JP7288772B2 - 制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、制御装置に関し、特に、制御装置のパラメータを調節する技術に関する。
本技術分野の背景技術として、特開2018-112954(特許文献1)がある。この文献には、「オートチューニングによってPID値を算出するPID算出部と、前記PID値を用いてPID制御を実行するPID制御部と、前記PID値を用いて前記PID制御異常または対象装置の異常を判定する判定部と、を備える、制御装置。」(請求項1参照)と、「前記判定部は、予め設定した回数目のPID値である基準PID値、および、前記所定回数目よりも後の現在のPID値を取得し、前記基準PID値に対する現在のPID値の変化に基づいて前記PID制御の異常または前記対象装置の異常を判定する、」制御装置(請求項2参照)が記載されている。
特開2018-112954号公報
しかしながら、前述した先行技術(特許文献1)は、オートチューニングによって算出されたPIDゲイン値の許容範囲(絶対値)を規定するものではなく、PIDゲイン値異常時の対応処理を規定するものでもない。
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備え、前記許可部は、前記新たに演算されたゲイン値が前記第一の範囲及び前記第二の範囲の外側の第三の範囲にある場合、前記ゲイン値として局所解が算出されている可能性があると判定し、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止するとともに、当該ゲイン値として局所解が算出されている可能性を示す異常フラグを設定することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、PIDゲイン値の変化量が小さくても、不適切なPIDゲイン値を検出できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
実施例1~7における制御装置の中心機能を示す図である。 実施例1~7における制御装置のシステム構成図である。 実施例1、3における制御装置と制御対象を示す図である。 実施例1~4における所望の出力値演算部の処理を示す図である。 実施例1~4におけるPID制御器ゲイン値調整部の処理を示す図である。 実施例1、5~7におけるPIDゲイン値適用許可部の処理を示す図である。 実施例2における制御装置と制御対象を示す図である。 実施例2におけるPIDゲイン値適用許可部の処理を示す図である。 実施例3におけるPIDゲイン値適用許可部の処理を示す図である。 実施例4における制御装置と制御対象を示す図である。 実施例4におけるPIDゲイン値適用許可部の処理を示す図である。 実施例5における制御装置と制御対象を示す図である。 実施例5における所望の出力値演算部の処理を示す図である。 実施例5におけるPID制御器ゲイン値調整部の処理を示す図である。 実施例6における制御装置と制御対象を示す図である。 実施例6における所望の出力値演算部の処理を示す図である。 実施例6におけるPID制御器ゲイン値調整部の処理を示す図である。 実施例7における制御装置と制御対象を示す図である。 実施例7における所望の出力値演算部の処理を示す図である。 実施例7におけるPID制御器ゲイン値調整部の処理を示す図である。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
[実施例1]
本実施例においては、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える制御装置について示す。
また、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、前記PID制御器のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。
また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲の外側にある。
また、制御装置は、プラントを制御する装置である。
図1は、制御装置1の中心機能を示す図である。
制御装置1において、PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。PIDゲイン値適用許可部3は、PID制御器ゲイン値調整部2で新たに演算されたPIDゲイン値(暫定値)をPIDゲイン値として用いるか否かを判定し、新たに演算されたPIDゲイン値をPIDゲイン値として用いると判定した場合、PIDゲイン値(暫定値)を最新のPIDゲイン値としてPID制御器5に適用し、新たに演算されたPIDゲイン値をPIDゲイン値として用いないと判定した場合、現状のPIDゲイン値を維持する。
図2は、制御装置1のシステム構成図である。
制御装置1は、ハードウェアとして、記憶装置11、CPU12、ROM13、RAM14、データバス15、入力回路16、入出力ポート17及び出力回路18を有する。入力回路16は、外部から入力された信号を処理する。外部から入力される信号は、例えば、制御装置1に設置又は接続されているセンサからの信号などである。外部から入力される信号は、入力回路16を経て、入力信号となり入出力ポート17へ送られる。入出力ポート17に送られた各入力情報は、データバス15を経て、RAM14又は記憶装置11に格納される。ROM13及び記憶装置11の少なくとも一方は、後述する処理を実行するためのプログラムを格納しており、該プログラムはCPU12で実行される。その際、RAM14及び記憶装置11の少なくとも一方に格納された値を、適宜、使用して演算を行う。演算結果のうち外部へ送り出す情報(値)は、データバス15を経て入出力ポート17に送られ、出力信号として出力回路18に送られる。出力回路18は、出力信号を外部に出力する。外部へ出力される出力信号は、制御対象を所望の動きをさせるためのアクチュエータ駆動信号などである。
なお、CPU12がプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算装置(例えば、FPGA(Field Programable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア)で実行してもよい。
図3は、制御装置1と、制御装置1に制御されるプラント6とを示す図である。
PID制御器5は、プラント6の温度を制御するための操作量(例えば、蒸気温度を調節するための目標バルブ開度)を演算する。所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(プラント6の温度)の所望のプロフィールを演算する。
以下、各処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図4)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(例えばプラント6の温度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図4に示すように、制御目標である目標プラント温度Tg_Tdegに対して、例えば伝達関数などを用いて、所望のプラント温度De_Tdegのプロフィールを演算する。制御目標には、例えばステップ信号、ランプ信号などがある。伝達関数は、予め決めておくとよいが、プラント6の動作状態に応じて特性を変化させてもよい。
<PID制御器ゲイン値調整部(図5)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図5に示すように、PIDゲイン値調整処理許可フラグf_opが1の場合、以下の処理を実行する。
例えば、プラント温度Tdegのプロフィールと所望のプラント温度De_Tdegのプロフィールの差が最も小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を決める。得られたPID制御器5のPゲイン値、Iゲイン値、Dゲイン値の暫定値をそれぞれKp_new,Ki_new,Kd_newとする。f_op=0の場合、調整処理を実行せず現状のPIDゲイン値を維持する。
プラント温度Tdegのプロフィールと所望のプラント温度De_Tdegのプロフィールの差を評価する評価関数は、例えば、J2=||Tdeg-De_Tdeg||であるL2ノルム、又は、J1=|Tdeg-De_Tdeg|であるL1ノルムなどがある。J1やJ2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT(Iterative Feedback Tuning)、FRIT(Fictitious Reference Iterative Tuning)などのデータ駆動制御で決定すればよく、PIDゲイン値の決定は最適化問題に帰着する。最適化のための解法は、ニュートン法、ガウス=ニュートン法などの様々な方法があり、多くの参考文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本最適化処理は、オフライン、オンラインのどちらで実行してもよい。
<PIDゲイン値適用許可部(図6)>
PIDゲイン値適用許可部3は、PID制御器ゲイン値調整部2で新たに演算されたPIDゲイン値(暫定値)をPIDゲイン値として用いるか否かを判定し、PIDゲイン値として用いると判定した場合、PIDゲイン値(暫定値)を最新のPIDゲイン値としてPID制御器に適用し、PIDゲイン値として用いないと判定した場合、現状のPIDゲイン値を維持する。具体的には、図6に示す処理を実行する。
・下記の条件a)が成立する場合、以下のとおりPIDゲイン値を更新する。
Kp_new=Kp_new_tmp
Ki_new=Ki_new_tmp
Kd_new=Kd_new_tmp
条件a)
K_Kp_L1≦Kp_new_tmp≦K_Kp_H1
K_Ki_L1≦Ki_new_tmp≦K_Ki_H1
K_Kd_L1≦Kd_new_tmp≦K_Kd_H1
・条件a)が成立しない場合、PIDゲイン値を更新せず、現状の値を維持する。
なお、一般的に、K_Kp_L1=0, K_Ki_L1=0, K_Kd_L1=0とするが、0より大きい値としてもよい、
本実施例によれば、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲(条件a)が成立する範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲(条件a)が成立しない範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える。また、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。また、制御装置は、プラント6を制御する装置である。
これにより、新たに演算されたPIDゲイン値の許容範囲(絶対値)を規定するので、PIDゲイン値の変化量が小さくても、不適切なPIDゲイン値を検出できる。また、不適切なPIDゲイン値と判定された場合、当該ゲイン値を用いることを禁止できる。従って、PID制御ゲイン値を安定して調整でき、信頼性及び精度が高いPID制御器ゲイン値調整が実現でき、プラント6の運転効率や生産効率を向上できる。
[実施例2]
本実施例においては、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える制御装置について示す。
また、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、前記PID制御器のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。
また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。
また、制御装置は、プラントを制御する装置である。
特に、前記新たに演算されたゲイン値が前記第二の範囲にある場合、前記制御対象の動作状態が異常であると判定するとともに、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する。
図1は、実施例2の制御装置1の中心機能を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、実施例2の制御装置1のシステム構成を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。
図7は、制御装置1と、制御装置1に制御されるプラント6とを示す図である。
PIDゲイン値適用許可部3は、PID制御器ゲイン値調整部2で新たに演算されたPIDゲイン値(暫定値)をPIDゲイン値として用いるか否かを判定し、PIDゲイン値に加えて、制御対象異常フラグを出力する。それ以外は、実施例1と同じであるので、詳述しない。
以下、各処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図4)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(例えばプラント6の温度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図4に示す実施例1と同じであるので、詳述しない。
<PID制御器ゲイン値調整部(図5)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図5に示す実施例1と同じであるので、詳述しない。
<PIDゲイン値適用許可部(図8)>
PIDゲイン値適用許可部3は、PID制御器ゲイン値調整部2で新たに演算されたPIDゲイン値(暫定値)をPIDゲイン値として用いるか否かを判定し、PIDゲイン値として用いると判定した場合、PIDゲイン値(暫定値)を最新のPIDゲイン値としてPID制御器5に適用し、PIDゲイン値として用いないと判定した場合、現状のPIDゲイン値を維持する。具体的には、図8に示す処理を実行する。
・下記の条件a)が成立する場合、以下のとおりPIDゲイン値を更新する。
Kp_new=Kp_new_tmp
Ki_new=Ki_new_tmp
Kd_new=Kd_new_tmp
条件a)
K_Kp_L1≦Kp_new_tmp≦K_Kp_H1
K_Ki_L1≦Ki_new_tmp≦K_Ki_H1
K_Kd_L1≦Kd_new_tmp≦K_Kd_H1
・条件a)が成立しない場合、PIDゲイン値を更新せず、現状の値を維持する。また、制御対象異常フラグf_ano_plant=1とする。
なお、一般に、K_Kp_L1=0, K_Ki_L1=0, K_Kd_L1=0とするが、0より大きい値としてもよい、
本実施例によれば、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲(条件a)が成立する範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲(条件a)が成立しない範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える。また、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。また、制御装置は、プラント6を制御する装置である。
特に、前記新たに演算されたゲイン値が前記第二の範囲にある場合、制御対象の動作状態が異常であると判定するとともに、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する。
PID制御器5のゲイン値は、制御対象の所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように調整されるので、制御対象の特性変化に応じて、PIDゲイン値が変わる。PIDゲイン値は、制御対象の特性の情報を有していると考えられる。制御対象の特性が、システム性能上の何らかの悪影響を及ぼすと考えられる程度まで変化した場合、応分、PIDゲイン値も変化する。当該PIDゲイン値から、制御対象の動作状態の異常の判定が可能である。
これにより、新たに演算されたPIDゲイン値の許容範囲(絶対値)を規定するので、PIDゲイン値の変化量が小さくても、不適切なPIDゲイン値を検出可能であり、不適切なPIDゲイン値と判定された場合、制御対象を異常であると判定して、当該ゲイン値を用いることを禁止できる。従って、PID制御ゲイン値を安定して調整でき、信頼性及び精度が高いPID制御器ゲイン値調整が実現でき、プラント6の運転効率や生産効率を向上できる。
[実施例3]
本実施例においては、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える制御装置について示す。
また、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、前記PID制御器のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。
また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。
また、制御装置は、プラントを制御する装置である。
特に、前記新たに演算されたゲイン値が、(前記第一の範囲及び前記第二の範囲のいずれとも異なる)第三の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する。
特に、前記第三の範囲は、前記第二の範囲より外側にある。
図1は、実施例3の制御装置1の中心機能を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、実施例3の制御装置1のシステム構成を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。図3は、実施例3の制御装置1と、制御装置1に制御されるプラント6を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。
以下、各処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図4)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(例えばプラント6の温度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図4に示す実施例1と同じであるので、詳述しない。
<PID制御器ゲイン値調整部(図5)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図5に示す実施例1と同じであるので、詳述しない。
<PIDゲイン値適用許可部(図9)>
PIDゲイン値適用許可部3は、PID制御器ゲイン値調整部2で新たに演算されたPIDゲイン値(暫定値)をPIDゲイン値として用いるか否かを判定し、PIDゲイン値として用いると判定した場合、PIDゲイン値(暫定値)を最新のPIDゲイン値としてPID制御器5に適用し、PIDゲイン値として用いないと判定した場合、現状のPIDゲイン値を維持する。具体的には、図9に示す処理を実行する。
・下記の条件a)が成立する場合、以下のとおりPIDゲイン値を更新する。
Kp_new=Kp_new_tmp
Ki_new=Ki_new_tmp
Kd_new=Kd_new_tmp
条件a)
K_Kp_L1≦Kp_new_tmp≦K_Kp_H1
K_Ki_L1≦Ki_new_tmp≦K_Ki_H1
K_Kd_L1≦Kd_new_tmp≦K_Kd_H1
・下記の条件b)又は条件c)が成立する場合、PIDゲイン値を更新せず、現状の値を維持する。
条件b)
K_Kp_L2≦Kp_new_tmp≦K_Kp_H2
K_Ki_L2≦Ki_new_tmp≦K_Ki_H2
K_Kd_L2≦Kd_new_tmp≦K_Kd_H2
条件c)
K_Kp_L3≦Kp_new_tmp≦K_Kp_H3
K_Ki_L3≦Ki_new_tmp≦K_Ki_H3
K_Kd_L3≦Kd_new_tmp≦K_Kd_H3
なお、一般に、K_Kp_L1=0, K_Ki_L1=0, K_Kd_L1=0とするが、0より大きい値としてもよい、
また、下記の式が成立する。
K_Kp_H1≦K_Kp_L2
K_Ki_H1≦K_Ki_L2
K_Kd_H1≦K_Kd_L2

K_Kp_H2≦K_Kp_L3
K_Ki_H2≦K_Ki_L3
K_Kd_H2≦K_Kd_L3
このため、Kp、Ki、Kdを表す空間において、条件b)が成立する範囲は条件a)が成立する範囲の外側にあり、条件c)が成立する範囲は条件b)が成立する範囲の外側にある。すなわち、条件c)が成立する場合、単にPIDゲイン値を不採用とすべきだけでなく、PIDゲイン値の演算に失敗して(例えば、局所解となって)いることが考えられる。このため、条件b)と条件c)とを別に設けて演算されたPIDゲイン値を不採用と判定している。
本実施例によれば、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲(条件a)が成立する範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲(条件a)が成立しない範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える。また、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。また、制御装置は、プラント6を制御する装置である。
特に、前記新たに演算されたゲイン値が、前記第一の範囲及び前記第二の範囲のいずれとも異なる第三の範囲(条件a)及び条件b)が成立せず、条件c)が成立する範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する。また、前記第三の範囲は、前記第二の範囲より外側にある。
PID制御器5のゲイン値は、制御対象の所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように調整される。前述したように、PIDゲインの決定は最適化問題に帰着する。最適化のための解法はさまざまな手法があるが、解法によっては、局所解を算出することがある。この場合、得られたPIDゲイン値は、制御対象の所望の出力値と制御対象の出力値との差を十分に小さくできていない、又は、実現不可能な値になる可能性がある。PIDゲイン値が、相当程度大きい場合、当該結果になっている可能性がある。この範囲を第三の範囲として規定し、PIDゲイン暫定値が当該範囲にある場合、PIDゲイン暫定値が異常であると判定する。
これにより、新たに演算されたPIDゲイン値の許容範囲(絶対値)を規定するので、PIDゲイン値の変化量が小さくても、不適切なPIDゲイン値を検出でき、さらに不適切なPIDゲイン値が検出された場合、制御対象の異常を判定し、算出されたPIDゲイン暫定値の異常を判定すると共に、当該ゲイン値を用いることを禁止する。従って、PID制御ゲイン値を安定して調整でき、信頼性及び精度が高いPID制御器ゲイン値調整が実現でき、プラント6の運転効率や生産効率を向上できる。
[実施例4]
本実施例においては、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える制御装置について示す。
また、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、前記PID制御器のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。
また、前記新たに演算されたゲイン値が前記第二の範囲にある場合、制御対象の動作状態が異常であると判定するとともに、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する。
また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。
また、制御装置は、プラントを制御する装置である。
特に、前記新たに演算されたゲイン値が、前記第一の範囲及び前記第二の範囲のいずれとも異なる前記第三の範囲にある場合、前記ゲイン値が異常であると判定するとともに、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する。
また、前記第三の範囲は、前記第二の範囲より外側にある。
図1は、実施例4の制御装置1の中心機能を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、実施例4の制御装置1のシステム構成を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。
図10は、制御装置1と、制御装置1に制御されるプラント6を示す図である。
PIDゲイン値適用許可部3は、制御対象からの出力情報と制御対象への入力情報に加えて制御目標に基づいて、PID制御器ゲイン値調整部2で新たに演算されたPIDゲイン値(暫定値)をPIDゲイン値として用いるか否かを判定し、PIDゲイン値に加えて、制御対象異常フラグ及びPIDゲイン暫定値異常フラグを出力する。それ以外は、実施例1と同じであるので、詳述しない。
以下、各処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図4)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(例えばプラント6の温度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図4に示す実施例1と同じであるので、詳述しない。
<PID制御器ゲイン値調整部(図5)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図5に示す実施例1と同じであるので、詳述しない。
<PIDゲイン値適用許可部(図11)>
PIDゲイン値適用許可部3は、PID制御器ゲイン値調整部2で新たに演算されたPIDゲイン値(暫定値)をPIDゲイン値として用いるか否かを判定し、PIDゲイン値として用いると判定した場合、PIDゲイン値(暫定値)を最新のPIDゲイン値としてPID制御器5に適用し、PIDゲイン値として用いないと判定した場合、現状のPIDゲイン値を維持する。具体的には、図11に示す処理を実行する。
・下記の条件a)が成立する場合、以下のとおりPIDゲイン値を更新する。
Kp_new=Kp_new_tmp
Ki_new=Ki_new_tmp
Kd_new=Kd_new_tmp
条件a)
K_Kp_L1≦Kp_new_tmp≦K_Kp_H1
K_Ki_L1≦Ki_new_tmp≦K_Ki_H1
K_Kd_L1≦Kd_new_tmp≦K_Kd_H1
・下記の条件b)又は条件c)が成立する場合、PIDゲイン値を更新せず、現状の値を維持する。
条件b)
K_Kp_L2≦Kp_new_tmp≦K_Kp_H2
K_Ki_L2≦Ki_new_tmp≦K_Ki_H2
K_Kd_L2≦Kd_new_tmp≦K_Kd_H2
条件c)
K_Kp_L3≦Kp_new_tmp≦K_Kp_H3
K_Ki_L3≦Ki_new_tmp≦K_Ki_H3
K_Kd_L3≦Kd_new_tmp≦K_Kd_H3
また、条件b)の成立時に、制御対象異常フラグf_ano_plant=1とする。
また、条件c)の成立時、PIDゲイン暫定値異常フラグf_ano_gain_tmp=1とする。
なお、一般に、K_Kp_L1=0, K_Ki_L1=0, K_Kd_L1=0とするが、0より大きい値としてもよい、
また、下式が成立する。
K_Kp_H1≦K_Kp_L2
K_Ki_H1≦K_Ki_L2
K_Kd_H1≦K_Kd_L2

K_Kp_H2≦K_Kp_L3
K_Ki_H2≦K_Ki_L3
K_Kd_H2≦K_Kd_L3
このため、Kp、Ki、Kdを表す空間において、条件b)が成立する範囲は条件a)が成立する範囲の外側にあり、条件c)が成立する範囲は条件b)が成立する範囲の外側にある。すなわち、条件c)が成立する場合、単にPIDゲイン値を不採用とすべきだけでなく、PIDゲイン値の演算に失敗して(例えば、局所解となって)いることが考えられる。このため、条件b)と条件c)とを別に設けて演算されたPIDゲイン値を不採用と判定している。
本実施例によれば、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲(条件a)が成立する範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲(条件a)が成立しない範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える。また、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。また、前記新たに演算されたゲイン値が前記第二の範囲にある場合、制御対象の動作状態が異常であると判定するとともに、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する。また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。また、制御装置は、プラント6を制御する装置である。
特に、前記新たに演算されたゲイン値が、前記第一の範囲及び前記第二の範囲のいずれとも異なる第三の範囲(条件a)及び条件b)が成立せず、条件c)が成立する範囲)にある場合、前記ゲイン値が異常であると判定するとともに、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する。また、前記第三の範囲は、第二の範囲より外側にある。
PID制御器5のゲイン値は、制御対象の所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように調整される。前述したように、PIDゲイン値の決定は最適化問題に帰着する。最適化のための解法はさまざまな手法があるが、解法によっては、局所解を算出することがある。この場合、得られたPIDゲイン値は、制御対象の所望の出力値と制御対象の出力値との差を十分に小さくできていない、又は、実現不可能な値になる可能性がある。PIDゲイン値が、相当程度大きい場合、当該結果になっている可能性がある。この範囲を第三の範囲として規定し、PIDゲイン暫定値が当該範囲にある場合、PIDゲイン暫定値が異常であると判定する。
これにより、新たに演算されたPIDゲイン値の許容範囲(絶対値)を規定するので、PIDゲイン値の変化量が小さくても、不適切なPIDゲイン値を検出でき、さらに不適切なPIDゲイン値と判定された場合、制御対象の異常を判定し、算出されたPIDゲイン暫定値の異常を判定すると共に、当該ゲイン値を用いることを禁止する。従って、PID制御ゲイン値を安定して調整でき、信頼性及び精度が高いPID制御器5ゲイン値調整が実現でき、プラント6の運転効率や生産効率を向上できる。
[実施例5]
本実施例においては、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える制御装置について示す。
また、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、前記PID制御器のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。
また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。
特に、制御装置は、自動運転車を制御する装置である。
図1は、実施例5の制御装置1の中心機能を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、実施例5の制御装置1のシステム構成を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。
図12は、制御装置1と、制御装置1に制御される自動運転車7を示す図である。
PID制御器5は、自動運転車7の運動を制御するための操作量(例えば、目標速度、目標回転角速度)を演算する。所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(自動運転車7の速度、回転角速度など)の所望のプロフィールを演算する。
以下、各処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図13)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(例えば自動運転車7の速度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図13に示すように、制御目標である目標速度Tg_VSPに対して、例えば伝達関数などを用いて、所望の速度De_VSPのプロフィールを演算する。制御目標には、例えばステップ信号、ランプ信号などがある。伝達関数は、予め決めておくとよいが、自動運転車7の動作状態に応じて特性を変化させてもよい。
<PID制御器ゲイン値調整部(図14)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図14に示すように、速度VSPのプロフィールと所望の速度De_VSPのプロフィールの差が最も小さくなるように、調整後PIDゲイン暫定値を決める。得られたPID制御器5のPゲイン値、Iゲイン値、Dゲイン値の暫定値をそれぞれKp_new_tmp,Ki_new_tmp,Kd_new_tmpとする。
速度VSPのプロフィールと所望の速度De_VSPのプロフィールの差を評価する評価関数は、例えば、J2=||VSP-De_VSP||であるL2ノルム、又は、J1=|VSP-De_VSP|であるL1ノルムなどがある。J1やJ2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT(Iterative Feedback Tuning)、FRIT(Fictitious Reference Iterative Tuning)などのデータ駆動制御で決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。最適化のための解法は、ニュートン法、ガウス=ニュートン法などの様々な方法があり、多くの参考文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本最適化処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。
<PIDゲイン値適用許可部(図6)>
PIDゲイン値適用許可部3は、PID制御器ゲイン値調整部2で新たに演算されたPIDゲイン値(暫定値)をPIDゲイン値として用いるか否かを判定し、PIDゲイン値として用いると判定した場合、PIDゲイン値(暫定値)を最新のPIDゲイン値としてPID制御器5に適用し、PIDゲイン値として用いないと判定した場合、現状のPIDゲイン値を維持する。具体的には、図6に示す実施例1と同じであるので、詳述しない。
本実施例によれば、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲(条件a)が成立する範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲(条件a)が成立しない範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える。また、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。また、制御装置は、自動運転車7を制御する装置である。
これにより、新たに演算されたPIDゲイン値の許容範囲(絶対値)を規定するので、PIDゲイン値の変化量が小さくても、不適切なPIDゲイン値を検出できる。また、不適切なPIDゲイン値と判定された場合、当該ゲイン値を用いることを禁止できる。従って、PID制御ゲイン値を安定して調整でき、信頼性及び精度が高いPID制御器ゲイン値調整が実現でき、自動運転車7の安全性や信頼性を向上できる。
[実施例6]
本実施例においては、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える制御装置について示す。
また、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、前記PID制御器のゲイン値を調整するゲイン値調整部とからなる。
また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。
特に、制御装置は、ロボットを制御する装置である。
図1は、実施例6の制御装置1の中心機能を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、実施例6の制御装置1のシステム構成を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。
図15は、制御装置1と、制御装置1に制御されるロボット8を示す図である。
PID制御器5は、ロボット8の運動を制御するための操作量(例えば、角度、速度、トルク)を演算する。所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(ロボット8のアーム位置など)の所望のプロフィールを演算する。
以下、各処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図16)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(ロボット8の位置)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図16に示すように、制御目標である目標位置Tg_POSに対して、例えば伝達関数などを用いて、所望の位置De_POSのプロフィールを演算する。制御目標には、例えばステップ信号、ランプ信号などがある。伝達関数は、予め決めておくとよいが、ロボット8の動作状態に応じて特性を変化させてもよい。
<PID制御器ゲイン値調整部(図17)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図17に示すように、位置POSのプロフィールと所望の速度De_POSのプロフィールの差が最も小さくなるように、調整後PIDゲイン暫定値を決める。得られたPID制御器5のPゲイン値、Iゲイン値、Dゲイン値の暫定値をそれぞれKp_new_tmp,Ki_new_tmp,Kd_new_tmpとする。
位置POSのプロフィールと所望の位置De_POSのプロフィールの差を評価する評価関数は、例えば、J2=||POS-De_POS||であるL2ノルム、又は、J1=|POS-De_POS|であるL1ノルムなどがある。J1やJ2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT(Iterative Feedback Tuning)、FRIT(Fictitious Reference Iterative Tuning)などのデータ駆動制御で決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。最適化のための解法は、ニュートン法、ガウス=ニュートン法などの様々な方法があり、多くの参考文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本最適化処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。
<PIDゲイン値適用許可部(図6)>
PIDゲイン値適用許可部3は、PID制御器ゲイン値調整部2で新たに演算されたPIDゲイン値(暫定値)をPIDゲイン値として用いるか否かを判定し、PIDゲイン値として用いると判定した場合、PIDゲイン値(暫定値)を最新のPIDゲイン値としてPID制御器5に適用し、PIDゲイン値として用いないと判定した場合、現状のPIDゲイン値を維持する。具体的には、図6に示す実施例1と同じであるので、詳述しない。
本実施例によれば、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲(条件a)が成立する範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲(条件a)が成立しない範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える。また、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。また、制御装置は、ロボット8を制御する装置である。
これにより、新たに演算されたPIDゲイン値の許容範囲(絶対値)を規定するので、PIDゲイン値の変化量が小さくても、不適切なPIDゲイン値を検出できる。また、不適切なPIDゲイン値と判定された場合、当該ゲイン値を用いることを禁止できる。従って、PID制御ゲイン値を安定して調整でき、信頼性及び精度が高いPID制御器5ゲイン値調整が実現でき、ロボット8の安全性や信頼性を向上できる。
[実施例7]
本実施例においては、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える制御装置について示す。
また、PID制御器のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、前記PID制御器ゲイン値を調整するゲイン値調整部とからなる。
また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。
特に、制御装置は、ドローンなど飛行体を制御する装置である。
図1は、実施例7の制御装置1の中心機能を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、実施例7の制御装置1のシステム構成を示しており、実施例1と同じであるので、詳述しない。
図18は、制御装置1と、制御装置1に制御されるドローン9を示す図である。
PID制御器5は、ドローン9の運動を制御するための操作量(例えば、各ロータの回転速度)を演算する。所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(ドローン9の飛行速度など)の所望のプロフィールを演算する。
以下、各処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図19)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(ドローン9の飛行速度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図19に示すように、制御目標である目標飛行速度Tg_FSPに対して、例えば伝達関数などを用いて、所望の飛行速度De_FSPのプロフィールを演算する。制御目標には、例えばステップ信号、ランプ信号などがある。伝達関数は、予め決めておくとよいが、ドローン9の動作状態に応じて特性を変化させてもよい。
<PID制御器ゲイン値調整部(図20)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図20に示すように、飛行速度FSPのプロフィールと所望の飛行速度De_FSPのプロフィールの差が最も小さくなるように、調整後PIDゲイン暫定値を決める。得られたPID制御器5のPゲイン値、Iゲイン値、Dゲイン値の暫定値をそれぞれKp_new_tmp,Ki_new_tmp,Kd_new_tmpとする。
飛行速度FSPのプロフィールと所望の飛行速度De_FSPのプロフィールの差を評価する評価関数は、例えば、J2=||POS-De_POS||であるL2ノルム、又は、J1=|POS-De_POS|であるL1ノルムなどがある。J1やJ2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT(Iterative Feedback Tuning)、FRIT(Fictitious Reference Iterative Tuning)などのデータ駆動制御で決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。最適化のための解法は、ニュートン法、ガウス=ニュートン法などの様々な方法があり、多くの参考文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本最適化処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。
<PIDゲイン値適用許可部(図6)>
PIDゲイン値適用許可部3は、PID制御器ゲイン値調整部2で新たに演算されたPIDゲイン値(暫定値)をPIDゲイン値として用いるか否かを判定し、PIDゲイン値として用いると判定した場合、PIDゲイン値(暫定値)を最新のPIDゲイン値としてPID制御器5に適用し、PIDゲイン値として用いないと判定した場合、現状のPIDゲイン値を維持する。具体的には、図6に示す実施例1と同じであるので、詳述しない。
本実施例によれば、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲(条件a)が成立する範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲(条件a)が成立しない範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備える。また、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置は、前記制御対象の所望の出力値を演算する演算部と、前記演算された所望の出力値(時系列信号など)と前記制御対象の出力値(時系列信号など)との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整するゲイン値調整部とを備える。また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にある。また、制御装置は、ドローン9を制御する装置である。
これにより、新たに演算されたPIDゲイン値の許容範囲(絶対値)を規定するので、PIDゲイン値の変化量が小さくても、不適切なPIDゲイン値を検出できる。また、不適切なPIDゲイン値と判定された場合、当該ゲイン値を用いることを禁止できる。従って、PID制御ゲイン値を安定して調整でき、信頼性及び精度が高いPID制御器ゲイン値調整が実現でき、ドローン9の安全性や信頼性などを向上できる。
以上に説明したように、本発明の実施例によると、PID制御器5のゲイン値を調整する制御装置1において、新たに演算されたゲイン値が第一の範囲(例えば、条件a)が成立する範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを許可し、新たに演算されたゲイン値が第二の範囲(例えば、条件a)が成立しない範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止するPIDゲイン値適用許可部3を有するので、新たに演算されたPIDゲイン値の許容範囲(絶対値)の規定によって、PIDゲイン値の変化量が小さくても、不適切なPIDゲイン値を検出でき、不適切なPIDゲイン値と判定された場合、当該ゲイン値を用いることを禁止できる。従って、PID制御ゲイン値を安定して調整でき、信頼性及び精度の高いPID制御器ゲイン値調整が実現できる。
また、制御対象6の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、演算された所望の出力値と制御対象6の出力値との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整するPID制御器ゲイン値調整部2とを備えるので、制御対象を所望の条件で運転できる。
また、PIDゲイン値適用許可部3は、前記新たに演算されたゲイン値が前記第二の範囲にある場合、前記制御対象の動作状態が異常であると判定するとともに、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止するので、制御対象を安定して運転でき、さらに、制御対象の異常を判定できる。
また、PIDゲイン値適用許可部3は、前記新たに演算されたゲイン値が前記第一の範囲及び前記第二の範囲のいずれとも異なる第三の範囲(例えば、条件a)及び条件b)が成立せず、条件c)が成立する範囲)にある場合、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止するので、PIDゲイン値の異常を判定できる。
また、PIDゲイン値適用許可部3は、前記新たに演算されたゲイン値が前記第三の範囲にある場合、前記ゲイン値が異常であると判定するとともに、当該ゲイン値をPID制御器5のゲイン値として用いることを禁止するので、制御対象を安定して運転でき、さらに、PIDゲイン値の異常を判定できる。
また、前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にあるので、制御対象の異常を的確に判定できる。
また、前記第三の範囲は、前記第二の範囲より外側にあるので、PIDゲイン値の異常を的確に判定できる。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
1 制御装置
2 PID制御器ゲイン値調整部
3 PIDゲイン値適用許可部
4 所望の出力値演算部
5 PID制御器
6 発電プラント
7 自動運転車
8 ロボット
9 ドローン
11 制御装置の記憶装置
12 制御装置のCPU
13 制御装置のROM
14 制御装置のRAM
15 制御装置のデータバス
16 制御装置の入力回路
17 制御装置の入出力ポート
18 制御装置の出力回路

Claims (6)

  1. PID制御器のゲイン値を調整する制御装置において、
    前記PID制御器のゲイン値を演算するゲイン値調整部と、
    新たに演算されたゲイン値が第一の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを許可し、前記新たに演算されたゲイン値が第二の範囲にある場合、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止する許可部を備え
    前記許可部は、前記新たに演算されたゲイン値が前記第一の範囲及び前記第二の範囲の外側の第三の範囲にある場合、前記ゲイン値として局所解が算出されている可能性があると判定し、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止するとともに、当該ゲイン値として局所解が算出されている可能性を示す異常フラグを設定することを特徴とする制御装置。
  2. 請求項1に記載の制御装置であって、
    制御対象の所望の出力値を演算する演算部を備え、
    前記ゲイン値調整部は、前記演算された所望の出力値と前記制御対象の出力値との差が小さくなるように、前記PID制御器のゲイン値を演算することを特徴とする制御装置。
  3. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記許可部は、前記新たに演算されたゲイン値が前記第二の範囲にある場合、制御対象の動作状態が異常であると判定するとともに、当該ゲイン値を前記PID制御器のゲイン値として用いることを禁止することを特徴とする制御装置。
  4. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にあることを特徴とする制御装置。
  5. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記第二の範囲は、前記第一の範囲より外側にあり、
    前記第三の範囲は、前記第二の範囲より外側にあることを特徴とする制御装置。
  6. 請求項1に記載の制御装置であって、
    少なくとも、プラントの温度を制御する装置、自動運転車を制御する装置、ロボットを制御する装置、及び飛行体を制御する装置のいずれかであることを特徴とする制御装置。
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