以下、実施の形態に係る軸流ファン、送風装置、及び、冷凍サイクル装置について図面を参照しながら説明する。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」及び「後」等)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置あるいは部品の配置及び向きを限定するものではない。
実施の形態1.
[軸流ファン100]
図1は、実施の形態1に係る軸流ファン100の概略構成を示す正面図である。なお、図中の矢印で示す回転方向DRは、軸流ファン100が回転する方向を示している。また、図中の両向き矢印で示す周方向CDは、軸流ファン100の周方向を示している。周方向CDは、回転方向DR及び回転方向DRと反対の方向を含んでいる。また、紙面に対して奥側は、軸流ファン100に対して流体の流れる方向において上流側となり、紙面に対して手前側は、軸流ファン100に対して流体の流れる方向において下流側となる。軸流ファン100に対して上流側は、軸流ファン100に対して空気の吸込側であり、軸流ファン100に対して下流側は、軸流ファン100に対して空気の吹出側である。
図1を用いて実施の形態1に係る軸流ファンについて説明する。軸流ファン100は、流体の流れを形成する装置であり、例えば、空気調和装置又は換気装置等に用いられる。軸流ファン100は、回転軸RAを中心として回転方向DRに回転することで流体の流れを形成する。なお、流体とは、例えば、空気等の気体である。図1に示すように、軸流ファン100は、回転軸RA上に設けられたハブ10と、ハブ10に接続された複数の翼20と、を備える。軸流ファン100は、複数枚の翼20のうち隣り合う翼20の前縁側と後縁側とがボスを介さず連続面となるように接続されたいわゆるボスレス型のファンを含むものである。
(ハブ10)
ハブ10は、モータ(図示は省略)等によって回転駆動され回転軸RAを形成する。ハブ10は、回転軸RAを中心に回転する。軸流ファン100の回転方向DRは、図1中の矢印で示す反時計回りの方向である。ただし、軸流ファン100の回転方向DRは、反時計回りに限定されるものではなく、翼20の取り付け角度、あるいは、翼20の向き等を変更した構成にすることによって、時計回りに回転してもよい。ハブ10は、モータ(図示は省略)等の駆動源の回転軸と接続される。ハブ10は、例えば、円筒状に構成されてもよく、あるいは、板状に構成されてもよい。ハブ10は、上述したように駆動源の回転軸と接続されるものであればよく、その形状は限定されるものではない。
(翼20)
翼20は、ハブ10から径方向外側に向かって延びるように形成されている。複数の翼20は、ハブ10から径方向外側に向かって放射状に配置されている。複数の翼20は、相互に周方向CDに離隔して設けられている。なお、実施の形態1においては、翼20が3枚である態様を例示しているが、翼20の枚数は3枚に限定されるものではない。
翼20は、前縁部21と、後縁部22と、外周縁部23と、内周縁部24とを有している。前縁部21は、翼20において回転方向DRの前進側に形成されている。すなわち、前縁部21は、回転方向DRにおいて、後縁部22に対して前方に位置している。前縁部21は、発生させる流体の流れる方向において、後縁部22に対して上流側に位置している。後縁部22は、翼20において回転方向DRの後進側に形成されている。すなわち、後縁部22は、回転方向DRにおいて、前縁部21に対して後方に位置している。後縁部22は、発生させる流体の流れる方向において、前縁部21に対して下流側に位置している。軸流ファン100は、軸流ファン100の回転方向DRを向く翼端部として前縁部21を有し、回転方向DRにおいて前縁部21に対して反対側の翼端部として後縁部22を有している。
外周縁部23は、前縁部21の最外周部と後縁部22の最外周部とを接続するように回転方向DRにおいて前後に延びる部分である。外周縁部23は、回転軸RAと平行な方向に見た場合に、弧状に形成されている。しかし、外周縁部23は、回転軸RAと平行な方向に見た場合に、弧状に形成されている構成に限定されるものではない。外周縁部23は、軸流ファン100において、径方向(Y軸方向)の外周側の端部に位置している。
内周縁部24は、前縁部21の最内周部と後縁部22の最内周部とを接続するように回転方向DRにおいて前後に延びる部分である。内周縁部24は、回転軸RAと平行な方向に見た場合に、弧状に形成されている。しかし、内周縁部24は、回転軸RAと平行な方向に見た場合に、弧状に形成されている構成に限定されるものではない。内周縁部24は、軸流ファン100において、径方向(Y軸方向)の内周側の端部に位置している。翼20の内周縁部24は、ハブ10と一体に形成されている等、ハブ10と接続されている。
翼20は、回転軸RAに垂直な平面に対して傾いて形成されている。翼20は、軸流ファン100の回転に伴って翼20の間に存在している流体を翼面で押すことで流体を搬送する。この際、翼面のうち流体を押して圧力が上昇する面を正圧面25とし、正圧面25の裏面で圧力が下降する面を負圧面26とする。翼20において、流体の流れる方向に対し、翼20の上流側の面が負圧面26となり、下流側の面が正圧面25となる。翼20は、図1において、翼20の手前側の面が正圧面25となり、翼20の奥側の面が負圧面26となる。
図2は、実施の形態1に係る軸流ファン100の子午面を表す概念図である。図2は、回転軸RAと翼20とを含む子午面に回転投影させた場合の軸流ファン100の形状を示している。軸流ファン100は、子午面に回転投影した場合の翼20が翼投影部20pで示されており、子午面に回転投影した場合のハブ10が、ハブ投影部10pで示されている。
前縁投影線21pは、回転軸RAを含む子午面に、回転軸RAを中心として前縁部21を回転投影させたものである。後縁投影線22pは、回転軸RAを含む子午面に、回転軸RAを中心として後縁部22を回転投影させたものである。外縁投影線23pは、回転軸RAを含む子午面に、回転軸RAを中心として外周縁部23を回転投影させたものである。内縁投影線24pは、回転軸RAを含む子午面に、回転軸RAを中心として内周縁部24を回転投影させたものである。
図2においてハッチングによる縦縞矢印で示す流れ方向AFは、軸流ファン100に対して流体が流れる方向を表している。また、図2において白抜矢印で示す軸方向ADは、回転軸RAの軸方向を表している。また、図2においてハッチングによる横縞矢印で示す視点VPは、回転軸RAと平行な方向に見た場合の視線の方向を表している。図1及び図2に示すY軸は、軸流ファン100の回転軸RAに対する径方向を表している。軸流ファン100のY1側に対するY2側は、軸流ファン100の内周側であり、軸流ファン100のY2側に対するY1側は、軸流ファン100の外周側である。
図3は、実施の形態1に係る軸流ファン100の翼20の概略構成を示す正面図である。なお、図3では、翼20の構成を説明するため、複数の翼20の内、1つの翼20のみを図示し他の翼20の図示を省略する。図3において白抜矢印で示す気流FLは、翼20の下流側の空気の流れを示している。また、白抜矢印で示す気流FLの大きさは、風量を概念的に表したものであり、白抜矢印で示す気流FLの大小は、風量の多少を表している。
翼20において、翼長27は、内周縁部24と外周縁部23との間の距離であり、仮想翼中間線28は、径方向における翼長27の中央を示している。すなわち、仮想翼中間線28は、内周縁部24と外周縁部23との間の距離の中間位置を示している。翼長27は、軸流ファン100の周方向CDのいずれの位置においても同じ長さである。すなわち、翼20は、前縁部21と後縁部22との間の範囲において翼長27の長さが一定であり、回転軸RAの軸方向ADと平行な方向に見た場合に外周縁部23の形状が円弧となるように形成されている。しかし、翼20は、前縁部21と後縁部22との間の範囲において翼長27の長さが一定である形状に限定されるものではない。翼20は、軸流ファン100の周方向CDの位置によって翼長27の長さが異なるように形成されてもよい。すなわち、翼20は、回転軸RAの軸方向ADと平行な方向に見た場合に外周縁部23の形状が円弧でなくてもよい。
図2において点線で表す位置P1、位置P2及び位置P3は、それぞれ回転軸RAに垂直な断面の位置を表している。位置P1、位置P2及び位置P3は、回転軸RAの軸方向ADにおいて、流体が流れる方向の上流側から下流側に向かって、位置P1、位置P2及び位置P3の順に位置している。位置P1で表す断面上に位置する部分は、それぞれ回転軸RAの軸方向ADにおいて同一の位置に位置する部分である。同様に、位置P2で表す断面上に位置する部分は、それぞれ回転軸RAの軸方向ADにおいて同一の位置に位置する部分である。同様に、位置P3で表す断面上に位置する部分は、それぞれ回転軸RAの軸方向ADにおいて同一の位置に位置する部分である。これに対して、位置P1で表す断面上に位置する部分と、位置P2で表す断面上に位置する部分と、位置P3で表す断面上に位置する部分との関係は、それぞれ回転軸RAの軸方向ADにおいて異なる位置に位置する部分である。なお、位置P1、位置P2及び位置P3は、前縁部21と後縁部22との間において、位置P1、位置P2及び位置P3のそれぞれの相対的な位置関係を示したものである。また、実施の形態1では、位置P1~位置P3の3箇所の構成について説明しているが、位置P1~位置P3における関係は、位置P1~位置P3の3箇所のみに適用されるものではなく、4箇所以上の位置における関係においても適用される。
(流動制御部30)
翼20は、流動制御部30を有する。流動制御部30は、翼20において、正圧面25上に流れる流体の流れる方向を制御する部分である。流動制御部30は、前縁部21と後縁部22との間の少なくとも一部に形成されていると共に、回転軸RAに対して垂直な方向である径方向において一定の幅を持って形成されている。流動制御部30は、回転軸RAと平行な方向に見た場合に弧状に形成された領域である。流動制御部30は、内周側の縁部を形成する領域内縁部31と、外周側の縁部を形成する領域外縁部32とを有する。領域外縁部32は、軸流ファン100の径方向において仮想翼中間線28よりも外周側に位置している。領域内縁部31は、軸流ファン100の径方向において仮想翼中間線28よりも外周側に位置している。ただし、領域内縁部31は、軸流ファン100の径方向において仮想翼中間線28よりも内周側に位置していてもよい。
領域内縁部31は、弧状に形成されており、軸流ファン100の径方向において、回転軸RAからの距離が一定となるように形成されている。同様に、領域外縁部32は、弧状に形成されており、軸流ファン100の径方向において、回転軸RAからの距離が一定となるように形成されている。流動制御部30は、領域内縁部31と領域外縁部32との間に形成された領域である。また、流動制御部30は、前縁部21と後縁部22との間の少なくとも一部において、軸流ファン100の周方向CDに沿って形成されている。すなわち、流動制御部30は、翼20において軸流ファン100の径方向に延びていると共に周方向CDに延びているように形成されている。
流動制御部30は、軸流ファン100の周方向CDのいずれの位置においても、径方向の幅が一定の幅に形成されている。すなわち、流動制御部30は、径方向において領域内縁部31と領域外縁部32と間の距離が、軸流ファン100の周方向CDのいずれの位置においても一定に形成されている。しかし、領域内縁部31及び領域外縁部32は、軸流ファン100の径方向において、回転軸RAからの距離が一定となるように形成されている構成に限定されるものではない。この場合、軸流ファン100は、軸流ファン100の周方向CDの位置によって、径方向の幅が異なる大きさの幅に形成されている。
流動制御部30は、翼20の径方向において相対的に外周側に位置している。例えば、流動制御部30の仮想領域中間線33は、外周縁部23と内周縁部24との間の仮想翼中間線28、よりも外周側に位置するように形成されている。すなわち、領域内縁部31と領域外縁部32との間の中間位置である仮想領域中間線33が、径方向における翼20の中間位置となる仮想翼中間線28よりも外周側に位置するように形成されている。
流動制御部30は、翼20の前縁部21と後縁部22との間の周方向CDの少なくとも一部において、径方向における翼断面が軸流ファン100の回転方向DRとは反対方向に凸となるように翼板が湾曲しており、反っている。また、流動制御部30は、翼20の前縁部21と後縁部22との間の周方向CDの少なくとも一部において、翼20によって形成される流体の流れる方向において上流側に凸となるように翼板が湾曲しており、反っている。すなわち、流動制御部30は、軸流ファン100における周方向CDの少なくとも一部において、翼20の正圧面25側が凹むように形成されている。
図3において点線で示す断面部Sは、流動制御部30における翼20の断面を示している。断面部Sは、回転軸RAに対して垂直な方向における流動制御部30の断面を示している。流動制御部30は、領域内縁部31と領域外縁部32との間において、回転軸RAに対する垂直な断面として、正圧面25側が凹み、負圧面26側が凸となるように湾曲した断面部Sを有する。断面部Sは、回転方向DRとは反対の方向に凸となるように湾曲している。また、断面部Sは、流体の流れる方向AFにおいて、上流側に凸となるように湾曲している。断面部Sは、正圧面25側が凹んでおり、負圧面26側が凸となるように湾曲している。軸流ファン100の径方向(Y軸方向)において、断面部Sの一方の端部である内周側の端部が領域内縁部31であり、断面部Sの他方の端部である外周側の端部が領域外縁部32である。なお、翼20の断面部Sは、正圧面25側が凹むように形成されていればよく、負圧面26側の形状は限定されるものではない。換言すれば、軸流ファン100が形成する流体の流れる方向AFにおいて、翼20の断面部Sは、正圧面25側が上流側に凸となるように形成されていればよく、負圧面26側の形状は限定されるものではない。
図3において点線で示す断面部S1は、図2に示す位置P1において、流動制御部30における翼20の断面部Sを示している。図3において点線で示す断面部S2は、図2に示す位置P2において、流動制御部30における翼20の断面部Sを示している。図3において点線で示す断面部S3は、図2に示す位置P3において、流動制御部30における翼20の断面部Sを示している。より詳細には、断面部S1は、軸方向ADの位置P1において、回転軸RAに対して垂直な方向における流動制御部30の断面を示している。また、断面部S2は、軸方向ADの位置P2において、回転軸RAに対して垂直な方向における流動制御部30の断面を示している。また、断面部S3は、軸方向ADの位置P3において、回転軸RAに対して垂直な方向における流動制御部30の断面を示している。軸流ファン100の径方向(Y軸方向)において、断面部S1、断面部S2及び断面部S3の一方の端部である内周側の端部が領域内縁部31であり、断面部S1、断面部S2及び断面部S3の他方の端部である外周側の端部が領域外縁部32である。
流動制御部30の断面部S1、断面部S2及び断面部S3は、回転軸RAの軸方向ADにおいて、流体が流れる方向の上流側から下流側に向かって、断面部S1、断面部S2及び断面部S3の順に位置する断面部Sである。換言すれば、流動制御部30の断面部S1、断面部S2及び断面部S3は、軸流ファン100の周方向CDにおいて、前縁部21から後縁部22に向かって、断面部S1、断面部S2及び断面部S3の順に位置する断面部Sである。
ここで、流動制御部30の断面部Sにおいて、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ直線を断面直線Wとする。そして、断面部Sにおいて、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ断面直線Wから法線方向で最も離れた位置にある正圧面25までの距離を突出量Lとする。突出量Lは、断面部Sにおいて、断面直線Wから法線方向で翼20が最も凸となる位置にある最深部35までの距離である。最深部35は、流動制御部30の断面部Sにおいて正圧面25側が最も凹んでいる部分である。すなわち、最深部35は、流動制御部30の断面部Sにおいて、断面直線Wと正圧面25との距離が最も離れている部分である。換言すれば、最深部35は、流動制御部30の断面部Sにおいて負圧面26側が最も突出している部分であり、断面部Sを構成する凸形状の頂点部分である。
断面部Sに対する上記の説明と同様に、位置P1における流動制御部30の断面部S1において、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ直線を断面直線W1とする。そして、断面部S1において、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ断面直線W1から法線方向で最も離れた位置にある正圧面25までの距離を突出量L1とする。突出量L1は、断面部S1において、断面直線W1から法線方向で翼20が最も凸となる位置にある最深部35aまでの距離である。最深部35aは、流動制御部30の断面部S1において正圧面25側が最も凹んでいる部分である。すなわち、最深部35aは、流動制御部30の断面部S1において、断面直線W1と正圧面25との距離が最も離れている部分である。換言すれば、最深部35aは、流動制御部30の断面部S1において負圧面26側が最も突出している部分であり、断面部S1を構成する凸形状の頂点部分である。
断面部Sに対する上記の説明と同様に、位置P2における流動制御部30の断面部S2において、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ直線を断面直線W2とする。そして、断面部S2において、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ断面直線W2から法線方向で最も離れた位置にある正圧面25までの距離を突出量L2とする。突出量L2は、断面部S2において、断面直線W2から法線方向で翼20が最も凸となる位置にある最深部35bまでの距離である。最深部35bは、流動制御部30の断面部S2において正圧面25側が最も凹んでいる部分である。すなわち、最深部35bは、流動制御部30の断面部S2において、断面直線W2と正圧面25との距離が最も離れている部分である。換言すれば、最深部35bは、流動制御部30の断面部S2において負圧面26側が最も突出している部分であり、断面部S2を構成する凸形状の頂点部分である。
断面部Sに対する上記の説明と同様に、位置P3における流動制御部30の断面部S3において、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ直線を断面直線W3とする。そして、断面部S3において、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ断面直線W3から法線方向で最も離れた位置にある正圧面25までの距離を突出量L3とする。突出量L3は、断面部S3において、断面直線W3から法線方向で翼20が最も凸となる位置にある最深部35cまでの距離である。最深部35cは、流動制御部30の断面部S3において正圧面25側が最も凹んでいる部分である。すなわち、最深部35cは、流動制御部30の断面部S3において、断面直線W3と正圧面25との距離が最も離れている部分である。換言すれば、最深部35cは、流動制御部30の断面部S3において負圧面26側が最も突出している部分であり、断面部S3を構成する凸形状の頂点部分である。
翼20の流動制御部30は、前縁部21と後縁部22との間において、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて突出量Lが大きくなるように流動制御部30が湾曲して形成されている。すなわち、翼20の流動制御部30は、前縁部21と後縁部22との間において、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて上流側に向かう翼20の湾曲が大きくなるように形成されている。換言すれば、翼20の流動制御部30は、前縁部21と後縁部22との間において、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、正圧面25側の凹みの深さが大きくなるように形成されている。したがって、翼20の流動制御部30は、突出量L1よりも突出量L2が大きくなるように形成され、突出量L2よりも突出量L3が大きくなるように形成されている。翼20の流動制御部30は、前縁部21と後縁部22との間において、突出量L1<突出量L2<突出量L3の関係を満たすように形成されている。なお、流動制御部30は、断面部Sを4箇所以上とした場合でも、周方向CDにおいて、前縁部21側の突出量Lよりも後縁部22側の突出量Lが大きくなるように形成されている。
[軸流ファン100の動作]
図1に示す回転方向DRに軸流ファン100が回転すると、各翼20は、正圧面25によって周囲の空気を押し出す。これにより、図1の紙面と直交する方向に流れる、より詳しくは、図1に示す回転方向DRに軸流ファン100が回転すると、図1の紙面奥側から紙面手前側に向かう流体の流れが発生する。また、軸流ファン100が回転すると、負圧面26側の圧力が正圧面25側の圧力よりも小さくなり、各翼20の周囲では、正圧面25側と負圧面26側とで圧力差が生じる。
[軸流ファン100の効果]
軸流ファン100は、領域内縁部31と領域外縁部32との間の中間位置である仮想領域中間線33が、径方向における翼の中間位置となる仮想翼中間線28よりも外周側に位置するように形成されている。また、軸流ファン100は、断面部Sの突出量Lが前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて大きくなるように形成されている。そのため、軸流ファン100は、断面部Sに沿って正圧面25側の流体が流れやすくなり、断面部Sに正圧面25側の流体の流れMFが集中する。その結果、軸流ファン100は、翼20の外周側への過剰な流体の誘引を避けることができ、翼20の外周端において流体が正圧面25側の翼面から漏れることが抑制され、翼端渦の成長を抑制することができる。なお、翼端渦とは、翼20の正圧面25と負圧面26との間で生じる圧力差によって、翼20の端部で発生する空気の渦である。翼端渦の発生は余計なエネルギーの消費につながるため翼端渦の発生を抑制することで、軸流ファン100の効率を向上させ、消費電力を低減することができる。また、翼端渦は騒音を発生させるため、翼端渦の発生を抑制することで、翼20の回転に伴う騒音の発生を抑制することができる。
流動制御部30は、回転軸RAの軸方向と平行な方向に見た場合に、領域内縁部31と領域外縁部32との間の中間位置である仮想領域中間線33が、翼20の内周縁部24と外周縁部23との間の中間位置である仮想翼中間線28よりも外周側に位置している。軸流ファン100は、翼20の外周側において、正圧面25が凹むように湾曲した断面部Sをもつため、図3の流体の流れMFに示すように、断面部Sよりも内周側から、高効率に仕事をする外周側にある断面部Sへ流体を誘引することができる。図3に示すように、軸流ファン100は、高効率に仕事をする翼20の外周側を流れる気流FLの量は、翼20の内周側を流れる気流FLの量よりも多い。そのため、軸流ファン100は、翼20の内周側を流体が多く流れる軸流ファンと比較して、高効率に仕事をすることができるため、軸流ファン100の必要とする消費電力を低減することができる。
図4は、比較例に係る軸流ファン100Lの翼20Lの概略構成を示す正面図である。翼20Lの流動制御部30Lは、断面部SLを有する。断面部SLは、回転軸RAに対して垂直な方向における流動制御部30Lの断面を示している。なお、断面部SL1は、図2の位置P1における断面部SLであり、断面部SL2は、図2の位置P2における断面部SLであり、断面部SL3は、図2の位置P3における断面部SLである。比較例に係る軸流ファン100Lは、翼外周側の断面部SLが湾曲しておらず直線形状となっている。軸流ファン100Lは、翼外周側の断面部SLが湾曲しておらず直線形状に形成されているため翼外周側へ向かう流体の流れを内周側へ引き込むことができず、翼20Lの外周端において流体の漏れる流れが発生する恐れがある。
軸流ファン100Lにおける正圧面25側の流体の流れは、流体の流れる方向における上流側から下流側に向かうにつれて、徐々に径方向の成分を持って翼20の径方向に移動する。そのため、実施の形態1に係る軸流ファン100のように、断面部Sを有する翼20の形状とすることで、実施の形態1に係る軸流ファン100は、翼20の外周側への過剰な流体の誘引を避けることができる。更に、軸流ファン100は、翼20において断面部Sに流れが集中するため、翼20の外周端において流体が正圧面25側の翼面から漏れることが抑制され、翼端渦の成長を抑制することができる。
軸流ファン100Lは、翼20Lの翼端渦の抑制のために、断面部SLは凸形状に形成されておらず、内周縁部24側に流体の流れを引き込む面向きとなっており、また、前縁部21から後縁部22にかけて凹凸の変化がなく形成されている。軸流ファン100Lは、当該構成によって、流体の流れを内周縁部24側に引き込み、翼20の外周端で発生する流体の漏れを抑制できるかもしれない。しかし、軸流ファン100Lは、効率的に仕事をする翼20の外周側の負荷を上げられず、軸流ファン100の消費電力を充分には低減させることができない。
また、軸流ファン100Lは、内周縁部24側に流体を引き込んでいるため正圧面25側において流体が集中して流れる最大風速領域MAが生じる。図4に示すように、最大風速領域MAに集中して流れ出る気流FLの量は、翼20の内周縁部24側及び外周縁部23側の気流FLの量と比較して多くなる。そのため、軸流ファン100Lは、最大風速領域MAの下流側に位置するグリル等の構造物への衝突によるエネルギーの損失が大きく、騒音の悪化を生じさせ、軸流ファン100Lの消費電力の悪化を招く恐れがある。
これに対して実施の形態1に係る軸流ファン100は、径方向の外周側に位置する断面部Sの風速を増大させる。そのため、実施の形態1に係る軸流ファン100は、径方向において最大風速領域MLよりも外周側の領域において、流れる流体の吹き出される風速の分布を均一化できる。そのため、実施の形態1に係る軸流ファン100は、下流側に位置するグリル等の構造物との衝突によるエネルギー損失を抑制することができる。また、実施の形態1に係る軸流ファン100は、下流側に位置するグリル等の構造物との衝突による騒音を低減させることができ、軸流ファン100の必要な消費電力を低減することができる。
図5は、他の比較例に係る軸流ファン100Rの翼20Rの概略構成を示す正面図である。翼20Rの流動制御部30Rは、断面部SRを有する。断面部SRは、回転軸RAに対して垂直な方向における流動制御部30Rの断面を示している。なお、断面部SR1は、図2の位置P1における断面部SRであり、断面部SR2は、図2の位置P2における断面部SRであり、断面部SR3は、図2の位置P3における断面部SRである。
比較例に係る軸流ファン100Rの断面部SRは、回転方向DRとは反対の方向に凸となるように湾曲している。断面部SRは、正圧面25側が凹んでおり、負圧面26側が凸となるように湾曲している。ただし、比較例に係る軸流ファン100Rは、前縁部21から後縁部22にかけて、断面部SR1、断面部SR2及び断面部SR3の形状が同じである。すなわち、翼20Rの流動制御部30Rは、前縁部21と後縁部22との間において、突出量L1=突出量L2=突出量L3の関係を満たすように形成されている。
翼20Rの流動制御部30Rは、断面部SRを有し、前縁部21と後縁部22との間において、突出量L1=突出量L2=突出量L3の関係を満たすように形成されている。比較例に係る軸流ファン100Rは、流体の流れる方向において下流側から上流側に凸となる断面部SRの形状によって、断面部SRよりも内周側から、高効率に仕事をする外周側にある断面部Sへ流体を誘引でき、高効率に仕事をする外周側の負荷を上げることができる。
しかし、軸流ファン100Rは、前縁部21から後縁部22にかけて突出量Lが一律な形状に形成されているため、外周側への流体の流れMBの誘引が過剰になる。図5に示すように、翼20の内周縁部24側から外周縁部23側に向かうにつれて、翼20の外周縁部23側を流れる気流FLの量は、翼20の内周縁部24側を流れる気流FLの量と比較して多くなる。そのため、軸流ファン100Rは、翼20の最外周において流体の流れMBの漏れが発生し、翼端渦の成長に伴う騒音の悪化を生じさせ、あるいは、軸流ファン100Rの消費電力の悪化を生じさせる恐れがある。
これに対し、実施の形態1に係る軸流ファン100は、断面部Sの突出量Lが流体の流れる方向において前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて大きくなるため、断面部Sに沿って正圧面25側の流体が流れやすくなり、断面部Sに正圧面25側の流体の流れが集中する。そのため、実施の形態1に係る軸流ファン100は、翼20の外周端において流体が正圧面25側の翼面から漏れることが抑制され、翼端渦の成長を抑制することができる。
実施の形態2.
[軸流ファン100A]
図6は、実施の形態2に係る軸流ファン100Aの翼20Aの概略構成を示す正面図である。図6を用いて翼20Aの詳細な構成について説明する。なお、図1~図3の軸流ファン100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態2に係る軸流ファン100Aは、流動制御部30Aの最深部35の位置を特定するものである。
最深部35は、上述したように、流動制御部30の断面部Sにおいて正圧面25側が最も凹んでいる部分である。また、最深部35は、流動制御部30の断面部Sにおいて負圧面26側が最も突出している部分であり、断面部Sを構成する凸形状の頂点部分である。最深部35aは、流動制御部30Aにおける断面部S1の最深部35である。最深部35bは、流動制御部30Aにおける断面部S2の最深部35である。最深部35cは、流動制御部30Aにおける断面部S3の最深部35である。流動制御部30Aの断面部S1、断面部S2及び断面部S3は、軸流ファン100Aの周方向CDにおいて、前縁部21から後縁部22に向かって、断面部S1、断面部S2及び断面部S3の順に位置する断面部Sである。
図6に示す距離R1は、軸流ファン100Aの径方向において、回転軸RAと最深部35aとの間の距離である。同様に、距離R2は、軸流ファン100Aの径方向において、回転軸RAと最深部35bとの間の距離である。同様に、距離R3は、軸流ファン100Aの径方向において、回転軸RAと最深部35cとの間の距離である。軸流ファン100Aの流動制御部30Aは、距離R2が距離R1よりも大きくなるように形成されており、距離R3が距離R2よりも大きくなるように形成されている。すなわち、軸流ファン100Aは、距離R1<距離R2<距離R3となるように形成されている。軸流ファン100Aの流動制御部30Aは、周方向において前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、径方向において最深部35の位置が回転軸RAから離れるように形成されている。流動制御部30Aは、周方向において前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、最深部35が径方向において内周側から翼20Aの外周縁となる外周縁部23側へ位置するように形成されている。
[軸流ファン100Aの効果]
軸流ファン100の流動制御部30Aは、周方向において前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、最深部35が径方向外周側へ位置するように形成されている。軸流ファン100の回転に伴い翼20Aの正圧面25に沿って流れる流体の流れは、翼20Aの正圧面25において断面部Sの最深部35に最も集中する。そのため、軸流ファン100Aは、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、最深部35を径方向の外周側へ位置させることで、より高効率に仕事をする外周側に流体の流れを誘引することができる。その結果、軸流ファン100Aは、高効率に仕事をする翼20Aの外周側に流体を多く流すことができ、必要な消費電力を低減することができる。また、軸流ファン100Aは、吹き出される流体の風速の分布を径方向においてより均一化でき、発生する騒音を低減させることができる。
実施の形態3.
[軸流ファン100B]
図7は、実施の形態3に係る軸流ファン100Bの翼20Bの概略構成を示す正面図である。図7を用いて翼20Bの詳細な構成について説明する。なお、図1~図6の軸流ファン100及び軸流ファン100Aと同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態3に係る軸流ファン100Bは、流動制御部30Bの断面部Sの向きを特定するものである。
断面直線W1は、図2の位置P1における流動制御部30Bの断面部S1において、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ断面直線Wである。ここで、断面直線W1と領域内縁部31との交点を内周側端部W1aと定義し、断面直線W1と領域外縁部32との交点を外周側端部W1bと定義する。内周側端部W1aは、径方向において断面直線W1の内周側の端部であり、外周側端部W1bは、径方向において断面直線W1の外周側の端部である。周方向において、外周側端部W1bは、内周側端部W1aに対して前縁部21側に位置し、内周側端部W1aは、外周側端部W1bに対して後縁部22側に位置している。すなわち、流動制御部30Bは、内周側端部W1aよりも外周側端部W1bが軸流ファン100Bの回転方向DRの前進側に位置するように形成されている。
次に、回転軸RAと内周側端部W1aとを通る直線を直線M1aと定義し、回転軸RAと外周側端部W1bとを通る直線を直線M1bと定義する。そして、周方向において、直線M1aと直線M1bとの間の角度を角度θ1と定義する。角度θ1は、軸流ファン100Bの中心となる回転軸RAから、流動制御部30Bの断面部S1における内周側端部W1a及び外周側端部W1bをそれぞれ結んだ直線M1a及び直線M1bの2直線の間に定義される角度である。
同様に断面直線W2は、図2の位置P2における流動制御部30Bの断面部S2において、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ断面直線Wである。ここで、断面直線W2と領域内縁部31との交点を内周側端部W2aと定義し、断面直線W2と領域外縁部32との交点を外周側端部W2bと定義する。内周側端部W2aは、径方向において断面直線W2の内周側の端部であり、外周側端部W2bは、径方向において断面直線W2の外周側の端部である。周方向において、外周側端部W2bは、内周側端部W2aに対して前縁部21側に位置し、内周側端部W2aは、外周側端部W2bに対して後縁部22側に位置している。すなわち、流動制御部30Bは、内周側端部W2aよりも外周側端部W2bが軸流ファン100Bの回転方向DRの前進側に位置するように形成されている。
次に、回転軸RAと内周側端部W2aとを通る直線を直線M2aと定義し、回転軸RAと外周側端部W2bとを通る直線を直線M2bと定義する。そして、周方向において、直線M2aと直線M2bとの間の角度を角度θ2と定義する。角度θ2は、軸流ファン100Bの中心となる回転軸RAから、流動制御部30Bの断面部S2における内周側端部W2a及び外周側端部W2bをそれぞれ結んだ直線M2a及び直線M2bの2直線の間に定義される角度である。
同様に断面直線W3は、図2の位置P3における流動制御部30Bの断面部S3において、領域内縁部31と領域外縁部32とを結んだ断面直線Wである。ここで、断面直線W3と領域内縁部31との交点を内周側端部W3aと定義し、断面直線W3と領域外縁部32との交点を外周側端部W3bと定義する。内周側端部W3aは、径方向において断面直線W3の内周側の端部であり、外周側端部W3bは、径方向において断面直線W3の外周側の端部である。周方向において、外周側端部W3bは、内周側端部W3aに対して前縁部21側に位置し、内周側端部W3aは、外周側端部W3bに対して後縁部22側に位置している。すなわち、流動制御部30Bは、内周側端部W3aよりも外周側端部W3bが軸流ファン100Bの回転方向DRの前進側に位置するように形成されている。
次に、回転軸RAと内周側端部W3aとを通る直線を直線M3aと定義し、回転軸RAと外周側端部W3bとを通る直線を直線M3bと定義する。そして、周方向において、直線M3aと直線M3bとの間の角度を角度θ3と定義する。角度θ3は、軸流ファン100Bの中心となる回転軸RAから、流動制御部30Bの断面部S3における内周側端部W3a及び外周側端部W3bをそれぞれ結んだ直線M3a及び直線M3bの2直線の間に定義される角度である。
内周側端部W1a、内周側端部W2a及び内周側端部W3aは、第1内周側端部であり、外周側端部W1b、外周側端部W2b及び外周側端部W3bは、第1外周側端部である。また、直線M1a、直線M2a及び直線M3aは、第1直線であり、直線M1b、直線M2b及び直線M3bは、第2直線である。この第1直線と第2直線との間の角度が角度θである。
翼20Bの流動制御部30Bは、角度θ1よりも角度θ2が大きくなるように形成され、角度θ2よりも角度θ3が大きくなるように形成されている。翼20Bの流動制御部30Bは、前縁部21と後縁部22との間において、角度θ1<角度θ2<角度θ3の関係を満たすように形成されている。周方向CDにおいて、回転軸RAから流動制御部30Bの内周側端部及び外周側端部をそれぞれ結んだ第1直線と第2直線との間に定義される角度θは、前縁部21側よりも後縁部22側の方が大きくなるように形成されている。なお、流動制御部30Bは、断面部Sを4箇所以上とした場合でも、同様に構成されている。すなわち、流動制御部30Bは、回転軸RAから流動制御部30Bの内周側端部及び外周側端部をそれぞれ結んだ第1直線と第2直線との間に定義される角度θは、前縁部21側よりも後縁部22側の方が大きくなるように形成されている。
[軸流ファン100Bの効果]
流動制御部30Bは、回転軸RAから流動制御部30Bの内周側端部及び外周側端部をそれぞれ結んだ第1直線と第2直線との間に定義される角度θは、前縁部21側よりも後縁部22側の方が大きくなるように形成されている。当該構成によって、軸流ファン100Bは、前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて、断面部Sと断面直線Wとにより囲まれる面が内周側を向くように形成されている。そのため、軸流ファン100Bは、流動制御部30Bよりも外周側へ向かう流体の径方向の流れを抑制でき、翼20Bの外周側へ向かう流体の流れを流動制御部30Bに集中させることができる。そして、軸流ファン100Bは、翼20Bの外周側の端部において流体が正圧面25側の翼面から漏れることを抑制することができるので、翼端渦の成長を抑制することができる。そのため、軸流ファン100Bは、効率を向上させることができ、軸流ファン100Bの必要な消費電力を低減させることができる。
実施の形態4.
[軸流ファン100C]
図8は、実施の形態4に係る軸流ファン100Cの翼20Cの概略構成を示す正面図である。図8を用いて翼20Cの詳細な構成について説明する。なお、図1~図7の軸流ファン100~軸流ファン100Bと同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態4に係る軸流ファン100Cは、流動制御部30Cの断面部Sの向きを特定するものであり、実施の形態3に係る軸流ファン100Bにおける流動制御部30Cの断面部Sとは異なる方向を向くものである。
翼20Cの流動制御部30Cは、角度θ1よりも角度θ2が小さくなるように形成され、角度θ2よりも角度θ3が小さくなるように形成されている。翼20Cの流動制御部30Cは、前縁部21と後縁部22との間において、角度θ3<角度θ2<角度θ1の関係を満たすように形成されている。周方向CDにおいて、回転軸RAから流動制御部30Cの内周側端部及び外周側端部をそれぞれ結んだ第1直線と第2直線との間に定義される角度θは、前縁部21側よりも後縁部22側の方が小さくなるように形成されている。なお、流動制御部30Cは、断面部Sを4箇所以上とした場合でも、同様に構成されている。すなわち、流動制御部30Cは、回転軸RAから流動制御部30Cの内周側端部及び外周側端部をそれぞれ結んだ第1直線と第2直線との間に定義される角度θは、前縁部21側よりも後縁部22側の方が小さくなるように形成されている。
[軸流ファン100Cの効果]
流動制御部30Cは、回転軸RAから流動制御部30Cの内周側端部及び外周側端部をそれぞれ結んだ第1直線と第2直線との間に定義される角度θは、前縁部21側よりも後縁部22側の方が小さくなるように形成されている。当該構成によって、軸流ファン100Cは、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、断面部Sと断面直線Wとにより囲まれる面が回転方向DRを向くように形成されている。軸流ファン100Cは、当該構成によって、流動制御部30Cの内周側または外周側へ向かう流体の径方向成分の流れを抑制できるため流動制御部30Cの断面部Sに流体の流れを集中させることができる。そして、軸流ファン100Cは、翼20Cの外周側の端部において流体が正圧面25側の翼面から漏れることを抑制することができるので、翼端渦の成長を抑制することができる。そのため、軸流ファン100Cは、効率を向上させることができ、軸流ファン100Cの必要な消費電力を低減させることができる。また、軸流ファン100Cは、吹き出される流体の風速の分布を径方向においてより均一化でき、発生する騒音を低減させることができる。
実施の形態5.
[軸流ファン100D]
図9は、実施の形態5に係る軸流ファン100Dの翼20Dの概略構成を示す正面図である。図9を用いて翼20Dの詳細な構成について説明する。なお、図1~図8の軸流ファン100~軸流ファン100Cと同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態5に係る軸流ファン100Dは、翼20Dの後縁部22の構成を特定するものである。
後縁部22は、翼20の回転軸RA側に形成された突出部22aと、突出部22aに対して翼20の外周縁部23側に形成された外周側後縁部22bと、を有する。突出部22aは、径方向において翼20の内周側に形成されている。突出部22aは、後縁を周方向に延長させている。すなわち、突出部22aは、外周側後縁部22bと比較して翼20Dの回転方向DRの後進側に突出して延びている。
突出部22aは、平板状に形成されており、回転軸RAの軸方向と平行な方向に見た場合に、略三角形状に形成されている。突出部22aは、突出方向に対して先細りとなるように形成されている。しかし、突出部22aの形状は、略三角形状に限定されるものではない。例えば、突出部22aの形状は、回転軸RAの軸方向と平行な方向に見た場合に、略台形形状、あるいは、複数の略三角形状を有する形状等、他の形状に形成されてもよい。
図10は、実施の形態5に係る軸流ファン100Dの翼20Dの概略構成を示す他の正面図である。図10に示すように、軸流ファン100Dは、翼20Dの径方向の外周側に流動制御部30Dを有してもよい。なお、流動制御部30Dは、上述した流動制御部30、流動制御部30A、流動制御部30B又は流動制御部30Cのいずれか1つによって構成される。
[軸流ファン100Dの効果]
後縁部22は、翼20の回転軸RA側に形成された突出部22aと、突出部22aに対して翼20の外周縁部23側に形成された外周側後縁部22bと、を有する。この突出部22aは、外周側後縁部22bと比較して翼20Dの回転方向DRの後進側に突出して延びている。軸流ファン100Dは、内周側の後縁部22を構成する突出部22aによって、最大風速領域よりも径方向の内周側の風速を増大させることができる。そのため、軸流ファン100Dは、吹き出される流体の風速の分布を径方向においてより均一化でき、発生する騒音を低減させることができる。また、軸流ファン100Dは、翼20の径方向の外周側に形成された流動制御部30Dとの組み合わせによって、径方向全体で吹き出す流体の風速の均一化を図ることができる。
実施の形態6.
[軸流ファン100E]
図11は、実施の形態6に係る軸流ファン100Eの子午面を表す概念図である。図12は、実施の形態6に係る軸流ファン100Eの翼20Eの概略構成を示す正面図である。図11は、回転軸RAと翼20Eとを含む子午面に回転投影させた場合の軸流ファン100Eの形状を示している。軸流ファン100Eは、子午面に回転投影した場合の翼20Eが翼投影部20qで示されており、子午面に回転投影した場合のハブ10が、ハブ投影部10pで示されている。図11及び図12を用いて翼20Eの詳細な構成について説明する。なお、図1~図10の軸流ファン100~軸流ファン100Dと同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
図12において点線で表す位置Q1、位置Q2及び位置Q3は、それぞれ回転軸RAに垂直な断面の位置を表している。位置Q1、位置Q2及び位置Q3は、回転軸RAの軸方向ADにおいて、流体が流れる方向の上流側から下流側に向かって、位置Q1、位置Q2及び位置Q3の順に位置している。位置Q1で表す断面上に位置する部分は、それぞれ回転軸RAの軸方向ADにおいて同一の位置に位置する部分である。同様に、位置Q2で表す断面上に位置する部分は、それぞれ回転軸RAの軸方向ADにおいて同一の位置に位置する部分である。同様に、位置Q3で表す断面上に位置する部分は、それぞれ回転軸RAの軸方向ADにおいて同一の位置に位置する部分である。これに対して、位置Q1で表す断面上に位置する部分と、位置Q2で表す断面上に位置する部分と、位置Q3で表す断面上に位置する部分との関係は、それぞれ回転軸RAの軸方向ADにおいて異なる位置に位置する部分である。なお、位置Q1、位置Q2及び位置Q3は、前縁部21と後縁部22との間において、位置Q1、位置Q2及び位置Q3のそれぞれの相対的な位置関係を示したものである。また、実施の形態6では、位置Q1~位置Q3の3箇所の構成について説明しているが、位置Q1~位置Q3における関係は、位置Q1~位置Q3の3箇所のみに適用されるものではなく、4箇所以上の位置における関係においても適用される。
(内周側流動制御部40)
翼20Eは、内周側流動制御部40を有する。内周側流動制御部40は、翼20Eの内周側において、正圧面25上に流れる流体の流れる方向を制御する部分である。内周側流動制御部40は、周方向CDにおいて、少なくとも前縁部21と後縁部22との間の中間位置となる中腹部29と、後縁部22との間に形成されている。また、内周側流動制御部40は、径方向において少なくとも一部が突出部22aの形成領域と重なるように一定の幅を持って形成されている。内周側流動制御部40は、回転軸RAと平行な方向に見た場合に弧状に形成された領域である。内周側流動制御部40は、内周側の縁部を形成する内周側領域内縁部41と、外周側の縁部を形成する内周側領域外縁部42とを有する。内周側領域内縁部41は、軸流ファン100Eの径方向において仮想翼中間線28よりも内周側に位置している。内周側領域外縁部42は、軸流ファン100Eの径方向において仮想翼中間線28よりも内周側に位置している。ただし、内周側領域外縁部42は、軸流ファン100Eの径方向において仮想翼中間線28よりも外周側に位置していてもよい。
内周側領域内縁部41は、弧状に形成されており、軸流ファン100Eの径方向において、回転軸RAからの距離が一定となるように形成されている。同様に、内周側領域外縁部42は、弧状に形成されており、軸流ファン100Eの径方向において、回転軸RAからの距離が一定となるように形成されている。内周側流動制御部40は、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42との間に形成された領域である。また、内周側流動制御部40は、前縁部21と後縁部22との間の少なくとも一部において、軸流ファン100Eの周方向CDに沿って形成されている。すなわち、内周側流動制御部40は、翼20Eにおいて軸流ファン100Eの径方向に延びていると共に周方向CDに延びているように形成されている。
内周側流動制御部40は、軸流ファン100Eの周方向CDのいずれの位置においても、径方向の幅が一定の幅に形成されている。すなわち、内周側流動制御部40は、径方向において内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42と間の距離が、軸流ファン100Eの周方向CDのいずれの位置においても一定に形成されている。しかし、内周側領域内縁部41及び内周側領域外縁部42は、軸流ファン100Eの径方向において、回転軸RAからの距離が一定となるように形成されている構成に限定されるものではない。この場合、軸流ファン100Eは、軸流ファン100Eの周方向CDの位置によって、径方向の幅が異なる大きさの幅に形成されている。
内周側流動制御部40は、翼20Eの径方向において相対的に内周側に位置している。例えば、内周側流動制御部40の内周側仮想領域中間線43は、外周縁部23と内周縁部24との間の仮想翼中間線28、すなわち、翼20Eの半径方向の中間位置となる仮想翼中間線28よりも内周側に位置している。内周側流動制御部40は、径方向において、後縁部22の突出部22aが形成されている領域と等しい範囲に形成されていることが望ましい。しかし、内周側流動制御部40は、径方向において、後縁部22の突出部22aが形成されている領域と等しい範囲に形成されている構成に限定されるものではない。例えば、内周側流動制御部40は、径方向において、後縁部22の突出部22aが形成されている領域よりも小さい範囲に形成されてもよく、後縁部22の突出部22aが形成されている領域よりも大きい範囲に形成されてもよい。内周側流動制御部40の少なくとも一部は、径方向において、後縁部22の突出部22aが形成されている領域に形成されていればよい。
内周側流動制御部40は、翼20Eの前縁部21と後縁部22との間の周方向CDの少なくとも一部において、径方向における翼断面が軸流ファン100Eの回転方向DRとは反対方向に凸となるように翼板が湾曲しており、反っている。また、内周側流動制御部40は、翼20Eの前縁部21と後縁部22との間の周方向CDの少なくとも一部において、流体の流れる方向において上流側に凸となるように翼板が湾曲しており、反っている。すなわち、内周側流動制御部40は、軸流ファン100Eにおける周方向CDの少なくとも一部において、翼20Eの正圧面25側が凹むように形成されており、当該部分に対応する翼20Eの負圧面26側が凸となるように形成されている。
図12において点線で示す内周側断面部SIは、内周側流動制御部40における翼20Eの断面を示している。内周側断面部SIは、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42との間において、回転軸RAに対する垂直な断面として、正圧面25側が凹み、負圧面26側が凸となるように湾曲した部分である。内周側断面部SIは、回転軸RAに対して垂直な方向における内周側流動制御部40の断面を示している。内周側断面部SIは、回転方向DRとは反対方向に凸となるように湾曲している。また、内周側断面部SIは、流体の流れる方向AFにおいて、上流側に凸となるように湾曲している。内周側断面部SIは、正圧面25側が凹んでおり、負圧面26側が凸となるように湾曲している。軸流ファン100Eの径方向(Y軸方向)において、内周側断面部SIの一方の端部である内周側の端部が内周側領域内縁部41であり、断面部Sの他方の端部である外周側の端部が内周側領域外縁部42である。
図12において点線で示す内周側断面部SI1は、図11に示す位置Q1において、内周側流動制御部40における翼20Eの内周側断面部SIを示している。図12において点線で示す内周側断面部SI2は、図11に示す位置Q2において、内周側流動制御部40における翼20Eの内周側断面部SIを示している。図12において点線で示す内周側断面部SI3は、図11に示す位置Q3において、内周側流動制御部40における翼20Eの内周側断面部SIを示している。より詳細には、内周側断面部SI1は、軸方向ADの位置Q1において、回転軸RAに対して垂直な方向における内周側流動制御部40の断面を示している。また、内周側断面部SI2は、軸方向ADの位置Q2において、回転軸RAに対して垂直な方向における内周側流動制御部40の断面を示している。また、内周側断面部SI3は、軸方向ADの位置Q3において、回転軸RAに対して垂直な方向における内周側流動制御部40の断面を示している。軸流ファン100Eの径方向において、内周側断面部SI1、内周側断面部SI2及び内周側断面部SI3の一方の端部である内周側の端部が内周側領域内縁部41である。また、内周側断面部SI1、内周側断面部SI2及び内周側断面部SI3の他方の端部である外周側の端部が内周側領域外縁部42である。
内周側断面部SI1、内周側断面部SI2及び内周側断面部SI3は、回転軸RAの軸方向ADにおいて、流体が流れる方向の上流側から下流側に向かって、内周側断面部SI1、内周側断面部SI2及び内周側断面部SI3の順に位置する内周側断面部SIである。内周側断面部SI1、内周側断面部SI2及び内周側断面部SI3は、軸流ファン100Eの周方向CDにおいて、前縁部21から後縁部22に向かって、内周側断面部SI1、内周側断面部SI2及び内周側断面部SI3の順に位置する内周側断面部SIである。
ここで、軸流ファン100Eの軸方向ADの同一位置における内周側流動制御部40の内周側断面部SIにおいて、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42とを結んだ直線を内周側直線WIとする。そして、内周側断面部SIにおいて、内周側領域内縁部41と、内周側領域外縁部42とを結んだ内周側直線WIから法線方向で最も離れた位置にある正圧面25までの距離を内周側突出量LIとする。内周側突出量LIは、内周側断面部SIにおいて、内周側直線WIから法線方向で翼20Eが最も凸となる位置にある内周側最深部45までの距離である。内周側最深部45は、内周側流動制御部40の内周側断面部SIにおいて正圧面25側が最も凹んでいる部分である。すなわち、内周側最深部45は、内周側流動制御部40の内周側断面部SIにおいて、内周側直線WIと正圧面25との距離が最も離れている部分である。換言すれば、内周側最深部45は、内周側流動制御部40の内周側断面部SIにおいて負圧面26側が最も突出している部分であり、内周側断面部SIを構成する凸形状の頂点部分である。
内周側断面部SIに対する上記の説明と同様に、位置Q1における内周側流動制御部40の内周側断面部SI1において、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42とを結んだ直線を内周側直線WI1とする。そして、内周側断面部SI1において、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42とを結んだ内周側直線WI1から法線方向で最も離れた位置にある正圧面25までの距離を内周側突出量LI1とする。内周側突出量LI1は、内周側断面部SI1において、内周側直線WI1から法線方向で翼20Eが最も凸となる位置にある内周側最深部45aまでの距離である。内周側最深部45aは、内周側流動制御部40の内周側断面部SI1において正圧面25側が最も凹んでいる部分である。すなわち、内周側最深部45aは、内周側流動制御部40の内周側断面部SI1において、内周側直線WI1と正圧面25との距離が最も離れている部分である。換言すれば、内周側最深部45aは、内周側流動制御部40の内周側断面部SI1において負圧面26側が最も突出している部分であり、内周側断面部SI1を構成する凸形状の頂点部分である。
内周側断面部SIに対する上記の説明と同様に、位置Q2における内周側流動制御部40の内周側断面部SI2において、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42とを結んだ直線を内周側直線WI2とする。そして、内周側断面部SI2において、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42とを結んだ内周側直線WI2から法線方向で最も離れた位置にある正圧面25までの距離を内周側突出量LI2とする。内周側突出量LI2は、内周側断面部SI2において、内周側直線WI2から法線方向で翼20Eが最も凸となる位置にある内周側最深部45bまでの距離である。内周側最深部45bは、内周側流動制御部40の内周側断面部SI2において正圧面25側が最も凹んでいる部分である。すなわち、内周側最深部45bは、内周側流動制御部40の内周側断面部SI2において、内周側直線WI2と正圧面25との距離が最も離れている部分である。換言すれば、内周側最深部45bは、内周側流動制御部40の内周側断面部SI2において負圧面26側が最も突出している部分であり、内周側断面部SI2を構成する凸形状の頂点部分である。
内周側断面部SIに対する上記の説明と同様に、位置Q3における内周側流動制御部40の内周側断面部SI3において、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42とを結んだ直線を内周側直線WI3とする。そして、内周側断面部SI3において、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42とを結んだ内周側直線WI3から法線方向で最も離れた位置にある正圧面25までの距離を内周側突出量LI3とする。内周側突出量LI3は、内周側断面部SI3において、内周側直線WI3から法線方向で翼20Eが最も凸となる位置にある内周側最深部45cまでの距離である。内周側最深部45cは、内周側流動制御部40の内周側断面部SI3において正圧面25側が最も凹んでいる部分である。すなわち、内周側最深部45cは、内周側流動制御部40の内周側断面部SI3において、内周側直線WI3と正圧面25との距離が最も離れている部分である。換言すれば、内周側最深部45cは、内周側流動制御部40の内周側断面部SI3において負圧面26側が最も突出している部分であり、内周側断面部SI3を構成する凸形状の頂点部分である。
翼20Eの内周側流動制御部40は、前縁部21と後縁部22との間において、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて内周側突出量LIが小さくなるように形成されている。すなわち、翼20Eの内周側流動制御部40は、前縁部21と後縁部22との間において、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて上流側に向かう翼20Eの湾曲が小さくなるように形成されている。換言すれば、翼20Eの内周側流動制御部40は、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、正圧面25側の凹みの深さが小さくなるように形成されている。翼20Eの内周側流動制御部40において、内周側突出量LIが小さくなる領域がある場合は、内周側突出量LIが小さくなる領域は、少なくとも翼20Eの中腹部29と後縁部22との間の領域に存在する。なお、翼20Eの中腹部29は、回転軸RAの軸方向において、前縁部21と後縁部22との間の中間位置である。
例えば、図12に示すように、翼20Eの内周側流動制御部40は、内周側突出量LI1よりも内周側突出量LI2が小さくなるように形成され、内周側突出量LI2よりも内周側突出量LI3が小さくなるように形成されている。翼20Eの内周側流動制御部40は、前縁部21と後縁部22との間において、内周側突出量LI3<内周側突出量LI2<内周側突出量LI1の関係を満たすように形成されている。なお、内周側流動制御部40は、内周側断面部SIを4箇所以上とした場合でも、周方向CDにおいて、前縁部21側の内周側突出量LIよりも後縁部22側の内周側突出量LIが小さくなるように形成されている。
翼20Eの内周側流動制御部40は、前縁部21と後縁部22との間において、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて内周側突出量LIが小さくなるように形成されている構成に限定されるものではない。翼20Eの内周側流動制御部40は、前縁部21と後縁部22との間において、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて内周側突出量LIが大きくならなければよく、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて内周側突出量LIが等しい領域があってもよい。翼20Eは、内周側突出量LIが等しい領域は、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて一部の領域であってもよく、全ての領域であってもよい。また、翼20Eの内周側流動制御部40において、内周側突出量LIが等しい領域がある場合は、内周側突出量LIが等しい領域は、少なくとも翼20Eの中腹部29と後縁部22との間の領域に存在する。
例えば、翼20Eの内周側流動制御部40は、内周側突出量LI1と内周側突出量LI2とが等しい大きさに形成されてもよい(突出量L1=突出量L2)。あるいは、翼20Eの内周側流動制御部40は、内周側突出量LI2と内周側突出量LI3とが等しい大きさに形成されてもよい(突出量L2=突出量L3)。あるいは、翼20Eの内周側流動制御部40は、突出量L1、内周側突出量LI2及び内周側突出量LI3が等しい大きさに形成されてもよい(突出量L1=突出量L2=突出量L3)。
すなわち、翼20Eは、少なくとも前縁部21と後縁部と間の翼20Eの中腹部29から後縁部22にかけて内周側突出量LIが同等、または、少なくとも翼20Eの中腹部29から後縁部22に向かうにつれて、内周側突出量LIが小さくなる領域を有している。すなわち、翼20Eは、前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて内周側突出量LIが変化しない領域、又は、前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて内周側突出量LIが小さくなる領域を有するように形成されている。
図13は、変形例の実施の形態6に係る軸流ファン100Fの翼20Fの概略構成を示す正面図である。軸流ファン100Fは、翼20Fの内周側に内周側流動制御部40を有し、翼20Fの外周側に流動制御部30を有する。なお、流動制御部30は、流動制御部30A~流動制御部30Dのいずれか1つであってもよい。上述したように、図2に示す位置Q1、位置Q2及び位置Q3は、前縁部21と後縁部22との間において、位置Q1、位置Q2及び位置Q3のそれぞれの相対的な位置関係を示したものである。図13に示す、内周側流動制御部40における内周側断面部SIの位置Q1、位置Q2及び位置Q3は、流動制御部30における断面部Sの位置P1、位置P2及び位置P3と同じ位置であってもよく、異なる位置であってもよい。
[軸流ファン100E及び軸流ファン100Fの効果]
翼20Eは、前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて内周側突出量LIが変化しない領域、又は、前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて内周側突出量LIが小さくなる領域を有するように形成されている。そのため、軸流ファン100Eは、径方向において、翼20Eの内周側に形成された内周側流動制御部40よりも高効率に仕事をする翼20E外の外周側から、内周側流動制御部40への流体の流れの誘引を避けつつ、内周側の風速を増大させることができる。そのため、軸流ファン100Eは、軸流ファン100Eの必要な消費電力の増加を必要とせずに、吹き出す気流FLの風速の分布をより均一化でき、発生する騒音を低下させることができる。
翼20Fは、前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて内周側突出量LIが変化しない領域、又は、前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて内周側突出量LIが小さくなる領域を有するように形成されている。そのため、軸流ファン100Fは、径方向において、翼20Fの内周側に形成された内周側流動制御部40よりも高効率に仕事をする翼20F外の外周側から、内周側流動制御部40への流体の流れの誘引を避けつつ、内周側の風速を増大させることができる。そのため、軸流ファン100Fは、軸流ファン100Fの必要な消費電力の増加を必要とせずに、吹き出す気流FLの風速の分布をより均一化でき、発生する騒音を低下させることができる。
さらに、流動制御部30は、回転軸RAの軸方向と平行な方向に見た場合に、領域内縁部31と領域外縁部32との間の中間位置である仮想領域中間線33が、翼20の内周縁部24と外周縁部23との間の中間位置である仮想翼中間線28よりも外周側に位置している。軸流ファン100Fは、翼20Fの外周側において、翼20によって形成される流体の流れる方向において下流側から上流側に凸となる断面部Sを有する。そのため、図13の流体の流れMFに示すように、断面部Sよりも内周側から、高効率に仕事をする外周側にある断面部Sへ流体を誘引することができる。そのため、軸流ファン100Fは、軸流ファン100Fの必要な消費電力を低減することができる。また、軸流ファン100Fは、断面部Sの突出量Lが流体の流れる方向において前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて大きくなるため、断面部Sに沿って正圧面25側の流体が流れやすくなり、断面部Sに正圧面25側の流体の流れが集中する。そのため、軸流ファン100Fは、翼20Fの外周端において流体が正圧面25側の翼面から漏れることが抑制され、翼端渦の成長を抑制することができる。
実施の形態7.
[軸流ファン100G]
図14は、実施の形態7に係る軸流ファン100Gの翼20Gの概略構成を示す正面図である。図14を用いて翼20Gの詳細な構成について説明する。なお、図1~図13の軸流ファン100~軸流ファン100Fと同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、図14には、流動制御部30を図示していないが、軸流ファン100Gは、図13に示す実施の形態6に係る軸流ファン100Fのように、軸流ファン100Gの外周側に流動制御部30を有してもよい。軸流ファン100Gが流動制御部30を有する場合には、流動制御部30は、流動制御部30~流動制御部30Dのいずれか1つであればよい。
(内周側流動制御部40G)
翼20Gは、内周側流動制御部40Gを有する。内周側流動制御部40Gは、翼20Gの内周側において、正圧面25に沿って流れる流体の流れる方向を制御する部分である。内周側流動制御部40Gは、回転軸RAと平行な方向に見た場合に弧状に形成された領域である。内周側流動制御部40Gは、内周側の縁部を形成する内周側領域内縁部41と、外周側の縁部を形成する内周側領域外縁部42とを有する。内周側流動制御部40Gの少なくとも一部は、径方向において、後縁部22の突出部22aが形成されている領域に形成されている。内周側流動制御部40Gは、径方向において、後縁部22の突出部22aが形成されている領域と等しい領域に形成されていることが望ましい。内周側流動制御部40Gは、内周側突出量LIを形成する構成が内周側流動制御部40と異なるものである。
翼20Gの内周側流動制御部40Gは、前縁部21と後縁部22との間において、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて内周側突出量LIが大きくなるように形成されている。すなわち、翼20Gの内周側流動制御部40Gは、前縁部21と後縁部22との間において、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて上流側に向かう翼20Gの湾曲が大きくなるように形成されている。換言すれば、翼20Gの内周側流動制御部40Gは、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、径方向における内周側流動制御部40Gの外側部分の領域に対して正圧面25側の凹みの深さが大きくなるように形成されている。翼20Gの内周側流動制御部40Gにおいて、内周側突出量LIが大きくなる領域は、少なくとも翼20Gの中腹部29と後縁部22との間の領域に存在する。
例えば、図14に示すように、翼20Gの内周側流動制御部40Gは、内周側突出量LI1よりも内周側突出量LI2が大きくなるように形成され、内周側突出量LI2よりも内周側突出量LI3が大きくなるように形成されている。翼20Gの内周側流動制御部40Gは、前縁部21と後縁部22との間において、内周側突出量LI1<内周側突出量LI2<内周側突出量LI3の関係を満たすように形成されている。なお、内周側流動制御部40Gは、内周側断面部SIを4箇所以上とした場合でも、周方向CDにおいて、前縁部21側の内周側突出量LIよりも後縁部22側の内周側突出量LIが大きくなるように形成されている。
[軸流ファン100Gの効果]
図15は、実施の形態7に係る軸流ファン100Gを備えた室外機50Lの構成を説明するための概念図である。室外機50Lは、熱交換器68と、圧縮機64と、軸流ファン100Gとを有する。室外機50Lの内部は、壁体である仕切板51gによって、熱交換器68及び軸流ファン100Gが設置されている送風室56と、圧縮機64が設置されている機械室57とに分けられている。軸流ファン100Gは、ファンモータ61に接続されており、ファンモータ61は、モータ支持部69に取り付けられている。
室外機50Lは、熱交換器68を高圧損に設計することにより、軸流ファン100Gの外周側の仕事の寄与が高まることによって、軸流ファン100Gの内周側へ流体の流入が阻害される場合には、軸流ファン100Gの内周側の流体の流入が低下する恐れがある。また、室外機50Lは、軸流ファン100Gの上流側に配置されているモータ支持部69等の構造物によって、軸流ファン100Gの内周側へ流体の流入が阻害される場合には、軸流ファン100Gの内周側の流体の流入が低下する恐れがある。なお、図15において、流れFL2は、モータ支持部69によって影響を受けた流体の流れの一例を表している。室外機50Lは、これらの場合のように、軸流ファン100Gの内周側へ流体の流入が阻害される場合には、軸流ファン100Gの内周側の流体の流入が低下することによって軸流ファン100Gに大きな負荷が発生し、消費電力が増加する恐れがある。
翼20Gの内周側流動制御部40Gは、前縁部21と後縁部22との間において、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて内周側突出量LIが大きくなるように形成されている。軸流ファン100Gは、内周側流動制御部40Gを有することで、翼20Gの外周側から流体の流れF3を翼20Gの内周側へ誘引することができ、軸流ファン100Gの高効率化を図ることができる。また、内周側流動制御部40Gは、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて内周側突出量LIが大きくなるように形成されている。そのため、内周側流動制御部40Gは、内周側流動制御部40Gの外周側の領域における前縁部21側で有効に仕事をさせた後、徐々に流体の流れを内周側に誘引できる。軸流ファン100Gは、内周側流動制御部40Gよりも外周側の領域における仕事量の確保を図ることができると共に、内周側の流入増大により内周側の負荷を低減させることができる。そのため、軸流ファン100Gは、軸流ファン100Gの高効率化を図ることができ、必要な消費電力の低減を図ることができる。また、軸流ファン100Gは、吹き出す気流FLの風速の分布をより均一化でき、発生する騒音を低下させることができる。
実施の形態8.
[軸流ファン100H]
図16は、実施の形態8に係る軸流ファン100Hの翼20Hの概略構成を示す正面図である。図16を用いて翼20Hの詳細な構成について説明する。なお、図1~図15の軸流ファン100~軸流ファン100Gと同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態8に係る軸流ファン100Hは、内周側流動制御部40Hの内周側最深部45の位置を特定するものである。なお、図16には、流動制御部30を図示していないが、軸流ファン100Hは、図13に示す実施の形態6に係る軸流ファン100Fのように、軸流ファン100Hの外周側に流動制御部30を有してもよい。軸流ファン100Hが流動制御部30を有する場合には、流動制御部30は、流動制御部30~流動制御部30Dのいずれか1つであればよい。
内周側最深部45は、上述したように、内周側流動制御部40の内周側断面部SIにおいて正圧面25側が最も凹んでいる部分である。また、内周側最深部45は、内周側流動制御部40の内周側断面部SIにおいて負圧面26側が最も突出している部分であり、内周側断面部SIを構成する凸形状の頂点部分である。内周側最深部45aは、内周側流動制御部40Hにおける内周側断面部SI1の内周側最深部45である。内周側最深部45bは、内周側流動制御部40Hにおける内周側断面部SI2の内周側最深部45である。内周側最深部45cは、内周側流動制御部40Hにおける内周側断面部SI3の内周側最深部45である。内周側断面部SI1、内周側断面部SI2及び内周側断面部SI3は、軸流ファン100Hの周方向CDにおいて、前縁部21から後縁部22に向かって、内周側断面部SI1、内周側断面部SI2及び内周側断面部SI3の順に位置する内周側断面部SIである。
図16に示す距離RI1は、軸流ファン100Hの径方向において、回転軸RAと内周側最深部45aとの間の距離である。同様に、距離RI2は、軸流ファン100Hの径方向において、回転軸RAと内周側最深部45bとの間の距離である。同様に、距離RI3は、軸流ファン100Hの径方向において、回転軸RAと内周側最深部45cとの間の距離である。軸流ファン100Hの内周側流動制御部40Hは、距離RI2が距離RI1よりも小さくなるように形成されており、距離RI3が距離RI2よりも小さくなるように形成されている。すなわち、軸流ファン100Hは、距離RI3<距離RI2<距離RI1となるように形成されている。軸流ファン100Hの内周側流動制御部40Hは、周方向において前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、径方向において内周側最深部45の位置が回転軸RAに近づくように形成されている。内周側流動制御部40Hは、周方向CDにおいて前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、内周側最深部45が径方向の外周側から内周側へ位置するように形成されている。
[軸流ファン100Hの効果]
軸流ファン100Hの内周側流動制御部40Hは、周方向において前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、内周側最深部45が径方向の外周側から内周側へ位置するように形成されている。軸流ファン100の回転に伴い翼20の正圧面25に沿って流れる流体の流れは、翼20の正圧面25において内周側断面部SIの内周側最深部45に最も集中する。そのため、軸流ファン100Hは、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、内周側最深部45を径方向の内周側へ位置させることで、より軸流ファン100Hの内周側へ流体の流れを誘引することができる。その結果、軸流ファン100Hは、内周側への流体の流入増大により高効率化し、必要な消費電力を低減することができる。また、軸流ファン100Hは、吹き出される流体の風速の分布を径方向においてより均一化でき、発生する騒音を低減させることができる。
実施の形態9.
[軸流ファン100I]
図17は、実施の形態9に係る軸流ファン100Iの翼20Iの概略構成を示す正面図である。図17を用いて翼20Iの詳細な構成について説明する。なお、図1~図16の軸流ファン100~軸流ファン100Gと同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態9に係る軸流ファン100Iは、内周側流動制御部40Iの内周側断面部SIの向きを特定するものである。
内周側直線WI1は、図11の位置Q1における内周側流動制御部40Iの内周側断面部SI1において、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42とを結んだ内周側直線WIである。ここで、内周側直線WI1と内周側領域内縁部41との交点を内周側端部W1dと定義し、内周側直線WI1と内周側領域外縁部42との交点を外周側端部W1eと定義する。内周側端部W1dは、径方向において内周側直線WI1の内周側の端部であり、外周側端部W1eは、径方向において内周側直線WI1の外周側の端部である。周方向において、外周側端部W1eは、内周側端部W1dに対して前縁部21側に位置し、内周側端部W1dは、外周側端部W1eに対して後縁部22側に位置している。すなわち、内周側流動制御部40Iは、内周側端部W1dよりも外周側端部W1eが軸流ファン100Iの回転方向DRの前進側に位置するように形成されている。
次に、回転軸RAと内周側端部W1dとを通る直線を直線M1dと定義し、回転軸RAと外周側端部W1eとを通る直線を直線M1eと定義する。そして、周方向において、直線M1dと直線M1eとの間の角度を角度θ1と定義する。角度Φ1は、軸流ファン100Iの中心となる回転軸RAから、内周側流動制御部40Iの内周側断面部SI1における内周側端部W1d及び外周側端部W1eをそれぞれ結んだ直線M1d及び直線M1eの2直線の間に定義される角度である。
同様に内周側直線WI2は、図11の位置Q2における内周側流動制御部40Iの内周側断面部SI2において、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42とを結んだ内周側直線WIである。ここで、内周側直線WI2と内周側領域内縁部41との交点を内周側端部W2dと定義し、内周側直線WI2と内周側領域外縁部42との交点を外周側端部W2eと定義する。内周側端部W2dは、径方向において内周側直線WI2の内周側の端部であり、外周側端部W2eは、径方向において内周側直線WI2の外周側の端部である。周方向において、外周側端部W2eは、内周側端部W2dに対して前縁部21側に位置し、内周側端部W2dは、外周側端部W2eに対して後縁部22側に位置している。すなわち、内周側流動制御部40Iは、内周側端部W2dよりも外周側端部W2eが軸流ファン100Iの回転方向DRの前進側に位置するように形成されている。
次に、回転軸RAと内周側端部W2dとを通る直線を直線M2dと定義し、回転軸RAと外周側端部W2eとを通る直線を直線M2eと定義する。そして、周方向において、直線M2dと直線M2eとの間の角度を角度Φ2と定義する。角度Φ2は、軸流ファン100Iの中心となる回転軸RAから、内周側流動制御部40Iの内周側断面部SI2における内周側端部W2d及び外周側端部W2eをそれぞれ結んだ直線M2d及び直線M2eの2直線の間に定義される角度である。
同様に内周側直線WI3は、図11の位置Q3における内周側流動制御部40Iの内周側断面部SI3において、内周側領域内縁部41と内周側領域外縁部42とを結んだ内周側直線WIである。ここで、内周側直線WI3と内周側領域内縁部41との交点を内周側端部W3dと定義し、内周側直線WI3と内周側領域外縁部42との交点を外周側端部W3eと定義する。内周側端部W3dは、径方向において内周側直線WI3の内周側の端部であり、外周側端部W3eは、径方向において内周側直線WI3の外周側の端部である。周方向において、外周側端部W3eは、内周側端部W3dに対して前縁部21側に位置し、内周側端部W3dは、外周側端部W3eに対して後縁部22側に位置している。すなわち、内周側流動制御部40Iは、内周側端部W3dよりも外周側端部W3eが軸流ファン100Iの回転方向DRの前進側に位置するように形成されている。
次に、回転軸RAと内周側端部W3dとを通る直線を直線M3dと定義し、回転軸RAと外周側端部W3eとを通る直線を直線M3eと定義する。そして、周方向において、直線M3dと直線M3eとの間の角度を角度Φ3と定義する。角度Φ3は、軸流ファン100Iの中心となる回転軸RAから、内周側流動制御部40Iの内周側断面部SI3における内周側端部W3d及び外周側端部W3eをそれぞれ結んだ直線M3d及び直線M3eの2直線の間に定義される角度である。
内周側端部W1d、内周側端部W2d及び内周側端部W3dは、第2内周側端部であり、外周側端部W1e、外周側端部W2e及び外周側端部W3eは、第2外周側端部である。また、直線M1d、直線M2d及び直線M3dは、内周側第1直線であり、直線M1e、直線M2e及び直線M3eは、内周側第2直線である。この内周側第1直線と内周側第2直線との間の角度が角度Φである。
翼20Iの内周側流動制御部40Iは、角度Φ1よりも角度Φ2が大きくなるように形成され、角度Φ2よりも角度Φ3が大きくなるように形成されている。翼20Iの内周側流動制御部40Iは、前縁部21と後縁部22との間において、角度Φ1<角度Φ2<角度Φ3の関係を満たすように形成されている。周方向CDにおいて、回転軸RAから内周側流動制御部40Iの内周側端部及び外周側端部をそれぞれ結んだ内周側第1直線と内周側第2直線との間に定義される角度Φは、前縁部21側よりも後縁部22側の方が大きくなるように形成されている。なお、内周側流動制御部40Iは、内周側断面部SIを4箇所以上とした場合でも周方向における角度Φの関係は同じである。すなわち、回転軸RAから内周側流動制御部40Iの内周側端部及び外周側端部をそれぞれ結んだ内周側第1直線と内周側第2直線との間に定義される角度Φは、前縁部21側よりも後縁部22側の方が大きくなるように形成されている。
[軸流ファン100Iの効果]
内周側流動制御部40Iは、回転軸RAから内周側流動制御部40Iの内周側端部及び外周側端部をそれぞれ結んだ内周側第1直線と内周側第2直線とのの間に定義される角度Φは、前縁部21側よりも後縁部22側の方が大きくなるように形成されている。軸流ファン100Iは、当該構成によって、前縁部21から後縁部22に向かうにつれて、内周側断面部SIと内周側直線WIとにより囲まれる面が内周側を向くように形成されている。そのため、軸流ファン100Iは、内周側に流体の流れを誘引できるため、内周側への流体の流入増大により高効率化し、必要な消費電力を低減することができる。また、軸流ファン100Iは、吹き出される流体の風速の分布を径方向においてより均一化でき、発生する騒音を低減させることができる。
実施の形態10.
[軸流ファン100J]
図18は、実施の形態10に係る軸流ファン100Jを備えた室外機50を上面側から見た概念図である。図18を用いて軸流ファン100Jの翼20Jの詳細な構成について説明する。なお、図1~図17の軸流ファン100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態10に係る軸流ファン100Jは、後縁部22の構成を更に特定するものである。図18に示すように、軸流ファン100Jが作動すると、流体Fは、送風室56内において軸流ファン100Jの上流側UAから下流側DAに向かって流れている。
軸流ファン100Jは、流動制御部30を有している。なお、流動制御部30Dは、上述した流動制御部30、流動制御部30A、流動制御部30B又は流動制御部30Cのいずれか1つによって構成される。
翼20Jの後縁部22は、回転軸RAの軸方向において、径方向の内周側よりも径方向の外周側が、翼20Jの回転によって流れる流体の方向に対して下流側に位置するように形成されている。より詳細には、後縁部22の外周側端部22gは、後縁部22の内周側端部22fよりも、翼20Jの回転によって流れる流体の方向において下流側に位置している。なお、外周側端部22gとは、後縁部22において径方向の外周側の端部であり、外周縁部23における後縁部22である。また、内周側端部22fとは、後縁部22において径方向の内周側の端部であり、内周縁部24における後縁部22である。
[軸流ファン100Jの作用効果]
軸流ファン100Jは、径方向の内周側よりも径方向の外周側が、翼20Jの回転によって流れる流体の方向に対して下流側に位置するように形成されている。そのため、軸流ファン100Jは、翼20Jの内周側から高効率に仕事をする外周側に位置する流動制御部30に流体の流れFL4を誘引できる。そのため、軸流ファン100Jは、必要な消費電力を低減することができる。また、軸流ファン100Jは、吹き出される流体の風速の分布を径方向においてより均一化でき、発生する騒音を低減させることができる。
実施の形態11.
[軸流ファン100K]
図19は、実施の形態11に係る軸流ファン100Kを備えた室外機50を上面側から見た概念図である。図19を用いて軸流ファン100Kの翼20Kの詳細な構成について説明する。なお、図1~図18の軸流ファン100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態11に係る軸流ファン100Kは、流動制御部30における形成位置を更に特定するものである。図19に示すように、軸流ファン100Kが作動すると、流体Fは、送風室56内において軸流ファン100Jの上流側UAから下流側DAに向かって流れている。
軸流ファン100Kは、流動制御部30を有している。なお、流動制御部30Dは、上述した流動制御部30、流動制御部30A、流動制御部30B又は流動制御部30Cのいずれか1つによって構成される。
翼20Kの流動制御部30は、中腹部29と後縁部22との間に形成されている。より詳細には、回転軸RAに対して垂直な断面において、正圧面25側が凹み、負圧面26側が凸となるように湾曲した断面部Sが、中腹部29と後縁部22との間に形成されている。なお、中腹部29は、上述したように回転軸RAの軸方向において前縁部21と後縁部22との間の中間位置である。
翼20Kの流動制御部30は、中腹部29と後縁部22との間において、中腹部29から後縁部22に向かうにつれて図3に示す突出量Lが大きくなるように形成されている。すなわち、翼20Kの流動制御部30は、中腹部29と後縁部22との間において、中腹部29から後縁部22に向かうにつれて上流側に向かう翼20の湾曲が大きくなるように形成されている。換言すれば、翼20Kの流動制御部30は、中腹部29と後縁部22との間において、中腹部29から後縁部22に向かうにつれて、正圧面25側の凹みの深さが大きくなるように形成されている。したがって、翼20Kの流動制御部30は、突出量L1よりも突出量L2が大きくなるように形成され、突出量L2よりも突出量L3が大きくなるように形成されている。翼20Kの流動制御部30は、中腹部29と後縁部22との間において、突出量L1<突出量L2<突出量L3の関係を満たすように形成されている。
[軸流ファン100Kの作用効果]
室外機50では、軸流ファン100Kの上流側は径方向において開放され、軸流ファン100Kの下流側は径方向においてベルマウス63に囲まれた半開放形となるように軸流ファン100Kは配置されている。軸流ファン100Kの下流側は、ベルマウス63に囲まれているため翼20の外周縁部23において流体の漏れる流れが少ない。軸流ファン100Kは、流動制御部30を流体の流れる方向の下流側に設けることによって、流動制御部30による流体の漏れる流れの抑制効果を更に発揮させることができ、軸流ファン100Jの必要な消費電力を更に低減することができる。
実施の形態12.
[冷凍サイクル装置70]
本実施の形態12は、上記実施の形態1~11の軸流ファン100等を、送風装置としての冷凍サイクル装置70の室外機50に適用した場合について説明する。
図20は、実施の形態12に係る冷凍サイクル装置70の概要図である。以下の説明では、冷凍サイクル装置70について、空調用途に使用される場合について説明するが、冷凍サイクル装置70は、空調用途に使用されるものに限定されるものではない。冷凍サイクル装置70は、例えば、冷蔵庫あるいは冷凍庫、自動販売機、空気調和装置、冷凍装置、給湯器等の、冷凍用途又は空調用途に使用される。
図20に示すように、冷凍サイクル装置70は、圧縮機64と凝縮器72と膨張弁74と蒸発器73とを順番に冷媒配管で接続した冷媒回路71を備えている。凝縮器72には、熱交換用の空気を凝縮器72に送風する凝縮器用ファン72aが配置されている。また、蒸発器73には、熱交換用の空気を蒸発器73に送風する蒸発器用ファン73aが配置されている。凝縮器用ファン72a及び蒸発器用ファン73aの少なくとも一方は、上記実施の形態1~10の何れかの軸流ファン100等によって構成される。なお、冷凍サイクル装置70は、冷媒回路71に冷媒の流れを切り替える四方弁等の流路切替装置を設け、暖房運転と冷房運転とを切り替える構成としてもよい。
図21は、送風装置である室外機50を、吹出口側から見たときの斜視図である。図22は、上面側から室外機50の構成を説明するための図である。図23は、室外機50からファングリルを外した状態を示す図である。図24は、室外機50からファングリル及び前面パネル等を除去して、内部構成を示す図である。
図21~図24に示すように、ケーシングである室外機本体51は、左右一対の側面51a及び側面51c、前面51b、背面51d、上面51e並びに底面51fを有する筐体として構成されている。側面51a及び背面51dには、外部から空気を吸込むための開口部が形成されている。また、前面51bにおいては、前面パネル52に、外部に空気を吹出すための開口部としての吹出口53が形成されている。さらに、吹出口53は、ファングリル54で覆われており、それにより、室外機本体51の外部の物体等と軸流ファン100との接触を防止し、安全が図られている。なお、図22の矢印ARは、空気の流れを示している。
室外機本体51内には、軸流ファン100と、ファンモータ61とが収容されている。軸流ファン100は、背面51d側にある駆動源であるファンモータ61と、回転軸62を介して接続されており、このファンモータ61によって回転駆動される。ファンモータ61は、軸流ファン100に駆動力を付与する。ファンモータ61は、モータ支持部69に取り付けられている。モータ支持部69は、ファンモータ61と熱交換器68との間に配置されている。
室外機本体51の内部は、壁体である仕切板51gによって、軸流ファン100が設置されている送風室56と、圧縮機64等が設置されている機械室57とに分けられている。送風室56内における側面51a側と背面51d側とには、平面視において、略L字状に延びるような熱交換器68が設けられている。なお、熱交換器68は、暖房運転時において蒸発器73として機能し、冷房運転時において凝縮器72として機能する。
送風室56に配置された軸流ファン100の径方向外側には、ベルマウス63が配置されている。ベルマウス63は、軸流ファン100の外周側を囲い、軸流ファン100等により形成される気体の流れを整える。ベルマウス63は、翼20の外周端よりも外側に位置し、軸流ファン100の回転方向に沿って環状をなしている。また、ベルマウス63の一方側の側方には、仕切板51gが位置し、他方側の側方には、熱交換器68の一部が位置することとなる。
ベルマウス63の前端は、吹出口53の外周を囲むように室外機50の前面パネル52と接続されている。なお、ベルマウス63は、前面パネル52と一体的に構成されていてもよく、あるいは、別体として、前面パネル52につなげられる構成として用意されてもよい。このベルマウス63によって、ベルマウス63の吸込側と吹出側との間の流路が、吹出口53近傍の風路として構成される。すなわち、吹出口53近傍の風路は、ベルマウス63によって、送風室56内の他の空間と区切られる。
軸流ファン100の吸込側に設けられている熱交換器68は、板状の面が平行になるように並設された複数のフィンと、その並設方向に各フィンを貫通する伝熱管とを備えている。伝熱管内には、冷媒回路を循環する冷媒が流通する。本実施の形態の熱交換器68は、伝熱管が室外機本体51の側面51aと背面51dとにかけてL字状に延び、複数段の伝熱管がフィンを貫通しながら蛇行するように構成される。また、熱交換器68は、配管65等を介して圧縮機64と接続し、さらに、図示を省略する室内側熱交換器及び膨張弁等と接続されて、空気調和装置の冷媒回路71を構成する。また、機械室57には、基板箱66が配置されており、この基板箱66に設けられた制御基板67によって室外機内に搭載された機器が制御されている。
[冷凍サイクル装置70及び送風装置の作用効果]
実施の形態10においても、対応する上記実施の形態1~9と同様の利点が得られる。例えば、軸流ファン100は、翼20の外周端において流体が正圧面25側の翼面から漏れることが抑制され、翼端渦の成長を抑制することができる。また、軸流ファン100は、必要な消費電力を低減することができる。そのため、冷凍サイクル装置70及び送風装置である室外機50は必要な消費電力を低減することができる。また、軸流ファン100は、吹き出される流体の風速の分布を径方向においてより均一化でき、発生する騒音を低減させることができる。そのため、冷凍サイクル装置70及び送風装置である室外機50は、発生する騒音を低減させることができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。