JP7273262B2 - リチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質及びその製造方法並びに該被覆正極活物質の評価方法 - Google Patents
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Description
1.1 構造及び特徴
本発明の実施形態のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質は、リチウム、ニッケル、マンガン、及びコバルトを含む一次粒子が凝集した二次粒子から主に構成されるリチウム金属複合酸化物粒子と、このリチウム金属複合酸化物粒子の表面に形成された、電子導電性粒子を含むイオン伝導性ポリマーの被覆層とからなる。本発明の実施形態のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質は、該二次粒子の内部が空隙率20~50%の中空構造になっている。すなわち、図1の模式的な断面図に示すように、本発明の実施形態のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質10は、二次粒子からなるリチウム金属複合酸化物粒子が好適には略球状又は略楕円体状の外殻部1で構成されており、その内側は空隙率20~50%の中空部2になっている。そして、この二次粒子から主に構成されるリチウム金属複合酸化物粒子1の外表面に、電子導電性粒子を含むイオン伝導性ポリマーからなる平均厚さ0.005~0.1μmの被覆層3が形成されている。なお、図1に模式的に示すように上記の外殻部1に中空部2より小さな1又は複数個の空隙部が存在してもよい。
[組成]
本発明の実施形態の被覆正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物粒子は、一般式:Lia(Ni1-w-xMnwCox)1-yMyO2で表される組成を有しているのが好ましい。ここで、式中のMは、Mg、Al、Ti、Fe、Cu、Si、Zn、及びMoの中から選択される1種以上であり、a、w、x、及びyはそれぞれ0.98≦a≦1.20、0.01≦w≦0.50、0.01≦x≦0.50、及び0≦y≦0.10である。
本発明の実施形態の被覆正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物粒子は、殆どが複数の一次粒子が凝集した二次粒子の形態を有しているが、部分的に二次粒子として凝集しない状態の一次粒子が含まれていてもよい。上記の二次粒子を構成する一次粒子及び単独で存在する一次粒子の形状については特に限定はなく、球状、板状、針状、直方体状、楕円状、菱面体状など様々な形状をとり得る。また、複数の一次粒子の凝集形態についても特に限定はなく、ランダムな方向に凝集する形態や、空隙部を除いて中心部から放射状に凝集して略球体形状や楕円体形状の二次粒子を形成する形態などをとり得る。
本発明の実施形態の被覆正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物粒子は、体積平均粒径(MV)が3~20μmであるのが好ましく、3~15μmであるのがより好ましく、4~12μmであるのが最も好ましい。このようにリチウム金属複合酸化物粒子の体積平均粒径が3~20μmの範囲内であれば、これを材料に用いて作製した正極活物質を正極として組み込んだ二次電池において、容積当りの電池容量を大きくすることができると共に安全性が高くなり、サイクル特性が良好になる。
本発明の実施形態の被覆正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物粒子の比表面積については特に限定はないが、1.0~7.0m2/gの範囲内であるのが好ましく、2.0~3.0m2/gの範囲内であるのがより好ましい。この比表面積が1.0~7.0m2/gであれば、電解液と接触可能な粒子接触面を十分に確保することができる。この比表面積が1.0m2/g未満では粒子接触面が少なくなり過ぎ、十分な充放電容量が得られないことがある。逆にこの比表面積が7.0m2/gを超えると、粒子接触面が過多になって表面活性が高くなり過ぎるおそれがある。なお、上記の比表面積の測定方法には特に限定はなく、例えばBET多点法やBET1点法による窒素ガス吸着・脱離法などにより求めることができる。
本発明の実施形態の被覆正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物粒子は、余剰リチウムである水酸化リチウム含有量が1.5質量%以下であるのが好ましく、1.0質量%以下であるのがより好ましい。この水酸化リチウム含有量が1.5質量%を超えると、後述するようにリチウム金属複合酸化物粒子を電子導電性粒子を含むイオン伝導性ポリマーの被覆層で被覆して正極活物質を作製した後、これを正極合材ペーストとして混練する際にゲル化が発生し易くなる。また、該正極活物質が高温環境下で充電される場合、水酸化リチウムが酸化分解し、ガスが発生し易くなる。
本発明の実施形態の被覆正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物粒子は、水分が0.10質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以下であるのがより好ましい。水分が0.10質量%を超えるリチウム金属複合酸化物に対して電子導電性粒子を含むイオン伝導性ポリマーの被覆層で被覆して正極活物質を作製し、これを用いてリチウムイオン二次電池に組み込むと、被覆層と共に水分が電解液に溶解して電解質のヘキサフルオロリン酸リチウム(六フッ化リン酸リチウム:LiPF6)と反応することでフッ酸が生成し、正極を構成する金属元素にダメージを与える恐れがある。なお、上記の水分の測定方法には、乾燥重量法(乾燥減量法とも呼ばれる)、カールフィッシャー滴定法、蒸留法などを用いることができるが、分析用に採取できる試料量が多い場合には、共存元素の影響などを受けない乾燥重量法を用いるのが好ましい。
上記した本発明の実施形態の被覆正極活物質を構成するリチウム金属複合酸化物粒子の表面に形成される被覆層は、電子導電性粒子がほぼ均一に分散した平均厚さ0.005~0.1μmのイオン伝導性ポリマーからなる。この被覆層の平均厚さは、0.01~0.08μmの範囲内であるのが好ましい。この被覆層の平均厚さが0.1μmよりも厚くなると、被覆正極活物質を正極合材ペーストとして混練する際、該ペースト中の増粘作用を持つ被覆層の溶解量が多くなり過ぎて、該ペーストの粘度が上昇し、その影響でゲル化が誘発され易くなる。逆に、この平均厚さが0.005μmよりも薄くなると、被覆正極活物質を大気雰囲気下で取り扱う際に該大気雰囲気中の水分や炭酸ガスなどによる悪影響を抑制する効果が不十分となる。なお、上記の被覆層はイオン伝導度(20℃)が10-9~10-3S/cmであることが好ましく、電子伝導度(20℃)が10-8~10-1S/cmであることが好ましい。このイオン伝導度は、イオン伝導性かつ非電子伝導性を有するセパレータで被覆層の両側を固定することでイオンのみが通過する構造とした後、両側のセパレータに電極を設置して抵抗値(セパレータのみの抵抗値を空試験値とする)を測定することで求めることができる。一方、電子伝導度は、非イオン伝導性かつ電子伝導性を有するセパレータを用い、電子のみが通過する構造とする以外は、上記と同様の操作を行うことで求めることができる。
上記の被覆層に用いられるイオン伝導性ポリマーの種類には特に限定はないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、これらの誘導体又は塩の中から選択される1種以上であることが好ましい。これらの高分子ポリマーは、イオン伝導性が良好であることに加えて、水、正極合材ペーストの原料として用いる有機溶媒、及びリチウムイオン二次電池に含まれる電解液に易溶であり、更には水分や炭酸ガスを吸収し難いという特徴を有している。従って、このイオン伝導性ポリマーを材料にして作製された被覆層で被覆された正極活物質は、耐候性に優れ且つ正極合材ペーストの混練時にゲル化が生じにくくなる。
上記のイオン伝導性ポリマーに含まれる電子導電性粒子の種類についても特に限定はないが、デンカブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラックなどの炭素粒子であることが好ましい。また、これらの炭素粒子はレーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒径(MV)が0.01~0.06μmであることが好ましい。体積平均粒径がこの範囲内であれば、炭素粒子を上記のイオン伝導性ポリマーの溶解液に添加して粒子被覆用スラリーを調製する際の分散性が良好となる。
上記の被覆層の「平均厚さ」は、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)による断画画像解析により求めることができ、測定に用いる粒子の数は20個以上であることが好ましい。例えば図3には上記被覆正極活物質の被覆層を部分的に撮像した断面TEM画像の一例が示されている。なお、本発明の実施形態の被覆正極活物質では、リチウム金属複合酸化物粒子の表面全体が上記の被覆層で被覆される(すなわち被覆率100%)のが好ましいが、被覆層の厚さが0.005μm程度に薄い場合は、被覆率が100%にならずに局所的に被覆層が存在しない場合が生じうる。このように局所的に被覆層が存在しないで粒子表面が部分的に露出する場合が生じていても、その面積が被覆層で覆われている面積に比べて狭く、本発明の目的から判断して粒子表面が全面的に被覆されている場合と実質的に同じであると考えられる場合も本発明の範囲内に含まれるものとする。上記の被覆率は、後述する流動層微粒子コーティング法を行う際の条件を変えることで0~100%の範囲内で調整することが可能である。この場合の被覆率は、透過型電子顕微鏡やX線光電子分光法(XPS)などにより求めることができ、測定に用いる粒子の数は20個以上であることが好ましい。次に本発明に係る被覆正極活物質の製造方法の実施形態について説明する。
2.1 金属複合水酸化物の製造工程
[晶析工程]
金属複合水酸化物は、正極活物質の2つの主原料のうちの一方であり、その作製では先ず原料溶液として、ニッケル化合物、マンガン化合物、及びコバルト化合物のそれぞれ水溶液と、必要に応じて添加されるMg、Al等の添加元素Mの金属化合物の水溶液とを用意する。これら化合物は、硫酸塩や水和物であるのが好ましい。これら水溶液を混合してニッケル・マンガン・コバルト混合水溶液を作製する。更にpH調整用の水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液と、アンモニウムイオン濃度(NH4 +)調整用のアンモニア水とを準備する。
次に濾過・洗浄工程において、上記晶析工程で生成した金属複合水酸化物の二次粒子を含むスラリーを濾過等により固液分離し、得られた固形分の金属複合水酸化物の二次粒子の湿潤ケーキを、水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ溶液を用いてアルカリ洗浄することで、該金属複合水酸化物の二次粒子に含まれうる硫酸イオン(SO4 2-)や塩素イオン(Cl-)などの不純物を除去し、更にイオン交換水などの不純物が制御された純水でリンス洗浄してナトリウムイオン(Na+)などのアルカリ洗浄に用いた洗浄液の残余分を除去する。次に、その洗浄処理済の金属複合水酸化物を乾燥機に入れて100~150℃の温度範囲内で乾燥させ、金属複合水酸化物の乾燥粉末を得る。
[リチウム化合物の粉砕工程]
次に、正極活物質の2つの主原料のうちのもう一方であるリチウム源となるリチウム化合物を用意する。このリチウム化合物は粉砕工程で粉砕処理することで、吸湿などによる表面劣化が殆ど生じていない新生面を多く持つ微粉末の形態にする。このように、リチウム化合物を微粉末の形態にすることによって金属複合水酸化物に対する接触面や反応性が増大するうえ、後述する混合・焼成工程を経て作製したリチウム金属複合酸化物からなる正極活物質は、二次電池に組み込まれた際に低温出力特性が良好になる。
混合工程では、上記の微粉末リチウム化合物を上記の金属複合水酸化物の乾燥粉末に混合する。これら粉末の混合の際、金属複合水酸化物中のニッケル、マンガン、コバルトの原子数の和Meに対するリチウム化合物のリチウムの原子数Liの比(すなわちLi/Me)が1.00~1.20の範囲内となるように微粉末リチウム化合物と金属複合水酸化物の乾燥粉末との配合比率を調製する。この比が1.00より小さい場合はリチウムサイトである3aサイトにリチウム原子が取り込まれにくくなるため、最終的に作製されるリチウム金属複合酸化物を正極活物質として電池に組み込んだ際に目標とする電池特性が得られなくなるおそれがある。逆に、上記比が1.20より大きいと焼結が促進されやすくなり、粒径や結晶子径が大きくなり過ぎてサイクル特性の悪化を招くおそれがある。
上記の焼成工程で得たリチウム金属複合酸化物粉末は、二次粒子同士の凝集や軽度の焼結が生じている場合がある。従って焼成工程後は解凝・解砕工程で処理することによって、リチウム金属複合酸化物のこれら凝集体や焼結体を、解凝及び/又は解砕することが好ましい。これにより、リチウム金属複合酸化物粒子の粒径及び粒度分布を、正極活物質として好適な範囲内に調整することができる。なお、上記の凝集体や焼結体の解凝・解砕方法には、ピンミルやハンマーミルなどの公知の解凝・解砕手段を用いることができる。なお、上記の解凝・解砕の際、二次粒子を破壊しない程度に解凝・解砕力を適切に調整することが好ましく、これは例えば先述したレーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置を用いて、粒径及び粒度分布を確認しながら、解凝・解砕装置の回転数を制御することにより可能になる。
[イオン伝導性ポリマー溶解液]
上記の解凝・解砕工程で解凝・解砕処理することで得たリチウム金属複合酸化粉末は、次に被覆工程において粒子被覆用スラリーによって被覆処理が施される。この粒子被覆用スラリーは、イオン伝導性ポリマー溶解液と電子導電性粒子とから構成される。前者のイオン伝導性ポリマー溶解液は、被覆層形成用原料であるイオン伝導性ポリマーを有機溶媒に溶解したものである。このイオン伝導性ポリマー溶解液において、イオン伝導性ポリマーの濃度は0.5~30質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。この濃度を0.5~30質量%にすることで、被覆層厚を精度よく調整することができる。
上記のイオン伝導性ポリマー溶解液に電子導電性粒子を添加して均一に分散させることで粒子被覆用スラリーを作製することができる。電子導電性粒子の分散方法には特に限定はなく、例えばホモジナイザーなどの超音波発生装置を用いて超音波分散することが好ましい。この電子導電性粒子は、先述したように、デンカブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラックなどの炭素粒子であることが好ましい。これらの炭素粒子は、体積平均粒径(MV)が0.01~0.06μmであることが好ましい。また、イオン伝導性ポリマー100質量部に対して電子導電性粒子が1~50質量部含まれていることが好ましく、5~30質量部含まれていることがより好ましい。この含有量が1質量部未満の場合は十分な電子導電性が得られにくくなり、逆に50質量部を超える場合は粒子被覆用スラリーを作製する際の分散性が悪化するおそれがある。
被覆処理には、前述したように流動層微粒子コーティング法を用いることが好ましい。流動層微粒子コーティング法では、所定の溶媒に被覆物質を溶解し、更にその溶解液に微粒子を分散させたスラリーとし、ターゲット粒子に噴霧すると共に温風内を通過させることで、乾燥と同時にターゲット粒子に微粒子を含んだ被覆層を形成することができる。この流動層微粒子コーティング法ではマルチフロー方式のスプレーノズルを用いることが好ましい。これにより、ターゲット粒子への溶液噴霧及び乾燥を繰り返すことで、数nmレベルの薄層を被覆する場合でも、均一な層厚を保つことが可能になる。なお、所定の溶媒に微粒子を分散させた状態とし、それをターゲット粒子に噴霧すると共に温風を通過させて溶媒を乾燥揮発することによって、微粒子のみをターゲット粒子に被覆することもできる。
上記した本発明の実施形態のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質は、正極、負極、セパレータ、及び非水系電解液から構成される一般的なリチウムイオン二次電池を作製する場合と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製することができる。以下かかるリチウムイオン二次電池の各構成要素について説明する。
正極の作製では、上記のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質と、導電材と、結着剤とを混合して正極合材とし、更に電気二重層の容量を増加させるために必要に応じて活性炭を添加した後、粘度調整などを目的とする有機溶媒を添加して更に混練することで正極合材ペーストを作製する。本発明の実施形態の被覆正極活物質を正極に用いる場合においても、一般的なリチウム二次電池の正極と同様に、正極合材を構成する各材料の混合比はリチウムイオン二次電池の性能を決定する重要な要素となる。正極合材中の各材料の混合比は、例えば、有機溶媒を除いた正極合材の固形分における全質量100質量%に対し、正極活物質を60~95質量%、導電材を1~20質量%、結着剤(バインダー)を1~20質量%それぞれ含有するように配合することが好ましい。
上記の正極に対向する負極には、リチウムイオンを吸蔵・脱離可能な負極活物質に結着剤を混合して得た負極合材に適切な有機溶媒を加えてペースト状にし、これを銅などの金属箔集電体の表面に塗布して乾燥させた後、電極密度を高めるべく必要に応じてロールプレスなどにより加圧形成することで作製することができる。上記の負極活物質には、金属リチウムやリチウム合金のほか、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂などの有機化合物焼成体や、コークスなどの炭素物質の粉状体を用いることができる。また、上記の負極の結着剤には、正極と同様にポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの含フッ素樹脂が用いられ、これら負極活物質及び結着剤を分散させる上記有機溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などを用いることができる。
上記の正極と負極との間に介在するセパレータは、これら正極と負極とを分離して電解質を保持する役割を担うものであり、その材質にはポリエチレンやポリプロピレンなどからなる薄膜であって、かつ無数の微細孔を有するものが好適に用いられる。
非水系電解液には、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものが好適に用いられる。この有機溶媒には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、及びトリフルオロプロピレンカーボネート(TFPC)などの環状カーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、及びジメトキシエタン(DME)などのエーテル化合物のほか、エチルメチルスルホン、及びブタンスルトンなどの硫黄化合物、リン酸トリエチル、及びリン酸トリオクチルなどのリン化合物からなる群から選んだ1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
上記にて説明した正極、負極、セパレータ、及び非水系電解液を密閉した電池ケース内に収容することで円筒型、積層型など種々の形状のリチウムイオン二次電池を作製することができる。いずれの形状を取る場合であっても、セパレータを介して正極及び負極が対向した積層構造の電極体に非水系電解液が含浸した基本構造を有している。正極側の集電体と外部に通ずる正極端子との間、及び負極側の集電体と外部に通ずる負極端子との間は、それぞれ集電用リードなどによって電気的に接続されている。次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
下記に示すように、金属複合水酸化物の晶析工程及び洗浄工程、リチウム化合物の粉砕工程、リチウム金属混合物の混合工程及び仮焼・焼成工程、並びに解凝・解砕工程によりリチウム金属複合酸化物を作製し、これを組成等の点から評価した後、該リチウム金属複合酸化物から被覆正極活物質を経てリチウムイオン二次電池を作製し、その初期放電容量を評価した。
[金属複合水酸化物の晶析工程]
先ず、硫酸ニッケル六水和物、硫酸マンガン一水和物、硫酸コバルト七水和物を、ニッケル、マンガン、コバルトのモル比が、Ni:Mn:Co=35:30:35となるように秤量し、ニッケル、マンガン、及びコバルトの濃度が合計2mol/Lとなるように水に溶解して原料溶液を調製した。一方、オーバーフローまでの容量6Lの反応槽に水を900ml入れ、ウォーターバスを用いてその液温を40℃まで加温すると共に、反応槽内の気相部を酸素濃度21容量%の大気雰囲気にした。
上記晶析工程で得た金属複合水酸化物を、スラリー濃度が100g/Lとなるようにイオン交換水を加えて再スラリー化し、更に水酸化ナトリウム溶液を添加して30分間撹拌することで金属複合水酸化物のアルカリ洗浄を行った。このアルカリ洗浄後は金属複合水酸化物のスラリーを吸引濾過機で固液分離し、得られた金属複合水酸化物の湿潤ケーキを純水でリンス洗浄してから濾過により固液分離を行った。得られた洗浄済の湿潤ケーキを大気乾燥機を用いて120℃で24時間かけて乾燥し、金属複合水酸化物の乾燥粉末を得た。
リチウム金属複合酸化物のリチウム源となるリチウム化合物をジェットミル(株式会社セイシン企業製)に投入し、最大粒径が10.0μm以下、かつ体積平均粒径が5.0μm以下の微粉末になるまで粉砕処理を行った。なお、微粉末リチウム化合物の粒度分布の測定には、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置であるマイクロトラックMT3300EX-II(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いた。
上記の金属複合水酸化物のニッケル、マンガン、及びコバルトの合計原子数Meに対する微粉末リチウム化合物のリチウム原子数Liの比であるLi/Meが1.01となるようそれぞれ秤量して混合することでリチウム金属混合物を得た。なお、この混合にはシェーカミキサ装置であるTURBULA-TypeT2C(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いた。
上記の混合工程で得たリチウム金属混合物を、760℃の大気気流中において4時間かけて仮焼した後、引き続き900℃の大気気流中において10時間かけて焼成した。焼成後は、室温まで冷却することにより、リチウム金属複合酸化物の粒子を得た。
上記した仮焼・焼成工程で得た冷却後のリチウム金属複合酸化物の粒子には、二次粒子同士が凝集したり軽度に焼結したりすることで生じる凝集物や焼結物が含まれている場合があるため、ジェットミル(株式会社セイシン企業製)による解凝・解砕処理を行った。上記にて得たリチウム金属複合酸化物粒子の組成、空隙率、体積平均粒径、比表面積、水酸化リチウム含有率及び炭酸リチウム含有率、並びに水分をそれぞれ以下の方法により評価した。
上記にて得たリチウム金属複合酸化物粒子をサンプリングして無機酸で加熱分解処理することによって分析検体液とし、この分析検体液をマルチ型ICP発光分光分析装置であるICPE-9000(株式会社島津製作所製)を用いて測定することでリチウム金属複合酸化物の組成を求めた。
上記にて得たリチウム金属複合酸化物粒子をサンプリングして樹脂に埋め、これを断面試料の作製装置であるクロスセクションポリッシャIB-19530CP(日本電子株式会社製)を用いて切断した。その切断面の撮像には、ショットキー電界放出型の走査型電子顕微鏡SEM-EDSであるJSM-7001F(日本電子株式会社製)を用い、得られた画像に対して三谷商事株式会社製の画像解析・計測ソフトウェア(WinRoof6.1.1)により、粒子断面の空隙部を黒領域として測定し、粒子の緻密部を白領域として測定し、任意の20個の粒子の各々に対して「黒領域の面積/(黒領域の面積+白領域の面積)×100」を計算し、それらを算術平均することで空隙率を求めた。
体積平均粒径(MV)は、リチウム金属複合酸化物粒子に対してレーザー回折・散乱法により測定した体積基準分布から求めた。なお、測定装置には、レーザー回折・散乱方式であって、かつ超音波発生器内臓型の粒度分布測定装置であるマイクロトラックMT3300EX-II(マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いた。
比表面積は、リチウム金属複合酸化物粒子に対してBET1点法による窒素ガス吸着・脱離法で分析した。なお、測定装置にはガス流動方式の比表面積測定装置であるマックソーブ1200シリーズ(株式会社マウンテック製)を用いた。
リチウム金属複合酸化物粒子の水酸化リチウム含有率及び炭酸リチウム含有率は、中和滴定法(R.B.Warder法による逐次滴定)で分析した。なお、分析装置には、自動滴定装置COM-1750(平沼産業株式会社製)を用い、pH複合電極による終点(電位差)判定を行った。
リチウム金属複合酸化物粒子の水分は乾燥重量法により分析した。詳しくは、磁性平皿にリチウム金属複合酸化物粒子50gを精秤し、これを50℃に設定した定温乾燥機で48時間かけて恒量になるまで乾燥した後、この乾燥前後におけるリチウム金属複合酸化物粒子の重量差から水分を求めた。なお、風袋及び分析試料の重量測定には、分析用電子天秤GR-202(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いた。
上記にて作製したリチウム金属複合酸化物粒子に電子導電性粒子を含んだイオン伝導性ポリマーを被覆することで、リチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質を作製した。具体的には、先ずリチウム金属複合酸化物粒子に塗布するための粒子被覆用スラリーの原料となるイオン伝導性ポリマー溶解液用のイオン伝導性ポリマーとして、ポリエチレングリコール20000(和光純薬工業株式会社製)を用意し、その100質量部を含水率10ppm以下の超脱水クロロホルム(和光純薬工業株式会社製)900質量部で溶解することでイオン伝導性ポリマー溶解液を調製した。
上記の被覆正極活物質を集光イオンビーム(FIB)法で前処理した後、分析試料の粒子の断面を透過型電子顕微鏡によって撮像することで表面被覆層平均厚さを測定した。なお、上記前処理には株式会社日立ハイテクノロジーズ製の集光イオンビーム加工装置(FB-2000A)を用い、断面の撮像には日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡(JEM-ARM200F)を用いた。被覆層の「平均厚さ」は、得られた断面画像に対して三谷商事株式会社製の画像解析・計測ソフトウェア(WinRoof6.1.1)により任意に選択した20個の測定対象粒子の各々において粒子断面の略中心で直交する2本の直線が被覆層と交差する4箇所の被覆層の厚さを測定し、得られた4箇所の被覆層の厚さを平均して測定対象粒子1個の被覆層の厚さを求めた後、得られた上記20個の測定対象粒子の被覆層の厚さを算術平均することで求めた。
上記のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質20gに対して、導電材としてアセチレンブラックが2.2g、株式会社クレハ製の12質量%ポリフッ化ビニリデンNMP溶液(型番KFポリマー#1120)が2.2g、N-メチル-2-ピロリドン(関東化学株式会社製)が9.6mlとなるように秤量し、それらを容器に入れ、ニーダ混合機である株式会社日本精機製作所製のノンバブリングニーダ(型番NBK-1)を用いて2000rpmの回転速度で10分間かけて混合した。得られたペーストをガラス瓶に移して密栓した後、温度25℃、露点-40℃のドライボックス中に保管して24時間放置した。この24時間放置した後のペーストの流動性を、ほぼ満杯状態の該ガラス瓶を傾けてシャーレに移す際の流れ具合によって評価し、該ガラス瓶を鉛直方向に対して30°程度傾けただけで24時間放置前と同様にペーストが良好に流れ出たものを「○」、上記の「○」の場合よりもペーストが流れ出にくく、該ガラス瓶を鉛直方向に対して45°程度傾けたときにペーストが流れ出たものを「△」、上記の「△」の場合よりも更にペーストが流れ出にくく、ゲル化によって固形化したものがペーストに含まれていたものを「×」と評価した。
上記の90日間の大気中保管後のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質24.5g、アセチレンブラック7.0g、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3.5gをそれぞれ量り取り、それらをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)10gと共に自転・公転ミキサーに投入して30分間混練することで、正極合材ペーストを調製した。得られた正極合材ペーストを、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、真空乾燥機中において雰囲気温度120℃で12時間かけて乾燥処理した。乾燥処理後、100MPaの圧力で直径11mm、厚み100μmにプレス成形し、更に、正極膜の大きさに打ち抜き、正極を作製した。なお、上記の塗布の際の厚みを微調整することによって、打ち抜き後に所望の重量(固形分が約150mg)を確保した。更に負極としてリチウム金属を用意し、電解液として1mol/LのLiClO4を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液(富山薬品工業株式会社製)を用意した。これらを用いて露点-80℃に管理されたアルゴンガス雰囲気のグローブボックス中で2032型の評価用コイン電池を作製した。
金属複合水酸化物の作製に際して大気雰囲気下での1回目の晶析反応を0.1時間に代えて0.2時間とし、被覆正極活物質の作製に際して粒子被覆用スラリーの噴霧時間を125分に代えて25分にした以外は上記実施例1と同様にしてリチウム金属複合酸化物及び被覆正極活物質を経てリチウム二次電池を作製し、それぞれ同様に評価した。
金属複合水酸化物の作製に際して大気雰囲気下での1回目の晶析反応を0.1時間に代えて0.3時間とし、被覆正極活物質の作製に際して粒子被覆用スラリーの噴霧時間を125分に代えて90分にした以外は上記実施例1と同様にしてリチウム金属複合酸化物及び被覆正極活物質を経てリチウム二次電池を作製し、それぞれ同様に評価した。
金属複合水酸化物の作製に際して大気雰囲気下での1回目の晶析反応を0.1時間に代えて0.4時間とし、被覆正極活物質の作製に際して粒子被覆用スラリーの噴霧時間を125分に代えて10分にした以外は上記実施例1と同様にしてリチウム金属複合酸化物及び被覆正極活物質を経てリチウム二次電池を作製し、それぞれ同様に評価した。
金属複合水酸化物の作製に際して大気雰囲気下での1回目の晶析反応を0.1時間に代えて0.5時間とし、被覆正極活物質の作製に際して粒子被覆用スラリーの噴霧時間を125分に代えて10分にした以外は上記実施例1と同様にしてリチウム金属複合酸化物及び被覆正極活物質を経てリチウム二次電池を作製し、それぞれ同様に評価した。
被覆処理を行わなかったこと以外は上記実施例1と同様にしてリチウム金属複合酸化物及びリチウム二次電池を作製し、それぞれ同様に評価した。
金属複合水酸化物の作製に際して大気雰囲気下での1回目の晶析反応を0.1時間に代えて0.3時間とし、被覆正極活物質の作製に際して粒子被覆用スラリーの噴霧時間を125分に代えて5分にした以外は上記実施例1と同様にしてリチウム金属複合酸化物及び被覆正極活物質を経てリチウム二次電池を作製し、それぞれ同様に評価した。
金属複合水酸化物の作製に際して大気雰囲気下での1回目の晶析反応を0.1時間に代えて0.3時間とし、被覆正極活物質の作製に際して粒子被覆用スラリーの噴霧時間を125分に代えて270分にした以外は上記実施例1と同様にしてリチウム金属複合酸化物及び被覆正極活物質を経てリチウム二次電池を作製し、それぞれ同様に評価した。上記の実施例1~5及び比較例1~3の評価結果を下記表1に示す。
上記表1から分かるように、実施例1~5のリチウムイオン二次電池用被覆正極活物質は、被覆層平均厚さが全て0.005~0.1μmの範囲内にあるため、水酸化リチウム含有率及び炭酸リチウム含有率のいずれも、被覆後に90日間大気中で保管した場合であっても被覆前の状態に比べて大きな差は見らなかった。また、水分においても、被覆後に90日間大気中で保管したにもかかわらず定量分析の下限値の0.01重量%を下回る結果となった。これらのことから、リチウム金属複合酸化物に被覆層を形成することにより得られるリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質は、大気中の炭酸ガスや水分の影響を殆ど受けておらず、大気雰囲気下での長期保管が可能であることが分かった。
2 中空部
3 被覆層
10 被覆正極活物質
W 被覆層の厚み
Claims (11)
- リチウム、ニッケル、マンガン、及びコバルトを含み、空隙率20~50%の中空構造の二次粒子から主に構成され、水酸化リチウムの含有量が1.5質量%以下であるリチウム金属複合酸化物の粒子と、
前記リチウム金属複合酸化物の粒子の外表面に形成された、電子導電性粒子を含むイオン伝導性ポリマーからなる平均厚さ0.005~0.1μmの被覆層とを有し、前記イオン伝導性ポリマーが、水、正極合材ペーストに含まれる有機溶媒、及びリチウムイオン二次電池に含まれる電解液に易溶であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質。 - 前記リチウム金属複合酸化物の粒子は、その被覆前の比表面積が2.0~3.0m2/gであることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質。
- 前記リチウム金属複合酸化物は、一般式:Lia(Ni1-w-xMnwCox)1-yMyO2(0.98≦a≦1.20、0.01≦w≦0.50、0.01≦x≦0.50、0≦y≦0.10、但し、Mは、Mg、Al、Ti、Fe、Cu、Si、Zn、及びMoの中から選択される1種以上)で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質。
- 前記リチウム金属複合酸化物の粒子は、炭酸リチウムの含有量が1.5質量%以下であり、且つ水分が0.10質量%以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質。
- 前記イオン伝導性ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、これらの誘導体又は塩の中から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質。
- 前記電子導電性粒子が炭素粒子であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質。
- 前記炭素粒子は体積平均粒径が0.01~0.06μmであることを特徴とする、請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質。
- 前記被覆層100質量部に対して前記電子導電性粒子が1~50質量部含まれていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質。
- リチウム、ニッケル、マンガン、及びコバルトを含み空隙率20~50%の中空構造の二次粒子から主に構成され、水酸化リチウムの含有量が1.5質量%以下であるリチウム金属複合酸化物粒子を焼成により形成する焼成工程と、水、正極合材ペーストに含まれる有機溶媒、及びリチウムイオン二次電池に含まれる電解液に易溶なイオン伝導性ポリマーを有機溶媒に溶解して得たイオン伝導性ポリマー溶解液に電子導電性粒子を分散させることで粒子被覆用スラリーを作製する調製工程と、前記リチウム金属複合酸化物粒子を気流で流動させながら前記粒子被覆用スラリーを噴霧して液滴塗着させた後、通風乾燥することによって前記リチウム金属複合酸化物粒子の外表面に電子導電性粒子を含むイオン伝導性ポリマーからなる平均厚さ0.005~0.1μmの被覆層を形成する被覆工程とからなることを特徴とするリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質の製造方法。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の被覆正極活物質、導電材及び結着剤からなる固形分と有機溶媒とからなる正極合材ペーストであって、前記有機溶媒に対する前記固形分の質量比が1.875のときの20℃での粘度が5500mPa・s未満であることを特徴とする正極合材ペースト。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の被覆正極活物質の評価方法であって、前記被覆正極活物質、導電材及び結着剤からなる固形分の質量を有機溶媒の質量で除した値が1.875となるようにこれら固形分と有機溶媒とを配合して正極合材ペーストを調製し、該正極合材ペーストの20℃での粘度が5500mPa・s未満であるか否かに基づいて該被覆正極活物質を評価することを特徴とするリチウムイオン二次電池用の被覆正極活物質の評価方法。
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