以下、実施の形態に係る軸流ファン、送風装置、及び、冷凍サイクル装置について図面を参照しながら説明する。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」及び「後」等)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上、そのように記載しているだけであって、装置あるいは部品の配置及び向きを限定するものではない。
実施の形態1.
[軸流ファン100]
図1は、実施の形態1に係る軸流ファン100の概略構成を示す斜視図である。なお、図中の矢印で示す回転方向DRは、軸流ファン100の回転方向DRを示す。また、周方向CDは、軸流ファン100の周方向を示している。また、図中の白抜き矢印で示す方向Fは、気流の流れる方向Fを示している。気流の流れる方向Fにおいて、軸流ファン100に対してZ1側は、軸流ファン100に対して気流の上流側となり、軸流ファン100に対してZ2側は、軸流ファン100に対して気流の下流側となる。すなわち、Z1側は、軸流ファン100に対して空気の吸込側であり、Z2側は、軸流ファン100に対して空気の吹出側である。また、Y軸は、軸流ファン100の回転軸RAに対する径方向を表している。Y1はY2に対して外周側に位置しており、Y2はY1に対して内周側に位置している。すなわち、軸流ファン100のY2側は、軸流ファン100の内周側であり、軸流ファン100のY1側は、軸流ファン100の外周側である。
図1を用いて実施の形態1に係る軸流ファン100について説明する。軸流ファン100は、例えば、空気調和装置又は換気装置等に用いられるものである。図1に示すように、軸流ファン100は、モータ(図示は省略)等の駆動源の回転軸と接続されるハブ10と、ハブ10の周囲に形成された複数枚の翼20と、を備える。軸流ファン100は、複数枚の翼20のうち隣り合う翼20の前縁側と後縁側とがボスを介さず連続面となるように接続されたいわゆるボスレス型のファンを含むものである。
(ハブ10)
ハブ10は、接続されたモータ(図示は省略)等の駆動源によって回転駆動され回転軸RAを形成する。ハブ10は、回転軸RAを中心に回転する。軸流ファン100の回転方向DRは、図1中の矢印で示す時計回りの方向である。ただし、軸流ファン100の回転方向DRは、時計回りに限定されるものではなく、翼20の取り付け角度、あるいは、翼20の向き等を変更した構成にすることによって、反時計回りとしてもよい。ハブ10は、上述したように駆動源の回転軸と接続されるものであればよく、その形状は限定されるものではない。例えば、ハブ10は、円筒状に形成されてもよく、あるいは、板状に形成されてもよい。
(翼20)
複数の翼20は、ハブ10から径方向外側に放射状に延びて構成されている。複数の翼20は、相互に周方向CDに離隔して設けられている。実施の形態1においては、翼20が3枚である態様を例示しているが、翼20の枚数はこれに限定されない。
翼20は、前縁部21と、後縁部22と、外周縁部23と、内周縁部24とを有している。前縁部21は、発生させる気流の上流側(Z1側)に位置し、翼20において回転方向DRの前進側に形成されている。すなわち、前縁部21は、回転方向DRにおいて後縁部22に対して前方に位置している。後縁部22は、発生させる気流の下流側(Z2側)に位置し、翼20において回転方向DRの後進側に形成されている。すなわち、後縁部22は、回転方向DRにおいて前縁部21に対して後方に位置している。軸流ファン100は、軸流ファン100の回転方向DRを向く翼端部として前縁部21を有し、回転方向DRにおいて前縁部21に対して反対側の翼端部として後縁部22を有している。
外周縁部23は、前縁部21の最外周部と後縁部22の最外周部とを接続するように前後に、且つ弧状に延びる部分である。外周縁部23は、軸流ファン100において、径方向(Y軸方向)の端部に位置しており、翼20の外周縁を形成する。内周縁部24は、前縁部21の最内周部と後縁部22の最内周部との間で前後に、且つ弧状に延びる部分である。内周縁部24は、翼20の付け根となる。翼20は、内周縁部24がハブ10の外周に接続されている。
翼20は、圧力面25が回転方向DRを向き、負圧面26が回転方向DRとは反対方向を向くように、回転軸RAに対して所定の角度傾いて形成されている。翼20は、軸流ファン100の回転に伴って翼20の間に存在している気体を翼面で押して流体を搬送する。この際、翼面のうち気体を押して圧力が上昇する面を圧力面25とし、圧力面25の裏面で圧力が下降する面を負圧面26とする。翼20において、気流の流れる方向Fに対し、翼20の上流側(Z1側)の面が負圧面26となり、下流側(Z2側)の面が圧力面25となる。
図2は、実施の形態1に係る軸流ファン100を回転軸RAと平行に見た上面図である。図3は、図2に示す周方向CDの位置Aにおける、軸流ファン100の軸方向かつ半径方向の断面図である。図4は、図2に示す周方向CDの位置AOにおける、軸流ファン100の軸方向かつ半径方向の断面図である。なお、図2では、翼20の形状を説明するため、1つの翼20のみを記載し、他の翼20の図示を省略する。また、図3以降の軸流ファン100の断面図は、翼20の湾曲形状を概念的に示すものである。そのため、図3以降の軸流ファン100の断面図では、圧力面25と負圧面26との間の翼厚を特定せずに簡易化して表記し、翼20の断面を線状に示している。軸流ファン100は、翼20の厚さを限定するものではない。
(縁反り部30)
図3及び図4に示すように、翼20は、回転軸RAの軸方向かつ径方向に沿った垂直断面において、翼20の外周側の端部に縁反り部30を有している。縁反り部30は、軸流ファン100の形成する気流の流れる方向Fにおいて、外周縁部23が軸流ファン100の上流側に反り返るように形成されている。縁反り部30は、翼20の圧力面25が回転軸RAから離れる方向に向くように形成されている。すなわち、縁反り部30は、翼20の圧力面25の法線方向HNが径方向外向きになる領域である。
縁反り部30は、周方向CDにおいて、少なくとも前縁部21と中央部27との間の領域において形成されている。中央部27は、周方向CDにおいて前縁部21と後縁部22との間の中間位置となる。縁反り部30は、周方向CDにおいて、前縁部21と中央部27との間の全ての領域において形成されている。なお、縁反り部30は、周方向CDにおいて、前縁部21と中央部27との間の全ての領域において形成されている構成に限定されるものではない。縁反り部30は、周方向CDにおいて、前縁部21と中央部27との間の一部の領域において形成されてもよい。縁反り部30は、前縁部21に形成されていることが望ましいが、前縁部21と中央部27との間の領域において形成されていれば、前縁部21に形成される構成に限定されるものではない。縁反り部30は、周方向CDにおいて、少なくとも前縁部21と中央部27との間の領域において形成されていればよく、更に連続して中央部27と後縁部22との間の領域に形成されていてもよい。
縁反り部30は、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、曲線状に形成されている。すなわち、縁反り部30は、翼20の圧力面25が曲面状に形成されている。ただし、縁反り部30は、翼20の圧力面25の法線方向HNが径方向外向きになるように形成されていればよく、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、曲線状に形成されている構成に限定されるものではない。例えば、縁反り部30は、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、直線状に形成されていてもよい。
縁反り部30は、外周縁部23と、外周縁部23よりも内周側に位置している頂点部35との間に形成されている。すなわち、縁反り部30は、径方向において一方の端部に外周縁部23を有し、他方の端部において頂点部35を有する。翼20の同一断面上における頂点部35と外周縁部23との関係は、軸流ファン100が形成する気流の流れる方向Fにおいて、頂点部35が外周縁部23よりも下流側に位置するように形成されている。すなわち、翼20の同一断面上における頂点部35と外周縁部23との関係は、軸流ファン100が形成する気流の流れる方向Fにおいて、外周縁部23が頂点部35よりも上流側に位置するように形成されている。なお、「内周縁部24から頂点部35の領域」対「頂点部35から外周縁部23の領域」の比率は、例えば「8:2」~「9.5:0.5」である。当該比率は一例であり、「内周縁部24から頂点部35の領域」対「頂点部35から外周縁部23の領域」の比率は、「8:2」~「9.5:0.5」に限定されるものではない。
頂点部35は、外周縁部23から内周側に向う方向において、最初に現れる頂を形成する部分である。頂点部35は、軸流ファン100が形成する気流の流れる方向Fにおいて、下流側に凸となる頂を形成する。すなわち、頂点部35は、圧力面25側に凸となる翼20の頂を形成する。縁反り部30は、頂点部35を境に圧力面25側から負圧面26側に反るように形成されている部分である。翼20は、図1及び図2に示すように、圧力面25において頂点部35の連なりとなる稜線部36を形成する。稜線部36は、前縁部21から後縁部22側かつ外周縁部23側に向かって形成されている。
翼20は、図3及び図4に示すように、回転軸RAの軸方向かつ径方向に沿った垂直断面において、翼20の外周側の端部に凸部33を有してもよい。凸部33は、軸流ファン100が形成する気流の流れる方向Fにおいて、気流の下流側に凸となるように湾曲している。この場合、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、凸部33の頂点が頂点部35となる。より詳細には、凸部33を有する場合、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、凸部33の圧力面25と、回転軸RAに直交する平面HLとの接する点が頂点部35となる。そして、翼20は、凸部33の頂点部35と外周縁部23との間に縁反り部30を有している。
翼20は、翼20の径方向における垂直断面において、回転軸RAとは反対側の端部に縁反り部30を有していればよく、頂点部35と内周縁部24との間の形状が限定されるものではない。例えば、翼20は、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、図3に示すように内周縁部24から頂点部35にかけて略S字形用に形成されてもよく、あるいは、内周縁部24から頂点部35にかけて直線状に形成されてもよい。また、翼20は、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、内周縁部24から頂点部35にかけて1又は複数の曲線状の部分を有していてもよく、内周縁部24から頂点部35にかけて1又は複数の直線状の部分を有していてもよい。
図5は、図2に示す軸流ファン100の軸方向かつ半径方向の断面図である。図5に示す、位置A、位置B及び位置Cの各断面図は、図2に示す、周方向CDにおける翼20の前縁部21と後縁部22との間の位置A、位置B及び位置Cの3箇所での軸流ファン100の半径方向の断面形状を示したものである。位置A、位置B及び位置Cは、前縁部21から後縁部22に向かって、位置A、位置B、位置Cの順に位置しているものとする。すなわち、位置Bは位置Aよりも後縁部22側に位置し、位置Cは位置Bよりも後縁部22側に位置している。また、位置Bは位置Cよりも前縁部21側に位置し、位置Aは位置Bよりも前縁部21側に位置している。図2及び図5を用いて実施の形態1に係る軸流ファン100の翼20に設けられた縁反り部30について説明する。
(縁反り部30の圧力面25に沿った長さ)
図3及び図4に示すように、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30の圧力面25に沿った長さを距離Lとする。すなわち、距離Lは、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35までの圧力面25に沿った距離である。距離Lは、後述する周方向CDの各位置における距離LA、距離LB及び距離LC等の総称である。
図5に示すように、位置Aにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Aの圧力面25に沿った長さを距離LAとする。すなわち、距離LAは、位置Aにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35Aまでの圧力面25に沿った距離である。
同様に、位置Bにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Bの圧力面25に沿った長さを距離LBとする。すなわち、距離LBは、位置Bにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35Bまでの圧力面25に沿った距離である。
同様に、位置Cにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Cの圧力面25に沿った長さを距離LCとする。すなわち、距離LCは、位置Cにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35Cまでの圧力面25に沿った距離である。なお、縁反り部30A、縁反り部30B及び縁反り部30Cの総称が前述した縁反り部30であり、頂点部35A、頂点部35B及び頂点部35Cの総称が前述した頂点部35である。
軸流ファン100の翼20は、距離LAが距離LBよりも大きく形成されており、距離LBが距離LCよりも大きく形成されている(距離LA>距離LB>距離LC)。距離LA>距離LB、距離LB>距離LC、及び、距離LA>距離LCとなるように、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における圧力面25に沿った長さが、後縁部22側の垂直断面における圧力面25に沿った長さよりも大きくなるように形成されている。また、縁反り部30は、距離LA>距離LB>距離LCとなるように、圧力面25に沿った長さが、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。
(縁反り部30の径方向長さ)
図3及び図4に示すように、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Aの、回転軸RAに垂直な径方向の長さを距離Dとする。距離Dは、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35までの回転軸RAに垂直な径方向の距離であり、平面視における外周縁部23から頂点部35までの径方向の距離である。距離Dは、後述する周方向CDの各位置における距離DA、距離DB及び距離DC等の総称である。
図5に示すように、位置Aにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Aの、回転軸RAに垂直な径方向の長さを距離DAとする。すなわち、距離DAは、位置Aにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35Aまでの回転軸RAに垂直な径方向の距離であり、平面視における外周縁部23から頂点部35Aまでの径方向の距離である。
同様に、位置Bにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Bの、回転軸RAに垂直な径方向の長さを距離DBとする。すなわち、距離DBは、位置Bにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35Bまでの、回転軸RAに垂直な径方向の距離であり、平面視における外周縁部23から頂点部35Bまでの径方向の距離である。
同様に、位置Cにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Cの、回転軸RAに垂直な径方向の長さを距離DCとする。すなわち、距離DCは、位置Cにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35Cまでの、回転軸RAに垂直な径方向の距離であり、平面視における外周縁部23から頂点部35Cまでの径方向の距離である。
軸流ファン100の翼20は、距離DAが距離DBよりも大きく形成されており、距離DBが距離DCよりも大きく形成されている(距離DA>距離DB>距離DC)。縁反り部30は、距離DA>距離DB、距離DB>距離DC、及び、距離DA>距離DCとなるように形成されている。したがって、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における回転軸RAに垂直な径方向の長さが、後縁部22側の垂直断面における回転軸RAに垂直な径方向の長さよりも大きくなるように形成されている。すなわち、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における外周縁部23と頂点部35との間の径方向の距離Dが、後縁部22側の垂直断面における外周縁部23と頂点部35との間の径方向の距離Dよりも大きくなるように形成されている。
また、縁反り部30は、距離DA>距離DB>距離DCとなるように、回転軸RAに垂直な径方向の長さが、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。すなわち、縁反り部30は、外周縁部23と頂点部35との間の径方向の距離Dが、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。
(頂点部35の位置)
図6は、図5に示す軸流ファン100の軸方向かつ半径方向の断面図である。図6に示す点線VAは、頂点部35Aを通る回転軸RAと平行な線である。図6において、破線で示す距離WAは、点線VAと回転軸RAとの間の距離である。同様に、点線VBは、頂点部35Bを通る回転軸RAと平行な線である。破線で示す距離WBは、点線VBと回転軸RAとの間の距離である。同様に、点線VCは、頂点部35Cを通る回転軸RAと平行な線である。破線で示す距離WCは、点線VCと回転軸RAとの間の距離である。
軸流ファン100の翼20は、距離WAが距離WBよりも小さく形成されており、距離WBが距離WCよりも小さく形成されている(距離WA<距離WB<距離WC)。したがって、頂点部35は、後縁部22側よりも前縁部21側の方が径方向の内周側に位置するように形成されている。この場合、翼20は、周方向CDのいずれの位置においても、回転軸RAと外周縁部23との間の距離が等しくなり、軸流ファン100の翼外径が一定となっている。なお、頂点部35は、後縁部22側よりも前縁部21側の方が径方向の内周側に位置するように形成されているものに限定されるものではない。
図6において、縁反り部30Aの圧力面25の法線方向HAを白抜き矢印で示している。同様に、縁反り部30Bの圧力面25の法線方向HBを白抜き矢印で示している。同様に、縁反り部30Cの圧力面25の法線方向HCを白抜き矢印で示している。縁反り部30の圧力面25の法線方向は、法線方向HA、法線方向HB及び法線方向HCに示すように、径方向において外向きになっている。なお、上述した法線方向HNは、法線方向HA、法線方向HB及び法線方向HCの総称であり、圧力面25の法線方向を表している。
軸流ファン100の翼外径が一定の場合に、後縁部22側よりも前縁部21側の方が径方向の内周側に位置するように頂点部35を配置したことで、翼20は、圧力面25の法線方向が径方向で外向きになる領域を、後縁部22側よりも前縁部21側で広くできる。すなわち、軸流ファン100の翼外径が一定の場合に、後縁部22側よりも前縁部21側の方が径方向の内周側に位置するように頂点部35を配置したことで、翼20は、縁反り部30を、後縁部22側よりも前縁部21側で広くとることができる。
[軸流ファン100の動作]
図1に示す回転方向DRに軸流ファン100が回転すると、各翼20は、圧力面25によって周囲の空気を押し出し、図1に示す方向Fに、気流が生じる。また、軸流ファン100が回転すると、各翼20の周囲では、圧力面25側と負圧面26側とで圧力差が生じ、圧力面25側の圧力が負圧面26側の圧力よりも大きく、負圧面26側の圧力が圧力面25側の圧力よりも小さくなる。
[軸流ファン100の効果]
図7は、図2に示す軸流ファン100の斜視図である。図8は、図7の視点VPから見た軸流ファン100の回転投影図である。図8は、実施の形態1に係る軸流ファン100を子午面に回転投影した場合の軸流ファン100の一例を示している。図8において、軸流ファン100は、子午面に回転投影した場合の翼20が翼投影部20tで示され、子午面に回転投影した場合のハブ10が、ハブ投影部10tで示される。同様に、図8において、前縁部21は前縁投影部21t、後縁部22は後縁投影部22t、外周縁部23は外周縁投影部23t、縁反り部30は縁反り投影部30t、稜線部36は稜線投影部36tとして示されている。また、図8では、軸流ファン100は、ベルマウス63と共に使用されている場合が示されている。図8に示す気流SFは、回転軸RAの軸方向から軸流ファン100に流れ込む気流であり、気流OFは、径方向から軸流ファン100に流れ込む気流である。図7及び図8を用いて、軸流ファン100の効果について説明する。
軸流ファン100は、回転軸RAの軸方向かつ径方向に沿った垂直断面において、翼20の外周側の端部に縁反り部30を有する。この縁反り部30は、圧力面25の法線方向HNが径方向において外向きになるように形成されており、周方向CDにおいて、少なくとも、前縁部21と、前縁部21と後縁部22との間の中間位置となる中央部27との間の領域において形成されている。また、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における圧力面25に沿った長さが、後縁部22側の垂直断面における圧力面25に沿った長さよりも大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで外周側から径方向内向きに流入する気流OFに対し、圧力面25から径方向外向きに押し出す力EFを加えることができ、径方向内向きから軸方向へと気流OFの向きを変えることができる。そのため、外周側から流入する気流OFによって内周側で流入する気流SFが更に内周側に追いやられるという状態の発生が、軸流ファン100では抑制される。その結果、軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側で、送風する気流が多くなり、送風時の翼20の効率が向上する。また、軸流ファン100は、翼20の外周端付近に発生する渦がなくなり、エネルギー損失が低減する。そのため、軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側の気流の利用による送風時の翼20の効率の向上と、渦の発生の抑制によるエネルギー損失の低減とによって、ファンの効率を向上させることができる。
図9は、比較例に係る軸流ファン100Lの斜視図である。図10は、図9の視点VPから見た軸流ファン100Lの回転投影図である。図10は、比較例に係る軸流ファン100Lを子午面に回転投影した場合の軸流ファン100Lの一例を示している。
実施の形態1に係る軸流ファン100では、縁反り部30は、周方向CDにおいて、少なくとも、前縁部21と、前縁部21と後縁部22との間の中間位置となる中央部27との間の領域において形成されている。これに対し、比較例に係る軸流ファン100Lでは、圧力面25側から負圧面26側に反る反り部30Lは、周方向CDにおいて、前縁部21と、後縁部22との間の領域において形成されている。すなわち、実施の形態1に係る軸流ファン100と、比較例に係る軸流ファン100Lとは、周方向CDにおける縁反り部30及び反り部30Lの形成範囲が異なる。
また、実施の形態1に係る軸流ファン100では、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における圧力面25に沿った長さが、後縁部22側の垂直断面における圧力面25に沿った長さよりも大きくなるように形成されている。これに対し、比較例に係る軸流ファン100Lでは、反り部30Lは、後縁部22側の垂直断面における圧力面25に沿った長さが、前縁部21側の垂直断面における圧力面25に沿った長さよりも大きくなるように形成されている。すなわち、実施の形態1に係る軸流ファン100は、後縁部22側に対し前縁部21側の縁反り部30の範囲が広いのに対し、比較例に係る軸流ファン100Lは、前縁部21側に対し後縁部22側の反り部30Lの範囲が広い。
比較例に係る軸流ファン100Lは、図10に示すように、前縁部21側の反り部30Lの大きさが後縁部22側の反り部30Lの大きさよりも小さい。そのため、比較例に係る軸流ファン100Lは、径方向内向きに流入する気流OFが前縁部21に流入することによって、軸方向に流入する気流SFが内周側に追いやられる。その結果、比較例に係る軸流ファン100Lは、気流を押し出すトルクが高い外周側において送風する気流が少なくなり、送風時の羽根の効率が低下する恐れがある。また、比較例に係る軸流ファン100Lでは、翼20の外周端付近の気流は低速になり、翼20の外周端付近の気流と翼20の内周側の気流との速度差により乱れVTが発生し、エネルギー損失を招く恐れがある。
これに対し、実施の形態1に係る軸流ファン100は、上記構成を有することで外周側から径方向内向きに流入する気流OFに対し、圧力面25から径方向外向きに押し出す力EFが加わり、気流OFは、径方向内向きから軸方向へと向きを変える。そのため、外周側から流入する気流OFによって内周側で流入する気流SFが更に内周側に追いやられるという状態の発生が、軸流ファン100では抑制される。その結果、上述したように、軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側の気流の利用による送風時の翼20の効率の向上と、渦の発生の抑制によるエネルギー損失の低減とによって、ファンの効率を向上させることができる。
軸流ファン100は、後縁部22側に対して前縁部21側に広い面積を有する縁反り部30を有している。そのため、軸流ファン100は、径方向の気流が流れ込みやすい前縁部21側において空気を径方向外側に押し出す面を多く有している。軸流ファン100は、前縁部21側の縁反り部30によって、前縁部21側から後縁部22側に行くほど回転軸RAの軸方向に気流の流れが修正されるので、後縁部22側では径方向外側に空気を押し出す面が不要となり、縁反り部30の面積が小さくなる。径方向外側に空気を押し出す面を構成する縁反り部30は、軸流ファン100の形成する気流の流れる方向Fにおいて、上流側から下流側に行くほど小さくなるように形成されている。
また、縁反り部30は、圧力面25に沿った長さが、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで、側面側からの流入する気流OFを徐々に軸方向へ押すように流れを変えるため、乱れVTの原因となる気流の向きの急変が少なくなる。そのため、軸流ファン100は、エネルギー損失を小さくできる。
また、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における径方向の長さが、後縁部22側の垂直断面における径方向の長さよりも大きくなるように形成されている。一般的に軸流ファンは翼の周囲から気流が流入する前縁部側において、径方向から流入する気流が存在する。軸流ファン100は、当該構成を有することで前縁部21側の縁反り部30の面積を後縁部22側の縁反り部30の面積よりも大きく形成できる。そして、軸流ファン100は、前縁部21において、外周側から径方向内向きに流入する気流OFに対し、圧力面25から径方向外向きに押し出す力EFを加えることができ、径方向内向きから軸方向へと気流の向きを変えることができる。そのため、上述したように、軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側の気流の利用による送風時の翼20の効率の向上と、渦の発生の抑制によるエネルギー損失の低減とによって、ファンの効率を向上させることができる。
また、縁反り部30は、径方向の長さが、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで、側面側からの流入する気流OFを徐々に軸方向へ押すように流れを変えるため、乱れVTの原因となる気流の向きの急変が少なくなる。そのため、軸流ファン100は、エネルギー損失を小さくできる。
また、縁反り部30は、垂直断面において、翼20の外周縁を形成する外周縁部23と、外周縁部23から内周側に向う方向において最初に現れる頂を形成する頂点部35との間に形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで、縁反り部30を径方向に対する傾斜面として形成することができる。軸流ファン100は、縁反り部30において、外周側から径方向内向きに流入する気流OFに対し、圧力面25から径方向外向きに押し出す力EFを加えることができ、径方向内向きから軸方向へと気流の向きを変えることができる。そのため、上述したように、軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側の気流の利用による送風時の翼20の効率の向上と、渦の発生の抑制によるエネルギー損失の低減とによって、ファンの効率を向上させることができる。
また、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における外周縁部23と頂点部35との間の径方向の距離Dが、後縁部22側の垂直断面における外周縁部23と頂点部35との間の径方向の距離Dよりも大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで前縁部21側の縁反り部30の面積を後縁部22側の縁反り部30の面積よりも大きく形成できる。そして、軸流ファン100は、前縁部21において、外周側から径方向内向きに流入する気流OFに対し、圧力面25から径方向外向きに押し出す力EFを加えることができ、径方向内向きから軸方向へと気流の向きを変えることができる。そのため、上述したように、軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側の気流の利用による送風時の翼20の効率の向上と、渦の発生の抑制によるエネルギー損失の低減とによって、ファンの効率を向上させることができる。
また、縁反り部30は、外周縁部23と頂点部35との間の径方向の距離Dが、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで、側面側からの流入する気流OFを徐々に軸方向へ押すように流れを変えるため、乱れVTの原因となる気流の向きの急変が少なくなる。そのため、軸流ファン100は、エネルギー損失を小さくできる。
また、頂点部35は、周方向CDのいずれの位置においても回転軸RAと外周縁部23との間の距離が等しい場合、後縁部22側よりも前縁部21側の方が径方向の内周側に位置するように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで前縁部21側の縁反り部30の面積を後縁部22側の縁反り部30の面積よりも大きく形成できる。すなわち、軸流ファン100では、圧力面25の法線方向HNが径方向外向きになる領域は、後縁部22側よりも前縁部21の方が広くなる。そして、軸流ファン100は、前縁部21において、外周側から径方向内向きに流入する気流OFに対し、圧力面25から径方向外向きに押し出す力EFを加えることができ、径方向内向きから軸方向へと気流の向きを変えることができる。そのため、上述したように、軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側の気流の利用による送風時の翼20の効率の向上と、渦の発生の抑制によるエネルギー損失の低減とによって、ファンの効率を向上させることができる。また、軸流ファン100は、翼20の後縁部22側において、内周縁部24と頂点部35との間の距離が前縁部21側よりも広いため、空気を捕まえる面積が広がりファンの効率を向上させることができる。
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る軸流ファン100の図2に示す位置A及び位置Cにおける軸方向かつ半径方向の断面図である。図12は、実施の形態2に係る軸流ファン100の図2に示す位置A、位置B及び位置Cにおける軸方向かつ半径方向の断面図である。図11及び図12を用いて実施の形態2に係る軸流ファン100を説明する。実施の形態2に係る軸流ファン100は、回転軸RAの軸方向における縁反り部30の長さを特定するものである。なお、図1~図10の軸流ファン100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
(縁反り部30の軸方向長さ)
図11に示すように、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30の、回転軸RAの軸方向と平行な方向の長さを距離Tとする。すなわち、距離Tは、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35までの回転軸RAの軸方向と平行な方向の距離であり、径方向外側から見た側面視における外周縁部23から頂点部35までの距離である。距離Tは、後述する周方向CDの各位置における距離TA、距離TB及び距離TC等の総称である。
図12に示すように、位置Aにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Aの、回転軸RAの軸方向と平行な方向の長さを距離TAとする。すなわち、距離TAは、位置Aにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35Aまでの回転軸RAの軸方向と平行な方向の距離であり、径方向外側から見た側面視における外周縁部23から頂点部35Aまでの距離である。
同様に、位置Bにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Bの、回転軸RAの軸方向と平行な方向の長さを距離TBとする。すなわち、距離TBは、位置Bにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35Bまでの回転軸RAの軸方向と平行な方向の距離であり、径方向外側から見た側面視における外周縁部23から頂点部35Bまでの距離である。
同様に、位置Cにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Cの、回転軸RAの軸方向と平行な方向の長さを距離TCとする。すなわち、距離TCは、位置Cにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、外周縁部23から頂点部35Cまでの回転軸RAの軸方向と平行な方向の距離であり、径方向外側から見た側面視における外周縁部23から頂点部35Cまでの距離である。
軸流ファン100の翼20は、距離TAが距離TBよりも大きく形成されており、距離TBが距離TCよりも大きく形成されている(距離TA>距離TB>距離TC)。縁反り部30は、距離TA>距離TB、距離TB>距離TC、及び、距離TA>距離TCとなるように形成されている。したがって、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における回転軸RAの軸方向と平行な方向の長さが、後縁部22側の垂直断面における回転軸RAの軸方向と平行な方向の長さよりも大きくなるように形成されている。すなわち、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における外周縁部23と頂点部35との間の回転軸RAの軸方向に平行な方向の距離Tが、後縁部22側の垂直断面における外周縁部23と頂点部35との間の回転軸RAの軸方向に平行な方向の距離Tよりも大きくなるように形成されている。
また、縁反り部30は、距離TA>距離TB>距離TCとなるように、回転軸RAの軸方向に平行な方向の長さが、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。すなわち、縁反り部30は、外周縁部23と頂点部35との間の回転軸RAの軸方向に平行な方向の距離Tが、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成されている。
図12に示すように、縁反り部30Aの圧力面25の法線方向HAは、縁反り部30Bの圧力面25の法線方向HBよりも径方向に対して平行に近づいている。また、縁反り部30Bの圧力面25の法線方向HBは、縁反り部30Cの圧力面25の法線方向HCよりも径方向に対して平行に近づいている。すなわち、縁反り部30の圧力面25の法線方向は、後縁部22側よりも前縁部21側の方が径方向に対して平行に近づいている。そして、縁反り部30の圧力面25の法線方向は、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて、徐々に径方向に対して平行に近づいている。
縁反り部30Bの圧力面25の法線方向HBは、縁反り部30Aの圧力面25の法線方向HAよりも回転軸RAの軸方向に対して平行に近づいている。また、縁反り部30Cの圧力面25の法線方向HCは、縁反り部30Bの圧力面25の法線方向HBよりも回転軸RAの軸方向に対して平行に近づいている。すなわち、縁反り部30の圧力面25の法線方向は、前縁部21側よりも後縁部22側の方が回転軸RAの軸方向に対して平行に近づいている。そして、縁反り部30の圧力面25の法線方向は、前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて、徐々に回転軸RAの軸方向に対して平行に近づいている。
[軸流ファン100の効果]
縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における回転軸RAの軸方向と平行な方向の長さが、後縁部22側の垂直断面における回転軸RAの軸方向と平行な方向の長さよりも大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで前縁部21側の縁反り部30の面積を後縁部22側の縁反り部30の面積よりも大きく形成できる。すなわち、軸流ファン100では、圧力面25の法線方向HNが径方向外向きになる領域は、後縁部22側よりも前縁部21の方が広くなる。そして、軸流ファン100は、前縁部21において、外周側から径方向内向きに流入する気流OFに対し、圧力面25から径方向外向きに押し出す力EFを加えることができ、径方向内向きから軸方向へと気流の向きを変えることができる。そのため、上述したように、軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側の気流の利用による送風時の翼20の効率の向上と、渦の発生の抑制によるエネルギー損失の低減とによって、ファンの効率を向上させることができる。
また、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における外周縁部23と頂点部35との間の回転軸RAの軸方向に平行な方向の距離Tが、後縁部22側の垂直断面における外周縁部23と頂点部35との間の回転軸RAの軸方向に平行な方向の距離Tよりも大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで前縁部21側の縁反り部30の面積を後縁部22側の縁反り部30の面積よりも大きく形成できる。すなわち、軸流ファン100では、圧力面25の法線方向HNが径方向外向きになる領域は、後縁部22側よりも前縁部21の方が広くなる。そして、軸流ファン100は、前縁部21において、外周側から径方向内向きに流入する気流OFに対し、圧力面25から径方向外向きに押し出す力EFを加えることができ、径方向内向きから軸方向へと気流の向きを変えることができる。そのため、上述したように、軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側の気流の利用による送風時の翼20の効率の向上と、渦の発生の抑制によるエネルギー損失の低減とによって、ファンの効率を向上させることができる。
また、軸流ファン100は、上記構成を有することで、縁反り部30の圧力面25の法線方向HNが、前縁部21側から後縁部22側に向かうにつれて、徐々に回転軸RAの軸方向に対して平行に近づいている。そして、気流の入口である翼20の前縁部21側において、翼20の圧力面25の法線方向HNが最も径方向外側に向いている。そのため、軸流ファン100は、外周側から内周側へ向かって流入する気流を、径方向外向きに押し出す力EFによって更に軸方向に向けやすくなる。
また、縁反り部30は、回転軸RAの軸方向に平行な方向の長さが、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで、側面側からの流入する気流OFを徐々に軸方向へ押すように流れを変えるため、乱れVTの原因となる気流の向きの急変が少なくなる。そのため、軸流ファン100は、エネルギー損失を小さくできる。
また、縁反り部30は、外周縁部23と頂点部35との間の回転軸RAの軸方向に平行な方向の距離Tが、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで、側面側からの流入する気流OFを徐々に軸方向へ押すように流れを変えるため、乱れVTの原因となる気流の向きの急変が少なくなる。そのため、軸流ファン100は、エネルギー損失を小さくできる。
実施の形態3.
図13は、実施の形態3に係る軸流ファン100の図2に示す位置A及び位置Cにおける軸方向かつ半径方向の断面図である。図14は、実施の形態3に係る軸流ファン100の図2に示す位置A、位置B及び位置Cにおける軸方向かつ半径方向の断面図である。図13及び図14を用いて実施の形態3に係る軸流ファン100を説明する。実施の形態3に係る軸流ファン100は、回転軸RAの軸方向における縁反り部30の曲率を特定するものである。なお、図1~図12の軸流ファン100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
(縁反り部30の曲率)
図13に示すように、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30は曲線状に形成されている。例えば、縁反り部30Aは、軸流ファン100が形成する気流の流れる方向Fにおいて、下流側に凸となる円弧状に形成されている。そのため、縁反り部30の圧力面25は、軸流ファン100が形成する気流の流れる方向Fにおいて、下流側に凸となる曲面状に形成されている。
図13に示すように、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30の曲率を曲率Cとする。曲率Cは、後述する周方向CDの各位置における曲率CA、曲率CB及び曲率CC等の総称である。
図14に示すように、位置Aにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Aの曲率を曲率CAとする。同様に、位置Bにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Bの曲率を曲率CBとする。同様に、位置Aにおける回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、縁反り部30Cの曲率を曲率CCとする。
軸流ファン100の翼20は、曲率CAが曲率CBよりも大きく形成されており、曲率CBが曲率CCよりも大きく形成されている(曲率CA>曲率CB>曲率CC)。縁反り部30は、曲率CA>曲率CB、曲率CB>曲率CC、及び、曲率CA>曲率CCとなるように形成されている。したがって、縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における曲率Cが、後縁部22側の垂直断面における曲率Cよりも大きくなるように形成されている。また、縁反り部30は、曲率CA>曲率CB>曲率CCとなるように、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて曲率が徐々に大きくなるように形成されている。
図14に示すように、縁反り部30Aの圧力面25の法線方向HAは、縁反り部30Bの圧力面25の法線方向HBよりも径方向に対して平行に近づいている。また、縁反り部30Bの圧力面25の法線方向HBは、縁反り部30Cの圧力面25の法線方向HCよりも径方向に対して平行に近づいている。すなわち、縁反り部30の圧力面25の法線方向は、後縁部22側よりも前縁部21側の方が径方向に対して平行に近づいている。そして、縁反り部30の圧力面25の法線方向は、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて、徐々に径方向に対して平行に近づいている。
[軸流ファン100の効果]
縁反り部30は、前縁部21側の垂直断面における曲率Cが、後縁部22側の垂直断面における曲率Cよりも大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、頂点部35から外周縁部23にかけて円弧状に形成されており、曲率が大きいほど外周縁部23付近の圧力面25上の法線方向HNが径方向外向きになる。軸流ファン100では、圧力面25の法線方向HNが径方向外向きになる領域は、後縁部22側よりも前縁部21の方が広くなる。そして、軸流ファン100は、前縁部21において、外周側から径方向内向きに流入する気流OFに対し、圧力面25から径方向外向きに押し出す力EFを加えることができ、径方向内向きから軸方向へと気流の向きを変えることができる。そのため、上述したように、軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側の気流の利用による送風時の翼20の効率の向上と、渦の発生の抑制によるエネルギー損失の低減とによって、ファンの効率を向上させることができる。
また、縁反り部30は、後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて曲率が大きくなるように形成されている。軸流ファン100は、当該構成を有することで、側面側からの流入する気流OFを徐々に軸方向へ押すように流れを変えるため、乱れVTの原因となる気流の向きの急変が少なくなる。そのため、軸流ファン100は、エネルギー損失を小さくできる。
実施の形態4.
図15は、実施の形態4に係る軸流ファン100の軸方向かつ半径方向の断面図である。図16は、図15に示す実施の形態4に係る軸流ファン100の軸方向かつ半径方向の断面図である。図15及び図16を用いて実施の形態4に係る軸流ファン100を説明する。実施の形態4に係る軸流ファン100は、翼20の内周縁部24と頂点部35との間の形状を特定するものである。なお、図1~図14の軸流ファン100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
図15に示すように、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、翼20の付け根となる内周縁部24と頂点部35とを結ぶ直線を直線DLとする。直線DLは、軸流ファン100が形成する気流の流れる方向Fにおいて、一方の端部である頂点部35が、他方の端部である内周縁部24よりも下流側に位置するように傾斜する。すなわち、翼20の付け根となる内周縁部24と頂点部35とを結ぶ直線DLは、内周縁部24から頂点部35に向かうにつれて、軸流ファン100が形成する気流の流れる方向Fにおいて下流側に向かうように傾斜している。
翼20は、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、翼20の付け根となる内周縁部24と頂点部35とを結ぶ直線DLの法線HDの方向が径方向の内側を向くように形成されている。法線HDは、圧力面25に向かう方向とは反対側に向いている。すなわち、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、翼20は、圧力面25に向かう方向とは反対側に向いた法線HDの方向が回転軸RAに近づく方向に向くように形成されている。
翼20は、周方向CDの少なくとも1ヶ所で直線DLを形成する回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面を有している。翼20は、当該構成を有することで、頂点部35よりも内周側の領域においては、図16に示すように、圧力面25の法線HIが内周向きになる部分を有している。
[軸流ファン100の効果]
図17は、実施の形態4に係る軸流ファン100の回転投影図である。一般に、翼の内周側に流入する気流は、遠心力で径方向の外周側へ向かう傾向がある。実施の形態4に係る軸流ファン100の翼20は、垂直断面において翼20の付け根となる内周縁部24と頂点部35とを結ぶ直線DLの法線HDであって、圧力面25に向かう方向とは反対側に向いた法線HDの方向が径方向の内側を向くように形成されている。そのため、翼20は、頂点部35よりも内周側の領域において圧力面25の法線HIが内周向きになる部分を有しており、内周側から流入する気流を径方向の外周側へ押し出さずに送風することができる。その結果、軸流ファン100は、外周側から径方向の内周側に流入する気流OFと、内周側から流入する気流IFとが干渉せずに送風されるため、気流の干渉に伴うエネルギーロスを小さくすることができ、ファンの効率を向上させることができる。
図18は、比較例に係る軸流ファン100Rの回転投影図である。比較例に係る軸流ファン100は、実施の形態1~3に係る軸流ファン100である。上述したように、一般に、翼の内周側に流入する気流は、遠心力で径方向の外周側へ向かう傾向がある。また、実施の形態1~3に係る軸流ファン100の縁反り部30によって、径方向の外周側から内周側へ向かう気流を抑制したため、内周側に流入した気流IFが径方向外周側へ移動しやすくなる。その結果、比較例に係る軸流ファン100は、翼20の内周縁部24付近のの気流が少なくなり、気流の乱れの原因となる渦VUが発生する場合がある。
これに対し、実施の形態4に係る軸流ファン100は、翼20は、頂点部35よりも内周側の領域において圧力面25の法線HIが内周向きになる部分を有しており、内周側から流入する気流を径方向の外周側へ押し出さずに送風することができる。そのため、実施の形態4に係る軸流ファン100は、内周側で気流が遅くなり、乱れの原因となる渦VUの発生を抑制することができる。軸流ファン100は、翼20の上記構成と、縁反り部30との相乗効果により、翼20の内周側を流れる気流と、翼20の外周側を流れる気流とをそれぞれ整流することができ、更にファンの効率を向上させることができる。
実施の形態5.
本実施の形態5は、上記実施の形態1~4の軸流ファン100等を、送風装置としての冷凍サイクル装置70の室外機50に適用した場合について説明する。
図19は、実施の形態5に係る冷凍サイクル装置70の概要図である。以下の説明では、冷凍サイクル装置70について、空調用途に使用される場合について説明するが、冷凍サイクル装置70は、空調用途に使用されるものに限定されるものではない。冷凍サイクル装置70は、例えば、冷蔵庫あるいは冷凍庫、自動販売機、空気調和装置、冷凍装置、給湯器等の、冷凍用途又は空調用途に使用される。
図19に示すように、冷凍サイクル装置70は、圧縮機64と凝縮器72と膨張弁74と蒸発器73とを順番に冷媒配管で接続した冷媒回路71を備えている。凝縮器72には、熱交換用の空気を凝縮器72に送風する凝縮器用ファン72aが配置されている。また、蒸発器73には、熱交換用の空気を蒸発器73に送風する蒸発器用ファン73aが配置されている。凝縮器用ファン72a及び蒸発器用ファン73aの少なくとも一方は、上記実施の形態1~4の何れかの軸流ファン100によって構成される。なお、冷凍サイクル装置70は、冷媒回路71に冷媒の流れを切り替える四方弁等の流路切替装置を設け、暖房運転と冷房運転とを切り替える構成としてもよい。
図20は、送風装置である室外機50を、吹出口側から見たときの斜視図である。図21は、上面側から室外機50の構成を説明するための図である。図22は、室外機50からファングリル54を外した状態を示す図である。図23は、室外機50からファングリル54及び前面パネル52等を除去して、内部構成を示す図である。
図20~図23に示すように、ケーシングである室外機本体51は、左右一対の側面51a及び側面51c、前面51b、背面51d、上面51e並びに底面51fを有する筐体として構成されている。側面51a及び背面51dには、外部から空気を吸込むための開口部が形成されている。また、前面51bにおいては、前面パネル52に、外部に空気を吹出すための開口部としての吹出口53が形成されている。さらに、吹出口53は、ファングリル54で覆われており、それにより、室外機本体51の外部の物体等と軸流ファン100との接触を防止し、安全が図られている。なお、図21の矢印ARは、空気の流れを示している。
室外機本体51内には、軸流ファン100と、ファンモータ61とが収容されている。軸流ファン100は、背面51d側にある駆動源であるファンモータ61と、回転軸62を介して接続されており、このファンモータ61によって回転駆動される。ファンモータ61は、軸流ファン100に駆動力を付与する。
室外機本体51の内部は、壁体である仕切板51gによって、軸流ファン100が設置されている送風室56と、圧縮機64等が設置されている機械室57とに分けられている。送風室56内における側面51a側と背面51d側とには、平面視、略L字状に延びるような熱交換器68が設けられている。なお、熱交換器68は、冷房運転時において凝縮器72として機能し、暖房運転時において蒸発器73として機能する。
軸流ファン100の吸込側に設けられている熱交換器68は、板状の面が平行になるように並設された複数のフィンと、その並設方向に各フィンを貫通する伝熱管とを備えている。伝熱管内には、冷媒回路71を循環する冷媒が流通する。本実施の形態の熱交換器68は、伝熱管が室外機本体51の側面51aと背面51dとにかけてL字状に延び、複数段の伝熱管がフィンを貫通しながら蛇行するように構成される。また、熱交換器68は、配管65等を介して圧縮機64と接続し、さらに、図示省略する室内側熱交換器及び膨張弁等と接続されて、空気調和装置の冷媒回路71を構成する。また、機械室57には、基板箱66が配置されており、この基板箱66に設けられた制御基板67によって室外機内に搭載された機器が制御されている。
送風室56に配置された軸流ファン100の径方向外側には、ベルマウス63が配置されている。ベルマウス63は、翼20の外周端よりも外側に位置し、軸流ファン100の回転方向に沿って環状をなしている。また、ベルマウス63の一方側の側方には、仕切板51gが位置し、他方側の側方には、熱交換器68の一部が位置することとなる。
ベルマウス63の前端は、吹出口53の外周を囲むように室外機50の前面パネル52と接続している。なお、ベルマウス63は、前面パネル52と一体的に構成されていてもよく、あるいは、別体として、前面パネル52につなげられる構成として用意されてもよい。このベルマウス63によって、ベルマウス63の吸込側と吹出側との間の流路が、吹出口53近傍の風路として構成される。すなわち、吹出口53近傍の風路は、ベルマウス63によって、送風室56内の他の空間と区切られる。
図24は、軸流ファン100とベルマウス63との関係を示す概念図である。ベルマウス63は、筒状に形成されており、翼20の形成する気流の流れる方向Fにおいて、上流側から下流側に向かって流路が狭くなるように形成された入口部63aと、回転軸RAの軸方向と平行な方向に延びるように形成された直管部63bとを有する。入口部63aは、室外機本体51に吸い込まれる気流の方向において上流側の端部から下流側の端部に向かって開口径が次第に小さくなるように形成されている。直管部63bは、円筒形状に形成されている。なお、直管部63bは、製造上微妙に内径が変わる場合あるが、製造に起因する内径の変化は考慮しない。
ここで、室外機50において、直管部63bと軸流ファン100の翼20とが回転軸RAの軸方向の位置で重なる範囲をラップしている範囲RYと呼ぶ。ラップしている範囲RYは、径方向においてベルマウス63が翼20の外周縁部23を覆っている範囲である。ラップしている範囲RYは、ベルマウス63と軸流ファン100の翼20とが回転軸RAの軸方向の位置で重なる範囲となる。これに対し、室外機50において、翼20の外周縁部23を直管部63bが覆っていない範囲をラップしていない範囲RNと呼ぶ。入口部63aと軸流ファン100の翼20とが回転軸RAの軸方向の位置で重なる範囲は、ラップしていない範囲RNとする。
図24に示すように、ベルマウス63は、外周縁投影部23tの後縁部22寄り、すなわち、翼20の外周縁の後縁部22寄りを覆っている。換言すれば、ベルマウス63は、翼20の外周縁の前縁部21寄りを覆っていない。室外機50は、軸流ファン100の翼20とベルマウス63とがラップしていない範囲RNにおいて縁反り部30が位置するように、軸流ファン100とベルマウス63とを配置している。なお、縁反り部30は、軸流ファン100の翼20とベルマウス63とがラップしていない範囲RNにおいて形成されていればよい。すなわち、縁反り部30は、ベルマウス63に覆われていない範囲において翼20の外周縁に形成されている。したがって、縁反り部30は、周方向CDにおいて、少なくとも前縁部21と中央部27との間の領域において形成されている構成に限定されるものではない。
室外機50は、圧力面25に沿った縁反り部30の長さが、軸流ファン100の翼20とベルマウス63とがラップしていない範囲RNにおいて後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように設定されている。すなわち、室外機50は、圧力面25に沿った縁反り部30の長さが、ベルマウス63に覆われていない範囲において後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように設定されている。
室外機50は、縁反り部30の径方向の長さが、軸流ファン100の翼20とベルマウス63とがラップしていない範囲RNにおいて後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように設定されている。すなわち、室外機50は、縁反り部30の径方向の長さが、ベルマウス63に覆われていない範囲において後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように設定されている。
室外機50は、回転軸RAの軸方向に平行な方向の縁反り部30の長さが、軸流ファン100の翼20とベルマウス63とがラップしていない範囲RNにおいて後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように設定されている。すなわち、室外機50は、回転軸RAの軸方向に平行な方向の縁反り部30の長さが、ベルマウス63に覆われていない範囲において後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように設定されている。
室外機50は、縁反り部の曲率が、軸流ファン100の翼20とベルマウス63とがラップしていない範囲RNにおいて後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように設定されている。すなわち、室外機50は、縁反り部の曲率が、ベルマウス63に覆われていない範囲において後縁部22側から前縁部21側に向かうにつれて大きくなるように設定されている。
図25は、図24に示すベルマウス63の変形例の概念図である。図25に示すベルマウス63は、入口部63aの構造を更に特定した入口部63dを有するものである。図25に示すように、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、ベルマウス63の入口部63dは、径方向外側から内側に向かって回転軸RAに近づく傾斜面を形成している。ベルマウス63の入口部63dは、円錐台の斜面状に形成されている。
図26は、図24に示すベルマウス63の他の変形例の概念図である。図26に示すベルマウス63は、入口部63aの構造を更に特定した入口部63eを有するものである。図25に示すように、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、ベルマウス63の入口部63eは、軸流ファン100の回転軸RA側に凸となる曲線状の部分を有している。ベルマウス63の入口部63eは、軸流ファン100の回転軸RA側に凸となる曲面で構成される範囲を有している。
(冷凍サイクル装置70の作用効果)
本実施の形態5においても、対応する上記実施の形態1~4と同様な利点が得られる。例えば、上述したように軸流ファン100は、気流を押し出すトルクが高い外周側の気流の利用による送風時の翼20の効率の向上と、渦の発生の抑制によるエネルギー損失の低減とによって、ファンの効率を向上させることができる。そのため、この軸流ファン100を送風装置に搭載すれば、送風装置は、高効率で送風量を増加することができる。また、圧縮機64と熱交換器68等で構成される冷凍サイクル装置70である空気調和機又は給湯用室外機に、軸流ファン100を搭載すれば、高効率で熱交換器68の通過風量を稼ぐことができ、熱交換器68での熱交換量を増加させることができる。そのため、冷凍サイクル装置70は、機器の省エネルギー化を実現することができる。また、冷凍サイクル装置70に軸流ファン100を搭載すれば、冷凍サイクル装置70は、従来の軸流ファンの使用時よりも小型な熱交換器68に変更することができ、冷媒量の削減に貢献することができる。
また、送風装置及び冷凍サイクル装置70は、径方向外側から内側へ流入気流が多くなる翼20とベルマウス63とがラップしていない範囲RNにおいて、縁反り部30によって、径方向外側から内側へ流入気流に対して径方向外側の力を加えられるようにできる。そのため、送風装置及び冷凍サイクル装置70は、内周側から流入する気流と径方向外側から内側へ流入気流との干渉による気流の乱れを抑制することができる。
また、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、ベルマウス63の入口部63dは、径方向外側から内側に向かって回転軸RAに近づく傾斜面を形成している。あるいは、回転軸RAの軸方向かつ半径方向に沿った垂直断面において、ベルマウス63の入口部63eは、軸流ファン100の回転軸RA側に凸となる曲線状の部分を有している。送風装置及び冷凍サイクル装置70は、当該構成を有することで径方向外側からの気流がベルマウス63に沿って流れやすくなるため、軸流ファン100に対して径方向外側からの気流を吸引しやすくなる。そして、送風装置及び冷凍サイクル装置70は、回転する翼20の間に気流が流入した後は、軸流ファン100によって、吸込み気流が多い外周側から流入する気流を、軸方向に整流することができる。送風装置及び冷凍サイクル装置70は、径方向外側からの気流の流入に対して効率が良い軸流ファン100と、径方向外側からの気流の流入を促進するベルマウス63とを組み合わせることによって軸流ファン100の駆動による風量を増加させることができる。
また、ベルマウス63の入口部63a、入口部63d又は入口部63eは、径方向において縁反り部30に対向している。送風装置及び冷凍サイクル装置70は、当該構成を有することで径方向外側からの気流がベルマウス63に沿って流れやすくなるため、軸流ファン100に対して径方向外側からの気流を吸引しやすくなる。そして、送風装置及び冷凍サイクル装置70は、回転する翼20の間に気流が流入した後は、軸流ファン100によって、吸込み気流が多い外周側から流入する気流を、軸方向に整流することができる。送風装置及び冷凍サイクル装置70は、径方向外側からの気流の流入に対して効率が良い軸流ファン100と、径方向外側からの気流の流入を促進するベルマウス63とを組み合わせることによって軸流ファン100の駆動による風量を増加させることができる。送風装置及び冷凍サイクル装置70は、当該構成を有することで、翼20の外周縁の前縁部21寄りを覆ったベルマウス63との組み合わせでも上述のような効果を発揮させる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。