以下に、本発明に係るステアリング装置の実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、下記の実施形態では、当該ステアリング装置を、従来と同様に、自動車に適用したものを例示して説明する。
(ステアリング装置の説明)
図1~図3は、本発明に係るステアリング装置の一実施形態を表示したものであり、図1は本発明に係るステアリング装置の外観を表示した斜視図を示し、図2は図1のA部を拡大して表示した図1の部分拡大図を示し、また、図3は図2のB-B線に沿って切断した断面図に相当する図であって、ウォームギヤ及び封止部材95を省略し、調心部材保持部122内における調心部材90の取付固定状態を示している。
図1に示すステアリング装置は、第1ピニオンギヤG1を介して操舵力が入力され、第2ピニオンギヤG2を介して前記操舵力を補助する操舵アシスト力が入力される、いわゆるデュアルピニオンタイプのステアリング装置である。具体的には、このステアリング装置は、図示外のステアリングホイールに入力された操舵力を図示外の転舵輪に伝達して操舵を行う操舵機構部SFと、この操舵機構部SF(後述するラック軸3)に対して操舵力に応じた操舵アシスト力を付与する操舵アシスト機構部AFと、を有する。なお、当該ステアリング装置は、操舵機構部SFを収容する操舵機構ハウジング11の外側部に付設されたブッシュBMを介して、図示外の車体に支持固定されている。
操舵機構部SFは、操舵軸収容部111とラック軸収容部112とが一体に形成された操舵機構ハウジング11と、操舵軸収容部111内に回転可能に収容された操舵軸2と、ラック軸収容部112内において軸線X方向に移動可能に収容されたラック軸3と、を有する。また、操舵軸収容部111には、操舵軸2に入力された操舵トルクを検出する周知のトルクセンサTSが設けられている。
操舵軸2は、軸線Yの方向に沿ってラック軸3対し斜行して設けられ、軸線Y方向の第1端部(図1中の上側の端部)が前記ステアリングホイールに連係されていて、当該ステアリングホイールの回転に伴って回転する。また、操舵軸2の軸線Y方向における前記第1端部とは反対の第2端部(図1中の下側の端部)の外周側には、第1ピニオン歯20が設けられている。
ここで、本実施形態では、操舵軸2は一体のものとして、前記ステアリングホイールとラック軸3とを直接接続する形態を例示しているが、本発明に係る操舵軸は、かかる形態に限定されるものではない。換言すれば、本発明に係る操舵軸は、前記ステアリングホイールとラック軸3を直接接続するもののほか、例えば分離可能に構成され、クラッチ等を介して前記ステアリングホイールの回転を伝達及び遮断可能に構成された、いわゆるステア・バイ・ワイヤタイプのステアリング装置に適用する操舵軸を含む。
ラック軸3は、軸線Xの方向に沿って概ね水平に配置されていて、それぞれ軸線X方向における所定の範囲に、操舵軸2の第1ピニオン歯20と噛み合う第1ラック歯31と、後述する伝達軸7の第2ピニオン歯70と噛み合う第2ラック歯32と、を有し、操舵軸2及び伝達軸7の回転に伴って軸線X方向に沿って移動する。また、このラック軸3は、軸線X方向の両端部がタイロッド(図示外)を介して、それぞれ左右の転舵輪(図示外)に連係されたナックルアーム(図示外)に接続されていて、ラック軸3の軸線X方向の移動に伴って前記ナックルアームが押し引きされることによって、前記転舵輪の向きが変更される。なお、第1ピニオン歯20と第1ラック歯31で、前記第1ピニオンギヤG1が構成されている。同様に、第2ピニオン歯70と第2ラック歯32で、前記第2ピニオンギヤG2が構成されている。
操舵アシスト機構部AFは、操舵アシスト力の生成に供する電動モータ4と、電動モータ4を駆動制御するコントロールユニット5と、電動モータ4の回転力を減速して操舵機構部SF(ラック軸3)に伝達する減速機構部RGと、を有する。ここで、本実施形態では、減速機構部RGがラック軸3に接続され、当該ラック軸3に対して操舵アシスト力を付与する形態を例示して説明するが、本発明は当該形態に限定されるものではない。換言すれば、本発明は、本実施形態のように減速機構部RGが伝達軸7を介してラック軸3に接続される前記デュアルピニオンタイプのほか、例えば減速機構部RGが操舵軸2に接続され、当該操舵軸2に対して操舵アシスト力を付与する、前記第1ピニオンギヤG1のみからなる、いわゆるシングルピニオンタイプのステアリング装置にも適用可能である。
電動モータ4は、モータハウジング40に収容された図示外のモータ要素と、前記軸線Xと概ね並行して延びる軸線Pの方向に沿って配置され、前記モータ要素の回転を出力するモータシャフト41と、を有する。モータシャフト41は、図示外の周知の軸継手を介して減速機構部RGを構成する後述のウォームシャフト61と連結されている。
コントロールユニット5は、電動モータ4のモータシャフト41と反対側に、電動モータ4と一体的に構成されている。そして、このコントロールユニット5は、トルクセンサTS等の各種センサにセンサハーネスHを介して電気的に接続され、前記各種センサから出力された操舵トルク信号をはじめとする車両運転情報に基づいて電動モータ4を駆動制御する。
減速機構部RGは、図1のほか、図2に拡大して示すように、操舵機構ハウジング11(ラック軸収容部112)の外側部に付設されたギヤハウジング12に収容される、ウォームシャフト61と、このウォームシャフト61に噛み合うウォームホイール62と、からなるウォームギヤにより構成される。また、ギヤハウジング12は、ウォームギヤを収容するウォームギヤ収容部121と、ウォームギヤ収容部121に隣接して設けられ、内部に後述する調心部材90を収容可能な調心部材収容空間が形成された調心部材保持部122と、を有する。さらに、ウォームギヤ収容部121は、電動モータ4の回転軸線である軸線Pの方向に沿って延びるように設けられ、ウォームシャフト61を収容するウォームシャフト収容部123と、このウォームシャフト収容部123に隣接して設けられ、ウォームホイール62を収容するウォームホイール収容部124と、を有する。
ウォームシャフト61は、軸線P方向に沿ってモータシャフト41と同軸状に配置されていて、当該軸線P方向の一端部である第1ウォーム端部611が前記図示外の周知の軸継手を介してモータシャフト41に接続され、他端部である第2ウォーム端部612が軸受8によって支持されている。なお、軸受8には、例えばボールベアリングが用いられる。
ウォームホイール62は、ラック軸3と連係する伝達軸7の第1端部に固定され、当該伝達軸7と一体回転可能に構成されていて、ウォームホイール62の回転が伝達軸7を介してラック軸3に伝達可能となっている。ここで、伝達軸7は、操舵軸2と同様に、ラック軸3に対し斜行して設けられていて、当該伝達軸7の前記第1端部とは反対側の第2端部の外周側には、第2ラック歯32と噛み合う第2ピニオン歯70が設けられている。すなわち、第2ラック歯32と第2ピニオン歯70とからなる第2ピニオンギヤG2により、ウォームホイール62の回転が伝達軸7を介してラック軸3に伝達され、当該ラック軸3の軸線X方向の移動に変換される。
また、減速機構部RGの前記ウォームギヤを構成するウォームシャフト61とウォームホイール62は、摩耗によって両者(両歯)の間に隙間が発生する可能性がある。そこで、前記ステアリング装置には、ウォームシャフト61をウォームホイール62側に付勢してウォームシャフト61とウォームホイール62の噛み合いを調整する調心機構部9が設けられている。
調心機構部9は、ギヤハウジング12においてウォームシャフト61の第2ウォーム端部612を包囲するように設けられた調心部材保持部122に保持される調心部材90によって構成されている。なお、この調心部材保持部122の軸線P方向の開口端部は、概ね円板状の封止部材95によって液密に閉塞されている。また、この封止部材95は、調心部材保持部122の開口端部に、圧入によって固定されている。
調心部材90は、調心部材保持部122内に収容保持され、当該調心部材90に設けられた付勢部材としての線ばね93により、ウォームホイール62側へ付勢される。また、調心部材90は、軸受8の外周側を保持するカラー部材91と、カラー部材91をウォームホイール62側へ摺動可能に収容する有底円筒状のホルダ部材92と、を有する。かかる構成により、調心部材90は、線ばね93の付勢力によりカラー部材91を介して軸受8をウォームホイール62側に付勢することで、ウォームシャフト61をウォームホイール62側に付勢する。
ここで、調心部材90は、当該調心部材90の外周を包囲するホルダ部材92の横断面(軸線Pに直交する断面)が概ね円形に形成されている一方、内側に調心部材収容空間を構成する調心部材保持部122は、筒状を呈し、横断面(軸線Pに直交する断面)が概ね円形に形成されている。すなわち、調心部材90の外周面が調心部材保持部122の内周面に当接することによって、調心部材保持部122に対する調心部材90の位置決めがなされている。
また、前記有底円筒状に形成されたホルダ部材92の開口部は、蓋部材94によって閉塞されている。また、ホルダ部材92と蓋部材94の間には、潤滑剤である図示外のグリスが充填されていて、このグリスによって、ホルダ部材92の内部においてカラー部材91が潤滑状態で摺動可能となっている。
(調心部材の説明)
図4~図21は、本発明に係るステアリング装置の調心部材の一実施形態を示している。なお、以下の説明では、便宜上、図3の軸線Pに沿う方向を「軸方向」、前記軸線Pに直交する方向を「径方向」、前記軸線P周りの方向を「周方向」として説明する。
図4は、調心部材90の分解斜視図を示している。図5は、調心部材90を、ホルダ部材92側から見た斜視図を示している。図6は、調心部材90を、蓋部材94側から見た斜視図を示している。図7は、調心部材90の側面図を示している。図8は、調心部材90を軸方向に沿って切断した断面図を示している。図9は、図7のC-C線に沿って切断した断面図を示している。図10は、図7のD-D線に沿って切断した断面図を示している。なお、これら図4~図10は、調心部材90の全体構成を表した図であるため、後述する図11~図21の各図の説明の際に適宜参照するものとする。
図4~図10に示すように、調心部材90は、軸受8を含み、当該軸受8と、カラー部材91と、ホルダ部材92と、線ばね93と、蓋部材94と、を有し、これらを一体に組み付けたものである。カラー部材91は、平面視が概ねU字形状を呈し、軸受8の外周側に嵌め込まれ、調心部材を構成する。一方、ホルダ部材92は、概ね有底円筒状に形成されていて、内周側に凹状のカラー部材収容部920を有し、このカラー部材収容部920の内部に、ウォームシャフト61とウォームホイール62が噛み合う方向(図23に示すM方向を示し、以下では「ギヤ噛み合い方向」と略称する。)においてカラー部材アッセンブリであるカラー部材組立体90Sを相対移動可能に収容する。
線ばね93は、円弧状(具体的には、平面視C字形状)を呈し、カラー部材91とホルダ部材92の間(径方向間)に設けられ、自身の緊縛力によってカラー部材91を介して軸受8をウォームホイール62側へ付勢する。とりわけ、本発明に係る線ばね93は、カラー部材91を介して軸受8をギヤ噛み合い方向(図23に示すM方向)に対し傾斜した方向(図23に示すN方向)へ付勢するものであって、前記傾斜の方向(図23に示すN方向)の分力として、前記ギヤ噛み合い方向(図23に示すM方向)の付勢力が含まれる。
蓋部材94は、ホルダ部材92におけるカラー部材収容部920の軸方向開口部に被せられ、当該蓋部材94の外周側に設けられた複数(本実施形態では2つ)の第1、第2ホルダ部材保持部941,942を介してホルダ部材92に係止固定される。また、図3に示すように、蓋部材94は、外周側に、径方向へ撓み変形可能な複数(本実施形態では3つ)の第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945が設けられていて、この第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945がギヤハウジング12の調心部材保持部122に設けられた調心部材係止溝125に契合することで、調心部材保持部122に固定される。ここで、調心部材係止溝125は、調心部材保持部122の内周面に周方向に沿って凹状に形成された環状溝であり、蓋部材94の第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945の外周縁にそれぞれ設けられた第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bが契合することで、調心部材保持部122内における軸方向の移動が規制されている。
図11は、カラー部材91の平面図を示している。図12は、カラー部材91と軸受8とを一体化してなるカラー部材組立体90Sを示し、(a)はカラー部材組立体90Sの平面図、(b)はカラー部材組立体90Sの底面図を示している。図13は、図12のE-E線に沿って切断した断面図を示している。図14は、図13のF方向から見た矢視図である。
図11及び図12(a)(b)に示すように、カラー部材91は、ホルダ部材92及び蓋部材94を形成する材料よりも摩擦係数の小さい樹脂材料により形成されていて、平面視が概ねU字形状を呈し、当該U字形状を成すカラー部材本体部910と、カラー部材本体部910のU字形状に基づいて径方向に開口する開口部911と、を有する。ここで、説明の便宜上、カラー部材91の軸方向端面のうち、後述するホルダ部材底部921と対向する側の端面をカラー部材第1端面91aとし、後述する蓋部材本体部940と対向する側の端面をカラー部材第2端面91bとする。
カラー部材本体部910は、開口部911と重なる一部の周方向領域を除く軸受8の外周の半周よりも大きい範囲を包囲する円弧形状に形成されていて、内側に、軸受8を保持する軸受保持部912を有する。この軸受保持部912は、軸受8の外径よりも若干小さい内径に設定されている。換言すれば、軸受保持部912は、当該軸受保持部912に軸受8が組み付けられていない自然状態における内径が、当該軸受保持部912に軸受8が組み付けられた状態における内径よりも小さくなるように形成されている。かかる構成により、軸受保持部912は、軸受8との接点において、軸受8の中心に向かって径方向の内側へ作用する付勢力(弾性力)を発揮し、この付勢力(弾性力)に基づいて軸受8を保持する。換言すれば、軸受保持部912は、軸受8に対して、前記付勢力(弾性力)に基づく所定の締め代を有し、この締め代をもって軸受8を保持する。
また、カラー部材本体部910は、カラー部材第1端面91aを構成し、軸受8の軸方向一端面に当接するカラー底部913と、カラー底部913の外周縁から立ち上がり、軸受8の外周側を包囲するカラー外周壁914と、を有する。カラー底部913は、概ね一定の径方向幅で周方向に沿って連続して設けられ、図13に拡大して示すように、軸受8の軸方向一端面と当接する面が、軸方向においてカラー底部913から離間するほどカラー外周壁914の内径が徐々に大きくなる傾斜状に形成されている。すなわち、かかる傾斜状のカラー底部913が軸受8の軸方向一端側の外周縁に当接することにより、軸受8に対して軸方向及び径方向の付勢力を作用させることが可能となっている。カラー外周壁914は、軸方向においてカラー底部913の反対側に設けられ、線ばね93が巻き掛けられるばね部材巻掛部914aと、軸方向においてばね部材巻掛部914aよりもカラー底部913側に設けられ、ばね部材巻掛部914aよりも径方向外側に突出する突出部914bと、を有する。
ばね部材巻掛部914aは、図13に示すように、径方向から見たときに軸受8とオーバーラップする領域に設けられ、少なくとも線ばね93の線径の半径よりも大きい軸方向幅をもって形成されている。また、ばね部材巻掛部914aには、突出部914bに隣接する軸方向位置において、周方向の複数の箇所(本実施形態では2箇所)に、線ばね93と当接する平面状のばね部材当接部914cが形成されている。なお、当該ばね部材当接部914cは、2箇所以上設けられていればよく、本実施形態に例示の2箇所に限定されるものではない。
ばね部材当接部914cは、図14に示すように、径方向外側に突出形成した突起部914dの頂点をそれぞれ削除する(面取りする)ことにより平面状に形成されてなるもので、軸方向一端部に突出部914bが設けられると共に、突出部914bと反対側の軸方向他端部に突起部914dが設けられている。換言すれば、ばね部材当接部914cでは、軸方向において、線ばね93が突出部914bと突起部914dとによって挟まれて、両者に係止可能な構成となっている。
また、線ばね93の接点であるばね部材当接部914cは、図12(b)に示すように、線ばね93の接点を通る仮想円Vの中心Oがウォームシャフト61の回転軸線(軸線P)を通り、かつギヤ噛み合い方向(図23に示すのM方向)と平行な軸線Zからオフセットする位置に設けられている。かかる構成により、線ばね93の付勢力をもって、前述のように、カラー部材91をギヤ噛み合い方向(図23に示すM方向)に対し傾斜した方向(図23に示すN方向)へ付勢することが可能となっている。
突出部914bは、図13に示すように、ばね部材巻掛部914aに対し少なくとも線ばね93の線径よりも大きい段部914eを形成可能な一定の径方向幅をもって、周方向に連続して形成されている。換言すれば、突出部914bにより、ばね部材当接部914cとの間に、少なくとも線ばね93の線径よりも大きな径方向幅を有する段部914eが形成されている。これにより、線ばね93がばね部材当接部914cに当接した状態において、当該線ばね93を突出部914bの外周面よりも径方向外側に突出させない構成となっている。さらに、突出部914bにおけるカラー底部913側の軸方向端部の外周縁には、カラー底部913側に向かって外径が徐々に小さくなる、いわゆるC面取り状のテーパ面914fが、周方向に沿って連続して設けられている。なお、当該テーパ面914fは、本実施形態にて例示したような、いわゆる平面状のC面取りのほか、曲面状のR面取りによって形成されていてもよい。
また、カラー外周壁914の内周側には、軸受8の外周面と当接する周壁部914gと、軸方向においてカラー底部913とは反対側の端部に設けられ、軸受8の軸方向他端面に当接してカラー底部913との間に軸受8を挟み込む軸受抑え部914hと、を有する。周壁部914gは、軸方向に沿って直線状に設けられ、軸受8の外周面と概ね平行に形成されている。軸受抑え部914hは、軸受8の軸方向他端面と概ね平行に形成され、当該軸受抑え部914hの全体が前記軸受8の軸方向端面と当接可能となっている。
また、カラー部材本体部910の周方向の両端部には、軸受8の外周の半周を超える領域において軸受8を抱持し、カラー部材本体部910(軸受保持部912)から軸受8の脱落を抑制する、1対のカラー契合部915が設けられている。1対のカラー契合部915は、カラー部材本体部910の周方向の両端部に向かって、後述するホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923bからの距離が徐々に増大する、いわゆる返し状に形成され、軸受8に掛かることによって、開口部911からの軸受8の脱落を抑制する。
また、カラー部材本体部910は、図12(a)に示すように、軸受保持部912を挟んで径方向の両側に、ホルダ部材92に対するカラー部材91の摺動(スライド)を可能にする、1対の摺動面であるホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923bを有する。この1対のカラー第1スライド面916a及びカラー第2スライド面916bは、平面視が概ね円形に形成された軸受保持部912に対して接線状に延出することで二面幅を構成し、この二面幅に沿って、ホルダ部材92に対して摺動可能となっている。具体的には、当該カラー第1スライド面916a及びカラー第2スライド面916bは、ホルダ部材92(後述するホルダ部材筒状壁922)に設けられた、後述するホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923bと摺動する。
また、カラー部材本体部910の周方向の1対の端部には、前記1対の端部に向かって先細り状となる傾斜部917が設けられている。この傾斜部917は、カラー部材本体部910の外周面が前記1対の端部に向かうにしたがってカラー第1スライド面916a及びカラー第2スライド面916bから徐々に離間するような傾斜状に形成されている。換言すれば、当該傾斜部917は、カラー部材91がホルダ部材92に収容された状態において、カラー部材本体部910の周方向の1対の端部に向かうにしたがって後述するホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923bから徐々に離間するように傾斜している。このように、当該傾斜部917は、カラー部材本体部910の周方向の1対の端部に向かって先細りとなる面取り部であり、いわゆる平面状のC面取りによって形成されてもよく、また、曲面状のR面取りによって形成されてもよい。
また、カラー部材本体部910のうちカラー底部913側の軸方向端面には、ホルダ部材92と蓋部材94との間に充填された前記グリス(図示外)の保持に供する潤滑溝918が形成されている。この潤滑溝918は、周方向に沿って一定の幅で連続して延びる平面視円弧状に形成された周方向溝918aと、周方向溝918aの周方向の中間部を横断するように径方向に沿って連続して延びる直線状の径方向溝918bと、により構成される。周方向溝918aは、カラー底部913の外側面において、周方向に沿って貫通形成されていて、周方向の両端部がカラー第1スライド面916a及びカラー第2スライド面916b側にそれぞれ開口している。同様に、径方向溝918bは、カラー底部913の外側面において、径方向に沿って貫通形成されていて、径方向の一端部がカラー部材91の外周縁に開口し、径方向の他端部がカラー部材91の内周縁に開口している。
図15は、ホルダ部材92の平面図を示している。図16は、調心部材90の蓋部材を取り外してG方向から見た矢視図を示している。図17は、図16のH-H線に沿って切断した断面図を示している。図18は、図3のI-I線に沿って切断した断面図を示している。
図15~図17に示すように、ホルダ部材92は、概ね有底円筒状を呈し、内部に、カラー部材91を摺動可能に収容するカラー部材収容部920が形成されている。カラー部材収容部920は、カラー部材91のカラー底部913と当接するホルダ部材底部921と、ホルダ部材底部921から軸方向に連続して設けられ、カラー部材91の外周側を包囲するホルダ部材筒状壁922と、によって画定される。ここで、説明の便宜上、ホルダ部材92の軸方向端部のうち、ホルダ部材底部921側の端部をホルダ部材第1端部92aとし、また、ホルダ部材底部921と反対側の端部をホルダ部材第2端部92bとする。
ホルダ部材底部921には、カラー底部913の投影面と概ね対応する平面により構成され、カラー部材第1端面91aと摺接可能なカラー部材第1摺接面921aが形成されている。さらに、このカラー部材第1摺接面921aの内周側に、当該カラー部材第1摺接面921aよりも一段低いホルダ部材底部段部921bを介して軸方向に開口するホルダ部材底部開口部921cが形成されている。すなわち、このホルダ部材底部開口部921cを介してウォームシャフト61の第2ウォーム端部612がホルダ部材92の内部に挿入され、当該ホルダ部材92の内部に収容される軸受8により支持可能となっている。
ホルダ部材筒状壁922は、径方向から見たときにカラー部材91の突出部914bとオーバーラップする(対向する)ホルダ部材第1筒状壁923と、軸方向においてホルダ部材第1筒状壁923よりもホルダ部材第2端部92b側に設けられ、径方向から見たときにカラー部材91のばね部材巻掛部914aとオーバーラップする(対向する)ホルダ部材第2筒状壁924と、を有する。
ホルダ部材第1筒状壁923は、二面幅状に設けられた1対のスライド面である、ホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923bと、ホルダ第1スライド面923aとホルダ第2スライド面923bの周方向間に設けられ、ホルダ第1スライド面923aとホルダ第2スライド面923bを繋ぐホルダ第1筒状壁凹円弧面923cと、を有する。また、ホルダ部材第1筒状壁923のホルダ部材第1端部92aの外周縁には、ホルダ部材第1端部92aに向かって外径が徐々に減少する概ね円錐状となる筒状部テーパ923eが設けられている。
ホルダ第1スライド面923aは、カラー第1スライド面916aに対して平行に設けられ、カラー部材91の噛み合い方向の移動に伴いカラー第1スライド面916aと摺接可能に構成される。同様に、ホルダ第2スライド面923bは、カラー第2スライド面916bに対して平行に設けられ、カラー部材91の噛み合い方向の移動に伴いカラー第2スライド面916bと摺接可能に構成される。
ホルダ第1筒状壁凹円弧面923cは、カラー外周壁914のうち平面視が概ね円弧状をなすカラー部材凸円弧面914iに対応する凹円弧状に形成されていて、当該カラー部材凸円弧面914iに当接することにより、カラー部材91の噛み合い方向における後退量(噛み合い方向においてウォームホイール62から離間する方向)の最大量が規制されている。
また、ホルダ部材第1筒状壁923には、軸線Pを挟んでホルダ第1筒状壁凹円弧面923cの径方向反対側に、噛み合い方向におけるカラー部材91の所定のスライド量を経てカラー部材本体部910の周方向の両端部が当接可能な1対のカラー部材当接部923d,923dが設けられている。すなわち、カラー部材91の周方向両端部がそれぞれ1対のカラー部材当接部923d,923dに当接することによって、当該カラー部材91の噛み合い方向の進出量(噛み合い方向においてウォームホイール62に接近する方向)の最大量が規制されている。換言すれば、ホルダ第1筒状壁凹円弧面923cに当接した状態におけるカラー部材91の周方向両端部と1対のカラー部材当接部923d,923dとの距離Dが、前記調心機構部において許容されたカラー部材91のスライド可能量、すなわち前記ウォームギヤの噛み合い調整可能量である。
ホルダ部材第2筒状壁924は、少なくともカラー部材91の2つのばね部材当接部914cに跨る周方向領域に、周方向に沿って平面視ほぼ円弧状に形成されている。なお、本実施形態では、ホルダ部材第2筒状壁924は、軸方向から見たときにホルダ第1筒状壁凹円弧面923cとオーバーラップし、かつホルダ第1筒状壁凹円弧面923cよりも広い周方向領域に設けられている。そして、ホルダ部材第2筒状壁924は、ホルダ第1筒状壁凹円弧面923cに対し段差状に拡径形成されていて、当該ホルダ第1筒状壁凹円弧面923cの内径よりも大きい内径に形成され、カラー部材91のばね部材巻掛部914aに巻き掛けられた線ばね93との間に所定の径方向隙間C1が形成される構成となっている。
また、ホルダ部材92のホルダ部材第2端部92bには、ホルダ部材92の中心(軸線P)を挟んでホルダ部材第2筒状壁924の反対側に、線ばね93が係止可能なばね部材係止部925が、周方向に沿って平面視ほぼ円弧状に形成されている。より具体的には、ばね部材係止部925は、ホルダ部材92にカラー部材91を組み付けた状態において2つのばね部材当接部914cと対向する周方向領域に設けられている。
さらに、ホルダ部材92のホルダ部材第2端部92bには、カラー部材91とホルダ部材92の間に、線ばね93を巻き掛けた状態において線ばね93の1対の周方向端部が当接可能なばね回転規制部926が形成されている。このばね回転規制部926は、線ばね93の周方向両端部の間に形成される周方向隙間に対応する周方向領域に設けられ、前記巻き掛け状態において線ばね93の1対の端部と当接することで、当該線ばね93の周方向の移動を規制可能となっている。
また、ホルダ部材92には、周方向の複数の箇所(本実施形態では2箇所)に、蓋部材94の後述する第1、第2ホルダ部材保持部941,942が契合可能な凹溝状の1対の保持部契合溝である、第1保持部契合溝927及び第2保持部契合溝928が軸方向に沿って形成されている。この第1、第2保持部契合溝927,928は、ホルダ部材筒状壁922の外周側において、軸方向に沿って直線状に貫通形成されている。具体的には、第1保持部契合溝927は、軸方向から見たときにホルダ部材第2筒状壁924とオーバーラップする位置に形成され、第2保持部契合溝928は、軸方向から見たときにばね回転規制部926とオーバーラップする位置に形成されている。
さらに、第1、第2保持部契合溝927,928は、前記蓋部材94の第1、第2ホルダ部材保持部941,942の厚さ(径方向幅)よりも大きな深さ(径方向幅)に設定されている。換言すれば、前記蓋部材94の第1、第2ホルダ部材保持部941,942がそれぞれ第1、第2保持部契合溝927,928に契合した状態において、第1、第2ホルダ部材保持部941,942の外径が第1、第2保持部契合溝927,928と周方向に隣接するホルダ部材筒状壁922の外周面の外径よりも小さくなるように構成されている。かかる構成により、第1、第2ホルダ部材保持部941,942が第1、第2保持部契合溝927,928に契合した状態で、前記蓋部材94の第1、第2ホルダ部材保持部941,942が第1、第2保持部契合溝927,928と周方向に隣接するホルダ部材筒状壁922の外周面よりも内側に入り込んだ状態となる(図22参照)。
また、第1、第2保持部契合溝927,928には、軸方向におけるホルダ部材第1端部92a側の端部に、後述する第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942aが係止可能な第1、第2保持爪契合溝927a,928aが、径方向に沿って設けられている。すなわち、第1、第2保持爪契合溝927a,928aは、第1、第2保持部契合溝927,928のホルダ部材第1端部92a側の軸方向端部に、ホルダ部材第1端部92aを径方向内側に凹状に切り欠くことにより構成されている。
また、ホルダ部材92におけるホルダ部材底部921の外側面には、図17に示すように、ホルダ部材第1端部92a側へ向かって突出する1対のホルダ部材位置決め突起929,929が形成されている(図22参照)。これら1対のホルダ部材位置決め突起929,929は、図18に示すように、調心部材保持部122内に設けられた後述するホルダ部材位置決め突起契合溝127に契合することで、調心部材保持部122内におけるホルダ部材92の周方向の移動を規制する。なお、当該1対のホルダ部材位置決め突起929,929は、径方向においてホルダ部材位置決め突起契合溝127の溝底面との間に所定の隙間C2が形成されるように設けられている。また、これら1対のホルダ部材位置決め突起929,929の先端部には、それぞれ先細り状となる概ね円錐状のテーパ部929a,929aが形成されている。
ここで、図3、図18に示すように、調心部材保持部122には、当該調心部材保持部122の内径を段差状に縮小させることにより、ホルダ部材92のホルダ部材第1端部92aを当接可能な平坦状のホルダ部材位置決め当接部126が設けられている。このホルダ部材位置決め当接部126は、図23に示すように、ホルダ部材92のホルダ部材第1端部92aが当接することにより、調心部材保持部122内におけるホルダ部材92の軸方向の移動を規制する。そして、このホルダ部材位置決め当接部126の内周縁には、ホルダ部材位置決め突起929,929が契合可能なホルダ部材位置決め突起契合溝127が、軸線P方向に沿って貫通形成されている。このホルダ部材位置決め突起契合溝127は、ホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923bがギヤ噛み合い方向(図23に示すM方向)に対し傾斜した方向(図23に示すN方向)に沿った位相にてホルダ部材92の周方向の位置決めを可能とする位置に設けられている。
さらに、このホルダ部材位置決め突起契合溝127は、概ね円形に形成されたホルダ部材位置決め当接部126の内周縁の接線方向に所定の溝幅をもって凹状に形成されていて、その溝幅の方向の両端部のコーナー部が、いわゆる内R状(凹円弧状)に形成されている。そして、かかるホルダ部材位置決め突起契合溝127の前記溝幅の方向の両端に当接するかたちで、前記1対のホルダ部材位置決め突起929,929が当該ホルダ部材位置決め突起契合溝127に契合することにより、周方向における調心部材保持部122に対するホルダ部材92の相対回転が規制される。
図19は、蓋部材94の平面図を示している。図20は、図19のJ-J線に沿って切断した断面図を示している。図21は、図20のK方向から見た矢視図を示している。図22は、図5の一部を拡大して表示した部分拡大図を示している。なお、以下では、便宜上、蓋部材本体部940のうち、ホルダ部材92と対向する内側面を蓋部材第1端面94aとし、この蓋部材第1端面94aと反対側の外側面を蓋部材第2端面94bとして説明する。
図8を参照しつつ図19~図21に示すように、蓋部材94は、カラー部材91の形成材料のヤング率、及びホルダ部材92の形成材料のヤング率よりも小さいヤング率を有する樹脂材料により形成されている。具体的には、蓋部材14は、概ね円板状の蓋部材本体部940を有し、この蓋部材本体部940がホルダ部材92の開口部に嵌合することにより、当該ホルダ部材92の開口部が閉塞される構成となっている。具体的には、蓋部材本体部940は、ホルダ部材92の開口端面に当接可能な蓋部材本体部基部940aと、蓋部材本体部基部940aから段差状に縮径するように形成され、ホルダ部材92の開口部内周面に対していわゆる印籠状態に嵌合可能な1対の第1、第2蓋部材本体部嵌合部940b,940cと、を有する。なお、この第1、第2蓋部材本体部嵌合部940b,940cは、カラー部材91のカラー部材第2端面91bを支持するカラー部材支持部としても機能する。
また、蓋部材本体部940は、概ね円環状を呈し、軸線Pが通る中央位置に、平面視がほぼ円形の蓋部材貫通穴940dが軸方向に貫通形成されていて、軸受8に支持されたウォームシャフト61の第2ウォーム端部612を受容可能となっている。さらに、蓋部材貫通穴940dの周縁部には、図19、図21に示すように、径方向外側へ向かって凹む複数(本実施形態では3つ)の調心部材回動溝940eが、周方向において概ね等間隔に設けられている。これら調心部材回動溝940eは、それぞれ凹円弧状を呈し、後述する第1、第2、第3蓋部材可撓溝943a,944a,945aと協働して図示外の治具が契合することによって、調心部材保持部122の内部における調心部材90の周方向位置の調整を可能とする。
また、蓋部材本体部940の蓋部材第1端面94aには、蓋部材貫通穴940dの外周域に、内側に収容配置されるカラー部材91のカラー部材第2端面91bと摺接可能な概ね平坦状のカラー部材第2摺接面940fが形成されている。さらに、このカラー部材第2摺接面940fの内周側には、当該カラー部材第2摺接面940fよりもカラー部材91から離間する側に段差凹状に窪んでいて内側に充填された図示外のグリスを保持してカラー部材91の潤滑に供するグリス溜まり凹部940gが形成されている。
ここで、第1、第2蓋部材本体部嵌合部940b,940cは、蓋部材本体部940のホルダ部材92と対向する内側面(後述する蓋部材第1端面9a)において、軸線Pを挟んで対向するように配置され、それぞれ後述する第1、第2ホルダ部材保持部941,942の周方向間に、周方向に沿って概ね円弧状に形成されている。より具体的には、第1蓋部材本体部嵌合部940bは、比較的大きな径方向幅をもって、かつ第2蓋部材本体部嵌合部940cよりも長い周方向長さを有する。一方、第2蓋部材本体部嵌合部940cは、第1蓋部材本体部嵌合部940bに対して、比較的短い周方向長さに形成されている。さらに、第2蓋部材本体部嵌合部940cは、全体的に第1蓋部材本体部嵌合部940bよりも小さい径方向幅をもって形成されると共に、周方向における第2ホルダ部材保持部942寄りの所定範囲において、カラー部材91の摺動範囲に近づくほど、すなわちウォームシャフト61の回転軸線Pを通り、かつギヤ噛み合い方向と平行な軸線Zに近づくほど、前記径方向幅が徐々に小さくなるように形成されている。
また、蓋部材本体部940の蓋部材第1端面94aには、図6、図7、図21に示すように、線ばね93の軸方向移動を規制するばね部材規制突部940hが設けられている。ばね部材規制突部940hは、蓋部材本体部940の周方向の一部分に設けられていて、軸方向においてばね部材規制突部940hと隣接する部分よりもホルダ部材92側に向かって突出形成されている。また、ばね部材規制突部940hは、線ばね93に当接した状態で、軸方向において、ホルダ部材第1筒状壁923の蓋部材本体部940と対向する面と蓋部材本体部940とが所定距離離間するように形成されている(図7に示す隙間C3参照)。
また、蓋部材本体部940の蓋部材第1端面94aには、図20、図21に示すように、ホルダ部材92を保持する1対の第1ホルダ部材保持部941及び第2ホルダ部材保持部942が、軸方向に沿って平行に延出するように設けられている。この1対の第1、第2ホルダ部材保持部941,942は、ホルダ部材92に設けられた第1、第2保持部契合溝927,928の溝深さ(径方向幅)よりも小さい厚さ(径方向幅)を有する横断面ほぼ円弧状に形成されていて、当該第1、第2保持部契合溝927,928と契合可能に構成されている。なお、第1、第2ホルダ部材保持部941,942は、第1、第2ホルダ部材保持部941,942と第1、第2保持部契合溝927,928が契合する組み合わせが1通りとなるように設けられ、ホルダ部材92に対する蓋部材94の誤組み付けが抑制可能となっている。
また、第1、第2ホルダ部材保持部941,942には、先端部の内側に、それぞれホルダ部材92の第1、第2保持爪契合溝927a,928aに係止可能な鉤状の第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942aが形成されている。この第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942aは、第1、第2保持爪契合溝927a,928aと当接可能な第1、第2ホルダ部材保持爪部係止面941b,942bが軸方向に対して傾斜状に形成されている。具体的には、この第1、第2ホルダ部材保持爪部係止面941b,942bは、第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942aの先端に向かって軸線Pからの距離が徐々に小さくなる傾斜状に形成されている。
さらに、第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942aには、先端部の外側に、軸方向に対して傾斜する第1、第2ホルダ部材保持部傾斜面941c,942cが設けられている。この第1、第2ホルダ部材保持部傾斜面941c,942cは、第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942aの先端に向かって軸線Pからの距離が徐々に小さくなる傾斜となっている。
また、蓋部材本体部940の蓋部材第2端面94bには、図6を参照しつつ図19に示すように、調心部材回動溝940eに対応する周方向位置に、蓋部材本体部940の蓋部材第2端面94bの外周縁部からそれぞれ軸方向に沿って概ね平行に延出して調心部材保持部122の内周面との契合に供する、複数(本実施形態では3つ)の第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945が設けられている。
また、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945の基端部には、蓋部材本体部940との間に、それぞれ軸方向に開口する凹状の第1、第2、第3蓋部材可撓溝943a,944a,945aが設けられている。すなわち、第1、第2、第3蓋部材可撓溝943a,944a,945aによって第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945と蓋部材本体部940の接続部が薄肉に形成されることで、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945が径方向に撓み変形容易に構成されている。
また、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945の径方向外側には、図3、図6を参照しつつ図19に示すように、調心部材保持部122の内側面に周方向に連続して形成された環状の調心部材係止溝125に契合可能な第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bが突出形成されている。第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bは、ホルダ部材筒状壁922のうち第1、第2保持部契合溝927,928と隣接する部分の外径よりも大きな外径となるように形成されている。
また、第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bには、図20に示すように、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945の基端部側、すなわち調心部材保持部122内への調心部材90の挿入方向に向かって径方向幅(突出量)が徐々に減少するようなテーパ状の第1、第2、第3肉厚漸減部943c,944c,945cが設けられている。さらに、第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bの軸方向反対側の端部には、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945の先端部側、調心部材90の調心部材保持部122からの離脱方向に向かって径方向幅(突出量)が徐々に減少するようなテーパ状の第1、第2、第3蓋部材契合突起傾斜面943d,944d,945dが設けられている。
なお、第1、第2、第3肉厚漸減部943c,944c,945bc、軸線Pとの傾斜角が比較的小さい緩やかな傾斜面として構成されている。一方、第1、第2、第3蓋部材契合突起傾斜面943d,944d,945dは、軸線Pとの傾斜角が第1、第2、第3肉厚漸減部943c,944c,945cに対して相対的に大きい急な傾斜面として構成されている。
また、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945の先端部には、調心部材係止溝125に対する第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bの契合解除に供する第1、第2、第3調心部材取外し突起部943e,944e,945eが、軸方向に沿って突出形成されている。すなわち、第1、第2、第3調心部材取外し突起部943e,944e,945eを介して第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945を径方向内側に傾倒させることで、調心部材係止溝125に対する第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bの契合を解除することが可能となっている。
また、封止部材95の組み付け前において調心部材保持部122の開口部に臨む蓋部材本体部940の蓋部材第2端面94bには、カラー部材91のスライド方向、すなわちウォームホイール側に接近する方向を目視可能とする目印部946が設けられている。目印部946は、径方向外側に指向する三角形により、カラー部材91がウォームホイール62側に接近する方向を示している。
以上のようにして構成された調心機構部9は、予めサブアッセンブリした調心部材90を、ホルダ部材位置決め突起929,929をホルダ部材位置決め突起契合溝127に合わせるかたちで、ホルダ部材第1端部92a側からギヤハウジング12の調心部材保持部122に挿入することによって組み付けられる。この際、挿入時に調心部材90が調心部材保持部122の内周面に摺動することによって、調心部材保持部122内における調心部材90の径方向の位置決めがなされる。さらには、挿入後、ホルダ部材位置決め突起929,929をホルダ部材位置決め突起契合溝127に契合することによって、調心部材保持部122内における調心部材90の周方向の位置決めがなされる。同時に、調心部材90のホルダ部材第1端部92aがホルダ部材位置決め当接部126に当接することで、調心部材保持部122内における調心部材90の軸方向の位置決めがなされ、第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bが調心部材係止溝125に契合することで、調心部材保持部122に調心部材90が固定される。なお、当該組み付け状態において、調心部材90は、第1、第2、第3蓋部材契合突起傾斜面943d,944d,945dが調心部材係止溝125の端縁(調心部材保持部122の開口部側の軸方向端縁)に弾性的に当接し、この弾性に基づく付勢力によってホルダ部材位置決め当接部126に押し付けられた状態で固定されている。
(本実施形態の作用効果)
前述のように、前記従来のステアリング装置では、特にウォームシャフトとウォームホイールの捻れ角が直角とならない場合に、ウォームシャフトの正転状態と逆転状態で、ウォームギヤにおいて発生する反力の作用方向が異なってしまう。このため、前記ウォームシャフトの正転状態と逆転状態が切り替わる際に、ウォームシャフトとウォームホイールの間にガタつきを生じてしまい、このガタつきに起因した異音の発生を招来してしまう可能性があった。
これに対し、本実施形態に係るステアリング装置は、ステアリングホイールの回転に応じて回転する操舵軸2と、操舵軸2に連係されたウォームホイール62と、ウォームホイール62と噛み合うウォームシャフト61と、ウォームシャフト61に回転力を付与する電動モータであって、モータシャフト41を含み、モータシャフト41は、ウォームシャフト61の1対の端部である第1ウォーム端部611と第2ウォーム端部612のうち第1ウォーム端部611において、ウォームシャフト61と繋がっている、電動モータ4と、ウォームギヤ収容部121と、調心部材保持部122と、を備えたギヤハウジングであって、ウォームギヤ収容部121は、ウォームホイール62とウォームシャフト61を収容可能であり、調心部材保持部122は、第2ウォーム端部612を包囲するように形成されている、ギヤハウジング12と、第2ウォーム端部612を軸支する軸受8と、調心部材保持部122に設けられた調心部材であって、調心部材は、ホルダ部材92と、ホルダ部材92に設けられたカラー部材91と、を備え、カラー部材91は、ウォームホイール62とウォームシャフト61とが噛み合う方向であるギヤ噛み合い方向において、ホルダ部材92に対して軸受8が相対移動可能なように軸受8を保持している、調心部材90と、調心部材90に設けられ、前記ギヤ噛み合い方向に対して傾斜した方向において軸受8を付勢する、付勢部材(線ばね93)と、を有する。
このように、本実施形態では、図23に示すように、線ばね93により、軸受8がギヤ噛み合い方向(図23に示すM方向)に対して傾斜した方向(図23に示すN方向)に付勢される構成となっている。これにより、前記傾斜の方向(図23に示すN方向)に作用する付勢力Fのうち、ギヤ噛み合い方向(図23に示すM方向)に作用する分力F1により、軸受8を保持するカラー部材91がギヤ噛み合い方向(図23に示すM方向)に移動し、ウォームシャフト61とウォームホイール62の噛み合いが適切に調整される。
さらに、前記傾斜の方向(図23に示すN方向)に作用する付勢力Fのうちギヤ噛み合い方向に直交する方向(図23に示すW方向)の分力F2により、軸受8を保持するカラー部材91がギヤ噛み合い方向に直交するギヤ噛み合い直交方向(図23に示すW方向)に付勢される。このため、カラー部材91がギヤ噛み合い直交方向(図23に示すW方向)にガタつくことが抑制される。例えば、ウォームシャフト61の正転に伴う反力をA、逆転に伴う反力をBとした場合に、前記分力F2と反対方向の反力成分A2については、前記分力F2により相殺され、前記分力F2と同じ方向の反力成分B2については、前記分力F2が加わる。このように、前記分力F2によりカラー部材91のガタつきが抑制され、当該ガタつきに起因する異音の発生や、操舵フィーリングの悪化を抑制することができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材92は、互いに対向する1対の面である、ホルダ第1スライド面923aとホルダ第2スライド面923bとで構成されるホルダスライド面を有し、カラー部材91は、ホルダ第1スライド面923aとホルダ第2スライド面923bの間に設けられ、軸受8を保持しており、ホルダ第1スライド面923aと摺動するカラー第1スライド面916aと、ホルダ第2スライド面923bと摺動するカラー第2スライド面916bとで構成されるカラースライド面を有する。
このように、カラー第1スライド面916aと摺動するカラー第2スライド面916bとからなるカラースライド面が、ホルダ第1スライド面923aとホルダ第2スライド面923bとからなるホルダスライド面に沿って摺動することにより、軸受8を保持するカラー部材91をホルダ部材92に対してギヤ噛み合い方向において相対移動させることができる。
また、本実施形態では、カラー部材91は、カラー部材本体部910と、開口部911と、を備え、カラー部材本体部910は、開口部911となる軸受8の外周の一部を除く部分を包囲する円弧形状をしており、内側に軸受8を保持可能である。
このように、カラー部材91は、周方向の一部に開口部911が設けられている。このため、当該開口部911を介して軸受8をカラー部材91に装着可能となり、軸受8に対するカラー部材91の良好な組み付け性が得られる。
また、本実施形態では、カラー部材91は、カラー部材本体部910からの軸受8の脱落を抑制するカラー契合部915を有する。
このように、カラー契合部915を設けたことにより、軸受8をカラー部材本体部910に装着した後、軸受8が脱落することを抑制することができる。
また、本実施形態では、カラー部材本体部910は、軸受8の外周面との接点において、軸受8の中心に向かって付勢力を発揮するように形成されている。
かかる構成により、カラー部材本体部910は、軸受8を保持するように弾性力(付勢力)を発揮するため、カラー部材本体部910からの軸受8の脱落を抑制することができる。
また、本実施形態では、カラー部材本体部910は、カラー部材本体部910の周方向における1対の端部に設けられた傾斜部917を有し、傾斜部917は、カラー部材本体部910の外周面が前記1対の端部に向かうに従いホルダスライド面(ホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923b)から徐々に離間するように形成されている。
このように、カラー部材本体部910の傾斜部917は、カラー部材本体部910の外周面が1対の端部に向かうに従い、ホルダスライド面(ホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923b)から徐々に離間するように傾斜している。このため、カラー部材本体部910の1対の端部の角部がホルダスライド面(ホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923b)と干渉することが抑制され、ホルダ部材92内でのカラー部材91の円滑なスライドを確保することができる。
また、本実施形態では、カラー部材本体部910は、カラー部材本体部910に軸受8が組み付けられていない自然状態におけるカラー部材本体部910の内径が、カラー部材本体部910に軸受8が組み付けられた状態におけるカラー部材本体部910の内径よりも小さくなるように形成されている。
かかる構成により、カラー部材本体部910は軸受8に対して締め代を有し、この締め代によって、カラー部材本体部910からの軸受8の脱落を抑制することができる。
また、本実施形態では、カラー部材91は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向におけるカラー部材91の端面に設けられた潤滑溝918を有する。
かかる構成により、潤滑溝918に前記グリス等の潤滑剤が保持されるため、ホルダ部材92に対するカラー部材91の摺動抵抗を低減させることができる。
また、本実施形態では、潤滑溝918は、カラー部材91の端面における外周縁と繋がっている。
かかる構成により、カラー部材91の外周側に存在する前記グリス等の潤滑剤を潤滑溝918に導入しやすくなり、ホルダ部材92に対するカラー部材91の摺動抵抗を、より効果的に低減させることができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材92は、カラー部材収容部920を有し、カラー部材91は、カラー部材収容部920に設けられ、カラー底部913と、カラー外周壁914と、を有し、カラー底部913は、軸受8の軸方向における1対の面の一方に当接するように形成されており、カラー外周壁914は、カラー底部913と連続して軸受8の外周側を包囲するように形成されており、かつ、前記軸方向におけるカラー底部913とは反対側の端部の内径が、カラー底部913から離間するほど徐々に小さくなるように形成されている。
このように、カラー部材91のカラー外周壁914は、その内周面がカラー底部913から離間するほど内径が小さくなるように形成されている。これにより、軸受8がカラー部材91に組み付けられた状態において、軸方向及び径方向に締め代を持たせることが可能となり、カラー部材91内における軸受8の軸方向及び径方向のガタつきを抑制することができる。
また、本実施形態では、付勢部材は、円弧形状のばね部材(線ばね93)であって、カラー部材91は、ばね部材(線ばね93)が巻き掛けられるばね部材巻掛部914aと、ばね部材巻掛部914aよりも径方向外側に突出している突出部914bと、を有する。
かかる構成により、ばね部材巻掛部914aと突出部914bとの間に段差ができ、この段差によって、カラー部材91からの線ばね93の脱落を抑制することができる。
また、本実施形態では、ばね部材巻掛部914aは、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において、突出部914bとは反対側の端部が径方向外側に突出するように形成されている。
このように、本実施形態では、線ばね93の軸方向両側に、ばね部材巻掛部914aの突出する部分と、カラー部材91の突出部914bが設けられている。これにより、カラー部材91からの線ばね93の脱落をさらに抑制することができる。
また、本実施形態では、ばね部材巻掛部914aのうち、実際にばね部材(線ばね93)が巻き掛けられる領域は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの径方向から見たときに、軸受8とオーバーラップするように形成されている。
かかる構成により、線ばね93の付勢力を、軸受8に対して適切に付与することが可能となり、前記カラー部材91のガタつきを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、ばね部材巻掛部914aにおけるウォームシャフト61の回転軸線P方向の幅は、ばね部材(線ばね93)の線径の半径よりも大きくなるように形成されている。
かかる構成により、線ばね93をばね部材巻掛部914aに確実に接地させることが可能となり、当該線ばね93による適切な付勢作用を得ることができる。
また、本実施形態では、ばね部材巻掛部914aと突出部914bとの間の段差の幅は、ばね部材(線ばね93)の線径よりも大きくなるように形成されている。
かかる構成により、線ばね93が他の部材と干渉する不具合を抑制することが可能となり、線ばね93の適切な付勢作用を確保することができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材92は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの径方向外側から見たときに、ホルダスライド面(ホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923b)とオーバーラップせず、かつ、ばね部材巻掛部914aとオーバーラップする領域におけるホルダ部材92の内径が、ホルダスライド面(ホルダ第1スライド面923a及びホルダ第2スライド面923b)が形成される領域におけるホルダ部材92の内径よりも大きくなるように形成されている。
このように、本実施形態では、ばね部材巻掛部914aと対向する領域におけるホルダ部材92の内周面が、線ばね93との干渉を避けるように形成されている。このため、ホルダ部材92と線ばね93の干渉を抑制することができる。
また、本実施形態では、付勢部材は、円弧形状のばね部材(線ばね93)であって、カラー部材91は、ばね部材(線ばね93)が巻き掛けられるばね部材巻掛部914aと、ばね部材巻掛部914aよりも径方向外側に突出している突出部914bと、を有し、ばね部材(線ばね93)は、ばね部材巻掛部914aの外周面と2点以上の接点で接しており、複数の前記接点を通る仮想円の中心は、ウォームシャフト61の回転軸線Pを通り、かつ、ギヤ噛み合い方向(図23に示すM方向)と平行な軸線からオフセットしている。
このように、本実施形態では、線ばね93とばね部材巻掛部914aとの接点を結ぶ仮想円Vの中心Oとウォームシャフト61の回転軸線Pを通り、かつギヤ噛み合い方向(図23に示すM方向)と平行な軸線Zからオフセットしている。かかる構成により、線ばね93によって、軸受8を、前記ギヤ噛み合い方向に対して傾斜した方向(図23に示すN方向)へ適切に付勢することができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材92は、ばね部材(線ばね93)が係止されるばね部材係止部925を備え、ばね部材係止部925は、ウォームシャフト61の回転軸線Pを挟んでばね部材巻掛部914aとばね部材(線ばね93)との接点の反対側に設けられている。
このように、本実施形態では、ばね部材係止部925がウォームシャフト61の回転軸線Pを挟んでばね部材巻掛部914aと線ばね93との接点の反対側に設けられている。その結果、軸受8を、前記ギヤ噛み合い方向に対して傾斜した方向(図23に示すN方向)へ適切に付勢することができる。
また、本実施形態では、付勢部材は、円弧形状のばね部材(線ばね93)であって、ホルダ部材92は、ばね部材(線ばね93)の1対の端部が当接するばね回転規制部926を有する。
このように、本実施形態では、線ばね93の周方向両端部がばね回転規制部926を挟むかたちで、線ばね93がホルダ部材92に設けられている。これにより、ばね回転規制部926をもって、線ばね93の回転を規制することができる。
また、本実施形態では、調心部材90は、蓋部材94をさらに有し、ホルダ部材92は、ホルダ部材底部921と、ホルダ部材筒状壁922と、を有し、ホルダ部材底部921は、カラー部材91の軸方向における1対の面の一方であるカラー部材第1端面91aに当接するように形成されており、ホルダ部材筒状壁922は、ホルダ部材底部921と連続してカラー部材91の外周側を包囲するように形成されており、蓋部材94は、ホルダ部材筒状壁922の軸方向におけるホルダ部材底部921とは反対側の端部に設けられており、カラー部材91の軸方向における1対の面の他方であるカラー部材第2端面91bに当接するように形成されている。
このように、本実施形態では、ホルダ部材92と蓋部材94とでカラー部材91を軸方向両側から挟み込むことにより、カラー部材91の円滑なスライド動作を確保することができる。
また、本実施形態では、蓋部材94は、カラー部材摺動面(カラー部材第2摺接面940f)と、グリス溜まり凹部940gと、を有し、カラー部材摺動面(カラー部材第2摺接面940f)は、カラー部材第2端面91bと当接する領域に設けられており、グリス溜まり凹部940gは、カラー部材摺動面(カラー部材第2摺接面940f)よりも内側に設けられ、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において、カラー部材摺動面(カラー部材第2摺接面940f)よりもカラー部材91から離間する凹形状を有している。
かかる構成により、グリス溜まり凹部940gにグリスが保持されて、当該グリス溜まり凹部940gからカラー部材第2摺接面940fにグリスが供給される。これにより、カラー部材91と蓋部材94との間の摺動抵抗の低減を図ることができる。
また、本実施形態では、調心部材保持部122は、内側に調心部材収容空間を有する筒状部であって、調心部材保持部122の内周側に環状の調心部材係止溝125を有し、蓋部材94は、調心部材係止溝125と契合する蓋部材契合突起(第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945b)を有する。
かかる構成により、第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bが調心部材係止溝125と契合することで、調心部材90が調心部材保持部122から脱落することを抑制することができる。
また、本実施形態では、蓋部材94は、樹脂材料で形成されており、蓋部材94は、蓋部材本体部940と、蓋部材本体部940に設けられた蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)と、蓋部材可撓溝(第1、第2、第3蓋部材可撓溝943a,944a,945a)と、を備え、蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において、蓋部材本体部940からホルダ部材92のある方とは反対側に向かって突出するように形成されており、蓋部材契合突起(第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945b)は、蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)から径方向外側に向かって突出するように形成されており、蓋部材可撓溝(第1、第2、第3蓋部材可撓溝943a,944a,945a)は、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する径方向において蓋部材本体部940と蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)の間に設けられ、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向に開口するように形成されている。
このように、本実施形態では、蓋部材94に第1、第2、第3蓋部材可撓溝943a,944a,945aが設けられていることで、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945が撓み変形し易くなる。これにより、調心部材保持部122に対する調心部材90の装着を容易に行うことが可能となり、ステアリング装置の生産性の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、蓋部材94は、調心部材回動溝940eを有し、調心部材回動溝940eは、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する径方向において、蓋部材可撓溝(第1、第2、第3蓋部材可撓溝943a,944a,945a)よりも内側に設けられた蓋部材貫通穴940dの内周側に設けられ、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する径方向の外側に向かって凹む形状を有する。
かかる構成により、本実施形態では、第1、第2、第3蓋部材可撓溝943a,944a,945aと調心部材回動溝940eの両方に治具を嵌合させ、蓋部材94を回転させることによって、調心部材90を調心部材保持部122内に挿入した後においても、調心部材90の回転位置の調整を行うことが可能となり、調心部材90の組み付け作業性を向上させることができる。
また、本実施形態では、蓋部材94は、蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)に設けられた調心部材取外し突起部(第1、第2、第3調心部材取外し突起部943e,944e,945e)を有し、調心部材取外し突起部は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において、蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)の先端から突出するように形成されている。
かかる構成により、本実施形態では、第1、第2、第3調心部材取外し突起部943e,944e,945eを工具(図示外)で挟むことにより、第1、第2、第3蓋部材可撓溝943a,944a,945aを介して、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945を径方向内側に撓み変形させることができる。これにより、第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bを調心部材係止溝125から離脱させ、調心部材90を調心部材保持部122から取り外すことができる。すなわち、当該調心部材90の取り外し作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態では、蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)は、肉厚漸減部(第1、第2、第3肉厚漸減部943c,944c,945c)を有し、肉厚漸減部(第1、第2、第3肉厚漸減部943c,944c,945c)は、蓋部材契合突起(第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945b)と蓋部材本体部940の間に設けられ、ウォームシャフト61の回転軸線Pに対して直交する断面の断面積が、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において蓋部材本体部940から蓋部材契合突起(第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945b)に向かうほど徐々に大きくなるように形成されている。
このように、本実施形態では、第1、第2、第3肉厚漸減部943c,944c,945cにて、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945の肉厚が徐々に変化する形状を有する。これにより、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945が撓むときの当該第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945の内部応力の集中を抑制することができる。
また、本実施形態では、調心部材係止溝125は、蓋部材契合突起(第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945b)と当接する面が、ウォームシャフト61の回転軸線Pに対して直交するように形成されており、蓋部材契合突起(第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945b)は、調心部材係止溝125と当接する面が、ウォームシャフト61の回転軸線Pに対して傾斜するように形成されている。
かかる構成により、第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bの傾斜面が調心部材係止溝125と当接しやすくなる。これにより、調心部材係止溝125内において、調心部材90のガタつきを抑制することができる。
また、本実施形態では、付勢部材は、円弧形状のばね部材(線ばね93)であって、蓋部材94は、蓋部材本体部940を有し、蓋部材本体部940は、ばね部材規制突部940hを有し、ばね部材規制突部940hは、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する周方向の一部分に設けられ、かつ、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向においてホルダ部材筒状壁922(ホルダ部材第1筒状壁923)の蓋部材本体部940と対向する面と蓋部材本体部940とが所定距離離間するように形成されており、さらに、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向においてばね部材規制突部940hと隣接する部分よりもホルダ部材92側に向かって突出するように形成されている。
かかる構成により、本実施形態では、ばね部材規制突部940hとホルダ部材筒状壁922の間に線ばね93が挟まれる構造となり、また、ばね部材規制突部940hが、当該ばね部材規制突部940hと隣接する部分よりもホルダ部材筒状壁922側に向かって突出する形状となっている。これにより、ばね部材規制突部940hとホルダ部材筒状壁922との間の距離を狭めることが可能となり、線ばね93の軸方向における自由な動きを規制することができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材92は、保持爪契合溝(第1、第2保持爪契合溝927a,928a)を有し、保持爪契合溝(第1、第2保持爪契合溝927a,928a)は、ホルダ部材保持爪部(第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942a)と当接する面が、ウォームシャフト61の回転軸線Pに対して直交するように形成されており、蓋部材94は、蓋部材本体部940と、ホルダ部材92を保持するホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)と、を有し、ホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において、蓋部材本体部940からホルダ部材92のある方へ向かって突出するように形成されており、ホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)は、ホルダ部材保持爪部(第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942a)を有し、ホルダ部材保持爪部(第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942a)は、ホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)の先端部に設けられており、保持爪契合溝(第1、第2保持爪契合溝927a,928a)と当接する面が、ウォームシャフト61の回転軸線Pに対して傾斜するように形成されている。
かかる構成により、本実施形態では、第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942aの傾斜面が、第1、第2保持爪契合溝927a,928aと当接しやすくなる。これにより、ホルダ部材92と蓋部材94の組み付けにおいて、カラー部材91のガタつきの発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材92は、保持爪契合溝(第1、第2保持爪契合溝927a,928a)を有し、蓋部材94は、蓋部材本体部940と、ホルダ部材92を保持するホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)と、を有し、ホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において、蓋部材本体部940からホルダ部材92のある方へ向かって突出するように形成されており、ホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)は、ホルダ部材保持爪部(第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942a)と、ホルダ部材保持部傾斜面(第1、第2ホルダ部材保持部傾斜面941c,942c)と、を有し、ホルダ部材保持爪部(第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942a)は、ホルダ部材保持部の先端部であって、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する径方向の内側に設けられており、ホルダ部材保持傾斜面(第1、第2ホルダ部材保持部傾斜面941c,942c)は、ホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)の先端部であって、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する径方向の外側に設けられており、ウォームシャフト61の回転軸線Pに対して傾斜するように形成されている。
第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942aが第1、第2保持爪契合溝927a,928aに適切に嵌まらなかった場合は、第1、第2ホルダ部材保持部941,942の先端部が径方向の外側に飛び出す場合がある。しかし、本実施形態では、第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942aに第1、第2ホルダ部材保持部傾斜面941c,942cが設けられている。このため、たとえ第1、第2保持爪契合溝927a,928aに対する第1、第2ホルダ部材保持爪部941a,942aの契合状態が多少不十分であった場合でも、第1、第2ホルダ部材保持部941,942の先端部が調心部材保持部122の内周面と干渉してしまう不具合を抑制することができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材92は、保持部契合溝(第1、第2保持部契合溝927,928)を有し、保持部契合溝(第1、第2保持部契合溝927,928)は、ホルダ部材筒状壁922の外周側に設けられ、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向に延びる溝形状をしており、蓋部材94は、蓋部材本体部940と、ホルダ部材92を保持するホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)と、を有し、ホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において、蓋部材本体部940からホルダ部材92のある方へ向かって突出するように形成されており、保持部契合溝と契合するように形成され、前記ホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)が保持部契合溝(第1、第2保持部契合溝927,928)と契合した状態において、ホルダ部材保持部(第1、第2ホルダ部材保持部941,942)における外径が、ホルダ部材筒状壁922のうち保持部契合溝(第1、第2保持部契合溝927,928)と隣接する部分における外径よりも小さくなるように形成されている。
かかる構成により、第1、第2ホルダ部材保持部941,942が第1、第2保持部契合溝927,928と契合した状態で、第1、第2ホルダ部材保持部941,942の外周面がホルダ部材筒状壁922の外周面よりも引っ込んだ状態となる。このため、調心部材90を調心部材保持部122に組み付けた状態において、第1、第2ホルダ部材保持部941,942が調心部材保持部122の内周面と干渉してしまう不具合を抑制することが可能となる。これにより、ホルダ部材筒状壁922を調心部材保持部122の内周面に当接させて調心部材90の位置決めを行うにあたり、第1、第2ホルダ部材保持部941,942が当該位置決めに影響することを抑制することができる。
また、本実施形態では、調心部材保持部122は、内側に調心部材収容空間を有する筒状部であって、調心部材保持部122の内周側に環状の調心部材係止溝125を有し、蓋部材94は、樹脂材料で形成されており、蓋部材94は、蓋部材本体部940と、蓋部材本体部940に設けられた蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)と、を備え、蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において、蓋部材本体部940からホルダ部材92のある方とは反対側に向かって突出するように形成されており、蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)の先端部に蓋部材契合突起(第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945b)を備え、蓋部材契合突起(第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945b)は、蓋部材契合部(第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945)から径方向外側に向かって突出するように形成され、調心部材係止溝125と契合可能であり、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する径方向における外径が、ホルダ部材筒状壁922のうち保持部契合溝(第1、第2保持部契合溝927,928)と隣接する部分における外径よりも大きくなるように形成されている。
本実施形態では、調心部材90を調心部材保持部122に挿入するにあたり、ホルダ部材92を奥側に、蓋部材94を手前側になるようにして調心部材90を調心部材保持部122に挿入することになる。このとき、本実施形態では、第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bがホルダ部材筒状壁922の外周面よりも径方向外側に突出することになる。これにより、第1、第2、第3蓋部材契合突起943b,944b,945bを第1、第2保持部契合溝927,928に十分に契合させることができる。
また、本実施形態では、蓋部材94は、ギヤハウジング12の外側からウォームシャフト61の回転軸線Pに関する蓋部材94の回転位置が目視可能となる目印部946を有する。
かかる構成により、本実施形態では、調心部材保持部122に調心部材90を挿入する際、ギヤハウジング12の外側から調心部材90の回転位置を確認することが可能となる。これにより、調心部材保持部122に対する調心部材90の挿入作業性を向上させることができる。
また、本実施形態では、蓋部材94は、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する周方向において、ホルダ部材92に対して1か所のみで契合可能である。
このように、本実施形態では、ホルダ部材92の回転位置と蓋部材94の回転位置が必ず1か所のみで一致する。このため、蓋部材94の回転位置を目印部946で確認可能とすることにより、ホルダ部材92の回転位置も確認することが可能となる。その結果、調心部材保持部122に対する調心部材90の挿入作業性を向上させることができる。
また、本実施形態では、カラー部材91の材料の摩擦係数は、ホルダ部材92の材料の摩擦係数及び蓋部材94の材料の摩擦係数よりも小さい。
かかる構成により、本実施形態では、カラー部材91の摩擦抵抗が小さく、ホルダ部材92と蓋部材94の両方に対する、カラー部材91の円滑な摺動を確保することができる。
また、本実施形態では、蓋部材94の材料のヤング率は、ホルダ部材92の材料のヤング率及びカラー部材91の材料のヤング率よりも小さい。
かかる構成により、蓋部材94に設けられた第1、第2ホルダ部材保持部941,942や、第1、第2、第3蓋部材契合部943,944,945を容易に撓ませることが可能となる。これにより、ホルダ部材92に対する蓋部材94の組み付け作業性や、調心部材保持部122に対する調心部材90の組み付け作業性を向上させることができる。
また、本実施形態では、蓋部材94は、カラー部材91の外周面を支持するカラー部材支持部(第1、第2蓋部材本体部嵌合部940b,940c)を有し、カラー部材支持部(第1、第2蓋部材本体部嵌合部940b,940c)は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向においてホルダ部材92のある方向に向かって突出しており、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する径方向の厚さが、ウォームシャフト61の回転軸線Pを通りギヤ噛み合い方向(図23に示すM方向)と平行な軸線に近づくほど薄くなるように形成されている。
このように、本実施形態では、カラー部材支持部として機能する第1、第2蓋部材本体部嵌合部940b,940cのうち、カラー部材91のスライド方向にある部分を薄くすることにより、ウォームギヤの噛み合いが深くなる方向にカラー部材91がスライドした際、第1、第2蓋部材本体部嵌合部940b,940cとカラー部材91とが干渉してしまう不具合を抑制することができる。一方、第1、第2蓋部材本体部嵌合部940b,940cのうち、カラー部材91のスライド方向と直交する方向にある部分を厚くすることにより、第1、第2蓋部材本体部嵌合部940b,940cの剛性、ひいては蓋部材94の剛性を向上させることができる。
また、本実施形態では、調心部材保持部122は、内側に調心部材収容空間を有する筒状部であって、前記調心部材収容空間は、ウォームシャフト61の回転軸線Pに直交する断面の形状が円形であり、調心部材90は、ウォームシャフト61の回転軸線Pに直交する断面の外形が円形であり、調心部材90の外周面が調心部材保持部122の内周面と当接することで、調心部材保持部122に対する調心部材90の位置決めが行われる。
このように、本実施形態では、調心部材保持部122の内周面が円筒形状であるため、ギヤハウジング12の加工を容易に行うことができる。また、調心部材保持部122の内周面と調心部材90の外周面が共に円形であるため、両者の軸心合わせについても容易に行うことができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材92は、ホルダ部材底部921と、ホルダ部材筒状壁922と、ホルダ部材位置決め突起929,929と、を有し、ホルダ部材位置決め突起929,929は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において、ホルダ部材筒状壁922に対してカラー部材91のある方とは反対側に向かって突出するようにホルダ部材筒状壁922に設けられており、調心部材保持部122は、ホルダ部材位置決め突起契合溝127を有し、ホルダ部材位置決め突起契合溝127は、ホルダ部材位置決め突起929,929がホルダ部材位置決め突起契合溝127に契合することにより、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する回転方向における調心部材保持部122に対するホルダ部材92の相対回転を規制する。
このように、本実施形態では、ホルダ部材92に、調心部材保持部122に設けられたホルダ部材位置決め突起契合溝127に契合可能なホルダ部材位置決め突起929,929が設けられていることで、調心部材保持部122内におけるホルダ部材92の周方向の位置決めを行うことが可能となり、前述した線ばね93による適切な付勢作用(ギヤ噛み合い方向に対し傾斜した方向へと軸受8を付勢する線ばね93の付勢作用)を得ることができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材位置決め突起契合溝127は、調心部材保持部122の内周側に形成され、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向に向かって開口する溝であって、ホルダ部材位置決め突起929,929は、ウォームシャフト61の回転軸線Pに関する径方向において、ホルダ部材位置決め突起契合溝127との間に所定の隙間C2を有するように形成されている。
かかる構成により、本実施形態では、ホルダ部材位置決め突起929,929がホルダ部材位置決め突起契合溝127から径方向の反力を受けるおそれがない。これにより、調心部材保持部122において、ホルダ部材位置決め突起929,929がホルダ部材92の軸心合わせに影響を与えることを抑制することができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材位置決め突起929,929は、ホルダ部材位置決め突起929,929の先端部に、先細り状に傾斜するテーパ部929a,929aを有する。
このように、ホルダ部材位置決め突起929,929の先端部に、先細り状に傾斜するテーパ部929a,929aが設けられていることで、ホルダ部材位置決め突起契合溝127に対するホルダ部材位置決め突起929,929の挿入性が向上し、調心部材保持部122に対する調心部材90の組み付け作業性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ホルダ部材92は、ホルダ部材底部921と、ホルダ部材筒状壁922と、を有し、調心部材保持部122は、ホルダ部材位置決め当接部126を有し、ホルダ部材位置決め当接部126は、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向において、ホルダ部材底部921と当接することにより、ウォームシャフト61の回転軸線Pの方向における調心部材保持部122に対するホルダ部材92の位置決めを行う。
このように、本実施形態では、調心部材保持部122に、ホルダ部材位置決め当接部126が設けられている。これにより、当該ホルダ部材位置決め当接部126により、ホルダ部材92の軸方向の位置決めを行うことができ、調心部材保持部122における調心部材90の適切な配置に供する。
本発明は、前記実施形態で例示した構成や態様に限定されるものではなく、前述した本発明の作用効果を奏し得るような形態であれば、適用対象の仕様やコスト等に応じて自由に変更可能である。
以上説明した実施形態に基づくステアリング装置としては、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
すなわち、当該ステアリング装置は、その1つの態様において、ステアリング装置であって、ステアリングホイールの回転に応じて回転する操舵軸と、前記操舵軸に連係されたウォームホイールと、前記ウォームホイールと噛み合うウォームシャフトと、前記ウォームシャフトに回転力を付与する電動モータであって、モータシャフトを含み、前記モータシャフトは、前記ウォームシャフトの1対の端部である第1ウォーム端部と第2ウォーム端部のうち前記第1ウォーム端部において、前記ウォームシャフトと繋がっている、前記電動モータと、ウォームギヤ収容部と、調心部材保持部と、を備えたギヤハウジングであって、前記ウォームギヤ収容部は、前記ウォームホイールと前記ウォームシャフトを収容可能であり、前記調心部材保持部は、前記第2ウォーム端部を包囲するように形成されている、前記ギヤハウジングと、前記第2ウォーム端部を軸支する軸受と、前記調心部材保持部に設けられた調心部材であって、前記調心部材は、ホルダ部材と、前記ホルダ部材に設けられたカラー部材と、を備え、前記カラー部材は、前記ウォームホイールと前記ウォームシャフトとが噛み合う方向であるギヤ噛み合い方向において、前記ホルダ部材に対して前記軸受が相対移動可能なように前記軸受を保持している、前記調心部材と、前記調心部材に設けられ、前記ギヤ噛み合い方向に対して傾斜した方向において前記軸受を付勢する、付勢部材と、を有する。
前記ステアリング装置の好ましい態様において、前記ホルダ部材は、互いに対向する1対の面である、ホルダ第1スライド面とホルダ第2スライド面とで構成されるホルダスライド面を有し、前記カラー部材は、前記ホルダ第1スライド面と前記ホルダ第2スライド面の間に設けられ、前記軸受を保持しており、前記ホルダ第1スライド面と摺動するカラー第1スライド面と、前記ホルダ第2スライド面と摺動するカラー第2スライド面とで構成されるカラースライド面を有する。
別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記カラー部材は、カラー部材本体部と、開口部と、を備え、前記カラー部材本体部は、前記開口部となる前記軸受の外周の一部を除く部分を包囲する円弧形状をしており、内側に前記軸受を保持可能である。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記カラー部材は、前記カラー部材本体部からの前記軸受の脱落を抑制するカラー契合部を有する。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記カラー部材本体部は、前記軸受の外周面との接点において、前記軸受の中心に向かって付勢力を発揮するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記カラー部材本体部は、前記カラー部材本体部の周方向における1対の端部に設けられた傾斜部を有し、前記傾斜部は、前記カラー部材本体部の外周面が前記1対の端部に向かうに従い前記ホルダスライド面から徐々に離間するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記カラー部材本体部は、前記カラー部材本体部に前記軸受が組み付けられていない自然状態における前記カラー部材本体部の内径が、前記カラー部材本体部に前記軸受が組み付けられた状態における前記カラー部材本体部の内径よりも小さくなるように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記カラー部材は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向における前記カラー部材の端面に設けられた潤滑溝を有する。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記潤滑溝は、前記カラー部材の端面における外周縁と繋がっている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ホルダ部材は、カラー部材収容部を有し、前記カラー部材は、前記カラー部材収容部に設けられ、カラー底部と、カラー外周壁と、を有し、前記カラー底部は、前記軸受の軸方向における1対の面の一方に当接するように形成されており、前記カラー外周壁は、前記カラー底部と連続して前記軸受の外周側を包囲するように形成されており、かつ、前記軸方向における前記カラー底部とは反対側の端部の内径が、前記カラー底部から離間するほど徐々に小さくなるように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記付勢部材は、円弧形状のばね部材であって、前記カラー部材は、前記ばね部材が巻き掛けられるばね部材巻掛部と、前記ばね部材巻掛部よりも径方向外側に突出している突出部と、を有する。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ばね部材巻掛部は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において、前記突出部とは反対側の端部が径方向外側に突出するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ばね部材巻掛部のうち、実際に前記ばね部材が巻き掛けられる領域は、前記ウォームシャフトの回転軸線の径方向から見たときに、前記軸受とオーバーラップするように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ばね部材巻掛部における前記ウォームシャフトの回転軸線方向の幅は、前記ばね部材の線径の半径よりも大きくなるように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ばね部材巻掛部と前記突出部との間の段差の幅は、前記ばね部材の線径よりも大きくなるように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ホルダ部材は、ウォームシャフトの回転軸線の径方向外側から見たときに、前記ホルダスライド面とオーバーラップせず、かつ、前記ばね部材巻掛部とオーバーラップする領域における前記ホルダ部材の内径が、前記ホルダスライド面が形成される領域における前記ホルダ部材の内径よりも大きくなるように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記付勢部材は、円弧形状のばね部材であって、前記カラー部材は、前記ばね部材が巻き掛けられるばね部材巻掛部と、前記ばね部材巻掛部よりも径方向外側に突出している突出部と、を有し、前記ばね部材は、前記ばね部材巻掛部の外周面と2点以上の接点で接しており、複数の前記接点を通る仮想円の中心は、前記ウォームシャフトの回転軸線を通り、かつ、前記ギヤ噛み合い方向と平行な軸線からオフセットしている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ホルダ部材は、前記ばね部材が係止されるばね部材係止部を備え、前記ばね部材係止部は、前記ウォームシャフトの回転軸線を挟んで前記ばね部材巻掛部と前記ばね部材との接点の反対側に設けられている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記付勢部材は、円弧形状のばね部材であって、前記ホルダ部材は、前記ばね部材の1対の端部が当接するばね回転規制部を有する。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記調心部材は、蓋部材をさらに有し、前記ホルダ部材は、ホルダ部材底部と、ホルダ部材筒状壁と、を有し、前記ホルダ部材底部は、前記カラー部材の軸方向における1対の面の一方であるカラー部材第1端面に当接するように形成されており、前記ホルダ部材筒状壁は、前記ホルダ部材底部と連続して前記カラー部材の外周側を包囲するように形成されており、前記蓋部材は、前記ホルダ部材筒状壁の軸方向における前記ホルダ部材底部とは反対側の端部に設けられており、前記カラー部材の軸方向における1対の面の他方であるカラー部材第2端面に当接するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記蓋部材は、カラー部材摺動面と、グリス溜まり凹部と、を有し、前記カラー部材摺動面は、前記カラー部材第2端面と当接する領域に設けられており、前記グリス溜まり凹部は、前記カラー部材摺動面よりも内側に設けられ、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において、前記カラー部材摺動面よりも前記カラー部材から離間する凹形状を有している。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記調心部材保持部は、内側に調心部材収容空間を有する筒状部であって、前記調心部材保持部の内周側に環状の調心部材係止溝を有し、前記蓋部材は、前記調心部材係止溝と契合する蓋部材契合突起を有する。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記蓋部材は、樹脂材料で形成されており、前記蓋部材は、蓋部材本体部と、前記蓋部材本体部に設けられた蓋部材契合部と、蓋部材可撓溝と、を備え、前記蓋部材契合部は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において、前記蓋部材本体部から前記ホルダ部材のある方とは反対側に向かって突出するように形成されており、前記蓋部材契合突起は、前記蓋部材契合部から径方向外側に向かって突出するように形成されており、前記蓋部材可撓溝は、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する径方向において前記蓋部材本体部と前記蓋部材契合部の間に設けられ、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向に開口するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記蓋部材は、調心部材回動溝を有し、前記調心部材回動溝は、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する径方向において、前記蓋部材可撓溝よりも内側に設けられた蓋部材貫通穴の内周側に設けられ、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する径方向の外側に向かって凹む形状を有する。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記蓋部材は、前記蓋部材契合部に設けられた調心部材取外し突起部を有し、前記調心部材取外し突起部は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において、前記蓋部材契合部の先端から突出するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記蓋部材契合部は、肉厚漸減部を有し、前記肉厚漸減部は、前記蓋部材契合突起と前記蓋部材本体部の間に設けられ、前記ウォームシャフトの回転軸線に対して直交する断面の断面積が、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において前記蓋部材本体部から前記蓋部材契合突起に向かうほど徐々に大きくなるように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記調心部材係止溝は、前記蓋部材契合突起と当接する面が、前記ウォームシャフトの回転軸線に対して直交するように形成されており、前記蓋部材契合突起は、前記調心部材係止溝と当接する面が、前記ウォームシャフトの回転軸線に対して傾斜するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記付勢部材は、円弧形状のばね部材であって、前記蓋部材は、蓋部材本体部を有し、前記蓋部材本体部は、ばね部材規制突部を有し、前記ばね部材規制突部は、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する周方向の一部分に設けられ、かつ、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において前記ホルダ部材筒状壁の前記蓋部材本体部と対向する面と前記蓋部材本体部とが所定距離離間するように形成されており、さらに、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において前記ばね部材規制突部と隣接する部分よりも前記ホルダ部材側に向かって突出するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ホルダ部材は、保持爪契合溝を有し、前記保持爪契合溝は、ホルダ部材保持爪部と当接する面が、前記ウォームシャフトの回転軸線に対して直交するように形成されており、前記蓋部材は、蓋部材本体部と、前記ホルダ部材を保持するホルダ部材保持部と、を有し、前記ホルダ部材保持部は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において、前記蓋部材本体部から前記ホルダ部材のある方へ向かって突出するように形成されており、前記ホルダ部材保持部は、前記ホルダ部材保持爪部を有し、前記ホルダ部材保持爪部は、前記ホルダ部材保持部の先端部に設けられており、前記保持爪契合溝と当接する面が、前記ウォームシャフトの回転軸線に対して傾斜するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ホルダ部材は、保持爪契合溝を有し、前記蓋部材は、蓋部材本体部と、前記ホルダ部材を保持するホルダ部材保持部と、を有し、前記ホルダ部材保持部は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において、前記蓋部材本体部から前記ホルダ部材のある方へ向かって突出するように形成されており、前記ホルダ部材保持部は、前記ホルダ部材保持爪部と、ホルダ部材保持部傾斜面と、を有し、前記ホルダ部材保持爪部は、前記ホルダ部材保持部の先端部であって、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する径方向の内側に設けられており、前記ホルダ部材保持傾斜面は、前記ホルダ部材保持部の先端部であって、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する径方向の外側に設けられており、前記ウォームシャフトの回転軸線に対して傾斜するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ホルダ部材は、保持部契合溝を有し、前記保持部契合溝は、前記ホルダ部材筒状壁の外周側に設けられ、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向に延びる溝形状をしており、前記蓋部材は、蓋部材本体部と、前記ホルダ部材を保持するホルダ部材保持部と、を有し、前記ホルダ部材保持部は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において、前記蓋部材本体部から前記ホルダ部材のある方へ向かって突出するように形成されており、前記保持部契合溝と契合するように形成され、前記ホルダ部材保持部が前記保持部契合溝と契合した状態において、前記ホルダ部材保持部における外径が、前記ホルダ部材筒状壁のうち前記保持部契合溝と隣接する部分における外径よりも小さくなるように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記調心部材保持部は、内側に調心部材収容空間を有する筒状部であって、前記調心部材保持部の内周側に環状の調心部材係止溝を有し、前記蓋部材は、樹脂材料で形成されており、前記蓋部材は、蓋部材本体部と、前記蓋部材本体部に設けられた蓋部材契合部と、を備え、前記蓋部材契合部は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において、前記蓋部材本体部から前記ホルダ部材のある方とは反対側に向かって突出するように形成されており、前記蓋部材契合部の先端部に蓋部材契合突起を備え、前記蓋部材契合突起は、前記蓋部材契合部から径方向外側に向かって突出するように形成され、前記調心部材係止溝と契合可能であり、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する径方向における外径が、前記ホルダ部材筒状壁のうち前記保持部契合溝と隣接する部分における外径よりも大きくなるように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記蓋部材は、前記ギヤハウジングの外側から前記ウォームシャフトの回転軸線に関する前記蓋部材の回転位置が目視可能となる目印部を有する。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記蓋部材は、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する周方向において、前記ホルダ部材に対して1か所のみで契合可能である。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記カラー部材の材料の摩擦係数は、前記ホルダ部材の材料の摩擦係数及び前記蓋部材の材料の摩擦係数よりも小さい。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記蓋部材の材料のヤング率は、前記ホルダ部材の材料のヤング率及び前記カラー部材の材料のヤング率よりも小さい。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記蓋部材は、前記カラー部材の外周面を支持するカラー部材支持部を有し、前記カラー部材支持部は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において前記ホルダ部材のある方向に向かって突出しており、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する径方向の厚さが、前記ウォームシャフトの回転軸線を通り前記ギヤ噛み合い方向と平行な軸線に近づくほど薄くなるように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記調心部材保持部は、内側に調心部材収容空間を有する筒状部であって、前記調心部材収容空間は、前記ウォームシャフトの回転軸線に直交する断面の形状が円形であり、前記調心部材は、前記ウォームシャフトの回転軸線に直交する断面の外形が円形であり、前記調心部材の外周面が前記調心部材保持部の内周面と当接することで、前記調心部材保持部に対する前記調心部材の位置決めが行われる。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ホルダ部材は、ホルダ部材底部と、ホルダ部材筒状壁と、ホルダ部材位置決め突起と、を有し、前記ホルダ部材位置決め突起は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において、前記ホルダ部材筒状壁に対して前記カラー部材のある方とは反対側に向かって突出するように前記ホルダ部材筒状壁に設けられており、前記調心部材保持部は、ホルダ部材位置決め突起契合溝を有し、前記ホルダ部材位置決め突起契合溝は、前記ホルダ部材位置決め突起が前記ホルダ部材位置決め突起契合溝に契合することにより、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する回転方向における前記調心部材保持部に対する前記ホルダ部材の相対回転を規制する。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ホルダ部材位置決め突起契合溝は、前記調心部材保持部の内周側に形成され、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向に向かって開口する溝であって、前記ホルダ部材位置決め突起は、前記ウォームシャフトの回転軸線に関する径方向において、前記ホルダ部材位置決め突起契合溝との間に所定の隙間を有するように形成されている。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ホルダ部材位置決め突起は、前記ホルダ部材位置決め突起の先端部に、先細り状に傾斜するテーパ部を有する。
さらに別の好ましい態様では、前記ステアリング装置の態様のいずれかにおいて、前記ホルダ部材は、ホルダ部材底部と、ホルダ部材筒状壁と、を有し、前記調心部材保持部は、ホルダ部材位置決め当接部を有し、前記ホルダ部材位置決め当接部は、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向において、前記ホルダ部材底部と当接することにより、前記ウォームシャフトの回転軸線の方向における前記調心部材保持部に対する前記ホルダ部材の位置決めを行う。