JP7269270B2 - スガマデクスおよびその中間体の製造方法 - Google Patents
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Description
関連物質について、14の異なる関連物質(関連物質A、組織48301、関連物質B、関連物質D、関連物質E、関連物質F、関連物質G、関連物質H、関連物質I、関連物質J、関連物質K、関連物質L、関連物質M、関連物質N)、他の個別の関連物質、および全ての関連物質についての明細書が提出される。規制審査の過程で、バッチ分析の結果に基づいて、4つの異なる関連物質(関連物質A、関連物質D、関連物質F、関連物質G)に限定する明細書を変更した。関連物質(分解産物)について、関連物質E、関連物質I、関連物質C、関連物質G、関連物質D、関連物質K、他の個別の分解産物、および全ての分解産物についての明細書が定められた。規制審査の過程で、***(隠された部分)工程で生じる、不純物Aについての明細書が新たに提出され、バッチ分析および安定性試験の結果に基づいて、個別の分解生成物を限定する明細書が変更された。
薬物生成物の色の変化(淡黄褐色が暗くなった)の原因を、液体クロマトグラフィー-紫外-可視吸光度測定(LC-UV/VIS)および液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)を用いて調査したところ、単一の分解産物ではなく、微量の様々な不特定の分解産物(同定されていない)が含まれており、製剤開発において調査した***に加えて、***および***の原薬の内容物、薬物生成物の製造の間の***および***、並びに***が、薬物生成物の色に影響すると考えられることが示唆された。そのため、***および***は原薬の明細書に含まれ、関連する製造方法のステップが改善された。
そのため、単純で、便利で、簡単な処理手順を含み、経済的に効率が良いスガマデクスナトリウムの製造方法であって、スガマデクスナトリウムを高収率および高純度で生じる方法が提示される必要がある。
本発明の目的は、スガマデクスナトリウムの製造に用いられる重要な中間体である6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンの製造方法を提示することである。
本発明の他の目的は、スガマデクスナトリウムの製造方法を提示することである。
本発明の他の目的は、スガマデクスナトリウムを高収率および高純度で製造するための新規な方法を提示することである。
本発明の他の目的は、工業規模で便利に用いられる試薬の使用に関する、簡易なスガマデクスナトリウムの製造方法を提示することである。
本発明は、スガマデクスの製造において有用な、重要な中間体であるスガマデクスのハロ中間体、好ましくはスガマデクスのクロロ中間体の製造方法を提示する。さらに、本発明は、この中間体を用いたスガマデクスの製造方法を提示する。
第一の局面において、本発明は、ジメチルホルムアミドの存在下で、ガンマシクロデキストリンをトリホスゲンと反応させて、6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを得ることを含む、6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンの製造方法を提示する。
パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンの精製は、パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンをメタノールなどのアルコール性溶媒中に懸濁させて、懸濁液を攪拌し、濾過して、純粋なパーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを得ることに関する。
本発明によって得られた純粋なパーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンは、98%より高い純度を有する。
この方法を、以下のスキーム2に描写する。
第三の局面において、本発明はスガマデクスナトリウムの製造方法を提示する。
a)ジメチルホルムアミドの存在下で、ガンマシクロデキストリンをトリホスゲンと反応させて、6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを得ること;
b)リチウムアミド、ナトリウムアミド(ソーダアミド)またはカリウムアミドから選択されるアルカリ金属アミドの存在下で、6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを3-メルカプトプロピオン酸と反応させて、スガマデクスナトリウムを得ること。
1.リンハライドよりも扱いが便利である。
2.トリフェニルホスフィンの使用および、それによる副生成物としてのトリフェニルホスフィンオキシドの形成が回避され、それにより当該方法が工業的に実行可能になる。
3.面倒な処理手順を必要としない。
4.報告された方法で得られる黄褐色化合物と比較して、白色の化合物として6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを生じる。
5.6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンは、先行技術のペースト状の塊(褐色)と比較して、流動性粉末である。
a)ジメチルホルムアミドの存在下で、ガンマシクロデキストリンをトリホスゲンと反応させて、6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを得ること;
b)リチウムアミド、ナトリウムアミド(ソーダアミド)またはカリウムアミドおよびジメチルホルムアミドから選択されるアルカリ金属アミドの存在下で、6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを3-メルカプトプロピオン酸と反応させて、スガマデクスナトリウムを得ること;
c)適宜、スガマデクスナトリウムを精製して、純粋なスガマデクスナトリウムを得ること。
a)ジメチルホルムアミドの存在下で、ガンマ-シクロデキストリンをトリホスゲンと反応させて、パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを得ること;
b)水酸化ナトリウムの存在下で、パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを3-メルカプトプロピオン酸と反応させて、スガマデクスナトリウムを生成すること;
c)適宜、スガマデクスナトリウムを精製すること。
a)ジメチルホルムアミドの存在下で、ガンマ-シクロデキストリンをトリホスゲンと反応させて、パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを得ること;
b)ジメチルホルムアミドの存在下で、3-メルカプトプロピオン酸および水酸化カリウムを反応させて、3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩の溶液を得ること;
c)ステップb)で得られた3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩を、スガマデクスのハロ中間体、好ましくは、式IIIのスガマデクスのクロロ中間体で処理して、スガマデクスの酸のカリウム塩を含む生成物を得ること;
d)ステップc)の化合物を酸で処理して、式(IV)の化合物を得ること;
e)式(IV)の化合物を水酸化ナトリウムと反応させて、スガマデクスナトリウムを得ること;
f)適宜、スガマデクスナトリウムを精製すること。
a)スガマデクスのハロ中間体、好ましくは式IIIのスガマデクスのクロロ中間体を、3-メルカプトプロピオン酸および水酸化カリウムと反応させて、スガマデクスの酸のカリウム塩を含む生成物を得ること
b)ステップa)で得られた化合物を酸で処理して、式(IV)の化合物を生成すること;
a)ジメチルホルムアミドの存在下で、3-メルカプトプロピオン酸および水酸化カリウムを反応させて、3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩の溶液を得ること
b)ステップa)で得られた3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩を、スガマデクスのハロ中間体、好ましくは式IIIのスガマデクスのクロロ中間体で処理して、スガマデクスの酸のカリウム塩を含む生成物を得ること
c)ステップb)で得られた化合物を、酸で処理して、式(IV)の化合物を得ること。
化合物、6-パーデオキシ-6-パー-ハロガンマシクロデキストリンおよびスガマデクスのハロ中間体は、本明細書で同義に用いられる。
6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンおよびスガマデクスのクロロ中間体は、本明細書で同義に用いられる。
a)ガンマ-シクロデキストリンを、トリホスゲンまたはオキサリルクロリドと、DMFの存在下、60-80℃の温度で、12-18時間にわたって反応させて、スガマデクスのクロロ中間体を得ること;
b)スガマデクスのクロロ中間体を、スガマデクスナトリウムに変換すること。
水酸化ナトリウムの存在下で、6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを、3-メルカプトプロピオン酸と反応させて、スガマデクスナトリウムを得ること;
あるいは
リチウムアミド、ナトリウムアミド(ソーダアミド)またはカリウムアミドから選択されるアルカリ金属アミドの存在下で、6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを3-メルカプトプロピオン酸と反応させて、スガマデクスを得ること
あるいは
(a)ジメチルホルムアミドの存在下で、3-メルカプトプロピオン酸および水酸化カリウムを反応させて、3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩の溶液を得ること
(b)ステップa)で得られた3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩を、スガマデクスのハロ中間体、好ましくは式IIIのスガマデクスのクロロ中間体で処理して、スガマデクスの酸のカリウム塩を含む生成物を得ること
(c)ステップb)で得られた生成物を、酸で処理して、式(IV)の化合物を得ること;
(d)式(IV)の化合物を、水酸化ナトリウムと反応させて、式(I)のスガマデクスナトリウムを得ること。
a)ジメチルホルムアミドの存在下で、ガンマシクロデキストリンをオキサリルクロリドと反応させて、6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを得ること;
b)リチウムアミド、ナトリウムアミド(ソーダアミド)またはカリウムアミドから選択されるアルカリ金属アミドの存在下で、6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを3-メルカプトプロピオン酸と反応させて、スガマデクスナトリウムを得ること。
a)ジメチルホルムアミドの存在下で、ガンマ-シクロデキストリンをトリホスゲンまたはオキサリルクロリドと反応させて、パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを得ること;
b)水酸化ナトリウムの存在下で、パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンを3-メルカプトプロピオン酸と反応させて、スガマデクスナトリウムを生成すること;
c)適宜スガマデクスナトリウムを精製すること。
ステップa)の反応は、60-80℃の範囲の温度で行われる。
ステップa)の反応は、12-18時間にわたって行われる。
ステップb)の反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)およびジメチルスルホキシド(DMSO)から成る群から選択される有機溶媒の存在下で行われる。
ステップb)の反応は、70-90℃の範囲の温度で行われる。
ステップb)の反応は、16-20時間にわたって行われる。
ステップc)におけるスガマデクスの精製は、以下のステップを含む;
1)スガマデクスナトリウムを第一溶媒に溶解させて、溶液を得ること
2)得られた溶液を活性化炭素で処理すること
3)ステップii)の溶液を濾過して、濾液を分離すること、および
4)ステップiii)の濾液に第二溶媒を加え、純粋なスガマデクスナトリウムを得ること。
精製方法において用いられる第一溶媒は、水、アセトン、DMF、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどのアルコール、並びに/またはそれらの混合物から成る群から選択される。
精製方法において用いられる第二溶媒は、アセトン、メタノール、アセトニトリルまたはそれらの混合物から選択される。
精製ステップは、50-80℃の範囲の温度で行われる。この精製によって得られるスガマデクスナトリウムは、90%より高い純度を有する。
a)ジメチルホルムアミドの存在下で、ガンマ-シクロデキストリンをオキサリルクロリドと反応させて、式(III)のスガマデクスのクロロ誘導体を得ること;
b)ジメチルホルムアミドの存在下で、3-メルカプトプロピオン酸および水酸化カリウムを反応させて、3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩の溶液を得ること
c)ステップb)で得られた3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩を、スガマデクスのハロ中間体、好ましくは式IIIのスガマデクスのクロロ中間体で処理して、スガマデクス酸のカリウム塩を含む生成物を得ること
d)ステップc)の生成物を酸で処理して、式(IV)の化合物を得ること;
e)式(IV)の化合物を水酸化ナトリウムで処理して、スガマデクスナトリウムを得ること。
ステップa)の反応は、60-80℃の範囲の温度で行われる。ステップa)の反応は、12-18時間にわたって行われる。
ステップb)の反応は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)およびジメチルスルホキシド(DMSO)から選択される有機溶媒の存在下で行うことができる。
ステップb)の反応は、0-10℃、好ましくは0-5℃で行われる。
ステップc)の反応は、80-140℃の範囲の温度、好ましくは110-120℃の温度で行われる。ステップc)の反応は、2から6時間、好ましくは1.5-2時間にわたって行われる。
ステップd)で用いられる酸は塩酸である。ステップc)の反応は、25-35℃の温度で行われる。ステップd)の反応は、1.5-2時間にわたって行われる。
ステップe)の反応は、25-35℃の範囲の温度で行われる。ステップe)の反応は、0.5-2時間にわたって行われる。当該方法を、スキーム8に描写する。
前記のスキーム8による、スガマデクスナトリウムの合成方法は、以下のステップを含む;
このステップにおいて、無水ジメチルホルムアミド(DMF)およびオキサリルクロリドの混合物を、1時間、5℃以下の温度で攪拌し、DMF中に溶解した乾燥ガンマ-シクロデキストリンの溶液をゆっくりとこの混合物に加える。溶液を65-70℃で16時間加熱する。反応が完了した後、反応混合物を室温まで冷却し、ジイソプロピルエーテルなどの溶媒を、攪拌しながら反応混合物に加える。溶媒を除去し、得られた析出したゴム状の固形物を0から5℃に冷却し、水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと加えて、約pH8に中和する。反応物質を0から5℃の温度で1時間攪拌し、析出した物質を濾過し、水で洗浄する。残留物を次いで、メタノールなどの溶液中に懸濁させ、攪拌し、濾過し、ジイソプロピルエーテルなどの溶媒で洗浄し、乾燥させて、6-デオキシ-6-クロロガンマシクロデキストリンを得る。
このステップにおいて、水酸化カリウムのDMFなどの溶媒中の溶液を、0-5℃に冷却し、これに、3-メルカプトプロピオン酸のDMFなどの溶媒中の溶液を加え、反応混合物の温度を0-5℃の間の温度で維持する。反応混合物を、次いで、この温度で約60分間攪拌し、3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩の透明な溶液を得る。3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩を含む透明な溶液を、DMF中の6-デオキシ-6-クロロガンマシクロデキストリンの溶液で処理する。混合物を約110-120℃で、約2時間加熱する。反応が完了した後、反応混合物を約40-50℃に冷却し、メタノールなどの溶媒で希釈する。得られた析出物を20-25℃で1時間攪拌し、真空で濾過する。湿った固体を次いで、激しく攪拌しながら水に溶解し、濃縮塩酸(HCl)などの酸で酸性化する。スガマデクス酸の析出した固形物を濾過し、酢酸エチルなどの溶媒中に懸濁させ、30分攪拌し、濾過し、乾燥する。得られたスガマデクス酸は、HPLCによって測定したところ、95%より高い純度を有する。
このステップにおいて、化合物、スガマデクス酸は、好ましくは水およびメタノールの溶媒の混合物中の水酸化ナトリウム溶液中に溶解する。反応混合物のpHを8-10の間に保ち、メタノールなどの貧溶媒を混合物に加える。析出したスガマデクスナトリウムの固形物を濾過して、メタノールなどの溶媒で洗浄し、真空オーブンで50℃で乾燥させる。
a)式(III)のスガマデクスのクロロ誘導体を、水酸化カリウムの存在下で、3-メルカプトプロピオン酸と反応させて、スガマデクスの酸のカリウム塩を含む生成物を得ること;
b)ステップb)の化合物を酸で処理して、式(IV)の化合物を得ること;
c)式(IV)の化合物を水酸化ナトリウムと反応させて、スガマデクスナトリウムを得ること。
本発明によって製造したスガマデクスナトリウムは、HPLCプロファイルによって特徴付けられ、90%より高い、好ましくは95%より高い純度を示す。
本発明において、純粋なスガマデクスナトリウムは、単純な処理手順を伴う簡単で便利な方法を用いて、副生成物/不純物の生成並びに、報告された方法において用いられるようなカラムクロマトグラフィーおよび透析などの精製技術を回避して、製造される。
興味深いことに、WO2014125501およびWO2012025937のいずれも、それぞれの方法で製造される最終生成物のスガマデクスナトリウム中に存在する異なる不純物について言及していない。
本発明に従って製造したスガマデクスナトリウムは、HPLCプロファイルを用いて特徴付けられ、95%より高い純度を示す。
反応生成物の生成はHPLCによってモニターする。本発明に従って製造したスガマデクスナトリウムは、好ましくは分取HPLCによって精製され、95%より高い、好ましくは98%より高いHPLC純度を有する、純粋なスガマデクスナトリウムを得る。
先行技術における精製技術は、大規模操作において高価で不便である、カラムクロマトグラフィー/膜透析技術を用いる。本発明の方法はさらに、スガマデクスナトリウムを高純度で生じる。
基本的な分取のクロマトグラフィー分離の条件は、
試薬:(1)アセトニトリル(HPLCグレード)、(2)メタノール(HPLCグレード)、(3)ミリQ水、(4)ギ酸
希釈剤:ジメチルホルムアミド
粗製溶液:
適切な分量のスガマデクスの酸を取り、DMF中に溶解させ、5分間超音波破砕し、必要に応じて濾過することによって、500mg/mLのスガマデクスの酸またはスガマデクスの溶液を調製する。
移動相-A
2.0mLのギ酸を、1000mlのミリQ水に移し、よく攪拌し、超音波破砕によって脱気して用いる。
移動相-B
それぞれ、アセトニトリル、メタノール(70:30)の混合物。
クロマトグラフィー条件:
カラム:Luna C18(3)、10μm粒子径。50mm内径のステンレススチールの分取カラムに充填されている。
流速:35ml/分。
検出:210nmのUV
注入量:20ml(注入濃度に応じて、~10.0gms/注入)
運転時間:115分
勾配プログラム:
スガマデクスのピークの保持時間(RT)は約85分である。
核磁気共鳴分光法(NMR)は、Avance III 400MHz NMRスペクトロメーターを用いて行われ(100MHzにおいて取得した13C NMRスペクトルについて)、化学シフトはδ(ppm)において報告した。
1)当該方法において、ハロシクロデキストリン中間体の製造のために、オキサリルハライドを用いることによって、副生成物が生成されないため、処理手順が著しく単純になり、得られる化合物は98%より高い純度を有する。この方法は、リン不純物を生成し、反応混合物から除去することが困難な、PPh3、PCl5などのリン試薬を回避する。さらに、これらの試薬を用いることは、大規模な商業的プロセスにおいては望ましくない。
2)水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)などの無機塩基が、反応を効率的で清潔にするために、当該方法において用いられる。報告されている水酸化ナトリウムおよびナトリウムメトキシドの使用には、無水反応条件が必要である。さらに、無水グレードの溶媒/試薬は非常に高価である。当該方法は経済的であり、反応の進行に厳密な無水条件を必要としない。
3)反応の終了に有する反応時間を大幅に減少する。
4)単純な酸塩基の処理手順によって、目的の化合物を、95%より高い純度で生じる。
6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリンの製造
メカニカルスターラー、容器中の温度計ポケットを備えた4つ口丸底フラスコ(2L)に、窒素雰囲気下で無水DMF(250mL)を加えた。トリホスゲン(36.5g、0.123mol)をフラスコに0-15℃で加え、混合物を1時間攪拌した。乾燥ガンマシクロデキストリン(20g、0.015mol)を、得られたスラリーに加えて、30分攪拌し、次いで、DMF(50mL)を加えた。反応混合物を65-70℃で16時間加熱した。反応が完了した後、反応混合物を冷却し、ジイソプロピルエーテル(800ml)を混合物に加えて、物質を析出させた。DMFおよびジイソプロピルエーテルの混合溶媒を、反応混合物からデカントして除き、褐色のゴム状物質を得た。反応塊を飽和重炭酸ナトリウム溶液(800ml)で処理して、固体の析出物を生じさせた。析出した固形物を濾過し、水(250×3ml)で洗浄して、乾燥させた。この化合物を精製することなく、次のステップで用いた。
収率:95%、HPLC純度:99%
6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマ-シクロデキストリンの製造
スターラー、滴下漏斗、窒素導入口、およびポケットと共に温度計を備えた、5Lの4つ口フラスコにおいて、オキサリルクロリド(293.8g、198.5ml、2315mmol)をDMF(1200ml)に加え、混合物を窒素下で0-5℃で維持し、次いで、20-25℃で1時間攪拌した。DMF(500mL)中のガンマ-シクロデキストリン(100g、77.16mmol)の溶液を、前記の混合物に、窒素下、5-10℃で加えた。混合物を65-70℃で、14-16時間攪拌した。反応が完了した後、反応混合物を20-25℃に冷却し、ジイソプロピルエーテル(1.2L)で希釈した。有機層をデカントし、粘性の残留物を、pH=8まで、5-10℃で、10%NaOH溶液で処理した。得られたスラリーを、1時間、20-25℃で攪拌した。スラリーを真空で濾過し、固形物を水(3×500mL)で洗浄し、真空で乾燥させた。粗製物質をメタノール(750ml)中に懸濁させ、30分間攪拌し、真空で濾過し、ジイソプロピルエーテル(500mL)で洗浄した。得られた固形物をオーブンにおいて55-60℃で、12-16時間乾燥させ、表題の化合物(95g)を得た。
収率:85%、純度:98%、融点:226-228℃
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 6.0 (br s., 16 H), 4.99 (m, 8 H), 4.04 (d, J = 10 Hz, 8 H), 3.87 - 3.78 (m, 16H), 3.64 - 3.56 (m, 8 H), 3.46 - 3.34 (m, 16 H) ppm.
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ 101.98, 82.93, 72.30, 72.16, 71.11, 44.92 ppm.
質量: m/z (M+Na)+ C48H72Cl8O32Naの計算値: 1463.14; 実測値: 1463.06.
6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマ-シクロデキストリン
スターラー、滴下漏斗、窒素導入口およびポケット付き温度計を備えた、清潔で乾燥した50Lのガラス反応容器に、無水ジメチルホルムアミド(15mL、含水量NMT 0.4%)を加えて、(ドライアイスアセトン浴を用いて)温度を0-5℃に維持した。オキサリルクロリド(2L、23635mmol、30等量)をゆっくりと、4-5時間にわたって加え(温度は5℃以下に維持しながら)、攪拌を同じ温度で1時間継続した。ジメチルホルムアミド(5L)中に溶解した、乾燥ガンマ-シクロデキストリン(1.0kg、770.94mmol)の溶液を、前記の反応混合物にゆっくりと加えた。溶液を65-70℃で16時間加熱した。反応を、一定の間隔でTLCによってモニターした。反応が完了した後、反応混合物を室温まで冷却し、ジイソプロピルエーテル(10L)を攪拌しながら反応混合物に加えた。ゴム状の固形物が析出した。上層の溶媒をデカントし、ゴム状の褐色物質を0から5℃に冷却し、水酸化ナトリウム水溶液(20%、5L)を攪拌しながらゆっくりと加えて中和した(pH8.0)。得られたスラリーを1時間、0から5℃の温度で攪拌した。析出物を濾過し、水で洗浄し(3×2L)、真空で乾燥させた。湿ったケーキをメタノール(10L)中に懸濁し、攪拌し、濾過し、ジイソプロピルエーテル(2L)で洗浄し、60℃のオーブンで14-16時間乾燥させて、表題の化合物(980g)を得た。
収率:87.9%、純度:HPLCで測定して98.1%。
スガマデクスナトリウムの製造
メカニカルスターラー、容器中の温度計ポケットを備えた4つ口丸底フラスコ(3L)に、窒素雰囲気下で、無水DMF(300ml)および3-メルカプトプロピオン酸(18.3g、0.172mol)を0-5℃で加え、次いで、ソーダアミド(20g、0.38mol)を加えた。反応混合物を同じ温度で1時間攪拌した。6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリン(25g、0.017mol、実施例1において得られたもの)をゆっくりと加えた。反応混合物を90-95℃で16時間加熱した。反応が完了した後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール(300ml)を加えた。混合物を攪拌し、析出した物質を濾過した。析出した物質を、メタノール(50ml)および水(50ml)の混合物中に溶解し、過剰量のメタノール(450ml)を加えて析出させた。固形物を濾過して、乾燥させた。収率:76%
乾燥した固形物を、アセトニトリルおよび水(80:20%)の混合物中のギ酸緩衝液を用いた、分取HPLC法によって精製し、次いで、凍結乾燥によってスガマデクスの酸を得て、これをさらに水酸化ナトリウムを用いてスガマデクスナトリウムに変換する。
スガマデクスナトリウムの製造
メカニカルスターラー、容器中の温度計ポケットを備えた4つ口丸底フラスコ(5L)中に、窒素雰囲気下で、無水DMF(1500ml)および3-メルカプトプロピオン酸(110g、1038mmol)を、0-5℃で加えて、次いで、ソーダアミド(81g、2077mmol)を加えた。混合物を同じ温度で1時間攪拌した。6-パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリン(100g、69.25mmol、実施例1で得られたもの)をゆっくりと加えた。過剰のDMF(500ml)を混合物に加えた。混合物の温度を80-85℃に上昇させ、16時間維持した。反応が完了した後、反応混合物を室温まで冷却し、メタノール(1500ml)を加えた。混合物を攪拌し、析出した物質を濾過して除いた。析出した物質(湿ったケーキ)を、メタノール(800ml)および水(800ml)の混合物中に溶解した。炭(50g)を加えて、混合物を50-55℃で30分間攪拌した。溶液をセライトパッドを介して濾過した。メタノール(2500ml)を溶液に加えて、析出した固形物を濾過し、乾燥させて、表題の化合物(105g)を得た。収率:69.6%、純度:85.3%。
スガマデクスナトリウムの製造
スターラー、滴下漏斗、窒素導入口、およびポケット付き温度計を備えた、清潔で乾燥した10Lの4つ口フラスコに、窒素を用いた不活性雰囲気を維持しながら、水(100ml)中に溶解した水酸化ナトリウム(83g、2077mmol)の溶液を加えて、次いで、無水DMF(2L)を加えた。DMF(1L)中の3-メルカプトプロピオン酸(110g、1037mmol)の溶液を、0-5℃の温度を維持した窒素下で、ゆっくりと加えた。混合物をさらに1時間、この温度で攪拌した。DMF(1L)中の6-デオキシ-6-クロロガンマシクロデキストリン(100g、69mmol)の混合物を、5-10℃でゆっくりと加えた。得られた混合物を75-80℃で16-20時間加熱した。反応が完了した後、反応混合物を25-30℃に冷却し、メタノール(1.5L)を反応混合物に加えて、得られた析出物を20-25℃で攪拌し、濾過し、真空で乾燥させた。乾燥した固形物を水(1L)中に溶解させ、50℃で活性化炭素(50g、5%)で処理し、攪拌して、セライトで濾過した。濾液を60℃で攪拌し、過剰のメタノール(2.5L)をゆっくりと濾液に加えて、析出物を得た。析出した物質を真空で濾過して、白色の固形物として得て、メタノール(500ml)で洗浄し、オーブンで乾燥させて、純粋なスガマデクスナトリウム(90g)を得た。
収率:90g、純度:91.2%。
1H NMR (400 MHz, D2O): δ 5.09 (m, 8H); 3.98-3.94 (m, 8H); 3.88-3.83 (m, 8H); 3.58-3.52 (m, 16H); 3.07-3.01 (m, 8H); 2.92-2.87 (m, 8H); 2.78-2.74 (m, 16H); 2.34-2.47 (m, 16H) ppm.
13C NMR (100 MHz、D2O):δ 180.18, 100.60, 81.96, 72.14, 71.84, 70.72, 37.24, 32.83, 29.06 ppm. 質量: m/z (M-Na7+H6)+ C72H110NaO48S8の計算値: 2023.12; 実測値: 2023.39.
スガマデクス酸(式IVの化合物)の製造
スターラー、滴下漏斗、窒素導入口、およびポケット付き温度計を備えた、清潔な、乾燥した5Lの4つ口フラスコに、ジメチルホルムアミド(1500ml)を加え、次いで、水酸化カリウム(194.0g、3464mmol)を加えて、混合物を0-5℃で維持した。DMF(500ml)中の3-メルカプトプロピオン酸(186.35g、153.0ml、1756mmol)の溶液を、窒素下で、0-5℃の温度を維持しながら、30分かけて反応容器に加えた。得られた混合物をこの温度で60分間攪拌した。DMF(500ml)中の6-デオキシ-6-クロロガンマシクロデキストリン(100g、69.22mmol)の溶液をフラスコに加えた。得られた混合物を110-120℃で1.5-2時間加熱し、反応の進行をHPLCによってモニターした。反応が完了した後、反応混合物の温度を40-50℃にして、メタノール(1000ml)を混合物に加えた。生じた析出物を20-25℃で1時間攪拌し、真空で濾過し、メタノール(500ml)で洗浄した。湿った固形物を、激しく攪拌しながら、水(2000ml)中に溶解させ、溶液を濃縮塩酸で酸性にし、白色の固体の析出物を得た。析出した固形物を濾過して、酢酸エチル(500ml)中に懸濁し、30分間攪拌して濾過した。固形物を乾燥させて、表題の化合物(75g)を得た。
収率:55%、純度:HPLCで測定して95.8%。
1H NMR (400 MHz、DMSO-d6): δ 5.94 (br. s, 16H), 3.82-3.73 (m, 8H), 3.63-3.54 (m, 8H), 3.43-3.32 (m, 16H), 3.08-3.02 (m, 8H), 2.89-2.81 (m, 8H), 2.78-2.72 (m, 16H), 2.55-2.43 (m, 16H) ppm.
13C NMR (100 MHz、DMSO-d6):δ 173.00, 102.01, 83.94, 72.45, 72.33, 71.36, 34.53, 33.08, 27.87 ppm.
質量: m/z (M-H2+K)+ C72H110O48S8Kの計算値: 2039.24; 観測値: 2039.26.
スガマデクスナトリウムの製造
スターラー、滴下漏斗、窒素導入口、およびポケット付き温度計を備えた、清潔な、乾燥した3Lの4つ口フラスコに、実施例4で得られた化合物(75g)を、水(100ml)およびメタノール(100ml)中の水酸化ナトリウム(37.5g、0.937mol)溶液中に溶解した。生じた混合物のpHを8-10の間に維持した。この混合物に、メタノール(1.5L)をゆっくりと室温で加え、混合物をさらに30分間攪拌した。析出した白色の固形物を、真空で濾過して、メタノール(500ml)で完全に洗浄した。固形物を真空下、50℃で24時間乾燥させて、スガマデクスナトリウム(79g)を得た。収率:96.9%、純度:HPLCで測定して95.5%。
Claims (8)
- 酸が塩酸である、請求項1に記載の製造方法。
- 酸が塩酸である、請求項3に記載の製造方法。
- 該得られた式(IV)のスガマデクスの酸が少なくとも95%の純度を有する、請求項1に記載の製造方法。
- スガマデクスの酸/式(IV)の化合物の製造方法であって、
a)ガンマ-シクロデキストリン(II):
(i)3-メルカプトプロピオン酸および水酸化カリウムを、ジメチルホルムアミドの存在下で反応させて、3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩の透明溶液を得ること;
(ii)ステップi)で得られた3-メルカプトプロピオン酸のカリウム塩を、パーデオキシ-6-パー-クロロガンマシクロデキストリン(III)で処理して、スガマデクスの酸のカリウム塩を含む生成物を得ること;
(iii)スガマデクスの酸のカリウム塩を含む生成物を酸で処理して、スガマデクスの酸/式(IV)の化合物を得ること。
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