JP7289920B2 - 歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント - Google Patents

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Description

本発明は、歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントに関する。より詳しくは、本発明は、柔軟性(使用感)、耐久性(耐毛折れ)、及び回復性(耐毛開き)に優れた歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント、並びにその製造方法に関する。
近年、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、「PTT」と略す。)を成分とするモノフィラメント、及びこれを立毛部に用いた歯ブラシが、その優れた回復性能により着目されている。
以下の特許文献1には、PTTを用いた歯ブラシが開示され、優れた回復性を有することが記載されている。
また、以下の特許文献2には、PTTを毛材として使用した各種ブラシが開示され、歯ブラシとして用いた場合に、毛材のはりこしや弾性回復性に優れ、かつ、低吸湿のために、経時的変化が少ない高性能ブラシが記載されている。
また、以下の特許文献3には、PTTからなるモノフィラメントが開示され、屈曲回復性や長期使用に対する耐久性に優れたブラシが記載されている。具体的には、特許文献3には、PTTからなるモノフィラメントにおいて、弛緩率が-10~+15%の範囲で熱処理することで、沸水収縮率を2%以下とすること、また、弛緩率が+15%を超え、熱処理後もモノフィラメント糸が弛んでいる状態は好ましくないことが記載されている。
特許文献3には、PTTモノフィラメントの製造にあたり、特定の条件で弛緩熱処理を施し沸水収縮率を2%以下とすることにより、PTTの分子構造が安定し、長期間使用において、毛開き耐久性に優れたブラシが得られることが記載されている。
また、以下の特許文献4には、PTT5~45wt%にPTT以外のポリエステル系樹脂95~55wt%を混合したモノフィラメントが開示され、吸水時の弾性変化が小さく、かつ、耐久性が向上したブラシ材が記載されている。
しかしながら、特許文献1~4に開示されたPTTモノフィラメントからなる歯ブラシは、弾性回復性や屈曲耐久性に優れるものの、剛性が高く歯ブラシに使用すると柔軟性に乏しいために、幼児などには歯茎に刺激を与えるなどの問題がある。
また、以下の特許文献5には、透明性と柔軟性に優れ、且つ、清拭性と使用耐久性に優れた歯ブラシ用モノフィラメントとして、PTTと共重合ポリエステルAが重量比で90/10~45/55の割合で混合され、共重合ポリエステルAが特定の融点をもち、混合ポリマーが特定の結晶化ピーク温度と融点をもち、さらに無機系微粒子を特定の含有率で含むものが提案されている。そして共重合ポリエステルAとして、具体的にはイソフタル酸共重合PET樹脂が使用されている。また、モノフィラメントの製造においては、一旦巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下、80℃で72時間熱して、モノフィラメントを得ている。しかしながら、特許文献5で得られたモノフィラメントの沸水収縮率は2.5~3.7%であり、また、特許文献5には、沸水収縮率が1%未満では、モノフィラメントに過度な熱セットを施している状態であり、紡糸中に糸切れを起こしやすいと記載されている。
また、以下の特許文献6には、透明性と柔軟性に優れ、且つ、耐久性に優れた歯ブラシ用モノフィラメントとして、PTTとポリブチレンテレフタレート(PBT)が重量比で70/30~45/55の割合で混合され、沸水収縮率が1~5%であり、特定の結晶化ピーク温度と溶融ピーク温度をもち、さらに無機系微粒子を特定の含有率で含むものが提案されている。また、モノフィラメントの製造においては、一旦巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下、80℃で72時間熱して、モノフィラメントを得ている。しかしながら、特許文献6における非拘束下の熱処理は、本発明における「熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態でも熱処理」とは異なるため、特許文献5と同様に、特許文献6で得られたモノフィラメントの沸水収縮率は1.0%を超えており、また、沸水収縮率が1%未満では、モノフィラメントに過度な熱セットを施している状態であり、紡糸中に糸切れを起こしやすいと記載されている。さらに、特許文献6には、PTTの混合比が70%を超えるとPBTによる耐久性や柔軟性を上がる効果が低下すると記載されている。
国際公開第99/05936号 特開平08-173244号公報 国際公開第01/75200号 特開2004-141504号公報 特開2006-37273号公報 特開2006-2256号公報
前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、従来の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントに比較して、柔軟性(使用感)、耐久性(耐毛折れ)、及び回復性(耐毛開き)に優れた歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントを提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、PPTとPBTの混合割合を最適化し、さらに溶融紡糸、延伸、熱処理したモノフィラメントを一旦巻き取った後、非拘束下で70℃~110℃、及び36時間以上の弛緩熱処理することにより、得られるモノフィラメントの沸水収縮率を下げて、柔軟性(使用感)、耐久性(耐毛折れ)、及び回復性(耐毛開き)に優れた歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントが得られることを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)が重量比85/15~65/35の割合で混合されており、かつ、沸水収縮率が、1.0%未満であることを特徴とする歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
[2]前記モノフィラメントのタフネス=破断強度(cN/dtex)×√破断伸度(%)が、18以上であり、かつ、破断伸度が55%以上である、前記[1]に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
[3]前記モノフィラメントの繊維直径が、150μm~200μmである、前記[1]又は[2]に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
[4]前記[1]~[3]のいずれかに記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントを立毛部に用いた歯ブラシ。
[5]以下の工程:
ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)を重量比85/15~65/35の割合で混合した後、溶融紡糸する工程;
溶融紡糸されたモノフィラメントを、延伸し、次いで、熱処理し、一旦巻き取る工程;及び
巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下において、70℃~110℃の熱処理温度、及び36時間以上の熱処理時間で、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で熱処理する工程;
を含む、前記[1]~[3]のいずれかに記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントの製造方法。
本発明の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントは、従来の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントに比較して、柔軟性(使用感)、耐久性(耐毛折れ)、及び回復性(耐毛開き)に優れる。
本実施形態のモノフィラメント溶融紡糸延伸機の一例を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントは、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)が重量比85/15~65/35の割合で混合されており、かつ、沸水収縮率が、1.0%未満である。
本実施形態において、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)は、それぞれ、90モル%以上がトリメチレンテレフタレートと90モル%以上がブチレンテレフタレートを繰り返し単位として含むものをいう。これらの繰り返し単位が90モル%未満であると、PTTとPBTの融点がそれぞれ200℃以下の低温となり資材用途には適さない。
本実施形態において、PTTとPBTは、それぞれ、10モル%以下のその他のエステル繰り返し単位を含む、ホモ又は共重合ポリトリメチレンテレフタレートとホモ又は共重合ポリブチレンテレフタレートであることができる。共重合成分の代表例として、例えば、酸成分としては、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、イタコン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。また、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を用いてもよい。これらの酸成分、グリコール成分が複数共重合されたものでもよい。
本実施形態の1の特徴は、混合する2種のポリエステルとして、PTTとPBTを、重量比85/15~65/35という特定の割合で選択することにある。かかる特定の混合比とすることで、得られるモノフィラメントの柔軟性(使用感)、耐久性(耐毛折れ)、及び回復性(耐毛開き)のいずれもが満足できるものとなる。
以下、その理由を説明する。
まず、PTTとPBTという2種のポリエステルはいずれも、ポリエステル樹脂であるため、吸湿性が低く、環境中の湿度変化に伴う物性・機能変化が小さい。PTTは、分子鎖が平面ジグザグ構造を呈することから、伸張回復性能に優れる特徴を有する。この特徴は、歯ブラシ用毛材に使用した際に、毛材が塑性変形を起こす現象、いわゆる「毛開き」を抑制する効果をもたらす。他方、PBTも、PTTに及ばないものの、比較的伸張回復性能に優れるポリマーであるため、PTTにPBTを混合しても、伸張回復性能はさほど低下しない。また、PBTとPTTはいずれも芳香族ポリエステルであり、比較的構造が近似しているので、適度な相溶性を有しており、混合した際に両ポリマー境界部からの剥離は生じ難い。融点は、PTT、PBTともに230℃前後で近似しているので、溶融時のポリマーブレンド(混合)も行いやすい。
本実施形態のモノフィラメントでは、非晶相ではPTTとPBTが相溶しており、結晶相ではPTTとPBTがそれぞれ独立に存在していると推定される。非晶相で相溶していることにより、モノフィラメントの透明性が向上し、結晶相が独立して存在することにより、PTTの特徴の1つである伸張回復性が発現する。
他方、2種のポリエステルは、溶融状態で混合すると、一般的にエステル交換反応を起こして共重合化する。生成される共重合物が多くなるに伴い、共重合物が相溶化剤の役割を果たすためにPTTとPBTの相溶性が増し、PTT及びPBTの結晶性が低下する傾向がある。
耐久性(耐毛折れ)が向上する理由としては、次のように推定する。
PBTのガラス転移温度は約25℃であり、PTTのガラス転移温度である約50℃よりも低いため一般的な使用温度である25~50℃の範囲では、PTTとPBTの混合物の非晶相ではガラス状態であるPTTとゴム状態であるPBTとが存在することとなる。口腔内温度は約36℃で上記温度範囲内であることから、PTTとPBTの混合物を歯ブラシ用毛材として用い、その歯ブラシを長時間使用した際、歯ブラシ表面にできる傷がクラックに成長し、さらに毛の破断、いわゆる「毛折れ」へと成長する現象をゴム状態のPBTが防ぐ効果を有している。そのため、PTTとPBTの混合物は、PTT100%のモノフィラメントよりも耐久性(耐毛折れ)が向上する。
回復性(耐毛開き)が向上する理由としては、次のように推定する。
PBTがゴム状態に転移すると非晶部の弾性率が低下することから、モノフィラメントの柔軟性が増すことになる。したがって、PBTの混合割合が高すぎると、前記したPTTの毛材が塑性変形を起こす現象、いわゆる「毛開き」を抑制する効果を減じ、回復性(耐毛開き)を悪化させることになる。
本実施形態のモノフィラメントでは、PTTとPBTの混合比は、重量比で85/15~65/35の割合であることが必要である。PTTの混合比が65wt%未満であると、PTT結晶相が少ないことにより、モノフィラメントの伸張回復性能が不足する。他方、PTTの混合比が85%を超えると、前述したPBTによる柔軟性向上効果、及び回復性(耐毛開き)向上効果が低下する。PTTとPBTの好ましい混合比は、重量比で80/20~70/30であることができる。
本実施形態の他の特徴は、熱セット後のモノフィラメントの沸水収縮率を1.0%未満にすることである。かかる特定範囲の沸水収縮率とすることで、前記したPTTとPBTを重量比85/15~65/35という特定の割合で選択することと相俟って、得られるモノフィラメントの柔軟性(使用感)、耐久性(耐毛折れ)、及び回復性(耐毛開き)のいずれもが満足できるものとなる。下限は特に限定されないが、0.1%以上が好ましく、0.25%以上であることがより好ましい。
以下、その理由を説明する。
一般に、合成繊維糸条の沸水収縮率が低いことは、過度な熱セットが施され、結晶化が進んでおり、曲げ変性に対する回復性に優れる、すなわち、直線性に優れ、柔軟性が低下した糸となっていることを意味していると理解される。逆に、沸水収縮率が高いと、柔軟性が増し、前記したPTTの毛材が塑性変形を起こす現象、いわゆる「毛開き」を抑制する効果を減じ、回復性(耐毛開き)を悪化させることになる。
前記したように、特許文献3には、PTTからなるモノフィラメントにおいて、特定の条件、具体的には弛緩率が-10~+15%の範囲で熱処理することで、沸水収縮率を2%以下とすること、また、弛緩率が+15%を超え、熱処理後もモノフィラメント糸が弛んでいる状態は好ましくないことが記載されている。それゆえ、特許文献3に記載される弛緩率の範囲内であれば、熱処理初期は非拘束状態であっても、熱処理中に糸の収縮が進み、拘束状態での熱処理になっていると推測される。しかしながら、かかる特定の条件下では、PTT単独のモノフィラメントの沸水収縮率を1%未満にすることは可能であると考えられるものの、PTTとPBTとが特定比率で混合されたモノフィラメントの沸水収縮率を1%未満とすることは困難である。
また、前記したように、特許文献6には、PTTとPBTが重量比で70/30~45/55の割合で混合され、沸水収縮率が1~5%である歯ブラシ用モノフィラメントが記載されている。また、特許文献6では、モノフィラメントの製造において、巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下、80℃で72時間熱して、モノフィラメントを得ている(すなわち、巻糸体の状態のままで熱処理している)が、得られたモノフィラメントの沸水収縮率は1.0%を超えている。また、沸水収縮率が1%未満の状態は、モノフィラメントに過度な熱セットを施している状態であり、かかる状態では紡糸中に糸切れを起こしやすいと記載されている。
本願発明者らは、特許文献3や6の教示に反し、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で熱処理することで、熱セット後のモノフィラメントの沸水収縮率を特定範囲、すなわち、1.0%未満とし、さらに、PTTとPBTを重量比85/15~65/35という特定の混合割合とすることで、得られるモノフィラメントの柔軟性(使用感)、耐久性(耐毛折れ)、及び回復性(耐毛開き)のいずれもが満足できるものとなることを見出したものである。
前記したように、特許文献6では、一旦巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下、80℃で72時間熱するという熱セット条件下でモノフィラメントを得ているが、以下に説明するように、本実施形態では、巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下、例えば、かせ巻き状態において、70℃~110℃の熱処理温度、及び36時間以上の熱処理時間で、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で熱処理する工程(以下、単に弛緩熱処理と記載する)を経て、1.0%未満という特定範囲の沸水収縮率のモノフィラメントを得ている。すなわち、本実施形態では、非拘束下のかせ巻き状態における弛緩熱処理とすることで、特許文献6で教示された1~5%の沸水収縮率の範囲よりも低い範囲の沸水収縮率としている。本実施形態では、特定混合割合のPTTとPBTからなる歯ブラシ用モノフィラメントにおいて従来技術の沸水収収縮率よりも低い範囲とすることで、柔軟性(使用感)、耐久性(耐毛折れ)、及び回復性(耐毛開き)の全てを満足できる歯ブラシ用モノフィラメントを提供しいている。本実施形態の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントの沸水収縮率は、好ましくは0.45%~0.95%、より好ましくは0.50~0.90%である。
本実施形態では、非拘束下、例えば、かせ巻き状態において、70℃~110℃の熱処理温度、及び36時間以上の熱処理時間で、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で弛緩熱処理する工程を経ている。かかる熱セット工程は、モノフィラメントが過度な熱セットを施している状態ではないため、糸切れ等を起こすことはなく、他方、モノフィラメントの熱セットが不十分な状態でもないため、モノフィラメントを長期間保管した際に、巻き締まりによる解舒不良を起こすことがない。
従来の、特定の弛緩率で熱処理する方法としては、例えば、かせ巻き状態のモノフィラメントを加熱室内に配置した2本の棒の間に掛けて熱処理する方法が挙げられる。これに反し、本実施形態の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントを製造する際の熱処理としては、例えば、かせ巻き状態のモノフィラメントを加熱室内に、拘束せずに静置して熱処理する方法が挙げられ、これにより熱処理終了まで弛緩状態を維持することができる。モノフィラメントを特定の長さ(例えば、歯ブラシの植毛長さ)に切り揃えて束にして熱処理する方法も考えられるが、加熱状態が不均一となった場合、束内の糸長さがばらつき、製品として不適切になるおそれがあるため、好ましくない。
本実施形態のモノフィラメントのタフネス=破断強度(cN/dtex)×√破断伸度(%)は、好ましくは18以上であり、かつ、破断伸度が55%以上である。
モノフィラメントの破断伸度は、55~70%であることが好ましい。破断伸度がこの範囲であれば、モノフィラメント糸は強靭であり、長時間の使用によっても、歯ブラシ毛のささくれが起こることがなく、また、モノフィラメント糸の糸長方向の太さに斑がなく均一で商品価値が高い。
また、モノフィラメントの破断強度は、2.2cN/dtex以上であることが好ましい。破断強度がこの範囲であれば、強度が十分であり、長時間の使用によっても、歯ブラシ毛のささくれが起こることがなく、また、摩耗が発生しない。
本実施形態のモノフィラメントのタフネス=破断強度(cN/dtex)×√破断伸度(%)は、16.3以上であることができるが、好ましくは18以上である。
本実施形態のモノフィラメントの繊維直径は、好ましくは、150μm~200μmである。モノフィラメントの繊維直径が150μm以上200μmであれば、強力、屈曲回復性が共に十分であり、歯ブラシ用としての要求性能を満たすことができる。
本実施形態のモノフィラメントの繊度は、歯ブラシの種類に応じて任意に設定できるが、モノフィラメントのもつ柔軟性と透明性、耐久性に優れ、使用時に歯垢の除去効果に優れた歯ブラシが得られる観点から、200~400dtexが好ましい。
また、本実施形態のモノフィラメントの断面形状は特に限定されるものではなく、丸、三角、四角、H、W字状の異型断面や、中空型断面形状であってもよい。
以下、本実施形態のモノフィラメントの製造方法を詳細に説明する。
本実施形態のモノフィラメントの製造方法は、以下の工程:
ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)を重量比85/15~65/35の割合で混合した後、溶融紡糸する工程;
溶融紡糸されたモノフィラメントを、延伸し、次いで、熱処理し、一旦巻き取る工程;及び
巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下、例えば、かせ巻き状態において、70℃~110℃の熱処理温度、及び36時間以上の熱処理時間で、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で熱処理する工程;
を含む。
本実施形態において、PTT及びPBTポリマーの製造方法は、公知のものでよく、その代表例は一定の固有粘度までは溶融重合で重合度を上げ、続いて固相重合で所定の固有粘度に相当する重合度まで上げる2段階重合法で得られる高粘度PTT及びPBT樹脂である。
本実施形態のポリエステル系モノフィラメントは、図1に示す公知の水冷紡糸機及びそれに連続する延伸熱処理機用いて、PTTとPBTの混合樹脂を溶融紡糸し、冷却し、続いて延伸し、更に続いて熱処理することにより得られる。そして、そのとき紡糸条件、延伸温度、延伸比、熱処理温度、巻取速度等を調節することによって、所望の物性を有するポリエステル系モノフィラメントが得られる。熱処理は延伸後別ラインで行ってもよいし、紡糸に連続して引き続き延伸してもよい。但し、本実施形態においては、一旦巻き取ったモノフィラメント、すなわち、図1に示す巻取機以降のモノフィラメントを、非拘束下、例えば、かせ巻き状態のように、熱処理終了まで弛緩状態が維持される状態で、70℃~110℃の熱処理温度、及び36時間以上の熱処理時間で、弛緩熱処理する工程を経ることで、沸水収縮率を所定範囲内に収めている。熱処理温度は好ましくは90℃以下であり、熱処理時間は好ましくは72時間以下、より好ましくは48~72時間である。
重量比で85/15~65/35の割合で予め混合されたPTTとPBT樹脂混合物を、乾燥機1中で乾燥し、次いで混合物を押出機2に供給し、樹脂混合物の溶融体とする。樹脂混合物の溶融体は次にベンド3を経てスピンヘッド4に送られ、その中に装着されるギヤポンプ5で計量され、紡糸口金6より紡出される。
紡出された樹脂混合物はフィラメント状ポリマー7となり、冷却浴8中に導かれて冷却されつつ、一定速度で回転している第1ロール群9によって引っ張られて所定の繊度まで細化され、未延伸モノフィラメントとなる。冷却浴の温度は、20~60℃、好ましくは30~50℃が採用される。未延伸モノフィラメントは第1ロール群9を経た後、所定の温度の延伸浴10内で、一定速度で回転する第2ロール群11に引っ張られて第1段の延伸が施される。延伸浴の温度は、好ましくは40~90℃、更に好ましくは50~70℃である。その後モノフィラメントは所定の温度の熱処理浴12中で熱セット処理を受け、第3ロール群13を経た後、巻取機14にて巻き取られる。熱処理浴の温度は、120~180℃であることが好ましく、より好ましくは140~180℃である。
本実施形態のポリエステル系モノフィラメントの製造では、延伸工程は1段延伸でよいが、複数回に分けた2段延伸以上の延伸工程を設けるのが好ましい。その後、前記した、非拘束下のかせ巻き状態において、70℃~110℃の熱処理温度、及び36時間以上の熱処理時間で、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で熱処理する工程に先立って、得られたモノフィラメントを所定の温度、時間、及び所定のリラックス状態で熱処理を行うことによりモノフィラメントの沸水収縮率を所望の値に予め調節してもよい。熱処理浴13に使用する熱媒としては、熱風やスチーム、シリコン油、アルキレングリコールなどから選択される。熱処理時間は、生産性を阻害しない範囲で長時間である方が好ましく、通常、1~100秒が好ましい。
本実施形態のポリエステル系モノフィラメントには、モノフィラメントの平滑性を高め、溶融紡糸性を上げるため無機系微粒子や、後工程の工程通過性を良くするために摩擦抵抗を低下させたり、制電性を付与する等の機能を有する仕上げ剤を付与してもよく、更に、要求される機能に応じて撥水剤、吸水剤等を付与してもよい。仕上げ剤の付与は、第3ロール群13以降で行うことが好ましい。
本実施形態のモノフィラメントの製造方法では、溶融温度を250~270℃とすることが好ましく、より好ましく255~265℃である。溶融温度が250℃未満であると、PTT及び/又はPBTの溶融が不完全であるためにモノフィラメントを工業的に安定して製造することができない。他方、溶融温度が270℃を超えると、PTT及び/又はPBTの熱分解・分子量低下が進み、モノフィラメントの回復性、耐久性が低下する。
本実施形態のモノフィラメントの製造方法では、樹脂混合物を押出機に投入してから紡出されるまでの溶融体としての滞留時間を2~20分とすることが好ましい。PTTとPBTを溶融状態で混合すると、エステル交換反応を起こして共重合化する。生成される共重合物が多くなるに伴い、共重合物が相溶化剤の役割を果たすためにPTTとPBTの相溶性が増し、PTT及びPBTの結晶性が低下する傾向がある。滞留時間が20分を超えると、共重合が進み、結果としてPTTの結晶性が低下するので、モノフィラメントの回復性が低下する。他方、滞留時間が2分未満であると、PTT及び/又はPBTの溶融が不完全であるためにモノフィラメントを工業的に安定して製造することができない。
本実施形態のモノフィラメントの製造方法では、スクリュー剪断速度を5~300(1/秒)とすることが好ましい。ここで、スクリュー剪断速度は、次式:
スクリュー剪断速度=πDN/60/H
{式中、π:円周率、D:スクリュー直径(mm)、N:スクリュー回転数(rpm)、そしてH:スクリュー計量部の溝深さ(mm)}で計算される。
スクリュー剪断速度が5(1/秒)未満では、PTTとPBTの樹脂混合物を安定して押出機内に導入することができない。他方、スクリュー剪断速度が300(1/秒)を超えると、樹脂混合物の剪断発熱が大きくなるために、PTT及び/又はPBTの熱分解・分子量低下が進み、モノフィラメントの回復性、耐久性が低下する。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。
まず、実施例、比較例における物性の測定方法、測定条件を説明する。
(1)強力(引張強さ)(N)
JIS-L-1013に準拠して測定した。10回の測定値の平均値を求めた。
(2)破断強度(cN/dtex)
JIS-L-1013に準拠して測定した。10回の測定値の平均値を求めた。
(3)破断伸度(%)
JIS-L-1013に準拠して測定した。10回の測定値の平均値を求めた。
(4)タフネス
下記式:
タフネス=破断強度(cN/dtex)×√破断伸度(%)
により求めた。
(5)沸水収縮率(%)
熱処理する工程の前後(熱セット後と熱セット前)のモノフィラメントの沸水収縮率を、JIS-L-1013の熱水寸法変化率B法(フィラメント収縮率)に準拠して測定し、沸水収縮率とした。初期測定長は500mmとし、小数点以下2桁まで測定した寸法変化率10回の測定値の平均値を求めた。尚、測定長500mmが確保できないサンプルしかない場合には、測定長100mmでの測定を行い、測定長100mmが確保できない場合は、初期荷重をかけず、測定長をできるだけ長くとるようにして測定した。この場合には測定誤差が大きくなるため、20回の測定値の平均値を求めた。
(6)耐久性(耐毛折れ)
耐久性(毛折れ)については、得られたモノフィラメントを歯ブラシの毛材とした際の、毛折れ等の損傷程度で評価した。ブラシ毛材の長さを7.00±0.15mmに水平に切りそろえた歯ブラシを、公知の方法で作製した。その歯ブラシを実際に10人のモニターに1ヶ月使用してもらい、10本の歯ブラシの平均的な損傷の程度を、以下の評価基準で判定した:
○:毛折れ等の損傷がない
△:毛折れ等の損傷が僅かにある
×:毛折れ等の損傷が著しい
(7)柔らかさ(使用感)
柔らかさ(使用感)については、得られたモノフィラメントを歯ブラシの毛材とした際の、官能評価で評価した。ブラシ毛材の長さを7.00±0.15mmに水平に切りそろえた歯ブラシを、公知の方法で作製した。その歯ブラシを実際に10人のモニターに1ヶ月使用してもらい、以下の評価基準で判定した:
○:柔らかい
△:普通
×:硬い
(8)回復性(耐毛開き)
回復性(毛開き)については、得られたモノフィラメントを歯ブラシの毛材とした際の、毛開きの程度で評価した。ブラシ毛材の長さを7.00±0.15mmに水平に切りそろえた歯ブラシを、公知の方法で作製した。その歯ブラシを実際に10人のモニターに1ヶ月使用してもらい、10本の歯ブラシの平均的な毛開きの程度を、以下の評価基準で判定した:
○:毛開きしていない
△:僅かに毛開きしている
×:著しく毛開きしている
(9)総合評価
総合評価については、前記した耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の結果を、以下の評価基準で総合的に判定した:
◎:耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の全てが〇
○:耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)のいずれかに一項目に△がありそれ以外は○
△:耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)のいずれか二項目以上に△があり×がない
×:耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)のいずれかに×がある
[実施例1]
極限粘度[η]=0.92dl/gの酸化チタンを含まないPTT(DuPont社製)80wt%と極限粘度[η]=0.84dl/gの酸化チタンを含まないPBT(ウィンテックポリマー(株)製)20wt%を予め混合し、110℃で乾燥後、以下の製造条件でモノフィラメントを巻き取った。
ポリマー吐出量:2.52(g/分)
スクリュー剪断速度:9.2(/秒)
滞留時間:8(分)
紡糸温度:260(℃)
冷却浴水温:40(℃)
引き取りロール(第1ロール)周速:15.8(m/分)
延伸浴水温:55(℃)
延伸ロール(第2ロール)周速:80(m/分)
熱処理浴温度:160(℃)
熱処理媒体:熱風
第3ロール周速:72(m/分)
巻き取り速度:72(m/分)。
上記条件で巻き取ったモノフィラメントを、市販のかせ巻装置を用いて、円周が360cm、総重量30kgのかせ巻きを作製し、非拘束下のかせ巻き状態のまま、80℃に設定された熱風乾燥機内に静置された、熱処理終了まで弛緩状態が維持される状態において、48時間弛緩熱処理して、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。 得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の全てが〇であり、総合評価は◎であった。
[実施例2]
実施例1におけるPTTとPBTの混合比を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の全てが〇であり、総合評価は◎であった。
[実施例3]
実施例1におけるPTTとPBTの混合比を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の全てが〇であり、総合評価は◎であった。
[実施例4]
実施例1における熱セットの時間を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)は△であったが、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の両項目が〇であり、総合評価は〇であった。
[実施例5]
実施例1における熱セットの温度と時間とを変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)、柔らかさ(使用感)、及び回復性(毛開き)の全てが〇であり、総合評価は◎であった。
[実施例6]
実施例1における熱セット温度を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。柔らかさ(使用感)は△であったが、耐久性(対毛切れ)、及び回復性(毛開き)の両項目が○であり、総合評価は○であった。
[比較例1]
実施例1におけるPTTとPBTの混合比を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)は×、柔らかさ(使用感)は△、そして回復性(毛開き)のみが〇であり、総合評価は×であった。
[比較例2]
実施例1におけるPTTとPBTの混合比を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)は×、柔らかさ(使用感)は△、そして回復性(毛開き)は×であり、総合評価は×であった。
[比較例3]
実施例1における熱セットの時間を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)は△、柔らかさ(使用感)は△、そして回復性(毛開き)は×であり、総合評価は×であった。
[比較例4]
巻き取ったモノフィラメントを巻糸体のまま、熱風乾燥機内に置いて熱処理を行った。本処理では巻糸体内の糸が外部から拘束を受けていない、いわゆる非拘束下の処理であるが、熱処理中に糸収縮が進んで糸に張力がかかった状態で熱処理される方法であった。このように弛緩熱処理を変更した以外は、実施例1と同じ製造条件でモノフィラメントを巻き取り、熱セットを経た後、モノフィラメントを得た。
次いで、常法により、得られたモノフィラメントを用いて歯ブラシを作製した。
得られたモノフィラメントの物性等を以下の表1に示す。耐久性(毛折れ)は△、柔らかさ(使用感)は△、そして回復性(毛開き)は×であり、総合評価は×であった。
Figure 0007289920000001
本発明の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントは、従来技術の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントに比較して、柔軟性(使用感)、耐久性(耐毛折れ)、及び回復性(耐毛開き)に優れるため、歯ブラシの立毛部に好適に利用可能である。
1 乾燥機
2 押出機
3 ベンド
4 スピンヘッド
5 ギヤポンプ
6 紡糸口金
7 フィラメント状ポリマー
8 冷却浴
9 第1ロール群
10 延伸浴
11 第2ロール群
12 熱処理浴
13 第3ロール群
14 巻取機

Claims (5)

  1. ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)が重量比85/15~65/35の割合で混合されており、かつ、沸水収縮率が、0.50%~0.90%であることを特徴とする歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
  2. 前記モノフィラメントのタフネス=破断強度(cN/dtex)×√破断伸度(%)が、18以上であり、かつ、破断伸度が55%以上である、請求項1に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
  3. 前記モノフィラメントの繊維直径が、150μm~200μmである、請求項1又は2に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメント。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントを立毛部に用いた歯ブラシ。
  5. 以下の工程:
    ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリブチレンテレフタレート(PBT)を重量比85/15~65/35の割合で混合した後、溶融紡糸する工程;
    溶融紡糸されたモノフィラメントを、延伸し、次いで、熱処理し、一旦巻き取る工程;及び
    巻き取ったモノフィラメントを、非拘束下、70℃~110℃の熱処理温度、及び48時間~72時間の熱処理時間で、熱処理終了まで弛緩状態を維持した状態で熱処理する工程;
    を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の歯ブラシ用ポリエステル系モノフィラメントの製造方法。
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