〔実施形態1〕
<保守システムの概要>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、保守システム1000の概要を示すブロック図である。保守システム1000は、復旧作業を要する事象が発生した、所在地が異なる複数の復旧対象に対する復旧作業を支援するためのシステムである。本実施形態では、復旧対象とは、典型的には乗客コンベア、エレベータ等の昇降機設備である。また、復旧作業を要する事象とは、一例として、昇降機設備の停止または故障である。
保守システム1000は、少なくとも、出向支援システム100を含む。出向支援システム100は、インターネットなどの通信ネットワークを介して、例えば、フロントエンドシステム1、被害情報提供システム200、地図情報提供システム300、事業所装置2、および、端末装置3(情報端末)などの他の装置と通信可能に接続されている。
(出向支援システムについて)
保守システム1000において、出向支援システム100は、複数の復旧対象に復旧作業を行う作業グループ(以下、単に「グループ」と称する)の各々を出向させる機能を担う。出向支援システム100は、一例として、複数の復旧対象にグループの各々を出向させるための出向計画を立案する、出向計画立案機能を有する。この出向計画立案機能を実現するためのハードウェアおよびソフトウェアの構成群を出向計画システム10と称する。出向計画システム10の構成の詳細については、本実施形態にて後に詳述する。
また、保守システム1000において、出向支援システム100は、立案された出向計画に基づいて各グループの出向を手配し、復旧作業の進捗を管理し、刻々と変化する災害の状況に応じて、出向計画の見直しを行う、出向手配機能を有する。この出向手配機能を実現するためのハードウェアおよびソフトウェアの構成群を出向手配システム20と称する。
本開示の出向計画システム10および出向手配システム20は、ハードウェアおよびソフトウェアの構成群を備えた1台の情報処理装置によって構成されてもよいし、複数台の情報処理装置によって構成されてもよい。情報処理装置の構成例については、図22を参照して、後述する。
なお、上述したハードウェアおよびソフトウェアの構成群の一部は、出向計画立案機能および出向手配機能の両方を実現するための構成であってもよい。すなわち、出向計画システム10を実現する構成群の一部は、出向手配システム20を実現する構成群の一部であってもよい。
(出向計画について)
出向計画システム10によって立案される出向計画とは、復旧作業を行うグループが出向する予定の復旧対象の組合せおよび出向順をグループ毎に定めたものである。出向計画システム10は、複数のグループを擁する1つの事業所について、該事業所が管掌する地域における出向計画を立案してもよい。また、出向計画システム10は、保守会社が管轄するすべての事業所ごとに出向計画を立案してもよい。
本実施形態では、一例として、出向計画システム10は、保守会社が管轄する事業所ごとに出向計画を立案するものとする。出向計画システム10は、保守会社に勤務するオペレータによって操作されるフロントエンドシステム1(出力部)の指示にしたがって動作してもよい。この場合、出向計画システム10は、フロントエンドシステム1を構成する情報処理装置に組み込まれていてもよいし、入出力装置としてのフロントエンドシステム1と通信可能に接続された別の情報処理装置によって構成されてもよい。
なお、出向計画システム10が1つの事業所について、該事業所が管掌する地域における出向計画を立案するものである場合、出向計画システム10は、事業所に勤務するオペレータによって操作される事業所装置2(出力部)の指示にしたがって動作してもよい。この場合、出向計画システム10は、情報処理装置としての事業所装置2に組み込まれていてもよいし、入出力装置としての事業所装置2と通信可能に接続された別の情報処理装置によって構成されてもよい。
(他の装置について)
フロントエンドシステム1は、上述のとおり、保守会社に勤務するオペレータによって操作される1つ以上の情報処理装置で構成されたシステムである。本実施形態では、フロントエンドシステム1は、出向計画システム10および出向手配システム20を含む出向支援システム100との間で、通信可能に接続される。フロントエンドシステム1は、入出力装置として、オペレータが、出向支援システム100に情報を入力するのを支援したり、出向支援システム100から出力された情報を取得して、オペレータに提示したりする。フロントエンドシステム1と出向支援システム100との間は、任意の通信ネットワークで接続される。通信ネットワークは、LAN(Local Area Network)であってもよいし、インターネットなどを含む広域ネットワークであってもよい。
事業所装置2は、上述のとおり、1つの事業所に勤務するオペレータによって操作される装置である。本実施形態では、事業所装置2は、出向支援システム100および端末装置3と、任意の通信ネットワークを介して通信可能に接続されていてもよい。
端末装置3は、グループのグループリーダGLによって操作される装置である。端末装置3は、例えば、スマートフォン、タブレットPCなどの携帯端末が想定される。本実施形態では、端末装置3は、出向支援システム100と、任意の通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。端末装置3は、事業所装置2と通信可能に接続されていてもよい。端末装置3は、グループに所属するグループリーダ以外の作業員(以下、メンバ)によって所持されてもよく、メンバの端末装置3は、所属する事業所の事業所装置2およびグループリーダの端末装置3と通信可能に接続されてもよい。
被害情報提供システム200は、保守会社が保守を請け負っている昇降機設備を監視し、各昇降機設備の情報を収集し、出向支援システム100に提供する。具体的には、地震等の災害が発生した場合、被害情報提供システム200は、被災した昇降機設備の情報を収集する。そして、同時に多数の昇降機設備に停止または故障等の事象が発生している場合、被害情報提供システム200は、復旧作業を要する昇降機設備に関する情報を含む、被災地域全体の各昇降機設備に関する設備関連情報のリストを生成する。以下では、被災地域全体の昇降機設備に関する設備関連情報のリストを、設備関連情報全体リストと称する。設備関連情報全体リストは、被害情報提供システム200から、通信ネットワークを介して、出向支援システム100に送信される。
地図情報提供システム300は、地図情報を出向支援システム100に提供する。地図情報提供システム300は、地図情報を、フロントエンドシステム1、事業所装置2および端末装置3に提供してもよい。地図情報提供システム300は、必要に応じて、各地の道路交通状況をリアルタイムに把握し、渋滞または通行止めなどの交通情報を付加した地図情報を各装置に提供してもよい。また、地図情報提供システム300は、クライアントから、出発地および目的地を受け付けて、出発地から目的地までの移動可能経路、移動距離、および、移動時間などを提供してもよい。ここでは、クライアントとは、出向支援システム100、フロントエンドシステム1、事業所装置2および端末装置3などである。
別の実施形態では、地図情報提供システム300は、クライアントから出発地および目的地に加えて利用される移動手段を受け付け、当該移動手段を利用した場合における、出発地から目的地までの移動可能経路、移動距離および移動時間などを提供してもよい。
(出向支援システムの処理フロー)
図2は、出向支援システム100が実行する処理を示すフローチャートである。なお、ステップS1からステップS3までの各処理の詳細については、出向計画システム10の構成と併せて実施形態1にて説明する。ステップS4の処理の詳細については、実施形態2にて説明する。ステップS5の処理の詳細については、実施形態3および実施形態4にて説明する。
ステップS1では、出向支援システム100は、あらかじめ、事業所ごとに緊急時に対応可能なグループ数を記憶しておく。出向支援システム100は、各事業所のグループごとにグループリーダを設定し、グループリーダの連絡先を事業所ごとに記憶しておく。事業所ごとのグループ数、および、各グループのグループリーダの連絡先を記憶したリストは、予め、オペレータによって作成され、出向支援システム100の記憶装置に保存されていてもよい。
ステップS1の処理は、災害が実際に発生するよりも前に、予め実行されていることが好ましい。
そして、災害が発生したことにより、同時に多数の昇降機設備に故障または停止などの事象が検出された場合、被害情報提供システム200から、例えば、被災地域に関する設備関連情報全体リストが提供される。設備関連情報全体リストが、被害情報提供システム200から出向支援システム100へ提供されたとき、出向支援システム100において、ステップS2以降の処理が開始される。
なお、被害情報提供システム200は、遠隔監視対象である昇降機設備の各々と直接通信し、昇降機設備の復旧作業の要否を判断するための運転状況を取得することができる。被害情報提供システム200は、取得した運転状況を設備関連情報の一部として上述の設備関連情報全体リストに含めてもよい。また、被害情報提供システム200において、遠隔監視対象外の昇降機設備に関し、オーナーまたは利用者から電話などの通話手段を介して故障の連絡(コールバック)を受け付けるオペレータが配備されていてもよい。
以下では、遠隔監視対象である昇降機設備を、監視対象設備と称する。遠隔監視対象外の昇降機設備を、監視対象外設備と称する。
コールバックを受け付けたオペレータは、監視対象外設備についての運転状況を被害情報提供システム200に登録することができる。このように、被害情報提供システム200は、監視対象設備の運転状況と、コールバックを受け付けた監視対象外設備の運転状況とを含む設備関連情報全体リストを出向支援システム100に提供してもよい。
ステップS2では、出向支援システム100は、設備関連情報全体リストを、事業所ごとに分割する。当該全体リストの分割は、地理的な条件に基づいて実行されてもよい。例えば、出向支援システム100は、各事業所が管掌する地域を事前に把握しており、昇降機設備の所在地がどの地域に属するのかに応じて、上述の全体リストを、事業所ごとの昇降機設備のリストに分割することができる。以下では、事業所ごとに分割された、設備関連情報のリストを事業所別設備関連情報リストと称する。なお、事業所別設備関連情報リストは、オペレータの手入力作業にしたがって作成されてもよい。
ステップS3では、出向支援システム100の出向計画システム10が、想定されるいくつかの出向計画の候補の中から、最適出向計画を探索する。最適出向計画とは、出向計画の最適解または準最適解である。本実施形態では、出向計画システム10は、事業所が復旧作業を担う復旧対象の全ての復旧が完了する完了推測時刻が相対的に早い出向計画を、最適出向計画として探索する。探索手法の一例として遺伝的アルゴリズムが適用できるが、組合せ最適化問題を解く他のアルゴリズムを適用してもよい。
ステップS3は、復旧作業を要する事象が発生した、所在地が異なる複数の復旧対象に関する情報を取得する情報取得工程(S3-1;復旧対象情報取得工程)と、1または複数の作業員で構成され復旧作業を行うグループが出向する予定の復旧対象の組合せおよび出向順をグループ毎に定めた出向計画の最適解または準最適解である最適出向計画を探索する探索工程(S3-2)とを含む。
本実施形態では、出向計画システム10は、保守会社が擁する事業所ごとに、最適出向計画を探索する。すなわち、出向計画システム10は、事業所ごとに、情報取得工程(S3-1)と探索工程(S3-2)とを繰り返して実行する。
また、出向計画システム10は、事業所が対応する最適出向計画に則って復旧作業を進めた場合に、該事業所が、該事業所に割り当てられたすべての復旧対象の復旧作業を完了させると推測される時刻を、その事業所の完了推測時刻として出力する。
ステップS4では、出向計画システム10は、保守会社が復旧作業のために擁する資源の変更を仮想的に行い、復旧作業のための巡回をシミュレーションして、各事業所の完了推測時刻が早まるような、より優良な最適出向計画を探索してもよい。出向計画システム10は、より優良な最適出向計画が得られる資源の振り分けパターンを、オペレータに提案することができる。
保守会社が復旧作業のために擁する上述の資源とは、例えば、各事業所に所属する作業員または作業員のグループ、当該グループが復旧対象の巡回のために利用することができる移動手段、および、グループと移動手段との組み合わせなどを指す。以下では、復旧作業のための上述の資源を、復旧資源と称する。
出向計画システム10は、オペレータによって採用された最適出向計画を最終的な最適出向計画として特定する。オペレータは、ステップS3で探索された最適出向計画を採用してもよいし、シミュレーションされたいくつかの最適出向計画の中から採用する最適出向計画を選択してもよい。
出向計画システム10は、特定した最終的な最適出向計画を、事業所ごとに出向支援システム100の第1記憶部に保存する。本実施形態では、事業所ごとの最適出向計画は、グループごとに、該グループが出向する予定の復旧対象を出向順に一列に並べて成る待ち行列を含んでいてもよい。
実施形態1では、ステップS4の最適化シミュレーションの工程は省略されてもよい。
ステップS5では、出向計画システム10は、復旧資源の事務所間の異動を調整するための派遣管理工程を実行する。例えば、出向計画システム10は、ある事業所から復旧資源が不足している旨の応援要請を受け付けたとき、各事業所に問合せを行って、グループを派遣することが可能な事業所を特定してもよい。
あるいは、例えば、出向計画システム10は、ステップS4で割り出された、各事業所の復旧資源の過不足に基づいて、復旧資源を他の事業所へ派遣する派遣元事業所と、派遣された当該復旧資源を受け入れる派遣先事業所とを決定してもよい。
実施形態1および実施形態2では、派遣管理工程は省略されてもよい。
ステップS6では、出向支援システム100の出向手配システム20は、保存された最適出向計画にしたがって出向を手配する。まず、出向手配システム20は、出向すると計画された復旧対象である出向対象の出向可否を、該出向対象が対応付けられているグループに対して確認してもよい。出向手配システム20は、グループから出向可能であることが知らされた出向対象を、出向確定対象として、他の出向未確定対象と区別して管理してもよい。
ステップS7では、出向手配システム20は、出向確定対象ごとに、復旧作業の進捗を管理してもよい。そして、出向手配システム20は、復旧作業が進んだり、新たな復旧対象が追加されたりして、刻一刻と変化する状況に応じて、上述の待ち行列を更新する。
ステップS8では、出向計画システム10は、事業所別設備関連情報リストにおける更新を監視して、最適出向計画の再探索が必要かどうか判断する。再探索が必要であると判断した場合には(S8のYES)、ステップS3に処理を戻し、監視対象設備の更新された運転状況を取得し、監視対象外設備の運転状況を推定し、復旧対象を特定しなおして、当該復旧対象に関して、最適出向計画の探索を繰り返す。
ステップS9では、出向手配システム20は、すべての事業所においてすべての復旧対象の復旧作業が完了したか否かを判断する。すべての復旧対象について復旧作業が完了した場合には(S9のYES)、出向支援システム100は、一連の処理を終了する。なお、出向手配システム20は、復旧作業が完了していない復旧対象が残っている場合には(S9のNO)、ステップS7に戻り、進捗管理を継続する。
<出向計画システム10の構成>
図3は、出向計画システム10の要部構成を示すブロック図である。出向計画システム10は、設備関連情報取得部11と、探索部12とを少なくとも備えている。
設備関連情報取得部11は、所在地が異なる複数の昇降機設備に関する情報を被害情報提供システム200から取得する。設備関連情報取得部11は、例えば、被害情報提供システム200から提供される昇降機設備に関する情報として、被災地域全体に関する設備関連情報全体リストを取得してもよい。設備関連情報全体リストには、復旧作業を要しない正常運転の監視対象設備と、復旧作業を要する事象が発生した監視対象設備との両方に関する設備関連情報が含まれていてもよい。設備関連情報全体リストには、復旧作業を要する事象が発生していると判明している監視対象外設備に関する設備関連情報が含まれていてもよい。さらに、設備関連情報全体リストには、運転状況が不明であるが、運転状況の確率が推定された監視対象外設備に関する設備関連情報が含まれていてもよい。
本実施形態では、一例として、設備関連情報取得部11は、被害情報提供システム200から提供された設備関連情報全体リストから、復旧作業を要する事象が発生した、所在地が異なる複数の復旧対象に関する情報である設備関連情報を取得する。設備関連情報取得部11が取得する設備関連情報は、一例として、復旧対象である昇降機設備の所在地、復旧優先度、作業必要場所数、移動手段、運転状況、および、閉じ込め情報の各種情報のすべてまたは一部を含み得る。これらの各種情報の詳細については後述する。
設備関連情報取得部11は、一例として、事業所別設備関連情報リストから事業所別に取得した復旧対象の設備関連情報からなる復旧対象リストを、探索部12に入力してもよい。
探索部12は、出向計画の最適解または準最適解である最適出向計画を探索する。出向計画は、上述のとおり、1または複数の作業員で構成され復旧作業を行うグループが出向する予定の復旧対象の組合せおよび出向順をグループ毎に定めたものである。本実施形態において、出向計画は、複数のパターンが作成される。各パターンは、互いに、出向対象の組合せおよび出向順が異なる。以下では、上述のパターンを出向パターンと称する。出向パターンが異なる複数の出向計画を生成する処理は、探索部12によって実行されてもよい。本実施形態では、探索部12は、出向パターンが様々に異なる複数の出向計画の中で、事業所が担う復旧対象の全ての復旧が完了する完了推測時刻が相対的に早い出向計画を、最適出向計画として探索する。本実施形態では、完了推測時刻は、復旧対象へ出向するための総移動時間および復旧対象の復旧作業に要する総作業時間を少なくとも考慮して推測されてもよい。完了推測時刻の推測は、探索部12が行ってもよい。探索部12は、例えば、日付および時分を示す数値を完了推測時刻として出力してもよい。探索部12は、年月日および時分秒を示す数値を完了推測時刻として出力してもよい。
上述の構成によれば、設備関連情報取得部11によって情報が取得された、所在地が異なる複数の復旧対象について、探索部12が、最適出向計画を探索する。最適出向計画は、グループが出向する予定の復旧対象の組合せおよび出向順をグループ毎に定めた出向計画の中で、最適解または準最適解の出向計画である。すなわち、探索部12は、事業所が担う復旧対象の全ての復旧が完了する完了推測時刻が相対的に早い出向計画を、最適出向計画として探索する。こうして、復旧作業の全てが完了する時刻を早期化する出向計画を立案することできるという効果を奏する。
出向計画システム10は、必要に応じて、さらに、移動関連情報取得部13、現在地取得部14、出力制御部15、目標設定部16、探索条件指定部17、および、派遣管理部18のうちの少なくとも1つを備えていてもよい。
出向計画システム10の上述の各部(設備関連情報取得部11、探索部12、移動関連情報取得部13、現在地取得部14、出力制御部15、目標設定部16、探索条件指定部17、および、派遣管理部18)は、出向計画システム10を実現する情報処理装置が備える制御装置と、プログラムを記憶する記憶装置とによって実現される制御ブロックである。
また、出向計画システム10は、上述の記憶装置において、最新出向計画データベース31(最新出向計画DB31)を記憶していてもよい。別の実施形態では、出向計画システム10は、上述の記憶装置において、事業所ごとの復旧資源を管理するための資源テーブル32(以下、資源TBL32)を必要に応じてさらに記憶していてもよい。さらに、別の実施形態では、出向計画システム10は、上述の記憶装置において、事業所間のグループの派遣を調整するために入出力する情報である派遣調整情報33を必要に応じてさらに記憶していてもよい。
移動関連情報取得部13は、作業員のグループが出発地から目的地まで移動することに関わる情報を取得する。具体的には、移動関連情報取得部13は、地図情報提供システム300から、作業員が出発地から目的地まで移動するのに要する移動時間を取得する。例えば、移動関連情報取得部13は、出向順が先の出向対象の所在地を出発地とし、次の出向対象の所在地を目的地として指定するクエリを含んだリクエストを地図情報提供システム300に送信する。そして、移動関連情報取得部13は、地図情報提供システム300から、出発地から目的地までの移動時間を取得してもよい。これにより、探索部12は、出向順に出向対象を移動するのに要する移動時間の総和を、総移動時間として推測することができる。
移動関連情報取得部13は、上述の移動時間として、地図情報提供システム300によって算定された平均的な移動時間を取得してもよい。あるいは、移動関連情報取得部13は、地図情報提供システム300によって算定された、道路交通状況が考慮された移動時間を取得してもよい。道路交通状況が考慮された移動時間とは、道路の混み具合を考慮して算定された移動時間であってもよいし、最短経路が通行止めである場合に、代替経路の移動距離に基づいて算定された移動時間であってもよい。
現在地取得部14は、グループに属する作業員のうち予め定められたリーダの現在地点を示す位置情報を取得する。例えば、現在地取得部14は、各事業所の各グループリーダの端末装置3と通信し、端末装置3からグループリーダの現在の位置情報を取得してもよい。
これにより、探索部12は、出向パターンが様々に異なる複数の出向計画の各々について、グループリーダの現在地点を該グループリーダが属するグループの出発地点として定めることができる。そして、探索部12は、出発地点から、出向順が最初の出向対象の所在地までの移動時間を推測することができる。
出力制御部15は、探索部12により実行された探索の結果を出力部に出力する。本実施形態では、一例として、出力部は、フロントエンドシステム1または事業所装置2である。
本実施形態では、上述のとおり、復旧対象である昇降機設備の各々は、復旧対象の保守を行う事業所のいずれかに対応付けられている。そして、グループの各々は、事業所のいずれかに所属している。探索部12は、事業所毎に、事業所に所属するグループを対象として最適出向計画を探索する。この探索により、事業所毎に、最適出向計画が完了推測時刻とともに探索される。
出力制御部15は、事業所毎に探索された最適出向計画における完了推測時刻の各々を、出力部に出力する。
これにより、オペレータは、各事業所がそれぞれに割り当てられたすべての復旧対象について復旧作業を終えるのがいつになるのかを、事業所ごとに容易に把握することができる。完了推測時刻が事業所ごとに提示されることは、復旧作業の見通しを、関係各所に迅速に伝達することに貢献し得る。こうして復旧の見通しを提示することにより、復旧対象の利用者またはオーナーなどに対し、安心感を与えることができる。さらには、オペレータが、最適出向計画に基づいて出向手配を迅速に進めることに貢献し得る。あるいは、オペレータが、さらに最適な出向計画を練り直す判断を迅速に行うことに貢献し得る。
一例として、出力制御部15は、フロントエンドシステム1に対しては、保守会社が管轄するすべての事業所について、事業所毎に探索された最適出向計画における完了推測時刻の各々を出力してもよい。さらに、最適出向計画が示す、復旧対象の組合せおよび出向順をグループ毎に定めた出向パターンを完了推測時刻に加えて出力してもよい。例えば、出力制御部15は、事業所装置2に対しては、事業所装置2が設置されている事業所の最適出向計画、すなわち、上述の事業所の出向パターンおよび該事業所の完了推測時刻を出力してもよい。
目標設定部16は、目標時刻を探索部12に対して指定して、探索部12に、当該指定した目標時刻までに復旧作業を完了させることができる出向計画を探索するための最適化シミュレーションを実行させる。
目標時刻とは、被災地域の復旧作業にあたるすべての事業所のすべての復旧対象に対する復旧作業が完了する時刻の目標として定められた時刻である。
探索条件指定部17は、探索条件を探索部12に対して指定して、探索部12に、当該指定した探索条件下において優良な出向計画を探索するための最適化シミュレーションを実行させる。例えば、探索条件指定部17は、事業所ごとの復旧資源の数を探索条件として指定してもよい。探索条件指定部17は、事業所ごとのグループの個数を探索条件として指定してもよい。他の実施形態では、探索条件指定部17は、事業所に所属するグループと当該グループに対応付けられる移動手段との対応付けのパターンである対応付けパターンを探索条件として指定してもよい。
最適化シミュレーションの結果、探索部12が、実際の各事業所の復旧資源に基づいて得られた最適出向計画よりも優良な、例えば、完了推測時刻がより早くなる最適出向計画を得られたとする。この場合、出力制御部15は、当該最適出向計画を得られたときに指定された探索条件を、最適出向計画および完了推測時刻とともに出力部に出力してもよい。これにより、オペレータは、完了推測時刻がより早くなる最適出向計画を実現するために、復旧資源をどのように各事業所に振り分ければよいのかを容易に把握することができる。
本実施形態に係る出向計画システム10においては、図2に示す最適化シミュレーションの工程(S4)が省略される場合、上述の目標設定部16および探索条件指定部17は、省略されてもよい。
派遣管理部18は、復旧資源の事務所間の異動を調整する。例えば、派遣管理部18は、ある事業所の事業所装置2から復旧資源が不足している旨の応援要請を受け付けたとき、他の各事業所の事業所装置2に問合せを行って、グループを派遣することが可能な事業所を特定してもよい。あるいは、例えば、派遣管理部18は、探索部12が実行した最適化シミュレーションによって割り出された、各事業所のグループの過不足に基づいて、グループを他の事業所へ派遣する派遣元事業所と、派遣された当該グループを受け入れる派遣先事業所とを決定してもよい。
本実施形態に係る出向計画システム10においては、図2に示す派遣管理工程(S5)が省略される場合、上述の派遣管理部18は、省略されてもよい。
<最適出向計画の探索>
(入力情報について)
以下では、1つの事業所(例えば、事業所A)の最適出向計画を探索するために探索部12に入力される入力情報について説明する。例えば、探索部12には、入力情報として、事業所Aに所属するグループ数と、事業所Aに所属する各グループのグループリーダの位置情報と、事業所Aの復旧対象リストとが入力される。事業所Aの復旧対象リストは、情報取得工程S3-1にて設備関連情報取得部11によって生成される。
グループ数は、出向計画システム10の記憶装置に予め登録されているか、または、オペレータによって指定されてもよい。グループ数は、探索条件指定部17によって取得されてもよい。グループリーダの位置情報は、現在地取得部14によって端末装置3から取得されてもよい。
図4は、復旧対象リストのデータ構造の一例を示す図である。設備関連情報取得部11は、被害情報提供システム200から提供された設備関連情報全体リストを、昇降機設備の所在地に基づいて事業所ごとに分割して、事業所別設備関連情報リストを取得する。設備関連情報取得部11は、事業所別設備関連情報リストの各々から、事業所に割り当てられた復旧対象の一覧である復旧対象リストを事業所ごとに生成する。図4に示す復旧対象リストは、一例として、事業所Aの復旧対象リストであるとする。生成された復旧対象リストは、出向計画システム10の探索部12に引き渡される。また、復旧対象リストは、フロントエンドシステム1に提供されてもよい。また、事業所Aの復旧対象リストは、事業所Aの事業所装置2に提供されてもよい。
復旧対象リストは、一例として、対象ID、所在地、閉じ込め情報、復旧優先度、作業必要場所数、運転状況、および、移動手段の各項目を含んで構成されていてもよい。本実施形態において、復旧対象リストに含まれている復旧対象が、監視対象設備であるのか、監視対象外設備であるのかを区別する必要がない場合には、運転状況の項目は省略されてもよい。本実施形態において、復旧対象に立ち寄るために利用できる移動手段を取り決める必要がない場合には、移動手段の項目は省略されてもよい。
対象IDは、復旧対象を一意に識別するための識別情報である。1つの昇降機設備に対して一意の識別情報が付与される。本実施形態では、1つの昇降機設備は、該1つの昇降機設備が何基の昇降機で構成されていても、1つの復旧対象(出向対象)として扱われる。
所在地は、復旧対象の所在地を示す情報であり、地名、番地、建物名などが含まれる。
閉じ込め情報は、復旧対象の故障または停止に伴って、該復旧対象において利用者が閉じ込められている事象が発生しているか否かを示す情報である。本実施形態では、閉じ込め情報は、復旧対象である昇降機設備に属するいずれかの昇降機内に利用者が閉じ込められているか否かを示す。図示の例において、「あり」は、出られない状態で昇降機内に閉じ込められている利用者がいることを示し、「なし」は、そのような利用者がいないことを示す。設備関連情報取得部11は、閉じ込め情報の項目に関して、被害情報提供システム200から取得した閉じ込め情報の内容を反映することができる。
昇降機設備における閉じ込め情報は、監視対象設備、または、閉じ込めが発生している旨のコールバックを受け付けた監視対象外設備において判明している情報である。したがって、実際の運転状況が判明しておらず運転状況が推定されるだけの監視対象外設備には、閉じ込め情報は関連付けられない。
復旧優先度は、復旧対象に設定されている復旧の優先度を示す情報である。本実施形態では、一例として、利用者の閉じ込めが発生している復旧対象の復旧優先度は、最も高く(例えば、優先度S)に設定される。そして、閉じ込めが発生していない復旧対象については、事前に定められた復旧優先度がそのまま採用されてもよい。復旧対象に対して事前に設定される復旧優先度は、例えば、優先度Sを除いて、優先度A~Cの3段階あってもよい。各復旧対象には、復旧優先度が高い順に、A、B、および、Cのいずれかが事前に設定されている。
例えば、復旧対象である昇降機設備が敷設されている建物の機能的な性質に応じて復旧優先度が定められていてもよい。例えば、社会において、特に災害発生時に重要な役割を果たす施設で稼動する昇降機設備に対して高い復旧優先度(優先度A)が設定されてもよい。重要な役割を果たす施設は、一例として、総合病院などの医療機関、テレビ局などの報道機関、および、市・区役所などの行政機関などが想定され得る。あるいは、昇降機設備が敷設されている建物の管理者と保守会社との間で締結された保守契約のランクなどにしたがって復旧優先度が設定されてもよい。
本実施形態では、設備関連情報取得部11は、昇降機設備に予め定められている復旧優先度がA~Cのいずれであっても、閉じ込め情報によって利用者の閉じ込めが発生していることが判明している昇降機設備に対しては、優先度Sを対応付ける。
作業必要場所数は、復旧対象である昇降機設備において、作業員による復旧作業が必要となる場所の数を示す情報である。作業必要場所数は、一例として、昇降機設備において昇降機が利用者の乗り降りのために停止する階数(以下、乗降階数)であってもよい。あるいは、作業必要場所数は、昇降機設備に含まれる昇降機の基数×乗降階数であってもよい。例えば、5階建てのビルに敷設され、各階停止の昇降機4基で構成された昇降機設備においては、作業必要場所数を、4基×5階=20カ所としてもよい。
運転状況は、復旧対象である昇降機設備における運転状況を示す。監視対象設備に対しては、遠隔監視に基づいて把握されている運転状況、すなわち、故障などの異常により運転を停止していることを示す「異常停止」の運転状況が対応付けられている。監視対象外設備のうち、当該設備の利用者または管理者などからのコールバックに基づいて運転状況が把握されている監視対象外設備に対しては、「異常停止」の運転状況が対応付けられている。監視対象外設備のうち、連絡がないために実際の運転状況が把握されていない監視対象外設備に対しては、不図示の運転状況推定装置などによって推定された推定運転状況が対応付けられていてもよい。推定運転状況は、一例として、当該設備が異常停止中である確率を示す停止確率であってもよい。図示の例では、監視対象外設備の1つに対して、「80%」という停止確率の値が対応付けられており、これは、当該監視対象外設備が現在異常停止中である確率が80%であることを意味する。
移動手段は、復旧対象に立ち寄るために適した移動手段として予め取り決められている移動手段を示す。このように、復旧対象には、当該復旧対象への出向に適した移動手段が対応付けられていてもよい。一例として、近隣に駐車スペースが無いという立地の建物に設置されている復旧対象に対しては、自動車および自動二輪以外の移動手段、例えば、徒歩、自転車、バスおよび電車などが対応付けられていてもよい。他の例では、駅前の商業施設に設置されている復旧対象に対しては、例えば、バスおよび電車などが対応付けられていてもよい。他の例では、事業所の所在地から徒歩圏内という立地の建物に設置されている復旧対象に対しては、徒歩および自転車などが対応付けられていてもよい。他の例では、事業所から長距離の立地または事業所から山道を経由する立地などの建物に設置されている復旧対象に対しては、自動車などが対応付けられていてもよい。自動車は、例えば、保守会社が各事業所に宛がっている乗用車などであってもよい。
(探索について)
図5および図6は、探索部12が実行する、最適出向計画の探索の手順の一例を示す図である。なお、図5および図6に示されるマップM1~マップM8は、探索部12が探索を行うときに内部に保持する情報を、探索手順を分かりやすく説明するために可視化した情報に過ぎない。したがって、探索部12は、実際には、マップM1~マップM8に示されるような可視化情報を生成しなくてもよい。
マップM1に示すように、探索部12には、復旧対象リストに含まれるすべての復旧対象の所在地と、それらの復旧対象の閉じ込め情報および復旧優先度が与えられる。また、探索部12には、事業所Aのグループ数と、各グループのグループリーダの位置情報が与えられる。探索部12は、復旧対象を出向対象として出向パターンを生成するので、以下の説明では、復旧対象に対して出向対象の用語を用いる。
マップM2に示すように、まず、探索部12は、復旧優先度が最も高い出向対象に絞って、すべての出向対象の完了推測時刻が早くなるように、望ましくは、完了推測時刻が最も早くなるように、出向対象のそれぞれをグループに割り当てる。以下では、復旧優先度が最も高い出向対象、すなわち、閉じ込めが発生している、優先度Sの出向対象を、出向対象Sと称する。例えば、探索部12は、出向対象Sのみを対象とした出向パターンをいくつか生成し、その中から、最適解または準最適解となる出向パターンを探索してもよい。探索部12は、後述する遺伝的アルゴリズムを実行して、最適解または準最適解となる出向パターンを探索してもよい。
一例として、マップM2は、探索部12が、グループWに、出向対象OS1を最初に割り当て、グループTに出向対象OS2を最初に割り当てた出向パターンを最適解または準最適解として探索したことを示している。出向対象OS1は、グループWに割り当てられた、出向順が1番目の出向対象であり、出向対象OS2は、グループTに割り当てられた、出向順が1番目の出向対象である。このように、探索部12が出力する出向計画において、利用者の閉じ込めが発生している出向対象Sの出向順が、閉じ込めが発生していない出向対象A~Cの出向順より早い順となる。これにより、利用者の閉じ込めが発生している復旧対象を最優先にして、復旧作業にあたることが可能な出向計画が生成される。
マップM3に示すように、次に、探索部12は、すべての出向対象Sのステータスを仮想的に復旧作業完了状態に移行させる。また、探索部12は、グループの各々について、最後に出向する予定の出向対象Sの所在地を、最新の現在地点とする。
マップM4に示すように、続いて、探索部12は、優先度Sに次ぐ優先度Aの出向対象(以下、出向対象A)に絞って、すべての出向対象Aの完了推測時刻が早くなるように、望ましくは、完了推測時刻が最も早くなるように、出向対象Aのそれぞれをグループに割り当てる。探索部12は、出向対象Sと同様に、出向対象Aのみを対象とした出向パターンをいくつか生成し、その中から、後述する遺伝的アルゴリズムを実行して、最適解または準最適解となる出向パターンを探索してもよい。
マップM4によれば、一例として、出向対象OA2、出向対象OA3の出向順にて、これらの2つの出向対象AがグループTに割り当てられている。出向対象OA2は、グループTに割り当てられた、出向順が2番目の出向対象であり、出向対象OA3は、グループTに割り当てられた、出向順が3番目の出向対象である。グループUには、出向対象Sが割り当てられていないので、出向対象OA4は、グループUに割り当てられた、出向順が1番目の出向対象である。
マップM5に示すように、探索部12は、優先度Sの場合と同様に、すべての出向対象Aのステータスを仮想的に復旧作業完了状態に移行させる。また、探索部12は、グループの各々について、最後に出向する予定の出向対象Aの所在地を、最新の現在地点とする。
マップM6に示すように、続いて、探索部12は、優先度Aに次ぐ優先度Bの出向対象(以下、出向対象B)に絞って、すべての出向対象Bの完了推測時刻が早くなるように、望ましくは、完了推測時刻が最も早くなるように、出向対象Bのそれぞれをグループに割り当てる。探索部12は、出向対象Sおよび出向対象Aと同様に、出向対象Bのみを対象とした出向パターンをいくつか生成し、その中から、後述する遺伝的アルゴリズムを実行して、最適解または準最適解となる出向パターンを探索してもよい。
マップM6によれば、一例として、出向対象OB1、出向対象OB2、出向対象OB3の出向順にて、これらの3つの出向対象Bが、グループWに割り当てられている。この時点で、グループWには、出向対象OS1、出向対象OA1に続いて、出向順の3番目から5番目に、出向対象OB1、出向対象OB2、出向対象OB3がそれぞれ割り当てられている。
マップM7に示すように、探索部12は、優先度Sおよび優先度Aの場合と同様に、すべての出向対象Bのステータスを仮想的に復旧作業完了状態に移行させる。また、探索部12は、グループの各々について、最後に出向する予定の出向対象Bの所在地を、最新の現在地点とする。
マップM8に示すように、続いて、探索部12は、優先度Bに次ぐ優先度Cの出向対象(以下、出向対象C)に絞って、すべての出向対象Cの完了推測時刻が早くなるように、望ましくは、完了推測時刻が最も早くなるように、出向対象Cのそれぞれをグループに割り当てる。探索部12は、出向対象S、出向対象Aおよび出向対象Bと同様に、出向対象Cのみを対象とした出向パターンをいくつか生成し、その中から、後述する遺伝的アルゴリズムを実行して、最適解または準最適解となる出向パターンを探索してもよい。
マップM8によれば、この時点で、グループWには、出向対象OS1、出向対象OA1、出向対象OB1、出向対象OB2、出向対象OB3に続いて、出向順の6番目から8番目に、出向対象OC1、出向対象OC2、出向対象OC3がそれぞれ割り当てられている。このように、探索部12が出力する出向計画において、利用者の閉じ込めが発生していない出向対象A~Cは、復旧優先度が高いほど出向順が早い順となる。これにより、利用者の閉じ込めが発生している復旧対象を除いた残りの復旧対象に関しては、予め定められた復旧優先度の高い順に、復旧作業にあたることが可能な出向計画が生成される。
以上のように、探索部12は、指定された復旧優先度が対応付けられた復旧対象のみを出向対象として最適出向計画を探索してもよい。これにより、同じ復旧優先度の復旧対象の間で、完了推測時刻が相対的に早くなる出向パターンが探索され、これを復旧優先度順に連結することにより、予め定められた復旧優先度の高い順に、復旧作業にあたることが可能な出向計画が効率よく生成される。
最後に、探索部12は、優先度Sから優先度Cまでの復旧優先度ごとに探索した出向パターンを復旧優先度が高いものから組み合わせて、事業所Aの最適出向計画を得ることができる。
(出力情報について)
以下では、事業所Aの最適出向計画の探索を行った探索部12から出力される出力情報について説明する。例えば、探索部12は、出力情報として、上述の探索手順にしたがって得た、事業所Aの最適出向計画と、該最適出向計画に基づく、事業所Aの完了推測時刻とを出力する。
・出力情報:最適出向計画について
図7は、最適出向計画のデータ構造の一例を示す図である。図7に示す最適出向計画は、グループW、グループTおよびグループUを擁する事業所Aの最適出向計画である。最適出向計画は、復旧作業を行うグループが出向する予定の出向対象の組合せおよび出向順をグループごとに定義するグループ別出向パターン71を含む。事業所Aは、グループW、グループTおよびグループUの3つのグループを擁するので、事業所Aの最適出向計画には、グループ別出向パターン71が3つ含まれている。グループ別出向パターン71は、グループに割り当てられた出向対象を一意に識別するための情報と、割り当てられた各出向対象の出向順とを含んで構成される。
なお、図7に示されるグループ別出向パターン71は、グループに割り当てられた出向対象の組合せおよび出向順が視認しやすいように可視化した情報に過ぎない。したがって、探索部12は、実際には、図7に示されるような、グループ別出向パターン71の可視化情報を生成しなくてもよい。
・出力情報:完了推測時刻について
さらに、探索部12は、探索した最適出向計画における事業所Aの完了推測時刻を、該最適出向計画と併せて出力してもよい。探索部12は、上述の探索の過程において、出向計画ごとの完了推測時刻を、地図情報提供システム300から提供される地図情報に基づいて推測することができる。
例えば、探索部12は、複数の出向パターンの出向計画の各々について、出向順が最後の出向対象の復旧作業が完了する時刻をグループ毎に推測してもよい。そして、探索部12は、推測されたグループごとの時刻のうちの最遅時刻を、上述の出向計画における完了推測時刻とする。これにより、事業所における完全復旧の時刻を把握することができる。以下では、出向順が最後の出向対象の復旧作業が完了する時刻をグループ毎に推測した時刻をグループ別完了推測時刻と称する。
例えば、図7に示す最適出向計画において、グループWのグループ別完了推測時刻、つまり、出向順が最後の出向対象OC3の復旧作業を完了すると推測された時刻が10時48分であるとする。グループTのグループ別完了推測時刻、つまり、グループTが、出向順が最後の出向対象OC6の復旧作業を完了すると推測された時刻が10時26分であるとする。グループUのグループ別完了推測時刻、つまり、グループUが、出向順が最後の出向対象OC8の復旧作業を完了すると推測された時刻が10時12分であるとする。この場合、探索部12は、3つのグループ別完了推測時刻のうちの最遅時刻である「10時48分」を、図7に示す最適出向計画における、事業所A全体の完了推測時刻と決定する。探索部12は、完了推測時刻「10時48分」を、図7に示す最適出向計画とともに出力してもよい。
一例として、探索部12は、事業所の完了推測時刻を求めるためのグループ別完了推測時刻を、グループが出向対象へ出向するための総移動時間、および、グループが出向対象の復旧作業に要する総作業時間を少なくとも考慮して推測する。総移動時間は、例えば、グループが、出向順にしたがって、自グループに割り当てられた出向対象へと移動するのに要する移動時間の総和である。総作業時間は、例えば、グループが出向対象毎の復旧作業に要する作業時間の総和である。探索部12は、例えば、現在時刻に、上述の総移動時間と上述の総作業時間とを加算して、グループ別完了推測時刻を算定してもよい。
探索部12が、グループの総移動時間を算出する手順について、図7に示す最適出向計画に基づいて、グループWの総移動時間を算出する場合を例に挙げて説明する。
まず、探索部12は、グループWのグループリーダの現在地点(図5のマップM1)から、グループWに割り当てられた1番目の出向対象(マップM2の出向対象OS1)の所在地までの移動距離に応じた移動時間MT1を取得する。なお、探索部12が取得する移動時間は、移動関連情報取得部13によって地図情報提供システム300から取得されたものであってもよい。また、上述の移動時間は、移動距離に基づく平均的な移動時間であってもよいし、交通状況が考慮された移動時間であってもよい。以降で探索部12が取得する様々な移動時間についても同様である。
以降、探索部12は、n-1番目の出向対象の所在地からn番目の出向対象の所在地までの移動時間MTnを取得する処理を繰り返す(nは2以上の整数)。グループWの例では、探索部12は、最後の移動経路である出向対象OC2から出向対象OC3までの移動時間MT8を取得するまで上述の処理を繰り返す。
そして、探索部12は、移動時間MT1、MT2、・・・、MTnの総和を、グループWの総移動時間として算出する。
探索部12が、グループの総作業時間を算出する手順について説明する。探索部12は、出向対象毎に定められた作業必要場所数に応じて、出向対象ごとに作業時間WTを特定する。このように、復旧対象の作業時間を現場の状況に応じて正確に見積もることにより、完了推測時刻の予実の誤差をより小さくすることができる。
探索部12は、設備関連情報取得部11によって取得された復旧対象リスト(図4)を参照し、出向対象(復旧対象)の作業必要場所数を特定することができる。なお、復旧対象である出向対象は、例えば、対象IDによって一意に識別することが可能である。
探索部12は、1つの出向対象の作業時間WTを、一例として、以下の式に基づいて算出することが可能である。
式: 作業時間WT=作業必要場所数×単位時間+固定時間
単位時間は、1つの作業必要場所について、復旧のためにかかる平均的な作業時間であり、例えば、3分である。固定時間は、1つの復旧対象、すなわち、1つの昇降機設備について、作業必要場所数の規模にかかわらず、復旧のためにかかる一定の作業時間であり、例えば、5分である。
例えば、グループWの1番目の出向対象OS1の作業必要場所数が、20カ所である場合、探索部12は、出向対象OS1の作業時間WT1を、20カ所×3分+5分=65分と算出する。探索部12は、このように、グループWに割り当てられたn番目までのすべての出向対象ごとに、作業時間WTを算出する(作業時間WT1、WT2、・・・、WTn)。
そして、探索部12は、出向対象毎の復旧作業に要する作業時間WT1、WT2、・・・、WTnの総和を、グループWの総作業時間として算出する。
最後に、探索部12は、現在時刻に、上述のように算出した総移動時間と、総作業時間とを加算して、グループWのグループ別完了推測時刻を算出する。探索部12は、事業所Aの他のグループTおよびグループUについても同様に、それぞれのグループ別完了推測時刻を算出する。そして、3つのグループ別完了推測時刻のうちの最遅時刻を、事業所Aの、図7に示す最適出向計画における完了推測時刻とする。
探索部12は、図7に示す事業所Aの最適出向計画と、上述のようにして推測した事業所Aの該最適出向計画における完了推測時刻とを、最新出向計画DB31に記憶させる。探索部12は、以上の、最適出向計画を探索し、該最適出向計画における完了推測時刻を算出し、これらを最新出向計画DB31に記憶させる処理を、発生した災害に対応するすべての事業所ごとに実行する。
(出力画面例)
上述のようにして、事業所毎に探索された最適出向計画における完了推測時刻の各々は、出力制御部15によって出力部に出力される。出力制御部15は、例えば、完了推測時刻の各々を、探索結果画面として、フロントエンドシステム1または事業所装置2に提供してもよい。
図8は、出力制御部15によって出力される探索結果画面の一例を示す図である。探索結果画面800は、例えば、出力制御部15からフロントエンドシステム1に提供され、フロントエンドシステム1の表示部に表示される。これにより、フロントエンドシステム1のオペレータは、探索結果画面800を閲覧し、探索結果画面800に対して入力操作を実施することができる。
探索結果画面800は、少なくとも、事業所ごとの最適出向計画における完了推測時刻81の各々を含む。探索結果画面800において、完了推測時刻81の各々のうち、最も遅い時刻となる最遅の完了推測時刻を強調表示してもよい。これにより、オペレータは、最遅の完了推測時刻を視認しやすくなり、最遅の完了推測時刻が妥当であるか否かの判断を行いやすくなる。
探索結果画面800は、出向手配指示ボタン82を含んでいてもよい。出向手配指示ボタン82は、オペレータが、出向手配を出向手配システム20に対して指示することを支援するUI(User Interface)部品である。出力制御部15は、出向手配指示ボタン82に対するオペレータの操作入力を受け付けると、出向手配指示を、出向手配システム20に対して出力する。出向手配指示とは、探索結果画面800において完了推測時刻81の各々が提示されている現行の各事業所の最適出向計画に基づいて出向の手配を進めることを、出向手配システム20に対して指示するメッセージである。出向手配システム20は、出向手配指示にしたがって、最新出向計画DB31に記憶されている、事業所ごとの最適出向計画にしたがって、出向を手配する処理(図2に示すステップS6の出向手配工程)を開始する。
よって、オペレータは、探索結果画面800を確認し、現行の各事業所の最適出向計画が妥当であると判断したら、出向手配指示ボタン82を操作することにより、簡易に、出向手配を進めることができる。オペレータは、例えば、最遅の完了推測時刻、または、事業所間の完了推測時刻のばらつきなどが許容される範囲に収まっていることに基づいて、最適出向計画の妥当性を判断してもよい。
この判断は、出向計画システム10に実行させてもよい。例えば、出力制御部15は、現在時刻と最遅の完了推測時刻との差が、事前に定義された許容時間以内であれば、各事業所の最適出向計画が妥当である旨のメッセージを、探索結果画面800に表示させてもよい。出力制御部15は、上述の差が、上述の許容時間を超えていれば、各事業所の最適出向計画が妥当でない旨の警告を探索結果画面800に表示させてもよい。これにより、オペレータは、最遅の完了推測時刻を繰り上げるために出向計画を見直す必要があると判断することができる。
探索結果画面800は、シミュレーション指示ボタン83を含んでいてもよい。シミュレーション指示ボタン83は、オペレータが、出向計画を最適化するためのシミュレーションを出向計画システム10に対して指示することを支援するUI部品である。出力制御部15は、シミュレーション指示ボタン83に対するオペレータの操作入力を受け付けると、シミュレーション画面をフロントエンドシステム1に対して提供する。シミュレーション画面は、より適切な最適出向計画を再探索するために、オペレータが探索条件を探索部12に対して指定することを支援するための画面である。シミュレーション画面は、例えば、フロントエンドシステム1の表示部に表示される。
(探索の一例:遺伝的アルゴリズム)
探索部12は、複数の出向パターンの出向計画の各々を、遺伝的アルゴリズムに従う世代交代により生成してもよい。
例えば、探索部12は、(工程1)初期設定、(工程2)評価、(工程3)選択、(工程4)交差、および、(工程5)突然変異、の各工程を実行する。探索部12は、工程2~工程5の各工程を事前に指定された世代数を経過するまで繰り返す。世代数は、オペレータによって予め指定されていてもよい。
工程1の初期設定では、探索部12は、一例として、事業所内の全てのグループに対して少なくとも1つの出向対象が割り当てられるという第1条件を満たすように、ランダムに個体を生成する。上述の第1条件は、例えば、オペレータによって予め指定されていてもよい。
本実施形態では、遺伝的アルゴリズムに従う出向パターンの特定は、復旧優先度別に実行される。したがって、個体は、ある復旧優先度の所定個の出向対象を、事業所のいずれのグループに割り当てたのかを示す情報として生成される。
X個の出向対象にY個のグループを割り当てる場合、探索部12は、以下に示すデータ構造を有する個体をランダムに生成する(X、Yは2以上の整数)。
[G1、G2、・・・、Gx]
ここで、Giは、第iの出向対象に割り当てるグループを識別する値であり、0以上Y未満の整数である(iは1以上X以下の整数)。
例えば、10個の出向対象(第1~第10の出向対象)に3つのグループ(第1~第3のグループ)を割り当てる場合、探索部12が生成する個体の一例は、[1、0、2、2、1、0、0、2、0、1]である。「0」、「1」、「2」の3つの数字は、それぞれ、第1のグループ、第2のグループ、第3のグループを示す。つまり、この個体は、第1、第5、第10の出向対象に第2のグループを割り当て、第2、第6、第7、第9の出向対象に第1のグループを割り当て、第3、第4、第8の出向対象に第3のグループを割り当てることを示す。
探索部12は、異なる複数個(例えば、300個)の個体を生成し、これらを初期個体群とする。なお、初期個体群の個数(第2条件)は、オペレータによって予め指定されていてもよい。
工程2の評価では、探索部12は、生成した個体ごとに、各グループが割り当てられたすべての出向対象の復旧作業を完了させる完了推測時刻を算出し、最遅のグループの完了推測時刻をその個体の完了推測時刻として対応付ける。なお、グループごとの完了推測時刻は、上述したとおり、割り当てられた出向対象をすべて巡回したときの、移動時間MTの総和と作業時間WTの総和とを、現在時刻に加算することにより得られる。
工程3の選択では、探索部12は、トーナメント方式により、各個体の完了推測時刻を比較し、完了推測時刻が早い上位数個(例えば、3個)の個体を次の世代の親個体として選択する。
工程4の交差では、探索部12は、第1条件が満たされるように、選択した親個体に対してランダムに交差を実行する。
工程5の突然変異では、探索部12は、所定の確率(例えば、5%)で、各個体に突然変異を起こさせる。突然変異を起こさせる確率は、オペレータによって予め指定されていてもよい。
探索部12は、事前に指定された上述の世代数の回数分、工程2から工程5までの処理を繰り返し、繰り返しを経て残った個体を、ある復旧優先度の出向対象群の最適または準最適な出向パターンとして出力する。
探索部12は、以上の工程1~工程5からなる遺伝的アルゴリズムにしたがった探索を、復旧優先度ごとに実行し、復旧優先度ごとの最適または準最適な出向パターンを出力する。
<最適化シミュレーション>
図9は、シミュレーション画面の一例を示す図である。図9に示すシミュレーション画面901は、すべての事業所において達成させたい完了推測時刻の目標時刻を、オペレータから受け付けるためのシミュレーション画面である。
一例として、シミュレーション画面901は、目標時刻を入力するための入力領域94を含んでいてもよい。例えば、入力領域94への目標時刻の入力は、オペレータが手動で行い、探索条件指定部17が、入力された目標時刻を取得してもよい。
入力領域94に目標時刻が入力された状態で、開始指示ボタン92が操作されたとする。この場合、探索条件指定部17は、入力領域94に入力された目標時刻を取得して、探索部12に入力し、探索部12に対して再探索を指示してもよい。探索部12は、事業所毎の完了推測時刻の全てが入力された目標時刻を下回るまで、事業所の各々に所属させるグループの個数を組み換えながら、事業所毎に探索を繰り返し実行してもよい。
探索部12は、事業所ごとの完了推測時刻の全てが入力された目標時刻を下回るという結果が得られた最適出向計画と、該最適出向計画を得たときの事業所ごとのグループ数とを、最新出向計画DB31に記憶させる。探索部12は、シミュレーションによって得られた上述の仮の最適出向計画を、最新出向計画DB31とは異なる別のデータベースに記憶させてもよい。
出力制御部15は、繰り返しが終了したときの、上述の事業所毎のグループ数を含む探索結果画面800を、フロントエンドシステム1の表示部に表示させる。例えば、図8に示すように、探索結果画面800は、事業所ごとのグループ数84を含んでいてもよい。
これにより、オペレータは、目標時刻を達成することができる最適出向計画を、簡易に得ることができる。具体的には、オペレータは、目標時刻を達成するために各事業所に必要なグループ数を簡易に把握することができる。
図示の例では、入力領域94は、テキストボックスおよびリストボックスで構成されるように示されている。しかし、これに限らず、入力領域94は、チェックボックス、リストボックス、ラジオボタン、ドロップダウンリスト、選択可能なオブジェクト、カーソルなど、あらゆる形態のウィジェットで構成され得る。
最適化シミュレーションの実行結果を示す探索結果画面800において、出向手配指示ボタン82が操作されたとする。この場合、探索部12は、仮想的に割り出された事業所ごとのグループ数84とともに、目標時刻を達成可能な事業所ごとの最適出向計画を、本採用する最適出向計画として最新出向計画DB31に記憶させる。
そして、例えば、最新出向計画DB31に記憶されたグループ数84は、派遣管理部18によって参照され、派遣管理工程を実行するために利用されてもよい。
出力制御部15は、上述の本採用された事業所ごとの最適出向計画にしたがって出向を手配することを指示する出向手配指示を、出向手配システム20に対して出力してもよい。
出向手配のために本採用されて、最新出向計画DB31に登録された各事業所の最適出向計画は、フロントエンドシステム1によって閲覧されてもよい。また、事業所の事業所装置2に対しては、その事業所の最適出向計画が提供されてもよい。
<最適出向計画の画面例>
出力制御部15は、探索部12により探索された事業所ごとの最適出向計画を、オペレータに提示するための出向計画画面を、フロントエンドシステム1または事業所装置2に提供してもよい。図10は、1つの事業所の最適出向計画の詳細を表した出向計画画面の一例を示す図である。出力制御部15は、最新出向計画DB31に保存された最適出向計画、および、出向手配システム20によって管理されている出向確定対象に基づいて、出向計画画面700を生成する。出力制御部15は、生成した出向計画画面700を、例えば、フロントエンドシステム1または事業所装置2などの出力部に送信する。出向計画画面700は、一例として、事業所Aについて探索された最適出向計画を提示するための画面である。
出向計画画面700は、事業所の基本情報701を含んでいてもよい。基本情報701には、例えば、事業所に所属するグループのグループ数、事業所に配属されている全作業員の人数、事業所に割り当てられた復旧対象のうち、復旧作業が完了していない昇降機設備の数、などを含んでいてもよい。本実施形態では、基本情報701には、不図示の運転状況推定装置によって停止していると推定された監視対象外設備の数として、推定停止数が含まれていてもよい。
また、基本情報701には、完了推測時刻が含まれていてもよい。完了推測時刻は、探索部12が探索した最適出向計画に基づいて、探索部12によって推測される。完了推測時刻は、事業所が他の事業所から受け入れたグループを含んだ現有の復旧資源にて最適出向計画にしたがって復旧作業に当たった場合に、事業所全体としてすべての復旧対象の復旧作業を終えると予想される時刻を指す。
基本情報701は、事業所の復旧作業の体制および進捗に係る基本的な情報に関して、最新の情報を表すように設計されていてもよい。例えば、出向計画画面700は、更新ボタン702を含んでいてもよい。更新ボタン702が、オペレータによって操作されると、更新指示が、フロントエンドシステム1または事業所装置2から、出向支援システム100に送信される。更新指示を受信した出向支援システム100の出向計画システム10は、更新指示を受信すると、最新出向計画DB31から、事業所Aの最新の最適出向計画を読み出し、作業が完了していない出向対象の数である未完了数をカウントする。出力制御部15は、最新の未完了数が反映された出向計画画面700をフロントエンドシステム1または事業所装置2に提供する。
状況の変化に応じて、被害情報提供システム200が集約する設備関連情報全体リストが更新されたり、追加の閉じ込め情報を受信したりした場合には、設備関連情報取得部11は、復旧対象リストを更新する。設備関連情報取得部11は、更新ボタン702の操作に応答して、基本情報701に表示されている復旧対象数または推定停止数を、更新後の復旧対象リストに基づいてカウントされた数に更新してもよい。
探索部12は、最新出向計画DB31に保存されている最適出向計画を更新した場合には、更新ボタン702の操作に応答して、基本情報701に表示されている完了推測時刻を、更新後の最適出向計画における完了推測時刻に更新してもよい。
出向計画画面700は、グループ別の出向パターン、すなわち、グループに割り当てられた出向対象の組合せおよびその出向順を示すリストボックス703を含んでいてもよい。リストボックス703には、出向順および出向対象の物件名などが含まれていてもよい。また、リストボックス703には、各出向対象の作業進捗が反映されていてもよい。図示の例では、出向順の背景色が、作業進捗により色分けされている。各出向対象の作業進捗は、出向手配システム20によって管理されている。
出向計画画面700は、地図上に出向対象の情報が反映された地図画像704を含んでいてもよい。一例として、地図画像704には、出向計画画面700上で選択されている特定のグループに割り当てられた出向対象の情報が反映されてもよい。図示の例では、グループUのリストボックス703が選択されている。そのため、地図画像704上には、グループUの担当エリアを表す境界線とともに、グループUに割り当てられた出向対象のアイコンがプロットされてもよい。出向対象のアイコンには、出向順を示す数字が付与されていてもよい。
以上のような出向計画画面700をフロントエンドシステム1または事業所装置2に表示させることにより、オペレータは、事業所ごとの復旧作業の進捗をリアルタイムに把握することができる。
<効果>
本実施形態の出向計画システム10によれば、地震等の災害により広域において同時に多数の停止または故障等の事象が発生した場合であっても、複数の作業グループによる復旧作業の全てが完了する時刻を早期化する出向計画を立案することができる。
また、出向計画ごとに求められた推測された完了推測時刻を活用して、復旧の見通しを関係各所に提示することができる。例えば、復旧対象の復旧を待ち望む利用者またはオーナーなどに完了推測時刻を通知ことが可能となる。こうして復旧の見通しを提示することにより、復旧対象の利用者またはオーナーなどに対し、安心感を与えることができる。
以上のとおり、本実施形態の出向計画システム10は、エレベータなどの生活の基盤となる設備に対して、災害からの早期復旧に優れた効果をもたらすシステムである。したがって、出向計画システム10は、減災または防災の性能に優れた質の高いインフラの整備に貢献することができ、延いては、持続可能な開発目標(SDGs)、例えば、目標11(住み続けられるまちづくりを)の達成に貢献できる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、先の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
各作業グループが出向時の移動に用いる移動手段は、徒歩、自転車、自動二輪、自動車、電車およびバスなどの公共交通機関、のように多様であり得る。また、復旧対象である設備についても、立地条件の違いや被災状況などにより当該設備へのアクセスに適した移動手段は多様であり得る。例えば、近隣に駐車および駐輪スペースを確保できないような復旧対象である場合、復旧対象が徒歩圏内に密集している場合、通行止めが発生している場合などは、自動車よりも徒歩で出向した方が好ましいという状況も起こり得る。特許文献2に記載された復旧管理システムにおいては、設備への多様なアクセス事情が考慮されていない。
以上のことから、設備へのアクセスに適した移動手段を考慮することは、より実情に合った精確な出向計画を立案することに貢献すると考えられ、この観点から出向計画システム10には改善の余地がある。
本実施形態では、出向計画の精確性を高めることが可能な出向計画システムについて説明する。
<出向計画システム10の構成>
本実施形態では、図2に示すステップS1において、出向支援システム100は、あらかじめ、事業所ごとに、対応可能なグループ数を記憶しておくとともに、グループごとに当該グループが利用可能な移動手段を対応付けて記憶しておいてもよい。グループと移動手段とを対応付けて構成される情報である対応付けパターンは、例えば、出向計画システム10の記憶装置に事業所ごとに記憶されていてもよい。
(探索部)
本実施形態では、探索部12は、移動手段別探索処理を実行することにより、移動手段毎の最適出向計画を探索する。移動手段別探索処理とは、同一の移動手段が対応付けられた複数の復旧対象、および、当該同一の移動手段が対応付けられた複数のグループを対象とする探索を、移動手段毎に行う処理を指す。
例えば、探索部12は、事業所Xの移動手段別探索処理を実行するときには、上述の記憶装置から、事業所Xの対応付けパターンを読み出し、当該対応付けパターンにしたがって、移動手段別探索処理を実行する。
本実施形態においても、探索部12は、出向順に復旧対象を移動するのに要する移動時間の総和を、総移動時間として推測することができる。総移動時間は、出向順に復旧対象を移動するのに要する移動時間の総和である。移動時間は、後述するように、移動関連情報取得部13から探索部12に提供されてもよい。
(移動関連情報取得部)
移動関連情報取得部13は、地図情報提供システム300から移動時間を取得する移動時間取得部として機能してもよい。本実施形態では、移動関連情報取得部13は、上述の移動手段別探索処理の対象とする移動手段で移動する場合の移動時間を取得してもよい。
例えば、探索部12が、乗用車が対応付けられた復旧対象と乗用車が対応付けられたグループとを対象とする探索、すなわち、移動手段が乗用車である場合の探索を実施するとする。この場合、移動関連情報取得部13は、出発地から目的地までの乗用車が通行できる経路と、当該経路を乗用車で移動した場合の移動時間とを地図情報提供システム300から取得する。
上述の構成によれば、移動手段毎の移動性能を考慮して、移動時間をより精確に見積もることができる。結果として、最適出向計画、とりわけ完了推測時刻の精確性を高めることが可能となる。
<対応付けパターン>
図11は、ある事業所Xの対応付けパターンのデータ構造の一例を示す図である。図示のとおり、対応付けパターンは、グループと、当該グループが利用可能な移動手段とが、対応付けられて構成されている。
図示の例では、1つのグループに1つの移動手段が対応付けられているものとする。他の例では、1つのグループに複数の移動手段が対応付けられていてもよい。
対応付けパターンを参照すれば、探索部12は、事業所Xのグループ数を移動手段毎に特定することができる。対応付けパターンは、移動手段毎に事業所Xのグループ数を示す情報であってもよい。
<処理フロー>
図12は、移動手段別探索処理を含む探索工程の処理の流れを示すフローチャートである。図12に示す探索工程は、図2に示す探索工程S3-2に対応する。図12に示す探索工程は、探索条件を仮想的に変更して1回以上の再探索を実行する最適化シミュレーションS4に含まれていてもよい。図12に示す一連の処理は、1つの事業所について、図11に示すような対応付けパターンが探索部12に入力されることによって開始される。また、探索部12に対しては、図4に示すような、当該事業所の復旧対象リストも入力される。
ステップS101では、探索部12は、入力された対応付けパターンにおいて、同一の移動手段が対応付けられたグループを抽出する。例えば、図11に示す例において、探索部12は、まず、移動手段「乗用車」が対応付けられた第1グループから第5グループまでを抽出してもよい。
ステップS102では、探索部12は、入力された復旧対象リストにおいて、上述の同一の移動手段が対応付けられた復旧対象を抽出する。例えば、図4に示す例において、探索部12は、移動手段「乗用車」が対応付けられた復旧対象の設備関連情報を抽出してもよい。
ステップS103では、探索部12は、ステップS101で抽出された移動手段のグループと、ステップS102で抽出された同一の移動手段が対応付けられた復旧対象群とを対象にして、実施形態1で説明された最適出向計画の探索を実行する。例えば、探索部12は、移動手段「乗用車」について、復旧優先度ごとに探索した出向パターンを復旧優先度順に組み合わせて構成される最適出向計画を探索する。探索部12は、探索した最適出向計画を移動手段「乗用車」に関連付けて、記憶装置に保存してもよい。
ステップS101からステップS103までの一連の処理が、上述の移動手段別探索処理に対応する。
ステップS104では、探索部12は、すべての移動手段について最適出向計画の探索を完了したか否かについて判定する。例えば、探索部12は、図4に示す復旧対象リストに示されるすべての移動手段(乗用車、自転車、徒歩の3種類)のそれぞれについて、最適出向計画を探索し終えた場合には、ステップS104のYESからステップS105に処理を進める。一方、探索部12は、乗用車、自転車、徒歩の3種類の移動手段のうち、探索が未実行の移動手段がある場合には、ステップS104のNOからステップS101に戻る。そして、探索部12は、未実行の移動手段について、ステップS101以降の処理を繰り返す。
ステップS105では、探索部12は、移動手段毎の最適出向計画における完了推測時刻のうち、最遅の時刻を特定する。例えば、乗用車の最適出向計画における完了推測時刻が「10月22日 17:21」であり、自転車の最適出向計画における完了推測時刻が同日の「16:55」であり、徒歩の最適出向計画における完了推測時刻が同日の「17:35」であるとする。この場合、探索部12は、最遅の時刻「17:35」を特定する。上述の最遅の時刻が、事業所の復旧作業全体の完了推測時刻を意味する。
ステップS106では、探索部12は、移動手段毎の最適出向計画をまとめて、事業所としての最終的な最適出向計画を出力する。事業所の最適出向計画は、ステップS105で特定された事業所としての完了推測時刻と、移動手段毎の最適出向計画のそれぞれとを含む。移動手段毎の最適出向計画は、当該最適出向計画における移動手段別の完了推測時刻を含んでいてもよい。
探索部12は、以上の一連の処理によって出力した事業所の最適出向計画を、最新出向計画DB31に保存してもよい。
<最適出向計画>
本実施形態では、探索部12は、1つの移動手段につき、複数の出向パターンの出向計画の各々について、出向順が最後の復旧対象の復旧作業が完了する時刻をグループ毎に推測する。そして、探索部12は、当該推測された時刻のうちの最遅時刻を、当該移動手段にて巡回する復旧対象の群全体の完了推測時刻(後述の完了推測時刻76)とする。
上述の構成によれば、同一の移動手段を利用するグループ全体としての復旧作業の完了時刻を精確に見積もることが可能となる。
また、本実施形態では、復旧対象の各々は、復旧対象の保守を行う事業所のいずれかに対応付けられており、グループの各々は、事業所のいずれかに所属している。そして、探索部12は、事業所毎に、当該事業所に対応付けられている復旧対象に関して、当該事業所に所属するグループを対象として、記移動手段毎に最適出向計画を探索する(後述の最適出向計画73~75)。探索部12は、移動手段毎に探索された最適出向計画における完了推測時刻(後述の完了推測時刻76)の最遅時刻を当該事業所の最適出向計画における完了推測時刻(後述の完了推測時刻72)とする。
上述の構成によれば、事業所全体としての復旧作業の完了時刻を精確に見積もることが可能となる。
以上のように構成された探索部12が出力する事業所の最適出向計画について、図13を参照しながら説明する。
図13は、本実施形態に係る探索部12によって探索された事業所の最適出向計画のデータ構造の一例を示す図である。図13に示す最適出向計画は、1つの事業所(例えば、事業所X)の最適出向計画である。本実施形態に係る事業所の最適出向計画70は、例えば、図12のステップS106にて探索部12によって出力され、最新出向計画DB31に保存される。
本実施形態に係る事業所の最適出向計画70について、実施形態1の図7に示す事業所の最適出向計画と異なる点は、以下の点である。すなわち、事業所の最適出向計画70は、移動手段毎の最適出向計画を1つ以上含む。
一例として、事業所の最適出向計画70は、移動手段毎の最適出向計画と、事業所の最適出向計画70における完了推測時刻72とを含む。
図13を参照して具体的に説明すると以下のとおりである。移動手段毎の最適出向計画として、具体的には、第1の移動手段「乗用車」の最適出向計画73と、第2の移動手段「自転車」の最適出向計画74と、第3の移動手段「徒歩」の最適出向計画75とが、事業所の最適出向計画70に含まれている。例えば、乗用車の最適出向計画73は、探索部12が、乗用車が対応付けられたグループと、乗用車が対応付けられた復旧対象とを対象にして移動手段別探索処理(図12のステップS101~S103)を実行することによって得られたものである。
乗用車の最適出向計画73を例に挙げると、乗用車の最適出向計画73は、乗用車が対応付けられたグループ(第1グループ~第5グループ)毎に、グループ別出向パターン71を含む。乗用車の最適出向計画73におけるグループ別出向パターン71は、乗用車を利用して復旧作業を行うグループが出向する予定の復旧対象の組合せおよび出向順をグループごとに定義する。最適出向計画73のグループ別出向パターン71に含まれる復旧対象は、復旧対象リストにおいて乗用車が対応付けられている復旧対象である。グループ別出向パターン71は、実施形態1と同様に、グループに割り当てられた復旧対象を一意に識別するための情報と、割り当てられた各復旧対象の出向順とを含んで構成される。
乗用車の最適出向計画73は、乗用車の最適出向計画73における完了推測時刻76を含む。完了推測時刻76は、乗用車の最適出向計画73に含まれる各々のグループ別出向パターン71において出向順が最後の復旧対象の復旧作業が完了すると予測された時刻のうち、最遅の時刻である。
自転車の最適出向計画74および徒歩の最適出向計画75も、乗用車の最適出向計画73と同様に、完了推測時刻76と、グループ別出向パターン71とを含む。
事業所の最適出向計画70における完了推測時刻72としては、例えば、移動手段毎の最適出向計画73~75における完了推測時刻76のうち、最遅のものが特定される。
以上のようにして探索部12から出力された、移動手段毎の最適出向計画73~75を含む事業所の最適出向計画70は、復旧対象に対して、当該復旧対象へのアクセスに適した移動手段を利用するグループが割り当てられる出向計画である。このような出向計画においては、移動速度の速い移動手段を利用するグループに限らず、復旧対象へのアクセスにより適した移動手段を利用するグループが、各復旧対象に適切に割り当てられている。以上のとおり、本実施形態によれば、実情に合った精確な出向計画を立案することが可能になる。
<効果>
以上のとおり、本実施形態に係る出向計画システム10は、復旧作業を要する事象が発生した、所在地が異なる複数の復旧対象に関する情報を取得する設備関連情報取得部11(復旧対象情報取得部)と、1または複数の作業員で構成され復旧作業を行うグループが出向する予定の復旧対象の組合せおよび出向順をグループ毎に定めた出向計画の最適解または準最適解である最適出向計画を探索する探索部12とを備えている。
探索部12は、復旧対象へ出向するための総移動時間および復旧対象の復旧作業に要する総作業時間を少なくとも考慮して推測される、復旧対象の全ての復旧が完了する完了推測時刻が、異なる複数パターンの出向計画の中で相対的に早い出向計画を、最適出向計画として探索する。
グループには、当該グループが復旧対象へ出向するための移動手段が対応付けられており、復旧対象には、当該復旧対象への出向に適した移動手段が対応付けられている。
探索部12は、同一の移動手段が対応付けられた複数の復旧対象、および、当該同一の移動手段が対応付けられた複数のグループを対象とする探索を、移動手段毎に行う移動手段別探索処理を実行することにより、移動手段毎の前記最適出向計画を探索する。
以上のとおり、本実施形態に係る出向計画システム10の制御方法は、1または複数の情報処理装置により実行される制御方法であって、復旧作業を要する事象が発生した、所在地が異なる複数の復旧対象に関する情報を取得する復旧対象情報取得工程(ステップS3-1)と、1または複数の作業員で構成され復旧作業を行うグループが出向する予定の復旧対象の組合せおよび出向順をグループ毎に定めた出向計画の最適解または準最適解である最適出向計画を探索する探索工程(ステップS3-2、ステップS4など)とを含む。
探索工程は、復旧対象へ出向するための総移動時間および復旧対象の復旧作業に要する総作業時間を少なくとも考慮して推測される、復旧対象の全ての復旧が完了する完了推測時刻が、異なる複数パターンの出向計画の中で相対的に早い出向計画を、最適出向計画として探索する。
グループには、当該グループが復旧対象へ出向するための移動手段が対応付けられており、復旧対象には、当該復旧対象への出向に適した移動手段が対応付けられている。
探索工程は、同一の移動手段が対応付けられた複数の復旧対象、および、当該同一の移動手段が対応付けられた複数のグループを対象とする探索を、移動手段毎に行う移動手段別探索処理(ステップS101~S103など)を実行することにより、移動手段毎の最適出向計画を探索する。
上述の構成または方法によれば、復旧対象に対して、当該復旧対象へのアクセスに適した移動手段を利用するグループが割り当てられる出向計画の中から、最適出向計画が探索される。このように探索された最適出向計画においては、移動速度の速い移動手段を利用するグループに限らず、復旧対象へのアクセスにより適した移動手段を利用するグループが、各復旧対象に適切に割り当てられている。結果として、実情に合った精確な出向計画を立案することが可能になる。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、先の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
本実施形態の出向計画システム10は、グループが利用可能な移動手段と、復旧対象に立ち寄るために採用可能な移動手段とを考慮して、事業所の復旧資源をシミュレーションすることにより、より優良な最適出向計画を再探索することができる。より優良な最適出向計画とは、例えば、既出の最適出向計画よりも完了推測時刻が早期化された最適出向計画であってもよいし、既出の最適出向計画よりも少ない復旧資源にて目標時刻以内に全体の復旧作業を完了させられる最適出向計画であってもよい。
<出向計画システム10の構成>
図14は、本実施形態に係る出向計画システム10の構成を部分的に示すブロック図である。本実施形態に係る出向計画システム10は、図3に示された出向計画システム10の構成要素であって、図14において記載が省略されている構成要素を備えていてもよい。
出向計画システム10は、図14に示すとおり、探索条件指定部17として、切替部171および対応付け部172のうちの少なくともいずれか1つを備えている。
切替部171は、グループと移動手段との対応付けを複数の異なるパターン(対応付けパターン)に切り替えるものである。切替部171は、対応付けパターンを切り替えると、切り替え後の対応付けパターンを新たな探索条件として探索部12に入力する。これにより、探索部12は、対応付けが切り替わる毎に、切り替え後の対応付けに従って移動手段別探索処理を実行する。
以下では、対応付けパターンを切り替える切替部171と、切り替えられた対応付けパターン毎に探索を実行する探索部12とについて、具体例を挙げて説明する。例えば、切替部171は、資源TBL32に基づいて、探索部12に入力する対応付けパターンを決定してもよい。対応付け部172の詳細な構成は後述する。
<資源テーブル>
図15は、資源TBL32のデータ構造の一例を示す図である。資源TBL32は、復旧資源に関する情報を事業所毎に管理するためのテーブルである。資源TBL32は、一例として、事業所名、グループ数、グループ名、移動手段、および、稼働台数の各項目を含んで構成されている。事業所名、グループ数、稼働台数は、事業所に対応付けて管理される情報である。グループ名および移動手段は、事業所内のグループに対応付けて管理される情報である。
事業所名は、事業所の名称を示す情報であり、事業所を一意に識別するための識別情報として利用される。事業所の識別情報としては、名称に代えて、事業所に一意に付与された記号、符号または番号などの文字列を採用してもよい。
グループ数は、事業所が擁するグループの個数を示す。
グループ名は、グループの名称を示すグループの識別情報である。グループの識別情報としては、名称に代えて、グループに一意に付与された記号、符号または番号などの文字列を採用してもよい。
移動手段は、グループが利用可能な移動手段を示す情報である。本実施形態では、1つのグループにつき、複数の移動手段が対応付けられていてもよい。例えば、事業所Aの第1グループの利用可能な移動手段として、「乗用車」および「自動二輪」が記載されている。これは、第1グループが、復旧作業のための巡回に際して、乗用車または自動二輪を利用することができるということを示している。
なお、図示の例では、移動手段「電車」、「バス」および「徒歩」は、すべてのグループが利用できる移動手段であるとして、移動手段のカラムにおいて記載を省略している。したがって、例えば、図示の資源TBL32によれば、事業所Aの第1グループは、「乗用車」および「自動二輪」に加えて、「電車」、「バス」および「徒歩」での移動が可能であると分かる。また、例えば、事業所Bの第5グループは、個人の乗り物を利用した移動はできないが、「電車」、「バス」および「徒歩」での移動が可能であると分かる。
稼働上限数は、事業所において同時に稼動できるグループの上限数を移動手段毎に示す情報である。例えば、事業所Bは、乗用車を3台、自転車を2台保有しているとする。そのため、事業所Bの稼働上限数は、それぞれ、乗用車「3」、自転車「2」と設定されている。他の例では、各種乗り物の運転免許を保有している作業員の人数に応じて、稼働上限数が設定されてもよい。
稼働上限数は、移動手段を利用できるグループ数と一致しないことが有り得る。例えば、事業所Cにおいて、自動二輪を利用できるグループは2個あるが、稼働上限数は「1」であるため、実際に稼働できるのは、そのうちの1グループである。
切替部171は、こうして予め設定された移動手段に対応付けられるグループの稼動上限数に従って、対応付けパターンを切り替えることができる。上述の構成によれば、各事業所が擁する復旧資源の実情に合った出向計画を立案することができる。例えば、乗用車を同時に3台までしか稼動させられない事業所において、乗用車を利用するグループが4個あることを前提とした出向計画が立案されることがなくなる。このように、実現不可能な出向計画が無駄に作成されることを回避し、探索部12が実行する探索の処理効率を大幅に高めることが可能となる。
例えば、切替部171は、図15に示す資源TBL32を参照して、事業所Aについて採用し得る対応付けパターンのみを生成する。例えば、切替部171は、図14に示すとおり、
対応付けパターン1[G1,G2,G3=乗用車,乗用車,乗用車]、
対応付けパターン2[G1,G2,G3=乗用車,乗用車,自転車]、
対応付けパターン3[G1,G2,G3=乗用車,自転車,乗用車]、・・・
などのように事業所Aが採用し得る復旧資源の対応付けパターンを生成する。ここで、G1,G2,G3は、それぞれ、第1グループ,第2グループ,第3グループを指し、3つの移動手段は、左から順に、それぞれ、第1グループ,第2グループ,第3グループに対応付けられた移動手段を指す。
なお、事業所Aにおける自転車の稼働上限数は、「1」である。そのため、切替部171は、自転車のグループを2個稼動させる対応付けパターンを生成しない。
最適化シミュレーションの工程において、切替部171は、生成した対応付けパターンを順次切り替えて、探索条件として探索部12に入力する。探索部12は、入力された対応付けパターンにしたがって、図12に示す移動手段別探索処理を含んだ探索工程を実行する。
<対応付けパターン毎の最適出向計画>
図16は、探索部12によって出力された探索結果を模式的に示す図である。本実施形態では、探索部12は、図13に示すような事業所の最適出向計画70を、対応付けパターン毎に探索する。
例えば、事業所Xについて、探索部12は、対応付けパターン1に関して、移動手段別探索処理を含む探索工程を実行する。そして、探索部12は、第1移動手段(例えば、乗用車)の最適出向計画PAT1_1stと、その完了推測時刻PAT1_1stとを得る。同様に、探索部12は、第2移動手段(例えば、自転車)についても、最適出向計画PAT1_2nd、および、完了推測時刻PAT1_2ndを得て、第3移動手段(例えば、徒歩)についても、最適出向計画PAT1_3rd、および、完了推測時刻PAT1_3rdをえる。ここで、例えば、図16に示す最適出向計画PAT1_1stは、図13に示す最適出向計画73に対応し、完了推測時刻PAT1_1stは、最適出向計画73に含まれている完了推測時刻76に対応する。
探索部12は、最適出向計画PAT1_1stから最適出向計画PAT1_3rdまでの移動手段毎の最適出向計画を含む、事業所Xの最適出向計画PAT1を生成する。探索部12は、最適出向計画PAT1における完了推測時刻PAT1として、完了推測時刻PAT1_1stから最適出向計画PAT1_3rdまでのうち、最遅時刻を採用する。ここで、事業所Xの最適出向計画PAT1は、図13に示す事業所の最適出向計画70に対応し、完了推測時刻PAT1は、最適出向計画70に含まれている完了推測時刻72に対応する。
探索部12は、切替部171から対応付けパターン2、対応付けパターン3、・・・、対応付けパターンnが入力される度に、上述のように、対応付けパターン毎の事業所の最適出向計画を探索し、出力する。探索部12は、対応付けパターン毎に出力した事業所の最適出向計画を最新出向計画DB31に保存してもよい。
<変形例>
出向計画システム10の移動関連情報取得部13は、グループの現在地から復旧対象の所在地に至る経路における交通事情を示す交通情報を取得してもよい。すなわち、移動関連情報取得部13は、地図情報提供システム300から交通情報を取得する交通情報取得部として機能し得る。
切替部171は、交通情報に基づいてグループが利用できない移動手段を特定し、グループと特定された移動手段との対応付けをパターンから除くことができる。例えば、ステップS3-2の探索工程において求められた、乗用車のグループが通行する予定の移動経路(道路)が、被災の影響で通行止めになっているという交通情報が取得されたとする。この場合、切替部171は、上述のグループが利用できない移動手段として「乗用車」を特定し、当該グループに乗用車を対応付ける対応付けパターンを探索部12に入力する対応付けパターンから除くことができる。
上述の構成によれば、被災地域の交通事情を考慮して、実情に合わない対応付けパターンが探索部12に入力されない。これにより、実情に合わない出向計画を探索するような無駄な処理を削減することができるため、探索部12の探索工程にかかる処理負荷を大幅に削減することができる。
出向計画システム10は、各グループの出向が開始される出発地から復旧対象の所在地までの距離に応じた移動手段を当該復旧対象に対応付ける対応付け部172を備えていてもよい。本変形例では、探索条件指定部17が対応付け部172として機能してもよい。
例えば、対応付け部172は、移動関連情報取得部13によって取得された復旧対象リストにおいて復旧対象に対応付ける移動手段を、各グループの出発地から当該復旧対象の所在地までの距離に応じて決定してもよい。
あるいは、対応付け部172は、移動関連情報取得部13によって取得された復旧対象リストにおいて復旧対象に対応付けられている移動手段を、各グループの出発地から当該復旧対象の所在地までの距離に応じて変更してもよい。
より具体的には、各グループの出発地は、復旧作業の拠点となる事業所の所在地であってもよい。例えば、対応付け部172は、事業所から徒歩圏内にある復旧対象に対し「徒歩」を対応付け、事業所から中距離に所在する復旧対象に対して「自転車」または「自動二輪」などを対応付けてもよい。そして、対応付け部172は、事業所から遠距離に所在する復旧対象に対しては「乗用車」などを対応付けてもよい。
上述の構成によれば、近距離の移動に適した移動手段を利用するグループに対して、近距離に所在する復旧対象を割り当て、遠距離の移動に適した移動手段を利用するグループに対して、遠距離に所在する復旧対象を割り当てた出向計画が探索される。このように、復旧対象へのアクセスに適した移動手段を利用するグループを適切に当該復旧対象に割り当てた出向計画によれば、各グループが復旧対象間を円滑に移動して、移動時間を短縮することができる。結果として、完了推測時刻が早期化された出向計画を立案することが可能となる。
復旧対象に関する情報としての設備関連情報は、復旧対象における利用者の閉じ込め有無を示す閉じ込め情報を含んでいる。そこで、対応付け部172は、復旧対象における利用者の閉じ込め有無に応じた移動手段を、当該復旧対象に対応付けてもよい。
一例として、対応付け部172は、閉じ込めが発生していない復旧対象には、予め定められた移動手段を対応付け、閉じ込めが発生している復旧対象には、当該復旧対象に対応付けられる移動手段のうち、最も到着時刻が早い移動手段を対応付けてもよい。
具体的には、例えば、復旧対象リストにおいて、移動手段として「徒歩」が対応付けられている復旧対象があるとする。当該復旧対象に対応付けられている閉じ込め情報が「なし」を示す場合には、対応付け部172は、元々対応付けられている移動手段「徒歩」の対応付けを維持する。一方、閉じ込め情報が「あり」を示す場合には、対応付け部172は、当該復旧対象に対応付ける移動手段を、当該復旧対象への到着が最も早くなる移動手段に変更することができる。例えば、当該復旧対象への立ち寄りに利用できる移動手段が「徒歩」、「自転車」および「乗用車」であって、「乗用車」の利用により最も到着時刻が早くなる場合には、対応付け部172は、当該復旧対象に「乗用車」を対応付ける。
上述の構成によれば、復旧対象において閉じ込めが発生している場合には、当該復旧対象に最も早く到着できる移動手段を利用するグループを割り当てる出向計画が探索される。こうして、復旧対象に予め移動手段が対応付けられている場合でも、災害発生後に変化し得る状況に臨機応変に対応して、実情に合った出向計画を立案することが可能となる。
設備関連情報取得部11は、設備関連情報として、復旧対象となり得る昇降機設備の各々に対応付けられた、当該復旧対象へのアクセスに適さない移動手段を示すアクセス不適情報を取得してもよい。この場合、対応付け部172は、アクセス不適情報に基づいて復旧対象へのアクセスに利用できない移動手段を特定し、当該復旧対象と特定された移動手段との対応付けを採用しないように構成されていてもよい。
上述の構成によれば、復旧対象が設置された建物の立地が考慮されて、実情に合わない対応付けが探索部12に対して指定されることがなくなる。これにより、実情に合わない出向計画を探索するような無駄な処理を削減することができるため、探索部12の探索工程にかかる処理負荷を大幅に削減することができる。
<処理フロー>
図17は、本実施形態に係る出向計画システム10が実行する最適化シミュレーションの処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS201では、探索部12は、復旧対象毎に対応付けられている移動手段を取得する。探索部12は、設備関連情報取得部11によって入力された復旧対象リスト(例えば、図4)から、各復旧対象の移動手段を読み出してもよい。あるいは、探索部12は、対応付け部172によって指定された復旧対象と移動手段との対応付けを受け付けてもよい。
ステップS202では、探索部12は、切替部171から入力された対応付けパターン(例えば、図11)を受け付ける。対応付けパターンは、探索条件としての、グループ数と、各グループが利用する移動手段とを示す。換言すれば、対応付けパターンは、移動手段毎のグループ数を示す。
ステップS203では、探索部12は、受け付けた対応付けパターンを探索条件として、探索工程を実行する。本実施形態では、探索部12は、移動手段別探索処理を含む図12の探索工程を実行する。これにより、探索部12は、1つの対応付けパターンについて、移動手段毎の最適出向計画を含む事業所の最適出向計画70を出力する。
ステップS204では、探索部12は、出力した事業所の最適出向計画70を、上述の対応付けパターンに関連付けて最新出向計画DB31に保存する。
ステップS205では、探索部12は、すべての対応付けパターンについて探索工程を実行したか否かを判定する。本実施形態では、切替部171によって切り替えられた新たな対応付けパターンが入力された場合に、探索部12は、ステップS205のNOからステップS202に戻り、以降の処理を繰り返す。一方、切替部171から入力されたすべての対応付けパターンについて事業所の最適出向計画70を出力した場合には、探索部12は、ステップS205のYESからステップS206に処理を進める。
ステップS206では、探索部12は、最新出向計画DB31に保存した、対応付けパターン毎の最適出向計画70のうち、完了推測時刻72が最も早い最適出向計画70を特定する。例えば、図16に示す、完了推測時刻PAT1、完了推測時刻PAT2、・・・、完了推測時刻PATnのうち、最も早い時刻が、完了推測時刻PAT2である場合、最適出向計画PAT2を特定する。
ステップS207では、探索部12は、特定した最適出向計画70を、事業所の最終的な最適出向計画70とする。探索部12は、事業所の最終的な最適出向計画70を、当該最適出向計画70が得られたときの対応付けパターンとともに出力する。探索部12は、事業所の最終的な最適出向計画70を、他の対応付けパターンの最適出向計画とは区別して最新出向計画DB31に再保存してもよい。
出力された事業所の最終的な最適出向計画70は、下流の工程を実行する各部、例えば、出力制御部15、または、出向手配システム20などによって参照され、適宜に処理される。
<効果>
以上のようにして、探索部12から出力された事業所の最終的な最適出向計画70は、復旧対象に対して、当該復旧対象へのアクセスに適した移動手段を利用するグループが割り当てられる出向計画である。その上、事業所の最終的な最適出向計画70は、事業所が擁する復旧資源によって実現可能な対応付けパターンを探索条件として探索された出向計画のうち、完了推測時刻が最も早い出向計画である。したがって、本実施形態によれば、実情に合った精確な出向計画を立案することができるとともに、当該出向計画の完了推測時刻を早期化することが可能となる。
さらに、事業所の最終的な最適出向計画70ともに当該最適出向計画70が得られたときの対応付けパターンが、フロントエンドシステム1のオペレータ、および、事業所装置2のオペレータなどに提供されてもよい。これにより、オペレータは、当該事業所に関して、どの移動手段を利用するグループを何グループ出向させるのかを容易に判断することが可能となる。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、先の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
地震などの広域災害においては、1つの事業所だけでなく、複数の事業所が復旧作業にあたると考えられる。そのため、1つの事業所内のグループ間の作業完了時刻のばらつきを小さくすることに加えて、事業所間の作業完了時刻のばらつきを小さくすることが求められる。延いては、それが、保守会社全体としての作業完了時刻を早期化する出向計画を立案することにつながり、事業所間のグループの派遣を調整する業務を支援することにつながる。
本実施形態では、複数のグループを擁する複数の事業所による復旧作業の全てが完了する時刻について、ばらつきを小さくすることにより、全体として早期に復旧作業を完了させることが可能な出向計画を立案することを目的とする。
<出向計画システム10の構成>
図3に示すとおり、本実施形態の出向計画システム10は、設備関連情報取得部11および探索部12に加えて、さらに、派遣管理部18を備えている。本実施形態では、出向計画システム10は、必要に応じて、移動関連情報取得部13、現在地取得部14、出力制御部15、目標設定部16および探索条件指定部17を備えていてもよい。
<最適化シミュレーション>
本実施形態では、まず、探索部12は、各事業所の実際の復旧資源に基づいて、実施形態1で説明された最適出向計画の探索を実行し、その最適出向計画における完了推測時刻を求めてもよい。続いて、探索部12は、目標設定部16および探索条件指定部17によって入力された探索条件に基づいて、最適化シミュレーションの工程を実行して、より優良な最適出向計画を再探索してもよい。
(入力情報)
最適化シミュレーションを探索部12に実行させるために、目標設定部16は、目標時刻を探索条件の1つとして探索部12に入力する。目標設定部16は、探索部12に入力する目標時刻を、例えば、以下のようにして設定してもよい。
目標設定部16は、探索部12が、事業所に実際に所属するグループを対象として探索する処理(例えば、図2のステップS3)を実行して得られる最適出向計画における事業所毎の完了推測時刻から求められる統計量を、目標時刻として設定してもよい。
例えば、探索部12が、ステップS3の最適出向計画探索を事業所ごとに実行した結果、事業所P、事業所Q、事業所R、事業所Sのそれぞれについて、完了推測時刻を、「13:55」、「14:50」、「14:50」、「14:15」と求めたとする。
目標設定部16は、これらの完了推測時刻の平均値「14:27」を、目標時刻として設定してもよい。あるいは、目標設定部16は、これらの完了推測時刻の中央値「14:32」を目標時刻として設定してもよい。あるいは、目標設定部16は、これらの完了推測時刻の最頻値「14:50」を目標時刻として設定してもよい。
上述の構成によれば、すべての事業所が持つすべての復旧資源を活用して達成し得る完全復旧の時刻として妥当な時刻を目標時刻に設定することができる。
目標設定部16は、復旧対象の台数に応じた目標時刻を設定してもよい。
例えば、昇降機設備の停止台数の規模に応じて、復旧作業を完了させるまでの妥当な所要時間を予め定義したルックアップテーブルが、出向計画システム10の記憶装置に記憶されていてもよい。ルックアップテーブルには、例えば、停止規模500台程度の場合、完全復旧までの所要時間はX時間以内、停止規模1000台程度の場合、所要時間はY時間以内、停止規模2000台程度の場合、所要時間はZ時間以内、・・・などと定義されていてもよい。
目標設定部16は、設備関連情報取得部11によって取得された被災地域の設備関連情報全体リストから停止台数を求め、ルックアップテーブルを参照して、求めた停止台数に対応する所要時間を特定してもよい。目標設定部16は、現在時刻に所要時間を加算して得た時刻を目標時刻として設定してもよい。
上述の構成によれば、実際に停止している台数に対して、それらの復旧を完了させる時刻として妥当な時刻を目標時刻に設定することができる。
目標設定部16は、復旧対象の単位台数あたりの復旧に要した所要時間を過去の実績として示す実績情報に基づいて、目標時刻を設定してもよい。
例えば、実績情報は、災害の規模、停止台数、稼動した復旧資源の数、完全復旧までに実際に要した所要時間などの過去の事例を示す情報であり、出向計画システム10の記憶装置に予め記憶されていてもよい。目標設定部16は、今回の災害の規模および停止台数と近い事例を特定し、特定した事例の所要時間に基づいて、目標時刻を設定してもよい。一例として、目標設定部16は、今回の災害と近い事例における所要時間、または、当該所要時間より数%短い時間を現在時刻に加算して得た時刻を目標時刻として設定してもよい。
上述の構成によれば、過去の実績を参考にして、復旧を完了させる時刻として妥当な時刻を目標時刻に設定することができる。
他の例では、目標設定部16は、フロントエンドシステム1または事業所装置2などのオペレータから、目標時刻の指定を受け付けてもよい。目標設定部16は、オペレータによって指定された目標時刻を、探索部12に入力してもよい。
(探索する処理)
探索部12は、事業所に所属するグループを対象として最適出向計画を探索する処理を、探索された最適出向計画における完了推測時刻が所定の目標時刻を下回るまで、事業所に所属させるグループの個数を仮想的に組み換えながら繰り返し実行する処理を、事業所毎に実行する。
例えば、探索部12は、目標設定部16によって指定された目標時刻に従って、事業所毎に、探索条件を変えながら探索を実行する。本実施形態では、探索部12は、探索条件としての事業所のグループの個数を仮想的に変えながら、事業所の最適出向計画を探索する。
本実施形態では、探索部12は、1つの事業所について、完了推測時刻が目標時刻を下回る最適出向計画が1つ探索された場合に、当該最適出向計画を、当該事業所の最適出向計画として出力してもよい。探索部12は、1つの事業所について、完了推測時刻が目標時刻を下回る最適出向計画が複数探索された場合には、これらの最適出向計画の中から最善の最適出向計画を1つ特定して出力してもよい。本実施形態において、最善の最適出向計画は、完了推測時刻が目標時刻を下回る最適出向計画のうち、仮想的に定めた事業所のグループの個数が最も少なくて済む最適出向計画であってもよい。
(出力情報)
探索部12は、事業所毎に探索した最善の最適出向計画を、当該最適出向計画を得たときの事業所のグループの個数とともに出力する。探索部12は、出力した最善の最適出向計画とグループの個数とを事業所に対応付けて最新出向計画DB31に保存してもよい。
派遣管理部18は、探索部12による上述の繰り返しが終了したときの事業所毎のグループの個数に基づいて、グループを他の事業所へ派遣する派遣元事業所と、派遣されたグループを受け入れる派遣先事業所とを決定する。
派遣管理部18は、決定した派遣元事業所と派遣先事業所とを含む派遣調整情報を生成してもよい。派遣管理部18は、生成した派遣調整情報33を記憶装置に保存してもよい。派遣調整情報33は、出力制御部15を介して、フロントエンドシステム1または事業所装置2などの出力部に出力される。
探索部12は、完了推測時刻が目標時刻を下回る最適出向計画が得られたときの探索する処理において仮想的に増やされたグループの個数を特定している。そこで、派遣管理部18は、特定された個数と事業所に実際に所属するグループの個数との差分を、当該事業所に派遣が必要なグループ数である必要派遣数として出力してもよい。
具体的には、派遣管理部18は、最新出向計画DB31に保存された事業所毎の最善の最適出向計画と、その場合の当該事業所のグループの個数とを読み出し、事業所に実際に所属するグループの個数と比較してもよい。以下では、最善の最適出向計画が得られたときの事業所のグループの個数を事業所の仮想グループ数と称する。また、事業所に実際に所属するグループの個数を事業所の現有グループ数と称する。
派遣管理部18は、比較の結果、事業所の仮想グループ数が、当該事業所の現有グループ数を超えると判断した場合、その差分を、当該事業所において目標時刻を達成するために不足しているグループ数として算出する。派遣管理部18は、算出した不足しているグループ数、すなわち、当該事業所の必要派遣数を、派遣調整情報33の一部として記憶装置に保存してもよい。
上述の構成によれば、現有のグループ数では目標時刻までにすべての復旧対象の復旧作業を完了できない事業所について、目標時刻を達成するために必要なグループ数が求まる。これにより、オペレータは、当該事業所について、必要派遣数を容易に把握することができ、事業所間の派遣調整業務を円滑に実施することが可能となる。
一方、仮想グループ数が、現有グループ数を下回っている場合、そのグループの個数の差分は、当該事業所が当該差分の個数分のグループを減らされても、目標時刻を達成できることを意味する。すなわち、当該差分は、当該事業所が他の事業所に派遣できるグループの個数の最大値と考えることができる。したがって、本実施形態では、出向計画システム10を以下のように構成してもよい。
探索部12は、事業所に実際に所属するグループを対象として探索する処理を実行した結果、完了推測時刻が目標時刻を下回る場合に、グループの個数を仮想的に減少させながら探索する処理を1回以上繰り返し実行してもよい。この場合、探索部12は、完了推測時刻が目標時刻を下回る最適出向計画が得られたときの探索する処理において仮想的に減らされたグループの個数を特定している。そして、探索部12は、完了推測時刻が目標時刻を下回る最適出向計画が得られたときの探索する処理において仮想的に減らされたグループの個数のうちの最小値を特定している。
そこで、派遣管理部18は、特定された上述の最小値と実際に所属するグループの個数との差分を、当該事業所が派遣可能なグループ数の最大値である最大可能派遣数として出力してもよい。
派遣管理部18は、算出した上述の事業所の最大可能派遣数を、派遣調整情報33の一部として記憶装置に保存してもよい。
上述の構成によれば、現有のグループ数を減らしても依然目標時刻を達成することが可能な、復旧資源に余裕のある事業所について、目標時刻を達成しながら、他の事業所へ派遣できるグループ数の最大値が求まる。これにより、オペレータは、当該事業所について、何グループまで派遣することができるのかを容易に把握することができ、事業所間の派遣調整業務を円滑に実施することが可能となる。
<派遣管理>
(派遣調整情報)
図18は、派遣調整情報33のデータ構造の一例を示す図である。派遣調整情報33は、一例として、グループ数テーブル181および派遣調整結果182の少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。グループ数テーブル181は、派遣管理部18によって算出された事業所毎のグループ数を示すテーブルである。派遣調整結果182は、派遣管理部18によって決定された、事業所間のグループ派遣の調整内容を示す情報である。
(1)グループ数テーブル
例えば、グループ数テーブル181は、図示のとおり、事業所名、現有グループ数、仮想グループ数、必要派遣数、最大可能派遣数、および、完了推測時刻の各項目を含んで構成されていてもよい。
事業所名は、事業所を一意に識別する識別情報である。現有グループ数は、事業所に実際に所属しているグループの個数を示す。これらの情報は、図2に示すステップS1にて、予め出向計画システム10の記憶装置などに記憶されていてもよい。
仮想グループ数は、事業所の最善の最適出向計画が得られたときに指定されていた仮想的なグループの個数を示す。派遣管理部18は、探索部12によって特定された仮想グループ数を最新出向計画DB31から取得することができる。
必要派遣数は、事業所が目標時刻までの復旧作業完了を達成するために追加で必要とするグループの個数を示す。派遣管理部18は、仮想グループ数が現有グループ数を超える場合に、仮想グループ数と現有グループ数との差分を必要派遣数として算出する。
最大可能派遣数は、事業所が、目標時刻までの復旧作業完了を達成できる最小限のグループ数を確保した上で、他の事業所に派遣できるグループの個数の最大値を示す。派遣管理部18は、仮想グループ数が現有グループ数を下回る場合に、現有グループ数と仮想グループ数との差分を最大可能派遣数として算出する。
完了推測時刻は、事業所の上述の最善の最適出向計画における完了推測時刻であり、派遣管理部18は、探索部12によって求められた当該完了推測時刻を最新出向計画DB31から取得することができる。
目標時刻が「14:27」と設定されている場合、グループ数が不足する事業所について不足分が補われた場合には、いずれの事業所も目標時刻までに復旧作業を完了できることが、グループ数テーブル181において示されている。
出力制御部15は、派遣調整情報33に含まれているグループ数テーブル181を、フロントエンドシステム1または事業所装置2などの出力部に出力してもよい。これにより、オペレータは、容易に、グループ数が不足する事業所を把握し、事業所毎の不足するグループ数を把握し、不足が補われた場合に目標時刻を達成できることを確認することができる。このように、オペレータの復旧作業に係る管理業務を支援して、出向計画システム10を利用するオペレータの利便性を高めることができる。
(2)派遣調整結果
例えば、派遣調整結果182は、図示のとおり、派遣元事業所、派遣先事業所、および、派遣数の各項目を含んで構成されていてもよい。
派遣管理部18は、事業所毎の必要派遣数または最大可能派遣数に基づいて、グループを他の事業所へ派遣する派遣元事業所と、派遣されたグループを受け入れる派遣先事業所とを決定する。さらに、派遣管理部18は、派遣元事業所毎に導出された最大可能派遣数と、派遣先事業所毎に導出された必要派遣数とに基づいて、派遣元事業所から派遣先事業所へ派遣するグループ数を決定してもよい。本実施形態では、派遣管理部18は、派遣元事業所と派遣先事業所との組合せ毎に、派遣元事業所から派遣先事業所へ派遣するグループの個数である派遣数を決定する。
本実施形態では、派遣管理部18は、派遣先事業所の必要派遣数が充足されるように、派遣元事業所毎に派遣数を決定する。
例えば、事業所Qの必要派遣数は、3である。そこで、派遣管理部18は、事業所Pの最大可能派遣数4グループのうちの3グループを、事業所Qに派遣することを決定してもよい。
事業所Qの必要派遣数は充足されたので、次に、派遣管理部18は、事業所Rへの派遣を調整する。事業所Rの必要派遣数は、2であり、事業所Pからは、残り1グループ派遣することができる。そこで、派遣管理部18は、事業所Pから事業所Rへ1グループを派遣することを決定してもよい。
事業所Qの必要派遣数はまだ充足されていない。一方、事業所Sは、1グループを他の事業所に派遣できる。そこで、派遣管理部18は、事業所Sから事業所Rへ1グループを派遣することを決定してもよい。
派遣管理部18は、すべての事業所の必要派遣数が充足されたことに基づいて、以上の派遣調整処理を終了してもよい。派遣管理部18は、派遣調整処理の実行結果としての派遣調整結果182を、派遣調整情報33の一部として記憶装置に記憶してもよい。
出力制御部15は、派遣調整情報33に含まれている派遣調整結果182を、フロントエンドシステム1または事業所装置2などの出力部に出力してもよい。これにより、オペレータは、容易に、どの事業所からどの事業所へ何グループ派遣すればよいのかを即時に把握することができる。
以上のとおり、派遣管理部18の構成によれば、オペレータの派遣に係る調整業務を支援して、出向計画システム10を利用するオペレータの利便性を一層高めることができる。
他の例では、派遣管理部18は、派遣されるグループが派遣先事業所へ到着する所要時間に応じて派遣元事業所を選択してもよい。
例えば、グループ数テーブル181によれば、必要派遣数が3である事業所Qにグループを派遣できる事業所は、事業所Pおよび事業所Sの2つある。そこで、派遣管理部18は、いずれの事業所から何グループ派遣するかを決定するために、各派遣元事業所の所在地から派遣先事業所の所在地への移動にかかる所要時間を考慮してもよい。事業所Pから事業所Qへの移動にかかる所要時間が、事業所Sから事業所Qへの移動にかかる所要時間よりも短い場合に、派遣管理部18は、事業所Qに派遣するグループを、できる限り事業所Pから出すことを決定してもよい。事業所Pから派遣されるグループ数では、事業所Qの必要派遣数を充足することができない場合には、派遣管理部18は、事業所Pの次に所要時間が短い事業所から事業所Qにグループを派遣することを決定することができる。
他の例では、1つの派遣先事業所の必要派遣数の1つの枠に対して、派遣可能な候補グループが、同一の派遣元事業所に、あるいは、異なる派遣元事業所に、複数個ある場合が想定される。この場合、派遣管理部18は、各候補グループの現在地から派遣先事業所の所在地への移動にかかる所要時間を考慮して、当該所要時間が最も短いグループを派遣することを決定してもよい。
上述の構成によれば、事業所間のグループの派遣のためにかかる移動時間を短縮し、派遣されたグループを、できるだけ早く、派遣先事業所での復旧作業に参加させることができる。
他の例では、派遣管理部18は、派遣元事業所において1グループ減らした場合の完了推測時刻の遅延幅が少ない派遣元事業所から優先的に、派遣先事業所にグループを派遣することを決定してもよい。
例えば、事業所Qにグループを派遣できる事業所が事業所Pおよび事業所Sの2つある場合に、事業所Pから1グループ減じると、完了推測時刻が5分遅くなり、事業所Sから1グループ減じると、完了推測時刻が10分遅くなるとする。この場合、派遣管理部18は、遅延幅が少ない事業所Pから事業所Qへグループを優先的に派遣することを決定してもよい。
上述の構成によれば、派遣元事業所においてグループを他の事業所へ派遣することで生じる完了推測時刻の遅延の影響をできる限り小さくすることができる。
派遣管理部18は、出力制御部15を介して、各事業所の事業所装置2と通信し、オペレータの派遣調整業務をさらに支援することができる。
例えば、派遣管理部18は、決定した派遣調整結果182に基づいて、派遣元事業所毎に派遣数を示した応援要請通知を生成し、派遣元事業所の事業所装置2のそれぞれに、当該応援要請通知を送信してもよい。
派遣管理部18は、派遣元事業所の事業所装置2から派遣可能である旨の派遣了承通知を受信した場合に、派遣調整結果182を確定させてもよい。そして、派遣管理部18は、確定させた派遣調整結果182に基づいて、派遣先事業所の事業所装置2のそれぞれに、どの事業所から何グループ派遣されるのかを示す応援要請完了通知を送信してもよい。上述の構成によれば、派遣調整業務をより一層円滑に進行させることができるので、出向計画システム10を利用するオペレータの利便性をより一層高めることができる。
<処理フロー>
図19は、実施形態4に係る出向計画システム10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。図19に示す一連の処理は、図2に示す、ステップS3の最適出向計画探索の工程と、ステップS4の最適化シミュレーションの工程と、ステップS5の派遣管理工程とに対応する。
ステップS301では、探索部12は、目標設定部16によって設定された目標時刻を受け付ける。これに応答して、探索部12は、目標時刻を達成するための最善の最適出向計画と、当該最善の最適出向計画の遂行のために必要なグループ数とを求めるための探索を、事業所毎に実行する。
ステップS302では、探索部12は、1つの事業所を注目事業所として、当該注目事業所の現有グループ数を取得して、探索条件としてのグループ数GNとする。
ステップS303では、探索部12は、ステップS3の最適出向計画探索の工程を実行する。これにより、探索部12は、例えば、図7に示すような最適出向計画と、当該最適出向計画における完了推測時刻を得る。以降、探索部12は、受け付けた目標時刻と得られた完了推測時刻とに基づいて、ステップS4の最適化シミュレーションの工程を実行する。
ステップS304では、探索部12は、上述の完了推測時刻が、目標時刻を下回っているか否かを判定する。探索部12が完了推測時刻は目標時刻以降であると判定した場合、すなわち、注目事業所が現有グループ数では目標時刻までに復旧作業を完了させることができない場合、探索部12は、ステップS304のNOからステップS305に処理を進める。一方、探索部12が完了推測時刻は目標時刻を下回っていると判定した場合、すなわち、注目事業所が現有グループ数にて目標時刻よりも早くに復旧作業を完了させることができる場合、探索部12は、ステップS304のYESからステップS311に処理を進める。
ステップS305では、探索部12は、グループ数GNを1つインクリメントして、ステップS303と同じ探索工程を再度実行する。これにより、探索部12は、例えば、図7に示すような最適出向計画と、当該最適出向計画における完了推測時刻を得る。グループ数GNは、仮想的に1つ増やされているので、ここで得られたn回目の完了推測時刻は、グループ数GNが1つ少ない前回の探索で得られたn-1回目の完了推測時刻よりも、通常、早くなると考えられる。
ステップS306では、探索部12は、ステップS305で得られた完了推測時刻が、目標時刻を下回ったか否かを判定する。探索部12は、完了推測時刻が依然目標時刻以降であると判定した場合、ステップS306のNOからステップS305に戻り、探索の処理を繰り返す。一方、探索部12は、完了推測時刻が目標時刻を下回ったと判定した場合、ステップS306のYESからステップS307に処理を進める。
ステップS307では、探索部12は、初めて目標時刻が下回った時の最適出向計画を、当該注目事業所の最善の最適出向計画として出力する。探索部12は、最善の最適出向計画における完了推測時刻を最善の最適出向計画に含めて出力してもよい。探索部12は、当該最善の最適出向計画が得られた時のグループ数GNを、仮想グループ数として特定して、最善の最適出向計画と併せて出力してもよい。探索部12は、出力した、最善の最適出向計画、最善の最適出向計画における完了推測時刻、および、仮想グループ数を、注目事業所の事業所名を関連付けて、最新出向計画DB31に保存してもよい。
ステップS308では、探索部12は、グループ数GNを1つデクリメントして、ステップS303と同じ探索工程を再度実行する。これにより、探索部12は、例えば、図7に示すような最適出向計画と、当該最適出向計画における完了推測時刻を得る。グループ数GNは、仮想的に1つ減らされているので、ここで得られたn回目の完了推測時刻は、グループ数GNが1つ多い前回の探索で得られたn-1回目の完了推測時刻よりも、通常、遅くなると考えられる。
ステップS309では、探索部12は、ステップS308で得られた完了推測時刻が、目標時刻を下回っているか否かを判定する。探索部12は、完了推測時刻が依然目標時刻を下回っていると判定した場合、ステップS309のYESからステップS310に処理を進める。一方、探索部12は、完了推測時刻が目標時刻以降になったと判定した場合、ステップS309のNOからステップS311に処理を進める。
ステップS310では、探索部12は、目標時刻を達成可能な今回の探索結果を一時的に保存しておく。探索部12は、ステップS308に戻り、グループ数GNをまた1つ減らして探索の処理を繰り返す。
ステップS311では、探索部12は、完了推測時刻が目標時刻に到達してしまった今回の探索の1つの前の探索で得られた最適出向計画を、当該注目事業所の最善の最適出向計画として出力してもよい。本実施形態では、1つの前の探索で得られた最適出向計画は、注目事業所が最も少ないグループ数にて目標時刻を達成できる出向計画であると考えられるからである。探索部12は、最善の最適出向計画における完了推測時刻を最善の最適出向計画に含めて出力してもよい。探索部12は、当該最善の最適出向計画が得られた時のグループ数GNを、仮想グループ数として特定して、最善の最適出向計画と併せて出力してもよい。探索部12は、出力した、最善の最適出向計画、最善の最適出向計画における完了推測時刻、および、仮想グループ数を、注目事業所の事業所名を関連付けて、最新出向計画DB31に保存してもよい。
ステップS312では、探索部12は、災害地域の復旧を担当するすべての事業所について、最善の最適出向計画を探索したか否かを判定する。まだ探索を終えていない事業所がある場合には、探索部12は、ステップS312のNOからステップS302に戻り、次の注目事業所について以降の処理を繰り返す。すべての事業所について探索を終えた場合には、ステップS312のYESから処理を進めて、以上の一連の最適化シミュレーションの工程を終了する。以降、派遣管理部18によって、ステップS5の派遣管理工程が実行される。
ステップS313では、派遣管理部18は、現有グループ数と仮想グループ数との差分から、必要派遣数または最大可能派遣数を、事業所毎に算出する。例えば、派遣管理部18は、事業所の仮想グループ数が、当該事業所の現有グループ数を超える場合、上述の差分の絶対値を、当該事業所の必要派遣数として算出する。例えば、派遣管理部18は、事業所の仮想グループ数が、当該事業所の現有グループ数を下回る場合、上述の差分の絶対値を、当該事業所の最大可能派遣数として算出する。なお、現有グループ数と仮想グループ数とが同数である場合には、最大可能派遣数を「0」と算出してもよい。
ステップS314では、派遣管理部18は、事業所毎の必要派遣数または最大可能派遣数に基づいて、派遣元事業所および派遣先事業所を決定する。派遣管理部18は、派遣先事業所の必要派遣数が充足されるように、派遣元事業所から派遣先事業所へ派遣するグループの派遣数を決定してもよい。派遣管理部18は、派遣元事業所と派遣先事業所とのペア毎に派遣数を決定してもよい。
ステップS315では、派遣管理部18は、ステップS313およびステップS314の処理の結果を含む派遣調整情報33を出力する。派遣管理部18は、出向計画システム10の記憶装置に出力した派遣調整情報33を保存してもよい。派遣管理部18は、出力した派遣調整情報33を、出力制御部15を介してフロントエンドシステム1または事業所装置2の出力部に表示させてもよい。派遣管理部18は、さらに、決定した派遣元事業所および派遣先事業所の事業所装置2と通信して、事業所間のグループの派遣を調整する業務を実行してもよい。
<効果>
以上のとおり、本実施形態に係る出向計画システム10は、復旧作業を要する事象が発生した、所在地が異なる複数の復旧対象に関する情報を取得する設備関連情報取得部11(復旧対象情報取得部)と、1または複数の作業員で構成され復旧作業を行うグループが出向する予定の復旧対象の組合せおよび出向順をグループ毎に定めた出向計画の最適解または準最適解である最適出向計画を探索する探索部12とを備えている。
探索部12は、復旧対象へ出向するための総移動時間および復旧対象の復旧作業に要する総作業時間を少なくとも考慮して推測される、復旧対象の全ての復旧が完了する完了推測時刻が、異なる複数パターンの出向計画の中で相対的に早い出向計画を、最適出向計画として探索する。
復旧対象の各々は、復旧対象の保守を行う事業所のいずれかに対応付けられており、グループの各々は、事業所のいずれかに所属している。
探索部12は、事業所に所属するグループを対象として最適出向計画を探索する処理を、探索された最適出向計画における完了推測時刻が所定の目標時刻を下回るまで、事業所に所属させるグループの個数を仮想的に組み換えながら繰り返し実行する処理を、事業所毎に実行する。
出向計画システム10は、繰り返しが終了したときの事業所毎のグループの個数に基づいて、グループを他の事業所へ派遣する派遣元事業所と、派遣されたグループを受け入れる派遣先事業所とを決定する、派遣管理部18をさらに備えている。
以上のとおり、本実施形態に係る出向計画システム10の制御方法は、1または複数の情報処理装置により実行される制御方法であって、復旧作業を要する事象が発生した、所在地が異なる複数の復旧対象に関する情報を取得する復旧対象情報取得工程(ステップS3-1)と、1または複数の作業員で構成され復旧作業を行うグループが出向する予定の復旧対象の組合せおよび出向順をグループ毎に定めた出向計画の最適解または準最適解である最適出向計画を探索する探索工程(ステップS3-2、ステップS4など)とを含む。
探索工程は、復旧対象へ出向するための総移動時間および復旧対象の復旧作業に要する総作業時間を少なくとも考慮して推測される、復旧対象の全ての復旧が完了する完了推測時刻が、異なる複数パターンの出向計画の中で相対的に早い出向計画を、最適出向計画として探索する。
復旧対象の各々は、復旧対象の保守を行う事業所のいずれかに対応付けられており、グループの各々は、事業所のいずれかに所属している。
探索工程は、事業所に所属するグループを対象として最適出向計画を探索する処理を、探索された最適出向計画における完了推測時刻が所定の目標時刻を下回るまで、事業所に所属させるグループの個数を仮想的に組み換えながら繰り返し実行する処理(ステップS304~S307)を、事業所毎に実行する。
上述の制御方法は、繰り返しが終了したときの事業所毎のグループの個数に基づいて、グループを他の事業所へ派遣する派遣元事業所と、派遣されたグループを受け入れる派遣先事業所とを決定する、派遣管理工程(ステップS5)をさらに含む。
上述の構成または方法によれば、事業所のグループ数を仮想的に定めて探索を行い、目標時刻までの復旧作業完了を達成するために必要なグループ数を事業所ごとに割り出すことができる。割り出した必要なグループ数を、事業所の実際のグループ数と比較すれば、人員が不足している事業所、人員に余裕がある事業所が判明する。そのため、グループを他の事業所へ派遣する派遣元事業所と、派遣されたグループを受け入れる派遣先事業所とを決定することができる。この決定にしたがえば、事業所ごとのグループ数が最適化され、事業所毎の復旧作業の完了時刻のばらつきを小さくすることができる。結果として、全体として早期に復旧作業を完了させることが可能な出向計画を立案することができる。そして、そのような出向計画を遂行するために必要な事業所間のグループ数の調整に係る業務を支援することが可能となる。
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、先の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
本実施形態に係る出向計画システム10は、事業所毎に、目標時刻を達成するためのグループの過不足を移動手段毎に割り出して、事業所間のグループの派遣を移動手段毎に調整するように構成されてもよい。
例えば、実施形態2または実施形態3に係る構成に、実施形態4で説明された構成を組み合わせた出向計画システム10も本発明の範疇に入る。
<出向計画システム10の構成>
グループには、当該グループが復旧対象へ出向するための移動手段が対応付けられており、復旧対象には、当該復旧対象への出向に適した移動手段が対応付けられている。
探索部12は、事業所毎に、同一の移動手段が対応付けられた複数の復旧対象、および、当該同一の移動手段が対応付けられた複数のグループを対象とする探索を、移動手段毎に行う移動手段別探索処理を実行することにより、移動手段毎の最適出向計画を探索する。探索部12は、移動手段毎に探索された最適出向計画における完了推測時刻の最遅時刻を当該事業所の完了推測時刻とする。
探索部12は、特定の移動手段が対応付けられたグループおよび復旧対象を対象にした上述の移動手段別探索処理を、探索された最適出向計画における完了推測時刻が所定の目標時刻を下回るまで、事業所に所属させる上述の移動手段のグループの個数を仮想的に組み換えながら繰り返し実行する処理を、事業所毎かつ移動手段毎に実行してもよい。
派遣管理部18は、上述の繰り返しが終了したときの事業所毎かつ移動手段毎のグループの個数に基づいて、移動手段毎に、派遣元事業所と派遣先事業所とを決定してもよい。
一例として、本実施形態では、探索部12は、図2に示すステップS3-2の探索工程において、1つの事業所つき、1つの復旧資源の対応付けパターン(図11)にしたがって、実施形態2で説明された移動手段別探索処理を含む探索を実行する。
なお、1つの事業所につき、復旧資源の対応付けパターンの候補が複数存在する場合には(図14、図15)、探索部12は、必要に応じて、ステップS4の最適化シミュレーションの工程において、実施形態3で説明された探索を実行してもよい。そして、探索部12は、事業所における、完了推測時刻が最も早くなる最終的な最適出向計画と、当該最適出向計画を得たときの対応付けパターンを得てもよい。
続いて、探索部12は、ステップS4の最適化シミュレーションの工程において、実施形態4で説明された探索を実行し、事業所につき、目標時刻を達成するための最善の最適出向計画を移動手段毎に得る。派遣管理部18は、事業所毎に、移動手段別の必要派遣数または最大可能派遣数を出力する。
<処理フロー>
図20は、実施形態5に係る出向計画システム10が実行する処理の流れを示すフローチャートである。図20に示す一連の処理は、図2に示す、ステップS3の最適出向計画探索の工程と、ステップS4の最適化シミュレーションの工程と、ステップS5の派遣管理工程とに対応する。
ステップS401では、探索部12は、目標設定部16によって設定された目標時刻を受け付ける。これに応答して、探索部12は、目標時刻を達成するための最善の最適出向計画と当該最善の最適出向計画の遂行のために必要なグループ数とを移動手段毎に求めるための探索を、事業所毎に実行する。
ステップS402では、探索部12は、1つの事業所を注目事業所として、当該注目事業所について、移動手段毎の最適出向計画を含む事業所の最適出向計画70を探索する。ここで、探索部12は、予め定義されている注目事業所の1つの対応付けパターン(例えば、図11)に基づいて、図12に示すステップS101~S106を実行して、事業所の最適出向計画70と完了推測時刻72とを得てもよい。他の例では、探索部12は、図17に示すステップS201~S207を実行して、完了推測時刻が最も早い最適出向計画70を特定し、当該最適出向計画70と完了推測時刻72と、当該最適出向計画70が得られたときの対応付けパターンとを得てもよい。
以降、探索部12は、移動手段毎の最適出向計画における完了推測時刻が所定の目標時刻を下回るまで、当該移動手段のグループの個数を仮想的に組み換えながら最適出向計画の探索を繰り返し実行する処理を、事業所毎かつ移動手段毎に実行する。ここで、事業所の移動手段毎の現有グループ数は、ステップS402で得られた対応付けパターンから特定することができる。
ステップS403では、まず、探索部12は、事業所の最適出向計画70に示されている移動手段のうちの1つに注目し、注目した注目移動手段についての最適出向計画の完了推測時刻76を取得する。
ステップS404では、探索部12は、取得した完了推測時刻76が、目標時刻を下回っているか否かを判定する。探索部12は、完了推測時刻76が目標時刻以降であると判定した場合、ステップS404のNOからステップS405に処理を進める。完了推測時刻76が目標時刻以降である場合とは、すなわち、完了推測時刻76が目標時刻を下回っておらず、注目事業所が、注目移動手段の現有グループ数では目標時刻までに復旧作業を完了させることができない場合を意味する。一方、探索部12が完了推測時刻76は目標時刻を下回っていると判定した場合、探索部12は、ステップS404のYESからステップS406に処理を進める。完了推測時刻76が目標時刻を下回っている場合とは、すなわち、注目事業所が、注目移動手段の現有グループ数にて目標時刻よりも早くに復旧作業を完了させることができる場合を意味する。
ステップS405では、探索部12は、注目移動手段の最善の最適出向計画を探索する。具体的には、探索部12は、注目移動手段の完了推測時刻76が目標時刻を下回るまで、注目移動手段のグループ数GNを増やしながら探索を繰り返す。ステップS405は、図19に示すステップS305~S307に対応する。
ステップS406では、探索部12は、注目移動手段の最善の最適出向計画を探索する。具体的には、探索部12は、注目移動手段の完了推測時刻76が目標時刻を下回っている間は、注目移動手段のグループ数GNを減らしながら探索を繰り返す。ステップS406は、図19に示すステップS308~S311に対応する。
ステップS407では、探索部12は、すべての移動手段について、最善の最適出向計画を探索したか否かを判定する。まだ探索を終えていない移動手段がある場合には、探索部12は、ステップS407のNOからステップS403に戻り、次の注目移動手段について以降の処理を繰り返す。すべての移動手段について探索を終えた場合には、探索部12は、1つの事業所について、「移動手段毎に最善の最適出向計画を探索する処理」を完了したため、ステップS407のYESからステップS408に処理を進める。
ステップS408では、探索部12は、すべての事業所について、「移動手段毎に最善の最適出向計画を探索する処理」を完了したか否かを判定する。未処理の事業所がある場合には、探索部12は、ステップS408のNOからステップS402に戻り、次の注目事業所について以降の処理を繰り返す。すべての事業所について処理を完了した場合には、探索部12は、ステップS408のYESからステップS409に処理を進める。
ステップS409では、派遣管理部18は、現有グループ数と仮想グループ数との差分から、必要派遣数または最大可能派遣数を、事業所毎かつ移動手段毎に算出する。例えば、派遣管理部18は、仮想グループ数が現有グループ数を超える場合、上述の差分の絶対値を、当該事業所の必要派遣数として算出する。例えば、派遣管理部18は、仮想グループ数が現有グループ数を下回る場合、上述の差分の絶対値を、最大可能派遣数として算出する。なお、現有グループ数と仮想グループ数とが同数である場合には、最大可能派遣数を「0」と算出してもよい。
ステップS410では、派遣管理部18は、事業所毎かつ移動手段毎の必要派遣数または最大可能派遣数に基づいて、移動手段毎に派遣元事業所および派遣先事業所を決定する。派遣管理部18は、派遣先事業所の移動手段毎の必要派遣数が充足されるように、派遣元事業所から派遣先事業所へ派遣するグループの派遣数を移動手段毎に決定してもよい。派遣管理部18は、派遣元事業所と派遣先事業所とのペア毎に派遣数を決定してもよい。
ステップS411では、派遣管理部18は、ステップS409およびステップS410の処理の結果を含む派遣調整情報33を出力する。
<派遣調整情報>
図21は、本実施形態に係る派遣管理部18から出力される派遣調整情報33のデータ構造の一例を示す図である。派遣調整情報33は、一例として、グループ数テーブル211および派遣調整結果212の少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。
グループ数テーブル211は、派遣管理部18によって算出された事業所毎かつ移動手段毎のグループ数を示すテーブルである。
出力制御部15は、派遣調整情報33に含まれているグループ数テーブル211を、フロントエンドシステム1または事業所装置2などの出力部に出力してもよい。これにより、オペレータは、容易に、事業所において不足するグループ数を移動手段別に把握して、不足が補われた場合に目標時刻を達成できることを確認することができる。このように、オペレータの復旧作業に係る管理業務を支援して、出向計画システム10を利用するオペレータの利便性を高めることができる。
派遣調整結果212は、派遣管理部18によって決定された、事業所間のグループ派遣の調整内容を示す情報である。本実施形態では、派遣管理部18は、派遣調整結果212を、移動手段毎に生成する。図示の例では、派遣調整結果212は、「乗用車」を利用するグループに関する派遣の調整内容を示している。派遣管理部18は、他の移動手段、例えば、「自転車」、「徒歩」などに関しても、図示の派遣調整結果212と同様の派遣調整結果を生成することができる。
出力制御部15は、移動手段毎に生成された派遣調整結果を、フロントエンドシステム1または事業所装置2などの出力部に出力してもよい。これにより、オペレータは、容易に、どの事業所からどの事業所へどの移動手段のグループを何グループ派遣すればよいのかを即時に把握することができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
図22は、保守システム1000に含まれる各装置または各システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
出向計画システム10および出向手配システム20を実現する1または複数の情報処理装置の機能は、当該情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。このプログラムは、上述の情報処理装置の各制御ブロックとして、コンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。上述の各制御ブロックとは、特に、設備関連情報取得部11、探索部12、移動関連情報取得部13、現在地取得部14、出力制御部15、目標設定部16、探索条件指定部17、派遣管理部18の各部である。
この場合、情報処理装置は、上述のプログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ911)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ912)とを有するコンピュータ910を備えている。メモリ912は、上述のプログラムとして例えばプログラム921を記憶している。上述の制御装置と記憶装置とによりプログラムを実行することにより、上述の各実施形態で説明した各機能が実現される。
上述のプログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体(例えば、記録媒体931)に記録されていてもよい。この記録媒体は、上述の情報処理装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上述のプログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して情報処理装置に供給されてもよい。
また、上述の各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上述の各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上述の各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
また、上述の各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。