以下、実施例を図面を用いて説明する。
<実施例1>
本実施例においては、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整する第1の調整部(PID制御器ゲイン値調整部2)と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する第2の調整部(所望の出力値演算部パラメータ値調整部3)とを備えることを特徴とする制御装置1について示す。
また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。
また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRIT(Fictitious Reference Iterative Tuning)を用いて、PID制御器5のゲイン値を調整する。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する。
また、制御装置1は、プラント21を制御する装置である。
図1は、制御装置1の中心機能を示す図である。制御装置1において、所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力の所望のプロフィールを演算する。PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する。PID制御器5は、制御対象を制御するための操作量を演算する。
図2は、制御装置1のシステム図である。
制御装置1は、ハードウェアとして、記憶装置11、CPU12、ROM13、RAM14、データバス15、入力回路16、入出力ポート17及び出力回路18を有する。入力回路16は、外部から入力された信号を処理する。外部から入力される信号は、例えば、制御装置1に設置又は接続されているセンサから出力されるセンサ出力信号などである。外部から入力される信号は、入力回路16を経て、入力信号となり入出力ポート17へ送られる。入出力ポート17に送られた各入力情報は、データバス15を経て、RAM14又は記憶装置11に格納される。ROM13及び記憶装置11の少なくとも一方は、後述する処理を実行するためのプログラムを格納しており、該プログラムはCPU12で実行される。その際、RAM14及び記憶装置11の少なくとも一方に格納された値を、適宜、使用して演算を行う。演算結果のうち外部へ送り出す情報(値)は、データバス15を経て入出力ポート17に送られ、出力信号として出力回路18に送られる。出力回路18は、出力信号を外部に出力する。外部へ出力される出力信号は、制御対象を所望の動きをさせるために制御対象に備わるアクチュエータへ送信されるアクチュエータ駆動信号などである。
なお、CPU12がプログラムを実行して行う処理の一部を、他の演算装置(例えば、FPGA(Field Programable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア)で実行してもよい。
図3は、制御装置1と制御装置1によって制御されるプラント21を示す図である。
本実施例のPID制御器5は、プラント21の温度を制御するための操作量(例えば、蒸気温度を調節するための目標バルブ開度)を演算する。
以下、各部による処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図4)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(プラント21の温度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図4に示すように、制御目標である目標プラント温度Tg_Tdegに対して、例えば伝達関数などを用いて、所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegを演算する。制御目標は、例えばステップ信号、ランプ信号などが考えられる。伝達関数は、予め決めておくが、プラント21の動作状態に応じて特性を変化させてもよい。
また、伝達関数のパラメータの一つであるτ1は可変とし、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3で演算された値を用いる。パラメータτ1は、伝達関数の時定数を示しており、τ1の値が大きくなるほど、当該伝達関数の応答性が遅くなる。
<PID制御器ゲイン値調整部(図5)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図5に示すように、プラント温度プロフィールTdegと所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegとの差が最も小さくなるように、調整後PIDゲイン値を決める。得られたPID制御器5のPゲイン値、Iゲイン値、Dゲイン値をそれぞれKp_new,Ki_new,Kd_newとする。
プラント温度プロフィールTdegと所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||Tdeg-De_Tdeg||であるL2ノルム、又は、J1=|Tdeg-De_Tdeg|であるL1ノルムなどが考えられる。J1やJ2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT(Iterative Feedback Tuning)、FRIT(Fictitious Reference Iterative Tuning)などで決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。最適化のための解法は多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本調整処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。IFTでは、最適化の過程において、その都度、制御対象にPIDゲイン値を適用する必要があるが、FRITでは、最適化の過程はオフラインで処理可能である。
<所望の出力値演算部パラメータ値調整部(図6)>
所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図6に示すように、プラント温度プロフィールTdegと所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegとの差が最も小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を決める。得られた所望の出力値演算部パラメータ値をτ1とする。
プラント温度プロフィールTdegと所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||Tdeg-De_Tdeg||であるL2ノルム、又は、J1=|Tdeg-De_Tdeg|であるL1ノルムなどが考えられる。J1、J2を最小化するPIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。詳細については多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
本実施例の制御装置1は、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整するPID制御器ゲイン値調整部2と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とからなる。また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整する。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する。また、制御装置1は、プラント21を制御する装置である。
本実施例の制御装置1は、PID制御器5のゲイン値と所望の出力値演算部4のパラメータ値を、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、自動的に調整する。所望の出力値演算部4で設定した応答特性となるように、PID制御器5のゲイン値が自動的に調整されるので、PID制御ゲイン値の調整の精度及び効率を向上できる。さらに、PID制御器5のゲイン値を自動調整し、そのときに用いたデータ(制御対象の出力値)で、所望の出力値演算部パラメータ値を自動調整するので、制御対象(プラント21)の応答特性を所望の出力値演算部パラメータ値(時定数)の大きさから得ることができる。また、所望の出力値演算部4は、PID制御器5と制御対象からなる閉ループ伝達特性を表すので、PID制御器の特性が変化していないとき、所望の出力値演算部4は、制御対象の特性変化のみに影響する。従って、所望の出力値演算部4の応答特性などを定量的に評価することによって、制御対象の応答特性などの特性変化を定量的に明示的に診断できる。同じ原理を用いて、PID制御器5のゲイン値及び所望の出力値演算部4のパラメータ値を自動的に調整するので、演算処理が簡便となり、計算コストが低減する。その結果、制御システムにおいて、PID制御器5のゲイン値の自動調整と制御対象の特性変化を簡便な構成で行うことができ、制御システムの性能及び信頼性を向上できる。
<実施例2>
本実施例においては、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整する第1の調整部(PID制御器ゲイン値調整部2)と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する第2の調整部(所望の出力値演算部パラメータ値調整部3)とを備えることを特徴とする制御装置1について示す。
また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。
また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。
また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器5のゲイン値を調整する。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する。
また、制御装置1は、プラント21を制御する装置である。
図1は、制御装置1の中心機能を示す図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、制御装置1のシステム図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。
図7は、制御装置1と制御装置1によって制御されるプラント21を示す図である。
調整切り替え部6は、PID制御器ゲイン値調整部2の処理と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3の処理とを切り替える。それ以外は、実施例1と同じであるので、詳述しない。
以下、各部による処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図4)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(プラント21の温度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図4に示すように、実施例1と同じであるので、詳述しない。
<調整切り替え部(図8)>
調整切り替え部6は、PID制御器ゲイン値調整部2の処理と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3の処理とを排他的に切り替える。具体的には、図8に示すように、所定条件に従って、f_tune=0又はf_tune=1とする。
所定条件とは、次のように例が考えられる。
例1)マニュアルスイッチがONの場合は、f_tune=1とし、それ以外の場合は、f_tune=0とする。
例2)所定周期毎にf_tune=0とf_tune=1とを切り替える。
例3)制御対象の運転条件が所定条件にあるとき、f_tune=1とし、それ以外は、f_tune=0とする。
<PID制御器ゲイン値調整部(図9)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図9に示すように、
・f_tune=0の場合は、下記処理を実行する。
f_tune=1の場合は、下記処理を実行せず、Kp_new,Ki_new,Kd_newは、前回値を維持する。
・プラント温度プロフィールTdegと所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegとの差が最も小さくなるように、調整後PIDゲイン値を決める。得られたPID制御器5のPゲイン値、Iゲイン値、Dゲイン値をそれぞれKp_new,Ki_new,Kd_newとする。
プラント温度プロフィールTdegと所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||Tdeg-De_Tdeg||であるL2ノルム、又は、J1=|Tdeg-De_Tdeg|であるL1ノルムなどが考えられる。J1、J2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT、FRITなどで決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。最適化のための解法は多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本調整処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。IFTでは、最適化の過程において、その都度、制御対象にPIDゲイン値を適用する必要があるが、FRITでは、最適化の過程はオフラインで処理可能である。
<所望の出力値演算部パラメータ値調整部(図10)>
所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図10に示すように、
・f_tune=1の場合は、下記処理を実行する。
f_tune=0の場合は、下記処理を実行せず、τ1は、前回値を維持する。
・プラント温度プロフィールTdegと所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegとの差が最も小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を決める。得られた所望の出力値演算部パラメータ値をτ1とする。
プラント温度プロフィールTdegと所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||Tdeg-De_Tdeg||であるL2ノルム、又は、J1=|Tdeg-De_Tdeg|であるL1ノルムなどが考えられる。J1、J2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT、FRITなどで決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。最適化のための解法は多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本調整処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。IFTでは、最適化の過程において、その都度、制御対象にPIDゲイン値を適用する必要があるが、FRITでは、最適化の過程はオフラインで処理可能である。
本実施例の制御装置1は、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整するPID制御器ゲイン値調整部2と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とからなる。また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整する。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する。また、制御装置1は、プラント21を制御する装置である。
本実施例の制御装置1は、PID制御器5のゲイン値と所望の出力値演算部4のパラメータ値を、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、自動的に調整する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能とを切り替えて調整する。
このように、所望の出力値演算部4で設定された応答特性となるように、PID制御器5のゲイン値が自動的に調整されるので、PID制御ゲイン値の調整の精度及び効率を向上できる。さらに、PID制御器5のゲイン値を自動調整し、そのときに用いたデータ(制御対象の出力値)で、所望の出力値演算部パラメータ値を自動調整するので、制御対象(プラント21)の応答特性を所望の出力値演算部パラメータ値(時定数)の大きさから得ることができる。また、所望の出力値演算部4は、PID制御器5と制御対象からなる閉ループ伝達特性を表すので、PID制御器の特性が変化していないとき、所望の出力値演算部4は、制御対象の特性変化のみに影響する。従って、所望の出力値演算部4の応答特性などを定量的に評価することによって、制御対象の応答特性などの特性変化を定量的に明示的に診断できる。同じ原理を用いて、PID制御器5のゲイン値及び所望の出力値演算部4のパラメータ値を自動的に調整するので、演算処理が簡便となり、計算コストが低減する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能を切り替えて調整するので、パラメータの自動調整が干渉することなく、制御対象を安定して制御できる。その結果、制御システムにおいて、PID制御器5のゲイン値の自動調整と制御対象の特性変化を簡便な構成で行うことができ、制御システムの性能及び信頼性を向上できる。
<実施例3>
本実施例においては、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整する第1の調整部(PID制御器ゲイン値調整部2)と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する第2の調整部(所望の出力値演算部パラメータ値調整部3)とを備えることを特徴とする制御装置1について示す。
また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。
また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも無駄時間を変更する。
また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器5のゲイン値を調整する。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する。
また、制御装置1は、プラント21を制御する装置である。
図1は、制御装置1の中心機能を示す図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、制御装置1のシステム図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。図7は、制御装置1と制御装置1によって制御されるプラント21を示す図であり、実施例2と同じであるので、詳述しない。
以下、各部による処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図11)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(プラント21の温度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図11に示すように、制御目標である目標プラント温度Tg_Tdegに対して、例えば伝達関数などを用いて、所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegを演算する。制御目標は、例えばステップ信号、ランプ信号などが考えられる。伝達関数は、予め決めておくが、プラント21の動作状態に応じて特性を変化させてもよい。
また、伝達関数のパラメータの一つであるL1は可変とし、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3で演算された値を用いる。パラメータL1は、伝達関数の無駄時間を示しており、L1の値が大きくなるほど、当該伝達関数の応答性が遅くなる。なお、伝達関数のパラメータとして、時定数(図4)と無駄時間(図11)について説明したが、伝達関数のパラメータに次数を用いてもよい。
<調整切り替え部(図8)>
調整切り替え部6は、PID制御器ゲイン値調整部2の処理と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3の処理とを切り替える。具体的には、図8に示すように、実施例2と同じであるので、詳述しない。
<PID制御器ゲイン値調整部(図9)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図9に示すように、実施例2と同じであるので、詳述しない。
<所望の出力値演算部パラメータ値調整部(図12)>
所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図12に示すように、
・f_tune=1の場合は、下記処理を実行する。
f_tune=0の場合は、下記処理を実行せず、L1は、前回値を維持する。
・プラント温度プロフィールTdegと所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegとの差が最も小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を決める。得られた所望の出力値演算部パラメータ値をL1とする。
プラント温度プロフィールTdegと所望のプラント温度プロフィールDe_Tdegとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||Tdeg-De_Tdeg||であるL2ノルム、又は、J1=|Tdeg-De_Tdeg|であるL1ノルムなどが考えられる。J1、J2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT、FRITなどで決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。最適化のための解法は多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本調整処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。IFTでは、最適化の過程において、その都度、制御対象にPIDゲイン値を適用する必要があるが、FRITでは、最適化の過程はオフラインで処理可能である。
本実施例の制御装置1は、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整するPID制御器ゲイン値調整部2と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とからなる。また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも無駄時間を変更する。また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整する。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する。また、制御装置1は、プラント21を制御する装置である。
本実施例の制御装置1は、PID制御器5のゲイン値と所望の出力値演算部4のパラメータ値を、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、自動的に調整する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能とを切り替えて調整する。
このように、所望の出力値演算部4で設定された応答特性となるように、PID制御器5のゲイン値が自動的に調整されるので、PID制御ゲイン値の調整の精度及び効率を向上できる。さらに、PID制御器5のゲイン値を自動調整し、そのときに用いたデータ(制御対象の出力値)で、所望の出力値演算部パラメータ値を自動調整するので、制御対象(プラント21)の応答特性を所望の出力値演算部パラメータ値(無駄時間)の大きさから得ることができる。また、所望の出力値演算部4は、PID制御器5と制御対象からなる閉ループ伝達特性を表すので、PID制御器の特性が変化していないとき、所望の出力値演算部4は、制御対象の特性変化のみに影響する。従って、所望の出力値演算部4の応答特性などを定量的に評価することによって、制御対象の応答特性などの特性変化を定量的に明示的に診断できる。同じ原理を用いて、PID制御器5のゲイン値及び所望の出力値演算部4のパラメータ値を自動的に調整するので、演算処理が簡便となり、計算コストが低減する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能を切り替えて調整するので、パラメータの自動調整が干渉することなく、制御対象を安定して制御できる。その結果、制御システムにおいて、PID制御器5のゲイン値の自動調整と制御対象の特性変化を簡便な構成で行うことができ、制御システムの性能及び信頼性を向上できる。
<実施例4>
本実施例においては、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整する第1の調整部(PID制御器ゲイン値調整部2)と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する第2の調整部(所望の出力値演算部パラメータ値調整部3)とを備えることを特徴とする制御装置1について示す。
また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。
また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。
また、制御対象異常判定部7は、時定数又は時定数に基づく値が所定値以上のとき、制御対象が異常と判定する
また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器5のゲイン値を調整する。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する。
また、制御装置1は、プラント21を制御する装置である。
図1は、制御装置1の中心機能を示す図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、制御装置1のシステム図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。
図13は、制御装置1と制御装置1によって制御されるプラント21を示す図である。
制御対象異常判定部7では、所望の出力値演算部パラメータ値を用いて制御対象が異常か否かを判定する。それ以外は、実施例2と同じであるので、詳述しない。
以下、各部による処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図4)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(プラント21の温度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図4に示すように、実施例1と同じであるので、詳述しない。
<調整切り替え部(図8)>
調整切り替え部6は、PID制御器ゲイン値調整部2の処理と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3の処理とを切り替える。具体的には、図8に示すように、実施例2と同じであるので、詳述しない。
<PID制御器ゲイン値調整部(図9)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図9に示すように、実施例2と同じであるので、詳述しない。
<所望の出力値演算部パラメータ値調整部(図10)>
所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図10に示すように、実施例2と同じであるので、詳述しない。
<制御対象異常判定部(図14)>
制御対象異常判定部7は、所望の出力値演算部パラメータ値を用いて制御対象が異常か否かを判定する。具体的には、図14に示すように、
・f_tune=1の場合に、下記処理を実行する。
f_tune=0の場合に、下記処理を実行しない。
・τ1(所望の出力値演算部パラメータ値)からテーブルTbl_deg_anoを参照して、deg_ano(制御対象の異常度)を求める。
・deg_ano≧K_deg_anoの場合に、制御対象異常フラグf_ano_obj=1とする。
それ以外の場合に、制御対象異常フラグf_ano_obj=0とする。
Tbl_deg_anoは、時定数の大きさと制御対象の劣化度との関係を表し、理論上の値、実験値、経験的な値などを設定するとよい。
本実施例では、所望の出力値演算部パラメータは時定数としたが、無駄時間としてもよく、その場合も同様の処理が可能である。対象システムの劣化度・異常度を検出するのに、より適切な値を用いたり、時定数及び無駄時間の双方を用いてもよい。
また、異常判定処理が終了した後に、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3で演算されるパラメータ値を所定値に戻してもよい。これは、所望の出力値演算部4の伝達特性を一定の値にしておくことで(例えば、所定値に戻しておくことで)、制御システムの応答性を一定に保ち、制御対象の診断時のみ所望の出力値演算部パラメータ値調整部3で演算されるパラメータ値から制御対象の異常検出を可能とするためである。
本実施例の制御装置1は、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整するPID制御器ゲイン値調整部2と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とからなる。また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。また、制御対象異常判定部7は、時定数及び/又は時定数に基づく値が所定値以上の場合、制御対象が異常と判定する。また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整する。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する。また、制御装置1は、プラント21を制御する装置である。
本実施例の制御装置1は、PID制御器5のゲイン値と所望の出力値演算部4のパラメータ値を、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、自動的に調整する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能を切り替えて調整する。さらに、自動調整された所望の出力値演算部パラメータ値から制御対象(プラント21)の異常(応答性劣化又は応答性劣化と相関のある性能劣化)を検知する。
このように、所望の出力値演算部4で設定された応答特性となるように、PID制御器5のゲイン値が自動的に調整されるので、PID制御ゲイン値の調整の精度及び効率を向上できる。さらに、PID制御器5のゲイン値を自動調整し、そのときに用いたデータ(制御対象の出力値)で、所望の出力値演算部パラメータ値を自動調整するので、制御対象の応答特性を所望の出力値演算部パラメータ値(時定数)の大きさから得ることができる。また、所望の出力値演算部4は、PID制御器5と制御対象からなる閉ループ伝達特性を表すので、PID制御器の特性が変化していないとき、所望の出力値演算部4は、制御対象の特性変化のみに影響する。従って、所望の出力値演算部4の応答特性などを定量的に評価することによって、制御対象の応答特性などの特性変化を定量的に明示的に診断できる。同じ原理を用いて、PID制御器5のゲイン値及び所望の出力値演算部4のパラメータ値を自動的に調整するので、演算処理が簡便となり、計算コストが低減する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能を切り替えて調整するので、パラメータの自動調整が干渉することなく、制御対象を安定して制御できる。さらに、自動調整された所望の出力値演算部パラメータ値から制御対象の異常(応答性劣化又は応答性劣化と相関のある性能劣化)を検知するので、制御対象の異常に伴う悪影響を未然防止し又は最小限にとどめることが可能である。その結果、制御システムにおいて、PID制御器5のゲイン値の自動調整と制御対象の特性変化を簡便な構成で行うことができ、制御システムの性能及び信頼性を向上できる。
<実施例5>
本実施例においては、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整する第1の調整部(PID制御器ゲイン値調整部2)と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する第2の調整部(所望の出力値演算部パラメータ値調整部3)とを備えることを特徴とする制御装置1について示す。
また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。
また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。
また、制御対象異常判定部7は、時定数又は時定数に基づく値が所定値以上のとき、制御対象が異常と判定する
また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器5のゲイン値を調整する。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する。
また、制御装置1は、自動運転車22を制御する装置である。
図1は、制御装置1の中心機能を示す図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、制御装置1のシステム図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。
図15は、制御装置1と制御装置1によって制御される自動運転車22を示す図である。
本実施例のPID制御器5は、自動運転車22の運動を制御するための操作量(例えば、目標速度、目標回転角速度)を演算する。それ以外は、実施例4と同じであるので、詳述しない。
以下、各部による処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図16)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(自動運転車22の速度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図16に示すように、制御目標である目標速度Tg_VSPに対して、例えば伝達関数などを用いて、所望の速度プロフィールDe_VSPを演算する。制御目標は、例えばステップ信号、ランプ信号などが考えられる。伝達関数は、予め決めておくが、プラント21の動作状態に応じて特性を変化させてもよい。
また、伝達関数のパラメータの一つであるτ1は可変とし、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3で演算された値を用いる。パラメータτ1は、伝達関数の時定数を示しており、τ1の値が大きくなるほど、当該伝達関数の応答性は遅くなる。
<調整切り替え部(図8)>
調整切り替え部6は、PID制御器ゲイン値調整部2の処理と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3の処理とを切り替える。具体的には、図8に示すように、実施例2と同じであるので、詳述しない。
<PID制御器ゲイン値調整部(図17)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図17に示すように、
・f_tune=0の場合は、下記処理を実行する。
f_tune=1の場合は、下記処理を実行せず、Kp_new,Ki_new,Kd_newは、前回値を維持する。
・速度プロフィールVSPと所望の速度プロフィールDe_VSPとの差が最も小さくなるように、調整後PIDゲイン値を決める。得られたPID制御器5のPゲイン値、Iゲイン値、Dゲイン値をそれぞれKp_new,Ki_new,Kd_newとする。
速度プロフィールVSPと所望の速度プロフィールDe_VSPとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||VSP-De_VSP||であるL2ノルム、又は、J1=|VSP-De_VSP|であるL1ノルムなどが考えられる。J1、J2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT、FRITなどで決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。最適化のための解法は多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本調整処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。IFTでは、最適化の過程において、その都度、制御対象にPIDゲイン値を適用する必要があるが、FRITでは、最適化の過程はオフラインで処理可能である。
<所望の出力値演算部パラメータ値調整部(図18)>
所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図18に示すように、
・f_tune=1の場合は、下記処理を実行する。
f_tune=0の場合は、下記処理を実行せず、τ1は、前回値を維持する。
・速度プロフィールVSPと所望の速度プロフィールDe_VSPとの差が最も小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を決める。得られた所望の出力値演算部パラメータ値をτ1とする。
速度プロフィールVSPと所望の速度プロフィールDe_VSPとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||Tdeg-De_Tdeg||であるL2ノルム、又は、J1=|Tdeg-De_Tdeg|であるL1ノルムなどが考えられる。J1、J2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT、FRITなどで決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。最適化のための解法は多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本調整処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。IFTでは、最適化の過程において、その都度、制御対象にPIDゲイン値を適用する必要があるが、FRITでは、最適化の過程はオフラインで処理可能である。
<制御対象異常判定部(図14)>
制御対象異常判定部7は、所望の出力値演算部パラメータ値を用いて制御対象が異常か否かを判定する。具体的には、図14に示すように、実施例4と同じであるので、詳述しない。
本実施例の制御装置1は、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整するPID制御器ゲイン値調整部2と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とからなる。また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。また、制御対象異常判定部7は、時定数及び/又は時定数に基づく値が所定値以上のとき、制御対象が異常と判定する。また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整する。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する。また、制御装置1は、自動運転車22を制御する装置である。
本実施例の制御装置1は、PID制御器5のゲイン値と所望の出力値演算部4のパラメータ値を、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、自動的に調整する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能を切り替えて調整する。さらに、自動調整された所望の出力値演算部パラメータ値から制御対象(自動運転車22)の異常(応答性劣化又は応答性劣化と相関のある性能劣化)を検知する。
このように、所望の出力値演算部4で設定された応答特性となるように、PID制御器5のゲイン値が自動的に調整されるので、PID制御ゲイン値の調整の精度及び効率を向上できる。さらに、PID制御器5のゲイン値を自動調整し、そのときに用いたデータ(制御対象の出力値)で、所望の出力値演算部パラメータ値を自動調整するので、制御対象の応答特性を所望の出力値演算部パラメータ値(時定数)の大きさから得ることができる。また、所望の出力値演算部4は、PID制御器5と制御対象からなる閉ループ伝達特性を表すので、PID制御器の特性が変化していないとき、所望の出力値演算部4は、制御対象の特性変化のみに影響する。従って、所望の出力値演算部4の応答特性などを定量的に評価することによって、制御対象の応答特性などの特性変化を定量的に明示的に診断できる。同じ原理を用いて、PID制御器5のゲイン値及び所望の出力値演算部4のパラメータ値を自動的に調整するので、演算処理が簡便となり、計算コストが低減する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能を切り替えて調整するので、パラメータの自動調整が干渉することなく、制御対象を安定して制御できる。さらに、自動調整された所望の出力値演算部パラメータ値から制御対象の異常(応答性劣化又は応答性劣化と相関のある性能劣化)を検知するので、制御対象の異常に伴う悪影響を未然防止し又は最小限にとどめることが可能である。制御システムにおいて、PID制御器5のゲイン値の自動調整と制御対象の特性変化を簡便な構成で行うことができ、制御システムの性能及び信頼性を向上できる。
<実施例6>
本実施例においては、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整する第1の調整部(PID制御器ゲイン値調整部2)と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する第2の調整部(所望の出力値演算部パラメータ値調整部3)とを備えることを特徴とする制御装置1について示す。
また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。
また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。
また、制御対象異常判定部7は、時定数又は時定数に基づく値が所定値以上のとき、制御対象が異常と判定する
また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器5のゲイン値を調整する。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する。
また、制御装置1は、ロボット23を制御する装置である。
図1は、制御装置1の中心機能を示す図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、制御装置1のシステム図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。
図19は、制御装置1と制御装置1によって制御されるロボット23を示す図である。
本実施例のPID制御器5は、ロボット23の運動を制御するための操作量(例えば、角度、速度、トルク)を演算する。それ以外は、実施例4と同じであるので、詳述しない。
以下、各部による処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図20)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(ロボット23の位置)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図20に示すように、制御目標である目標位置Tg_POSに対して、例えば伝達関数などを用いて、所望の位置De_POSを演算する。制御目標は、例えばステップ信号、ランプ信号などが考えられる。伝達関数は、予め決めておくが、プラント21の動作状態に応じて特性を変化させてもよい。
また、伝達関数のパラメータの一つであるτ1は可変とし、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3で演算された値を用いる。パラメータτ1は、伝達関数の時定数を示しており、τ1の値が大きくなるほど、当該伝達関数の応答性は遅くなる。
<調整切り替え部(図8)>
調整切り替え部6は、PID制御器ゲイン値調整部2の処理と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3の処理とを切り替える。具体的には、図8に示すように、実施例2と同じであるので、詳述しない。
<PID制御器ゲイン値調整部(図21)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図21に示すように、
・f_tune=0の場合は、下記処理を実行する。
f_tune=1の場合は、下記処理を実行せず、Kp_new,Ki_new,Kd_newは、前回値を維持する。
・位置プロフィールPOSと所望の位置プロフィールDe_POSとの差が最も小さくなるように、調整後PIDゲイン値を決める。得られたPID制御器5のPゲイン値、Iゲイン値、Dゲイン値をそれぞれKp_new,Ki_new,Kd_newとする。
位置プロフィールPOSと所望の位置プロフィールDe_POSとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||POS-De_POS||であるL2ノルム、又は、J1=|POS-De_POS|であるL1ノルムなどが考えられる。J1、J2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT、FRITなどで決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。最適化のための解法は多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本調整処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。IFTでは、最適化の過程において、その都度、制御対象にPIDゲイン値を適用する必要があるが、FRITでは、最適化の過程はオフラインで処理可能である。
<所望の出力値演算部パラメータ値調整部(図22)>
所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図22に示すように、
・f_tune=1の場合は、下記処理を実行する。
f_tune=0の場合は、下記処理を実行せず、τ1は、前回値を維持する。
・位置プロフィールPOSと所望の位置プロフィールDe_POSとの差が最も小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を決める。得られた所望の出力値演算部パラメータ値をτ1とする。
位置プロフィールPOSと所望の位置プロフィールDe_POSとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||Tdeg-De_Tdeg||であるL2ノルム、又は、J1=|Tdeg-De_Tdeg|であるL1ノルムなどが考えられる。J1、J2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT、FRITなどで決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。最適化のための解法は多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本調整処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。IFTでは、最適化の過程において、その都度、制御対象にPIDゲイン値を適用する必要があるが、FRITでは、最適化の過程はオフラインで処理可能である。
<制御対象異常判定部(図14)>
制御対象異常判定部7は、所望の出力値演算部パラメータ値を用いて制御対象が異常か否かを判定する。具体的には、図14に示すように、実施例4と同じであるので、詳述しない。
本実施例の制御装置1は、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整するPID制御器ゲイン値調整部2と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とからなる。また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。また、制御対象異常判定部7は、時定数及び/又は時定数に基づく値が所定値以上のとき、制御対象が異常と判定する。また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整する。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する。また、制御装置1は、ロボット23を制御する装置である。
本実施例の制御装置1は、PID制御器5のゲイン値と所望の出力値演算部4のパラメータ値を、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、自動的に調整する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能を切り替えて調整する。さらに、自動調整された所望の出力値演算部パラメータ値から制御対象(ロボット23)の異常(応答性劣化又は応答性劣化と相関のある性能劣化)を検知する。
このように、所望の出力値演算部4で設定された応答特性となるように、PID制御器5のゲイン値が自動的に調整されるので、PID制御ゲイン値の調整の精度及び効率を向上できる。さらに、PID制御器5のゲイン値を自動調整し、そのときに用いたデータ(制御対象の出力値)で、所望の出力値演算部パラメータ値を自動調整するので、制御対象の応答特性を所望の出力値演算部パラメータ値(時定数)の大きさから得ることができる。また、所望の出力値演算部4は、PID制御器5と制御対象からなる閉ループ伝達特性を表すので、PID制御器の特性が変化していないとき、所望の出力値演算部4は、制御対象の特性変化のみに影響する。従って、所望の出力値演算部4の応答特性などを定量的に評価することによって、制御対象の応答特性などの特性変化を定量的に明示的に診断できる。同じ原理を用いて、PID制御器5のゲイン値及び所望の出力値演算部4のパラメータ値を自動的に調整するので、演算処理が簡便となり、計算コストが低減する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能を切り替えて調整するので、パラメータの自動調整が干渉することなく、制御対象を安定して制御できる。さらに、自動調整された所望の出力値演算部パラメータ値から制御対象の異常(応答性劣化又は応答性劣化と相関のある性能劣化)を検知するので、制御対象の異常に伴う悪影響を未然防止し又は最小限にとどめることが可能である。制御システムにおいて、PID制御器5のゲイン値の自動調整と制御対象の特性変化を簡便な構成で行うことができ、制御システムの性能及び信頼性を向上できる。
<実施例7>
本実施例においては、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器5のゲイン値を調整する第1の調整部(PID制御器ゲイン値調整部2)と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する第2の調整部(所望の出力値演算部パラメータ値調整部3)とを備えることを特徴とする制御装置1について示す。
また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。
また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。
また、制御対象異常判定部7は、時定数又は時定数に基づく値が所定値以上のとき、制御対象が異常と判定する
また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器ゲイン値を調整する。
また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値を調整する。
また、制御装置1は、飛行体(例えばドローン24)を制御する装置である。
図1は、制御装置1の中心機能を示す図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。図2は、制御装置1のシステム図であり、実施例1と同じであるので、詳述しない。
図23は、制御装置1と制御装置1によって制御されるドローン24を示す図である。
本実施例のPID制御器5は、ドローン24の運動を制御するための操作量(例えば、各ロータの回転速度)を演算する。それ以外は、実施例4と同じであるので、詳述しない。
以下、各部による処理の詳細を説明する。
<所望の出力値演算部(図24)>
所望の出力値演算部4は、制御目標に基づいて、制御対象の出力(ドローン24の飛行速度)の所望のプロフィールを演算する。具体的には、図24に示すように、制御目標である目標飛行速度Tg_FSPに対して、例えば伝達関数などを用いて、所望の飛行速度プロフィールDe_FSPを演算する。制御目標は例えばステップ信号、ランプ信号などが考えられる。伝達関数は、予め決めておくが、プラント21の動作状態に応じて特性を変化させてもよい。
また、伝達関数のパラメータの一つであるτ1は可変とし、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3で演算された値を用いる。パラメータτ1は、伝達関数の時定数を示しており、τ1の値が大きくなるほど、当該伝達関数の応答性は遅くなる。
<調整切り替え部(図8)>
調整切り替え部6は、PID制御器ゲイン値調整部2の処理と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3の処理とを切り替える。具体的には、図8に示すように、実施例2と同じであるので、詳述しない。
<PID制御器ゲイン値調整部(図25)>
PID制御器ゲイン値調整部2は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図25に示すように、
・f_tune=0の場合は、下記処理を実行する。
f_tune=1の場合は、下記処理を実行せず、Kp_new,Ki_new,Kd_newは、前回値を維持する。
・飛行速度プロフィールFSPと所望の飛行速度プロフィールDe_FSPとの差が最も小さくなるように、調整後PIDゲイン値を決める。得られたPID制御器5のPゲイン値、Iゲイン値、Dゲイン値をそれぞれKp_new,Ki_new,Kd_newとする。
飛行速度プロフィールFSPと所望の飛行速度プロフィールDe_FSPとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||FSP-De_FSP||であるL2ノルム、又は、J1=|FSP-De_FSP|であるL1ノルムなどが考えられる。J1、J2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT、FRITなどで決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。最適化のための解法は多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本調整処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。IFTでは、最適化の過程において、その都度、制御対象にPIDゲイン値を適用する必要があるが、FRITでは、最適化の過程はオフラインで処理可能である。
<所望の出力値演算部パラメータ値調整部(図26)>
所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、PID制御器5のゲイン値を調整する。具体的には、図26に示すように、
・f_tune=1の場合は、下記処理を実行する。
f_tune=0の場合は、下記処理を実行せず、τ1は、前回値を維持する。
・飛行速度プロフィールFSPと所望の飛行速度プロフィールDe_FSPとの差が最も小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値を決める。得られた所望の出力値演算部パラメータ値をτ1とする。
飛行速度プロフィールFSPと所望の飛行速度プロフィールDe_FSPとの差を評価する評価関数としては、例えば、J2=||FSP-De_FSP||であるL2ノルム、又は、J1=|FSP-De_FSP|であるL1ノルムなどが考えられる。J1、J2を最小化するPIDゲイン値は、例えば、IFT、FRITなどで決定すればよく、PIDゲイン値の決定は、最適化問題に帰着する。本実施例では、FRITを用いて、PIDゲイン値を最適化する。FRITは、一組の操作量と制御量信号だけでオフラインで最適化可能な最適化手法である。最適化のための解法は多くの文献があるので、ここでは詳述しない。
なお、本調整処理は、オフライン、オンラインのどちらで行ってもよい。IFTでは、最適化の過程において、その都度、制御対象にPIDゲイン値を適用する必要があるが、FRITでは、最適化の過程はオフラインで処理可能である。
<制御対象異常判定部(図14)>
制御対象異常判定部7は、所望の出力値演算部パラメータ値を用いて制御対象が異常か否かを判定する。具体的には、図14に示すように、実施例4と同じであるので、詳述しない。
本実施例の制御装置1は、制御対象の所望の出力値を演算する所望の出力値演算部4と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整するPID制御器ゲイン値調整部2と、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とからなる。また、PID制御器ゲイン値調整部2と所望の出力値演算部パラメータ値調整部3とを切り換える調整切り替え部6を備える。また、所望の出力値演算部4は、伝達関数で表される。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、伝達関数の少なくとも時定数を変更する。また、制御対象異常判定部7は、時定数及び/又は時定数に基づく値が所定値以上のとき、制御対象が異常と判定する。また、PID制御器ゲイン値調整部2は、FRITを用いて、PID制御器ゲイン値(のみ)を調整する。また、所望の出力値演算部パラメータ値調整部3は、FRITを用いて、所望の出力値演算部パラメータ値(のみ)を調整する。また、制御装置1は、ドローン24を制御する装置である。
本実施例の制御装置1は、PID制御器5のゲイン値と所望の出力値演算部4のパラメータ値を、所望の出力値と制御対象の出力値との差が小さくなるように、自動的に調整する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能を切り替えて調整する。さらに、自動調整された所望の出力値演算部パラメータ値から制御対象(ドローン24)の異常(応答性劣化又は応答性劣化と相関のある性能劣化)を検知する。
このように、所望の出力値演算部4で設定された応答特性となるように、PID制御器5のゲイン値が自動的に調整されるので、PID制御ゲイン値の調整の精度及び効率を向上できる。さらに、PID制御器5のゲイン値を自動調整し、そのときに用いたデータ(制御対象の出力値)で、所望の出力値演算部パラメータ値を自動調整するので、制御対象の応答特性を所望の出力値演算部パラメータ値(時定数)の大きさから得ることができる。また、所望の出力値演算部4は、PID制御器5と制御対象からなる閉ループ伝達特性を表すので、PID制御器の特性が変化していないとき、所望の出力値演算部4は、制御対象の特性変化のみに影響する。従って、所望の出力値演算部4の応答特性などを定量的に評価することによって、制御対象の応答特性などの特性変化を定量的に明示的に診断できる。同じ原理を用いて、PID制御器5のゲイン値及び所望の出力値演算部4のパラメータ値を自動的に調整するので、演算処理が簡便となり、計算コストが低減する。さらに、PID制御器5のゲイン値の自動調整機能と所望の出力値演算部4のパラメータ値の自動調整機能を切り替えて調整するので、パラメータの自動調整が干渉することなく、制御対象を安定して制御できる。さらに、自動調整された所望の出力値演算部パラメータ値から制御対象の異常(応答性劣化又は応答性劣化と相関のある性能劣化)を検知するので、制御対象の異常に伴う悪影響を未然防止し又は最小限にとどめることが可能である。その結果、制御システムにおいて、PID制御器5のゲイン値の自動調整と制御対象の特性変化を簡便な構成で行うことができ、制御システムの性能及び信頼性を向上できる。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD、BD等の記録媒体に格納することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。