以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1〜15を参照して、本発明の第1実施形態に係るパワーステアリング装置100について説明する。
パワーステアリング装置100は、車両に搭載されドライバーが操舵ハンドルに加える操舵力を補助する装置である。
図1及び図2に示すように、パワーステアリング装置100は、電動モータ7の出力軸に連結され電動モータ7の駆動に伴って回転するウォームシャフト2と、ウォームシャフト2と噛み合い、車輪6を転舵するラック軸8に電動モータ7の回転力を伝達するためのウォームホイール1と、を備える。電動モータ7の駆動に伴ってウォームシャフト2が回転し、ウォームシャフト2の回転が減速してウォームホイール1に伝達される。ウォームホイール1とウォームシャフト2にてウォーム減速機が構成される。
図1に示すように、操舵ハンドル10にはステアリングシャフト20が連結され、ステアリングシャフト20は操舵ハンドル10の回転に伴って回転する。ステアリングシャフト20は、操舵ハンドル10に連係する入力軸21と、ラック軸8に連係する出力軸22と、入力軸21と出力軸22を連結するトーションバー23と、を備える。ウォームホイール1は出力軸22に設けられる。
パワーステアリング装置100は、運転者によるステアリング操作に伴う入力軸21と出力軸22との相対回転によってトーションバー23に作用する操舵トルクを検出するトルクセンサ24と、トルクセンサ24にて検出された操舵トルクに基づいて電動モータ7の駆動を制御するコントローラ25と、をさらに備える。電動モータ7から出力されたトルクは、ウォームシャフト2からウォームホイール1に伝達されて出力軸22にアシストトルクとして付与される。このように、パワーステアリング装置100は、トルクセンサ24の検出結果に基づいて電動モータ7の駆動をコントローラ25にて制御して運転者のステアリング操作を補助する。
図2に示すように、ウォームシャフト2は金属製のギヤケース3に収容され、電動モータ7はギヤケース3に取り付けられる。ギヤケース3は、ウォームシャフト2を囲む周壁3bと、ウォームシャフト2の先端に対向する底壁3cと、有する。周壁3bと底壁3cとは一体に形成される。このように、ギヤケース3は、底部の開口部43を蓋によって封止する構成ではなく、袋状構造であるため防水性に優れる。なお、ギヤケース3は樹脂製であってもよい。また、ギヤケース3は、周壁3bと底壁3cの一体構造に代えて、周壁3bの開口端部を蓋によって封止する構造であってもよい。
ウォームシャフト2の一部には、ウォームホイール1の歯部と噛み合う歯部2aが形成される。ギヤケース3におけるウォームシャフト2側の周壁3bには歯部2aに対応する位置に開口部43が形成され、その開口部43を通じてウォームシャフト2の歯部2aとウォームホイール1の歯部とが噛み合う。
ウォームシャフト2の電動モータ7側である基端側は、第1軸受4によって回転自在に支持される。第1軸受4は、環状の内輪と外輪の間にボールが介在されるボールベアリングである。第1軸受4の外輪は、ギヤケース3に形成された段部3aとギヤケース3内に締結されたロックナット5との間で挟持される。第1軸受4の内輪は、ウォームシャフト2の段部2bとウォームシャフト2の端部に圧入されるジョイント9との間で挟持される。これにより、ウォームシャフト2の軸方向への移動が規制される。
ウォームシャフト2の先端側は、第2軸受11によって回転自在に支持される。第2軸受11は、環状の外輪11aと内輪11bの間にボール11cが介在されるボールベアリングである。第2軸受11はホルダ30に収容され、付勢部材としてのねじりコイルばね(以下、単に「ねじりばね」と称する。)80によってホルダ30を介してウォームホイール1へ向けて付勢される。ホルダ30は、ギヤケース3の底部側に形成された円形の内周面を有する収容孔3d内に配置される。
以下、ホルダ30及びねじりばね80の具体的構成について説明する。
なお、以下では、図2に示すように、ウォームシャフト2の中心軸(第2軸受11の中心軸)に沿った方向(図2中左右方向)を「第1方向」、ウォームホイール1の中心軸に沿った方向(図2中紙面垂直方向)を「第2方向」、ウォームシャフト2の中心軸及びウォームホイール1の中心軸の両方に垂直な方向(図2中上下方向)を「第3方向」とも称する。つまり、第1方向、第2方向、第3方向は、互いに直交する直交3軸に沿った方向である。また、第3方向において、第2軸受11からみてウォームホイール1側である一方側(図2中上方側)を「ギヤ側」、ギヤ側の反対方向である他方側(図2中下方側)を「反ギヤ側」と称する。
ホルダ30は、図2から図5に示すように、第2軸受11を保持する保持部42を有する第1ホルダ40と、ウォームホイール1へ向かう第2軸受11の移動を案内するガイド部63を有する第2ホルダ60と、を有する。第1ホルダ40及び第2ホルダ60は、樹脂製である。
図6及び図7に示すように、第1ホルダ40は、板状の第1ホルダ本体部41と、第1ホルダ本体部41に設けられる保持部42と、第2軸受11の外輪11aの外周面の一部を露出させる開口部43と、後述するねじりばね80の腕部が係止可能な係止部50と、を有する。
第1ホルダ本体部41には、厚さ方向(第1方向)に貫通する中央孔41aが形成される。中央孔41aによって、第2軸受11を挿通するウォームシャフト2の端部と第1ホルダ40との干渉が回避される。
保持部42は、図6及び図8に示すように、第2軸受11よりも第3方向の反ギヤ側に設けられる単一の壁部である。保持部42は、第2軸受11の中心軸に沿って第1ホルダ本体部41から突出する。保持部42は、径方向内側が第2軸受11の外輪11aに対応するような円弧形状に形成され、外側が収容孔3dの内周面に対応するような円弧形状に形成される。
開口部43は、保持部42の周方向に設けられる。第1ホルダ40では、約120°の範囲で保持部42が形成され、残りの240°の範囲は、開口部43として形成される。開口部43は、円筒状の壁部の周方向の一部を内外周面に開口するように切り欠いて形成される。これにより、開口部43は、図8に示すように、保持部42によって保持された第2軸受11の外輪11aの外周面の一部を外部に露出させる。
係止部50は、図7に示すように、ねじりばね80の腕部が係止するように湾曲した形状に形成される。係止部50の具体的構成については、後に詳細に説明する。
図9から図11に示すように、第2ホルダ60は、円板状に形成され第1ホルダ40及び第2軸受11を収容する収容凹部62を有する第2ホルダ本体部61と、後述するねじりばね80のコイル部81を挿通する軸部としての回り止め軸部65と、ギヤケース3の取付孔3fに挿入される取付軸部66と、ねじりばね80の腕部が係止可能な補助係止部70と、を有する。
第2ホルダ本体部61の収容凹部62は、図9に示すように、第3方向の反ギヤ側において、第2ホルダ本体部61の外周面に開口するホルダ開口部62aを有する。ホルダ開口部62aは、収容凹部62の内側への第2軸受11及びこれを保持する第1ホルダ40の保持部42の進入を許容する。保持部42は、ホルダ開口部62aを通じてギヤケース3の収容孔3dの内周面に臨む。これにより、第2軸受11と収容孔3dの内周面との間において、第1ホルダ40と第2ホルダ60とが、径方向に重ならないように構成される。よって、ホルダ30をコンパクトに構成することができる。
また、収容凹部62の内面には、図5に示すように、第3方向に沿った第2軸受11の移動を案内するガイド部63と、ガイド部63に接続し第1ホルダ40の保持部42と共に第2軸受11を保持する補助保持部64と、が設けられる。
ガイド部63は、第2軸受11を挟んで互いに対向する第1ガイド面63a及び第2ガイド面63bからなる。第1ガイド面63a及び第2ガイド面63bは、第2方向に垂直であって、互いに平行に設けられる。一対のガイド面63a,63bには、第1ホルダ40の開口部43を通じて露出した第2軸受11の外輪11aの一部が直接接触する。よって、第2軸受11は、互いに平行な一対のガイド面63a,63bによって移動が直接案内される。このように、本実施形態では、金属製の第2軸受11と樹脂製の第2ホルダ60とが、硬度差をもって接触する。
補助保持部64は、第2軸受11の中心軸よりも第3方向のギヤ側に設けられる円弧状の壁部である。第2軸受11は、第1ホルダ40の保持部42と第2ホルダ60の補助保持部64とによって保持される。補助保持部64は、第1ガイド面63a及び第2ガイド面63bを周方向に接続する。
第2ホルダ本体部61は、図9及び図10に示すように、ウォームシャフト2に対向する端面部(シャフト側端面部61a)に形成されウォームシャフト2の端部の通過を許容するシャフト側通過孔61cと、シャフト側端面部61aとは反対側の端面部(反シャフト側端面部61b)に形成され第1ホルダ40の係止部50の通過を許容する反シャフト側通過孔61dと、反シャフト側端面部61bに形成される切欠61eと、を有する
シャフト側通過孔61cは、ギヤ側において、第2ホルダ本体部61の外周面に開口する。反シャフト側通過孔61dは、反ギヤ側において第2ホルダ本体部61の外周面に開口する。
シャフト側通過孔61c及び反シャフト側通過孔61dは、それぞれ収容凹部62に連通する。収容凹部62に収容された第1ホルダ40の係止部50は、反シャフト側通過孔61dを通じて、第2ホルダ本体部61の反シャフト側に突出する。
回り止め軸部65は、切欠61eの底部に形成され、第2軸受11の中心軸から径方向に離間した位置に設けられる。回り止め軸部65は、図14に示すように、ギヤケース3に設けられる挿入孔3eに挿入されて、ホルダ30の回転を防止する。取付軸部66の構成は、後に説明する。
ねじりばね80は、図4及び図12に示すように、線材が環状に巻かれたコイル部81と、腕部としての第1腕部82及び第2腕部83と、を有する。第1腕部82は、コイル部81の一端部から延びて設けられ、第2腕部83は、コイル部81の他端部から第1腕部82とは反対側へ伸びて設けられる。第1腕部82及び第2腕部83は、それぞれ拡張されて第1ホルダ40の係止部50及び第2ホルダ60の補助係止部70に係止される。コイル部81には、第2ホルダ60の回り止め軸部65が挿通する。これにより、ねじりばね80は、第1腕部82及び第2腕部83が巻き込まれる方向の付勢力を発揮する。言い換えれば、ねじりばね80は、第1ホルダ40の保持部42と第2ホルダ60の補助保持部64とが第3方向に沿って互いに近づくような付勢力を発揮する。また、第1腕部82及び第2腕部83が拡張されて係止部50及び補助係止部70に係止されるため、コイル部81が回り止め軸部65のまわりを回転することはない。
第1ホルダ40は、ねじりばね80の付勢力によって、第3方向のギヤ側へ向かって押圧される。これにより、ねじりばね80は、ウォームシャフト2の歯部2aとウォームホイール1の歯部との隙間が小さくなる方向に第2軸受11を付勢する。つまり、ねじりばね80は、第2軸受11を介してウォームシャフト2をウォームホイール1に向けて付勢するものである。ねじりばね80の支持構造については、後に詳細に説明する。
次に、主に図12及び図13を参照して、ねじりばね80の支持構造について説明する。
本実施形態では、第1ホルダ40の係止部50と第2ホルダ60の補助係止部70とによって、ねじりばね80の第1腕部82及び第2腕部83が支持される。より具体的には、係止部50及び補助係止部70は、ねじりばね80が第1付勢方向及び第1付勢方向とは異なる第2付勢方向の2方向に付勢力を発揮するように、第1腕部82及び第2腕部83を支持可能である。第1付勢方向と第2付勢方向は、それぞれ第2軸受11及び第1ホルダ40が移動する方向(第3方向)に対して傾斜する方向である。
第1ホルダ40の係止部50は、第1付勢方向に付勢力を発揮するようにねじりばね80を支持可能な第1係止部51と、第2付勢方向に付勢力を発揮するようにねじりばね80を支持可能な第2係止部52と、を有する。第1係止部51と第2係止部52は、第3方向に平行な基準面Mに対して鏡面対称に設けられる。第1係止部51と第2係止部52とは、それぞれ第1付勢方向及び第2付勢方向に沿って凸となるような湾曲した形状に形成される。
第2ホルダ60の補助係止部70は、係止部50の第1係止部51とともに第1付勢方向に付勢力を発揮するようにねじりばね80を支持可能な第1補助係止部71と、係止部50の第2係止部52とともに第2付勢方向に付勢力を発揮するようにねじりばね80を支持可能な第2補助係止部72と、を有する。つまり、第1係止部51と第1補助係止部71は、第1付勢方向に沿って並んで設けられ、第2係止部52と第2補助係止部72は、第2付勢方向に沿って並んで設けられる。
係止部50と同様に、補助係止部70における第1補助係止部71と第2補助係止部72は、第3方向に平行な基準面Mに対して鏡面対称に設けられる。第1補助係止部71と第2補助係止部72とは、それぞれ第1付勢方向及び第2付勢方向に沿って凸となるような湾曲した形状に形成される。本実施形態では、第1,第2係止部51,52と第1,第2補助係止部71,72とは、それぞれ同様の湾曲形状に形成される。なお、第1係止部51と第2係止部52は、本実施形態に係る形状に限らず、それぞれ腕部が係止した場合に、第1付勢方向及び第2付勢方向に付勢力を発揮するようにねじりばね80を支持する形状であればよい。
ねじりばね80の第1腕部82は、先端が係止部50及び補助係止部70の湾曲形状に対応した形状を有する第1湾曲部82aを有する。ねじりばね80の第2腕部83は、係止部50及び補助係止部70の湾曲形状に対応した形状を有する第2湾曲部83aを有する。
第1腕部82及び第2腕部83は、コイル部81から拡張された状態で係止部50及び補助係止部70に係止される。よって、ねじりばね80は、第1腕部82及び第2腕部83がコイル部81に向けて収縮するような巻き込み方向の付勢力を発揮する。これにより、ねじりばね80によって、第2軸受11及びウォームシャフト2がウォームホイール1に向けて押圧される。
第1腕部82の第1湾曲部82aは、係止部50の第1係止部51に係止可能であるとともに、補助係止部70の第2補助係止部72にも係止可能に形成される。第2腕部83の第2湾曲部83aは、係止部50の第2係止部52に係止可能であるとともに、補助係止部70の第1補助係止部71にも係止可能に形成される。このため、第2腕部83は、第1係止部51よりも長く形成されている。
ねじりばね80によって第1付勢方向に付勢力を発揮させる場合には、図12に示すように、第1腕部82の第1湾曲部82aが第1ホルダ40の第1係止部51に係止するとともに、第2腕部83の第2湾曲部83aが第2ホルダ60の第1補助係止部71に係止する。これにより、ねじりばね80によって第1付勢方向に沿った付勢力が第2軸受11に付与される。この場合、第1係止部51に係止して第1ホルダ40を介して第2軸受11を押圧する第1腕部82が「腕部」に相当し、第2ホルダ60の第1補助係止部71に係止する第2腕部83が「補助腕部」に相当する。
ねじりばね80によって第2付勢方向に付勢力を発揮させる場合には、図13に示すように、第2腕部83の第2湾曲部83aが第1ホルダ40の第2係止部52に係止するとともに、第1腕部82の第1湾曲部82aが第2ホルダ60の第2補助係止部72に係止する。これにより、ねじりばね80によって第2付勢方向に沿った付勢力が第2軸受11に付与される。この場合、第1ホルダ40の第2係止部52に係止して第1ホルダ40を介して第2軸受11を押圧する第2腕部83が「腕部」に相当し、第2ホルダ60の第2補助係止部72に係止する第1腕部82が「補助腕部」に相当する。
つまり、第1付勢方向に付勢力を発揮する状態(図12に示す状態)から、ねじりばね80を裏返して(反転させて)第1腕部82及び第2腕部83を係止部50及び補助係止部70に係止させれば、第2付勢方向に付勢力を発揮する状態(図13に示す状態)となる。
このように、第1腕部82及び第2腕部83は、それぞれねじりばね80の付勢方向に応じて、「腕部」としても機能し、「補助腕部」としても機能する。これによれば、第1腕部82及び第2腕部83と係止部50及び補助係止部70との間の係止関係を反対にするだけで、共通のねじりばね80と共通の第1ホルダ40及び第2ホルダ60によって、第2軸受11を2つの付勢方向に付勢(押圧)することができる。したがって、付勢方向ごとに専用の部品を製造する必要がなく、製造コストを低減することができる。
ここで、パワーステアリング装置100は、右ハンドル車に搭載される場合と左ハンドル車に搭載される場合とで、構成が異なる。具体的には、ラック軸8に対する出力軸22の傾斜角度が車両中心に対して反転するため、ウォームホイール1のねじれ方向が互いに反対となる。このため、ねじりばね80が噛み合い部に付与する適切な付勢力の方向は、右ハンドル車と左ハンドル車とにおいても、互いに異なる。
これに対し、本実施形態では、係止部50及び補助係止部70によって、それぞれ第1付勢方向と第2付勢方向との異なる方向に付勢力を発揮できるように、ねじりばね80を支持することができる。このため、例えば、第1付勢方向を右ハンドル車において噛み合い部に適切な付勢力を発揮する方向とし、第2付勢方向を左ハンドル車において噛み合い部に適切な付勢力を発揮する方向とすればよい。これによれば、パワーステアリング装置100が右ハンドル車と左ハンドル車のいずれに搭載される場合であっても、共通のホルダ30及びねじりばね80とすることができる。このように、共通のホルダ30を使用することができるため、ホルダ30を製造するための金型等も共通化でき、製造コストを低減することができる。
次に、図10及び図14を参照して、ギヤケース3へのホルダ30の取付構造について説明する。
取付軸部66は、図10及び図14に示すように、中実円柱状の本体軸部66aと、本体軸部66aの外周面から径方向外側に突出する複数の突起部66bと、を有する。このように、取付軸部66は、いわゆるファーツリー形状に形成される。突起部66bは、本体軸部66aの軸方向に並んで複数設けられるとともに、本体軸部66aを挟んで対称に2列に並んで設けられる。
ギヤケース3の収容孔3dの底部には、取付孔3fが形成される。取付孔3fは、内周面に環状の係止溝3gを有する。より具体的には、取付孔3fは、めねじ加工が施されたねじ孔であり、係止溝3gは、ねじ溝である。取付孔3fの内径は、取付軸部66の本体軸部66aの外径より大きく、本体軸部66aを挟んだ突起部66bの先端どうしの長さ(取付軸部66の径方向の最大幅)よりも小さく形成される。係止溝3gは、取付軸部66の各突起部66bを収容する形状に形成される。なお、係止溝3gは、ねじ溝に限らず、例えば、取付軸部66の各突起部66bに対応して設けられ、互いに独立して形成される複数の環状溝であってもよい。
ギヤケース3へのホルダ30の取り付けは、取付軸部66を取付孔3fに挿入することで行われる。取付軸部66を取付孔3fに挿入すると、各突起部66bは、弾性変形されながら係止溝3gに収容される。取付孔3fの内径は、取付軸部66の径方向の最大幅よりも小さいため、突起部66bは、係止溝3gの内壁に係止される。これにより、ホルダ30は、突起部66bと係止溝3gとが接触することで、収容孔3dの底部から離間する方向(第1方向)への移動が規制される。このようにして、ホルダ30は、ギヤケース3に取り付けられる。
取付軸部66は、第2軸受11の径方向において、第2軸受11の軸受孔11dが設けられる範囲内、より具体的には、第2軸受11と同軸上に設けられる。これにより、第2軸受11の軸受孔11dを通じて第2ホルダ本体部61を押すようにして取付軸部66を取付孔3fに挿入することで、取付軸部66に力を効率よく伝達できると共に、第2軸受11に力を付与することなくホルダ30をギヤケース3に取り付けることができる。よって、第2軸受11を損傷させることなく、容易にホルダ30をギヤケース3に取り付けることができる。
以上のように、取付軸部66をギヤケース3に設けられる取付孔3fに挿入するだけで、第2軸受11の軸方向におけるホルダ30の移動を規制し、ホルダ30をギヤケース3に取り付けることができる。このため、ホルダ30の外周にキャップなどの部材を設ける必要がなく、キャップをギヤケース3に圧入するための冶具も不要となる。したがって、簡易な構成でホルダ30をギヤケース3に取り付けることができる。
また、回り止め軸部65と挿入孔3eとの間のクリアランスは、取付軸部66の突起部66bと取付孔3fの係止溝3gとの間のクリアランスよりも大きい。このため、ホルダ30に径方向の力が作用した際には、突起部66bと係止溝3gの底部とが先に接触する。よって、ホルダ30は、突起部66bの弾性力によって、ギヤケース3に対して弾性支持される。これにより、回り止め軸部65と挿入孔3eとの干渉が回避されるため、ウォームホイール1からの反力が回り止め軸部65(特に根元部)に応力集中することが防止され、ホルダ30の耐久性を向上させることができる。
次に、ホルダ30及びパワーステアリング装置100の組み立てについて説明する。
ホルダ30の組み立てでは、まず、第2軸受11を第1ホルダ40の保持部42の内側に保持させる。この状態で、第1ホルダ40及び第2軸受11を、第2ホルダ60のホルダ開口部62aを通じて収容凹部62に収容する。これにより、第1ホルダ40の係止部50は、第2ホルダ60の反シャフト側通過孔61dを通じて、ホルダ30に対して反シャフト側(背面側)に露出する。
次に、ねじりばね80のコイル部81に回り止め軸部65を挿通し、第1腕部82及び第2腕部83を拡張させながら、係止部50及び補助係止部70に係止する。これにより、ねじりばね80は、第1腕部82及び第2腕部83が巻き込まれる方向の付勢力を発揮し、第1ホルダ40の保持部42と第2ホルダ60の補助保持部64とが互いに近づくように付勢される。よって、ギヤケース3にホルダ30が収容された状態では、第1ホルダ40を通じて第2軸受11は第3方向のギヤ側に向けて付勢される。
また、ねじりばね80によって保持部42及び補助保持部64が互いに近づくような付勢力が発揮されるため、ギヤケース3にホルダ30を収容する前の状態では、ねじりばね80の付勢力によって第1ホルダ40、第2ホルダ60、及び第2軸受11が分離せず、一体化される。つまり、ねじりばね80は、第1ホルダ40及び第2ホルダ60を係止する係止部材としても機能する。
次に、ホルダ30をギヤケース3の収容孔3dに組み付ける。具体的には、第2ホルダ60の取付軸部66をギヤケース3の取付孔3fに挿入しつつ、第2ホルダ60の回り止め軸部65を挿入孔3eに挿入するようにして、ホルダ30を収容孔3dに収容する。これにより、取付軸部66によってギヤケース3の収容孔3dでのホルダ30の軸方向の移動が防止されるとともに、回り止め軸部65によって収容孔3d内でのホルダ30の回転が防止される。この際、上述のように、ねじりばね80の付勢力によって、第1ホルダ40、第2ホルダ60、及び第2軸受11が一体化されているため、ギヤケース3へのホルダ30及び第2軸受11の組み付けを容易に行うことができる。
ホルダ30をギヤケース3に組み付けた後、ウォームシャフト2の先端部を第2軸受11の軸受孔11dに挿入することによって、パワーステアリング装置100の組み立てが完了する。
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、以下の変形例と上記実施形態の各構成とを組み合わせたり、以下の変形例と後述の他の実施形態及びその変形例と組み合わせたり、以下の変形例同士を組み合わせたりすることも可能である。また、上記実施形態の説明において記載された変形例についても同様に、他の変形例や他の実施形態と組み合わせることが可能である。
まず、ホルダ30の取付構造に関する変形例について説明する。
上記実施形態では、取付軸部66は、中実の本体軸部66aと、本体軸部66aの外周面に軸方向に沿って2列に並んで設けられる複数の突起部66bと、を有する。これに対し、本体軸部66aが中空に形成されてもよい。本体軸部66aを中空に形成する場合、例えば、本体軸部66aに端面から形成され外周面に開口するスリットを設けてもよいし(図15参照)、中心を通る孔(図示省略)を形成してもよい。この場合、本体軸部66aの軸方向において、突起部66bが設けられる範囲を中空にすることが望ましい。これによれば、本体軸部66aが径方向に弾性変形可能となるため、取付軸部66によってホルダ30をギヤケース3に対してより安定して弾性支持することができる。
また、突起部66bは、本体軸部66aの外周に環状に形成されるものでもよい。また、突起部66bは、本体軸部66aに対して傾斜するように本体軸部66aの外周面から第2ホルダ本体部61に向けて延びて形成され、取付孔3fの係止溝3gから抜けにくくするような、かえし構造としてもよい。
次に、その他の変形例について説明する。
上記実施形態では、ホルダ30は、互いに相対移動可能な第1ホルダ40と第2ホルダ60の2つの部材で構成され、付勢部材としてのねじりばね80によって、第1ホルダ40を介して第2軸受11を反ギヤ側へ押圧する。これに対し、付勢部材は、ねじりばね80に限らず、コイルばねなどその他の部材でもよい。また、ホルダ30は、単一の部材で構成されるものでもよい。この場合、付勢部材によってホルダを介して第2軸受を押圧するものでもよいし、第2軸受11をホルダ30内で移動可能に構成し、付勢部材が第2軸受11に接触して直接第2軸受11を押圧するものでもよい。
このように、本実施形態では、第2軸受11を保持するホルダ30の構成及び第2軸受11を付勢する付勢部材の構成は任意のものとしてよい。ホルダ30及び付勢部材の構成がいずれであっても、ホルダ30が、突起部66bを有するいわゆるファーツリー形状に形成される取付軸部66を有することで、簡易な構成によりホルダ30をギヤケース3に取り付けることができる。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
パワーステアリング装置100では、ねじりばね80のコイル部81を挿通する回り止め軸部65がホルダ30の第2ホルダ60に設けられ、コイル部81から延びる第1腕部82によって第2軸受11が押圧される。このため、コイル部81の巻径をウォームシャフト2の端部の径よりも小さくすることができ、小型のねじりばね80によって第2軸受11及びウォームシャフト2をウォームホイール1に向けて押圧することができる。また、コイル部81、第1腕部82、第2腕部83、及び回り止め軸部65の構成は、任意の形状とすることができるため、構成をコンパクトにすることができる。つまり、ねじりばね80の形状は、ウォームシャフト2や第2軸受11の形状によって制限を受けないため、コンパクト化することができる。したがって、パワーステアリング装置100を小型化することができる。
また、回り止め軸部65は、ねじりばね80のコイル部81を支持する軸部であるとともに、ギヤケース3の収容孔3dに設けられる挿入孔3eに挿入されてホルダ30の回転を防止する回り止め機能を発揮する。このように、コイル部81を支持する軸部とホルダ30の回転を防止する軸部とを共通化することができ、ホルダ30の製造が容易になる。
また、係止部50及び補助係止部70は、それぞれ第1付勢方向に付勢力を発揮するようにねじりばね80を支持する第1係止部51及び第1補助係止部71と、第2付勢方向に付勢力を発揮するようにねじりばね80を支持する第2係止部52及び第2補助係止部72と、を有する。さらに、第1腕部82は、第1係止部51に係止可能であるとともに第2補助係止部72に係止可能であり、第2腕部83は、第2係止部52に係止可能であるとともに第1補助係止部71に係止可能である。よって、共通のねじりばね80によって、第1付勢方向及び第2付勢方向のいずれにも付勢力を発揮することができるため、付勢方向に応じて専用のねじりばね80及びホルダ30を製造する必要がなく、製造コストを低減することができる。
また、ホルダ30は、第1ホルダ40及び第2ホルダ60を有し、ねじりばね80は、第1ホルダ40と第2ホルダ60にわたって設けられる。ねじりばね80は、巻き込み方向の付勢力を発揮して、ウォームシャフト2をウォームホイール1に向けて押圧するとともに、第1ホルダ40と第2ホルダ60とを一体化する。このように、ねじりばね80の付勢力によって第1ホルダ40、第2ホルダ60、及びこれらに保持される第2軸受11が一体化されるため、ホルダ30及び第2軸受11をギヤケース3に組み付けやすくなる。また、第1ホルダ40と第2ホルダ60を一体化する部品を別途設ける必要がないため、低コストでホルダ30の組付け性を向上させることができる。
また、パワーステアリング装置100では、ホルダ30は、ファーツリー形状の取付軸部66を有する。ホルダ30の取付軸部66をギヤケース3の取付孔3fに挿入するだけで、第2軸受11の軸方向におけるホルダ30の移動を規制し、ホルダ30をギヤケース3に取り付けることができる。このため、ホルダ30の外周に設けられるキャップなどの部材が必要なく、ホルダ30をギヤケース3に取り付けるための冶具も不要である。したがって、ホルダ30を簡易な構成とすることができ、ギヤケース3に容易に取り付けることができる。
また、取付軸部66は、第2軸受11の径方向において、第2軸受11の軸受孔11dが設けられる範囲内に設けられる。これにより、軸受孔11dを通じて第2ホルダ60を押圧して取付軸部66を取付孔3fに挿入することで、取付軸部66に力を効率よく伝達できるとともに、第2軸受11を押圧することがないため第2軸受11の損傷を防止することができる。
また、第2ホルダ60の回り止め軸部65とギヤケース3の挿入孔3eとの間のクリアランスは、取付軸部66の突起部66bと取付孔3fの係止溝3gとの間のクリアランスよりも大きい。このため、ホルダ30は、取付軸部66の突起部66bによって生じる弾性力によって弾性支持されて、回り止め軸部65と挿入孔3eとの干渉を防止することができる。したがって、ウォームホイール1からの反力が回り止め軸部65の根元部に応力集中することが防止され、ホルダ30の耐久性を向上させることができる。
また、取付軸部66の本体軸部66aが中空に形成される場合には、取付軸部66の弾性力が大きくなり、ホルダ30をより安定してギヤケース3に対して弾性支持することができる。これにより、回り止め軸部65の根元部の応力集中を防止することができる。
(第2実施形態)
次に、図16を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
上記第1実施形態では、第2ホルダ60において、回り止め軸部65と取付軸部66とは、径方向に離間している。
これに対し、第2実施形態では、回り止め軸部165と取付軸部166とが同軸上に形成される点において、上記第1実施形態とは相違する。
図16に示すように、第2実施形態に係るホルダ130は、第2ホルダ60の第2ホルダ本体部61から突出して形成される回り止め軸部165と、回り止め軸部165の先端において回り止め軸部165と同軸上に形成される取付軸部166と、を有する。
回り止め軸部165及び取付軸部166は、第2軸受11の中心軸から径方向に離間した位置に形成される。
ギヤケース3には、収容孔3dの底部に開口して形成され回り止め軸部165が挿入される挿入孔103eと、挿入孔103eと連続し取付軸部166が係止される取付孔103fと、が同軸上に形成される。
第1実施形態と同様に、挿入孔103eには、回り止め軸部165が勘合する。また、取付孔103fには、本体軸部167が挿入され、内周には突起部168が係止する係止溝103gが形成される。上記第1実施形態と同様に、取付軸部166の突起部168が取付孔103fの係止溝103gに係止されることで、ホルダ130は、ギヤケース3に取り付けられる。
なお、第1実施形態と同様に、回り止め軸部165は、ねじりばね80のコイル部81を挿通し、ねじりばね80を支持する軸部としても機能する。
以上の第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、以下に示す効果を奏する。
第2実施形態によれば、ホルダ130の回転を防止する回り止め軸部165と、ホルダ130の軸方向の移動を防止する取付軸部166と、を一体的に形成することができるため、加工が容易になる。また、ホルダ130をギヤケース3に組み付ける際、単一の孔と軸とによって組み付けを行うことができるため、複数の孔及び軸が設けられる場合と比較して、ホルダ130の組み付けが容易になる。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
パワーステアリング装置100は、電動モータ7の駆動に伴って回転するウォームシャフト2と、ウォームシャフト2に噛み合うウォームホイール1と、ウォームシャフト2の先端側を回転自在に支持する第2軸受11と、ウォームシャフト2を収容するギヤケース3と、ギヤケース3に設けられる収容孔3dに収容され、第2軸受11を収容するホルダ30と、第2軸受11をウォームホイール1へ向けて付勢するねじりばね80と、を備え、ホルダ30は、ギヤケース3の収容孔3dの底部に設けられる取付孔3fに係止され第2軸受11の軸方向へのホルダ30の移動を防止する取付軸部66を有し、取付軸部66は、本体軸部66aと、本体軸部66aの外周面から径方向外側に突出する複数の突起部66bと、を有する。
また、取付孔3fは、突起部66bが接触して収容孔3dの底部から離間する方向へのホルダ30の移動を規制する係止溝3gを有する。
これらの構成では、ホルダ30の取付軸部66をギヤケース3における収容孔3dの取付孔3fに挿入するだけで、第2軸受11の軸方向におけるホルダ30の移動を規制し、ホルダ30をギヤケース3に取り付けることができる。このため、ホルダ30の取り付けのための部材を別途設ける必要がなく、取り付けのための冶具も不要である。したがって、簡易な構成でホルダ30をギヤケース3に取り付けることができる。
また、ホルダ30は、ギヤケース3の収容孔3dの底部に設けられる挿入孔3eに挿入されてホルダ30の回転を規制する回り止め軸部65をさらに有し、回り止め軸部65と挿入孔3eとの間のクリアランスは、突起部66bと係止溝3gとの間のクリアランスよりも大きい。
この構成では、ウォームホイール1から反力が作用した際、回り止め軸部65と挿入孔3eとが接触するよりも先に取付軸部66の突起部66bと係止溝3gとが接触するため、取付軸部66によってホルダ30を安定して弾性支持することができる。これにより、回り止め軸部65に反力が応力集中することが防止され、ホルダ30の耐久性を向上させることができる。
また、取付軸部66は、回り止め軸部65の先端に回り止め軸部65と同軸上に設けられ、挿入孔3eは、収容孔3dの底部に開口し、取付孔3fは、挿入孔3eと同軸上に設けられる。
この構成では、取付軸部66と回り止め軸部65とが一体的に形成できるため、別々に形成される場合と比較して、軸部と孔との位置合わせが容易となり、組み立て性が向上する。
また、本体軸部66aは、中空形状に形成される。
この構成では、本体軸部66aの弾性力が大きくなるため、ホルダ30をギヤケース3に対してより安定して弾性支持することができる。よって、ウォームホイール1からホルダ30に作用する反力を吸収することができ、ホルダ30の耐久性を向上させることができる。
また、取付孔3fは、第2軸受11の径方向において、第2軸受11の軸受孔11dが設けられる範囲内に設けられる。
この構成では、軸受孔11dを通じてホルダ30を押圧することで、取付軸部66に効率よく力を伝達できるとともに、第2軸受11には力が作用しない。よって、ホルダ30の組み立て性が向上するとともに第2軸受11の損傷を防止できる。
また、本明細書には、以下の発明も含まれる。
パワーステアリング装置100は、電動モータ7の駆動に伴って回転するウォームシャフト2と、ウォームシャフト2に噛み合うウォームホイール1と、ウォームシャフト2の先端側を回転自在に支持する第2軸受11と、ウォームシャフト2を収容するギヤケース3と、ギヤケース3に設けられる収容孔3dに収容され、第2軸受11を収容するホルダ30,130と、第2軸受11をウォームホイール1へ向けて付勢するねじりばね80と、を備え、ねじりばね80は、ホルダ30,130に設けられる軸部(回り止め軸部65,165)が挿通するコイル部81と、コイル部81から延びて第2軸受11を押圧する腕部(第1腕部82)と、を有する。
この構成では、コイル部81を挿通する軸部(回り止め軸部65,165)がホルダ30,130に設けられ、コイル部81から延びる腕部(第1腕部82)によって第2軸受11が押圧されるため、コイル部81の巻径を小さくすることができる。したがって、パワーステアリング装置100を小型化することができる。
また、軸部は、ホルダ30,130に設けられると共に、収容孔23dの底部に設けられる挿入孔3eに挿入されてホルダ30,130の回転を規制する回り止め軸部65,165である。
この構成では、ねじりばね80のコイル部81を支持する軸部と、ホルダ30,130の回転を防止する軸部とが共通化されるため、製造が容易になり、コストを低減することができる。
また、ホルダ30,130は、軸受を収容する第1ホルダ40と、軸受の移動を案内するガイド部を有する第2ホルダ60と、を有し、軸部は、第2ホルダ60に設けられ、第1ホルダ40は、ねじりばね80の腕部(第1腕部82,第2腕部83)が係止される係止部50を有し、ねじりばね80は、腕部(第1腕部82,第2腕部83)によって第1ホルダ40の係止部50を押圧することにより、ウォームホイール1に向けて第2軸受11を押圧する。
また、上記各実施形態では、ねじりばね80は、巻き込み方向の付勢力を発揮する。
これらの構成では、ねじりばね80は、第1ホルダ40と第2ホルダ60とにわたって設けられて巻き込み方向の付勢力を発揮するため、ねじりばね80の付勢力によって第1ホルダ40と第2ホルダ60とが一体化される。これにより、ギヤケース3へのホルダ30,130の取り付けが容易になる。
また、ねじりばね80は、コイル部81から腕部(第1腕部82,第2腕部83)とは反対側に延びる補助腕部(第2腕部83,第1腕部82)をさらに有し、第2ホルダ60は、補助腕部(第2腕部83,第1腕部82)が係止される補助係止部70をさらに有する。
また、係止部50は、腕部(第1腕部82,第2腕部83)が係止されることでねじりばね80を第1付勢方向に付勢力を発揮するように支持可能な第1係止部51と、腕部(第1腕部82,第2腕部83)が係止されることでねじりばね80を第1付勢方向とは異なる第2付勢方向に付勢力を発揮するように支持可能な第2係止部52と、を有し、補助係止部70は、補助腕部(第2腕部83,第1腕部82)が係止されることで第1係止部51とともに第1付勢方向に付勢力を発揮するようにねじりばね80を支持可能な第1補助係止部71と、補助腕部(第2腕部83,第1腕部82)が係止されることで第2係止部52とともに第2付勢方向に付勢力を発揮するようにねじりばね80を支持可能な第2補助係止部72と、を有し、腕部(第1腕部82,第2腕部83)は、第1係止部51及び第2係止部52のいずれかに係止され、補助腕部(第2腕部83,第1腕部82)は、腕部(第1腕部82,第2腕部83)が係止される第1係止部51又は第2係止部52に対応してねじりばね80を支持するように、第1補助係止部71及び第2補助係止部72のいずれかに係止される。
これらの構成では、第1係止部51と第2係止部52のいずれにより腕部(第1腕部82,第2腕部83)を係止するかによって、ねじりばね80による付勢方向を変更することができる。これにより、左ハンドル車及び右ハンドル車のそれぞれに対して共通のホルダ30を使用することができる。したがって、パワーステアリング装置100の製造コストを低減することができる。
また、腕部(第1腕部82,第2腕部83)は、第1ホルダ40に設けられる第1係止部51に係止可能であるとともに、第2ホルダ60に設けられる第2補助係止部72に係止可能に形成され、補助腕部(第2腕部83,第1腕部82)は、第2ホルダ60に設けられる第1補助係止部71に係止可能であるとともに、第1ホルダ40に設けられる第2係止部52に係止可能に形成される。
この構成では、共通のねじりばね80によって、第1付勢方向及び第2付勢方向のいずれの方向にも付勢力を発揮することができるため、左ハンドル車及び右ハンドル車のそれぞれに対して、ホルダ30,130及びねじりばね80を共通に使用することができる。したがって、パワーステアリング装置100の製造コストを低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上記各実施形態では、ウォームホイール1はステアリングシャフトの出力軸に設けられる。この構成に代え、ウォームホイール1を、ステアリングシャフトとは別体に設けられラック軸に噛み合うピニオン軸に設けるようにしてもよい。