JP7282173B2 - ポリヒドロキシステアリン酸で表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物、及びその製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム（ＣｅО_２）粒子を含む日焼け止め（紫外線遮断剤；ultraviolet screener）組成物、及びその日焼け止め組成物の製造方法に関する。

１９２８年、米国で初めて日焼け止めが含有された化粧品が開発されて以来、日焼け止めへの需要は持続的に増えつつある傾向にある。日焼け止めは、紫外線による皮膚癌、日焼け(sunburn and sun tanning)、光老化等に対する予防のためのものであって、近年、美容を目的として、ＵＶＡ１、ＵＶＡ２の波長に相当する紫外線を遮断する光老化の予防に対する関心が増えている。日焼け止めクリーム以外にも、ＢＢクリーム（ｂｅｂｌｅｓｈ ｂａｌｍ）、ＣＣクリーム（ｃｏｌｏｒ ｃｏｎｔｒｏｌ）、クッションファンデーション、サンスプレー、サンスティック等の殆どの剤形に対して日焼け止め機能が付加されている。

紫外線を遮断するためには、日焼け止めを投入することとなるが、有機系日焼け止めと無機系日焼け止めに分けられうる。有機系日焼け止めには、代表的なものとして、光を熱に変換する化学的遮断剤があり、無機系日焼け止めには、代表的ものとして、光を反射、散乱、吸収する物理的遮断剤がある。基礎化粧品とは異なり、日焼け止めは、表皮の上部、すなわち、皮膚の最外殻において、紫外線を減衰させることを主な目的として用いられる。しかしながら、アボベンゾンといった有機系日焼け止めの場合、分子の大きさが小さく、皮膚に浸透する可能性がある。有機系日焼け止めは、白濁が少なく、吸収波長が多様であるという長所を有するが、皮膚トラブルを誘発するか、敏感な場合に、目の周りに塗ったときに目の痛みといった副作用が生じ得る。これに対して、無機系日焼け止めは、相対的に安全性において有利であり、遮断力が良い方であるが、屈折率の大きな白色顔料であるので、白濁現象といった問題が生じ得る。最近、化粧品素材についての自然親和性(nature-friendly;自然に優しい)のトレンドにより、韓国では、機能性成分が無機系日焼け止めのみからなる「無機紫遮（ムギジャチャ；無機物紫外線遮断剤）」の剤形の日焼け止め製品への選好度が高くなっている。

無機系日焼け止めとしては、二酸化チタン（ＴｉＯ_２）及び酸化亜鉛（ＺｎＯ）が用いられているが、様々な短所が生じる。第一に、二酸化チタン及び酸化亜鉛のエネルギーバンドギャップは、それぞれ３．０ｅＶ及び３．２ｅＶであり、ＵＶＢ及びＵＶＡ２の吸収に有利であり、二酸化チタン及び酸化亜鉛のみでは、中間波長のＵＶＡ１の吸収を行うことができない。第二に、二酸化チタン及び酸化亜鉛の屈折率は、それぞれ２．７及び２．２であり、屈折率が高く、皮膚に塗ったとき、白く見える白濁現象が著しく現れることがありうる。第三に、二酸化チタン及び酸化亜鉛は、光エネルギーの下で、有機物、特に色素を分解または変性させる光触媒力が大きく、剤形における成分の変性及び色素の沈着を引き起こしうる。特に、光触媒力が大きい場合、安全性の理由のため、必ず第二の素材で表面を包み込まなければならないが、二酸化チタンの場合、酸化アルミニウム（Ａｌ_２Ｏ_３）または二酸化ケイ素（ＳｉＯ_２）で、多くは２０重量分率以上を包み込む。しかしながら、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素で表面を包み込むと、粉体の質感が重くて柔らかく塗れず、ごてごてした使用感を示し得るという短所が生じる。したがって、上記した短所を補完することができる日焼け止め組成物の開発が要求されるというのが実情である。

ここに、本発明者は、上記した問題を解決するために研究するうちに、酸化セリウムを脂肪酸で表面改質して、日焼け止め組成物として用いる場合、ＵＶＡ１の吸収が可能であり、屈折率が低く、白濁現象を抑制させ、光触媒力が低く、安定した日焼け止め組成物を形成できることを見出し、これについて出願したことがある(大韓民国特許出願第１０－２０１７－０１４２６１７号)。

しかしながら、上記のような脂肪酸で表面改質された酸化セリウムを含む日焼け止め組成物の場合、時の経過に伴い、分散安定性が低下するという問題が発生し、それで、さらなる研究を行った結果、脂肪酸ではなく、ポリヒドロキシステアリン酸でもって酸化セリウムを表面改質すれば、長時間経過しても、優れた分散安定性を示すことが確認され、本発明を完成した。

これと関連して、大韓民国登録特許第１０－１６０００５８号は、金属酸化物複合化高扁平セルロース粉体、及びそれを含有する化粧料について開示している。

本発明は、上述した問題に鑑みなされたものであって、本発明の一実施例は、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム（ＣｅО_２）粒子を含む日焼け止め組成物を提供する。

また、本発明の他の一実施例は、前記ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子の製造方法を提供する。

また、本発明のまた他の一実施例は、前記日焼け止め組成物の製造方法を提供する。

本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した技術的課題に限定されず、言及されなかった他の技術的課題は、下記の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明確に理解されるであろう。

上述した技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一側面は、置換若しくは非置換されたポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム（ＣｅО_２）粒子を含む日焼け止め組成物を提供する。

前記ポリヒドロキシステアリン酸は、ヒドロキシステアリン酸の繰り返し単位を含むものであってもよい。

前記ポリヒドロキシステアリン酸は、架橋繰り返し単位をさらに含むものであってもよい。

前記ポリヒドロキシステアリン酸は、重量平均分子量が１，０００ｇ／ｍоｌ乃至１００，０００ｇ／ｍоｌであるものであってもよい。

前記ポリヒドロキシステアリン酸の含量は、酸化セリウム粒子１００重量部に対して１重量部乃至１０重量部でありうる。

前記表面改質された酸化セリウム粒子の含量は、前記日焼け止め組成物１００重量部に対して１重量部乃至５０重量部でありうる。

前記酸化セリウムは、一次粒子径が１０乃至３０ｎｍであり、二次粒子径が１００乃至５００ｎｍであり、一次粒子径に対する二次粒子径の割合が５乃至５０でありうる。

前記日焼け止め組成物は、酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子からなる群から選ばれる少なくとも一つの粒子をさらに含むものでありうる。

前記酸化チタン粒子または酸化亜鉛粒子の含量は、前記日焼け止め組成物１００重量部に対して１重量部乃至２５重量部でありうる。

また、本発明の他の一側面は、ポリヒドロキシステアリン酸及び溶媒を混合して混合溶媒を製造するステップと、前記混合溶液に酸化セリウム粒子を混合し、ミリング(粉砕ないし摩砕)して、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を製造するステップと、を含むポリヒドロキシステアリン酸で表面改質された酸化セリウム粒子の製造方法を提供する。

前記溶媒は、安息香酸アルキル（ａｌｋｙｌ ｂｅｎｚｏａｔｅ）、塩化メチレン（ｍｅｔｈｙｌｅｎｅ ｃｈｌｏｒｉｄｅ）、キシレン（ｘｙｌｅｎｅ）、ジメチルホルムアミド（ｄｉｍｅｔｈｙｌｆｏｒｍａｍｉｄｅ、ＤＭＦ）、ニトロベンゼン（ｎｉｔｒｏｂｅｎｚｅｎｅ）、メチルエチルケトン（ｍｅｔｈｙｌｅｔｈｙｌｋｅｔｏｎｅ）、ジメチコン（ｄｉｍｅｔｈｉｃｏｎｅ）、ポリジメチルシロキサン（ｐｏｌｙｄｉｍｅｔｈｙｌｓｉｌｏｘａｎｅ）、シクロペンタシロキサン（ｃｙｃｌｏｐｅｎｔａｓｉｌｏｘａｎｅ）、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる溶媒でありうる。

前記ポリヒドロキシステアリン酸及び溶媒の混合割合は、１：１０乃至１００でありうる。

前記混合溶液及び酸化セリウム粒子の混合割合は、１：０．５乃至１．５でありうる。

また、本発明のまた他の一側面は、前記製造されたポリヒドロキシステアリン酸で表面改質された酸化セリウム粒子を有機溶媒に分散させるステップと、前記有機溶媒をシリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、精製水、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質と混合するステップと、を含む日焼け止め組成物の製造方法を提供する。

本発明の一実施例によれば、前記ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物は、長時間経過しても、層分離が発生せず、優れた分散安定性を示すことができる。

また、前記日焼け止め組成物は、低周波数領域及び高周波数領域において高い動的粘度を示すので、剤形が優れた乳化／分散相の安定性を有するとともに、優れた塗り広がり性を有するので、日焼け止め用化粧品組成物として有用に用いられ得る。

さらに、本発明の一実施例による日焼け止め組成物は、紫外線中間波長領域のＵＶＡ１の吸収が可能であるので、ＵＶＡ１～ＵＶＡ２の全領域の紫外線を吸収することができ、高い紫外線防御指数を有するので、紫外線遮断効果に優れている。

さらには、本発明の一実施例による日焼け止め組成物は、粒子の光屈折率が低いので、皮膚に塗布する場合、白く見える白濁現象が引き起こされず、自然な色合いを示す日焼け止め用化粧品組成物として用いられ得る。

併せて、本発明の一実施例による日焼け止め組成物は、酸化セリウム粒子が、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質されることにより、水中油、油中水、及び非水型の剤形への乳化性が高いので、様々な剤形の日焼け止め用化粧品組成物の製造に用いられ得る。

本発明の効果は、上述した効果に限定されるのではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能な、あらゆる効果を含むものと理解されなければならない。

本発明の一実現例によるポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子の製造方法を示す概略図である。 本発明の一実現例による日焼け止め組成物の製造方法を示す概略図である。 本発明の一比較例による脂肪酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物の写真である。 本発明の一実施例によるポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物の写真である。 本発明の一実施例によるポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子の粒度分布を示すグラフである。 本発明の一実施例によるポリヒドロキシステアリン酸の添加量による酸化セリウム粒子の熱重量分析を示すグラフである。

以下、本発明についてさらに詳述する。しかしながら、本発明は、様々な相違する形態で実現されてもよく、ここで説明する実施例により本願が限定されず、本発明は、後述する請求の範囲により定められるだけである。

加えて、本発明において用いられる用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈からみて、明らかに異なる意味を有さない限り、複数の表現を含む。本発明の明細書の全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。

本願の第一の側面は、置換若しくは非置換されたポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム（ＣｅО_２）粒子を含む日焼け止め組成物を提供する。

以下、本願の第一の側面による前記日焼け止め組成物について詳述する。

本願の一具現例において、前記ポリヒドロキシステアリン酸は、ヒドロキシステアリン酸の繰り返し単位を含むものでありうる。ここで、前記ヒドロキシステアリン酸は、下記化学式１の構造を有するものでありうる。

[化学式１]

本願の一具現例において、前記ヒドロキシステアリン酸の繰り返し単位は、下記化学式２の構造を有するものでありうる。

[化学式２]

すなわち、前記ポリヒドロキシステアリン酸は、キシレン等の溶媒下で、ヒドロキシステアリン酸の単量体同士の間において、ヒドロキシ基及びカルボキシル基が脱水重合反応して形成されるものでありうる。ここで、前記脱水重合反応は、約２００℃の高温で行われるのでありうる。

本願の一具現例において、前記ポリヒドロキシステアリン酸は、重量平均分子量が１，０００ｇ／ｍоｌ乃至１００，０００ｇ／ｍоｌでありうる。前記ポリヒドロキシステアリン酸の重量平均分子量が１，０００ｇ／ｍоｌ未満であれば、粒子の表面処理が不十分であって日焼け止め組成物の分散安定性が低下しうるのであり、１００，０００ｇ／ｍоｌ超過であれば、酸化セリウム粒子に対してポリヒドロキシステアリン酸の分子量が大きくなるので、日焼け止め組成物の紫外線遮断効果が低下しうる。

本願の一具現例において、前記酸化セリウム粒子は、水酸化セリウム、炭酸セリウム、硝酸セリウム、塩化セリウム、または硝酸アンモニウムセリウム等のセリウム前駆体から製造されうるのであり、通常の酸化セリウムの製造方法で製造された酸化セリウム粒子であれば、特に制限されず、いずれも使用できる。また、酸化セリウム粒子は、板状、フレーク状、または球状等の形態であってもよく、酸化セリウム粒子の形態には、特に制限はない。

本願の一具現例において、前記酸化セリウム（ＣｅО_２）粒子は、一次粒子径が３乃至３５ｎｍであってもよく、５乃至３２ｎｍであってもよく、好ましくは１０乃至３０ｎｍであってもよく、二次粒子径が５０乃至６００ｎｍであってもよく、８０乃至５５０ｎｍであってもよく、好ましくは１００乃至５００ｎｍであってもよく、前記一次粒子径に対する二次粒子径の割合は、１乃至５５であってもよく、３乃至５３であってもよく、好ましくは５乃至５０であってもよい。

本願の一具現例において、前記酸化セリウム粒子は、本発明による日焼け止め組成物に含まれることにより、紫外線の中間波長領域のＵＶＡ１領域の波長を吸収することができることから、日焼け止め組成物の紫外線遮断吸収領域を広げる役割を果たすものでありうる。

本願の一具現例において、前記日焼け止め組成物は、ポリヒドロキシステアリン酸でもって酸化セリウム粒子を表面改質することにより、優れた乳化／分散相の安定性及び塗り広がり性を有するようになるのでありうる。すなわち、疎水性高分子であるポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質を行うので、乳化が円滑であり、剤形の分散安定性に優れる。

本願の一具現例において、前記ポリヒドロキシステアリン酸の含量は、酸化セリウム粒子１００重量部に対して０．３重量部乃至１５重量部であってもよく、好ましくは、０．５重量部乃至１１重量部であってもよく、より好ましくは、１重量部乃至１０重量部であってもよい。前記ポリヒドロキシステアリン酸の含量が０．３重量部未満で表面改質される場合、酸化セリウム粒子の全体が表面改質されず、溶剤でもって製造する際、乳化／分散の問題点が生じ得る。また、前記ポリヒドロキシステアリン酸の含量が１５重量部超過で表面改質される場合、粒子の表面を包み込んでから残った余剰のポリヒドロキシステアリン酸高分子が互いに散らばって付いており、化粧料の製造時に不純物として作用しうる。さらには、ポリヒドロキシステアリン酸の含量があまりにも少ない場合、粒子の表面を十分に被覆することができないのであり、あまりにも多い場合、余剰の分子が散らばって付いていて、化粧料の製造時に不純物として作用して、化粧料の酸敗を招きうるのであり、過度の油分感により使用感を阻害させうる。

本願の一具現例において、前記日焼け止め組成物は、酸化セリウム粒子をポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質させることにより、疎水性粒子である酸化セリウム粒子が、優れた乳化／分散相の安定性を有するようにするものでありうる。

本願の一具現例において、前記表面改質された酸化セリウム粒子の含量は、前記日焼け止め組成物１００重量部に対して１重量部乃至５０重量部であってもよく、好ましくは、２重量部乃至４０重量部であってもよく、より好ましくは、５重量部乃至２０重量部であってもよい。前記表面改質された酸化セリウム粒子の含量が１重量部未満であれば、酸化セリウム粒子の含量が少な過ぎて、ＵＶＡ１領域の波長を吸収することができず、本発明による日焼け止め組成物の効果を示すことができないのであり、前記表面改質された酸化セリウム粒子の含量が５０重量部超過であれば、固形分の含量が多過ぎ、化粧料の粘度があまりにも高くなり、塗り広がり性を阻害しうる。また、前記表面改質された酸化セリウム粒子の含量が１重量部未満であれば、紫外線遮断効果を期待し難いのでありうる。

本願の一具現例において、前記日焼け止め組成物は、酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子からなる群から選ばれる少なくとも一つの粒子をさらに含むものであってもよい。

本願の一具現例において、前記酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子の含量は、前記日焼け止め組成物１００重量部に対して１重量部乃至２５重量部でありうる。ここで、前記酸化チタン粒子及び酸化亜鉛粒子の含量比は、本発明の効果を損なわない範囲で、適用しようとする目的及び用途により、特に制限されずに使用できる。

本願の一具現例において、前記日焼け止め組成物は、有機溶媒、シリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、または精製水をさらに含んでもよい。

本願の一具現例において、前記有機溶媒は、アルコール、グリコール、シリコーンオイル、天然油、植物油、落花生油、または鉱油等が用いられてもよい。前記有機溶媒は、脂肪酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を分散させるための溶媒の役割を果たす。また、前記有機溶媒は、脂肪酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を分散させ、塗り広がり性の良い剤形の化粧料組成物を製造するのに好適な有機溶媒であれば、特に制限されずに全て使用できる。

本願の一具現例において、前記シリコーンオイルは、ジメチコン、セチルジメチコン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、またはステアリルジメチコン等が用いられてもよい。前記シリコーンオイルは、化粧料を乳化するにあたって、オイル状を形成し、使用感を改善する役割を果たす。

本願の一具現例において、前記繊維剤としては、ＶＧＬ ｓｉｌｋ等が用いられてもよい。前記繊維剤は、日焼け止め組成物の使用感を改善する役割を果たす。

本願の一具現例において、前記乳化剤は、ＰＥＧ（ｐｏｌｙｅｔｈｙｌｅｎｅ ｇｌｙｃｏｌ）シリコーン乳化剤、ノニオン性Ｗ／О乳化剤、カチオン性乳化剤、またはアニオン性乳化剤等が用いられてもよい。前記乳化剤は、本発明による日焼け止め組成物のそれぞれの成分が乳化されるようにする。また、粒子を乳状のエマルション粒子に閉じ込め、剤形の安定性を向上させる役割を果たす。

本願の一具現例において、前記保湿剤としては、１，２－ヘキサンジオール、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、またはトレハロース等のポリオール、アミノ酸、尿素、乳酸塩、またはＰＣＡ－Ｎａ(ピロリドンカルボン酸ナトリウム)等の天然保湿因子（ＮＭＦ）、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、または加水分解コラーゲン等の高分子保湿剤等が用いられてもよい。前記保湿剤は、本発明による日焼け止め組成物の保湿力を高めるとともに、防腐剤の役割を果たす。

本願の一具現例において、前記可塑剤としては、ＤＰＧ（ジプロピレングリコール；Ｄｉｐｒｏｐｙｌｅｎｅ ｇｌｙｃｏｌ）等が用いられてもよい。

本願の一具現例において、前記化粧料剤形組成物には、前記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、油脂、ワックス類、界面活性剤、増粘剤、色素、美容添加剤、粉末、糖類、酸化防止剤、緩衝剤、各種抽出液、安定化剤、防腐剤、香料等といった通常の化粧料組成物に配合される成分を適宜配合することができる。

本願の一具現例において、前記油脂としては、月見草油、ローズヒップオイル、ひまし油、またはオリーブ油等の植物油、ミンク油またはスクアレン等の動物油、流動パラフィンまたはワセリン等の鉱物油、シリコーンオイルまたはミリスチン酸イソプロピル等の合成油等が用いられてもよい。

本願の一実現例において、前記ワックス類としては、カルナウバロウ、カンデリラロウ、またはホホバオイル等の植物性ロウ、蜜蝋、またはラノリン等の動物性ロウ等が用いられてもよい。

本願の一具現例において、前記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、またはノニオン界面活性剤等が用いられてもよい。

本願の一具現例において、前記増粘剤としては、例えば、水溶性高分子が用いられてもよい。

本願の一具現例において、前記水溶性高分子としては、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントゴム、ペクチン、マンナン、または澱粉等の植物系（多糖類系）天然高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシニルグルカン(succinyl glucan)、カードラン、またはヒアルロン酸等の微生物系（多糖類系）天然高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、またはコラーゲン等の動物系（タンパク類系）天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはメチルヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系半合成高分子、可溶性澱粉、カルボキシメチル澱粉、またはメチル澱粉等の澱粉系半合成高分子、アルギン酸プロピレングリコールエステル、またはアルギン酸塩等のアルギン酸系半合成高分子、その他の多糖類系誘導体半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、またはポリアクリル酸ナトリウム等のビニル系合成高分子、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのブロック共重合体等のその他の合成高分子、ベントナイト、ラポナイト、微粒酸化ケイ素、コロイドアルミナ等の無機物等が用いられてもよい。

本願の一具現例において、前記色素としては、例えば、合成色素または天然色素が用いられてもよく、前記合成色素としては、ＦＤ＆Ｃ Ｙｅｌｌｏｗ Ｎｏ ６またはＦＤ＆Ｃ Ｒｅｄ Ｎｏ ４等の水溶性／油溶性染料、酸化鉄、またはウルトラマリン等の無機顔料、Ｄ＆Ｃ Ｒｅｄ Ｎｏ ３０またはＤ＆Ｃ Ｒｅｄ Ｎｏ ３６等の有機顔料、ＦＤ＆Ｃ Ｙｅｌｌｏｗ Ｎｏ ６ Ａｌ ｌａｋｅ等のレーキ等が用いられてもよく、前記天然色素としては、β－カロチン、β－アポ－８－カロテナール、リロピン、カプサンチン、ビキシン、クロシン、またはカンタキサンチン等のカロテノイド系色素、シソニン、ラファニン、ニノシアニン、カルサミン、サフロールイエロー、ルチン、クエルセチン、カカオ色素等のフラボノイド系色素、リボフラビン等のフラビン系色素、ラッカイン酸、カルミン酸（コチニール）、ケルメス酸、アリザリン、シコニン、アルカニン、ニキノクローム等のキノン系色素、クロロフィル、または血色素等のポルフィリン系色素、クルクミン（ターメリック）等のジケトン系色素、ベタニン等のベタシアニジン系色素等が用いられてもよい。

本願の一具現例において、前記美容添加剤としては、例えば、ビタミン、植物抽出物、または動物抽出物が用いられてもよく、前記ビタミンとしては、レチノール（ビタミンＡ）、トコフェロール（ビタミンＥ）、またはアスコルビン酸（ビタミンＸ）等が用いられてもよく、前記植物抽出物としては、メントール（ハッカ）、アズレン（カモミール）、アラントイン（小麦）、カフェイン（コーヒー）、甘草抽出物、桂皮抽出物、緑茶抽出物、ラベンダー抽出物、またはレモン抽出物等が用いられてもよく、前記動物抽出物としては、プラセンタ（牛の胎盤）、ローヤルゼリー(蜂の分泌物）、カタツムリ抽出物（粘液分泌物）等が用いられてもよい。

本願の第二の側面は、ポリヒドロキシステアリン酸及び溶媒を混合して混合溶媒を製造するステップと、前記混合溶液に酸化セリウム粒子を混合し、ミリングしてから、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質した酸化セリウム粒子を製造するステップと、を含むポリヒドロキシステアリン酸で表面改質された酸化セリウム粒子の製造方法を提供する。

本願の第一の側面と重複する部分については、詳細な説明を省略するが、本願の第一の側面について説明した内容は、第二の側面において、その説明が省略されても、同様に適用され得る。

以下、本願の第二の側面によるポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子の製造方法について、図１を参照して詳述する。

まず、本願の一具現例において、前記ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質した酸化セリウム粒子の製造方法は、ポリヒドロキシステアリン酸及び溶媒を混合して混合溶液を製造するステップ（Ｓ１００）を含む。

本願の一具現例において、前記溶媒は、有機溶媒であれば、大きく制限されず、例えば、安息香酸アルキル（ａｌｋｙｌ ｂｅｎｚｏａｔｅ）、塩化メチレン（ｍｅｔｈｙｌｅｎｅ ｃｈｌｏｒｉｄｅ）、キシレン（ｘｙｌｅｎｅ）、ジメチルホルムアミド（ｄｉｍｅｔｈｙｌｆｏｒｍａｍｉｄｅ、ＤＭＦ）、ニトロベンゼン（ｎｉｔｒｏｂｅｎｚｅｎｅ）、メチルエチルケトン（ｍｅｔｈｙｌｅｔｈｙｌｋｅｔｏｎｅ）、ジメチコン（ｄｉｍｅｔｈｉｃｏｎｅ）、ポリジメチルシロキサン（ｐｏｌｙｄｉｍｅｔｈｙｌｓｉｌｏｘａｎｅ）、シクロペンタシロキサン（ｃｙｃｌｏｐｅｎｔａｓｉｌｏｘａｎｅ）、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる溶媒であるものであってもよい。

本願の一具現例において、前記ポリヒドロキシステアリン酸及び溶媒の混合割合は、１：１０乃至１００であってもよい。このようにポリヒドロキシステアリン酸及び溶媒を混合して攪拌させることにより、溶媒にポリヒドロキシステアリン酸を均一に分散させることができ、これにより、以降、添加される酸化セリウム粒子の表面にポリヒドロキシステアリン酸が均一に改質されるようにしてもよい。

次に、本願の一具現例において、前記ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子の製造方法は、前記混合溶液に酸化セリウム粒子を混合してミリングすることで、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を製造するステップ（Ｓ２００）を含む。

本願の一具現例において、前記酸化セリウムの粒子径は、０．０１乃至１μｍであってもよく、好ましくは０．０５乃至０．５μｍであってもよく、より好ましくは０．０８乃至０．２μｍであってもよい。また、前記混合溶液及び酸化セリウム粒子の混合割合は、１：０．５乃至１．５であるものであってもよい。

本願の一具現例において、前記混合溶液に酸化セリウム粒子を混合してミリングすることは、２０乃至５０℃で行われるものであってもよく、好ましくは、２５乃至３５℃で行われるものであってもよく、混合及びミリングの時間は、１０分乃至１８０分であってもよい。ここで、前記ミリングは、ビーズミル装備で行われるものでありうる。

本願の一具現例において、前記混合溶液に酸化セリウム粒子を混合してミリングを行う前に、溶液内の不純物を除去するステップをさらに含んでもよい。不純物を除去する方法には、遠心分離機等を使用することができ、不純物の除去方法において、特に制限はない。

本願の一具現例において、前記混合溶液に酸化セリウム粒子を混合してミリングさせた後、希釈により、前記ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を、所望の含量で製造するものであってもよい。

本願の第三の側面は、前記本願の第二の側面で製造されたポリヒドロキシステアリン酸で表面改質された酸化セリウム粒子を有機溶媒に分散させるステップと、前記有機溶媒をシリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、精製水、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質と混合するステップと、を含む日焼け止め組成物の製造方法を提供する。

本願の第一の側面及び第二の側面と重複する部分については、詳細な説明を省略するが、本願の第一の側面及び第二の側面について説明した内容は、第三の側面において、その説明が省略されても、同様に適用され得る。

以下、本願の第三の側面による日焼け止め組成物の製造方法について、図２を参照して詳述する。

まず、本願の一具現例において、前記日焼け止め組成物の製造方法は、前記本願の第二の側面で製造された、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を有機溶媒に分散させるステップ（Ｓ３００）を含む。

本願の一具現例において、前記ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を有機溶媒に分散させるステップは、表面改質されることにより、乳化／分散力が高くなった酸化セリウム粒子を、有機溶媒に均一に分散させる過程である。ここで、前記有機溶媒としては、アルコール類が用いられることが好ましく、前記アルコールとしては、エチルアルコール（ｅｔｈｙｌ ａｌｃｏｈｏｌ）、ベヘニルアルコール（ｂｅｈｅｎｙｌ ａｌｃｏｈｏｌ）、フェネチルアルコール（ｐｈｅｎｅｔｈｙｌ ａｌｃｏｈｏｌ）、またはグリコール（ｇｌｙｃｏｌ）、及びその誘導体等が用いられうる。

次に、本願の一具現例において、前記日焼け止め組成物の製造方法は、前記有機溶媒をシリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、精製水、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質と混合するステップ（Ｓ４００）を含む。

本願の一実現例において、前記有機溶媒をシリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、精製水、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質と混合するステップは、有機溶媒相に分散された酸化セリウム粒子を、化粧料組成物の製造のための様々な混合物と混合して、化粧料組成物として用いられる剤形を製造するステップである。ここで、使用される有機溶媒、シリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、及び可塑剤の種類は、前記本願の第一側面において述べた通りである。

以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について詳述する。しかしながら、本発明は、様々な相違した形態で実現されてもよく、ここで、説明する実施例に限定されない。

製造例．酸化セリウム粒子の製造
本発明による日焼け止め組成物の製造のために、酸化セリウム粒子を製造した。

水酸化セリウム、炭酸セリウム、硝酸セリウム、塩化セリウム、または硝酸アンモニウムセリウムを混合して配合した後、４００～１２００℃での熱処理により、酸化セリウム粒子を得た。

実施例．ポリヒドロキシステアリン酸で表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物の製造
ステップ１：ポリヒドロキシステアリン酸で表面改質された酸化セリウム粒子の製造
安息香酸アルキル（ａｌｋｙｌ ｂｅｎｚｏａｔｅ）２，５００ｇに、ポリヒドロキシステアリン酸（ｐｏｌｙｈｙｄｒｏｘｙｓｔｅａｒｉｃ ａｃｉｄ）５０ｇを添加した後、攪拌させた。前記製造された溶液に酸化セリウム粒子２，５００ｇを添加した後、ビーズミル装備でミリングした後に希釈して、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム分散液を得た。

ステップ２：日焼け止め組成物の製造
前記ステップ１で得られた表面改質された酸化セリウム分散液２００ｇを、グリコール、ベヘニルアルコール、エタノール、及び精製水が１：１：２：８からなる混合アルコール溶媒８００ｇに、２０ｗｔ％となるように分散させて、酸化セリウム溶液を製造した。その後、前記製造された溶液（５４．５５ｗｔ％）、シリコーンオイル（ＤＣ２４５，１０ｗｔ％）、繊維剤（ＶＧＬ ｓｉｌｋ、１０ｗｔ％）、ＰＥＧシリコーン乳化剤（ＫＦ６０１７，３ｗｔ％）、ノニオン性Ｗ／О乳化剤（Ａｂｉｌ ｅｍ９０、２．５ｗｔ％）、保湿剤（１，２－ヘキサンジオール、２ｗｔ％）、可塑剤（ＤＰＧ、１０ｗｔ％）、及び精製水（７．９５ｗｔ％）を混合して、日焼け止め組成物を製造した。

比較例．脂肪酸で表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物の製造
ステアリン酸（ｓｔｅａｒｉｃ ａｃｉｄ）でもって表面改質された酸化セリウム粒子を用いて、日焼け止め組成物を製造した。

ステップ１：ステアリン酸（ｓｔｅａｒｉｃ ａｃｉｄ）で表面改質された酸化セリウム粒子の製造
まず、前記製造例で製造された粒子径１１０ｎｍの酸化セリウム５ｇを精製水１５０ｇに添加した後、超音波攪拌を２４時間の間行い、分散させて上澄液を回収した。

次に、前記上澄液にステアリン酸ナトリウム（ｓｏｄｉｕｍ ｓｔｅａｒａｔｅ）を１：１．５のモル比で溶解させ、酸度調節剤として０．１ＮのＮａОＨを投入して、混合溶液のｐＨを１０．５に調整した。

次に、４５℃で２４時間の間、高速攪拌を行った。攪拌完了後、遠心分離により、３回水洗して、溶液内のナトリウム及び残余不純物を除去した。

最後に、真空オーブンで負圧を形成した後、５０℃で２４時間の間、真空熱風乾燥して、表面改質された酸化セリウム固形分を得た。

ステップ２：日焼け止め組成物の製造
前記ステップ１で得られた表面改質された酸化セリウム固形分２００ｇを、グリコール、ベヘニルアルコール、エタノール、及び精製水が１：１：２：８からなる混合アルコール溶媒８００ｇに、２０ｗｔ％となるように分散させて、酸化セリウム溶液を製造した。その後、前記製造された溶液（５４．５５ｗｔ％）、シリコーンオイル（ＤＣ２４５，１０ｗｔ％）、繊維剤（ＶＧＬ ｓｉｌｋ、１０ｗｔ％）、ＰＥＧシリコーン乳化剤（ＫＦ６０１７，３ｗｔ％）、ノニオン性Ｗ／О乳化剤（Ａｂｉｌ ｅｍ９０、２．５ｗｔ％）、保湿剤（１，２－ヘキサンジオール、２ｗｔ％）、可塑剤（ＤＰＧ、１０ｗｔ％）、及び精製水（７．９５ｗｔ％）を混合して、日焼け止め組成物を製造した。

実験例１．分散安定性の測定実験
前記比較例及び実施例における日焼け止め組成物の分散安定性を実験するために製造された日焼け止め組成物を、長期間放置後、溶媒との層分離が発生するか否かをそれぞれ測定して、図３ａ及び図３ｂにそれぞれの写真を示した。

図３ａ及び図３ｂに示すように、脂肪酸で表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物の場合、１０日経過後、溶媒と酸化セリウムとの間の層分離が発生するのに対して、ポリヒドロキシステアリン酸で表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物の場合、３０日経過後も、層分離が発生しなかったことが確認された。したがって、本発明の実施例に該当する、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物は、比較例に該当する、脂肪酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物に比べて、長期間放置しても、優れた分散安定性を維持できることが確認された。

実験例２．ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子の粒度分布の分析
本発明の実施例によるポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子の粒度分布を分析して、図４に示した。

図４に示すように、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子の粒度は、１００ｎｍ乃至５００ｎｍの範囲にて最も多く分布していることが確認された。

実験例３．ポリヒドロキシステアリン酸の添加量による酸化セリウム粒子の熱重量分析（ＴＧＡ）
本発明の実施例によるポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子の熱重量分析を行い、図５に示した。図５に示すように、ポリヒドロキシステアリン酸の添加量が増えるほど、重量減少が多く発生することが確認され、これは、高温にて、疎水性高分子であるポリヒドロキシステアリン酸が炭化するからであると判断された。

Claims (2)

1. ポリヒドロキシステアリン酸及び溶媒を混合して混合溶液を製造するステップと、
   前記混合溶液に酸化セリウム粒子を混合し、ミリングして、ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を含む分散液を製造するステップと、を含むポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物の製造方法であって、
   前記溶媒は、安息香酸アルキル（ａｌｋｙｌ ｂｅｎｚｏａｔｅ）、ジメチコン（ｄｉｍｅｔｈｉｃｏｎｅ）、ポリジメチルシロキサン（ｐｏｌｙｄｉｍｅｔｈｙｌｓｉｌｏｘａｎｅ）、シクロペンタシロキサン（ｃｙｃｌｏｐｅｎｔａｓｉｌｏｘａｎｅ）、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる溶媒であって日焼け止め組成物中に残るのであり、
   前記ポリヒドロキシステアリン酸及び溶媒の混合割合は、１：１０乃至１００であり、
   前記混合溶液及び酸化セリウム粒子の混合割合は、１：０．５乃至１．５である日焼け止め組成物の製造方法。
2. ポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を含む日焼け止め組成物の製造方法であって、
   請求項１で製造されたポリヒドロキシステアリン酸でもって表面改質された酸化セリウム粒子を有機溶媒に分散させるステップと、
   前記有機溶媒をシリコーンオイル、繊維剤、乳化剤、保湿剤、可塑剤、精製水、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる物質と混合するステップと、を含む日焼け止め組成物の製造方法。

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