JP2021113844A - 光配線部品の製造方法 - Google Patents

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幹也 兼田
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Abstract

【課題】マルチコア光ファイバーと複数の光ファイバーとが低い損失で接続されてなる光配線部品を、効率よく製造可能な光配線部品の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の光配線部品100の製造方法は、第1光ファイバー1と、第2光ファイバーおよび第3光ファイバー2とを、第1部材61および第2部材62を含む仮接着体を介して仮接続することにより、第1仮結合コア部および第2仮結合コア部を含む仮接続体を得る工程と、第1仮結合コア部の一端および第2仮結合コア部の一端にそれぞれ光を入射し、第1出射光の強度および第2出射光の強度をそれぞれ検出する工程と、それぞれの強度に基づき、第1光ファイバー1と仮接着体との間、第2光ファイバーおよび第3光ファイバー2と仮接着体との間、および、第1部材61と第2部材62との間を、それぞれ位置合わせする工程と、接着剤64、65で接着し、光配線部品100を得る工程と、を有する。【選択図】図6

Description

本発明は、光配線部品の製造方法に関するものである。
光ファイバーを用いた光通信における伝送容量を増やす手段の1つとして、マルチコアファイバーが知られている。マルチコアファイバーは、複数のコア部を有している。このため、1本の光ファイバーであっても、空間多重伝送を行うことができ、伝送容量を大きく増やすことができる。
マルチコアファイバーを光配線に組み込むためには、マルチコアファイバーと複数本のシングルコアファイバーとを接続する光配線部品が必要になる。例えば、特許文献1には、3つ以上のコアを有するマルチコアファイバーと3つ以上の通常ファイバーとを接続するファンナウト部品であって、第1のフェルールと、第2のフェルールと、これらの間に設けられた細径ファイバーと、を有するファンナウト部品が開示されている。細径ファイバーは、通常ファイバーよりも小さいクラッド径を有し、曲げられながら配置されることによって、マルチコアファイバーと通常ファイバーとを繋いでいる。
特開2012−208236号公報
しかしながら、特許文献1に記載のマルチコアファイバー用ファンナウト部品では、複数の細径ファイバーを、マルチコアファイバーと通常ファイバーの双方に対し、高い位置精度で接続する必要がある。ところが、細径ファイバーは取り扱いが難しく、位置合わせが困難であるため、結合損失が大きくなりやすい。したがって、低損失のファンナウト部品を製造することは難易度が高い。
本発明の目的は、マルチコア光ファイバーと複数の光ファイバーとが低い損失で接続されてなる光配線部品を、効率よく製造可能な光配線部品の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(5)の本発明により達成される。
(1) 第1Aファイバーコア部および第1Bファイバーコア部を含む第1光ファイバーと、第2ファイバーコア部を含む第2光ファイバーおよび第3ファイバーコア部を含む第3光ファイバーと、光導波路と、を備える光配線部品を製造する方法であって、
前記第1光ファイバー、前記第2光ファイバー、前記第3光ファイバー、および、第1部材と第2部材とを備える仮接着体を用意する工程と、
前記第1光ファイバーと、前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーとを、前記仮接着体を介して仮接続することにより、前記第1Aファイバーコア部と前記第2ファイバーコア部とを前記第1部材を介して光学的に仮結合してなる第1仮結合コア部、および、前記第1Bファイバーコア部と前記第3ファイバーコア部とを前記第2部材を介して光学的に仮結合してなる第2仮結合コア部を含む仮接続体を得る工程と、
前記第1仮結合コア部の一端および前記第2仮結合コア部の一端にそれぞれ光を入射し、前記第1仮結合コア部の他端から出射した第1出射光の強度および前記第2仮結合コア部の他端から出射した第2出射光の強度をそれぞれ検出する工程と、
前記第1出射光の強度および前記第2出射光の強度に基づき、前記第1光ファイバーと前記仮接着体との間、前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーと前記仮接着体との間、および、前記第1部材と前記第2部材との間を、それぞれ位置合わせする工程と、
位置合わせした、前記第1光ファイバーと前記仮接着体との間、前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーと前記仮接着体との間、および、前記第1部材と前記第2部材との間を、それぞれ接着剤で接着し、前記光配線部品を得る工程と、
を有することを特徴とする光配線部品の製造方法。
(2) 前記第1部材は、第1基板と、前記第1基板に設けられている第1導波路コア部と、を備え、
前記第2部材は、第2基板と、前記第2基板に設けられている第2導波路コア部と、を備え、
前記仮接続体を得る工程の前に設けられ、前記第1基板の厚さ方向に沿って前記第2部材を曲げることにより、前記第1導波路コア部および前記第2導波路コア部が前記第1基板の厚さ方向に並んでいる第1領域と、前記第1導波路コア部と前記第2導波路コア部とが前記第1基板の面方向に並んでいる第2領域と、を形成する工程をさらに有し、
前記接着剤で接着する工程は、前記第2部材を曲げた状態で接着する工程である上記(1)に記載の光配線部品の製造方法。
(3) 前記第1導波路コア部の形状および前記第2導波路コア部の形状は、前記第1基板の厚さ方向から平面視したとき、対称軸に対して互いに線対称の関係を有する上記(2)に記載の光配線部品の製造方法。
(4) 前記第1基板の厚さ方向から平面視したときの前記第1部材の外形形状と、前記第2基板の厚さ方向から平面視したときの前記第2部材の外形形状と、が互いに等しい上記(2)または(3)に記載の光配線部品の製造方法。
(5) 前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方は、透光性を有する上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の光配線部品の製造方法。
本発明によれば、マルチコア光ファイバーと複数の光ファイバーとが低い損失で接続されてなる光配線部品を、効率よく製造することができる。
実施形態に係る光配線部品の製造方法により製造される光配線部品の一例を示す斜視図である。 図1に示す光配線部品をX−Y面で切断したときの断面図である。 図2に示す光配線部品が備える光ファイバーの横断面図である。 図2に示す光配線部品の部分拡大図である。 図4に示す光導波路の分解斜視図である。 図4に示す光配線部品を1つの光路に沿ってZ軸と平行な面で切断したときの断面図である。 図6の光導波路のうち、第1光ファイバー側の端面を示す図である。 図6の光導波路のうち、第2光ファイバー側の端面を示す図である。 図6の部分拡大図である。 本実施形態に係る光配線部品の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図10に示す製造方法を説明するための図である。 図10に示す製造方法を説明するための図である。 図10に示す製造方法を説明するための図である。 図10に示す製造方法を説明するための図である。 図10に示す製造方法を説明するための図である。 図10に示す製造方法を説明するための図である。
以下、本発明の光配線部品の製造方法について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.光配線部品
まず、光配線部品の製造方法により製造される光配線部品について説明する。
図1は、実施形態に係る光配線部品の製造方法により製造される光配線部品の一例を示す斜視図である。図2は、図1に示す光配線部品をX−Y面で切断したときの断面図である。図3は、図2に示す光配線部品が備える光ファイバーの横断面図である。図4は、図2に示す光配線部品の部分拡大図である。図5は、図4に示す光配線部品が備える光導波路の分解斜視図である。図6は、図4に示す光配線部品を1つの光路に沿ってZ軸と平行な面で切断したときの断面図である。図7は、図6の光導波路のうち、第1光ファイバー側の端面を示す図である。図8は、図6の光導波路のうち、第2光ファイバー側の端面を示す図である。なお、各図では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を設定し、それぞれ矢印で示している。各矢印の先端側を「プラス側」といい、基端側を「マイナス側」という。また、特に、Z軸のプラス側を「上」といい、マイナス側を「下」という。なお、各図では、図示の便宜上、実際とは異なる寸法比で図示している。
図1および図2に示す光配線部品100は、図2に破線で示すマルチコア光ファイバー91と、複数のシングルコア光ファイバー92と、を光通信可能に接続する部品である。光配線部品100には、マルチコア光ファイバー91およびシングルコア光ファイバー92を挿入するための、後述するアダプター81、82が設けられている。このアダプター81、82にマルチコア光ファイバー91とシングルコア光ファイバー92を挿入することにより、光配線部品100を介して、マルチコア光ファイバー91とシングルコア光ファイバー92とを接続することができる。
図2に示すマルチコア光ファイバー91は、マルチコアの光ファイバー本体911と、光ファイバー本体911の端部に装着されたコネクター912と、を備えている。アダプター81は、コネクター912を挿抜可能に構成されている。
図2に示すシングルコア光ファイバー92は、複数本のシングルコアの光ファイバー本体921と、複数本の光ファイバー本体921の端部に装着されたコネクター922と、を備えている。アダプター82は、コネクター922を挿抜可能に構成されている。なお、光ファイバー本体921は、マルチコアであってもよい。
図1に示す光配線部品100は、箱状の筐体7を備えている。そして、光配線部品100は、図2に示すように、筐体7の内部に設けられた、第1光ファイバー1と、第2光ファイバー2と、第3光ファイバー3と、第4光ファイバー4と、第5光ファイバー5と、光導波路6と、を備えている。第1光ファイバー1は、マルチコア光ファイバーを含んでおり、第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、第4光ファイバー4および第5光ファイバー5は、それぞれシングルコア光ファイバーを含んでいる。これらの第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、第4光ファイバー4および第5光ファイバー5は、X−Y面に沿ってX軸方向に並んでいる。なお、第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、第4光ファイバー4および第5光ファイバー5は、それぞれシングルコア光ファイバーではなく、マルチコア光ファイバーを含んでいてもよい。
光導波路6は、第1光ファイバー1と、第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、第4光ファイバー4および第5光ファイバー5と、の間に設けられ、これらを接続する。光導波路6は、後に詳述するが、板状をなし、Z軸と平行な法線を持つ板面に対して立体的に配設された導光路を備えている。この導光路を介在させることにより、第1光ファイバー1の各入出射点と、X軸方向に並ぶ第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、第4光ファイバー4および第5光ファイバー5の各入出射点とが、光学的に結合されている。
以下、光配線部品100の各部について詳述する。
1.1.第1光ファイバー
第1光ファイバー1は、図2に示すように、Y軸方向に延在する光ファイバー本体11と、光ファイバー本体11のY軸プラス側の端部に装着されたコネクター12と、を備えている。
光ファイバー本体11としては、例えばガラス製光ファイバー、プラスチック製光ファイバー等が挙げられる。
また、光ファイバー本体11の導波モードは、シングルモードであっても、マルチモードであってもよいが、シングルモードであるのが好ましい。これにより、例えば光信号の長距離伝送が可能な光配線を構築し得る光配線部品100が得られる。
光ファイバー本体11の横断面形状は、特に限定されないが、図3(a)では円形である。図3(a)に示す光ファイバー本体11は、マルチコア光ファイバーであり、並行して延在する4本のファイバーコア部111A、111B、111C、111Dを含んでいる。光ファイバー本体11の横断面において、ファイバーコア部111A、111B、111C、111Dは、2×2のマトリックス状に配置されている。このうち、ファイバーコア部111A(第1Aファイバーコア部)およびファイバーコア部111B(第1Bファイバーコア部)は、Z軸方向に並んでいる。これらのX軸プラス側にも、ファイバーコア部111Cおよびファイバーコア部111Dが、Z軸方向に並んでいる。また、これらのファイバーコア部111A、111B、111C、111Dの各側面は、クラッド部112によって覆われている。
また、光ファイバー本体11は、側面を被覆する外被を備えていてもよい。外被の構成材料としては、例えば、樹脂材料、金属材料、ガラス材料、またはこれらを含む複合材料等が挙げられる。
なお、ファイバーコア部111A、111B、111C、111Dの本数は、複数本であれば、4本に限定されない。また、ファイバーコア部111A、111B、111C、111Dの配置も、上記の配置に限定されない。
光ファイバー本体11のY軸マイナス側の端面と光導波路6との間は、図4および図6に示す接着部材64を介して光学的に結合されている。
コネクター12は、挿通孔を有している。この挿通孔に光ファイバー本体11の端部を挿入することにより、光ファイバー本体11が保持される。
コネクター12は、光ファイバー本体11を保持する図示しないフェルールと、フェルールを保持する図示しないハウジングと、を備えている。フェルールとしては、例えば、セラミックス製フェルール、ガラス製フェルール、プラスチック製フェルール等が挙げられる。また、ハウジングは、種々の規格に応じた形状を有していてもよい。この規格としては、例えば、SC、SCF、SCH、FC、ST、LC、MT−RJ、MU等が挙げられる。
1.2.第2光ファイバー等
第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、第4光ファイバー4および第5光ファイバー5は、互いに異なる構成を有していてもよいが、本実施形態では互いに同じ構成を有している。したがって、ここでは、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3について主に説明する。なお、本明細書では、第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、第4光ファイバー4および第5光ファイバー5を、省略して「第2光ファイバー2等」ということもある。
第2光ファイバー2は、図4に示すように、Y軸方向に延在する光ファイバー本体21を備えている。
光ファイバー本体21としては、例えばガラス製光ファイバー、プラスチック製光ファイバー等が挙げられる。
また、光ファイバー本体21の導波モードは、シングルモードであっても、マルチモードであってもよいが、シングルモードであるのが好ましい。これにより、例えば光信号の長距離伝送が可能な光配線を構築し得る光配線部品100が得られる。
光ファイバー本体21の横断面形状は、特に限定されないが、図3(b)では円形である。図3(b)に示す光ファイバー本体21は、シングルコア光ファイバーであり、1本のファイバーコア部211(第2ファイバーコア部)を含んでいる。光ファイバー本体21の横断面において、ファイバーコア部211は、中心に配置されている。また、ファイバーコア部211の側面は、クラッド部212によって覆われている。
また、第2光ファイバー2は、光ファイバー本体21の側面を被覆する外被を備えていてもよい。外被の構成材料としては、例えば、樹脂材料、金属材料、ガラス材料、またはこれらを含む複合材料等が挙げられる。
光ファイバー本体21と光導波路6との間は、図4および図6に示す接着部材65を介して光学的に結合されている。
第3光ファイバー3は、図4に示すように、Y軸方向に延在する光ファイバー本体31を備えている。
光ファイバー本体31としては、例えばガラス製光ファイバー、プラスチック製光ファイバー等が挙げられる。
また、光ファイバー本体31の導波モードは、シングルモードであっても、マルチモードであってもよいが、シングルモードであるのが好ましい。これにより、例えば光信号の長距離伝送が可能な光配線を構築し得る光配線部品100が得られる。
光ファイバー本体31の横断面形状は、特に限定されないが、図3(b)では円形である。図3(b)に示す光ファイバー本体31は、シングルコア光ファイバーであり、1本のファイバーコア部311(第3ファイバーコア部)を含んでいる。光ファイバー本体31の横断面において、ファイバーコア部311は、中心に配置されている。また、ファイバーコア部311の側面は、クラッド部312によって覆われている。
また、第3光ファイバー3は、光ファイバー本体31の側面を被覆する外被を備えていてもよい。外被の構成材料としては、例えば、樹脂材料、金属材料、ガラス材料、またはこれらを含む複合材料等が挙げられる。
光ファイバー本体31と光導波路6との間は、図4および図6に示す接着部材65を介して光学的に結合されている。
第4光ファイバー4は、図4に示すように、Y軸方向に延在する光ファイバー本体41を備えている。光ファイバー本体41は、ファイバーコア部411と、クラッド部412と、を含んでいる。
第5光ファイバー5は、図4に示すように、Y軸方向に延在する光ファイバー本体51を備えている。光ファイバー本体51は、ファイバーコア部511と、クラッド部512と、を含んでいる。
以上のような第2光ファイバー2等は、それぞれのY軸マイナス側の端部が、コネクター22によって支持されている。
コネクター22は、第2光ファイバー2等を保持する図示しないフェルールと、フェルールを保持するハウジングと、を備えている。フェルールとしては、複数本の光ファイバーを保持し得る構造を有するものであれば、特に限定されず、例えば、セラミックス製フェルール、ガラス製フェルール、プラスチック製フェルール等が挙げられる。フェルールは、種々の規格に応じた形状を有していてもよい。この規格としては、例えば、MTが挙げられる。また、ハウジングも、種々の規格に応じた形状を有していてもよい。この規格としては、例えば、MPO等が挙げられる。
なお、第2光ファイバー2等は、少なくともY軸プラス側の端部同士が、互いに拘束された形態であってもよいし、ほぼ全長にわたって互いに拘束された、いわゆる「リボン光ファイバーコード」の形態をなしていてもよい。また、第2光ファイバー2同士を互いに拘束する手段として、任意の部材が追加されていてもよい。この部材には、必要に応じて、第2光ファイバー2等を嵌め込むための溝が設けられていてもよい。
さらには、第2光ファイバー2のクラッド部212、第3光ファイバー3のクラッド部312、第4光ファイバー4のクラッド部412、および第5光ファイバー5のクラッド部512のうち、2つ以上が互いに一体化していてもよい。
1.3.光導波路
光導波路6は、前述したように、第1光ファイバー1と第2光ファイバー2等との間に設けられ、これらを接続している。
図4に示す光導波路6は、導波路コア部601、導波路コア部602、導波路コア部603、および導波路コア部604を備えている。導波路コア部601(第1導波路コア部)は、ファイバーコア部111Aとファイバーコア部211とを光学的に結合している。導波路コア部602(第2導波路コア部)は、ファイバーコア部111Bとファイバーコア部311とを光学的に結合している。導波路コア部603は、ファイバーコア部111Cとファイバーコア部411とを光学的に結合している。導波路コア部604は、ファイバーコア部111Dとファイバーコア部511とを光学的に結合している。
図4に示す光導波路6は、Z軸に沿って積層された多層構造を有している。そして、導波路コア部601、603が互いに同じ階層に設けられ、これらとは異なる階層に導波路コア部602、604が設けられている。
図4に示す光導波路6を分解すると、図5に示す2つの部材に分けることができる。図5に示す光導波路6は、互いに積層された第1部材61と第2部材62とを備えている。第1部材61および第2部材62は、図6に示す接着部材63を介して接着されている。図6に示す光導波路6は、第1部材61と第2部材62とが接着部材63を介して接着された状態を示している。なお、図4では、第1部材61に含まれる導波路コア部601、603を破線で示し、第2部材62に含まれる導波路コア部602、604を実線で示している。
第1部材61は、第1基板611と、アンダークラッド層612と、前述した導波路コア部601、603と、オーバークラッド層613(第1中間クラッド部)と、を備えている。
第1基板611は、第1主面6111と、その反対面である第1裏面6112と、第1光ファイバー1と対向する第1端面6113と、第2光ファイバー2等と対向する第1端面6114と、を有する。第1主面6111には、アンダークラッド層612を介して、導波路コア部601、603が設けられている。なお、アンダークラッド層612は、必要に応じて設けられればよく、第1基板611の屈折率によっては省略されてもよい。したがって、本明細書では、導波路コア部601、603のような構造物を第1主面6111に設けるとき、アンダークラッド層612のような介在物を挟む場合と、第1主面6111に直接設ける場合の双方を含めて、「第1主面6111に設ける」という。
また、導波路コア部601、603は、Y軸に沿って延在するとともに、途中でX軸マイナス側に変位するように曲がっている。さらに、導波路コア部601、603は、互いにほぼ平行に延在しているが、両者のX軸に沿った距離は、Y軸マイナス側に進むほど長くなっている。なお、本明細書において「平行」とは、完全な平行状態から5°以下のずれを許容する概念である。
オーバークラッド層613は、導波路コア部601、603の側面を覆うとともに、アンダークラッド層612に積層されている。オーバークラッド層613は、第1主面6111のうち、Y軸プラス側の一部のみに設けられている。したがって、導波路コア部601、603のY軸マイナス側の一部は、オーバークラッド層613からはみ出し、露出している。
第1基板611の主材料としては、例えば、ガラス材料、シリコン材料、セラミックス材料、金属材料、樹脂材料等が挙げられる。
第1基板611は、線膨張係数ができるだけ小さいことが好ましい。具体的には、第1基板611の線膨張係数は、2×10−5/℃以下であるのが好ましく、1×10−5/℃以下であるのがより好ましい。これにより、第1部材61の熱膨張を抑えることができる。その結果、熱膨張に伴う導波路コア部601、603の伝送効率の変化を抑えることができる。
このような透光性や熱膨張の観点から、第1基板611の主材料は、特にガラス材料であるのが好ましい。ガラス材料は、紫外光から可視光の透過性が良好であり、かつ、線膨張係数も比較的小さい。また、第1主面6111の表面粗さを小さく抑えることもできる。このため、第1基板611の主材料として好適である。さらに、接着部材63として光硬化性接着剤を用いた場合、第1基板611越しに光を照射して接着剤を硬化させることができる。
第1基板611の厚さは、0.2〜2.0mmであるのが好ましく、0.4〜1.5mmであるのがより好ましく、0.5〜1.0mmであるのがさらに好ましい。これにより、第1基板611は、自重による変形を抑えるのに十分な剛性を有するものとなる。
第2部材62は、第2基板621と、アンダークラッド層622と、前述した導波路コア部602、604と、オーバークラッド層623(第2中間クラッド部)と、を備えている。
第2基板621は、第2主面6211と、その反対面である第2裏面6212と、第1光ファイバー1と対向する第2端面6213と、第2光ファイバー2等と対向する第2端面6214と、を有する。第2主面6211には、アンダークラッド層622を介して、導波路コア部602、604が設けられている。なお、アンダークラッド層622は、必要に応じて設けられればよく、第2基板621の屈折率によっては省略されてもよい。したがって、本明細書では、導波路コア部602、604のような構造物を第2主面6211に設けるとき、アンダークラッド層622のような介在物を挟む場合と、第2主面6211に直接設ける場合の双方を含めて、「第2主面6211に設ける」という。
また、導波路コア部602、604は、Y軸に沿って延在するとともに、途中でX軸プラス側に変位するように曲がっている。さらに、導波路コア部602、604は、互いにほぼ平行に延在しているが、両者のX軸に沿った距離は、Y軸マイナス側に進むほど長くなっている。
オーバークラッド層623は、導波路コア部602、604の側面を覆うとともに、アンダークラッド層622に積層されている。オーバークラッド層623は、第2主面6211のうち、Y軸プラス側の一部のみに設けられている。したがって、導波路コア部602、604のY軸マイナス側の一部は、オーバークラッド層623からはみ出し、露出している。
第2基板621の主材料としては、例えば、ガラス材料、シリコン材料、セラミックス材料、金属材料、樹脂材料等が挙げられる。
第2基板621は、線膨張係数ができるだけ小さいことが好ましい。具体的には、第2基板621の線膨張係数は、2×10−5/℃以下であるのが好ましく、1×10−5/℃以下であるのがより好ましい。これにより、第2部材62の熱膨張を抑えることができる。その結果、熱膨張に伴う導波路コア部602、604の伝送効率の変化を抑えることができる。
このような透過性や熱膨張の観点から、第2基板621の主材料は、特にガラス材料であるのが好ましい。ガラス材料は、紫外光から可視光の透過性が良好であり、かつ、線膨張係数も比較的小さい。また、第2主面6211の表面粗さを小さく抑えることもできる。このため、第2基板621の主材料として好適である。さらに、接着部材63として光硬化性接着剤を用いた場合、第2基板621越しに光を照射して接着剤を硬化させることができる。
第2基板621の厚さは、0.1〜2.0mmであるのが好ましく、0.2〜1.5mmであるのがより好ましく、0.3〜1.0mmであるのがさらに好ましい。これにより、第2基板621は、自重による変形を抑えるのに十分な剛性を有するものとなる。また、第2基板621は、荷重を受けたときに簡単に湾曲し、かつ、それに伴って発生する復元力が十分に小さく抑えられたものとなる。
導波路コア部601〜604の直径は、特に限定されないが、導波路コア部601〜604の導波モードがシングルモードである場合、1〜15μm程度であるのが好ましく、2〜12μm程度であるのがより好ましい。なお、導波路コア部601〜604の直径とは、X軸方向の長さおよびZ軸方向の長さのことをいう。
導波路コア部601〜604の主材料としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような成分をベースポリマーとした各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのような各種ガラス材料等が挙げられる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料やポリマーアロイであってもよい。
また、アンダークラッド層612、622およびオーバークラッド層613、623の各主材料は、例えば、前述した導波路コア部601〜604の主材料として挙げた材料の中から適宜選択して用いられる。
アンダークラッド層612、622の屈折率は、導波路コア部601〜604の屈折率より低い。これにより、導波路コア部601〜604は、導光路として機能する。
なお、オーバークラッド層613、623には、導波路コア部601〜604よりも弾性率が小さい材料が好ましく用いられる。この場合、オーバークラッド層613、623が変形しやすくなるため、第2部材62が曲げられたとき、オーバークラッド層613、623が変形しやすくなる。このため、オーバークラッド層613、623が干渉しても、導波路コア部601〜604に負荷を及ぼしにくくなり、導波路コア部601〜604の伝送効率の低下を招きにくくなる。
接着部材63は、図6に示すように、第1部材61と第2部材62との間に充填され、これらを接着している。具体的には、接着部材63は、オーバークラッド層613とオーバークラッド層623との間に介在し、これらを接着している。また、接着部材63は、導波路コア部601〜604のうち、オーバークラッド層613、623から露出した部分を覆っている。このため、接着部材63は、導波路コア部601〜604のクラッド部としての機能も有する。
なお、接着部材63は、第1部材61と第2部材62との間から外部にはみ出していてもよい。この場合、接着部材63と前述した接着部材64、65とがつながっていてもよい。換言すれば、接着部材63を形成する際にはみ出した材料が、接着部材64、65として用いられてもよい。
ここで、第2部材62は、図6に示すように、Y軸マイナス側の部分が第1部材61側に近づくように変位している。一方、第2部材62のY軸プラス側の部分は、オーバークラッド層613、623がスペーサーとして機能するため、ほとんど変位しない。このように、部位によって変位量が異なるため、第2部材62は、Y軸マイナス側の部分が曲げられ、この部分の光導波路6全体の厚さが相対的に薄くなっている。そして、この状態で、第2部材62は、接着部材63で固定されている。その結果、第2部材62に含まれた導波路コア部602も、図6に示すように、Y軸マイナス側に進むほど第1部材61側に近づくように変位している。光導波路6では、このような立体的な経路で導波路コア部602を配設することにより、導波路コア部601、602の位置関係を変換しつつ、第1光ファイバー1と第2光ファイバー2等とを光学的に結合している。
上記の構成について、より具体的に説明する。
図5に示すように、第1主面6111の一部にはオーバークラッド層613が設けられ、第2主面6211の一部にもオーバークラッド層623が設けられている。これらのオーバークラッド層613、623同士を向かい合わせるようにして接着すると、導波路コア部601と導波路コア部602との間には、オーバークラッド層613、623の厚さ以上の距離が形成される。この距離を埋めるように、第2部材62の一部を下方に押し下げると、導波路コア部601は、第2部材62のアンダークラッド層622に突き当たり、導波路コア部602は、第1部材61のアンダークラッド層612に突き当たる。図6ないし図8には、この状態を示している。
図6には、導波路コア部601の光路に沿った断面図が示されている。第1光ファイバー1側の端面では、図7に示すように、導波路コア部601の上方に導波路コア部602が隣り合っている。つまり、図7では、導波路コア部601、602が、第1主面6111と交差する方向、より具体的には第1主面6111の法線方向に並んでいる。この端面よりもY軸マイナス側に進むと、導波路コア部602は、徐々にZ軸マイナス側に変位する。そして、導波路コア部602のZ軸上の位置は、導波路コア部601と同じになる。
また、Y軸マイナス側に進むと、導波路コア部602は、徐々にX軸プラス側にも変位する。そうすると、導波路コア部602は、Y軸マイナス側に進むと、図6に示す断面から外れていく。図6では、断面から外れた導波路コア部602を破線にて示している。その結果、第2光ファイバー2側の端面では、導波路コア部601、602が、第1主面6111と平行な方向に並ぶことになる。
したがって、光導波路6は、導波路コア部601および導波路コア部602が、第1主面6111と交差する方向に並んでいる第1領域651と、導波路コア部601および導波路コア部602が、第1主面6111と平行な方向に並んでいる第2領域652と、を有している。
図7には、第1光ファイバー1の外形形状を破線にて示している。図8には、第2光ファイバー2等の外形形状を破線にて示している。
このような光導波路6によれば、第1部材61と第2部材62の2つの部材を接着するという簡単な構造であるにもかかわらず、図7に示すマルチコア光ファイバーを含む第1光ファイバー1と、図8に示すシングルコア光ファイバーを含む第2光ファイバー2、第3光ファイバー3等と、を光学的に結合することができる。また、導波路コア部602は、第1主面6111と交差する方向に曲げられ、かつ、導波路コア部601、602は、第1主面6111と平行な方向にも曲げられている。したがって、導波路コア部601、602の光路長を容易に短くすることができ、光導波路6の小型化を図ることができる。
加えて、光導波路6の導波路コア部601、602は、それぞれ面内における敷設経路の自由度が高い。このため、光導波路6では、導波路コア部601、602のX−Y面内における敷設経路の制約が少ないという利点がある。また、第2部材62の曲げ具合を調整することによって、導波路コア部602のZ軸方向における敷設経路の自由度も高められるという利点がある。
なお、上記の説明では、導波路コア部601と導波路コア部602との関係について代表的に説明しているが、この関係は、導波路コア部603と導波路コア部604との間にも同様に適用される。
なお、図6に示すように、第1領域651は、導波路コア部601と導波路コア部602との間に位置するオーバークラッド層613(第1中間クラッド部)およびオーバークラッド層623(第2中間クラッド部)がさらに設けられている領域である。一方、第2領域652は、このオーバークラッド層613、623が設けられていない領域である。
このような構成によれば、オーバークラッド層613、623の膜厚によって、第2部材62の曲げ量を調整することができる。換言すれば、マルチコア光ファイバーを含む第1光ファイバー1に接続するため、第1領域651では、導波路コア部601、602のZ軸方向におけるピッチをオーバークラッド層613、623の膜厚で調整し、かつ、第2領域652では、オーバークラッド層613、623を設けないことで、導波路コア部601、602を同じ面(第1主面6111)に並べることができる。したがって、オーバークラッド層613、623の形成領域を調整することにより、第2部材62の曲げ量を簡単に調整することができ、光導波路6を効率よく製造することができる。
また、図4に示す第1主面6111を平面視したとき(第1基板611の厚さ方向から平面視したとき)、導波路コア部601の形状および導波路コア部602の形状は、対称軸AXについて互いに線対称の関係を有している。
このような構成によれば、導波路コア部601を含む第1部材61、および、導波路コア部602を含む第2部材62、を互いに同じ構成の部材にすることができる。つまり、図5に示すように、第1主面6111と第2主面6211とを向かい合わせることにより、形状が互いに同じ導波路コア部601、602を用いても、図4に示すようなパターンの導光路を形成することができる。これにより、第1部材61および第2部材62を共通化することができるので、製造工数および製造コストの削減を図ることができる。
また、図4では、導波路コア部603の形状および導波路コア部604の形状も、図示しない対称軸について互いに線対称の関係を有している。なお、このような形状の関係は、限定されるものではない。
なお、光路長は、導波路コア部601〜604間で互いに同じであっても、互いに異なっていてもよい。
また、図5では、第1主面6111を平面視したときの第1部材61の外形形状と、第2部材62が曲げられていないとき、第2主面6211を平面視したときの第2部材62の外形形状と、が互いに等しくなっている。
このような構成によれば、光導波路6の全体形状が等方形状により近くなる。このため、異方形状のときに発生しやすい反り等の変形を抑えることができ、変形に伴う伝送損失の増大および第1光ファイバー1や第2光ファイバー2等との結合損失の増大を抑制することができる。その結果、信頼性の高い光導波路6および光配線部品100を実現することができる。また、光導波路6の製造も容易である。
なお、前述した第1領域651では、導波路コア部601、603の側面がオーバークラッド層613で覆われ、導波路コア部602、604の側面はオーバークラッド層623で覆われている。オーバークラッド層613、623の屈折率は、導波路コア部601〜604の屈折率より低い。これにより、導波路コア部601〜604は、導光路として機能する。
一方、前述した第2領域652では、導波路コア部601〜604の側面が接着部材63で覆われている。したがって、第2領域652では、接着部材63がクラッド部として機能している。
ここで、第1光ファイバー1に含まれる光ファイバー本体11(マルチコア光ファイバー)、および、第2光ファイバー2等に含まれる光ファイバー本体21等(シングルコア光ファイバー)は、モードフィールド径が互いに異なることが多い。このようにモードフィールド径が異なる場合、第1光ファイバー1と第2光ファイバー2等とを接続する光導波路6には、モードフィールド径の不一致に対応することが求められる。
これに対し、本実施形態に係る光導波路6では、第1領域651に位置する導波路コア部601〜604と、第2領域652に位置する導波路コア部601〜604とで、モードフィールド径を異ならせることが可能である。
具体的には、本実施形態では、オーバークラッド層613、623の屈折率と、接着部材63の屈折率と、を異ならせることができるので、第1領域651におけるモードフィールド径と、第2領域652におけるモードフィールド径と、を異ならせることができる。これにより、第1領域651では、オーバークラッド層613、623の屈折率を調整することにより、光ファイバー本体11のモードフィールド径に対して、導波路コア部601〜604のモードフィールド径を近づけることができる。その結果、第1光ファイバー1と光導波路6との結合損失を減少させることができる。同様に、第2領域652では、接着部材63の屈折率を調整することにより、光ファイバー本体21等のモードフィールド径に対して、導波路コア部601〜604のモードフィールド径を近づけることができる。その結果、第2光ファイバー2等と光導波路6との結合損失を減少させることができる。
なお、オーバークラッド層613、623の屈折率は、接着部材63の屈折率と同じであってもよい。
第1光ファイバー1と光導波路6との間には、接着部材64が設けられ、第2光ファイバー2等と光導波路6との間には、接着部材65が設けられている。これらの接着部材64、65の屈折率は、導波路コア部601〜604の屈折率に近くなるように設定されている。これにより、光導波路6の入出射面における反射を抑えることができる。
また、第2基板621の厚さは、第1基板611の厚さと同じであってもよいし、第1基板611の厚さより厚くてもよいが、好ましくは第1基板611の厚さより薄くなるように設定される。これにより、光導波路6全体の機械的強度を第1基板611によって確保しつつ、第2部材62が相対的に曲げやすくなる。このため、曲げられた状態の第2基板621に発生する復元力の大きさを小さく抑えることができる。その結果、復元力に起因して第2部材62の固定状態が解除されてしまうのを防止することができる。
一方、第2基板621の厚さを、第1基板611の厚さと同じにした場合には、第1部材61および第2部材62を共通化しやすくなるので、製造工数および製造コストの削減を図りやすくなる。
ここで、図9は、図6の部分拡大図である。なお、図9では、図6よりも、実際の寸法比により近づけるように図示している。具体的には、図9では、導波路コア部601、602等の厚さに対する第1基板611および第2基板621の各厚さの比を、図6に比べて高めている。また、図9では、アンダークラッド層612、622やオーバークラッド層613、623、および接着部材63等の図示を省略している。
図6に示す第1基板611は、前述したように、第1主面6111と、第1裏面6112と、第1端面6113、6114と、を有する。このうち、第1光ファイバー1と対向する第1端面6113は、図9に示すように、第1主面6111と第1裏面6112とを接続する面であって、第1主面6111側に位置する主面側部分6113aと、第1裏面6112側に位置する裏面側部分6113bと、を含んでいる。そして、裏面側部分6113bは、主面側部分6113aよりも、第1光ファイバー1側に張り出している。
換言すれば、導波路コア部601の光路に沿って第1主面6111に直交する面で第1基板611を切断したとき、第1端面6113の断面形状は、主面側部分6113aから裏面側部分6113bに移動するにつれて、第1光ファイバー1側に張り出すように、わずかに湾曲した曲線になっている。
このような構成によれば、光ファイバー本体11を第1端面6113に接触させたとき、光ファイバー本体11が導波路コア部601に接触する確率を下げることができる。つまり、光ファイバー本体11を第1端面6113に近づけていくと、まず、光ファイバー本体11の角部11cが第1端面6113に接触する確率が高くなる。そうすると、光ファイバー本体11は、導波路コア部601に接触しにくくなる。これにより、接触に伴って導波路コア部601に損傷が発生し、伝送効率が低下するのを抑制することができる。
なお、主面側部分6113aに対する裏面側部分6113bの張り出し量pは、特に限定されないが、5〜100μm程度であるのが好ましく、10〜50μm程度であるのがより好ましい。これにより、光ファイバー本体11が導波路コア部601に接触する確率を十分に下げつつ、光ファイバー本体11と導波路コア部601との距離が必要以上に長くなるのを避けることができる。
また、図示しないが、第1端面6114も、第1端面6113と同様の形状を有しているのが好ましい。これにより、光ファイバー本体21等は、導波路コア部601に接触しにくくなる。なお、第1端面6113、6114は、曲面以外の形状であってもよい。
一方、図6に示す第2基板621は、前述したように、第2主面6211と、第2裏面6212と、第2端面6213、6214と、を有する。このうち、第2端面6213については、図9に示すように、上述した第1端面6113と同様の形状を有しているのが好ましい。これにより、光ファイバー本体11は、導波路コア部602に接触しにくくなる。
また、図示しないが、第2端面6214も、第2端面6213と同様の形状を有しているのが好ましい。これにより、光ファイバー本体21等は、導波路コア部602に接触しにくくなる。なお、第2端面6213、6214も、曲面以外の形状であってもよい。
なお、第1端面6113、6114および第2端面6213、6214が有する上記のような形状は、接着部材64および接着部材65を保持しやすくなるという利点も有する。例えば、第1端面6113では、裏面側部分6113bが主面側部分6113aよりも張り出しているため、図6に示す接着部材64が未硬化のとき、主面側部分6113aの近くに留まりやすくなる。これにより、接着部材64の膜厚が確保されやすくなり、第1光ファイバー1と光導波路6との間に接着部材64をより確実に充填することができる。
加えて、裏面側部分6113bが張り出していることにより、接着部材64が未硬化のときでも、第1裏面6112側に流れ出しにくくなる。このため、第1裏面6112が未硬化の接着剤で汚染されにくくなり、光配線部品100の製造プロセスの効率を高めることができる。これは、第1端面6114および第2端面6213、6214についても同様である。
なお、第1端面6113、第1端面6114、第2端面6213、および第2端面6214のうち、少なくとも1つが図9に示すような曲面またはそれに準じた形状であってもよい。つまり、第1端面6113、第1端面6114、第2端面6213、および第2端面6214のうちの少なくとも1つが曲面等をなし、残りが非曲面、すなわち平面であってもよい。
接着部材63〜65は、熱硬化性接着剤であってもよいが、光硬化性接着剤であるのが好ましい。これにより、各部を位置合わせした状態で、精度よく簡単に固定することができる。
接着部材63〜65としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、オレフィン系接着剤、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)等が挙げられる。
なお、接着部材63〜65は、主材料が互いに異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。これにより、接着部材63〜65を1つの材料に共通化することができるので、光配線部品100の製造容易性を高めることができる。
光導波路6の大きさは、導波路コア部601〜604の本数、光ファイバー本体11におけるコア数、第2光ファイバー2等の配置等に応じて、適宜設定されるが、一例として、矩形形状をなしている場合、一辺の長さが1〜30mm程度であるのが好ましく、2〜20mm程度であるのがより好ましい。
なお、光導波路6の構成は、上記の構成に限定されない。例えば、上述した光導波路6は、第2部材62の一部を下方に押し下げるように曲げているが、曲げることなく、光導波路6の構成は、第1部材61と第2部材62とを積層する構成であってもよい。この場合、得られる光導波路は、例えばマルチコア光ファイバー同士を接続する機能を有するものとなる。
後述する光配線部品の製造方法は、このように、2つの部材を含む光導波路を備えた光配線部品の製造方法であって、それぞれに導波路コア部が含まれた部材同士を接着して光導波路を製造する工程を含む製造方法である。
1.4.筐体
筐体7は、図1に示すように、容器71と蓋体72とを備えている。容器71は、上方に開口する有底の箱状をなしており、その外形は、Y軸に沿った長軸を有する略直方体形状をなしている。蓋体72は、容器71の開口部を覆う板状をなしている。なお、筐体7の形状は、このような形状に限定されない。また、筐体7は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。
容器71の内側と外側を隔てる壁のうち、Y軸に交差し、Y軸プラス側に位置する側壁711には、図2に示すように、側壁711を貫通するようにアダプター81が装着されている。アダプター81は、2つの挿入部811、812を備えている。容器71の内側に臨む挿入部811には、第1光ファイバー1が挿入されている。容器71の外側に臨む挿入部812には、マルチコア光ファイバー91が挿入可能になっている。
容器71の内側と外側を隔てる壁のうち、Y軸に交差し、Y軸マイナス側に位置する側壁712には、図2に示すように、側壁712を貫通するようにアダプター82が装着されている。アダプター82は、2つの挿入部821、822を備えている。容器71の内側に臨む挿入部821には、第2光ファイバー2等が挿入されている。容器71の外側に臨む挿入部822には、シングルコア光ファイバー92が挿入可能になっている。
光導波路6は、容器71に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。
また、蓋体72は、必要に応じて設けられればよく、容器71と蓋体72とが一体になっていてもよい。
さらに、容器71には、ポッティング剤のような樹脂材料が充填されていてもよい。
アダプター81は、前述したコネクター12が有する種々の規格に応じた形状を有していてもよい。この規格としては、例えば、SC、SCF、SCH、FC、ST、LC、MT−RJ、MU等が挙げられる。
アダプター82は、前述したコネクター22が有する種々の規格に応じた形状を有していてもよい。この規格としては、例えば、MPO等が挙げられる。
2.製造方法
次に、本実施形態に係る光配線部品の製造方法を、図6に示す光配線部品100に基づいて説明する。
図10は、本実施形態に係る光配線部品の製造方法を説明するためのフローチャートである。図11ないし図16は、それぞれ図10に示す製造方法を説明するための図である。
図10に示す光配線部品100の製造方法は、準備工程S01と、荷重印加工程S02と、仮接続体作製工程S03と、強度検出工程S04と、位置合わせ工程S05と、接着工程S06と、を有する。以下、各工程について順次説明する。なお、以下の説明では、一部、導波路コア部601〜604のうち、導波路コア部601、602を代表にして説明しているが、導波路コア部603、604についても以下の説明が適用される。
2.1.準備工程S01
準備工程S01では、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、第4光ファイバー4および第5光ファイバー5と、第1部材61および第2部材62と、を用意する。
第1部材61は、例えば、第1基板611の第1主面6111にアンダークラッド層612を成膜する工程と、アンダークラッド層612の表面に導波路コア部601を形成する材料を成膜し、被膜を形成する工程と、形成した被膜にパターニングを施し、導波路コア部601を得る工程と、導波路コア部601を覆うようにオーバークラッド層613を成膜する工程と、を経て作製される。
第2部材62も、同様に、例えば、第2基板621の第2主面6211にアンダークラッド層622を成膜する工程と、アンダークラッド層622の表面に導波路コア部602を形成する材料を成膜し、被膜を形成する工程と、形成した被膜にパターニングを施し、導波路コア部602を得る工程と、導波路コア部602を覆うようにオーバークラッド層623を成膜する工程と、を経て作製される。
なお、第1部材61および第2部材62の作製方法は、上記の方法に限定されない。
2.2.荷重印加工程S02
荷重印加工程S02では、まず、第1部材61および第2部材62を、未硬化の接着部材630を介して互いに重ねる。これにより、仮接着体60を得る。
具体的には、図11に示すように、第1主面6111と第2主面6211とが向かい合うように、第1部材61と第2部材62とを重ねる。これにより、図12に示すようなパターンで導波路コア部601〜604が敷設された仮接着体60が得られる。
このとき、仮接着体60の導波路コア部601と導波路コア部602との間には、前述したように、オーバークラッド層613、623の厚さ以上の距離が形成される。そして、その距離の空間には、図13に示すように、未硬化の接着部材630が充填された状態になる。なお、未硬化の接着部材630が充填されていない部分があってもよい。
次に、仮接着体60をZ軸方向に圧縮するように荷重Fを印加する。荷重Fが印加されると、第2部材62は、第1部材61に接近するため、未硬化の接着部材630は、第1部材61と第2部材62との間から押し出される。
それとともに、仮接着体60のうち、オーバークラッド層613、623が位置する領域では、未硬化の接着部材630の薄膜を介して、オーバークラッド層613とオーバークラッド層623とが互いに突き当たる。一方、仮接着体60のうち、オーバークラッド層613、623がない領域では、オーバークラッド層613、623の厚さ分の距離を埋めるように、第2部材62が下方に押し下げられる。その結果、図14に示すように、第1部材61のアンダークラッド層612に突き当たるまで、導波路コア部602が下方に変位する。これにより、導波路コア部601、602が、X−Y面に平行な互いに同一の面上に並ぶことになる。
その結果、図14に示すように、仮接着体60のY軸プラス側の端部では、導波路コア部601、602がZ軸方向に沿って並んでいるのに対し、仮接着体60のY軸マイナス側の端部では、導波路コア部601、602がX軸方向に並ぶことになる。
なお、図14に示す方法では、第1部材61を変形させることなく、第2部材62のみを変形させているが、このとき、第1部材61も変形していてもよい。ただし、Z軸方向の位置を高精度に決定することが可能である、という観点から、第1部材61の第1裏面6112を十分に平坦な定盤等に載置し、第1部材61の変形を規制した状態で、荷重印加工程S02を行うようにするのが好ましい。これにより、導波路コア部601、602のZ軸方向の位置がずれにくいので、最終的に、第1光ファイバー1や第2光ファイバー2等との接続作業が容易な光導波路6を得ることができる。
また、第2部材62が押し下げられた仮接着体60では、図14の右端において、全ての未硬化の接着部材630が押し出されていてもよい。ただし、全ての未硬化の接着部材630を押し出すのではなく、導波路コア部602とアンダークラッド層612との間、および、導波路コア部601とアンダークラッド層622との間には、未硬化の接着部材630の薄膜が残存していてもよい。
なお、本実施形態では、第2部材62を変形させるため、本工程を設けているが、変形させる必要がない場合には、本工程が省略される。
2.3.仮接続体作製工程S03
仮接続体作製工程S03では、第1光ファイバー1と第2光ファイバー2等とを、仮接着体60を介して仮接続する。これにより、図15および図16に示す仮接続体600を得る。
具体的には、まず、第1光ファイバー1と仮接着体60とを仮接続する。これにより、ファイバーコア部111A(第1Aファイバーコア部)とファイバーコア部211(第2ファイバーコア部)とを第1部材61の導波路コア部601を介して光学的に仮結合してなる第1仮結合コア部681を得る。第1光ファイバー1と仮接着体60との間は、例えば、仮接着体60からはみ出させた未硬化の接着部材630を介して仮接続することができる。
同様に、第2光ファイバー2等と仮接着体60とを仮接続する。これにより、ファイバーコア部111B(第1Bファイバーコア部)とファイバーコア部311(第3ファイバーコア部)とを第2部材62の導波路コア部602を介して光学的に仮結合してなる第2仮結合コア部682を得る。第2光ファイバー2等と仮接着体60との間は、例えば、仮接着体60からはみ出させた未硬化の接着部材630を介して仮接続することができる。
したがって、仮接続体600には、ファイバーコア部111A、導波路コア部601、および、ファイバーコア部211がこの順で仮結合されてなる第1仮結合コア部681と、ファイバーコア部111B、導波路コア部602、および、ファイバーコア部311がこの順で仮結合されてなる第2仮結合コア部682と、が含まれている。仮接着体60では、第1部材61と第2部材62との間が、互いに移動可能であり、位置合わせが可能である。また、仮接続体600では、第1光ファイバー1と仮接着体60との間が、互いに移動可能であり、位置合わせが可能である。同様に、仮接続体600では、第2光ファイバー2等と仮接着体60との間も、互いに移動可能であり、位置合わせが可能である。
また、図16に示す仮接続体600は、第1光ファイバー1が、アダプター81を介してマルチコア光ファイバー91の一端に接続され、第2光ファイバー2等が、アダプター82を介してシングルコア光ファイバー92の一端に接続されている。
また、マルチコア光ファイバー91の他端は、光を出力する発光部93に接続されている。さらに、シングルコア光ファイバー92の他端は、光が入力される受光部94に接続されている。
なお、ここでは、第1仮結合コア部681および第2仮結合コア部682について代表的に説明しているが、本実施形態では、これらの他に、ファイバーコア部111Cおよびファイバーコア部411が、導波路コア部603を介して光学的に仮結合してなる第3仮結合コア部となり、ファイバーコア部111Dおよびファイバーコア部511が、導波路コア部604を介して光学的に仮結合してなる第4仮結合コア部となる。これらの説明は省略する。
2.4.強度検出工程S04
強度検出工程S04では、発光部93からの光を、マルチコア光ファイバー91およびアダプター81を介して、第1仮結合コア部681の一端、具体的には、ファイバーコア部111Aに光を入射する。同様に、発光部93からの光を、マルチコア光ファイバー91およびアダプター81を介して、第2仮結合コア部682の一端、具体的には、ファイバーコア部111Bに光を入射する。
発光部93としては、例えば、レーザーダイオード、発光ダイオード等が挙げられる。
また、第1仮結合コア部681の他端、具体的には、ファイバーコア部211から出射した第1出射光を、アダプター82およびシングルコア光ファイバー92を介して、受光部94で受光する。同様に、第2仮結合コア部682の他端、具体的には、ファイバーコア部311から出射した第2出射光を、アダプター82およびシングルコア光ファイバー92を介して、受光部94で受光する。
受光部94は、図示しない検出器に接続されている。検出器では、受光部94で受光した第1出射光の強度および第2出射光の強度を、チャンネルごとにリアルタイムに検出する。
受光部94としては、例えば、フォトダイオード、画像センサー等が挙げられる。
2.5.位置合わせ工程S05
位置合わせ工程S05では、第1出射光の強度および第2出射光の強度に基づき、第1光ファイバー1と仮接着体60との間(位置合わせ部A)、第2光ファイバー2等と仮接着体60との間(位置合わせ部B)、および、第1部材61と第2部材62との間(位置合わせ部C)を、それぞれ未硬化の接着部材630(接着剤)で接着する。
以下、位置合わせ部A、位置合わせ部B、位置合わせ部Cにおける位置合わせについて説明する。
2.5.1.位置合わせ部A
位置合わせ部Aの位置合わせにあたっては、第1出射光の強度および第2出射光の強度をそれぞれモニターしながら、仮接着体60に対する第1光ファイバー1の位置を調整する。
位置合わせにおいて位置を決める際の基準には、例えば、第1出射光の強度、第2出射光の強度、およびこれらの和を用いる。そして、各強度のバラつきが所定範囲内に収まっていること、および、強度の和が所定値以上であること、という2つの条件を満たす場合、十分な位置合わせができているとみなすことができる。なお、位置合わせの基準は、これに限定されない。例えば、2つの条件のうちの一方のみを採用するようにしてもよく、それ以外の条件を用いるようにしてもよい。
また、位置合わせ部Aの位置合わせは、例えば、仮接着体60に対して第1光ファイバー1を相対的に動かすことで行う。動かし方としては、図15に示すX軸方向の並進、Y軸方向の並進、Z軸方向の並進、X軸まわりの回転、Y軸まわりの回転、および、Z軸まわりの回転のうち、少なくとも1つが挙げられる。
2.5.2.位置合わせ部B
位置合わせ部Bの位置合わせにあたっても、第1出射光の強度および第2出射光の強度をそれぞれモニターしながら、仮接着体60に対する第2光ファイバー2等の位置を調整する。
位置合わせにおいて位置を決める際の基準は、位置合わせ部Aの場合と同様である。
また、位置合わせ部Bの位置合わせは、例えば、仮接着体60に対して第2光ファイバー2等を相対的に動かすことで行う。動かし方としては、図15に示すX軸方向の並進、Y軸方向の並進、Z軸方向の並進、X軸まわりの回転、Y軸まわりの回転、および、Z軸まわりの回転のうち、少なくとも1つが挙げられる。また、第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、第4光ファイバー4、および第5光ファイバー5を個別に動かすようにしてもよいし、第2光ファイバー2等からなる束を動かすようにしてもよい。
2.5.3.位置合わせ部C
位置合わせ部Cの位置合わせにあたっても、第1出射光の強度および第2出射光の強度をそれぞれモニターしながら、第1部材61に対する第2部材62の位置を調整する。
位置合わせにおいて位置を決める際の基準は、位置合わせ部Aの場合と同様である。
また、位置合わせ部Cの位置合わせは、例えば、第1部材61に対して第2部材62を相対的に動かすことで行う。動かし方としては、図15に示すX軸方向の並進、Y軸方向の並進、Z軸方向の並進、X軸まわりの回転、Y軸まわりの回転、および、Z軸まわりの回転のうち、少なくとも1つが挙げられる。
なお、これらの位置合わせ部A、位置合わせ部B、および位置合わせ部Cにおける位置合わせは、同時に行うようにしてもよいし、任意の順序で逐次行うようにしてもよい。位置合わせ部A、B、Cの位置合わせが全て完了した後、後述する接着工程S06に移行する。
2.6.接着工程S06
接着工程S06では、未硬化の接着部材630を硬化させる。これにより、接着部材63〜65が得られる。その結果、図6に示す光配線部品100が得られる。
なお、前述した荷重印加工程S02において、第1部材61と第2部材62との間から、図14に示すように、未硬化の接着部材630をはみ出させるようにしてもよい。この場合、接着工程S06では、はみ出した未硬化の接着部材630を介して、第1光ファイバー1と光導波路6とを接着し、かつ、第2光ファイバー2等と光導波路6とを接着することができる。これにより、第1部材61と第2部材62との接着、第1光ファイバー1と光導波路6との接着、および、第2光ファイバー2等と光導波路6との接着、を同時に行うことができる。その結果、光配線部品100の製造を効率よく行うことができる。
また、前述した位置合わせ工程S05は、仮接着体60を構成する部材同士の位置合わせを行う工程を含んでいる。第1部材61は導波路コア部601を含み、第2部材62は導波路コア部602を含んでいる。第1部材61と第2部材62に関する位置合わせ部Cの位置合わせを、位置合わせ部A、Bとともに行うことで、第1光ファイバー1と第2光ファイバー2等とを接続するにあたって特に適した光導波路6を得ることができる。具体的には、第1光ファイバー1に含まれたファイバーコア部111Aおよびファイバーコア部111Bの位置に個体差がある場合でも、その個体差に応じて第1部材61に対する第2部材62の位置を調整することが可能になる。これにより、光配線部品100の内部において、コア部の位置に個体差がある場合でも、コア部同士の結合損失を極力抑えることができる。
以上のような光配線部品100の製造方法は、第1光ファイバー1と、第2光ファイバー2および第3光ファイバー3と、光導波路6と、を備える光配線部品100の製造方法である。かかる製造方法は、準備工程S01と、仮接続体作製工程S03と、強度検出工程S04と、位置合わせ工程S05と、接着工程S06と、を有する。準備工程S01は、第1光ファイバー1、第2光ファイバー2、第3光ファイバー3、および、仮接着体60を用意する。仮接続体作製工程S03は、前述した第1仮結合コア部681および第2仮結合コア部682を含む仮接続体600を得る。強度検出工程S04は、第1仮結合コア部681の一端および第2仮結合コア部682の一端にそれぞれ光を入射し、第1出射光の強度および第2出射光の強度を検出する。位置合わせ工程S05は、第1出射光の強度および第2出射光の強度に基づいて、位置合わせ部A〜Cの位置合わせをする。接着工程S06は、位置合わせした位置合わせ部A〜Cを接着部材63〜65(接着剤)で接着し、光配線部品100を得る。
このような製造方法によれば、マルチコア光ファイバーを含む第1光ファイバー1と、例えばシングルコア光ファイバーを含む第2光ファイバー2等と、が低い損失で接続されてなる光配線部品100を、効率よく製造することができる。このような光配線部品100は、例えばマルチコア光ファイバー91と複数のシングルコア光ファイバー92とを低損失で接続可能なものとなる。
また、本実施形態に係る第1部材61は、第1基板611と、第1基板611に設けられている導波路コア部601(第1導波路コア部)と、を備えており、第2部材62は、第2基板621と、第2基板621に設けられている導波路コア部602(第2導波路コア部)と、を備えている。
そして、本実施形態に係る光配線部品の製造方法は、さらに、荷重印加工程S02を有する。荷重印加工程S02は、例えば、仮接続体作製工程S03の前に設けられ、第1基板611の厚さ方向に沿って第2部材62を曲げる。これにより、図15に示すように、導波路コア部601および導波路コア部602が第1基板611の厚さ方向に並んでいる第1領域651と、導波路コア部601および導波路コア部602が第1基板611の面方向に並んでいる第2領域652と、を形成する。また、接着工程S06では、第2部材62を曲げた状態で接着する。
このような製造方法によれば、第1光ファイバー1におけるファイバーコア部111A〜111Dの並び方と、第2光ファイバー2等の並び方と、が異なる場合でも、その並び方を、省スペースで、かつ、低損失で変換するための光導波路6を効率よく製造することができる。
また、第1基板611の厚さ方向から平面視したときの第1部材61の外形形状と、第2基板621の厚さ方向から平面視したときの第2部材62の外形形状と、が互いに等しいことが好ましい。
このような構成によれば、光導波路6の全体形状が等方形状により近くなる。このため、異方形状のときに発生しやすい反り等の変形を抑えることができ、変形に伴う伝送損失の増大および第1光ファイバー1や第2光ファイバー2等との結合損失の増大を抑制することができる。その結果、信頼性の高い光配線部品100を実現することができる。また、光導波路6の製造も容易である。
また、第1基板611および第2基板621の少なくとも一方は、透光性を有しているのが好ましい。具体的には、第1基板611および第2基板621の少なくとも一方は、可視光または赤外線の透過性を有しているのが好ましい。これにより、例えば第2部材62に対して第1部材61を位置合わせする際、第1基板611越しに第2部材62を視認しながら位置合わせを行うことができる。その結果、例えば第2部材62にアライメントマークを設けておいた場合、第1基板611越しにアライメントマークを確実に視認しながら位置合わせを行うことができる。これにより、位置合わせを良好に行うことができる。
3.電子機器
上述したような光配線部品100によれば、図2に示すマルチコア光ファイバー91と複数のシングルコア光ファイバー92と、を省スペースで接続することができる。したがって、このような光配線部品100を備える電子機器は、光通信の伝送容量が大きく、かつ、小型化が可能なものとなる。
かかる電子機器としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、サーバー、スーパーコンピューター、自動車搭載機器、航空機搭載機器、電車搭載機器等の電子機器類が挙げられる。
以上、本発明の光配線部品の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態に係る光導波路および光配線部品には、任意の要素が付加されていてもよい。また、前記実施形態に係る光配線部品の製造方法には、任意の目的の工程が付加されていてもよい。さらに、工程の順序は、上記の順序に限定されず、入れ替わっていてもよい。
1 第1光ファイバー
2 第2光ファイバー
3 第3光ファイバー
4 第4光ファイバー
5 第5光ファイバー
6 光導波路
7 筐体
11 光ファイバー本体
11c 角部
12 コネクター
21 光ファイバー本体
22 コネクター
31 光ファイバー本体
41 光ファイバー本体
51 光ファイバー本体
60 仮接着体
61 第1部材
62 第2部材
63 接着部材
64 接着部材
65 接着部材
71 容器
72 蓋体
81 アダプター
82 アダプター
91 マルチコア光ファイバー
92 シングルコア光ファイバー
93 発光部
94 受光部
100 光配線部品
111A ファイバーコア部
111B ファイバーコア部
111C ファイバーコア部
111D ファイバーコア部
112 クラッド部
211 ファイバーコア部
212 クラッド部
311 ファイバーコア部
312 クラッド部
411 ファイバーコア部
412 クラッド部
511 ファイバーコア部
512 クラッド部
600 仮接続体
601 導波路コア部
602 導波路コア部
603 導波路コア部
604 導波路コア部
611 第1基板
612 アンダークラッド層
613 オーバークラッド層
621 第2基板
622 アンダークラッド層
623 オーバークラッド層
630 接着部材
651 第1領域
652 第2領域
681 第1仮結合コア部
682 第2仮結合コア部
711 側壁
712 側壁
811 挿入部
812 挿入部
821 挿入部
822 挿入部
911 光ファイバー本体
912 コネクター
921 光ファイバー本体
922 コネクター
6111 第1主面
6112 第1裏面
6113 第1端面
6113a 主面側部分
6113b 裏面側部分
6114 第1端面
6211 第2主面
6212 第2裏面
6213 第2端面
6214 第2端面
AX 対称軸
S01 準備工程
S02 荷重印加工程
S03 仮接続体作製工程
S04 強度検出工程
S05 位置合わせ工程
S06 接着工程
p 張り出し量

Claims (5)

  1. 第1Aファイバーコア部および第1Bファイバーコア部を含む第1光ファイバーと、第2ファイバーコア部を含む第2光ファイバーおよび第3ファイバーコア部を含む第3光ファイバーと、光導波路と、を備える光配線部品を製造する方法であって、
    前記第1光ファイバー、前記第2光ファイバー、前記第3光ファイバー、および、第1部材と第2部材とを備える仮接着体を用意する工程と、
    前記第1光ファイバーと、前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーとを、前記仮接着体を介して仮接続することにより、前記第1Aファイバーコア部と前記第2ファイバーコア部とを前記第1部材を介して光学的に仮結合してなる第1仮結合コア部、および、前記第1Bファイバーコア部と前記第3ファイバーコア部とを前記第2部材を介して光学的に仮結合してなる第2仮結合コア部を含む仮接続体を得る工程と、
    前記第1仮結合コア部の一端および前記第2仮結合コア部の一端にそれぞれ光を入射し、前記第1仮結合コア部の他端から出射した第1出射光の強度および前記第2仮結合コア部の他端から出射した第2出射光の強度をそれぞれ検出する工程と、
    前記第1出射光の強度および前記第2出射光の強度に基づき、前記第1光ファイバーと前記仮接着体との間、前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーと前記仮接着体との間、および、前記第1部材と前記第2部材との間を、それぞれ位置合わせする工程と、
    位置合わせした、前記第1光ファイバーと前記仮接着体との間、前記第2光ファイバーおよび前記第3光ファイバーと前記仮接着体との間、および、前記第1部材と前記第2部材との間を、それぞれ接着剤で接着し、前記光配線部品を得る工程と、
    を有することを特徴とする光配線部品の製造方法。
  2. 前記第1部材は、第1基板と、前記第1基板に設けられている第1導波路コア部と、を備え、
    前記第2部材は、第2基板と、前記第2基板に設けられている第2導波路コア部と、を備え、
    前記仮接続体を得る工程の前に設けられ、前記第1基板の厚さ方向に沿って前記第2部材を曲げることにより、前記第1導波路コア部および前記第2導波路コア部が前記第1基板の厚さ方向に並んでいる第1領域と、前記第1導波路コア部と前記第2導波路コア部とが前記第1基板の面方向に並んでいる第2領域と、を形成する工程をさらに有し、
    前記接着剤で接着する工程は、前記第2部材を曲げた状態で接着する工程である請求項1に記載の光配線部品の製造方法。
  3. 前記第1導波路コア部の形状および前記第2導波路コア部の形状は、前記第1基板の厚さ方向から平面視したとき、対称軸に対して互いに線対称の関係を有する請求項2に記載の光配線部品の製造方法。
  4. 前記第1基板の厚さ方向から平面視したときの前記第1部材の外形形状と、前記第2基板の厚さ方向から平面視したときの前記第2部材の外形形状と、が互いに等しい請求項2または3に記載の光配線部品の製造方法。
  5. 前記第1基板および前記第2基板の少なくとも一方は、透光性を有する請求項2ないし4のいずれか1項に記載の光配線部品の製造方法。
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