JPH11140737A - ポリエステル混繊糸の製造方法 - Google Patents

ポリエステル混繊糸の製造方法

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JPH11140737A
JPH11140737A JP30275297A JP30275297A JPH11140737A JP H11140737 A JPH11140737 A JP H11140737A JP 30275297 A JP30275297 A JP 30275297A JP 30275297 A JP30275297 A JP 30275297A JP H11140737 A JPH11140737 A JP H11140737A
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JP
Japan
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yarn
polymer
elongation
base polymer
yarn group
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JP30275297A
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Inventor
Hiroyuki Aisaka
浩幸 逢坂
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ベース・ポリマーとは異なる成分
からなるポリマーを2種以上使用して伸度差や他の物性
差が十分に発現し、高速製糸性も良好であり、嵩高性に
富んだ混繊糸を安価に製造する方法を提供することにあ
る。 【解決手段】 本発明は、ポリエステル成分からなるベ
ース・ポリマーに、該ベース・ポリマーとは異なる成分
からなるポリマー2種以上を別々に添加して糸条群A、
糸条群Bとして紡糸し、紡糸引取速度2500m/分以
上で同時に引き取って混繊し、糸条群Aの伸度が糸条群
Bの伸度の1.2倍以上となるようしたポリエステル混
繊糸の製造方法にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルから
なるマルチフィラメント混繊糸の製造方法に関し、さら
に詳しくは、異なる伸度差を有する2糸条群を同一パッ
クにより同一溶融温度で溶融吐出して製糸し、混繊・捲
取が安定して行われる生産性が高いポリエステル混繊糸
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から混繊糸を得る方法として、熱収
縮差が大きい2種以上の糸条を混繊する方法が知られ、
該混繊糸を熱処理して嵩高糸を得る方法があり、さらに
粘度差を有する2種のポリマーを使用するか、若しく
は、一方のポリマーに第3成分を共重合させたものを使
用して、その分子構造差を利用し結晶配向差や強伸度差
から生じる差異を利用して風合改良を行う方法が知られ
ている。
【0003】熱処理を施すことによって嵩高性を呈する
ポリエステル混繊糸は、熱収縮差を有するポリエステル
繊維同士を混繊することによって得られるが、かかる混
繊糸は、熱処理により高収縮率を有するポリエステル繊
維が収縮し、これにより低収縮率を有するポリエステル
繊維が該高収縮ポリエステル繊維の周辺に張り出すこと
によって嵩高性を付与するものであり、この時、高収縮
ポリエステル繊維の単繊維の繊度を太くし、低収縮ポリ
エステル繊維の単繊維の繊度を細くすることにより、熱
処理後に得られる混繊糸の風合は、表面タッチがソフト
であって、且つ腰があるものとなる。このような熱収縮
率差を有するポリエステル混繊糸を得るには、潜在的に
熱収縮率差を有する複数の糸条群を混繊する方法が多く
採用されている。
【0004】例えば、特開昭54−82423号公報に
は、同一紡糸口金からポリエステルを溶融吐出し急冷し
て得られるフィラメントを2つの群に分割して、その一
方の糸束には水が主体である油剤を付与し、他方の糸束
には水よりも高温の沸点を有する油剤を付与し、次い
で、両者を別々に同一条件で熱処理しつつ延伸を施した
後、両者を混繊する方法が提案されている。
【0005】しかし、この方法では紡糸油剤の沸点差を
利用して、糸束間に収縮差(沸水収縮差)を付与するも
のであるため、該糸束間の沸水収縮差を充分に大きくす
ることが出来ず、得られる混繊糸は繊維間の収縮差の小
さいものとなる。このため、最終的に得られる嵩高糸
は、嵩高性に乏しく、満足し得る風合は得られなかっ
た。
【0006】また、特開昭58−191211号公報に
は、同一紡糸パックより2つのマルチフィラメント糸条
を溶融吐出し、一方の糸条と他方の糸条には集束位置に
差を付け、且つ、4500m/分以上の紡糸引取速度で
引取り、該引取りの際に空気抗力差を発生させて混繊・
捲取ることで2つの糸条に収縮差を生じさせることを特
徴とする混繊糸が記載されている。
【0007】さらに、特開昭60−126316号公報
には、同一紡糸パックより2以上のマルチフィラメント
糸条を溶融吐出させ、該糸条のうち、一方の糸条の紡糸
速度と他方の糸条の紡糸速度とに差を生じるように一旦
引取り、次いで、紡糸速度の早い糸条と紡糸速度の遅い
糸条とを混繊し引取り、捲取ることにより、収縮差を生
じさせる混繊糸が記載されている。しかしながら、これ
らの方法では、糸条の収縮差は得られるが、パワー不足
から織物としての十分な膨らみが発現せず、また、好ま
しい風合も得られず、発色性も十分でなかった。
【0008】また、特開平7−243144号公報に
は、溶融吐出させた複数の糸条群のうち、一方の糸条群
には水を付与し他方の糸条群には水を付与せず非集束状
態で、夫々温度150℃以上に設定された加熱筒に同時
に通して、3000〜5500m/分の速度で引取り、
合糸混繊することを特徴とする混繊糸が記載されてい
る。
【0009】この方法では、確かに、集束位置が異なる
ことと水を付与することで、水を付与した糸条群が加熱
筒内での熱の影響をあまり受けずに、ある程度高い収縮
率を維持して、しかも、延伸が施されない状態になるた
め、高い伸度を有し、収縮差による嵩高性を発現するこ
とは確認されているが、しかし、均一な染め上がりの混
繊糸が得られず発色性にも乏しかった。所謂、霜降り糸
に近い状態の濃淡のある嵩高性の高い混繊糸であった。
【0010】さらに、特開平8−209442号公報に
は、高収縮繊維と低収縮繊維の熱収縮率の異なる2種の
繊維群からなり、低収縮繊維がポリエステルからなり、
高収縮繊維がイソフタル酸と2種のヒドロキシエトキシ
フェノールを主体とする3種の特定量を共重合した共重
合ポリエチレンテレフタレートからなり、その収縮差が
5〜25%の範囲にある混繊糸が記載されている。確か
に、第3成分を入れることで十分な収縮差が得られる
が、安価で生産性に優れた混繊糸とは言い難く、イソフ
タル酸を主体とする第3成分の重合の点でも能力が落ち
好ましくない。
【0011】また、特開昭58−98418号公報に
は、第3成分でなく外部添加的な形で、ベース・ポリマ
ーに他種ポリマーを添加し、嵩高性を得る加工糸に関す
るものが記載されている。この場合には、ベース・ポリ
マーに他種ポリマー1種のみを添加し、口金の口径を規
定することで嵩高性を得ることを目指しているが、この
場合は、ベース・ポリマーとの差による仮撚後の糸物性
差が小さく、嵩高性の点では十分であっても、発色性や
柔らかさ等の点で不十分であった。
【0012】近年、繊維製品に対する市場のニーズは、
均一、均質なものに対する要求から変化して、消費者の
高級化指向に伴う多種、多様なものに対する要求へと変
化し、少品種・大量生産から多品種・少量生産の付加価
値品生産へと変化している。このため、付加価値銘柄の
品質・量の確保の要求に応えながら、生産性の向上とコ
ストアップ要因を押さえて付加価値品を生産していく生
産技術向上が必要となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の現状を背景になされたもので、ベース・ポリ
マーに、該ベース・ポリマーとは異なる成分からなるポ
リマーを2種以上使用し、異なる押出機で極微量添加す
ることにより伸度差や他の物性差が十分に発現し、高速
製糸性も良好であり、嵩高性に富んだ混繊糸を安価に製
造する方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル
成分からなるベース・ポリマーに、該ベース・ポリマー
とは異なる成分からなるポリマー2種以上を別々に0.
5〜5.0重量%の範囲で添加し、同一紡糸パックより
各々溶融吐出して、ベース・ポリマーのみを使用した場
合の糸条より大なる伸度を有する糸条群Aとベース・ポ
リマーのみを使用した場合の糸条より小なる伸度を有す
る糸条群Bとして紡糸し、一旦冷却し、次いで、紡糸引
取速度2500m/分以上で同時に引き取って混繊し、
糸条群Aの伸度が糸条群Bの伸度の1.2倍以上とした
ことを特徴とするポリエステル混繊糸の製造方法にあ
る。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられるポリエステルは、主たる繰り返し単位がエチ
レンテレフタレートが85モル%以上、好ましくは95
モル%以上からなるポリエステルであるが、テレフタル
酸成分及び/又はエチレングリコール成分以外の第3成
分を少量(通常はテレフタル酸成分に対して20モル%
以下)共重合したものでもあっても良い。また、本発明
ではベース・ポリマーは1種若しくは2種が使用できる
が、ポリマー2種を使用する場合には溶融前の固有粘度
IVの差が大きくても、0.05を超えないようにすべ
きである。
【0016】ベース・ポリマーに2種以上のポリマーを
使用する場合には、ベース・ポリマーの固有粘度の差が
大きくなると同一パックより溶融吐出するので、温度履
歴が異なる状態で紡糸口金よりポリマーが吐出され、固
有粘度の低いポリマーが、口金面にくっつき剥がれ難く
なるニーリングや吐出状態の安定性(方向性)がなくな
り、糸条が揺れる状態のベンデイングを起こし、製糸中
に断糸を頻繁に引き起こすため好ましくない。
【0017】本発明で使用するベース・ポリマーの固有
粘度IV(35℃のo−クロロフェノール溶液を使用し
て算出)は、0.500〜1.00の範囲にあるもの、
さらに好ましくは、0.550〜0.700の範囲にあ
るものが例示される。また、これらのポリエステルに
は、公知の添加剤、例えば、顔料、染料、艶消し剤、防
汚剤、蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、滑
剤を含んでいてもよい。
【0018】本発明ではかかるベース・ポリマーに対し
該ベース・ポリマーとは異なる成分からなるポリマーを
2種以上添加することが重要である。すなわち、本発明
では、糸条群Aのベース・ポリマーに添加される重合体
としては、該ベース・ポリマーとは異なる重合体を使用
し、溶融吐出された際の伸長粘度の低下を著しく引き起
こし、配向結晶を抑制し、なおかつ伸度の伸長特性が上
がるものが採用される。このため添加されるポリマー成
分:Aとしてはポリメチルメタアクリレート重合体やポ
リスチレン重合体を0.5〜5.0重量%の範囲で添加
するものが例示されるが、ポリメチルメタアクリレート
重合体を添加するものが最適に例示される。
【0019】ポリメチルメタアクリレートは、非晶性ポ
リマーで、複屈折率が少なく垂直方向と水平方向の配向
差が少なく、通常光学材料に使用されているが、このポ
リメチルメタアクリレート重合体を添加することによ
り、溶融吐出されたポリマーの中で“コロ”効果のよう
な作用を呈して、配向結晶を抑制する効果が高くなる。
【0020】配向結晶を抑制するには、従来から用いら
れる方法としては、溶融温度や紡糸口金直下の雰囲気温
度を極端に高めたり、イソフタル酸やヂメチルテレフタ
ル酸等の第3成分を多量に添加させて共重合ポリマーと
して用いる方法が行われてきた。確かに、これらの方法
でも、配向結晶性が抑制される傾向はあるが、伸度特性
も抑制されるので伸度の値が高いものは得られなかっ
た。このような傾向は、通常のポリエステル成分に第3
成分を添加して紡糸吐出される際にも伸長粘度の低下と
して見られるものであり、共重合されたポリマーでも同
一現象が見られるが、ポリメチルメタクリレート重合体
を添加したものの比ではない。
【0021】糸条群Aのポリマーに添加される重合体の
添加量が0.5重量%未満では、十分な伸度が得られな
いため本発明の効果が得られず、逆に該添加量が5重量
%を超える場合には、伸度特性の抑制がピークを過ぎ、
添加する剤(ポリマー)の量が増えることによる伸度の
低下が見られ、さらにポリメチルメタクリレート周辺か
らの局部的な応力集中が発生し、液的破断現象が起き
る。このため、伸度の伸長性が均一でなく、後加工での
染斑が発現し問題となる。さらには、デニール斑の発生
要因にもつながり、後加工した際の加工張力斑が発生
し、断糸及び毛羽が増える。このため、適正な添加量と
しては、0.5〜5.0重量%の範囲であり、さらに好
ましい添加量は、1.0〜3.0重量%である。
【0022】一方、糸条群Bのポリマーに添加される重
合体としては、糸条群Aと異なりベース・ポリマーに対
して配向結晶を促進する傾向を示すものが採用される必
要があり、さらに、配向結晶が促進し、伸度の低下が均
一であり、ベース・ポリマーから得られる糸条より著し
く伸度低下を発現させるものを添加する必要がある。
【0023】このため添加されるポリマー成分:Bとし
ては、ベース・ポリマーに添加した際に配向結晶化促進
傾向を示すポリカーボネート重合体やポリエチレン、ポ
リプロピレンなどを使用するものが例示されるが、ポリ
エチレン、ポリプロピレンは融点がそれぞれ130℃、
160℃とポリエステルよりも低いためパック内でのポ
リマー分解・劣化を引き起すので、ポリカーボネート重
合体を0.5〜5.0重量%の範囲で添加するものが最
適に例示される。
【0024】ポリカーボネートは、ポリメチルメタクリ
レート重合体と同様光学材料に使用され、複屈折率が高
いが、水分の影響が受け難く寸法安定性に優れていると
いった特長がある。このポリカーボネート重合体をベー
ス・ポリマーに添加すると、エステル交換反応が進む形
で、結晶化が促進し、伸度が著しく低下し、ヤング率が
高くなる傾向を示す。
【0025】該ポリマー成分:Bの添加量の適正水準
は、ポリメチルメタクリレート重合体と同様な傾向を示
し、0.5〜5.0重量%の範囲である。該添加量が
0.5重量%未満では、ベース・ポリマーを溶融紡糸し
て得られた伸度と同一レベルの値を示し、5重量%を超
える場合の添加量では、紡糸時に断糸が頻発し、脆性的
な破断現象が現れる。従って、適正な量としては、0.
5〜5.0重量%で有り、好ましくは1.0〜3.0重
量%である。
【0026】添加するポリマー重合体は、それぞれ異な
る押出機で極微量をベース・ポリマーに添加し、溶融混
練押出しするが、使用する押出機は、1軸及び2軸の押
出機が使用できる。混練性を向上させるためには、2軸
押出機が好ましいが、1軸押出機に混練性を向上させる
ためにマッドク型押出機等のスクリュー溝形状を変えた
ものが混練性の点でより好ましい。
【0027】図1は、本発明方法であるポリエステル混
繊糸の製造方法を説明する概略図である。図1におい
て、ベース・ポリマーであるポリエステルと該ベース・
ポリマーに添加するポリマー:Aとはブレンドして1A
から押出機2Aに供給され、ベース・ポリマーであるポ
リエステルと該ベース・ポリマーに添加するポリマー:
Bとはブレンドして1Bから押出機2Bに供給される。
ベース・ポリマーと該ベース・ポリマーに添加したポリ
マーA、及びポリマーBとは、該押出機2A、2Bによ
りブレンドされ溶融押出されてブースター・ポンプ3A
及び3Bに供給され、さらにギア・ポンプ4からスピン
・ブロック5に供給され、紡糸パック6を経て、紡糸口
金7から紡糸される。8は、該紡糸口金7より溶融吐出
された糸条群A、及び糸条群Bが同時に紡出された状態
を示し、9は油剤付与装置、10,11は引取りローラ
を示し、最終的に糸条は捲取機12により捲き取られ
る。なお、該紡糸口金7としては、同一口金から糸条群
A及び糸条群Bを同時に紡出することができるものや、
また、別々の紡糸口金から糸条群Aと糸条群Bとを同時
に紡糸することが出来るものがある。
【0028】さらに、図2に示すように、本発明を実施
する装置としては、紡糸・延伸・引取り・捲取りを一貫
して行う直延方式であってもよい。図2は、本発明方法
であるポリエステル混繊糸の製造方法を行う他の態様を
説明する概略図である。図2において、13,14はイ
ンターレースノズルを、15,16はセパレートローラ
を示し、ローラ10及びローラ11にて延伸を行う。
【0029】図3は、本発明方法であるポリエステル混
繊糸の製造方法を行うさらに他の態様を説明する概略図
である。図3に示すように溶融吐出された糸条群A、B
である8は、一旦冷却された後、長さ50〜150cm
の加熱装置17内に非集束状態で導かれ延伸熱セットし
た後、引取りローラ10,11を経て捲取機12により
捲き取られる。9’は油剤付与装置を示す。
【0030】本発明の方法では、ベース・ポリマーに極
微量の添加ポリマー(ベース・ポリマーとは異なるポリ
マー)を添加するだけのため、該ベース・ポリマーを単
独で製糸する場合とほぼ同一温度条件で運転が可能とな
る。このため、口金面から溶融吐出される繊維糸条は、
ベンデイングの発生が極端に少なくなる。
【0031】さらに、本発明方法では、前記のように紡
出した糸条群A及び糸条群Bをより高速な条件で製糸す
ることが好ましく、2500m/分以上の引取速度で捲
取ることが必要である。該引取速度が2500m/分未
満では、糸条群Aでの配向結晶抑制効果が得られず、ポ
リメチルメタクリレート重合体による“コロ”効果が十
分に発現せず、伸長粘度の低下もわずかである。これは
低速引取りの場合には、ベース・ポリマー単独糸条の未
配向領域と同じ状態となるためと考えられている。
【0032】また、引取速度が2500m/分未満では
糸条群Bの効果もあまり発現しないが、引取速度が25
00m/分以上で有れば、糸条群A及び糸条群Bによる
効果が発現し、糸条群A・糸条群Bの伸度差が著しく大
きくなる。また、紡糸引取速度が高くなると曳糸性が低
下する傾向が見られるので、本発明では該引取速度は2
500〜6000m/分の範囲が例示され、より好まし
くは2500〜5500m/分の範囲で引取られるもの
が好適である。
【0033】さらに、本発明により得られる混繊糸が糸
条群Aと糸条群Bとの伸度差による深色性に優れた、風
合いの豊かな混繊糸となるためには、糸条群Aの伸度:
1と糸条群Bの伸度:E2とした場合に、両者の伸度差
が0.2E2以上となることが必要である。
【0034】ベース・ポリマーを単独で使用した場合の
糸の伸度:Epとした場合、該伸度:Epと糸条群Aの伸
度:E1との伸度差として、0.2Ep以上を得ることは
難しく、出来たとしても、デニールが極端に大きい銘柄
等に限られる。このために本発明では、糸条群Bの糸を
使用することが必要であり、これにより、単糸デニール
が細くなっても前記の伸度差が確保され、該伸度差によ
る深色性や柔らかさが発現出来たものである。
【0035】また、伸度差が大きくなると、逆に、製織
時にループ・毛羽が発生して問題になるため、紡糸延伸
時には十分な交絡処理を施しておくのがよい。さらに、
伸度差があまり大きすぎると製織アルカリ減量後のフィ
ブリル性に問題が生ずるおそれがあるため、延伸・仮撚
熱セットした後の伸度差は0.2E2〜1.0E2の範囲
にあることが現実的である。該伸度差が0.2E2未満
では混繊しているにもかかわらず、風合的に好ましくな
く、また、該伸度差が1.0E2を超えると風合的には
問題はないが製織工程やその後の製品化の段階で問題が
発生することがあり注意を要する。
【0036】なお、ベース・ポリマーとの関係でいえ
ば、ベース・ポリマーを単独で使用した場合の糸の伸
度:Epと糸条群A、糸条群Bとの伸度差が十分あるこ
とが好ましく、ベース・ポリマーを単独で使用した場合
の糸の伸度:Epと糸条群Aとの伸度差は、1.1Ep
あるものが、同様にベース・ポリマーを単独で使用した
場合の糸の伸度:Epと糸条群Bとの伸度差は0.9Ep
であるものが風合・染着性の点でさらに好ましい。
【0037】なお、本発明方法では、紡糸引取速度が2
500m/分以上は必要であることは前記の通りである
が、図2に示した直延方式の場合では、引取ローラー1
0と引取ローラー11の間で延伸され、引取ローラー1
1で熱セットされるので所望とする伸度差を任意に決め
ておき調節することが出来る。また、図1に示した装置
でも、一旦捲取った後に別延方式による延伸・仮撚を施
すものであるから、基本的には、直延方式で得られる伸
度差・構造と類似した形となる。おおよそ倍率的には、
紡糸速度によるが2500m/分台の速度領域なら2.
0〜2.5倍、4000m/分台の速度領域なら1.2
〜1.5倍の範囲で延伸し、熱セットは温度として15
0〜230℃の範囲が適当である。
【0038】一方、図3に示した加熱装置17を通し
て、開繊状態で非接触状態で、加熱装置17内で延伸・
熱セットする場合にはより伸度差が発現し易い。この時
の加熱装置17の温度設定としては、加熱装置の長さも
あるが前記の50〜150cmの加熱装置の場合には、
温度130〜230℃の範囲であれば、通常に使用する
織物に適した一般物性が得られる。
【0039】このように本発明は適宜別延方式、又は、
直延方式を選択することが出来るが、いずれにせよ糸条
群A及び糸条群Bを同一の紡糸パックから溶融吐出し、
引取ることにより、該糸条群A、糸条群Bの伸度差や他
の物性差が十分に発現し、高速製糸性も良好で、嵩高性
に富んだ混繊糸を安価に製造し生産性の向上を図ること
が出来たものである。
【0040】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例、比較例における力学的特性
(一般物性)、工程調子の測定、判定並びに総合判定は
下記の方法により行った。
【0041】(1)伸度及び強度 テンシロン引張試験器を用いて得られた荷伸曲線から求
めた。強伸度は、破断時の伸度及び強度を示している。
この時に、ベース・ポリマーを単独で製糸した際の伸度
Pを基準とし、図1で示す同一紡糸口金より溶融吐出
される糸条群A及び糸条群Bを分けてサンプリングし、
夫々の荷伸曲線から伸度を求め伸度差を求めた。
【0042】(2)深色性・染斑 糸条群A・Bが混繊されたメリヤス編サンプルを染色し
て、目視判定で1〜5点評価を行った。深色性について
は、色の深みがあり濃染性が高いものほど点数が高く、
同様に染斑も点数が高い程染め上がりの状態が良い、つ
まり、染斑が少ないことを示す。
【0043】(3)風合 糸条群A・Bが混繊されたメリヤス編サンプルを染色し
た後の製品と、別途作成したベース・ポリマーの単独糸
で得られた製品との対比で手でさわり触感が良いものか
ら、◎(極めて良)、○(良)、△(やや不良)、×
(不良)として判定した。
【0044】(4)工程調子 1日、1錘当たりの紡糸断糸回数を測定し、1週間ラン
ニングした際の平均で示し、次の基準で評価した。 ◎:0.5回未満 ○:0.5回以上1.0回未満 △:1.0回以上2.0回未満 ×:2.0回以上
【0045】(5)総合判定 伸度及び強度、深色性・染斑、風合、工程調子、生産性
の判定結果に基づいて、総合的に評価した結果を総合判
定として示す。 ◎:極めて良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良
【0046】[実施例1〜5、比較例1〜5]固有粘度
が0.64で酸化チタンを0.3重量%含有するポリエ
チレンテレフタレートをベース・ポリマーとして使用
し、該ベース・ポリマーに表1にそれぞれ示す添加量の
ポリメチルメタクリレートを図1に示す1Aからを添加
し、押出機2Aで溶融押出し、1Bからは同じく表1に
それぞれ示す添加量のポリカーボネートを添加し、同じ
く押出機2Bで溶融押出してスピンブロック温度295
℃で溶融して、同一パックで別々の紡糸口金から表1に
示すトータルデニールの糸条群Aと、糸条群Bとして夫
々紡糸した。この時の紡糸口金は、糸条群A、糸条群B
用とも0.2mmφ×0.8mmL×48ホールの口金
を使用して紡糸し、次いで紡糸引取及び捲取としては、
図3に示すような加熱装置:長さ=100cm、径=3
5mmの円筒方式で6錘建てのものを使用し、表1に示
す引取速度により行った(実施例1〜5、比較例1〜
5)。表1において、各欄の上段は、糸条群Aに関する
トータルデニール、添加量を、また、下段は、糸条群B
に関するトータルデニール、添加量をそれぞれ示す。
【0047】該糸条群A及び糸条群Bから採取した糸の
物性を測定するとともに、混繊後の風合・染斑等を評価
した。得られた紡糸結果、及び混繊糸の評価結果を実施
例1〜5及び比較例1〜5として表3に示す。また、ベ
ース・ポリマーのみを使用して表1の実施例1〜実施例
5、及び比較例1〜比較例5にそれぞれ対応する加熱装
置温度、引取速度で製糸し、得られた糸の物性(強度及
び伸度)を測定し、その結果を表3に併せて示す。表3
において、上段の数値はベース・ポリマーのみを使用し
て製糸した場合の糸の伸度(Ep)及び強度を、中段の
数値は糸条群Aの糸の伸度(E1)及び強度を、下段の
数値は糸条群Bの糸の伸度(E2)及び強度をそれぞれ
示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】実施例1は、紡糸引取速度を2500m/
分として得られた本発明方法による糸条であるが、伸度
的に糸条群Aの伸度が高く、風合的に優れているが若干
風合的にソフトなものであり、実施例2〜4は、安定し
た工程調子が得られる紡糸引取速度であり、表に示す添
加量の範囲のもので物性・風合・染斑・深色性について
良好な結果が得られた。実施例5については、紡糸引取
速度が6000m/分と高い分だけ糸条群Bにおける結
晶化が促進し、伸度の低下が大きいが紡糸における工程
調子も許容出来る範囲であった。
【0051】比較例1は、糸条群A・B共に添加ポリマ
ーを添加しない場合のものであり風合の改良はなく、比
較例2は糸条群Bにのみポリマーを添加した例であり、
糸条群Aの伸度と糸条群Bの伸度差が少なく風合的にも
硬いものあり、比較例3は、糸条群A・B共ポリマーの
添加量が高すぎて、捲取られた糸条群の物性差はかなり
あるが、紡糸での断糸が多発し、生産できる状況でなか
った。比較例4は、糸条群Bに何も添加しない場合で、
糸条群Aのみ伸度差が大きく、全体的に張り腰が少ない
風合となり、比較例5は、物性差が発現するだけの紡糸
引取速度でないため、糸条群A及びBの伸度は、ベース
・ポリマーの伸度と同じレベルであり製品としての採用
は無理であった。
【0052】[実施例6〜8、比較例6〜8]実施例1
〜5で使用したベース・ポリマーを使用し、該ベース・
ポリマーに表2に示す量の添加ポリマーを実施例1〜5
と同様にして添加、溶融し、表2に示すトータルデニー
ルの糸条群Aと糸条群Bとを紡糸した。この時の紡糸口
金は、糸条群Aについては、実施例1〜5と同様のもの
を使用し、糸条群Bについては、0.25φ×0.8L
×24ホールの紡糸口金を使用して紡糸し、引続いて、
引取及び捲取としては、図3に示す加熱装置を実施例1
〜5と同様に使用して、表2に示す引取速度により行っ
た(実施例6〜8及び比較例6〜8)。
【0053】該糸条群A及び糸条群Bから採取した糸の
物性を測定するとともに、混繊後の風合・染斑等を評価
した。また、ベース・ポリマーのみを使用して表2の実
施例6〜8、及び比較例6〜8にそれぞれ対応する加熱
装置温度、引取速度で製糸し、得られた糸の物性(強度
及び伸度)を測定した。得られた紡糸結果、及び混繊糸
の評価結果を実施例6〜8及び比較例6〜8として表4
に示す。表4において、上段の数値はベース・ポリマー
のみを使用して製糸した場合の糸の伸度(Ep)及び強
度を、中段の数値は糸条群Aの糸の伸度(E1)及び強
度を、下段の数値は糸条群Bの糸の伸度(E2)及び強
度をそれぞれ示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】実施例6〜8は、糸条群Bのフィラメント
数を変えたものであるため、その伸度は実施例1〜5と
は異なるが、その物性挙動等は同一傾向を示し、風合・
染斑的にも優れたものであった。比較例6〜8は、糸条
群A、Bの両方、若しくはいずれか一方に添加ポリマー
を使用しなかったものでありいずれも風合的に許容でき
るものではなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法であるポリエステル混繊糸の製造方
法を説明する概略図である。
【図2】本発明方法であるポリエステル混繊糸の製造方
法を行う他の態様を説明する概略図である。
【図3】本発明方法であるポリエステル混繊糸の製造方
法を行うさらに他の態様を説明する概略図である。
【符号の説明】
1A;糸条群Aを成すベースポリマーと添加ポリマー:
Aのブレンド 1B;糸条群Bを成すベースポリマーと添加ポリマー:
Bのブレンド 6;紡糸パック 7;紡糸口金 8;糸条 10、11;引取ローラー 12;捲取機

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル成分からなるベース・ポリ
    マーに、該ベース・ポリマーとは異なる成分からなるポ
    リマー2種以上を別々に0.5〜5.0重量%の範囲で
    添加し、同一紡糸パックより各々溶融吐出して、ベース
    ・ポリマーのみを使用した場合の糸条より大なる伸度を
    有する糸条群Aとベース・ポリマーのみを使用した場合
    の糸条より小なる伸度を有する糸条群Bとして紡糸し、
    一旦冷却し、次いで、紡糸引取速度2500m/分以上
    で同時に引き取って混繊し、糸条群Aの伸度が糸条群B
    の伸度の1.2倍以上としたことを特徴とするポリエス
    テル混繊糸の製造方法。
  2. 【請求項2】 糸条群Aの添加ポリマーとして非晶性ポ
    リマーを使用し、糸条群Bの添加ポリマーとして、ベー
    ス・ポリマーとは異なる低融点の結晶性ポリマーを使用
    する請求項1記載のポリエステル混繊糸の製造方法。
  3. 【請求項3】 糸条群Aの添加ポリマーとしてポリメタ
    アクリレート重合体を使用し、糸条群Bの添加ポリマー
    としてポリカーボネート重合体を使用する請求項1、又
    は、請求項2記載のポリエステル混繊糸の製造方法。
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