JP7289920B2 - 歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント - Google Patents
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Description
以下の特許文献1には、PTTを用いた歯ブラシが開示され、優れた回復性を有することが記載されている。
また、以下の特許文献2には、PTTを毛材として使用した各種ブラシが開示され、歯ブラシとして用いた場合に、毛材のはりこしや弾性回復性に優れ、かつ、低吸湿のために、経時的変化が少ない高性能ブラシが記載されている。
また、以下の特許文献3には、PTTからなるモノフィラメントが開示され、屈曲回復性や長期使用に対する耐久性に優れたブラシが記載されている。具体的には、特許文献3には、PTTからなるモノフィラメントにおいて、弛緩率が-10~+15%の範囲で熱処理することで、沸水収縮率を2%以下とすること、また、弛緩率が+15%を超え、熱処理後もモノフィラメント糸が弛んでいる状態は好ましくないことが記載されている。
特許文献3には、PTTモノフィラメントの製造にあたり、特定の条件で弛緩熱処理を施し沸水収縮率を2%以下とすることにより、PTTの分子構造が安定し、長期間使用において、毛開き耐久性に優れたブラシが得られることが記載されている。
しかしながら、特許文献1~4に開示されたPTTモノフィラメントからなる歯ブラシは、弾性回復性や屈曲耐久性に優れるものの、剛性が高く歯ブラシに使用すると柔軟性に乏しいために、幼児などには歯茎に刺激を与えるなどの問題がある。
[1]ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)が重量比85/15~65/35の割合で混合されており、かつ、沸水収縮率が、1.0%未満であることを特徴とする歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
[2]前記モノフィラメントのタフネス=破断強度(cN/dtex)×√破断伸度(%)が、18以上であり、かつ、破断伸度が55%以上である、前記[1]に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
[3]前記モノフィラメントの繊維直径が、150μm~200μmである、前記[1]又は[2]に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
[4]前記[1]~[3]のいずれかに記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントを立毛部に用いた歯ブラシ。
[5]以下の工程:
ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)を重量比85/15~65/35の割合で混合した後、溶融紡糸する工程;
溶融紡糸されたモノフィラメントを、延伸し、次いで、熱処理し、一旦巻き取る工程;及び
巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下において、70℃~110℃の熱処理温度、及び36時間以上の熱処理時間で、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で熱処理する工程;
を含む、前記[1]~[3]のいずれかに記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントの製造方法。
本実施形態に係る歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントは、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)が重量比85/15~65/35の割合で混合されており、かつ、沸水収縮率が、1.0%未満である。
以下、その理由を説明する。
他方、2種のポリエステルは、溶融状態で混合すると、一般的にエステル交換反応を起こして共重合化する。生成される共重合物が多くなるに伴い、共重合物が相溶化剤の役割を果たすためにPTTとPBTの相溶性が増し、PTT及びPBTの結晶性が低下する傾向がある。
PBTのガラス転移温度は約25℃であり、PTTのガラス転移温度である約50℃よりも低いため一般的な使用温度である25~50℃の範囲では、PTTとPBTの混合物の非晶相ではガラス状態であるPTTとゴム状態であるPBTとが存在することとなる。口腔内温度は約36℃で上記温度範囲内であることから、PTTとPBTの混合物を歯ブラシ用毛材として用い、その歯ブラシを長時間使用した際、歯ブラシ表面にできる傷がクラックに成長し、さらに毛の破断、いわゆる「毛折れ」へと成長する現象をゴム状態のPBTが防ぐ効果を有している。そのため、PTTとPBTの混合物は、PTT100%のモノフィラメントよりも耐久性(耐毛折れ)が向上する。
PBTがゴム状態に転移すると非晶部の弾性率が低下することから、モノフィラメントの柔軟性が増すことになる。したがって、PBTの混合割合が高すぎると、前記したPTTの毛材が塑性変形を起こす現象、いわゆる「毛開き」を抑制する効果を減じ、回復性(耐毛開き)を悪化させることになる。
以下、その理由を説明する。
前記したように、特許文献3には、PTTからなるモノフィラメントにおいて、特定の条件、具体的には弛緩率が-10~+15%の範囲で熱処理することで、沸水収縮率を2%以下とすること、また、弛緩率が+15%を超え、熱処理後もモノフィラメント糸が弛んでいる状態は好ましくないことが記載されている。それゆえ、特許文献3に記載される弛緩率の範囲内であれば、熱処理初期は非拘束状態であっても、熱処理中に糸の収縮が進み、拘束状態での熱処理になっていると推測される。しかしながら、かかる特定の条件下では、PTT単独のモノフィラメントの沸水収縮率を1%未満にすることは可能であると考えられるものの、PTTとPBTとが特定比率で混合されたモノフィラメントの沸水収縮率を1%未満とすることは困難である。
また、前記したように、特許文献6には、PTTとPBTが重量比で70/30~45/55の割合で混合され、沸水収縮率が1~5%である歯ブラシ用モノフィラメントが記載されている。また、特許文献6では、モノフィラメントの製造において、巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下、80℃で72時間熱して、モノフィラメントを得ている(すなわち、巻糸体の状態のままで熱処理している)が、得られたモノフィラメントの沸水収縮率は1.0%を超えている。また、沸水収縮率が1%未満の状態は、モノフィラメントに過度な熱セットを施している状態であり、かかる状態では紡糸中に糸切れを起こしやすいと記載されている。
本実施形態では、非拘束下、例えば、かせ巻き状態において、70℃~110℃の熱処理温度、及び36時間以上の熱処理時間で、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で弛緩熱処理する工程を経ている。かかる熱セット工程は、モノフィラメントが過度な熱セットを施している状態ではないため、糸切れ等を起こすことはなく、他方、モノフィラメントの熱セットが不十分な状態でもないため、モノフィラメントを長期間保管した際に、巻き締まりによる解舒不良を起こすことがない。
従来の、特定の弛緩率で熱処理する方法としては、例えば、かせ巻き状態のモノフィラメントを加熱室内に配置した2本の棒の間に掛けて熱処理する方法が挙げられる。これに反し、本実施形態の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントを製造する際の熱処理としては、例えば、かせ巻き状態のモノフィラメントを加熱室内に、拘束せずに静置して熱処理する方法が挙げられ、これにより熱処理終了まで弛緩状態を維持することができる。モノフィラメントを特定の長さ(例えば、歯ブラシの植毛長さ)に切り揃えて束にして熱処理する方法も考えられるが、加熱状態が不均一となった場合、束内の糸長さがばらつき、製品として不適切になるおそれがあるため、好ましくない。
モノフィラメントの破断伸度は、55~70%であることが好ましい。破断伸度がこの範囲であれば、モノフィラメント糸は強靭であり、長時間の使用によっても、歯ブラシ毛のささくれが起こることがなく、また、モノフィラメント糸の糸長方向の太さに斑がなく均一で商品価値が高い。
また、モノフィラメントの破断強度は、2.2cN/dtex以上であることが好ましい。破断強度がこの範囲であれば、強度が十分であり、長時間の使用によっても、歯ブラシ毛のささくれが起こることがなく、また、摩耗が発生しない。
本実施形態のモノフィラメントのタフネス=破断強度(cN/dtex)×√破断伸度(%)は、16.3以上であることができるが、好ましくは18以上である。
また、本実施形態のモノフィラメントの断面形状は特に限定されるものではなく、丸、三角、四角、H、W字状の異型断面や、中空型断面形状であってもよい。
本実施形態のモノフィラメントの製造方法は、以下の工程:
ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)を重量比85/15~65/35の割合で混合した後、溶融紡糸する工程;
溶融紡糸されたモノフィラメントを、延伸し、次いで、熱処理し、一旦巻き取る工程;及び
巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下、例えば、かせ巻き状態において、70℃~110℃の熱処理温度、及び36時間以上の熱処理時間で、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で熱処理する工程;
を含む。
本実施形態のポリエステル系モノフィラメントは、図1に示す公知の水冷紡糸機及びそれに連続する延伸熱処理機用いて、PTTとPBTの混合樹脂を溶融紡糸し、冷却し、続いて延伸し、更に続いて熱処理することにより得られる。そして、そのとき紡糸条件、延伸温度、延伸比、熱処理温度、巻取速度等を調節することによって、所望の物性を有するポリエステル系モノフィラメントが得られる。熱処理は延伸後別ラインで行ってもよいし、紡糸に連続して引き続き延伸してもよい。但し、本実施形態においては、一旦巻き取ったモノフィラメント、すなわち、図1に示す巻取機以降のモノフィラメントを、非拘束下、例えば、かせ巻き状態のように、熱処理終了まで弛緩状態が維持される状態で、70℃~110℃の熱処理温度、及び36時間以上の熱処理時間で、弛緩熱処理する工程を経ることで、沸水収縮率を所定範囲内に収めている。熱処理温度は好ましくは90℃以下であり、熱処理時間は好ましくは72時間以下、より好ましくは48~72時間である。
紡出された樹脂混合物はフィラメント状ポリマー7となり、冷却浴8中に導かれて冷却されつつ、一定速度で回転している第1ロール群9によって引っ張られて所定の繊度まで細化され、未延伸モノフィラメントとなる。冷却浴の温度は、20~60℃、好ましくは30~50℃が採用される。未延伸モノフィラメントは第1ロール群9を経た後、所定の温度の延伸浴10内で、一定速度で回転する第2ロール群11に引っ張られて第1段の延伸が施される。延伸浴の温度は、好ましくは40~90℃、更に好ましくは50~70℃である。その後モノフィラメントは所定の温度の熱処理浴12中で熱セット処理を受け、第3ロール群13を経た後、巻取機14にて巻き取られる。熱処理浴の温度は、120~180℃であることが好ましく、より好ましくは140~180℃である。
スクリュー剪断速度=πDN/60/H
{式中、π:円周率、D:スクリュー直径(mm)、N:スクリュー回転数(rpm)、そしてH:スクリュー計量部の溝深さ(mm)}で計算される。
スクリュー剪断速度が5(1/秒)未満では、PTTとPBTの樹脂混合物を安定して押出機内に導入することができない。他方、スクリュー剪断速度が300(1/秒)を超えると、樹脂混合物の剪断発熱が大きくなるために、PTT及び/又はPBTの熱分解・分子量低下が進み、モノフィラメントの回復性、耐久性が低下する。
まず、実施例、比較例における物性の測定方法、測定条件を説明する。
JIS-L-1013に準拠して測定した。10回の測定値の平均値を求めた。
JIS-L-1013に準拠して測定した。10回の測定値の平均値を求めた。
JIS-L-1013に準拠して測定した。10回の測定値の平均値を求めた。
下記式:
タフネス=破断強度(cN/dtex)×√破断伸度(%)
により求めた。
熱処理する工程の前後(熱セット後と熱セット前)のモノフィラメントの沸水収縮率を、JIS-L-1013の熱水寸法変化率B法(フィラメント収縮率)に準拠して測定し、沸水収縮率とした。初期測定長は500mmとし、小数点以下2桁まで測定した寸法変化率10回の測定値の平均値を求めた。尚、測定長500mmが確保できないサンプルしかない場合には、測定長100mmでの測定を行い、測定長100mmが確保できない場合は、初期荷重をかけず、測定長をできるだけ長くとるようにして測定した。この場合には測定誤差が大きくなるため、20回の測定値の平均値を求めた。
耐久性(毛折れ)については、得られたモノフィラメントを歯ブラシの毛材とした際の、毛折れ等の損傷程度で評価した。ブラシ毛材の長さを7.00±0.15mmに水平に切りそろえた歯ブラシを、公知の方法で作製した。その歯ブラシを実際に10人のモニターに1ヶ月使用してもらい、10本の歯ブラシの平均的な損傷の程度を、以下の評価基準で判定した:
○:毛折れ等の損傷がない
△:毛折れ等の損傷が僅かにある
×:毛折れ等の損傷が著しい
柔らかさ(使用感)については、得られたモノフィラメントを歯ブラシの毛材とした際の、官能評価で評価した。ブラシ毛材の長さを7.00±0.15mmに水平に切りそろえた歯ブラシを、公知の方法で作製した。その歯ブラシを実際に10人のモニターに1ヶ月使用してもらい、以下の評価基準で判定した:
○:柔らかい
△:普通
×:硬い
回復性(毛開き)については、得られたモノフィラメントを歯ブラシの毛材とした際の、毛開きの程度で評価した。ブラシ毛材の長さを7.00±0.15mmに水平に切りそろえた歯ブラシを、公知の方法で作製した。その歯ブラシを実際に10人のモニターに1ヶ月使用してもらい、10本の歯ブラシの平均的な毛開きの程度を、以下の評価基準で判定した:
○:毛開きしていない
△:僅かに毛開きしている
×:著しく毛開きしている
総合評価については、前記した耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の結果を、以下の評価基準で総合的に判定した:
◎:耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の全てが〇
○:耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)のいずれかに一項目に△がありそれ以外は○
△:耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)のいずれか二項目以上に△があり×がない
×:耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)のいずれかに×がある
極限粘度[η]=0.92dl/gの酸化チタンを含まないPTT(DuPont社製)80wt%と極限粘度[η]=0.84dl/gの酸化チタンを含まないPBT(ウィンテックポリマー(株)製)20wt%を予め混合し、110℃で乾燥後、以下の製造条件でモノフィラメントを巻き取った。
ポリマー吐出量:2.52(g/分)
スクリュー剪断速度:9.2(/秒)
滞留時間:8(分)
紡糸温度:260(℃)
冷却浴水温:40(℃)
引き取りロール(第1ロール)周速:15.8(m/分)
延伸浴水温:55(℃)
延伸ロール(第2ロール)周速:80(m/分)
熱処理浴温度:160(℃)
熱処理媒体:熱風
第3ロール周速:72(m/分)
巻き取り速度:72(m/分)。
上記条件で巻き取ったモノフィラメントを、市販のかせ巻装置を用いて、円周が360cm、総重量30kgのかせ巻きを作製し、非拘束下のかせ巻き状態のまま、80℃に設定された熱風乾燥機内に静置された、熱処理終了まで弛緩状態が維持される状態において、48時間弛緩熱処理して、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。 得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の全てが〇であり、総合評価は◎であった。
実施例1におけるPTTとPBTの混合比を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の全てが〇であり、総合評価は◎であった。
実施例1におけるPTTとPBTの混合比を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の全てが〇であり、総合評価は◎であった。
実施例1における熱セットの時間を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)は△であったが、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の両項目が〇であり、総合評価は〇であった。
実施例1における熱セットの温度と時間とを変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の全てが〇であり、総合評価は◎であった。
実施例1における熱セット温度を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。柔らかさ(使用感)は△であったが、耐久性(対毛切れ)、及び回復性(毛開き)の両項目が○であり、総合評価は○であった。
実施例1におけるPTTとPBTの混合比を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)は×、柔らかさ(使用感)は△、そして回復性(毛開き)のみが〇であり、総合評価は×であった。
実施例1におけるPTTとPBTの混合比を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)は×、柔らかさ(使用感)は△、そして回復性(毛開き)は×であり、総合評価は×であった。
実施例1における熱セットの時間を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)は△、柔らかさ(使用感)は△、そして回復性(毛開き)は×であり、総合評価は×であった。
巻き取ったモノフィラメントを巻糸体のまま、熱風乾燥機内に置いて熱処理を行った。本処理では巻糸体内の糸が外部から拘束を受けていない、いわゆる非拘束下の処理であるが、熱処理中に糸収縮が進んで糸に張力がかかった状態で熱処理される方法であった。このように弛緩熱処理を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)は△、柔らかさ(使用感)は△、そして回復性(毛開き)は×であり、総合評価は×であった。
2 押出機
3 ベンド
4 スピンヘッド
5 ギヤポンプ
6 紡糸口金
7 フィラメント状ポリマー
8 冷却浴
9 第1ロール群
10 延伸浴
11 第2ロール群
12 熱処理浴
13 第3ロール群
14 巻取機
Claims (5)
- ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)が重量比85/15~65/35の割合で混合されており、かつ、沸水収縮率が、0.50%~0.90%であることを特徴とする歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
- 前記モノフィラメントのタフネス=破断強度(cN/dtex)×√破断伸度(%)が、18以上であり、かつ、破断伸度が55%以上である、請求項1に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
- 前記モノフィラメントの繊維直径が、150μm~200μmである、請求項1又は2に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントを立毛部に用いた歯ブラシ。
- 以下の工程:
ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)を重量比85/15~65/35の割合で混合した後、溶融紡糸する工程;
溶融紡糸されたモノフィラメントを、延伸し、次いで、熱処理し、一旦巻き取る工程;及び
巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下、70℃~110℃の熱処理温度、及び48時間~72時間の熱処理時間で、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で熱処理する工程;
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントの製造方法。
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---|---|---|---|
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