JP7282335B2 - グアニジン誘導体を含む発毛促進用組成物 - Google Patents
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Description
Aは単結合または-C(NH)-NH-であり、
R1は-(CH2)n-であり、ここでnは1~4の整数であり、
R2は非置換、またはハロゲン及びC1-C4アルキルから選択される一つ以上の置換基で置換されたC6-C10アリールである。
グアニジンの誘導体として(N-1-(2-メチル)フェネチルビグアニド(以下「IM176OUT05」または「IM」と表記)、N-1-(3,4-ジクロロ)フェネチルビグアニド(以下「IM176OUT04」)及び1-(3,4-ジメチルフェネチル)グアニド(以下「IM177OUT02」)を合成した。上記合成は、韓国公開特許10-2016-0146852(特許文献2)(2016年12月21日)のそれぞれ実施例22、実施例1及び実施例133と同様の方法で行った。それ以外に、ミノキシジル(Minoxidil)をHyundai Pharm(Seoul, Republic of Korea)から購入し、メトホルミン(Metformin)をCayman chemical(Ann Arbor, MI, USA)から購入した。上記本発明のグアニジン誘導体及びミノキシジルとメトホルミンの化学構造式を図1に示した。
実施例1.1.マウス細胞においてグアニジン誘導体のリプログラミング効果の比較
ロテノン(ETCコンプレックスI抑制剤)の亜毒性投与量(sub-toxic dose, 10 nM)において効率のよい体細胞リプログラミングを促進させることが確認されたところ、iPSC生成に対するロテノンと本発明のグアニジン誘導体の効果を下記の通り比較した(図2)。
ヒト包皮線維芽細胞(human foreskin fibroblast, HFFs)にOSKMリプログラミング因子を導入してiPSCでリプログラミングする間、上記実施例1.1.からマウス細胞に対するリプログラミング効果が確認された、IM176OUT05、IM176OUT04及びIM177OUT02を表記の濃度で処理した。28日後に、AP染色を行い(図3A)、AP+コロニー数を定量した結果(図3B)、三つの化合物がいずれも10nM濃度で処理時に最も優れたリプログラミング効能を示し、特に、IM176OUT05を10nM、100nM及び500nMの濃度で処理時に、全て2.4倍以上の効率でリプログラミングを向上させる効果を奏することを確認した。
また、本発明の化合物がヒト胚性幹細胞(human embryonic stem cells, hESCs)の幹細胞能(stemness)の維持に及ぼす効能を確認した(図4)。具体的には、hESCを無条件培地(unconditioned medium, UM)に培養した場合、幹細胞能を失ってAP活性が弱くなる一方(図4A)、IM176OUT05、IM176OUT04及びIM177OUT02処理時に、低用量でAP染色の増加を確認することができた。特に、IM176OUT05を10nM及び100nMの濃度で処理時に、それぞれ7.6倍及び8.2倍に向上した幹細胞能維持効果を示すことを確認した(図4B)。
実施例2.1.毛髪再生モデル
7週齢のC57BL/6マウス(Dae han BioLink, Chungbuk, Republic of Korea)の毛髪休止期(telogen)で背部皮膚毛を動物用クリッパー、及びワックス(Veet, Oxy Reckitt Benckiser, Seoul, Republic of Korea)を用いて除毛した。翌日から、毎日200μlの偽薬(プラセボ)(対照群)、1%IM、1%ミノキシジルまたは1%メトホルミンを殺菌された綿棒を用いて除毛した部位に適用した。各動物のイメージを毎日キャプチャし、Image J programを用いて同一の領域(1.6×3cm)で背部位の色の暗さ程度を定量化した。マウスを犠牲にして、0、7、14及び20日目の皮膚組織を得た。組織の半分をRNA分離に用い、残りの半分を組織化学分析のために一夜中、4%のパラホルムアルデヒドで固定させた。
上記実施例1.1.で固定させた組織を30%スクロースに浸漬させた後、OCT化合物(Sakura Finetek USA Inc, Torrance, CA, USA)にエンベデッド(embedded)させた。低温維持装置(cryostat sectioning)(Leica, Wetzlar, Germany)を用いて凍結切片を得、ヘマトキシリン(Sigma)及びエオシン(Sigma)(H&E)または下記表1に提示されたそれぞれの抗体を用いて染色した。免疫組織化学分析を行い、Olympus顕微鏡(Olympus)で蛍光イメージを撮影した。
毛髪周期の段階を正確に分類するための指針に従い、各マウス(n>10)の縦断面におけるH&E染色顕微鏡写真で個々の毛嚢を分類して毛髪周期を定量化した。それぞれの群で毛髪成長期(anagen)の百分率を計算した。同一領域(1300μm幅)における毛嚢を各マウス(n>10)の横断面におけるH&E染色顕微鏡写真で計数した。
マウスにPBSを潅流させて血液を除去した後、皮膚組織を収穫して小さく切れ切れにした。組織をトリプシン(Thermo Fisher Scientific)に150分間37℃で分解させた後に75μmのナイロンメッシュで濾過した後、30μmのメッシュ(BD Biosciences)で濾過した。単一細胞を免疫染色プロトコルにより固定させ、透過化し、遮断させた。細胞を特定抗体(上記表1)で染色し、BD AccuriTM C6(BD Biosciences)で分析した。
耳介組織の修復分析のために、パンチ器具(Fine Science Tools, British Columbia, Canada)を用いて各耳に2mm直径で3つの孔をあけた。毎日指示された濃度のIMを殺菌された綿棒で適用した。孔の面積をdigital calipers(VWR, Radnor, PA, USA)で測定した。
全ての数値は、繰り返し実験された3個以上の独立的な生物学的データを代表する。全ての動物実験はn>5の処理群で独立して6回繰り返して実験された。Student’s t-testを群間比較のために用いられ、p<0.05は統計的有意性を示す。
実施例3.1.マウスにおいてIM176OUT05による毛髪の成長促進効果
IM化合物が毒性または他の副作用を示さずに毛髪の成長を促進させるか否かを、マウス実験を通じて確認した。7週齢のC57BL/6マウスで休止期段階の毛髪を除毛することにより同期化させ、多様な濃度のIMを毎日マウスの背部皮膚に局所塗布した。9日目に、1%IMを適用した部位で黒色の色素沈着及び毛髪成長が顕著に確認された(図9)。
組織形態計測を通じて組織を分析した結果、IMが毛嚢周期の進行を刺激させることを確認した(図6a)。20日目に縦断面で、対照群マウスで毛嚢の大部分が成長期IIIに定量的に示された一方、IM処理マウスでは毛嚢の大部分が成長期の後期段階である成長期V及びVI段階で主に示されたことを確認した(図6b)。また、7日目に横断面において、対照群に比べてIM処理マウスで毛嚢の数が顕著に増加し(図6c)、20日目に対照群に比べてIM処理マウスまたはミノキシジル処理マウスでの毛嚢数が顕著に多いことが示された(図6d)。さらに、7日目に、毛嚢幹細胞のマーカーであるケラチン15(K15)が対照群またはミノキシジル処理マウスに比べてIM処理マウスの毛嚢突出部の領域で強く発現された(図7a)。
K15陽性毛嚢幹細胞は解糖作用転換を促進させる酵素であるピルベート脱水素酵素キナーゼ(PDK)を発現する一方、Ki67陽性増殖細胞は、ミトコンドリアOXPHOSに反応する酵素であるピルベート脱水素酵素(PDH)を強く発現することが知られている。7日目に、PDK発現がIM処理マウスのK15陽性幹細胞で検出されたが、対照群またはミノキシジル処理マウスでは検出されなかった(図8a)。7日目にFACS分析を行った結果、K15+/PDK+ 集団は対照群またはミノキシジル処理マウスでは検出されなかったが、IM処理マウス皮膚の単一細胞では5.9%の細胞集団で占有されたことを確認することができた(図8c)。これを通じて、IM処理マウスが対照群に比べて少なくとも6.6倍以上解糖作用幹細胞集団(K15+/PDK+)を増加させることを確認した。
代謝及び毛髪再生と関連した遺伝子発現程度を各マウス群の皮膚組織を通じて分析した。解糖作用関連酵素(HK2及びLDHA)の発現は、7日目にIM処理マウスで顕著に誘導され、20日目に対照群と比較してIM処理及びミノキシジル処理マウスの両方で有意に増加した。この段階で、OXPHOS関連酵素(NDUS3及びATP5B)の発現は対照群に比べてIM処理マウス及びミノキシジル処理マウスの両方で増加した。これはIMが毛嚢再生初期段階における解糖作用を促進させ、その後の段階でのOXPHOSをさらに促進させることができ、これを通じて毛髪成長に必要な活性エネルギー代謝に寄与することを示唆する。毛嚢発達に関与する幹細胞能関連遺伝子(Wnt1a, Lef-1, Gli-1 及びベルシカン(versican))の発現は7日目にIM処理マウス皮膚で顕著に上方調節され、ミノキシジル処理マウスも対照群に比べてWnt1a,Lef-1及びGli-1)の発現が多少増加した。20日目に、IM処理マウス及びミノキシジル処理マウスはいずれも対照群に比べて上記幹細胞能関連遺伝子が顕著に誘導された(図8d)。
組織再生に対するIMの影響を耳介組織修復を通じて観察した。その結果、IMは用量依存的に耳介の傷面積を減少させることを確認した。これを通じて、IMは毛髪成長以外にも組織再生を活性化させることを示唆する(図14)。これを通じて、IMは脱毛により損傷した毛嚢組織を復旧することができ、引き起こされ得る損傷を予防することができる。
Claims (9)
- 上記薬学組成物は、化学式(2)~(4)のいずれかの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を1~5%の濃度で含む、請求項1に記載の薬学組成物。
- 上記薬学組成物は、細胞のリプログラミングを促進したり幹細胞能を維持する、請求項1に記載の薬学組成物。
- 上記薬学組成物は、毛嚢の再生を促進したり毛髪の成長を促進する、請求項1に記載の薬学組成物。
- β-カテニン、Shh(sonic hedgehog)、HK2(hexokinase 2)、LDHA(lactate dehydrogenase A)、NDUS3(NADH dehydrogenase iron-sulfur protein 3)、ATP5B(ATP synthase subunit beta)、Wnt1a、Lef-1(lymphoid enhancer binding factor 1)、Gli-1(GLI family zinc finger 1)、ベルシカン(versican)、PDH(pyruvate dehydrogenase)及びPDK(pyruvate dehydrogenase kinase)からなる群から選択される一つ以上の発現を増加させる、請求項1に記載の薬学組成物。
- 上記薬学組成物は、皮膚外用剤として剤形化される、請求項1に記載の薬学組成物。
- 上記皮膚外用剤は、クリーム、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤及びパスタ剤からなる群から選択されるいずれか一つである、請求項6に記載の薬学組成物。
- 請求項1に記載の化合物またはその化粧品学的に許容可能な塩を有効成分として含む、毛嚢または皮膚の再生用、発毛促進用、または脱毛予防若しくは改善用化粧料組成物。
- 請求項1に記載の化合物またはその食品学的に許容可能な塩を有効成分として含む、毛嚢または皮膚の再生用、発毛促進用、または脱毛予防若しくは改善用食品組成物。
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