要な大きさになるまで曲げようとしたとき、光導波路4がより小さい曲げ半径で曲げられることで、必要な大きさを満足させることができる。そうすると、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3を、それほど小さな曲げ半径で曲げる必要がなくなる。このため、各光ファイバーに発生する復元力をより小さく抑えることができる。その結果、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83に発生する負荷を抑え、光結合損失の増大を抑制することができる。
なお、導光部10を曲げた状態で筐体5に収容されることにより、光配線部品100では、第1光アダプター6および多連光アダプター7の双方を、同一の側壁51に装着することができる。これにより、第1光アダプター6および多連光アダプター7の双方に外部の光ファイバーを挿入する作業を行う際、その作業性を高めることができる。その結果、取り扱い性が良好な光配線部品100が得られる。
また、導光部10の長さが十分に長ければ、導光部10の一部を筐体5の内壁面に接触させた状態で収容することができる。そして、この状態は、曲げられた導光部10が復元しようとする力(復元力)によって、常時、維持されやすい。このため、導光部10を筐体5にマイルドに固定することができ、導光部10が揺動しにくくなる。その結果、導光部10において揺動に伴う伝送効率の変動を抑制することができる。
ここで、シート状をなす光導波路4の表面は、図4に示すように、互いに表裏の関係を有する2つの主面401、401と、主面401、401同士をつなぐ側面402および前述した第4光入出射面491および第5光入出射面492と、を含んでいる。
本実施形態に係る導光部10は、例えば図2に示すX-Y面内において曲げられている。そして、図2に示すシート状をなす光導波路4は、主面401を側壁52に向けた状態で曲がっている。換言すれば、前述した2つの主面401、401は、それぞれ光導波路4の厚さ方向に交差する面である。そして、本実施形態に係る光導波路4は、厚さ方向に交差する主面401、401を有し、主面401を側壁52と平行にした状態で、筐体5内に収容されている。
光導波路4がこのような状態で曲がる理由の1つは、シート状をなす光導波路4の形状にある。シート状をなす光導波路4は、その形状作用によって、主面401を側壁52に向けた状態で自然に曲がる傾向を示す。これにより、筐体5の内部において導光部10をより安定した状態で保持することができる。つまり、光導波路4の主面401は、側面402に比べて面積が広いため、側壁52に対向した状態を維持することができれば、導光部10が安定した状態で保持される。このため、例えば光配線部品100に衝撃が加わった場合でも、光導波路4が厚さ方向に容易に曲がることによって、導光部10に加わる衝撃を緩和することができる。換言すれば、相対的に曲がりやすい光導波路4がショックアブソーバーのように作用するため、仮に、筐体5内で導光部10が揺れ、内壁面に接触することがあっても、その衝撃を緩和することができる。これにより、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83に発生する負荷を抑え、光結合損失の増大を抑制することができる。
なお、側壁52は、筐体5のうち、Y-Z面に平行な部位であり、曲げた状態の光導波路4が含まれる平面であるX-Y面に交差する部位である。
また、主面401と側壁52とが平行とは、X-Y面を平面視したとき、主面401と側壁52とのなす角度が10°以下である状態をいう。
また、光導波路4の厚さ方向、すなわちZ軸方向から見たとき、光導波路4は、長軸を有する矩形をなしている。具体的には、図4に示す主面401は、長方形をなしている。そして、長軸に直交する長さを光導波路4の幅Wとするとき、主面401同士の距離、すなわち光導波路4の厚さtは、光導波路4の幅Wの1~20%であるのが好ましく、2~10%であるのがより好ましい。光導波路4の厚さtと幅Wとの関係を前記範囲内に設定することにより、光導波路4の幅Wを十分に確保しつつ、光導波路4の曲げやすさも確保することができる。その結果、複数の光ファイバーに対して光学的に接続可能な幅Wを有し、かつ、光導波路4の作用によって第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83に発生する負荷を抑え、光結合損失の増大を抑制することができる。
ここで、第1光ファイバー1の長さをL1とし、第2光ファイバー2の長さをL2とし、第3光ファイバー3の長さをL3とする。
長さL2および長さL3は、互いに同じでもよいが、図3に示すように互いに異なっているのが好ましい。これにより、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3のうち、短い方が内側になるようにこれらを湾曲させたとき、第1光コネクター12の位置と第2光コネクター22の位置とを揃えやすくなる。そして、その際、光ファイバーの余長が発生しにくくなる。これにより、余長に伴って第2接着部82または第3接着部83に負荷が及んでしまうのを抑制することができる。
また、第1光ファイバー1の長さL1は、第2光ファイバー2の長さL2および第3光ファイバー3の長さL3の双方より長くてもよいが、図3では、双方より短くなっている。つまり、導光部10は、L1<L2を満たし、かつ、L1<L3を満たしているのが好ましい。
このような関係を満たす導光部10では、その全長における長さL2、L3が占める割合が大きくなる。そうすると、導光部10を曲げる際、例えば製造誤差等によって曲げ半径がばらついたときでも、第2光ファイバー2または第3光ファイバー3には余長がより発生しにくくなる。換言すれば、全長における長さL2、L3が占める割合を大きくすることで、撓み部分の発生を抑えることができる曲げ半径の許容範囲を拡大することができる。その結果、第2接着部82における光結合損失の増大を抑制し得る導光部10を実現することができる。
なお、光導波路4におけるコア部44の分岐数は、上記の2つに限定されず、3つ以上であってもよい。その場合、分岐側には、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3に加えて、第4光ファイバー、第5光ファイバー、・・・を追加すればよい。その場合、第4光ファイバーの長さをLAとし、第5光ファイバーの長さをLBとすると、前述したt<L1、t<L2およびt<L3という関係のみでなく、t<LAおよびt<LBという関係を満たしていればよい。
また、光導波路4の分岐数が2つの場合、差L3-L2は、5~8mm程度であるのが好ましい。光導波路4の分岐数が4つの場合、差L3-L2は、15~20mm程度であるのが好ましい。光導波路4の分岐数が8つの場合、差L3-L2は、40~45mm程度であるのが好ましい。
また、光導波路4の主面の各辺のうち、最も長い辺を長軸とするとき、図3に示す光導波路4の長軸の長さL4は、分岐数によっても若干異なるものの、5~80mm程度であるのが好ましく、7~50mm程度であるのがより好ましい。
さらに、光導波路4の長軸に直交する短軸の長さを幅とするとき、図4に示す光導波路4の幅Wは、分岐数によっても若干異なるものの、1.0~15mm程度であるのが好ましく、1.5~10mm程度であるのがより好ましい。
ここで、光導波路4の主面同士の距離を厚さtとする。図5ないし図7に示す光導波路4の厚さtは、図4ないし図6に示す第1光ファイバー1の直径φ1、図4および図5に示す第2光ファイバー2の直径φ2、ならびに、図4および図6に示す第3光ファイバー3の直径φ3のいずれよりも薄いことが好ましい。これにより、光導波路4は、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3に比べて曲がりやすくなる。その結果、導光部10が曲がった状態でも、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83には、負荷が及びにくくなる。これにより、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83における光結合損失の増大を抑制することができる。
なお、図7に示す光導波路4の厚さtは、50~500μm程度であるのが好ましく、100~300μm程度であるのがより好ましい。
以上のようなサイズの光導波路4では、厚さ方向に曲げたときの復元力を十分に小さく抑えることができる。また、曲げたときに座屈してしまうおそれも小さくなる。
また、第1光ファイバー本体11の直径φ1、第2光ファイバー本体21の直径φ2、および第3光ファイバー本体31の直径φ3は、それぞれ特に限定されないが、100~1000μm程度であるのが好ましく、200~800μm程度であるのがより好ましい。これにより、第1光ファイバー本体11、第2光ファイバー本体21、第3光ファイバー本体31の機械的特性を最適化することができる。その結果、導光部10が曲げられたとき、折れ曲がらない程度の剛性と、大きすぎない復元力と、を両立させることができる。
また、この場合、厚さtと直径φ1との差、厚さtと直径φ2との差、および、厚さtと直径φ3との差は、それぞれ50~800μmであるのが好ましく、100~500μmであるのがより好ましい。これにより、差が最適化されるため、光導波路4が相対的に曲がりやすくなり、導光部10が曲がった状態でも、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83には、負荷が及びにくくなる。また、第1光ファイバー本体11、第2光ファイバー本体21および第3光ファイバー本体31では、曲げ損失が抑制される。
一方、光導波路4は、主面401を筐体5の内壁面、例えば側壁52の内壁面に接触させた状態で筐体5内に収容されていてもよい。このようにして接触させておくことにより、導光部10を筐体5の内壁面に対してマイルドに固定することができ、導光部10が揺動しにくくなる。その結果、筐体5の内部における導光部10の安定性を高めることができ、導光部10において揺動に伴う伝送効率の変動を抑制することができる。
また、上記のような効果は、導光部10を筐体5に収容する場合以外にも得られる効果である。例えば、導光部10は、筐体5に収容することなく、図8および図9に示すようにして単に曲げられた状態で用いられてもよい。
導光部10は、例えば後述する電子機器の内部に設けられたスペースに収容された状態で使用されることもある。このような場合、省スペース化を図ることによって電子機器の小型化を図ることができるため、導光部10は、できるだけ小さくまとめられることが好ましい。そして、このような導光部10を備える光配線部品も、前述した光配線部品100と同様の効果を奏する。
その一方、本実施形態は、少なくとも、光導波路4、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83を収容する筐体5を備えている。筐体5に収容することができれば、導光部10の外部への露出を減らせる。これにより、筐体5を把持することで、光配線部品100を取り扱うことができるため、取り扱い性が良好な光配線部品100を実現することができる。
以上のように、本実施形態に係る光配線部品100は、第1光ファイバー1と、第2光ファイバー2と、第3光ファイバー3と、第1光ファイバー1と第2光ファイバー2および第3光ファイバー3との間に設けられているシート状をなす光導波路4と、第1光ファイバー1と光導波路4とを光学的に接続する第1接着部81と、第2光ファイバー2と光導波路4とを光学的に接続する第2接着部82と、第3光ファイバー3と光導波路4とを光学的に接続する第3接着部83と、を備えている。そして、光導波路4の厚さtは、第1光ファイバー1の直径φ1、第2光ファイバー2の直径φ2および第3光ファイバー3の直径φ3のいずれより薄い。
このような光配線部品100によれば、前述したように、製造難易度が低く、かつ、光配線部品100の製造時等において、導光部10を曲げた状態で筐体5に収容しようとした際、導光部10を曲げるような操作を行っても第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83に負荷が及びにくい。このため、製造難易度が低く、曲げた場合でも伝送損失が増大しにくい光配線部品100が得られる。
また、図2に示す光配線部品100は、筐体5と、筐体5に装着されている第1光アダプター6、第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bと、をさらに備えている。そして、第1光アダプター6に第1光ファイバー1が挿入され、第2光アダプター7aに第2光ファイバー2が挿入され、第3光アダプター7bに第3光ファイバー3が挿入されている。
このような光配線部品100では、各光アダプターに対して各光ファイバーが挿抜可能に挿入されている。このため、組立作業を簡単に行うことができるため、製造が容易な光配線部品100が得られる。また、第1光アダプター6、第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bには、別途設けられる外部光ファイバーを容易に接続することができる。このため、接続作業性に優れた光配線部品100が得られる。
また、前述したように、図3に示す第1光ファイバー1は、第1光ファイバー本体11と、第1光ファイバー本体11に装着されている第1光コネクター12と、を備えている。さらに、図3に示す第2光ファイバー2は、第2光ファイバー本体21と、第2光ファイバー本体21に装着されている第2光コネクター22と、を備えている。また、図3に示す第3光ファイバー3は、第3光ファイバー本体31と、第3光ファイバー本体31に装着されている第3光コネクター32と、を備えている。
このような各光コネクターを用いることにより、例えば光アダプターに対して光ファイバーを容易に挿抜することができる。このため、組立作業を簡単に行うことができ、製造が容易な光配線部品100が得られる。
なお、第1光アダプター6、第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bは、それぞれ必要に応じて設けられればよく、省略されてもよい。その場合、第1光ファイバー本体11、第2光ファイバー本体21および第3光ファイバー本体31のそれぞれの一部を、側壁51を貫通するようにして外部に引き出すようにすればよい。
また、この場合、第1光コネクター12、第2光コネクター22および第3光コネクター32を省略するようにしてもよい。これらを省略した場合には、第1光ファイバー本体11、第2光ファイバー本体21および第3光ファイバー本体31に対し、直接、光素子等を接続するようにすればよい。
また、分岐数が3つ以上の場合、多連光アダプター7は、第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bに加え、第4光アダプター、第5光アダプター、・・・等の追加の光アダプターを備えていてもよい。その場合、追加の光アダプターは、第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bとともにY軸に沿って並んでいてもよいし、これらに対してZ軸に並んでいてもよい。前者の場合、筐体5の薄型化を図ることができる。一方、後者の場合、多連光アダプター7は、多段構造ということになるので、平面視において筐体5の小型化を図ることができる。
なお、導光部10の全長は、特に限定されないが、5~200cm程度であるのが好ましく、10~100cm程度であるのがより好ましい。
また、本実施形態では、光導波路4が分岐部46を備えている。これにより、光導波路4は、光信号を分岐する機能を有する。したがって、光導波路4は、第1光ファイバー1と、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、を光学的に接続している。
このような光導波路4を備える光配線部品100は、光分配器として機能する。これにより、製造が容易で、かつ伝送損失が小さい光分配器を容易に実現することができる。
なお、光導波路4は、上記以外の機能を有していてもよい。上記以外の機能としては、例えば光信号の減衰等が挙げられる。光導波路4がかかる機能を有している場合には、前述した光配線部品100から第3光ファイバー3を省略してもよい。
2.光配線部品の第1変形例
次に、前述した実施形態に係る光配線部品の第1変形例について説明する。
図10は、第1変形例に係る光配線部品100AをX-Y面で切断したときの断面図である。以下、第1変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態と異なる構成について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
変形例に係る光配線部品100Aは、筐体5の内部における導光部10Aの収まり方が異なる以外、前記実施形態に係る光配線部品100と同様である。
具体的には、図10に示す光配線部品100Aでは、導光部10Aにおける第2光ファイバー2および第3光ファイバー3の各長さが、第1光ファイバー1に比べて特に長くなっている。このため、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3は、曲げられるだけでなく、環状に巻き取られた状態で筐体5の内部に収容されている。
このように、環状に巻き取ることで、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3では、それらの復元力が緩和される。つまり、環状に巻き取られた第2光ファイバー2および第3光ファイバー3の曲げ半径が、比較的容易に変化し得ることを利用することで、復元力が第2接着部82および第3接着部83に負荷を及ぼしにくくなる。このため、図10に示す光配線部品100Aでは、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83における光結合損失の増大を特に抑制することができる。
また、環状に巻き取られることで、筐体5の内部における導光部10Aの揺動を抑制するという効果が、より顕著になる。
以上のような第1変形例においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
3.光配線部品の第2変形例
次に、前述した実施形態に係る光配線部品の第2変形例について説明する。
図11は、第2変形例に係る光配線部品100BをX-Y面で切断したときの断面図である。以下、第2変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態と異なる構成について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
前述した第1実施形態およびその第1変形例では、導光部10、10Aが曲げられた状態で筐体5の内部に収容されている。
これに対し、第2変形例では、図11に示すように、導光部10Bが直線状に伸長した状態で筐体5の内部に収容されている。このため、導光部10Bを曲げた状態で筐体5の内部に収容する操作が不要になる点で、製造難易度がより低い。
したがって、以上のような第2変形例においても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、第2変形例を製造する際にも、例えば光コネクターを光アダプターに挿入する操作を行う際、導光部10Bを曲げる操作を行うことがある。このような操作を行った場合でも、第2変形例では、光導波路4が優先的に曲がることにより、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83には、負荷が及びにくくなる。したがって、製造難易度が低く、かつ、伝送損失が増大しにくい光配線部品100が得られる。
4.光配線部品の第3変形例
次に、前述した実施形態に係る光配線部品の第3変形例について説明する。
図12は、第3変形例に係る光配線部品100CをX-Y面で切断したときの断面図である。以下、第3変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態と異なる構成について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
前述した第1実施形態およびその第1、第2変形例では、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3が、筐体5の内部に収容されているとともに、第1光アダプター6、第2光アダプター7aおよび第3光アダプター7bに挿入されている。
これに対し、第3変形例に係る導光部10Cでは、図12に示すように、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3のそれぞれの一部が、筐体5の外部に引き出されている。
具体的には、第1光ファイバー1は、筐体5の側壁51を貫通している。そして、第1光ファイバー1の第1光コネクター12が筐体5の外部に引き出されている。また、側壁51を貫通している第1光ファイバー本体11と側壁51とが、第4接着部84により接着されている。第4接着部84は、図12に示すように、筐体5の外部に設けられていてもよいが、内部に設けられていてもよく、双方に設けられていてもよい。
また、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3も、それぞれ筐体5の側壁51を貫通している。そして、第2光ファイバー2の第2光コネクター22および第3光ファイバー3の第3光コネクター32が筐体5の外部に引き出されている。また、側壁51を貫通している第2光ファイバー本体21および第3光ファイバー本体31と側壁51とが、第5接着部85により接着されている。第5接着部85は、図12に示すように、筐体5の外部に設けられていてもよいが、内部に設けられていてもよく、双方に設けられていてもよい。
以上のように、第3変形例に係る光配線部品100Cでは、筐体5が、内部と外部とを貫通する貫通孔511、512を有している。具体的には、貫通孔511、512は、側壁51を貫通している。そして、第1光ファイバー1は、貫通孔511に挿通され、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3は、貫通孔512に挿通されている。
このような光配線部品100Cによれば、光アダプターを省略することができるので、構造の簡素化が図られる。このため、特に製造容易性が高い光配線部品100Cを実現することができる。
また、光配線部品100Cは、第1光ファイバー1と筐体5とを接着する第4接着部84と、第2光ファイバー2と筐体5とを接着する第5接着部85と、をさらに備えている。このような光配線部品100Cによれば、さらに構造の簡素化を図ることができる。このため、とりわけ製造容易性が高い光配線部品100Cを実現することができる。
なお、第4接着部84および第5接着部85は、前述した第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83と同様の接着剤を用いて製造される。
以上のような第3変形例においても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
5.光配線部品の第4変形例
次に、前述した実施形態に係る光配線部品の第4変形例について説明する。
図13は、第4変形例に係る光配線部品100DをX-Y面で切断したときの断面図である。以下、第4変形例について説明するが、以下の説明では、前記実施形態と異なる構成について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
前述した第3変形例では、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3のそれぞれの一部が、筐体5の側壁51を貫通して外部に引き出されている。
これに対し、第4変形例に係る導光部10Dでは、図13に示すように、筐体5が、側壁53を貫通する貫通孔531および側壁54を貫通する貫通孔541を有している。そして、第1光ファイバー1の一部が、筐体5の貫通孔531に挿通され、外部に引き出されている。そして、側壁53を貫通している第1光ファイバー本体11と側壁53とが、第4接着部84により接着されている。
また、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3のそれぞれの一部が、筐体5の貫通孔541に挿通され、外部に引き出されている。そして、側壁54を貫通している第2光ファイバー本体21および第3光ファイバー本体31と側壁54とが、第5接着部85により接着されている。
以上のような第4変形例においても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、第4変形例では、筐体5の小型化を図りやすい。このため、小型で取り扱いが容易な光配線部品100Dを実現することができる。
6.光配線部品の製造方法
次に、図2に示す光配線部品100を製造する方法について説明する。
図14は、図2に示す光配線部品100を製造する方法を説明するための工程図である。図15ないし図18は、それぞれ図14に示す製造方法を説明するための図である。なお、図15では、後述する押さえ板94、95の図示を省略するとともに、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、および光導波路4の内部を透視するようにして図示している。
図14に示す製造方法は、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と光導波路4とを治具9で支持する支持工程S01と、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83で接着する接着工程S02と、治具9を外す脱治具工程S03と、を有する。以下、各工程について順次説明する。
6.1 支持工程S01
まず、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、光導波路4と、を用意する。そして、第1光ファイバー1と、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3とが、光導波路4を介して光学的に接続されるように配置する。
次に、これらの位置を互いに合わせた状態で、治具9で支持する。治具9は、図15および図16に示すように、平板状の基部90と、基部90から上方に向かって突出する第1凸部91、第2凸部92および第3凸部93と、を備えている。このうち、第1凸部91は、第1光ファイバー1の下方に設けられ、第1光ファイバー1を下方から支持している。また、第2凸部92は、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3の下方に設けられ、これらを下方から支持している。また、第2凸部92の上面921には、図17に示すように、溝96が形成されている。この溝96には第2光ファイバー2および第3光ファイバー3が嵌められることにより、その位置を容易に規制することができる。なお、図示しないものの、第1凸部91の上面にも、同様に溝96を形成することにより、第1光ファイバー1の位置を容易に規制することができる。さらに、第3凸部93は、光導波路4の下方に設けられ、光導波路4を下方から支持している。
また、治具9は、図16に示す押さえ板94、95を備えている。このうち、押さえ板94は、第1光ファイバー1の上方に設けられ、自重または第1凸部91との係合により第1光ファイバー1を上方から押さえ込んでいる。また、押さえ板95は、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3の上方に設けられ、自重または第2凸部92との係合により第2光ファイバー2および第3光ファイバー3を上方から押さえ込んでいる。このような押さえ板94、95を用いることにより、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3を前述した溝96に確実に嵌め込むことができる。その結果、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3をそれぞれ目的の位置に誘導し、移動を規制することができる。
6.2 接着工程S02
次に、第1光ファイバー1と光導波路4との間に、第1接着部81を形成するための接着剤を供給する。なお、この接着剤は、双方の端面だけでなく、第1光ファイバー1の側面や光導波路4の側面にも付着させるのが好ましい。そして、接着剤を硬化させることにより、図18に示すように、第1接着部81を介してこれらが接着される。
また、第2光ファイバー2と光導波路4との間に、第2接着部82を形成するための接着剤を供給する。なお、この接着剤は、双方の端面だけでなく、第2光ファイバー2の側面や光導波路4の側面にも付着させるのが好ましい。そして、接着剤を硬化させることにより、図18に示すように、第2接着部82を介してこれらが接着される。
さらに、第3光ファイバー3と光導波路4との間に、第3接着部83を形成するための接着剤を供給する。なお、この接着剤は、双方の端面だけでなく、第3光ファイバー3の側面や光導波路4の側面にも付着させるのが好ましい。そして、接着剤を硬化させることにより、図18に示すように、第3接着部83を介してこれらが接着される。
なお、治具9には、必要に応じて、図18に示すように、Y軸方向における第1凸部91と第3凸部93との間、および、Y軸方向における第2凸部92と第3凸部93との間に、それぞれ凹部97が形成されていてもよい。このような凹部97が設けられることにより、第1接着部81、第2接着部82および第3接着部83が治具9に付着するのを防止することができる。
また、必要に応じて、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2、第3光ファイバー3および光導波路4のうちの少なくとも1つに対して、表面処理を施すようにしてもよい。これにより、接着剤の濡れ広がりが困難な材料で構成された表面についても、濡れ広がりを生じさせたり、促進したりすることができる。この表面処理は、特に限定されないが、例えばコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理等が挙げられる。
6.3 脱治具工程S03
次に、治具9を外す。その後、必要に応じて、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2、第3光ファイバー3および光導波路4を筐体5に収容する。これにより、図2に示す光配線部品100が得られる。
7.電子機器
上述したような実施形態に係る光配線部品によれば、製造難易度が低く、曲げた状態でも伝送損失が増大しにくい。小さな空間に光配線部品を収容する場合でも、伝送損失の増大を抑えた状態で収容することができる。したがって、このような光配線部品を備える電子機器は、信頼性が高く、かつ小型化が可能なものとなる。
本発明の電子機器としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、サーバー、スーパーコンピューター等が挙げられる。
以上、本発明の光配線部品および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の光配線部品は、前記実施形態の各部の構成が、同様の機能を有する任意の構成に置換されたものであってもよく、前記実施形態に任意の構成が追加されたものであってもよい。