JP7276747B2 - 壁構造 - Google Patents
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Description
壁構造としては、木製または鋼製の下地材に石膏ボードなどの仕上材を取り付ける構成が一般的であり、特許文献1には、遮音性能を向上させるために、下地材の縦桟と横桟とを弾性緩衝材を介して連結する技術が開示されている。すなわち、特許文献1に記載の壁構造は、仕上材が縦桟に弾性的に支持されることによって、壁全体をフレキシブルな構造とし、遮音性能の向上を図っている。
また、第1の壁体の面外方向の曲げ剛性と第2の壁体の面外方向の曲げ剛性とを異ならせることにより、第1の壁体と第2の壁体とで、コインシデンス効果の生じる周波数を異ならせることが可能となる。これにより、特定の周波数帯域における透過損失の低下を抑制することができ、壁構造の遮音性能を向上させることができる。
また、第1の壁体の曲げ剛性と第2の壁体の曲げ剛性とが異なっていればよく、曲げ剛性自体を低くしなくてもよいため、壁構造の剛性も確保することができる。
図1および図2に、本発明の第1の実施形態に係る壁構造1を示す。図1および図2に示されるように、壁構造1は、例えば、集合住宅などの階層構造の建築物内で床スラブSLによって区切られた空間を第1および第2の区画P1,P2に隔てる戸境壁である。なお、建築物は、集合住宅に限ることはなく、病院やオフィスとして用いられてもよい。また、建築物は、階層構造に限ることはなく、一階建てであってもよい。また、壁構造1は、戸境壁に限らず、間仕切壁として使用してもよい。
なお、スタッド61,62と仕上材31,32との間に、敷目板などを介在させてもよい。
また、スタッド61、62が互いに干渉することを避けつつ、それぞれのピッチを任意に変更することができる。
図3の横軸は1/3オクターブバンド中心周波数(Hz)であり、縦軸は比較例に対する実施例の音響透過損失(dB)の比である。試験では、壁構造の片側に所定の周波数の音源を配置し、壁構造の反対側で受音したときの音響透過損失を測定した。試験は、JIS A 1416(実験室における建築部材の空気音遮断性能の測定方法)に規定された測定方法で行った。
また、第1の壁体21の面外方向の曲げ剛性と第2の壁体22の面外方向の曲げ剛性とを異なるものとすることによって、第1の壁体21と第2の壁体22とで、コインシデンス効果の生じる周波数を異ならせることが可能となる。これにより、特定の周波数帯域における透過損失の低下を抑制することができる。これにより、壁構造1の遮音性能を向上させることができる。また、第1の壁体21と第2の壁体22のそれぞれで、スタッド61,62同士の間隔を等間隔としたことによって、鋼製下地材4の組み立てを容易とすることができる。
また、第1の壁体21の曲げ剛性と第2の壁体22の曲げ剛性とが異なっていればよく、曲げ剛性自体を低くしなくてもよいため、壁構造1の剛性も確保することができる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る壁構造1Bの断面図である。なお、本実施形態の構成は、図4に示す仕上材31Bおよびスタッド61,62の配置構成以外では第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。
本実施形態の壁構造1Bでは、第1の壁体21Bと第2の壁体22Bの面外方向の曲げ剛性を異ならせるために、仕上材31B,32Bの面外曲げ剛性を異ならせている。スタッド61,62は、上記の第1の実施形態とは異なり、どちらも同じ間隔Lで配置される。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る壁構造1Cの断面図である。なお、本実施形態の構成は、図5に示すスタッド61Cの断面寸法、およびスタッド62の壁幅方向Zの間隔以外では第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。
本実施形態の壁構造1Cでは、第1の壁体21Cと第2の壁体22Cの面外方向の曲げ剛性を異ならせるために、スタッド61Cの断面寸法を異ならせている。
このように、第1の壁体21Cと第2の壁体22Cとでスタッド61C,62の壁幅方向Zの間隔を同じにした場合においても、スタッド61C,62の断面寸法を異ならせることによって第1の壁体21Cと第2の壁体22Cの面外方向の曲げ剛性を異ならせ、壁構造1Cの遮音性能を向上させることができる。
図6は、本発明の第4の実施形態に係る壁構造1Dの断面図である。なお、本実施形態の構成は、図6に示すスタッド61Dの断面形状以外では第3の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。
本実施形態の壁構造1Dでは、第1の壁体21Dと第2の壁体22Dの面外方向の曲げ剛性を異ならせるために、スタッド61Dの断面形状を異ならせている。
具体的には、第1の壁体21Dのスタッド61Dは、角形鋼管であり、第2の壁体22Dのスタッド62は、リップ溝形鋼である。
また、本実施形態の壁構造1Dでは、第1の壁体21Dと第2の壁体22Dとで、スタッドの外形寸法を同じにすることができるため、例えば、壁厚や周辺部材の納まりを変更することなく、スタッドのみを交換することによって壁体の曲げ剛性の変更を容易に行うことができる。
図7は、本発明の第5の実施形態に係る壁構造1Eの断面図である。なお、本実施形態の構成は、図7に示すスタッド61Eの材質以外では第3の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。
本実施形態の壁構造1Eでは、第1の壁体21Eと第2の壁体22Eの面外方向の曲げ剛性を異ならせるために、スタッド61Eの材質を異ならせている。
具体的には、第1の壁体21Eのスタッド61Eは、木製スタッドであり、第2の壁体22Eのスタッド62は、鋼製スタッドである。
このように、スタッド61E,62の材質を異ならせることによっても第1の壁体21Eと第2の壁体22Eの面外方向の曲げ剛性を異ならせ、壁構造1Eの遮音性能を向上させることができる。また、第4の実施形態の壁構造1Dと同様に、第1の壁体21Eと第2の壁体22Eとで、スタッド61E,62の外形寸法を同じにすることができるため、例えば、壁厚や周辺部材の納まりを変更することなく、スタッドのみを交換することによって壁体の曲げ剛性の変更を容易に行うことができる。
Claims (6)
- 建築物内の空間を第1および第2の区画に隔てる壁構造であって、
前記第1および第2の区画にそれぞれ面する第1および第2の仕上材と、
高さ方向に延び、壁幅方向に沿って1列に配列され、前記第1および第2の仕上材を壁厚方向内側からそれぞれ支持する第1および第2のスタッドとを備え、
前記第1のスタッドの前記壁厚方向の外法寸法と、前記第2のスタッドの前記壁厚方向の外法寸法との和が、前記第1および第2の仕上材の互いに対向する面の間の距離よりも小さく、
前記第1の仕上材および前記第1のスタッドを含む第1の壁体の前記高さ方向および前記壁幅方向を含む面に対する面外方向の曲げ剛性と、前記第2の仕上材および前記第2のスタッドを含む第2の壁体の前記面外方向の曲げ剛性とが異なっており、
前記第1の仕上材と前記第2の仕上材との間に吸音材が配置されていない壁構造。 - 前記第1のスタッドは前記壁幅方向に第1の間隔で配置され、
前記第2のスタッドは前記壁幅方向に第2の間隔で配置され、
前記第1の間隔と前記第2の間隔とは異なる、請求項1に記載の壁構造。 - 前記第1の仕上材の面外曲げ剛性が第1の面外曲げ剛性であり、
前記第2の仕上材の面外曲げ剛性が第2の面外曲げ剛性であり、
前記第1の面外曲げ剛性と前記第2の面外曲げ剛性とは異なる、請求項1または請求項2に記載の壁構造。 - 前記第1のスタッドと前記第2のスタッドとは、同じ材質によって形成され、断面形状が異なっている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の壁構造。
- 前記第1のスタッドと前記第2のスタッドとは、ともにリップ溝形鋼であり、互いに呼び寸法が異なっている請求項4に記載の壁構造。
- 前記第1のスタッドと前記第2のスタッドとは、異なる材質によって形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の壁構造。
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