以下、図面を参照しながら、本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)100の正面図である。以下の説明において、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、プリンタ100を正面から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示し、図面中の符号X(図2参照)は副走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。副走査方向Xは、前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交する方向である。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
プリンタ100は、媒体5に対して印刷を行うものである。本実施形態では、媒体5はロール状の記録紙であり、いわゆる、ロール紙である。しかしながら、媒体5は、ロール状の記録紙に限定されない。例えば媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙などの紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステルなどの樹脂製のシートやフィルム、板材、織布や不織布などの布帛、その他の媒体であってもよい。
図1に示すように、プリンタ100は、プリンタ本体10と、プラテン13と、搬送機構20と、ガイドレール15と、キャリッジ17と、ヘッド移動機構30と、インクヘッド41~44(図2参照)と、インク供給システム61~68(図3参照)と、キャップユニット110(図16参照)と、ワイパー機構(図17参照)と、制御装置200と、を備えている。
プリンタ本体10は、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。プラテン13は、媒体5を支持する。プラテン13には、媒体5が支持され、プラテン13上において印刷が行われる。プラテン13は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がったものである。
搬送機構20は、プラテン13に支持された媒体5を副走査方向Xに搬送する。搬送機構20の構成は特に限定されない。本実施形態では、搬送機構20は、ピンチローラ21と、グリットローラ22と、フィードモータ23とを備えている。ピンチローラ21は、プラテン13の上方かつガイドレール15の下方に配置され、媒体5を上から押さえ付けるものである。グリットローラ22は、上部がプラテン13から上方に露出した状態で、プラテン13に設けられている。グリットローラ22は、ピンチローラ21と対向している。なお、ピンチローラ21およびグリットローラ22のそれぞれの設置位置および数は特に限定されない。本実施形態では、図1に示すように、ピンチローラ21およびグリットローラ22は、プラテン13の左端部および右端部にそれぞれ配置されている。
ここでは、グリットローラ22には、フィードモータ23が接続されている。ピンチローラ21とグリットローラ22との間に媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ23が駆動すると、グリットローラ22が回転する。このことで、媒体5は、副走査方向Xに搬送される。
ガイドレール15は、プラテン13の上方に配置されている。ガイドレール15は、プラテン13と平行に配置され、主走査方向Yに延びている。ガイドレール15には、キャリッジ17が係合している。キャリッジ17は、ガイドレール15に摺動可能に設けられている。
ヘッド移動機構30は、キャリッジ17およびインクヘッド41~44(図2参照)を主走査方向Yに移動させる機構である。なお、ヘッド移動機構30の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構30は、左右のプーリ31a、31bと、ベルト32と、キャリッジモータ33とを備えている。左のプーリ31aは、ガイドレール15の左端部の近傍に設けられている。右のプーリ31bは、ガイドレール15の右端部の近傍に設けられている。ベルト32は、例えば無端状であり、左のプーリ31aと右のプーリ31bとに巻き掛けられている。ベルト32には、キャリッジ17が取り付け固定されている。
右のプーリ31bには、キャリッジモータ33が接続されている。キャリッジモータ33が駆動することで、右のプーリ31bが回転し、ベルト32が左右のプーリ31a、31bの間で走行する。このことで、キャリッジ17およびインクヘッド41~44は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動する。
図2は、キャリッジ17の下面の構成を模式的に示した図である。図2に示すように、インクヘッド41~44は、キャリッジ17に設けられている。インクヘッド41~44は、その下面をキャリッジ17の下方に露出するように、キャリッジ17に支持されている。インクヘッド41~44は、インクを吐出するものである。なお、インクヘッド41~44の数は特に限定されないが、本実施形態では、4つである。4つのインクヘッド41~44は、主走査方向Yに並んで配置されている。以下の説明では、インクヘッド41~44のことを、それぞれ第1~第4インクヘッド41~44と適宜称することがあり得る。
本実施形態では、インクヘッド41~44は、それぞれノズル面45を有している。ノズル面45は、インクヘッド41~44の下面を構成しており、プラテン13(図1参照)と対向している。第1インクヘッド41のノズル面45には、複数のノズル51が副走査方向Xに並んで形成され、かつ、複数のノズル52が副走査方向Xに並んで形成されている。同様に、第2インクヘッド42のノズル面45には、複数のノズル53が副走査方向Xに並んで形成され、かつ、複数のノズル54が副走査方向Xに並んで形成されている。第3インクヘッド43のノズル面45には、複数のノズル55が副走査方向Xに並んで形成され、かつ、複数のノズル56が副走査方向Xに並んで形成されている。また、第4インクヘッド44のノズル面45には、複数のノズル57が副走査方向Xに並んで形成され、かつ、複数のノズル58が副走査方向Xに並んで形成されている。
ここでは、各複数のノズル51~58の列のことを、それぞれノズル列51a~58aと称する。各インクヘッド41~44は、2つのノズル列を有している。ただし、各インクヘッド41~44のノズル列の数は、2つに限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
図3は、インクヘッド41~44と、インク供給システム61~68との関係を示すブロック図である。図3に示すように、インク供給システム61~68は、インクヘッド41~44にインクを供給するシステムである。インク供給システム61~68は、ノズル列51a~58aごとに設けられている。本実施形態では、ノズル列の数は8つであるため、インク供給システム61~68の数も8つである。ノズル列51a~58aには、それぞれインク供給システム61~68が接続されている。ただし、本実施形態に係るインク供給システム61~68は、ノズル列51a~58aごとに設けられていなくてもよく、複数のノズル列に対して1つのインク供給システムが設けられていてもよい。すなわち、複数のノズル列は、1つの後述するインクタンク71(図4参照)を共有していてもよい。ここでは、インク供給システム61~68は、いずれも同じ構成を有している。そこで、以下では、第1インクヘッド41のノズル列51aを構成する複数のノズル51に接続されたインク供給システム61について説明し、その他のインク供給システム62~68についての説明は、適宜省略する。なお、インク供給システム61~68において、一部のインク供給システムの構成は、他のインク供給システムの構成と異なっていてもよい。
図4は、インク供給システム61~68の構成を示す模式図である。図4に示すように、インク供給システム61は、インクタンク71と、インク流路72と、送液ポンプ73と、リリーフバルブ74と、ダンパー75とを備えている。
インクタンク71は、インクが貯留される容器である。インクタンク71は、インクを補充可能な構成を有している。そのため、本実施形態では、インクタンク71に貯留されたインクの量が少なくなったとき、インクタンク71が取り換えられるのではなく、インクタンク71にインクが新たに補充される。また、本実施形態では、インクタンク71の内部には、インクと共に空気が存在し、インクタンク71は、内部にインクと空気とが接する気液界面を有する。また、インクタンク71は、内部を大気開放可能な構成を有している。ただし、インクタンク71は、パウチ状のものであってもよい。インクタンク71は、大気開放可能な構成を有していなくてもよい。
インクタンク71には、タンク流入口71aと、タンク流出口71bとが形成されている。詳しい図示は省略するが、タンク流入口71aは、インクタンク71の上面を構成する上壁に形成されている。タンク流出口71bは、例えばインクタンク71の底面を構成する底壁に形成されている。
本実施形態では、各インク供給システム61~68に対して、1つのインクタンク71が設けられている。なお、インクタンク71に貯留されるインクの色は特に限定されない。1つのインクタンク71には、例えばシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどのプロセスカラーインク、および、クリアインク、ホワイトインクなどの特色インクのうちの1つのインクが貯留される。また、インクの材料も何ら限定されず、従来からインクジェットプリンタのインクの材料として用いられている各種の材料を使用することができる。上記インクは、例えば、ソルベント系(溶剤系)顔料インクや水性顔料インクであってもよい。あるいは、水性染料インクや、紫外線を受けて硬化する紫外線硬化型顔料インクなどであってもよい。
インク流路72は、インクタンク71とインクヘッド41とを接続するものである。インク供給システム61において、インクタンク71内のインクは、インク流路72を通じてインクヘッド41のノズル列51aを構成するノズル51に供給される。また、本実施形態に係るインク供給システム61は、インクタンク71を含めてインクが循環するものである。そのため、インクタンク71からインク流路72へ流れるインクの一部は、インクタンク71へ戻る。
本実施形態では、インク流路72は、順流路81と、返流路83とを有している。順流路81は、インクタンク71内のインクの一部をインクヘッド41(詳しくは、ノズル列51aを構成する複数のノズル51)に供給する流路である。順流路81の構成は特に限定されない。本実施形態では、順流路81は、第1順流路81aと、第2順流路81bと、第3順流路81cとを有している。
第1順流路81aの一端は、インクタンク71に接続されている。詳しくは、第1順流路81aの一端は、インクタンク71の底面を構成する底壁に形成されたタンク流出口71bに接続され、インクタンク71の内部と連通している。第1順流路81aの他端は、送液ポンプ73に接続されている。第2順流路81bは、第1順流路81aよりもインクヘッド41側に配置され、言い換えると第1順流路81aよりも下流側に配置されている。第1順流路81a内のインクは、第2順流路81bへ流れる。第2順流路81bの一端は、送液ポンプ73に接続されている。第2順流路81bの他端は、第3順流路81cおよび返流路83に接続されている。
第3順流路81cは、第2順流路81bよりもインクヘッド41側に配置され、かつ、第2順流路81bよりも下流側に配置されている。第2順流路81b内のインクの一部は、第3順流路81cへ流れる。第3順流路81cの一端は、第2順流路81bの他端、および、返流路83に接続されている。第3順流路81cの他端は、ダンパー75に接続されている。
返流路83は、インクタンク71から流出したインクの一部をインクタンク71へ戻す流路である。返流路83は、順流路81の途中部分とインクタンク71とを接続する。返流路83の構成は特に限定されない。本実施形態では、返流路83は、第1返流路83aと、第2返流路83bとを有している。
第1返流路83aには、第2順流路81b内のインクの一部が流れる。第1返流路83aの一端は、第2順流路81bの他端、および、第3順流路81cの一端に接続されている。なお、第1返流路83a、第2順流路81bおよび第3順流路81は、いわゆる三方弁(図示せず)を介して互いに接続されてもよい。第1返流路83aの他端は、リリーフバルブ74に接続されている。
第2返流路83bは、第1返流路83aよりもインクタンク71側に配置されている。第1返流路83a内のインクは、第2返流路83bに流れる。第2返流路83bの一端は、リリーフバルブ74に接続されている。第2返流路83bの他端は、インクタンク71に接続されている。詳しくは、第2返流路83bの他端は、インクタンク71の上面を構成する上壁に形成されたタンク流入口71aに接続され、インクタンク71の内部と連通している。そのため、第1返流路83a内のインクは、第2返流路83bを通じてインクタンク71内に流される。
なお、インク流路72の材質、すなわち順流路81および返流路83の材質は特に限定されない。順流路81および返流路83は、例えば可撓性を有するチューブなどによって形成されている。
送液ポンプ73は、順流路81に設けられている。ここでは、送液ポンプ73は、第1順流路81aと第2順流路81bとの間に配置されている。送液ポンプ73は、第1順流路81aの他端、および、第2順流路81bの一端に接続されている。送液ポンプ73が駆動することで、インクタンク71に貯留されたインクであって、インクタンク71から流出したインクの一部は、インクヘッド41のノズル列51aを構成するノズル51に供給される。また、送液ポンプ73が駆動することで、インクタンク71から流出したインクの他の一部が、返流路83に流れる。なお、送液ポンプ73の種類は特に限定されない。送液ポンプ73は、例えばダイヤフラムポンプや、チューブポンプなどである。また、送液ポンプ73は、電子制御されるものである。
リリーフバルブ74は、インクヘッド41の圧力を管理するものである。言い換えると、リリーフバルブ74は、インク流路72の圧力を管理するものである。リリーフバルブ74を開閉することで、インクヘッド41およびインク流路72に掛かる圧力を調整することができる。リリーフバルブ74は、返流路83を開閉可能に返流路83に設けられている。ここでは、リリーフバルブ74は、第1返流路83aと第2返流路83bとの間に配置されている。リリーフバルブ74は、第1返流路83aの他端、および、第2返流路83bの一端に接続されている。
なお、リリーフバルブ74の具体的な構成は特に限定されない。図5は、リリーフバルブ74の斜視図である。図6は、図5のVI-VI線におけるリリーフバルブ74の断面図である。図7~図9は、リリーフバルブ74の断面図であり、図6相当図である。図6および図7は、第1の状態S1のリリーフバルブ74を示している。図6では、リリーフバルブ74が開放しており、図7では、リリーフバルブ74が閉鎖している。図8および図9は、第2の状態S2のリリーフバルブ74を示している。図8では、リリーフバルブ74が開放しており、図9では、リリーフバルブ74が閉鎖している。
図5および図6に示すように、リリーフバルブ74は、バルブ本体151と、第1バルブインク室152aaと、第2バルブインク室152bと、バルブ弁体153と、バルブロッド154と、ソレノイド155とを備えている。
図6に示すように、バルブ本体151には、第1バルブインク室152aaと、第2バルブインク室152bとが設けられている。本実施形態では、バルブ本体151の上部には、下方に凹んだ空間が形成されている。このバルブ本体151の下方に凹んだ空間を覆うように、バルブ本体151の上部にカバー156が設けられている。そのため、バルブ本体151とカバー156との間には、空間152aが形成されている。本実施形態では、空間152aは、第1バルブインク室152aaと、第1バルブインク室152aaの上方に位置する第1作動室152abと、第1作動室152abの上方に位置する第2作動室152acとに区分けされている。ここでは、第1バルブインク室152aaと、第1作動室152abとは、バルブ弁体153によって区分けされている。第1バルブインク室152aaは、バルブインク室の一例である。
本実施形態では、第1バルブインク室152aaには、バルブ流入口157aおよびバルブ流出口158aが形成されている。バルブ流入口157aは、第1バルブインク室152aaの側面の下部に形成されている。バルブ流入口157aには、水平に延びたバルブ流入路157が接続されている。バルブ流入路157は、バルブ本体151に形成されている。バルブ流入路157は、インクがリリーフバルブ74に流入する路である。ここでは、バルブ流入路157の一端は、インク流路72の返流路83の第1返流路83a(図4参照)の他端に接続されている。バルブ流入路157の他端は、バルブ流入口157aに接続されている。
第2バルブインク室152bは、第1バルブインク室152aaの下方であって、バルブ本体151の下部に設けられている。本実施形態では、第2バルブインク室152bは、第1バルブインク室152aaよりも上下に短く、側方に長い空間である。なお、本実施形態では、第2バルブインク室152bの底面を構成する部分は、カバー156aによって構成されている。すなわち、第2バルブインク室152bは、バルブ本体151とカバー156aによって囲まれた空間である。カバー156aは、バルブ本体151に対して着脱可能である。
本実施形態では、第1バルブインク室152aaと第2バルブインク室152bとは、連通している。詳しくは、第1バルブインク室152aaにおける第2バルブインク室152b側の面(ここでは底面)には、バルブ流出口158aが形成されている。第2バルブインク室152bにおける第1バルブインク室152aa側の面(ここでは上面)には、連通流入口158bが形成されている。バルブ流出口158aと連通流入口158bとは、連通路158に接続されている。このように、第1バルブインク室152aaと第2バルブインク室152bとは、連通路158を通じて相互に連通している。
また、第2バルブインク室152bには、連通流出口159aが形成されている。連通流出口159aは、第2バルブインク室152bの側面の上部に形成されている。この連通流出口159aには、水平に延びたバルブ流出路159が形成されている。バルブ流出路159は、バルブ流入路157よりも下方に配置されている。バルブ流出路159は、インクがリリーフバルブ74から流出する路である。バルブ流出路159は、バルブ本体151に形成されている。ここでは、バルブ流出路159の一端は、連通流出口159aに接続されている。バルブ流出路159の他端は、返流路83の第2返流路83b(図4参照)の一端に接続されている。本実施形態では、バルブ流出路159は、第2バルブインク室152bおよび連通路158を介して、バルブ流出口158aに間接的に接続されている。
バルブ弁体153は、弾性変形することで、バルブ流出口158aを開閉可能なものである。ただし、バルブ弁体153は、バルブ流入口157aを開閉可能なものであってもよい。バルブ弁体153は、第1バルブインク室152aa内に配置されており、バルブ流出口158aを開閉することで、連通路158を開閉する。本実施形態では、バルブ弁体153は、バルブ弁体153の外周端がバルブ本体151とカバー156とによって挟まれた状態で支持されている。なお、バルブ弁体153の材質は特に限定されない。ここでは、バルブ弁体153は、ゴムによって形成されている。
バルブロッド154は、バルブ弁体153に接触し、上下方向に移動することによってバルブ弁体153を弾性変形させるものである。本実施形態では、バルブロッド154は、上下に延びたものであり、一部が第1作動室152abから第2作動室152acに亘って配置されている。バルブロッド154は、カバー156を貫通しており、バルブロッド154の上部は、カバー156から上方に延びている。バルブロッド154は、第1作動室152abおよび第2作動室152acに対して上下に移動可能に構成されている。また、バルブロッド154は、上述のようにバルブ弁体153に接触する。バルブロッド154は、バルブ弁体153を下方に押し付けることで、バルブ弁体153がバルブ流出口158aを閉鎖する。
本実施形態では、バルブロッド154は、第2作動室152acの側面に沿って延びたガイド154aを有する。このガイド154aによって、バルブロッド154は、第2作動室152acの側面に沿って上下に移動可能である。本実施形態では、ガイド154aによって、第1作動室152abと、第2作動室152acとが区分けされている。図示は省略するが、ガイド154aとカバー156との間には、隙間が形成されている。当該隙間によって、第1作動室152abと第2作動室152acとは、連通している。
本実施形態では、第2作動室152acには、第1バネ161が配置されている。第1バネ161は、バルブロッド154を囲むように配置されている。第1バネ161は、バルブ弁体153に対して、バルブ流出口158aに向かう方向(ここでは下方)に弾性力を付与する。言い換えると、第1バネ161は、バルブロッド154をバルブ弁体153に押し付ける方向(ここでは下方)に弾性力を付与するものである。
ソレノイド155は、バルブ弁体153におけるバルブロッド154から掛けられる荷重を変化させることで、バルブ弁体153がバルブ流出口158aを開放するときのインク流路72の圧力を調整するものである。ソレノイド155は、バルブ本体151およびバルブロッド154の上方に配置されている。
本実施形態では、ソレノイド155は、ソレノイド本体165と、軸芯166とを有している。ソレノイド本体165は、内部において下方に開口した空間を有している。軸芯166は、ソレノイド本体165に挿通されており、ソレノイド本体165に対して上下に移動可能である。軸芯166は、バルブロッド154と接触可能であり、軸芯166が下方に移動することで、バルブロッド154に接触する。軸芯166の下部には、側方に延びたフランジ167が設けられている。
本実施形態では、ソレノイド155には、第2バネ162が設けられている。第2バネ162は、軸芯166を囲むように配置されている。第2バネ162は、ソレノイド本体165と、軸芯166のフランジ167との間に介在している。第2バネ162は、軸芯166に対して下方に向かう弾性力を付与するものである。第2バネ162は、軸芯166に対してソレノイド本体165から離れる方向に弾性力を付与する。
本実施形態では、ソレノイド155は、いわゆるノーマルクローズタイプのソレノイドである。ソレノイド155をONまたはOFFにすることで、リリーフバルブ74の状態を第1の状態S1(図6参照)または第2の状態S2(図8参照)にすることができる。ここでは、ソレノイド155をONまたはOFFにすることで、ソレノイド本体165に対する軸芯166の上下位置、および、軸芯166の移動範囲が変更される。なお、ここでのソレノイド155をONにするとは、通電している状態のことをいい、ソレノイド155をOFFにするとは、非通電の状態のことをいう。
ここでは、図6および図7に示すように、ソレノイド155がONのとき、リリーフバルブ74は第1の状態S1となる。ソレノイド155がON、すなわち、リリーフバルブ74が第1の状態S1になることで、ソレノイド本体165に対する軸芯166の位置が固定される。ソレノイド155がONのとき、第2バネ162は収縮した状態となるが、第2バネ162の弾性力を受けて軸芯166は上下に移動しない。
図8および図9に示すように、ソレノイド155がOFFのとき、リリーフバルブ74は第2の状態S2となる。ソレノイド155がOFF、すなわち、リリーフバルブ74が第2の状態S2になることで、ソレノイド本体165に対して軸芯166は上下に移動可能となる。ソレノイド155がOFFの場合に、軸芯166に対して上向きの力が加えられていないとき、図9に示すように、軸芯166は、第2バネ162によって下方に押された状態となる。このとき、軸芯166は、ソレノイド155がONのときの軸芯166の位置(図7参照)よりも下方に位置する。
本実施形態に係るリリーフバルブ74では、ソレノイド155をONまたはOFFにすることで、バルブ弁体153がバルブ流出口158aを開放するときの圧力を変更することができる。ここでは、図6および図7に示すように、リリーフバルブ74が第1の状態S1でソレノイド155がONのときには、バルブ流入路157の圧力が第1圧力P1以上で、バルブ弁体153がバルブ流出口158aを開放する。一方、図8および図9に示すように、リリーフバルブ74が第2の状態S2でソレノイド155がOFFのときには、バルブ流入路157の圧力が第2圧力P2以上で、バルブ弁体153がバルブ流出口158aを開放する。ここで、第2圧力P2は、第1圧力P1よりも高い。
なお、第1圧力P1および第2圧力P2の具体的な数値は特に限定されない。第1圧力P1は、20kPa~60kPaであり、好ましくは30kPa~50kPaであり、例えば40kPaである。第2圧力P2は、120kPa~180kPaであり、好ましくは130kPa~170kPaであり、例えば150kPaである。
図7に示すように、第1の状態S1でソレノイド155がONのときには、ソレノイド155の軸芯166の位置が固定されており、軸芯166とバルブロッド154とは離間している状態となる。ソレノイド155がONのときには、バルブロッド154のみが上下に移動可能となる。そのため、ソレノイド155がONのときには、第2バネ162の影響は受けず、第1バネ161の弾性力で、バルブロッド154がバルブ弁体153をバルブ流出口158aに押し付け、バルブ弁体153が連通路158を閉鎖している。このような状態で、バルブ流入路157にインクが流れて圧力が第1圧力P1以上になると、図6に示すように、第1バネ161の弾性力に抗するように、バルブ弁体153が上方に移動し、バルブ流出口158aが開放した状態となる。
図9に示すように、第2の状態S2でソレノイド155がOFFのときには、ソレノイド155の軸芯166の位置が固定されず、軸芯166は上下に移動可能となる。このとき、軸芯166とバルブロッド154とは接触しており、軸芯166とバルブロッド154は一体となって上下に移動可能となる。そのため、ソレノイド155がOFFのときには、第1バネ161および第2バネ162の両方の合計の弾性力で、バルブロッド154がバルブ弁体153をバルブ流出口158aに押し付け、バルブ弁体153が連通路158を閉鎖する。このように、ソレノイド155がOFFのときに、バルブ弁体153が連通路158を開放するには、第1バネ161および第2バネ162の合計の弾性力に抗する圧力が必要になる。本実施形態では、ソレノイド155がOFFのときには、バルブ流入路157にインクが流れて、圧力が、第1圧力P1よりも高い第2圧力P2以上になると、図8に示すように、第1バネ161および第2バネ162の合計の弾性力に抗するように、バルブ弁体153が上方に移動し、バルブ流出口158aが開放した状態となる。
なお、本実施形態に係るリリーフバルブ74は、第1の状態S1でソレノイド155がONで、バルブ流入路157の圧力が第1圧力P1未満であっても、バルブ弁体153がバルブ流出口158aを開放することが可能に構成されている。図10は、図6相当図であり、ボタン168が上方に移動した状態を示す図である。ここでは、図10に示すように、リリーフバルブ74は、ボタン168を備えている。ボタン168は、バルブ弁体153に下方から接触可能であり、バルブ弁体153を押し上げることが可能なものである。
本実施形態では、ボタン168は、第2バルブインク室152bから連通路158に向かって延びた軸部168aを有している。軸部168aの上端は、連通路158から第1バルブインク室152aaに突出可能である。なお、ボタン168(詳しくは軸部168a)と連通路158との間には、隙間が形成されている。当該隙間を通じて、バルブ流出口158aから連通流入口158bに向かって連通路158内をインクが流れる。なお、当該隙間は省略されてもよく、その場合、軸部168aには、軸部168aの軸方向に延在する切り欠きが設けられているとよい。当該切り欠きを通じて、連通路158内をインクが流れる。
本実施形態では、ボタン168は、手動で上下方向に移動可能である。例えばバルブ本体151に取り付けられたカバー156aを取り外した状態で、利用者がボタン168を押し上げるとよい。ボタン168が上方に移動して、ボタン168がバルブ弁体153を押し上げることで、バルブ弁体153が上方に移動し、バルブ流出口158aが開放する。このように、バルブ流入路157の圧力が第1圧力P1未満であっても、バルブ流出口158aを開放させることができる。なお、カバー156aがゴムなどの弾性部材によって形成されていてもよい。この場合、カバー156aをバルブ本体151に取り付けた状態で、利用者がカバー156aを上方に押し上げてボタン168を上方に移動させてもよい。また、ボタン168は、電子制御によって上下方向に移動可能に構成されてもよい。
なお、ここでは、リリーフバルブ74が開放しているとは、バルブ弁体153がバルブ流出口158aを開放している状態のこという。リリーフバルブ74が閉鎖しているとは、バルブ弁体153がバルブ流出口158aを閉鎖している状態のことをいう。
以上、リリーフバルブ74について説明した。次に、図4に示すダンパー75について説明する。ダンパー75は、インクヘッド41のノズル面45に掛かる圧力を一定に保ち、かつ、インクの圧力変動を緩和して、インクヘッド41のインクの吐出動作を安定させるものである。ダンパー75は、順流路81に接続されている。詳しくは、ダンパー75は第3順流路81cの他端に接続されている。また、ダンパー75は、インクヘッド41のノズル列51aを構成するノズル51に連通している。ここでは、ダンパー75は、インクヘッド41の上部に設けられている。
なお、ダンパー75の構成は特に限定されない。図11は、ダンパー75の斜視図である。図12は、ダンパー75の正面図である。図13は、図12のXIII-XIII線におけるダンパー75の断面図である。図14および図15は、ダンパー75の断面図であり、図13相当図である。
本実施形態では、図12に示すように、ダンパー75は、ダンパー本体170と、負圧開放弁機構171と、加圧開放弁機構181とを有している。なお、図13では、負圧開放弁機構171が閉鎖し、加圧開放弁機構181が開放した状態が示されている。図14では、負圧開放弁機構171が開放し、加圧開放弁機構181が閉鎖した状態が示されている。図15では、負圧開放弁機構171および加圧開放弁機構181の両方が閉鎖した状態が示されている。
図11に示すように、ダンパー本体170は、例えば直方体の形状であるが、ダンパー本体170の形状は特に限定されない。ダンパー本体170は、本発明の本体の一例である。図12に示すように、ダンパー本体170に、負圧開放弁機構171および加圧開放弁機構181が設けられている。このように、本実施形態では、負圧開放弁機構171と加圧開放弁機構181は、同一のダンパー本体170、すなわち1つのダンパー本体170に設けられているが、異なるダンパー本体に設けられてもよい。ここで、例えば負圧開放弁機構171が第1ダンパー本体に設けられ、加圧開放弁機構181が第2ダンパー本体に設けられている場合、第1ダンパー本体と第2ダンパー本体とは、離間していてもよい。
負圧開放弁機構171と加圧開放弁機構181とは、上下に並んで配置されている。ここでは、負圧開放弁機構171は、加圧開放弁機構181の上方に配置されている。しかしながら、負圧開放弁機構171は、加圧開放弁機構181の下方に配置されていてもよい。また、負圧開放弁機構171と加圧開放弁機構181とは、水平に並んで配置されていてもよい。
図14に示すように、負圧開放弁機構171は、インクヘッド41(図4参照)が減圧することで開放する機構である。本実施形態では、負圧開放弁機構171は、インクヘッド41の吐出動作に応じて開閉する。例えばインクヘッド41の複数のノズル51からインクが吐出されることで、インクヘッド41が減圧する。このことで、負圧開放弁機構171は開放し、インクタンク71(図4参照)から負圧開放弁機構171を通じてインクヘッド41にインクが供給される。
なお、負圧開放弁機構171の構成は特に限定されない。本実施形態では、図13に示すように、負圧開放弁機構171は、第1流入路172(図12参照)と、第1負圧開放インク室173と、第2負圧開放インク室174と、大気開放室174bと、弁膜175と、第1弁体176と、第1弁座176aと、第1流出路177(図12参照)とを有している。
図12に示すように、第1流入路172は、ダンパー本体170に設けられている。本実施形態では、ダンパー本体170には、ダンパー流入口170aが形成されている。第1流入路172は、ダンパー流入口170aから第1負圧開放インク室173に向かって延びている。ここでは、第1流入路172の一端は、ダンパー流入口170aを介して、第3順流路81c(図4参照)の他端に接続されている。第1流入路172の他端は、第1負圧開放インク室173に接続されている。
図13に示すように、第1負圧開放インク室173および第2負圧開放インク室174は、ダンパー本体170に設けられている。第1負圧開放インク室173および第2負圧開放インク室174には、インクが一時的に貯留される。第1負圧開放インク室173には、第1流入口173aが形成されている。図12に示すように、第1流入口173aに第1流入路172の他端が接続されている。
図13に示すように、第2負圧開放インク室174は、ダンパー本体170に形成されている。第2負圧開放インク室174は、第1負圧開放インク室173と並んで配置されている。第2負圧開放インク室174には、連通口174aが形成されている。連通口174aは、第2負圧開放インク室174における第1負圧開放インク室173側の面に形成されている。第2負圧開放インク室174は、連通口174aを介して第1負圧開放インク室173と連通している。ただし、連通口174aは、第1負圧開放インク室173の面に形成されていてもよい。なお、連通口174aは、第1負圧開放インク室173を介して第1流入路172(図12参照)に間接的に接続されている。また、本実施形態では、図12に示すように、第2負圧開放インク室174には、第1流出口174cが形成されている。
大気開放室174bは、第2負圧開放インク室174に並んで配置されている。ここでは、大気開放室174bは、第2負圧開放インク室174に対して第1負圧開放インク室173とは反対側に配置されている。大気開放室174bには、大気口174dが形成されている。大気口174dは、大気に連通しており、大気口174dを通じて大気開放室174bは大気に開放された状態となる。
本実施形態では、図13に示すように、第2負圧開放インク室174と大気開放室174bとは、弁膜175によって互いが区画されている。第2負圧開放インク室174は、ダンパー本体170と弁膜175とによって囲まれた空間である。弁膜175は弾性変形可能に構成されている。弁膜175は、第2負圧開放インク室174のインクの量に応じて、言い換えると第2負圧開放インク室174の圧力に基づいて、第2負圧開放インク室174の外側または内側に弾性変形する。
弁膜175は、第2負圧開放インク室174内において第1弁体176と間接的に当接し、第1弁体176が連通口174aから離れる方向に、第1弁体176に力を付勢するように構成されている。本実施形態では、弁膜175は、ロッド178を介して第1弁体176と当接している。ただし、弁膜175は、第1弁体176と直接当接していてもよい。このように、「当接」には、弁膜175が第1弁体176に直接当接している場合と、第1弁体176に間接的に当接している場合との両方の場合が含まれる。
弁膜175の材質は、特に限定されない。本実施形態では、弁膜175はゴムによって形成されている。
本実施形態では、弁膜175における第2負圧開放インク室174と反対側には、第1カバー170bが設けられている。第1カバー170bを形成する材料は特に限定されないが、例えば遮光性を有する材料であるとよい。例えば第1カバー170bは、アルミニウムによって形成されている。
大気開放室174bは、第1カバー170bと弁膜175によって囲まれた空間である。大気開放室174bの大気口174dは、第1カバー170bに形成されている。弁膜175の外周端は、ダンパー本体170と第1カバー170bによって挟まれた状態で支持されている。
第1弁体176は、連通口174aを開閉するものである。ここでは、第1弁体176は、弁膜175の弾性変形に伴って連通口174aを開閉することが可能である。本実施形態では、第1弁体176は、第1負圧開放インク室173に配置されており、第1負圧開放インク室173側から連通口174aを開閉する。
本実施形態では、第1弁体176は、連通口174aを閉鎖するとき、第1弁座176aに接触する。第1弁座176aは、第1負圧開放インク室173の第2負圧開放インク室174側の面に形成されている。第1弁座176aは、上下方向に延びている。図示は省略するが、第1弁座176aには、孔が形成されており、この孔が連通口174aと連通している。
本実施形態では、第1弁体176には、ロッド178が設けられている。このロッド178は、連通口174aに挿通されており、第1弁体176から第2負圧開放インク室174に向かって延びている。なお、ロッド178と連通口174aとの間には、隙間が形成されている。ロッド178の先端は弁膜175に接触している。ロッド178は、弁膜175の弾性変形に応じて移動するように構成されている。なお、弁膜175の弾性変形に応じてロッド178が移動する場合、ロッド178の先端は、弁膜175に接触していなくてもよい。
また、本実施形態では、負圧開放弁機構171は、第1負圧開放バネ179aと、第2負圧開放バネ179bとを有している。第1負圧開放バネ179aは、第1弁体176が連通口174aを閉鎖するように、第1弁体176に弾性力を付与するものである。本実施形態では、第1負圧開放バネ179aは、収縮した状態で第1負圧開放インク室173に配置されている。第2負圧開放バネ179bは、弁膜175に対して第2負圧開放インク室174の外側(図13の左方向)に向かう弾性力を付与するものである。第2負圧開放バネ179bは、収縮した状態で第2負圧開放インク室174に配置されている。
ここでは、図13および図14に示すように、弁膜175における第2負圧開放インク室174の外側(図13の左方向)または内側(図13の右方向)に向かう弾性変形に伴い、ロッド178はロッド178の軸方向に移動する。このロッド178の移動に伴い、第1弁体176が連通口174aを開閉する。
図12に示すように、第1流出路177は、ダンパー本体170に設けられている。本実施形態では、ダンパー本体170には、ダンパー流出口170cが形成されている。第1流出路177は、ダンパー流出口170cから第2負圧開放インク室174に向かって延びている。ここでは、第1流出路177の一端は、第2負圧開放インク室174に形成された第1流出口174cに接続されている。第1流出路177の他端は、ダンパー流出口170cを介してインクヘッド41(図4参照)に接続され、インクヘッド41のノズル面45に形成されたノズル51に連通している。
ここでは、負圧開放弁機構171が開放しているとは、第1弁体176が連通口174aを開放している状態のことをいう。負圧開放弁機構171が閉鎖しているとは、第1弁体176が連通口174aを閉鎖している状態のことをいう。
加圧開放弁機構181は、インク流路72(図4参照)が加圧されることで開放するものである。加圧開放弁機構181は、後述する加圧クリーニングを行うときに使用されるものである。
加圧開放弁機構181の構成は特に限定されない。本実施形態では、図13に示すように、加圧開放弁機構181は、第2流入路182と、加圧開放インク室183と、第2弁体185と、第2弁座185aと、第2流出路186(図12参照)とを有している。
図12に示すように、第2流入路182は、ダンパー本体170に設けられている。第2流入路182は、ダンパー本体170に形成されたダンパー流入口170aから加圧開放インク室183に向かって延びている。本実施形態では、第2流入路182の一部(詳しくはダンパー流入口170a側の端部)は、第1流入路172の一部(詳しくはダンパー流入口170a側の端部)と重複している。第2流入路182の一端は、ダンパー流入口170aを介して、第3順流路81c(図4参照)の他端に接続されている。図13に示すように、第2流入路182の他端は、加圧開放インク室183に接続されている。
加圧開放インク室183には、インクが一時的に貯留される。加圧開放インク室183は、ダンパー本体170に設けられている。本実施形態では、ダンパー本体170の外面の一部が、ダンパー本体170の内側に凹んでいる。このダンパー本体170の内側に凹んだ部分は、第2カバー170dによって覆われている。第2カバー170dを形成する材料は特に限定されないが、例えば遮光性を有する材料であるとよい。例えば第2カバー170dは、アルミニウムによって形成されている。ここでは、ダンパー本体170と第2カバー170dとによって囲まれた空間が、加圧開放インク室183である。
加圧開放インク室183には、第2流入口183aが形成されている。図12に示すように、第2流入口183aには、第2流入路182の他端が接続されている。また、加圧開放インク室183には、第2流出口183bが形成されている。
図13および図14に示すように、第2弁体185は、第2流入路182内の圧力に応じて、第2流入口183aを開閉するものである。本実施形態では、第2弁体185は、加圧開放インク室183に配置されており、加圧開放インク室183側から第2流入口183aを開閉する。ここでは、第2弁体185の端は、ダンパー本体170と第2カバー170dによって挟まれた状態で支持されている。
本実施形態では、第2弁体185は、第2流入口183aを閉鎖するとき、第2弁座185aに接触する。第2弁座185aは、加圧開放インク室183の第2流入路182側の面に形成されている。第2弁座185aは、上下方向に延びている。本実施形態では、第2弁座185aには、第2流入口183aが形成されている。
本実施形態では、加圧開放弁機構181は、加圧開放バネ189を有している。加圧開放バネ189は、第2弁体185が第2流入口183aを閉鎖するように、第2弁体185に弾性力を付与するものである。本実施形態では、加圧開放バネ189は、収縮した状態で加圧開放インク室183に配置されている。
図12に示すように、第2流出路186は、ダンパー本体170に設けられている。第2流出路186は、ダンパー本体170に形成されたダンパー流出口170cから加圧開放インク室183に向かって延びている。本実施形態では、第2流出路186の一部(詳しくはダンパー流出口170c側の端部)は、第1流出路177の一部(詳しくはダンパー流出口170c側の端部)と重複している。第2流出路186の一端は、加圧開放インク室183の第2流出口183bに接続されている。第2流出路186の他端は、ダンパー流出口170cを介してインクヘッド41(図4参照)に接続されている。
本実施形態では、図13に示すように、負圧開放弁機構171の第1弁座176aの中心軸L1と、加圧開放弁機構181の第2弁座185aの中心軸L2とは、略平行であり、略水平である。略平行には、厳密な平行の他に、中心軸L1と中心軸L2とが僅かに傾いているものも含まれることとする。同様に、略水平には、厳密な水平の他に、水平面に対して僅かに傾いているものも含まれることとする。ここでは、中心軸L1、L2は、共に図13の左右方向に延びている。
負圧開放弁機構171および加圧開放弁機構181は、共に図13の右から左に向かってインクが流れるように構成されている。負圧開放弁機構171において、第1弁座176aの一方側(図13の右側)に第1流入口173aが配置され、第1弁座176aの他方側(図13の左側)に第1流出口174cが配置されている。加圧開放弁機構181において、第2弁座185aの一方側に第2流入口183aが配置され、第2弁座185aの他方側に第2流出口183bが配置されている。
ここでは、加圧開放弁機構181が開放しているとは、第2弁体185が第2流入口183aを開放している状態のことをいう。加圧開放弁機構181が閉鎖しているとは、第2弁体185が第2流入口183aを閉鎖している状態のことをいう。
本実施形態に係るダンパー75は、インクヘッド41が減圧したときに、負圧開放弁機構171が開放し(図14参照)、インク流路72が加圧したときに、加圧開放弁機構181が開放する(図13参照)。なお、負圧開放弁機構171が開放されるか否かは、第1弁体176が連通口を閉鎖する方向(図13では左方向)に働く力である閉鎖力F1と、第1弁体176が連通口を開放する方向(図13では右方向)に働く力である開放力F2との関係によって決定される。なお、図13~図15において、閉鎖力F1および開放力F2を示す矢印の長さは、力の大きさの関係を示すものである。
ここで、閉鎖力F1は、第1負圧開放インク室173内の圧力と、第1負圧開放バネ179aが第1弁体176に付与する弾性力との和によって決定される。開放力F2は、第2負圧開放インク室174内の圧力と、第2負圧開放バネ179bが弁膜175に付与する弾性力との和によって決定される。ここで、図13に示すように、閉鎖力F1が開放力F2以上、すなわち、F1≧F2のとき負圧開放弁機構171は閉鎖する。一方、図14に示すように、閉鎖力F1が開放力F2未満、すなわち、F1<F2のとき、負圧開放弁機構171は開放する。
本実施形態では、例えば第1負圧開放インク室173の圧力が第1圧力P1未満のとき、インクヘッド41からインクが吐出されない。そのため、このとき、第2負圧開放インク室174の圧力が所定の開放圧力P10以上になっている。この開放圧力P10は、負圧であり、例えば-0.1kPaである。第1負圧開放インク室173の圧力が第1圧力P1未満のとき、第2負圧開放インク室174の圧力が大気圧近傍になる。このとき、図13に示すように、閉鎖力F1が開放力F2以上であるため、負圧開放弁機構171は閉鎖される。
一方、第1負圧開放インク室173にインクが流入し、第1負圧開放インク室173の圧力が第1圧力P1以上になると、インクヘッド41からインクが吐出される。このことで、インクヘッド41内の圧力と共に、第2負圧開放インク室174の圧力が減圧し、上記の開放圧力P10未満(例えば-0.2kPa~-0.8kPa程度)になる。このことによって、図14に示すように、閉鎖力F1が開放力F2未満になるため、負圧開放弁機構171が開放される。その結果、第1負圧開放インク室173内のインクが第2負圧開放インク室174に流れる。
本実施形態では、負圧開放弁機構171が開放されるタイミングは、インクヘッド41からインクが吐出されて、第2負圧開放インク室174の圧力が開放圧力P10未満まで減圧し、かつ、第1負圧開放インク室173の圧力が第1圧力P1以上のタイミングとなるように、第1負圧開放バネ179aの弾性力、および、第2負圧開放バネ179bの弾性力がそれぞれ設定されている。
本実施形態では、例えば送液ポンプ73(図4参照)が駆動して、インク流路72を流れるインクの単位時間当たりの量が多くなり、インク流路72の圧力が第3圧力P3以上になると、加圧開放弁機構181において、第2流入路182の圧力が第3圧力P3以上になる。その結果、図13に示すように、第2弁体185が第2流入口183aを開放する。第2弁体185は、第2流入路182の圧力が、第3圧力P3より低いときに第2流入口183aを閉鎖し、第2流入路182の圧力が第3圧力P3以上のときに第2流入口183aを開放するように構成されている。
本実施形態では、第3圧力P3は、第1圧力P1よりも高く、第2圧力P2よりも低い圧力である。第3圧力P3は、80kPa~120kPaであり、好ましくは90kPa~110kPaであり、例えば100kPaである。
インク流路72の圧力が第3圧力P3以上のときには、インク流路72のインクは、加圧開放弁機構181を通じてインクヘッド41へ流れる。なお、インク流路72の圧力が第3圧力P3以上になった場合、負圧開放弁機構171において、第1負圧開放インク室173の圧力が第3圧力P3以上となるが、図13に示すように、第1弁体176は、連通口174aを閉鎖した状態のままである。そのため、インク流路72の圧力が第3圧力P3以上になった場合であっても、負圧開放弁機構171は開放しない。
以上、インク供給システム61の構成について説明した。次に、キャップユニット110およびワイパー機構140について説明する。図16は、キャップユニット110の正面図である。図16は、キャップ111~114がそれぞれノズル面45に装着されていない状態を示す図である。
本実施形態では、図16に示すように、キャップユニット110は、キャップ111~114と、キャッピング機構120と、吸引ポンプ131~134と、を備えている。
キャップ111~114は、それぞれインクヘッド41~44のノズル面45に装着可能に構成されている。ここで、「装着」とは、ノズル51~58がキャップ111~114に覆われるように、インクヘッド41~44に取り付けられている状態のことをいう。「装着」には、キャップ111~114がそれぞれインクヘッド41~44の下部に嵌まっている状態の他、キャップ111~114がノズル51~58を覆うように、キャップ111~114の端面(ここでは上端面)がそれぞれインクヘッド41~44のノズル面45に接触している状態も含まれるものとする。
本実施形態では、キャップ111~114は、主走査方向Yに並んで配置されている。キャップ111~114は、上部が開口した箱状の形状を有している。なお、キャップ111~114を形成する材料の種類は特に限定されない。キャップ111~114の少なくともインクヘッド41~44と接触する部分は、例えばゴムなどによって形成されている。また、キャップ111~114の内部には、スポンジなどの吸収体(図示せず)が配置されている。キャップ111~114の上部の開口の形状は、インクヘッド41~44の外周部の形状に対応している。
キャッピング機構120は、図16の矢印のように、キャップ111~114を昇降させる機構である。キャッピング機構120は、インクヘッド41~44のノズル面45に対して、それぞれキャップ111~114を装着させたり、離間させたりする機構である。本実施形態では、キャッピング機構120は、キャップ111~114同士の相対的な位置を変化させずに、キャップ111~114を同時に昇降させるように構成されている。
なお、キャッピング機構120の具体的な構成は特に限定されない。本実施形態では、キャッピング機構120は、支持部材121と、キャッピングモータ122とを有している。支持部材121は、キャップ111~114を支持する部材である。ここでは、支持部材121は板状の部材である。キャッピングモータ122は、支持部材121に接続されている。キャッピングモータ122が駆動することで、支持部材121が昇降する。この支持部材121の昇降に伴い、キャップ111~114は同時に昇降する。
吸引ポンプ131~134は、それぞれキャップ111~114に接続されている。吸引ポンプ131~134は、それぞれキャップ111~114内のインクや空気などを吸引する部材である。吸引ポンプ131~134の種類は特に限定されない。吸引ポンプ131~134は、例えば真空ポンプである。吸引ポンプ131~134は、それぞれチューブなどを介してキャップ111~114の底面に接続されている。例えば、キャップ111~114がそれぞれインクヘッド41~44のノズル面45に装着された状態で吸引ポンプ131~134が駆動された時には、インクヘッド41~44のノズル51~58からインクなどが吸い出される。吸引ポンプ131~134に吸引されたインクなどは、図示しないチューブなどを介して図示しない廃液タンクに廃棄される。
本実施形態では、キャップ111~114は、ガイドレール15(図1参照)の右端部に位置するホームポジション(図示せず)に配置されている。そのため、ヘッド移動機構30(図1参照)によってインクヘッド41~44が主走査方向Yに移動することで、キャップ111~114に対するインクヘッド41~44の主走査方向Yにおける相対的な位置を変更することができる。インクヘッド41~44が主走査方向Yに移動することで、平面視においてインクヘッド41~44のノズル面45がそれぞれキャップ111~114と重なる位置に、インクヘッド41~44を配置することができる。そして、平面視において、インクヘッド41~44のノズル面45がそれぞれキャップ111~114に重なっている状態で、キャップ111~114が上昇することで、インクヘッド41~44のノズル面45にそれぞれキャップ111~114を装着させることができる。
図17は、ワイパー機構140の正面図である。ワイパー機構140は、キャップ111~114の近傍に配置されており、図17に示すように、インクヘッド41~44よりも下方に設けられている。ワイパー機構140は、インクヘッド41~44のノズル面45をワイピングする機構である。ワイパー機構140の構成は、特に限定されない。本実施形態では、ワイパー機構140は、ワイパー141と、回転軸142と、洗浄液槽143と、回転モータ144とを備えている。
ワイパー141は、インクヘッド41~44のノズル面45を拭う部材である。ワイパー141は、前後方向と上下方向に延びる平板状の部材である。ワイパー141の前後方向の長さは、インクヘッド41~44の前後方向の長さよりも長く構成されている。ワイパー141は、例えばゴムで形成されている。ワイパー141の一端は回転軸142に接続されている。
ワイパー141は、回転軸142を中心に回転可能に構成されている。回転軸142は、前後方向に延びている。ワイパー141が、回転軸142から遠い方の端部を上にするような回転位置に配置されるとき、当該端部は、インクヘッド41~44のノズル面45よりもわずかに高い位置に位置する。そこで、ワイパー141をこのような回転位置に配置しつつ、キャリッジ17を走行させると、ワイパー141によりインクヘッド41~44のノズル面45を拭うことができる。一方、ワイパー141は、回転軸142から遠い方の端部を下にするような回転位置に配置されるとき、回転軸142の下方に設置された洗浄液槽143中の洗浄液に浸漬される。ワイパー141は、回転モータ144によって回転される。
次に、図1に示す制御装置200について説明する。制御装置200は、印刷に関する制御などを行う装置である。制御装置200の構成は特に限定されない。制御装置200は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。なお、制御装置200は必ずしもプリンタ100の内部に設けられている必要はない。例えば、プリンタ100の外部に設置され、有線または無線を介してプリンタ100と通信可能に接続されたコンピュータなどであってもよい。
図18は、プリンタ100のブロック図である。図18に示すように、制御装置200は、搬送機構20のフィードモータ23、および、ヘッド移動機構30のキャリッジモータ33に通信可能に接続され、搬送機構20およびヘッド移動機構30を制御する。制御装置200は、インクヘッド41~44と通信可能に接続され、インクヘッド41~44のノズル51~58(図2参照)から吐出されるインクのタイミングなどを制御する。また、制御装置200は、送液ポンプ73に通信可能に接続され、送液ポンプ73の駆動を制御することで、インク流路72を流れるインクの量を制御する。制御装置200は、リリーフバルブ74に通信可能に接続され、リリーフバルブ74の開閉を制御する。ここでは、制御装置200は、リリーフバルブ74のソレノイド155およびボタン168に通信可能に接続されている。制御装置200は、ソレノイド155のONまたはOFFを制御することで、軸芯166の上下の位置および移動範囲を変更し、リリーフバルブ74の状態を第1の状態S1または第2の状態S2に変更する。また、制御装置200は、ボタン168の上下方向の位置を制御する。
本実施形態では、制御装置200は、キャッピング機構120と通信可能に接続されている。制御装置200は、キャッピング機構120を制御することで、インクヘッド41~44のノズル面45に対するキャップ111~114の着脱を制御する。制御装置200は、吸引ポンプ131~134に通信可能に接続されており、吸引ポンプ131~134の駆動を制御する。また、制御装置200は、ワイパー機構140の回転モータ144に通信可能に接続されており、回転モータ144を制御することで、インクヘッド41~44のノズル面45に対するワイパー141のワイピングを制御する。
本実施形態では、制御装置200は、記憶部201と、キャッピング制御部210と、クリーニング吸引ポンプ制御部211と、クリーニング送液ポンプ制御部213と、第1クリーニングポンプ制御部215と、第2クリーニングポンプ制御部216と、クリーニングバルブ制御部217と、ワイピング制御部219とを備えている。さらに、制御装置200は、印刷ポンプ制御部221と、印刷バルブ制御部223と、第1循環制御部225と、第2循環制御部227と、メンテナンス制御部229とを備えている。なお、制御装置200の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、制御装置200の各部は、プロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。プロセッサによって行われる場合、プロセッサの数は1つであってもよいし、複数であってもよい。なお、上述した制御装置200の各部の具体的な制御などについては後述する。
以上、本実施形態に係るプリンタ100の構成について説明した。本実施形態では、プリンタ100の動作には、印刷動作、第1クリーニング動作、第2クリーニング動作、第3クリーニング動作、ワイピング動作、循環動作、メンテナンス動作が含まれる。各動作によって、インク供給システム61~68を構成する各部材の動作が異なることがあり得る。以下、各動作について説明する。
印刷動作は、プラテン13に支持された媒体5(図1参照)に、インクヘッド41~44のノズル51~58(図2参照)からインクを吐出することで、印刷を行う動作である。図19および図20は、印刷動作のときのインク供給システム61~68の状態を示す模式図である。図19は、インク流路72の圧力が第1圧力P1より高いときを示している。図20は、インク流路72の圧力が第1圧力P1以下のときを示している。なお、図19~図26において、矢印はインクの流れを示している。また、図19~図26において、送液ポンプ73および吸引ポンプ131~134が停止しているときには、「×」を示し、駆動しているときには、「×」を示していない。図19~図26において、リリーフバルブ74、負圧開放弁機構171および加圧開放弁機構181がそれぞれ閉鎖しているときには、「×」を示し、開放しているときには、「×」を示していない。
印刷動作では、図19および図20に示すように、インクタンク71に貯留されたインクの一部を、インクヘッド41~44に供給しつつ、当該インクの他の一部を、適宜循環させる。本実施形態では、印刷動作におけるインク供給システム61~68に対する制御は、図18に示す印刷ポンプ制御部221および印刷バルブ制御部223によって行われる。
印刷動作では、印刷ポンプ制御部221は、図19に示すように、送液ポンプ73を駆動させるように送液ポンプ73を制御する。そして、印刷バルブ制御部223は、リリーフバルブ74が第1の状態S1(図6参照)となるようにリリーフバルブ74を制御する。詳しくは、印刷バルブ制御部223は、リリーフバルブ74のソレノイド155をONにする。そのため、印刷動作では、図6に示すように、インク流路72の圧力(言い換えると、バルブ流入路157の圧力)が第1圧力P1以上になると、リリーフバルブ74が開放する。
印刷動作において、インクヘッド41~44からインクが吐出されると、ダンパー75の負圧開放弁機構171の第2負圧開放インク室174のインクがインクヘッド41~44へ供給される。そのため、第2負圧開放インク室174のインクの量が減少して圧力が減圧するため、図14に示すように、弁膜175が第2負圧開放インク室174の内側に弾性変形する。そして、第2負圧開放インク室174の圧力が開放圧力P10(例えば-0.1kPa)未満になると、第1弁体176に対する閉鎖力F1が開放力F2未満になる。このとき、弁膜175における第2負圧開放インク室174の内側への弾性変形で押された第1弁体176が連通口174aを開放する。その結果、図20に示すように、負圧開放弁機構171が開放する。
このことで、インクタンク71内のインクが、順流路81を通ってインクヘッド41~44に供給される。このように、負圧開放弁機構171が開放することで、インク流路72の圧力も第1圧力P1以下となるが、インクタンク71からインクヘッド41~44にインクが供給されることで、インク流路72の圧力が第1圧力P1以上に戻る。そのため、インクヘッド41~44にインクが供給されるタイミングでは、リリーフバルブ74は閉鎖することがあり得る。
本実施形態では、インク流路72(詳しくは、順流路81および第1返流路83a)の圧力が第1圧力P1以上になると、リリーフバルブ74は第1の状態S1であるため、バルブ弁体153がバルブ流出口158aを開放し(図6参照)、リリーフバルブ74が開放した状態となる。なお、図19に示すように、インク流路72の圧力が第1圧力P1以上のときには、負圧開放弁機構171が開放した状態になり、第1負圧開放インク室173内のインクは、第2負圧開放インク室174へ流れる。そのため、第2負圧開放インク室174の圧力が開放圧力P10以上になり、図13に示すように、第1弁体176に対する閉鎖力F1が開放力F2以上になり、負圧開放弁機構171は、閉鎖した状態となる。よって、印刷動作では、インク流路72の圧力が第1圧力P1以上になると、インクタンク71から流出したインクは、第1順流路81a、第2順流路81bおよび返流路83で循環することになる。このように、印刷動作では、第1圧力P1を基準にして、インクヘッド41~44へのインクの供給と、インクタンク71を含めたインクの循環を繰り返す。
次に、第1~第3クリーニング動作について説明する。ここでは、クリーニング動作とは、図16に示すように、インクヘッド41~44のそれぞれのノズル面45に、キャップ111~114を装着し、インクヘッド41~44内のインクをキャップ111~114に吐出させて、ノズル51~58の吐出詰まりなどを抑制するインクヘッド41~44に対するクリーニングの動作のことをいう。本実施形態では、第1~第3クリーニング動作では、送液ポンプ73および吸引ポンプ131~134に対する制御が異なる。
図21は、第1クリーニング動作および第3クリーニング動作のときのインク供給システム61~68の状態を示す模式図である。図21に示すように、第1クリーニング動作では、吸引ポンプ131~134を駆動させ、かつ、送液ポンプ73を停止させて、インクヘッド41~44のクリーニングを行う。第1クリーニング動作におけるインク供給システム61~68に対する制御は、図18に示すキャッピング制御部210、クリーニング吸引ポンプ制御部211およびクリーニングバルブ制御部217によって行われる。
第1クリーニング動作では、まずキャッピング制御部210は、インクヘッド41~44を図示しないホームポジションに移動させるように、ヘッド移動機構30を制御する。ここで、ホームポジションは、印刷待機時にインクヘッド41~44が待機する位置であり、例えばガイドレール15(図1参照)よりも右方の位置である。また、ホームポジションの近傍には、キャップユニット110が配置されている。インクヘッド41~44がホームポジションに配置されている状態で、キャッピング制御部210は、キャッピング機構120(詳しくはキャッピングモータ122(図16参照))を制御して、インクヘッド41~44のノズル面45にキャップ111~114を装着させる。
次に、第1クリーニング動作では、図21に示すように、インクヘッド41~44のノズル面45にキャップ111~114を装着させた状態で、クリーニング吸引ポンプ制御部211は、吸引ポンプ131~134を駆動させ、かつ、送液ポンプ73を停止させる。このとき、クリーニング吸引ポンプ制御部211は、吸引ポンプ131~134のうち、一部のみを駆動させることも可能である。また、第1クリーニング動作では、クリーニングバルブ制御部217は、リリーフバルブ74が第2の状態S2(図8参照)となるように、リリーフバルブ74を制御する。詳しくは、クリーニングバルブ制御部217は、リリーフバルブ74のソレノイド155をOFFにする。このことで、ソレノイド155の軸芯166は、バルブロッド154と共に上下に移動可能となる。そのため、第1クリーニング動作では、図8に示すように、インク流路72の圧力が第2圧力P2以上になると、リリーフバルブ74が開放する。
第1クリーニング動作では、送液ポンプ73が停止しているため、インクタンク71内のインクは、インクヘッド41~44に供給されない。そのため、送液ポンプ73が停止している状態では、ノズル51~58からインクは漏れ出さない。ここで、インクヘッド41~44のノズル面45にキャップ111~114が装着した状態で、吸引ポンプ131~134が駆動することで、インクヘッド41~44内のインクが吸引されて、キャップ111~114内に吐出される。キャップ111~114内のインクは、吸引ポンプ131~134によって更に吸引されて、廃液タンク(図示せず)に排出される。このようにして、第1クリーニング動作によるインクヘッド41~44に対するクリーニングが行われる。
なお、第1クリーニング動作のときには、インクヘッド41~44内のインクが吸引されるため、インクヘッド41~44が減圧する。そのため、図21に示すように、インクヘッド41~44の圧力と共に、第2負圧開放インク室174が開放圧力P10未満となる。その結果、図14に示すように、第1弁体176に対する閉鎖力F1が開放力F2未満となり、負圧開放弁機構171が開放する。なお、第1クリーニング動作のときには、加圧開放弁機構181は閉鎖している。
本実施形態では、第2クリーニング動作および第3クリーニング動作は、インクヘッド41~44に対して、いわゆる加圧クリーニングを行う動作である。ここで、加圧クリーニングは、インク流路72を加圧させながら、インクを積極的にインクヘッド41~44に送るクリーニングである。この加圧クリーニングでは、本実施形態のように、例えばインクヘッド41に複数のノズル列51a、52aが存在している場合であっても、ノズル列51a、52aごと(言い換えると、インク供給システム61、62ごと)に、インク流路72を加圧させながら、インクヘッド41の加圧クリーニングを行うことができる。
図22は、第2クリーニング動作および第3クリーニング動作のときのインク供給システム61~68の状態を示す模式図である。図22では、インク流路72の圧力は、第3圧力P3以上であり、第2圧力P2より低い。第2クリーニング動作では、図22に示すように、送液ポンプ73を駆動させ、かつ、吸引ポンプ131~134を停止させて、インクヘッド41~44の加圧クリーニングを行う。第2クリーニング動作におけるインク供給システム61~68に対する制御は、図18に示すキャッピング制御部210、クリーニング送液ポンプ制御部213およびクリーニングバルブ制御部217によって行われる。
第2クリーニング動作では、第1クリーニング動作と同様に、キャッピング制御部210は、キャッピング機構120を制御して、インクヘッド41~44のノズル面45にキャップ111~114を装着させる。次に、インクヘッド41~44のノズル面45にキャップ111~114を装着させた状態で、クリーニング送液ポンプ制御部213は、送液ポンプ73を駆動させると共に、吸引ポンプ131~134を停止させる。本実施形態では、送液ポンプ73は、インク供給システム61~68のそれぞれに設けられているため、複数存在する。クリーニング送液ポンプ制御部213は、複数の送液ポンプ73のうちクリーニングを行いたいノズル51~58に対応した送液ポンプ73のみを駆動させてもよい。
また、第2クリーニング動作では、第1クリーニング動作と同様に、クリーニングバルブ制御部217は、リリーフバルブ74が第2の状態S2(図8参照)となるように、リリーフバルブ74を制御する。そのため、第2クリーニング動作では、インク流路72の圧力が第2圧力P2以上になると、リリーフバルブ74が開放する。
第2クリーニング動作では、図22に示すように、送液ポンプ73が駆動しているため、インクタンク71内のインクは、インクヘッド41~44に供給される。このとき、インク流路72およびインクヘッド41~44の圧力が高くなり、インク流路72の圧力は、例えば第1圧力P1よりも高く、かつ、第2圧力P2よりも低い第3圧力P3以上となる。インク流路72の圧力が第3圧力P3以上になると、ダンパー75の負圧開放弁機構171は閉鎖した状態であるが、加圧開放弁機構181は開放した状態となる。そのため、インクタンク71内のインクは、加圧開放弁機構181を通じてインクヘッド41~44へ供給され、ノズル51~58からインクが吐出されることになる。
ノズル51~58から吐出されたインクは、キャップ111~114に排出される。なお、第2クリーニング動作では、ノズル51~58からキャップ111~114へインクが排出された後、キャップ111~114内のインクを、廃液タンクに排出するために吸引ポンプ131~134を駆動させてもよい。
本実施形態では、第2クリーニング動作において、インク流路72の圧力が第3圧力P3近傍のときには、図22に示すように、リリーフバルブ74が閉鎖した状態であるため、インクは循環しない。以上のようにして、第2クリーニング動作によるインクヘッド41~44に対する加圧クリーニングが行われる。
なお、詳しい図示は省略するが、加圧クリーニング時に、インク流路72を加圧し過ぎて、インク流路72の圧力が第2圧力P2以上になった場合、リリーフバルブ74が開放する。このとき、インクタンク71を含めてインクが循環するため、インク流路72を減圧させることができる。インク流路72が減圧し、第2圧力P2より低くなったとき、リリーフバルブ74は閉鎖する。
第3クリーニング動作では、送液ポンプ73、および、吸引ポンプ131~134を適宜駆動させて、インクヘッド41~44の加圧クリーニングを行う。第3クリーニング動作におけるインク供給システム61~68に対する制御は、図18に示すキャッピング制御部210、第1クリーニングポンプ制御部215、第2クリーニングポンプ制御部216、および、クリーニングバルブ制御部217によって行われる。
第3クリーニング動作では、第1クリーニング動作と同様に、キャッピング制御部210は、キャッピング機構120を制御して、インクヘッド41~44のノズル面45にキャップ111~114を装着させる。次に、図21に示すように、インクヘッド41~44のノズル面45にキャップ111~114を装着させた状態で、クリーニングバルブ制御部217は、第1クリーニング動作と同様に、リリーフバルブ74が第2の状態S2(図8参照)となるように、リリーフバルブ74を制御する。そのため、第3クリーニング動作では、インク流路72の圧力が第2圧力P2以上になると、リリーフバルブ74が開放する。
次に、インクヘッド41~44のノズル面45にキャップ111~114を装着させた状態、かつ、リリーフバルブ74が第2の状態S2で、第1クリーニングポンプ制御部215は、図21に示すように、吸引ポンプ131~134を駆動させると共に、送液ポンプ73を停止させる。このように、吸引ポンプ131~134を駆動させることで、インクヘッド41~44内のインクが吸引されて、ノズル51~58からキャップ111~114内に排出される。このように吸引ポンプ131~134を駆動させることで、インクヘッド41~44内のインクと共に、インク流路72内のインクも吸引されることになる。そのため、インク流路72が減圧する。
このように第1クリーニングポンプ制御部215によって吸引ポンプ131~134を駆動させて、インク流路72を減圧させた後、第2クリーニングポンプ制御部216は、図22に示すように、送液ポンプ73を駆動させると共に、吸引ポンプ131~134を停止させる。このように、インク流路72が減圧した状態で、送液ポンプ73が駆動することで、インク流路72を流れるインクの単位時間当たりのインク量が多くなり、インク流路72の圧力が急速に高くなる。そして、インク流路72の圧力が第3圧力P3以上になったとき、ダンパー75の負圧開放弁機構171は閉鎖した状態であるが、加圧開放弁機構181は開放した状態となる。そのため、インクタンク71内のインクは、加圧開放弁機構181を通じてインクヘッド41~44へ供給され、ノズル51~58からインクが吐出されることになる。ノズル51~58から吐出されたインクは、キャップ111~114に排出される。
なお、第3クリーニング動作では、送液ポンプ73の駆動によってノズル51~58からキャップ111~114へインクが排出された後、キャップ111~114内のインクを、廃液タンクに排出するために吸引ポンプ131~134を駆動させてもよい。
第3クリーニング動作では、インク流路72を減圧させた後に、送液ポンプ73を駆動させて加圧クリーニングを行う。そのため、第2クリーニング動作と比較して、ノズル51~58から吐出されるインクの単位時間当たりの量が多くなるため、クリーニング時間を短縮することができる。以上のようにして、第3クリーニング動作によるインクヘッド41~44に対する加圧クリーニングが行われる。
ワイピング動作は、図17に示すように、インクヘッド41~44のノズル面45をワイピングする動作である。ワイピング動作では、インクヘッド41~44のクリーニングの後に、ノズル面45に付着したインクをワイパーによって拭う動作である。以下の説明では、加圧クリーニング(詳しくは、第2クリーニング動作および第3クリーニング動作)の後に行われるワイピング動作について説明する。ワイピング動作におけるインク供給システム61~68に対する制御は、図18に示すワイピング制御部219によって行われる。
本実施形態に係るワイピング動作は、加圧クリーニングの後に行われるものであるため、図22に示すように、送液ポンプ73が駆動している状態である。そのため、インク流路72およびインクヘッド41~44は加圧された状態であり、インク流路72の圧力は例えば第3圧力P3以上である。ワイピング動作開始時には、インクヘッド41~44のノズル51~58からインクが漏れている状態である。
図23は、ワイピング動作のときのインク供給システム61~68の状態を示す模式図である。ワイピング動作では、まずワイピング制御部219は、インクヘッド41~44のノズル面45からキャップ111~114が離間するようにキャッピング機構120を制御する。その後、ワイピング制御部219は、ワイパー機構140の上方にインクヘッド41~44が配置されるように、ヘッド移動機構30を制御する。次に、ワイピング制御部219は、図23に示すように、送液ポンプ73を駆動させた後、または、送液ポンプ73を駆動させながら、加圧開放弁機構181が開放した状態で、ノズル面45をワイパー141でワイピングさせるようにワイパー機構140を制御する。
ここで、送液ポンプ73を駆動させた後にワイピングを行う場合には、ワイピング制御部219は、送液ポンプ73を停止させて、所定の時間経過後、ワイパー141でノズル面45をワイピングするようにワイパー機構140を制御する。ここで、図示は省略するが、送液ポンプ73を停止したとき、インク流路72の圧力が徐々に低くなり、第3圧力P3未満になることで、加圧開放弁機構181が閉鎖する。このとき、インクヘッド41~44のノズル51~58からインクが漏れない状態となる。本実施形態に係るワイピング動作では、ノズル51~58からインクが漏れている状態、言い換えると、加圧開放弁機構181が開放している状態でワイピングが行われる。以上のことから、上記の所定の時間は、0または加圧開放弁機構181が閉鎖しない程度の時間であるとよい。なお、ワイピング動作時、負圧開放弁機構171は閉鎖した状態である。
本実施形態に係るワイピング動作では、送液ポンプ73を駆動させた後、または、送液ポンプ73を駆動させながら、ノズル面45をワイピングすることで、ノズル51~58からゴミなどが吸い込まれることを抑制することができる。また、ノズル51~58から漏れたインクで、ノズル面45に固化したインクを溶解することができる。そのため、ノズル面45に固化したインクを拭い易い。
なお、ワイピング動作では、上記のように加圧開放弁機構181が開放している状態でワイピングをした後に、ワイピング制御部219は、送液ポンプ73を停止して、加圧開放弁機構181が閉鎖した後に、もう一度、ノズル面45をワイパー141でワイピングするようにワイパー機構140を制御してもよい。このことで、ノズル面45に付着したインクをより取り除き易い。以上のようにして、ワイピング動作が行われる。
循環動作は、印刷待機時において、インクタンク71を含めてインクを循環させることで、インク流路72内に留まったインクが沈殿するのを抑制し、かつ、インク流路72内のインクを攪拌させるための動作である。循環動作におけるインク供給システム61~68に対する制御は、図18に示す第1循環制御部225、および、第2循環制御部227によって行われる。
図24および図25は、循環動作のときのインク供給システム61~68の状態を示す模式図である。なお、図24および図25は、インク流路72の圧力が第1圧力P1よりも高く、かつ、第3圧力P3よりも低いときを示している。
印刷待機時、インクヘッド41~44にキャップ111~114が装着されている。印刷待機時、送液ポンプ73は駆動しておらず、インク流路72の圧力は、少なくとも第3圧力P3よりも低い。そのため、印刷待機時、加圧開放弁機構181は閉鎖している。なお、印刷待機時、負圧開放弁機構171も閉鎖している状態である。また、印刷待機時において、リリーフバルブ74のソレノイド155がOFFになっているため、リリーフバルブ74は第2の状態S2である。そのため、インク流路72の圧力が第2圧力P2以上になると、リリーフバルブ74は開放する。
循環動作では、印刷待機時において、まず第1循環制御部225は、図24に示すように、加圧開放弁機構181が閉鎖した状態で、リリーフバルブ74を閉鎖させると共に、送液ポンプ73を駆動させる。ここでリリーフバルブ74を閉鎖させるとは、リリーフバルブ74が開放しない程度に、送液ポンプ73を駆動させるということである。ここでは、第1循環制御部225は、インク流路72の圧力が第2圧力P2以上にならないように、送液ポンプ73を駆動させる。更に本実施形態では、第1循環制御部225による制御のときには、加圧開放弁機構181が開放しない。そのため、第1循環制御部225は、インク流路72の圧力が第3圧力以上にならないように、送液ポンプ73を駆動させる。詳しくは、第1循環制御部225は、インク流路72の圧力が、第1圧力P1よりも高く、かつ、第3圧力P3よりも低くなるように、送液ポンプ73を駆動させるとよい。
次に、第2循環制御部227は、第1循環制御部225による制御の後、図25に示すように、リリーフバルブ74を開放させる。詳しくは、第2循環制御部227は、リリーフバルブ74のソレノイド155をONにして、第2の状態S2から第1の状態S1に切り替える。このことで、リリーフバルブ74は、第1圧力P1以上で開放する状態となる。ここでは、第1循環制御部225による制御の後では、インク流路72の圧力は、第1圧力P1以上であるため、第2循環制御部227によってリリーフバルブ74が第1の状態S1になることで、リリーフバルブ74は開放する。
このように、第2循環制御部227によって送液ポンプ73が駆動した状態で、リリーフバルブ74が開放することで、インク流路72の圧力が一時的に低くなる。そのため、図25に示すように、インク流路72の第3順流路81cにおいてインクが逆流、すなわち、返流路83に向かって流れる。そのため、第1順流路81a、第2順流路81bおよび返流路83の間で循環するインクの単位時間当たりの量が多くなる。よって、インクを循環させる時間を短縮することができると共に、インクをより早く攪拌することができる。以上のようにして、循環動作は行われる。
メンテナンス動作は、プリンタ100のメンテナンス時に行われる動作である。ここで、プリンタ100のメンテナンスとは、例えばインク供給システム61~68の状態などを確認する際の作業のことである。メンテナンス動作におけるインク供給システム61~68に対する制御は、メンテナンス制御部229(図18参照)によって行われる。
図26は、メンテナンス動作のときのインク供給システム61~68の状態を示す模式図である。メンテナンス動作では、インク流路72の圧力を、インクタンク71の水頭圧まで低くする。そのため、まずメンテナンス制御部229は、図26に示すように、印刷待機時において、インクヘッド41~44がキャップ111~114に装着されている状態で、送液ポンプ73を停止する。また、メンテナンス制御部229は、リリーフバルブ74のソレノイド155をOFFにして、リリーフバルブ74の状態を第2の状態S2にする。
その後、図10に示すように、利用者は、リリーフバルブ74のボタン168を手動で上方に移動させる。ここでは、利用者は、リリーフバルブ74のカバー156bをバルブ本体151から取り外す。このことで、第2バルブインク室152bは下方に開放された状態となる。利用者が手動でボタン168を押し上げることで、ボタン168によってバルブ弁体153が押し上げられる。その結果、バルブ弁体153がバルブ流出口158aを開放させる。よって、ボタン168を上方に移動させることで、インク流路72の圧力が第1圧力P1より低い場合であっても、リリーフバルブ74は開放する。このように、ボタン168によってリリーフバルブ74が開放することで、インク流路72の圧力が、インクタンク71の水頭圧まで低くなる。そして、インク流路72の圧力を上記水頭圧にした状態で、プリンタ100のメンテナンスが行われる。
以上、本実施形態では、図4に示すように、第1順流路81aの一端は、インクが貯留されたインクタンク71に接続されている。送液ポンプ73は、第1順流路81aの他端に接続されている。第2順流路81bの一端は、送液ポンプ73に接続されている。第3順流路81cの一端は、第2順流路81bの他端に接続されている。返流路83は、一端が第2順流路81bの他端に接続され、他端がインクタンク71に接続されている。負圧開放弁機構171は、第3順流路81cの他端に接続されると共に、例えばインクヘッド41のノズル51に連通している。図13に示すように、負圧開放弁機構171は、第1流入路172(図12参照)と、第2負圧開放インク室174と、第1弁体176と、第1流出路177を有する。第1流入路172の一端は、第3順流路81c(図4参照)の他端に接続されている。第2負圧開放インク室174は、第1流入路172の他端が接続された連通口174aが形成されると共に、第1流出口174cが形成されている。第1弁体176は、第2負圧開放インク室174の圧力が第1圧力P1より高いときに連通口174aを閉鎖し、第2負圧開放インク室174の圧力が第1圧力P1以下のときに連通口174aを開放する。第1流出路177は、一端が第1流出口174cに接続され、他端がノズル51に連通している。
本実施形態では、第2負圧開放インク室174の圧力が開放圧力P10よりも高く、図13に示すように、第1弁体176に対する閉鎖力F1が開放力F2以上のとき、負圧開放弁機構171は閉鎖しているため、インクタンク71のインクは、図19に示すように、送液ポンプ73の駆動によって第1順流路81a、第2順流路81bおよび返流路83を通ってインクタンク71に戻る。よって、第2負圧開放インク室174の圧力が開放圧力P10より高いとき、インクタンク71を含めてインクが循環するため、インクが攪拌されてインクが沈殿し難くなる。この状態で、インクヘッド41のノズル51からインクが吐出されて第2負圧開放インク室174の圧力が開放圧力P10未満になると、図14に示すように、第1弁体176に対する閉鎖力F1が開放力F2未満になるため、図20に示すように、負圧開放弁機構171が開放する。そのため、インクタンク71内の循環および攪拌させたインクをインクヘッド41のノズル51に供給することができる。よって、インクタンク71内のインクが沈殿した状態で、インクタンク71内のインクをインクヘッド41へ供給し難くすることができる。
本実施形態では、負圧開放弁機構171は、図13に示すように、第1弁体176が連通口174aを閉鎖する側に向かって、第1弁体176に対して弾性力を付与する第1負圧開放バネ179aを有する。このことによって、第1負圧開放バネ179aの弾性力に応じて、閉鎖力F1の大きさを調整することができる。よって、第1負圧開放バネ179aの弾性力に応じて、負圧開放弁機構171が開放されるタイミングを調整することができる。
本実施形態では、図13に示すように、負圧開放弁機構171は、大気開放室174bと、弁膜175とを有する。大気開放室174bは、第2負圧開放インク室174と並んで配置され、大気に連通する大気口174dが形成されている。弁膜175は、第2負圧開放インク室174と、大気開放室174bとを区画する。弁膜175は、第2負圧開放インク室174の圧力に基づいて弾性変形可能なゴムによって形成されている。このことによって、インクヘッド41のノズル51からインクが吐出されることで、図14に示すように、第2負圧開放インク室174の圧力が低くなり、弁膜175が第2負圧開放インク室174の内側に弾性変形する。このように、弁膜175を形成するゴムが弾性変形する性質を利用して、第2負圧開放インク室174の圧力に応じて、弁膜175を容易に変形させることができる。また、本実施形態では、大気開放室174bが大気開放されていることで、弁膜175は、外側からの力を受け難く、第2負圧開放インク室174の圧力に応じて弾性変形し易い。
また、仮に弁膜175がフィルムの場合、フィルムを多層構造にすることが多く、フィルムに液溜まりが発生するおそれがある。しかしながら、本実施形態では、弁膜175がゴムによって形成されているため、ゴムを単層構造にすることができる。よって、上記のような液溜まりは発生し難い。また、弁膜175がゴムで形成されることで、遮光性を実現し易く、耐圧性を高くすることができる。
本実施形態では、弁膜175は、第1弁体176と当接し、第1弁体176に対して、第1弁体176が連通口174aから離れる方向に力を付勢するように構成されている。このことによって、第2負圧開放インク室174の圧力に応じて弁膜175が弾性変形したとき、弁膜175の弾性変形に応じて第1弁体176を動かし易い。
本実施形態では、負圧開放弁機構171は、弁膜175が連通口174aから離れる側に向かうように、弁膜175に対して弾性力を付与する第2負圧開放バネ179bを有する。このことによって、第2負圧開放バネ179bの弾性力に応じて、開放力F2の大きさを調整することができる。よって、第2負圧開放バネ179bの弾性力に応じて、負圧開放弁機構171が開放されるタイミングを調整することができる。
本実施形態では、図4に示すように、リリーフバルブ74は、返流路83を開閉可能に返流路83に設けられている。このことによって、インクを循環させるときには、リリーフバルブ74を開放させ、インクを循環させないときには、リリーフバルブ74を閉鎖させればよい。よって、リリーフバルブ74の開閉によって、インクタンク71を含めたインクの循環を調整することができる。
本実施形態では、リリーフバルブ74は、図6に示すように、第1の状態S1のときに第1圧力P1以上で返流路83を開放し、図8に示すように、第1の状態S1とは異なる第2の状態S2のときに第1圧力P1よりも高い第2圧力P2以上で返流路83を開放するように構成されている。本実施形態では、印刷バルブ制御部223は、印刷時、図19に示すように、リリーフバルブ74が第1の状態S1となるようにリリーフバルブ74を制御する。クリーニングバルブ制御部217は、クリーニング時、図22に示すように、リリーフバルブ74が第2の状態S2となるようにリリーフバルブ74を制御する。第1圧力P1は、例えば30kPa~50kPaである。第2圧力P2は、130kPa~170kPaである。このように、リリーフバルブ74では、第1の状態S1から第2の状態S2、または、第2の状態S2から第1の状態S1に状態を変更することで、返流路83が開放されるタイミングを変更することができる。
本実施形態では、第1圧力P1の30kPa~50kPaは、印刷時に、インクが吐出された後の第2負圧開放インク室174の圧力近傍である。負圧開放弁機構171が開放するのは、第2負圧開放インク室174の圧力が第1圧力P1以下のときである。そのため、印刷中では、図19および図20に示すように、印刷バルブ制御部223によってリリーフバルブ74を第1の状態S1とすることで、負圧開放弁機構171の開閉と連動させて、リリーフバルブ74を開閉することができる。
また、例えば加圧クリーニング時、インク流路72を加圧させ過ぎることがあり得る。例えばインク流路72において、適切に使用できる最大の圧力は、第2圧力P2の130kPa~170kPaである。そのため、加圧クリーニング時に、図22に示すように、クリーニングバルブ制御部217によってリリーフバルブ74を第2の状態S2にする。このことで、インク流路72の圧力が第2圧力P2以上となって、インク流路72の圧力が高くなり過ぎたときに、リリーフバルブ74が開放する。リリーフバルブ74が開放することで、インク流路72が減圧される。よって、加圧クリーニング時に、インク流路72の圧力が高くなり過ぎる(言い換えると、第2圧力P2以上になる)ことを防ぐことができる。
本実施形態では、図6に示すように、リリーフバルブ74では、第1バルブインク室152aaには、インクが流入するバルブ流入路157が接続されたバルブ流入口157a、および、バルブ流出口158aが形成されている。インクが流出するバルブ流出路159は、バルブ流出口158aに接続されている。バルブ弁体153は、バルブ流出口158aを開閉可能である。第1バネ161は、バルブ弁体153に対してバルブ流出口158aに向かう方向に弾性力を付与する。バルブロッド154は、バルブ弁体153に接触し、バルブ弁体153をバルブ流出口158aに対して開閉動作させるものである。ソレノイド155は、ソレノイド本体165と、ソレノイド本体165に対して移動可能にソレノイド本体165に挿通し、バルブロッド154に接触可能な軸芯166と、を有する。本実施形態では、ソレノイド155は、いわゆるノーマルクローズタイプである。第2バネ162は、軸芯166に対してソレノイド本体165から離れる方向に弾性力を付与する。ソレノイド155がONのとき、バルブロッド154と軸芯166とが離間する位置で軸芯166の位置を固定するように構成されている。ソレノイド155がOFFのとき、バルブロッド154と軸芯166とが接触した状態で、軸芯166はソレノイド本体165に対して移動可能に構成されている。図6に示す第1の状態S1は、ソレノイド155がONの状態であり、バルブロッド154と軸芯166とが離間する位置で軸芯166の位置が固定された状態である。ここでは、第1の状態S1のときには、バルブロッド154と軸芯166とが離間しているため、軸芯166がバルブロッド154によって押し上げられない。そのため、第1の状態S1では、軸芯166の位置が固定される。図8に示す第2の状態S2は、ソレノイド155がOFFの状態であり、バルブロッド154と軸芯166とが接触した状態で、軸芯166がソレノイド本体165に対して移動可能な状態である。ここでは、第2の状態S2のときには、軸芯166がバルブロッド154によって押し上げられるため、軸芯166がソレノイド本体165に対して移動可能となる。
このことによって、図7に示すように、リリーフバルブ74が第1の状態S1で、ソレノイド155がONのとき、バルブ弁体153は、第1バネ161の弾性力によって押された状態で、バルブ流出口158aを閉鎖している。ここでは、バルブ流入路157の圧力が第1圧力P1以上のときに、第1バネ161の弾性力に抗して、バルブ弁体153はバルブ流出口158aを開放し、リリーフバルブ74を開放させることができる。一方、図9に示すように、リリーフバルブ74が第2の状態S2で、ソレノイド155がOFFのとき、バルブ弁体153は、第1バネ161および第2バネ162の両方の弾性力の合計の弾性力によって押された状態で、バルブ流出口158aを閉鎖している。ここでは、バルブ流入路157の圧力が第1圧力P1よりも高い第2圧力P2以上のときに、第1バネ161および第2バネ162の合計の弾性力に抗して、バルブ弁体153はバルブ流出口158aを開放し、リリーフバルブ74を開放させることができる。リリーフバルブ74の構成を、本実施形態のような構成にすることで、インク流路72の圧力に応じて、返流路83が開放されるタイミングを変更することができる。
このように、本実施形態では、ソレノイド155は、いわゆるノーマルクローズタイプであった。しかしながら、ソレノイド155は、いわゆるノーマルオープンタイプであってもよい。ソレノイド155がノーマルオープンタイプの場合、第2バネ162は、軸芯166に対してソレノイド本体165に近づく方向(例えば図6では上向き)に弾性力を付与する。この場合、第2バネ162は、例えばソレノイド本体165と軸芯166のフランジ167との間に介在しており、ソレノイド155がONのとき、伸びた状態になる。そして、ソレノイド155がOFFのとき、第2バネ162の縮む力によって軸芯166が上方に移動する。ソレノイド155がノーマルオープンタイプの場合、ソレノイド155がOFFのときに、バルブロッド154と軸芯166とが離間する位置で軸芯166の位置を固定するように構成され、第1の状態S1(例えば図6参照)となる。ソレノイド155がONのときに、バルブロッド154と軸芯166とが接触した状態で、軸芯166がソレノイド本体165に対して移動可能に構成され、第2の状態S2(例えば図8参照)となる。このように、ソレノイド155がノーマルオープンタイプであっても、ノーマルクローズタイプのときと同様の効果が得られる。
本実施形態では、図4に示すように、加圧開放弁機構181は、第3順流路81cの他端に接続されると共に、ノズル51に連通している。加圧開放弁機構181では、第2流入路182の一端は、第3順流路81cの他端に接続されている。図12に示すように、加圧開放インク室183には、第2流入路182の他端が接続された第2流入口183aが形成されると共に、第2流出口183bが形成されている。第2弁体185は、第2流入路182の圧力が、第1圧力P1より高く、かつ、第2圧力P2より低い第3圧力P3より低いときに第2流入口183aを閉鎖し、第2流入路182の圧力が第3圧力P3以上のときに第2流入口183aを開放する。第2流出路186の一端は、第2流出口183bに接続され、第2流出路186の他端は、ノズル51に連通している。加圧開放弁機構181は、インクヘッド41の加圧クリーニングのとき、第2弁体185が第2流入口183aを開放し(図22参照)、かつ、インクヘッド41の加圧クリーニング以外のとき、第2弁体185が第2流入口183aを閉鎖するように構成されている(図19参照)。言い換えると、第2弁体185は、インクヘッド41のクリーニングのとき、第2流入口183aを開放し、かつ、インクヘッド41のクリーニング以外のとき、第2流入口183aを閉鎖するように構成されている。
このことによって、加圧クリーニング時、図22に示すように、送液ポンプ73を駆動して、インク流路72を加圧して、インク流路72の圧力が第3圧力P3以上になったときに、負圧開放弁機構171を閉鎖した状態で、加圧開放弁機構181を開放させることができる。よって、加圧クリーニング時、インク流路72の圧力を第3圧力P3以上にして、インクタンク71内のインクを、加圧開放弁機構181を通じてインクヘッド41に供給しながら、インクヘッド41のクリーニングを行うことができる。また、加圧クリーニング以外の例えば印刷時には、インク流路72の圧力は、第3圧力P3より低い。そのため、加圧クリーニング以外のとき、図19に示すように、加圧開放弁機構181を閉鎖させた状態にすることができる。
本実施形態では、図13に示すように、1つのダンパー本体170に、負圧開放弁機構171および加圧開放弁機構181が設けられている。第2負圧開放インク室174の少なくとも一部、および、加圧開放インク室183の少なくとも一部は、ダンパー本体170に形成されている。このことによって、ダンパー75に関する部品点数を少なくすることができる。
本実施形態では、負圧開放弁機構171と加圧開放弁機構181とは、上下に並んで配置されている。詳しくは、負圧開放弁機構171は、加圧開放弁機構181の上方に配置されている。このことによって、ダンパー75の幅方向の長さを短くすることができるため、プリンタ100が水平方向に大型化することを抑制することができる。
本実施形態では、負圧開放弁機構171の第1弁体176の中心軸L1と、加圧開放弁機構181の第2弁体185の中心軸L2とは、略平行であり、かつ、略水平である。このことによって、第1弁体176および第2弁体185は、同じ方向、かつ、水平方向に弾性変形をして開閉することができる。よって、例えば上下方向に弾性変形して開閉する場合と比較すると、重力の影響を受け難くすることができる。
本実施形態では、負圧開放弁機構171は、第1弁体176が連通口174aを閉鎖するときに第1弁体176が接触する第1弁座176aを有している。加圧開放弁機構181は、第2弁体185が第2流入口183aを閉鎖するときに第2弁体185が接触する第2弁座185aを有している。第1弁座176aの一方側(図13では右側)に第1流入口173aが配置され、かつ、第1弁座176aの他方側(図13では左側)に第1流出口174cが配置されている。第2弁座185aの一方側に第2流入口183aが配置され、かつ、第2弁座185aの他方側に第2流出口183bが配置されている。このことによって、負圧開放弁機構171および加圧開放弁機構181において、それぞれ第1弁座176aおよび第2弁座185aの一方側から他方側に向かってインクが流れる。よって、負圧開放弁機構171および加圧開放弁機構181において、インクが流れる方向を同じにすることができ、単純な構成にすることができる。よって、ダンパー75の構成を複雑化することを抑制することができる。
本実施形態では、インクヘッド41は、ノズル51、52が形成されたノズル面45を有する。プリンタ100は、図16に示すように、ノズル51、52を覆うようにノズル面45に装着可能なキャップ111と、キャップ111に接続された吸引ポンプ131と、を備えている。制御装置200のクリーニング吸引ポンプ制御部211は、インクヘッド41のクリーニングのとき、ノズル面45にキャップ111を装着させた状態で、図21に示すように、吸引ポンプ131を駆動させると共に、送液ポンプ73を停止させる。このことによって、吸引ポンプ131の駆動によって、インクヘッド41内のインクが吸引されることで、インクヘッド41内のインクをキャップ111に排出することができる。
本実施形態では、クリーニング送液ポンプ制御部213は、インクヘッド41のクリーニングのとき、図22に示すように、ノズル面45にキャップ111を装着させた状態で、送液ポンプ73を駆動させると共に、吸引ポンプ131を停止させる。このことによって、送液ポンプ73を駆動させて、インクタンク71内のインクをインクヘッド41へ供給させながら、インクヘッド41をクリーニングすることができる。吸引ポンプ131を駆動させてインクヘッド41~44を行う場合には、インクヘッド41~44毎に、クリーニングの対象を選択的に決定する。送液ポンプ73を駆動させるクリーニングでは、吸引ポンプ131を駆動させてインクヘッド41のクリーニングを行う場合とは異なり、インク供給システム61~68毎に、クリーニングを行う対象を選択的に決定することができる。
本実施形態では、第1クリーニングポンプ制御部215は、インクヘッド41のクリーニングのときに、図21に示すように、ノズル面45にキャップ111を装着させた状態で、吸引ポンプ131を駆動させる。第2クリーニングポンプ制御部216は、第1クリーニングポンプ制御部215によって吸引ポンプ131が駆動した後、図22に示すように、送液ポンプ73を駆動させる。このように、第1クリーニングポンプ制御部215によって吸引ポンプ131を駆動することで、インク流路72内のインクが吸引されるため、インク流路72を減圧することができる。このように、インク流路72を減圧した状態で、第2クリーニングポンプ制御部216によって送液ポンプ73を駆動させることで、インク流路72を流れるインクの単位時間当たりの量が多くなる。よって、ノズル51から吐出されるインクの単位時間当たりの量が多くなるため、クリーニング時間を短縮することができる。
本実施形態では、図17に示すように、ワイパー機構140は、ノズル面45をワイピングするワイパー141を有する。ワイピング制御部219は、図23に示すように、送液ポンプ73を駆動させた後、または、送液ポンプ73を駆動させながら、加圧開放弁機構181が開放している状態で、ノズル面45をワイパー141でワイピングさせるようにワイパー機構140を制御する。このことによって、送液ポンプ73を駆動させた後、または、送液ポンプ73を駆動させながら、ノズル面45をワイピングすることで、ノズル51からゴミなどが吸い込まれることを抑制することができる。また、送液ポンプ73の駆動によって、ノズル51からインクが漏れた状態となる。そのため、ワイピング時、ノズル51から漏れたインクで、ノズル面45に固化したインクを溶解することができる。そのため、ノズル面45に固化したインクを拭い易い。
本実施形態では、第1循環制御部225は、図24に示すように、加圧開放弁機構181が閉鎖した状態で、リリーフバルブ74を閉鎖させると共に、送液ポンプ73を駆動させる。第2循環制御部227は、第1循環制御部225による制御の後、図25に示すように、リリーフバルブ74を開放させる。このように、第1循環制御部225による制御によって、インク流路72の圧力を、加圧開放弁機構181が開放しない程度に高くすることができる。このように、インク流路72の圧力を、加圧開放弁機構181が開放しない程度に高くした状態で、リリーフバルブ74を開放させることで、インク流路72の圧力が一時的に低くなる。そのため、インク流路72の第3順流路81cにおけるインクは、逆流、すなわち、返流路83に向かって流れる。そのため、第1順流路81a、第2順流路81bおよび返流路83の間で循環するインクの単位時間当たりの量が多くなる。よって、インクを循環させる時間を短縮することができると共に、インクをより早く攪拌することができる。
本実施形態では、負圧開放弁機構171では、第1弁体176が連通口174aを開閉していた。しかしながら、負圧開放弁機構171では、第1弁体176が第1流出口174c(図12参照)を開閉してもよい。
加圧開放弁機構181では、第2弁体185が第2流入口183aを開閉していた。しかしながら、加圧開放弁機構181では、第2弁体185が第2流出口183b(図12参照)を開閉してもよい。
以上、第1実施形態に係るプリンタ100について説明した。ここで提案されるインクジェットプリンタは、第1実施形態に係るプリンタ100に限らず、他の種々の形態で実施することができる。次に、他の実施形態について簡単に説明する。なお、以下の説明では、既に説明した構成と同様の構成には同じ符号を使用し、その説明は省略することとする。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るプリンタについて説明する。図27は、第2実施形態に係るダンパー75Aの正面図である。図28は、図27のXXVIII-XXVIII線におけるダンパー75Aの断面図である。本実施形態に係るプリンタは、図27に示すように、ダンパー75Aを備えている。ダンパー75Aは、第1実施形態のダンパー75と同様に、ダンパー本体170と、負圧開放弁機構171と、加圧開放弁機構181とを有している。図28に示すように、負圧開放弁機構171は、第1負圧開放インク室173と、第2負圧開放インク室174とを有している。
本実施形態では、負圧開放弁機構171において、第2負圧開放インク室174の一部が開口されている。ここでは、当該開口は、第2負圧開放インク室174における第1負圧開放インク室173側とは反対側に形成されている。第2負圧開放インク室174の開口された部分には、弁膜175が設けられている。弁膜175は、第2負圧開放インク室174の開口された部分を覆っている。なお、弁膜175は、可撓性を有する部材、例えばゴムによって形成されている。ただし、本実施形態では、弁膜175は、フィルムによって形成されていてもよい。
第2負圧開放インク室174には、第1負圧開放インク室173と連通する連通口174aが形成されている。第2負圧開放インク室174の開放している方向、すなわち弁膜175が設けられている方向から見たとき、連通口174aは、第2負圧開放インク室174の中央部分(詳しくは中心)に形成されている。連通口174aには、第1負圧開放インク室173から流出されたインクが流入する。連通口174aを介して第2負圧開放インク室174にインクが流入する。
本実施形態では、第2負圧開放インク室174には、傾斜面274が形成されている。傾斜面274は、弁膜175と対向する位置に形成され、詳しくは、傾斜面274は、弁膜175と対向する第2負圧開放インク室174を形成する面に形成されている。ここでは、図27に示すように、傾斜面274は、連通口174aを囲むような環状の面である。図28に示すように、傾斜面274は、連通口174aから離れるにしたがって、弁膜175に近づくように傾斜している。
第2負圧開放インク室174には、第2負圧開放インク室174内のインクが流出する第1流出口174cが形成されている。ここでは、第1流出口174cは、傾斜面274に形成されている。本実施形態では、ダンパー75Aは、図28の向きで設置される。よって、ダンパー75Aが図28の向きで設置された状態において、第1流出口174cは、第2負圧開放インク室174の下部に形成されている。
本実施形態では、第2負圧開放インク室174には、流路溝275が形成されている。流路溝275は、第2負圧開放インク室174における弁膜175と対向する面に形成されている。流路溝275は、第1流出口174cと繋がる溝である。流路溝275は、第1流出口174aに接続されている。図27に示すように、流路溝275は、第1流出口174cから連通口174aに向かって延びた溝である。ここでは、流路溝275は、連通口174aに直接接続されていないが、連通口174aに直接接続されていてもよい。すなわち、流路溝275は、連通口174aと第1流出口174cとを直接繋ぐ溝であってもよい。本実施形態では、流路溝275は、直線状の溝であるが、少なくとも一部が曲がっていてもよい。流路溝275は、弁膜175が第2負圧開放インク室174の内側に撓んだときに、弁膜175によって塞がれないように構成されている。
本実施形態では、例えばインクには、気泡が混ざることがあり得る。このようにインクに気泡が混ざっている場合、クリーニングなどで気泡を第2負圧開放インク室174から排出させるために、第2負圧開放インク室174に対してより高い負圧を掛けることがあり得る。このように、第2負圧開放インク室174に対してより高い負圧を掛けることで、弁膜175が第2負圧開放インク室174内に向かって撓み、第2負圧開放インク室174の容積が小さくなることで、気泡が混ざったインクが第1流出口174cから排出し易くなる。
しかしながら、第2負圧開放インク室174に対して高い負圧を掛けると、第2負圧開放インク室174内に弁膜175がより大きく撓み、弁膜175が第2負圧開放インク室174の面に接触し、第2流出口174cを塞ぐことがあり得る。このような場合であっても、流路溝275は、大きく撓んだ弁膜175によって塞がれない。そのため、連通口174aから第2負圧開放インク室174に流入したインクは、流路溝275を通じて第1流出口174cに流れ、第1流出口174cから排出することができる。よって、第2負圧開放インク室174により高い負圧を掛けて、弁膜175が第2負圧開放インク室174を形成する面に接触した場合であっても、流路溝275によって連通口174aから第1流出口174cに向かう流路を確保することができる。
本実施形態では、弁膜175は、第2負圧開放インク室174の圧力に基づいて弾性変形可能なゴムによって形成されているため、第2負圧開放インク室174に高い負圧が掛かると、弁膜175が第2負圧開放インク室174を形成する面に接触し易い。しかしながら、流路溝275が第2負圧開放インク室174に形成されているために、ゴム製の弁膜175であっても、流路溝275によって連通口174aから第1流出口174cに向かう流路を確保することができる。よって、流路溝275は、ゴム製の弁膜175において特に有用である。
本実施形態では、第1流出口174cは、第2負圧開放インク室174の傾斜面274に形成されている。そのため、第1流出口174cは、連通口174aよりも弁膜175に近い位置に配置されるため、第2負圧開放インク室174に高い負圧が掛かると、弁膜175が傾斜面274に接触し易い。しかしながら、流路溝275が第2負圧開放インク室174に形成されているため、傾斜面274に第1流出口174cが形成された場合であっても、流路溝275によって連通口174aから第1流出口174cに向かう流路を確保することができる。よって、流路溝275は、第1流出口174cが傾斜面274に形成されている場合において特に有用である。
本実施形態では、図28に示すように、第1流出口174cは、第2負圧開放インク室174の下部に形成されている。このことによって、ダンパー75Aを設置したときにおいて、第2負圧開放インク室174内のインクが沈殿した場合、第2負圧開放インク室174の下部に形成された第1流出口174cの周囲に沈殿し易い。よって、沈殿したインクを第1流出口174cから排出し易い。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るプリンタについて説明する。図29、図30は、第3実施形態に係るダンパー75Bの斜視図である。図30は、図29における後ろ側から見た斜視図であり、一部を拡大している。図31は、図30のXXXI-XXXI線におけるダンパー75Bの部分断面図である。本実施形態に係るプリンタは、図29に示すように、ダンパー75Bを備えている。ダンパー75Bは、第1実施形態のダンパー75と同様に、ダンパー本体170と、負圧開放弁機構171と、加圧開放弁機構181とを有している。ダンパー75Bは、更に異物除去機構280を有しており、異物除去機構280は、本実施形態に係るプリンタに備えられている。
例えばインクには、埃などの異物が混ざることがあり得る。異物除去機構280は、ダンパー75Bにおいて、インクに含まれる異物を除去する機構である。本実施形態では、異物除去機構280は、負圧開放弁機構171および加圧開放弁機構181と共に、ダンパー本体170に設けられている。異物除去機構280は、負圧開放弁機構171および加圧開放弁機構181よりも上流側に設けられており、異物除去機構280を通過したインクが、負圧開放弁機構171または加圧開放弁機構181の何れかに流れる。本実施形態では、詳しい図示は省略するが、異物除去機構280は、順流路81の第3順流路81c(図4参照)と、負圧開放弁機構171の第1流入路172(図12参照)、および、加圧開放弁機構181の第2流入路182(図12参照)に接続されている。
図31に示すように、異物除去機構280は、除去流路281と、異物除去室282と、除去流入口283と、除去流出口284と、捕捉体285と、フィルム286と、補強部材287とを備えている。
除去流路281は、順流路81の第3順流路81c(図4参照)と、異物除去室282とを繋ぐ流路である。ここでは、除去流路281は、ダンパー本体170に設けられており、除去流路281の一端は、ダンパー本体170のダンパー流入口170aと連通しており、ダンパー流入口170aを介して第3順流路81c(図4参照)に接続されている。除去流路281の他端は、異物除去室282に接続されている。
図31に示すように、異物除去室282は、所定の空間を有しており、インクが流入し、かつ、流出するものである。異物除去室282内にて、インクに含まれる異物が除去される。なお、異物除去室282は、上記の第2負圧開放インク室174(図13参照)よりも小さいが、大きくてもよい。また、異物除去室282は、第1負圧開放インク室173(図13参照)よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。本実施形態では、異物除去室282には、除去流入口283および除去流出口284が形成されている。
除去流入口283は、インクが異物除去室282に流入する部位である。本実施形態では、除去流入口283は、除去流路281に接続されており、除去流路281を介して順流路81の第3順流路81c(図4参照)に接続されている。第3順流路81cを流れたインクは、除去流入口283を通じて異物除去室282に流入する。
除去流出口284は、インクが異物除去室282から流出する部位である。本実施形態では、除去流出口284は、負圧開放弁機構171の第1流入路172、および、加圧開放弁機構181の第2流入路182(図12参照)に接続されている。除去流出口284から流出したインクは、第1流入路172または第2流入路182に流れる。
図31に示すように、捕捉体285は、異物除去室282内に設けられており、インクを通過させると共に異物を捕捉するものである。捕捉体285は、例えば多孔質のフィルタによって実現される。多孔質のフィルタは、例えば金属のメッシュ状のもので実現される。この多孔質のフィルタには、インクが通過するが、異物は通過し難い。なお、捕捉体285は、フィルタに限定されるものではないし、捕捉体285を形成する材料は、金属に限定されない。捕捉体285は、除去流入口283と除去流出口284との間に配置され、異物除去室282を除去流入口283側と除去流出口284側とに区画する。
ここでは、捕捉体285よりも除去流入口283側の異物除去室282の部分を流入異物除去室282aという。捕捉体285よりも除去流出口284側の異物除去室282の部分を流出異物除去室282bという。流入異物除去室282a内のインクは、捕捉体285を通過して流出異物除去室282bに流れる。
異物除去室282の一部には、開口282cが形成されている。本実施形態では、開口282cは、異物除去室282の流出異物除去室282bに形成されている。フィルム286は、異物除去室282の開口282cを覆うように、ダンパー本体170に設けられている。フィルム286は、異物除去室282の圧力に応じて、異物除去室282の内側または外側に撓むように構成されている。
本実施形態では、補強部材287は、フィルム286を補強するものであり、かつ、フィルム286の撓みを抑えるものである。補強部材287は、フィルム286よりも異物除去室282の内側においてフィルム286に固定されている。ここでは、補強部材287は、流出異物除去室282b内に配置されている。補強部材287は、異物除去室282の開口282cに合致した形状を有しており、開口282cに嵌め込まれる。なお、補強部材287を形成する材料は特に限定されるものではないが、例えば補強部材287は、樹脂製である。
本実施形態では、図30に示すように、フィルム286と補強部材287とは、溶着固定されている。そのため、フィルム286と補強部材287との間には、溶着痕288が形成されている。なお、溶着痕288の数、形状および位置は特に限定されない。ここでは、溶着痕288は、6つであり、直線状の痕である。6つの溶着痕288は、補強部材287の中心から放射状に延びている。
本実施形態では、フィルム286とダンパー本体170とは、溶着固定されている。そのため、フィルム286とダンパー本体170との間には、他の溶着痕289が形成されている。他の溶着痕289は、異物除去室282の開口282cの形状に沿って、開口282cの周囲のダンパー本体170の部分に形成されている。ただし、他の溶着痕289の数、形状および位置は特に限定されない。
本実施形態では、順流路81の第3順流路81c(図4参照)内のインクは、ダンパー75B内へ流れる。図31に示すように、ダンパー75B内において、インクはダンパー流入口170aを通じて除去流路281を流れ、除去流入口283から異物除去室282の流入異物除去室282aに流入する。流入異物除去室282a内のインクは、捕捉体285を通過して流出異物除去室282bへ流れる。このとき、流入異物除去室282a内のインクに異物が混ざっている場合、当該異物は、捕捉体285を通過せず、捕捉体285に捕捉される。よって、流出異物除去室282b内のインクには、異物が混じり難い。流出異物除去室282b内のインクは、除去流出口284から流出し、負圧開放弁機構171の第1流入路172、または、加圧開放弁機構181の第2流入路182(図12参照)に流れる。
例えば異物除去室282の圧力が高くなると、フィルム286は、異物除去室282の外側に撓み、異物除去室282の圧力が低くなると、フィルム286は、異物除去室282の内側に撓む。このように、フィルム286が外側または内側へ撓むことを繰り返すことで、フィルム286が破損することがあり得る。しかしながら、本実施形態では、フィルム286には、補強部材287が固定されている。そのため、補強部材287によってフィルム286の撓みの幅に制限が掛けられ、フィルム286を撓み難くすることができる。よって、異物除去室282により高い圧力や低い圧力が繰り返し掛けられた場合であっても、フィルム286が破損することを防ぐことができる。
本実施形態では、図30に示すように、フィルム286と補強部材287との間には、溶着痕288が形成されている。このことによって、フィルム286と補強部材287とは溶着固定されているため、フィルム286から補強部材287が取り外され難くすることができる。
同様に、フィルム286とダンパー本体170との間には、他の溶着痕289が形成されている。このことによって、フィルム286とダンパー本体170とは溶着固定されているため、ダンパー本体170からフィルム286が取り外され難くすることができる。
なお、第2実施形態および第3実施形態におけるダンパー75Aおよび75Bが備えられるインク供給システムのインク流路72(図4参照)では、返流路83(図4参照)は省略されてもよい。すなわち、ダンパー75Aおよび75Bに接続されるインク流路72は、インクが循環するものに限定されない。