JP5522934B2 - 遮音内装構造 - Google Patents
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Description
また、本発明は、サウンドブリッジの発生を著しく抑制して優れた遮音性能を発揮することができる遮音内装構造を提供することを目的としている。
(1)天井から床に亘って立設されて建物の居室を区画する間仕切り壁を備え、
該間仕切り壁は、区画される一方の居室の側壁を形成する一方の壁板と、区画される他方の居室の側壁を形成する他方の壁板と、これら一対の壁板間に介在して当該一対の壁板間の連結支持強度を確保すると共に当該一対の壁板間の振動伝達を抑制するスタッド部材と、上下一対の断面コの字型ランナーとを備え、
該スタッド部材は、前記一方の壁板を支持する第1支持体と、前記他方の壁板を支持する第2支持体と、これら一対の支持体の間に介在する遮音層とを備えており、
第1支持体と第2支持体は、前記遮音層を介して互いに対向させた状態で突き合わされており、
前記スタッド部材は前記ランナー間に挿入されており、前記壁板はスタッド部材の上から貼り付けられていることを特徴としている。
また、一方の壁板の振動に伴って第1支持体が振動することとなるものの、遮音層により当該振動は吸収されることとなるので、僅かな振動が第2支持体に伝達されるのみとなり、これによって音の伝達は抑制される。また、一対の支持体は互いの中心軸を包含する平面を一対の壁板に直交させた状態で配置されているので、これら一対の支持体に偏心が生じる虞はなく、第1支持体に入力された荷重は偏心なく第2支持体に伝達される。この結果、一方の壁板は、第1支持体に支持されることはもちろん、遮音層を介して第2支持体に支持されることとなり、また、他方の壁板は、第2支持体に支持されることはもちろん、遮音層を介して第1支持体に支持されることとなり、これによって、各壁板は、充分な強度をもってスタッド部材に支持されるものとなる。
また「居室」なる用語は、ここでは、間仕切り壁で仕切られた建物内の各空間を意味し、各種用途の部屋のみならず、部屋をつなぐ廊下等の空間、部屋への出入りを行うための玄関等の空間も含む。
これによれば、遮音層を薄化することができ、スタッド部材としての強度を十分に確保することができることとなるのである。
また、本発明の遮音内装構造によれば、サウンドブリッジの発生を著しく抑制して優れた遮音性能を発揮することができる。
図4は、本発明の第1実施形態に係る遮音内装構造の全体構成を示す側断面図であり、図中、10aは本遮音内装構造となる間仕切り壁が設けられる一階等の下階の床スラブ、10bは当該下階の上の階(又は屋根)の床スラブ、11は当該下階の天井野縁である。
床スラブ10a、10bは、複数枚の平板状の軽量気泡コンクリート(ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concreteの略))製の床パネルを敷設することにより形成され、一階にあっては基礎に、二階以上の階にあっては鉄骨梁12に、それぞれ支持されている。該床スラブ10の上面には、例えば下地調整材やポリスチレンフォーム等の断熱材等からなる床下地材13が、該床スラブ10の上面全体に亘って敷設され、該床下地材13の上に、積層材であってもよいフローリング材等からなる床材14が敷設される。
天井野縁11は、上階の床スラブ10bの下方に、当該上階の床スラブ10bの下面から垂下された複数の吊木(不図示)を介して並行に等間隔に配設されており、該天井野縁11に合板や石膏ボードからなる天井材15が敷設される。
そして、上記上下一対のランナー16a,16b間に、遮音性能を有する複数のスタッド部材17がランナー16a,16bの長手方向に所定間隔を開けて立設され、各スタッド部材17間にロックウール等からなる吸音材を兼ねる断熱材18を介在させた状態で、各スタッド部材17の双方の側面から遮音シート19a,19bが隙間なく貼設され、遮音シート19a,19bの上から石膏ボード等の壁板(内装材)20a,20bが貼設され、一方の壁板20aが仕切られた一方の居室Raの側壁を、他方の壁板20bが他方の居室Rbの側壁を構成している。
第1支持体21と第2支持体22は、その段差部21a,22aが形成されていない横断面長辺側を互いに対向させ、短辺方向の中心軸(短辺に直交し短辺同士を結ぶ線分に直交し、長辺の長手方向中心を通る軸)を互いに同一軸線上に配した状態で突き合わされ、その対向する長辺側の面の間に、遮音層23を密着させて介在させた構成とされている。そして、第1支持体21の段差部21aが形成された長辺側の面には、遮音シート19aを介して居室Ra側の壁板20aがビス止め等によって貼設され、第2支持体22の段差部22aが形成された長辺側の面には、遮音シート19bを介して居室Rb側の壁板20bがビス止め等によって貼設されている。
ここで、遮音層23は、遮音機能を有するものであれば如何なる素材によって構成されてもよいが、本実施形態においては、弾性樹脂シートにより形成され、更に詳細には、ブチル系ゴムシートもしくはオレフィン系ゴムシートから構成されている。
また、上記第1実施形態に係る遮音内装構造では、各スタッド部材17は、一対の支持体21,22間に弾性樹脂シート等からなる遮音層23を介在させてなるので、スタッド部材や内装材を介して生じるサウンドブリッジによる音の伝播が効果的に防止できる。すなわち、図1(a)〜(b)や図2に示される従来の遮音内装構造では、スタッドや内装材を介して生じるサウンドブリッジによる音の伝播の問題があったが、本実施形態では、何れか一方の壁板20a,20bに入力され該壁板20a,20bを支持する例えば第1支持体21に伝わった振動は、遮音層23により大きく減じされ、第2支持体22を経て他方の壁板20a,20bに到達する振動は大きく減衰され、これによって、何れか一方の壁板20a,20bから他方の壁板20a,20bに向けての音の伝達は大幅に抑制されるのである。
なお、上記スタッド部材17は、施工性、取り扱い性等の便宜上、段差部21a,22aを有する第1支持体21、第2支持体22から構成したが、断面が一般的な筺状の部材であってもよく、スタッド部材17の断面形状によって、サウンドブリッジの防止効果が変わるものではない。
図7〜9は、本発明の第2実施形態に係る遮音内装構造を示すもので、天井野縁を介して生じうるサウンドブリッジを抑制して、第1実施形態に係る遮音内装構造を更に改善したものであり、第1実施形態と構成を同一にする部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図7は図4と類似の図面で、図中、30は天井野縁である。第1実施形態では、天井野縁11は間仕切り壁となる部分も途切れることなく延設されているが、本実施形態では、天井野縁30は、間仕切り壁となる部分において分断され、分断された部分に該部分を補強すると共に分断部材間の振動伝達を抑制するジョイント部材31が取り付けられている。
また、本願発明の有効性を確認すべく、本願発明者は、以下に示す実施例と比較例とを用いて実験を行った。
住宅内において、床下地材とこれに対向する天井野縁を設置し、該天井野縁と直交して間仕切り壁が施工されるように、断面コの字型ランナーを床下地材とこれに対向する天井野縁にそれぞれ固定し、上下一対の断面コの字型ランナー間にスタッド部材を立設する。スタッド部材は、本発明の第1実施形態に開示した一対の支持体間に遮音層を介在させてなる構成のもので、これを複数本製作し、上下一対のランナー間に等間隔に挿入した。ついで、隣り合うスタッド部材間に断熱材を挿入した後、スタッド部材両側表面にそれぞれ遮音シートを隙間なく貼り付け、その上から内装材(壁板)を貼り付けて、間仕切り壁を構築し、最後に、床材(床仕上げ材)と、天井材を敷設し、遮音内装構造を完成させた。なお、本実施例では、天井野縁は間仕切り壁の上部では分断せずに、隣接する居室の天井下地も兼ねるように連続している。
図10(a)に示すように、この実施例において用いたスタッド部材は、壁厚方向の厚さ48mm、幅60mmの軽鉄製の支持体を一対組み合わせ、その間に1mm厚のブチルゴムシートを介在させた構成のものであり、455mm間隔で設置した。また内装材は厚さ12.5mmの石膏ボードである。
実施例1と同様に、住宅内において、床下地材とこれに対向する天井野縁を設置し、該天井野縁と直交して間仕切り壁が施工されるように、断面コの字型ランナーを床下地材とこれに対向する天井野縁にそれぞれ固定し、上下一対の断面コの字型ランナー間にスタッド部材を立設した。ここでは、スタッド部材として、図1又は2に示す単一の筒体からなる通常のスタッド部材を複数用意し、これらを上下一対のランナー間に等間隔に挿入した。ついで、隣り合うスタッド部材間に断熱材を挿入した後、スタッド両側表面にそれぞれ遮音シートを隙間なく貼り付け、その上から内装材(壁板)を貼り付けて、間仕切り壁を構築し、最後に、床材(床仕上げ材)と、天井材を敷設し、間仕切り壁を完成させた。この例においても、天井野縁は間仕切り壁の上部で分断されずに、隣接する居室の天井下地も兼ねるように連続している。
図10(b)に示すように、この比較例1において使用したスタッド材は、壁厚方向の厚さ97mm、幅60mmの軽鉄製の単一の筒体からなるものであり、455mm間隔で設置した。また内装材は厚さ12.5mmの石膏ボードである。
実施例1及び比較例1の間仕切り壁について、図11に示すように、試験体tである間仕切り壁を間に介在させてそれぞれ8畳程度の広さの同一形状の音源室a及び受音室bを設け、音源室aに音源sを設置し、受音室bと音源室aに複数の測定点mを設置した。測定点mは、部屋境界、拡散体(板状材料など)から0.5m以上離れ、音源sから1m以上離れ、かつ互いに0.7m以上離れた位置に均等に分布させた。ついで、音源sからオクターブバンドノイズを発生させ、JIS A 1417「建築物の空気音遮断性能の測定方法」に準拠した方法で、様々な周波数帯域のノイズに対して音源室a内と受音室b内との室間音圧レベル差Dを測定した。
ここで、室間音圧レベル差Dは、音源室a内、受音室b内のそれぞれにおいて測定される室内平均音圧レベル(対象とする室内における空間的及び時間的な平均2乗音圧を基準音圧の2乗で除した値の常用対数を10倍した値、dB)の差で、次の式で表される。
D = L1 − L2
ここで、L1:音源室a内における室内平均音圧レベル(dB)
L2:受音室b内における室内平均音圧レベル(dB)
本実施例においては、天井野縁を本発明の第2実施形態に係るものと同じ構成にした。すなわち、天井野縁を分断し、分断した部分を補強する形で、表面に制振用のゴムシートを貼り付けたジョイント部材を野縁形成部材間に挿入した。ついで、この天井野縁とこれに対向する床下地材とに断面コの字型ランナーをそれぞれ固定し、該上下一対の断面コの字型ランナー間に、通常の単一の筒体からなるスタッド部材を立設し、隣り合うスタッド部材間に断熱材を挿入した後、スタッド部材両側表面にそれぞれ遮音シートを隙間なく貼り付け、その上から内装材(壁板)を貼り付けて、間仕切り壁を構築し、最後に、床材(床仕上げ材)と、天井材を敷設し、遮音内装構造を完成させた。
実施例2において、天井野縁として、間仕切り壁の上部で分断されないで隣接する居室の天井下地も兼ねる連続した野縁を使用して比較例2に係る遮音内装構造を構築した。
実施例1及び比較例1の比較試験の場合と同様の計測試験を実施して、実施例2及び比較例2の各遮音内装構造の遮音性能を評価した。
計測結果を図13に示す。図中、Bは実施例1の間仕切り壁についての測定結果をプロットしたグラフ、Xは比較例の間仕切り壁についての測定結果をプロットしたグラフである。これらグラフを比較すると明らかなように、実施例2の間仕切り壁では、比較例2の間仕切り壁よりも1000〜4000Hzの周波数帯域において遮音量が大幅に増加しており、特に高音域においては10dBもの効果を発揮していることが分かる。従って、遮音機能を備えた天井野縁の使用が遮音性能の向上に非常に効果的であることが確認される。
2 床下地
3 ランナー
4 スタッド
5 吸音材
6 遮音シート
7 内装材
8 フローリング材
9 切り溝
10a,10b 床スラブ
11 天井野縁
12 鉄骨梁
13 床下地材
14 床材
15 天井材
16a,16b ランナー
17 スタッド部材
18 断熱材(吸音材)
19a,19b 遮音シート
20a,20b 壁板(内装材)
21 第1支持体
22 第2支持体
21a,22b 段差部
23 遮音層
30 天井野縁
31 ジョイント部材
32 野縁形成部材
33 芯材
34 遮音層
35 突起部
Ra,Rb 居室
t 試験体
a 音源室
b 受音室
s 音源
m 測定点
Claims (2)
- 天井から床に亘って立設されて建物の居室を区画する間仕切り壁を備え、
該間仕切り壁は、区画される一方の居室の側壁を形成する一方の壁板と、区画される他方の居室の側壁を形成する他方の壁板と、これら一対の壁板間に介在して当該一対の壁板間の連結支持強度を確保すると共に当該一対の壁板間の振動伝達を抑制するスタッド部材と、上下一対の断面コの字型ランナーとを備え、
該スタッド部材は、前記一方の壁板を支持する第1支持体と、前記他方の壁板を支持する第2支持体と、これら一対の支持体の間に介在する遮音層とを備えており、
第1支持体と第2支持体は、前記遮音層を介して互いに対向させた状態で突き合わされており、
前記スタッド部材は前記ランナー間に挿入されており、前記壁板はスタッド部材の上から貼り付けられている
ことを特徴とする遮音内装構造。 - 前記遮音層は、各支持体の対向面を覆う弾性樹脂シートにより形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の遮音内装構造。
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