JP2016151940A - カーシェアリングシステムの運用計画作成支援システム - Google Patents

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Masahiro Kuwabara
昌広 桑原
吉岡 顕
Akira Yoshioka
顕 吉岡
章 松井
Akira Matsui
章 松井
由紀子 本間
Yukiko Homma
由紀子 本間
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Abstract

【課題】カーシェアリングシステムにおける事業性評価を簡易な計算で精度良く行い、運用計画作成を支援する運用計画作成支援システムを提供する。
【解決手段】ユーザの移動の需要特性を記憶する需要特性記憶部110と、ステーションごとの駐車枠数および合計車両台数の制約を記憶する制約パターン記憶部130と、需要特性にしたがって、乱数を用いて需要パターンを複数生成する需要パターン生成部140と、数理計画法により目的関数が最適となるステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数の解をそれぞれの需要パターンについて決定し、これら複数の解から最適解候補を決定する、数理計画ソルバ部150と、数理計画ソルバ部150によって決定される最適解候補を利用して、状態遷移シミュレーション部160により事業性評価値を算出する、事業性評価値算出部170と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、カーシェアリングシステムの運用計画の作成を支援する技術に関する。
近年、車両を複数の利用者で共用するカーシェアリングシステム(車両共用システム)が普及している。カーシェアリングシステムは、従来のレンタカーサービスと比較して、分単位での短期的な利用が可能な点で異なる。また、電気自動車の普及に伴い、シェアカー(共用車)として電気自動車を用いるカーシェアリングシステムも検討されている。
新しくカーシェアリングシステム事業を開始する場合、どの程度の規模のシステムとするかを事業性を考慮して決定する必要がある。ユーザの需要を取りこぼさないという観点からは、シェアカーの台数を増やすことが望ましい。しかしながら、シェアカーの増加は、車両の調達・維持コストの増加に加えて、ステーションにおける駐車枠の調達・維持コストの増加にも繋がるため、事業性(収支)を悪化させる要因となる。したがって、ユーザの需要をできるだけ取りこぼさず、かつ、利益も確保できるようにシステムの運用計画を作成することが望まれる。
特許文献1,2は、カーシェアリングシステムの運用計画作成方法を開示する。特許文献1では、カーシェアリングシステムの数理モデルを定式化し数理計画法により最適な運用計画を求めており、特許文献2ではカーシェアリングシステムの状態遷移シミュレーションにより最適な運用計画を求めている。ここで、特許文献1,2では、システム稼働後の運用計画作成を目的としており、シェアカーの台数やステーションごとの駐車枠数は所与として、その条件下で車両配置や要員配置などの最適解を求めることを目的としている。
特許文献3は、新規に商業施設を出店する際の意思決定支援方法を開示する。特許文献3は、可能駐車台数、候補地、サービスの料金およびコストに基づいて出店後の利用状況をシミュレーションすることによって、収益が最大化される出店候補地を求めている。
特許文献4は、企業などにおいて複数の車両を共有している場合に、利用者に割り当てる車両を効率的に決定する技術を開示する。また、特許文献5は、複数のリース車両を用いているユーザが、一部のリース車両をレンタカーに置き換える場合に、リース料や駐車場費用などを考慮して適切な置き換え台数を求める技術を開示する。
特開2014−032531号公報 特開2014−041475号公報 特開2002−063329号公報 特開2010−186293号公報 特開2013−214138号公報
特許文献4,5が対処する問題では、計画に応じたコストや利益を簡単な計算式により算出できるので、最適な計画を比較的容易に算出することができる。しかしながら、カーシェアリングシステムにおいては、車両台数や駐車枠数を変更したときの事業性評価(利
益の評価など)は容易ではない。そこで、特許文献1のように数理計画法によって最適解を求めるか、特許文献2,3のようにシミュレーションを用いて探索的に最適解を求めることが必要となる。
カーシェアリングシステムは複雑なシステムであるので、現実の全ての要素を数理モデルに取り込んで数理計画法によって最適解を求めることは、計算量の観点から現実的ではない。数理モデルにおいて、一部の要素を無視したり簡略化したりすることが一般的である。この場合、数理計画法によって得られる解は、与えられた数理モデルについて最適な解ではあるが、それが現実に最適な解であるという保証はない。
シミュレーションを用いることで、現実のシステムにより近い事業性評価が行える。しかしながら、シミュレーションを用いて探索的に最適解を求めると、得られる解が局所最適解となって全体最適解とはならないこともある。考えられる全ての計画についてしらみつぶしにシミュレーションを行えば最適解が得られるが、計算量の観点から現実的ではない。
上記のような問題を考慮して、本発明は、カーシェアリングシステムにおける事業性評価を簡易な計算で精度良く行い、運用計画作成を支援することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るカーシェアリングシステムの運用計画作成支援システムでは、数理計画法による解を求め、求められた解をもとにシミュレーションを実行して事業性評価を行うことで、適切な運用計画の作成を支援する。運用計画には、カーシェアリングシステムにおけるステーションごとの駐車枠数および合計車両台数が含まれる。
具体的には、本発明の一態様は、カーシェアリングシステムにおけるステーションごとの駐車枠数および合計車両台数の決定を支援する運用計画作成支援システムであって、ステーション間のユーザの移動の需要特性を記憶する需要特性記憶手段と、ステーションごとの駐車枠数および合計車両台数の制約を取得する制約取得手段と、前記需要特性にしたがって、乱数を用いて複数の需要データを含む需要パターンを複数生成する需要パターン生成手段と、前記制約取得手段によって取得される制約と前記需要パターン生成手段によって生成されるそれぞれの需要パターンとを用いて、数理計画法により目的関数が最適となるステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数の解をそれぞれの需要パターンについて決定し、これら複数の解から最適解候補を決定する、第1計算手段と、前記第1計算手段によって決定される前記最適解候補を利用して、状態遷移シミュレーションによって事業性評価値を算出する、第2計算手段と、を備える。
需要特性記憶手段に記憶される需要特性は、ステーション間のユーザによる利用需要を表す情報であり、例えば、需要分布の特性情報である。需要分布としてポアソン分布を採用する場合には、需要特性は、単位時間あたりの利用者数の生起確率である。
需要パターン生成手段は、上記の需要特性に基づいて乱数を使って、複数の需要データを含む需要パターンを複数生成する。1つの需要データは、ある時刻に第1のステーションから第2のステーションに向かうという需要が発生することを意味するデータである。需要パターンは、特定の計算期間(例えば1日)における全ての需要に対応する需要データを含む。需要パターンは乱数を使って生成されるので、同一の需要特性に基づいて生成された場合でも、それぞれの需要パターンに含まれる需要(需要データ)は異なるものとなる。
制約取得手段によって取得される制約には、カーシェアリングシステム全体において使用される合計駐車枠数および合計車両台数に関する制約が含まれる。合計駐車枠数および合計車両台数に関する制約は、典型的にはその上限を定めるものであるが、上限と下限の両方を定めるものであってもよいし、特定の値を指定するもの(上限と下限が等しい)であってもよい。第1計算手段は、この制約を満たす範囲内で目的関数を最適とするステーションごとの駐車枠数と初期配置車両数を求めることになる。
第1計算手段は、制約手段によって取得される制約と、需要パターン生成手段によって生成される需要パターンとを用いて、数理計画法により目的関数が最適(最大もしくは最小)となるステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数の解を決定する。第1計算手段は、ステーション同士の位置関係や、ステーション間の移動時間などを定式化した数理モデルも用いて数理計画法による求解を行う。なお、数理モデルは現実のカーシェアリングシステムを完全に模倣したモデルとする必要はなく、一部の要素を省略したり簡略化した数理モデルを採用してもよい。目的関数は運用計画の作成意図に応じて任意とすることができるが、例えば、利益とすることができる。
第1計算手段は、1つの需要パターンについて、ステーションごとの駐車枠数と初期配置車両数を含む解を求める。それぞれの需要パターンについて解が求められるので、ステーションごとの駐車枠数と初期配置車両数が、複数求められる。そこで、第1計算手段は、これら複数の需要パターンについて決定される複数の解におけるステーションごとの複数の駐車枠数および初期配置車両数に基づいて、1つの最終的な解の候補(以下、最適解候補と称する)を求める。最適解候補におけるあるステーションの駐車枠数は、複数の需要パターンに応じて数理計画法によって求められる複数の値の、最頻値、平均値、中間値などとして決定することができる。また同様に、最適解候補におけるあるステーションの初期配置車両数も、複数の需要パターンに応じて数理計画法によって求められる複数の値の、最頻値、平均値、または中間値などとして決定することができる。
第1計算手段によって得られる最適解候補は、必ずしも最適な解とは限らない。また、解自体は最適なものであっても、当該解を採用した際の利益などの目的関数の値が現実と異なることも考えられる。これは、需要パターンの生成に乱数を用いたことによる誤差や、数理モデルの不完全さに基づいた誤差などが生じる可能性があるためである。そこで、第2計算手段は、最適解候補を利用して状態遷移シミュレーションによって事業性評価値を算出する。具体的には、第2計算手段は、需要の発生やステーション間の移動に要する時間などを乱数により決定しつつ複数回のシミュレーションを実施し、各回のシミュレーション結果における事業性評価値の平均値、中央値、最頻値などを最終的な事業性評価値として決定すること好ましい。事業性評価値は、例えば、利益、売上、コスト、サービス率、利用者数の1つまたは複数に基づいて決定される。事業性評価値は1つの値とする必要はなく、複数の値の組み合わせ(例えば、利益とサービス率の組み合わせ)として表されてもよい。また、各回のシミュレーション結果における事業性評価値のばらつき(分散など)を最終的な事業性評価値に含めるようにしてもよい。
本発明は、前記最適解候補に含まれるステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数、または、前記最適解候補から得られる合計駐車枠数および合計車両台数を、前記最適解候補を利用して算出される前記事業性評価値とともに出力する出力手段をさらに備える、ことも好ましい。この構成により、適切な駐車枠数や車両数の最適解と、当該最適解を採用した場合に予想される事業性評価値を、運用計画者が把握することができる。
本発明において、制約取得手段がステーションごとの駐車枠数および合計車両台数の制約を複数取得し、第1計算手段による最適解候補の決定および第2計算手段による事業性評価値の算出は、それぞれの制約に対して実行することも好ましい。利用する制約の数(
種類)は2つ以上であれば、いくつであっても構わない。そして、本発明は、第2計算手段によって算出される事業性評価値に基づいて、複数の最適解候補の中から最適解を選択する選択手段をさらに備えることも好ましい。最適解の選択基準は、運用計画の作成意図に応じて任意であってよく、例えば、サービス率が所定値以上の解の中から利益が最大のものを選択するという基準を採用することができる。このようにすれば、所定の評価基準に最も合致した事業性の高い運用計画を決定することができる。なお、運用計画作成支援システムはそれぞれの最適解候補についての事業性評価値を算出および出力するだけにし、運用計画者が最終的な運用計画(最適解)を決定するようにしてもよい。
また、本発明における第1計算手段が1つの制約について求める最適解候補の数は1つであってもよいし複数であってもよい。第1計算手段は、例えば、各ステーションにおける駐車枠数および初期配置車両数について頻度の高い上位所定個の値の組み合わせにより、複数の最適解候補を得るようにすることができる。これら複数の最適解候補を対象として、第2計算手段による事業性評価値の算出を行ってもよい。事業性評価値に基づいて選択手段が複数の最適解候補の中から最適解を選択してもよいし、出力手段が複数の最適解候補をその事業性評価値とともに出力するようにしてもよい。このようにしても、所定の評価基準にもっと最も合致した事業性の高い運用計画を決定することができる。
第2計算手段による状態遷移シミュレーションの際には、第1計算手段が最適解候補の決定の際に用いた需要特性を用いてシミュレーションを行うことが好ましい。このようにすれば、想定される需要のもとでの事業性評価値を算出することができる。また、第2計算手段による状態遷移シミュレーションは、第1計算手段が最適解候補の決定の際に用いた需要特性と、この需要特性とは異なる需要特性とを用いてシミュレーションを行うことも好ましい。このようにすれば、数理計画法の前提とした需要と異なる発生した場合の事業性も評価できる。数理計画法を用いた場合は特定の条件下でのみ最適な解が得られる場合があるが、異なる需要特性を用いて状態遷移シミュレーションを行うことで、予測と異なる需要が発生した場合でも高い事業性が維持できる運用計画を求めることができる。
なお、本発明は、上記手段の少なくとも一部を備えるカーシェアリングシステムの運用計画作成支援システムとして捉えることができる。また、本発明は、上記手段が行う処理の少なくとも一部を実行するカーシェアリングシステムの運用計画作成支援システムとして捉えることもできる。また、本発明は、この方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム、あるいはこのコンピュータプログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体として捉えることもできる。上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
本発明によれば、カーシェアリングシステムにおける事業性評価を簡易な計算で精度良く行え、運用計画作成に有用な情報を提供できる。
実施形態に係る運用計画作成支援システムの機能ブロック図。 需要特性部に記憶される需要特性の例を示す図。 需要パターン生成部によって生成される需要パターンの例を示す図。 ステーションとリンクの関係を簡略化して説明する図。 時空間ネットワークを説明する図。 運用計画作成支援処理の全体的な処理の流れを示すフローチャート。 運用計画作成支援処理の詳細な流れを示すフローチャート。 各需要パターンについて求められる解と、複数の需要パターンについて求められる解から決定される最適解候補の例を示す図である。 運用計画支援システムが出力する画面の例を示す図である。
<カーシェアリングシステムの概要>
実施形態の説明の前に、本実施形態の前提となるカーシェアリングシステムについて説明する。カーシェアリングシステムは、車両が配置されている複数のステーションを含み、各ステーションには1台または複数台のシェアカー(以下、単に車両と称する)が配置可能である。利用者(ユーザ)は、ステーションに配置されている車両を利用して、任意のステーションに車両を返却することができる。すなわち、本実施形態におけるカーシェアリングシステムは、いわゆる乗り捨てが可能なワンウェイ型のシステムである。車両の利用にあたって、利用者はあらかじめ予約を行って車両を確保しておいても良いし、予約をせずに利用可能な車両を利用しても構わない。また、利用者には走行距離もしくは時間に応じた利用料金が課金される。
カーシェアリングシステムにおけるシェアカーは、電気自動車であることを想定する。したがって、ステーションの駐車枠には充電設備が設けられることが好ましいが、必ずしも全ての駐車枠に充電設備が設けられなくてもよい。
カーシェアリングシステムにおいて乗り捨てを採用した場合には、利用のされ方によって車両の配置が偏る可能性がある。例えば、ある時間帯においてステーションAからステーションBへ向かう利用者の数が、反対方向の利用者の数よりも多ければ、ステーションAの車両数が不足し、ステーションBの車両数が過剰になる。そこで、本実施形態におけるカーシェアリングシステムでは、ステーション間での車両の回送(配車)を行う作業員(以下、要員とも称する)を動員する。作業員は、あるステーションにおける車両数が必要数よりも少なくなったら、車両数に余裕のあるステーションの車両を回送する。
<カーシェアリングシステムの運用計画>
次に、本実施形態におけるカーシェアリングシステムに関する運用計画について説明する。運用計画とは、カーシェアリングシステムの運用にあたって運用者が決定可能な条件をどのように設定するかという計画である。本実施形態では特にカーシェアリングシステムを新規に開始する際に事業性の観点から適切な事業規模を決定することを主目的とする。したがって、本実施形態では、運用計画のうち、ステーションごとの駐車枠数およびシェアカーの合計台数を適切に決定することを主目的とする。
運用計画には、ステーションごとの駐車枠数およびシェアカー台数以外にも、利用料金設定、作業員動員計画、配車計画表、配車実施基準、充電実施基準などが含まれる。本実施形態においては、最適な事業規模を決定することを目的とするため、これらの条件は固定とするが、これらの条件も可変として適切な運用計画を決定する用意してもよい。なお、利用料金設定は、利用者がシェアカーを利用する場合の料金設定である。利用料金は、例えば、単位時間あたりの料金や単位走行距離あたりの料金としても良いし、ステーションごとに特定の料金としても良い。作業員動員計画は、配車やメンテナンスを行う作業員を何人動員するかという計画である。配車計画表は、各シェアカーが各時刻においてどの場所に位置するかを示すものであり、出発元のステーションと出発時刻および目的地のステーションと到着時刻がシェアカーごとに示されたスケジュールである。配車実施基準は、ステーションごとの車両必要数(この数より少なくなったら他のステーションから車両を回送する必要があると判断する)や車両上限数(この数より多くなったら他のステーションへ車両を回送可能と判断する)や駐車上限台数(駐車台数がこの数より多くなると、他のステーションへ回送する必要があると判断する)などを含む。また、シェアカーに電気自動車を用いる場合には、充電実施基準も適切に計画する必要がある。充電実施基準は、充電率がどの程度まで低下したら貸し出し不可能と判断し、充電率がどの程度以上にな
れば貸し出し可能とするかという基準である。
カーシェアリングシステムの運用計画は、高い事業性が得られるように適切に設定することが好ましい。事業性評価の方法は任意であってよいが、事業性評価値によって定量的に評価可能とすることが好ましい。事業性評価値としては、事業者の利益やサービス率などを例として挙げることができる。例えば、最も高い利益が得られるような運用計画を作成しても良いし、サービス率が所定の閾値以上となる運用計画の中から最も高い利益が得られる運用計画を作成しても良い。事業性の評価基準は運用者の要求によって適宜決定すればよく、事業性評価値およびその評価基準をどのように決定するかは本発明においては特に限定されない。
<運用計画作成支援システム>
図1は、本実施形態にかかるカーシェアリングシステムの運用計画作成支援システム100(以下、単にシステム100とも称する)の機能ブロックを示す図である。システム100は、演算装置(CPU)や主記憶装置、補助記憶装置、入出力装置などを含むコンピュータによって構成される。CPUがコンピュータプログラムを実行することによって、図1に示す各機能部が実現される。なお、システム100は、1台のみのコンピュータから構成される必要は無く、互いにデータ交換可能な複数台のコンピュータから構成されても構わない。
運用計画作成支援システム100は、図1に示すように、需要特性記憶部110、時空間ネットワーク情報記憶部120、制約パターン記憶部130、需要パターン生成部140、数理計画ソルバ部150、状態遷移シミュレーション部160、事業性評価値算出部170、出力部180を含む。
需要特性記憶部110は、ユーザによるステーション間の利用需要を表す情報を記憶する機能部である。図2は、需要特性記憶部110が記憶する需要特性の例を示す模式図である。図2に示すように、需要特性記憶部110には、出発地ステーションと目的地ステーション間の時間帯ごとの発生する平均需要数が格納される。図2においては、例えば、5時00分から6時00分までの間に、ステーションAからBに向かうユーザが1人発生し、ステーションAからCに向かうユーザが7人発生することが示されている。なお、図2は一例に過ぎず、時間帯を1時間幅でなくそれより短く設定してもよいし、長く設定してもよい。また、平均需要数は整数とする必要はなく実数で表されてよい。なお、需要特性記憶部110に記憶される情報は、利用需要を表す情報であれば、単位時間あたりの需要数である必要はなく、需要間の平均発生間隔なども採用可能である。
需要特性記憶部110に記憶される需要特性の作成方法は任意であって構わない。需要特性は、例えば、ユーザ(潜在ユーザを含む)向けに行ったアンケート結果から作成されてもよいし、過去の利用履歴から作成されてもよいし、運用管理者によって恣意的に作成されてもよい。
需要パターン生成部140は、需要特性記憶部110に記憶された需要特性に基づいて、各時刻(タイムステップ)におけるステーション間の需要の発生例を生成する機能部である。以下では、需要特性に基づいて生成される需要の発生例を需要パターンと称する。需要特性として単位時間あたりの需要発生数が採用されている場合は、需要パターン生成部140はポアソン分布にしたがって乱数を用いて各タイムステップにおける需要を生成する。図3は、需要パターン生成部140によって生成される需要パターンの一例である。ここでは、タイムステップは1分刻みを想定している。図3では、ステーションAからBに向かう需要が、7:01,7:04,7:05などに発生することが示されている。本明細書では、個別の需要を表すデータを需要データと称する。したがって、1つの需要
パターンには複数の需要データが含まれる。需要パターン生成部140は、需要分布にしたがって乱数を用いて需要パターンを生成するので、需要特性(需要分布)が同じであっても生成される需要パターンはその都度変化する。
なお本実施形態では、ある時刻tに需要が発生するというのは、時刻tから車両を利用するという需要が発生することを意味するが、カーシェアリングシステムにおいて車両の予約が可能である場合には時刻tにおいて車両の予約を行うという需要が発生することを意味してもよい。また、予約の発生時刻と車両の利用開始時刻とをそれぞれ生成するようにしてもよい。
時空間ネットワーク情報記憶部120は、数理計画法で用いられる数理モデルを構築するための、ステーション間の空間的関係および時間的関係を含む時空間ネットワーク情報を記憶する機能部である。時空間ネットワークにおいては、ステーション同士の位置関係、ステーション間の移動時間など、数理モデルを作成するために必要な情報が含まれる。例えば、カーシェアリングシステムが、図4に示すように3つのステーションA,B,Cと、各ステーションを結ぶ2つの経路(リンク)を含む場合、時空間ネットワークは図5のように構築することができる。図5において、横軸は時間軸であり、所定のタイムステップ(例えば1分)ごとのステーションやリンクの状態を表現できる。このような時空間ネットワークによって表されるステーションやリンクにおける車両やユーザなどの数などを、数式によって表現することでカーシェアリングシステムの定式化が可能となる。
制約パターン記憶部130には、数理計画法によってステーションごとの駐車枠数や初期配置車両数の解を決定する際に課せられる制約条件が記憶される。制約パターン記憶部130に記憶される制約条件には、カーシェアリングシステム全体において使用される合計駐車枠数および合計車両台数に関する制約が含まれる。合計駐車枠数および合計車両台数に関する制約は、典型的にはその上限を定めるものであるが、上限と下限の両方を定めるものであってもよいし、特定の値を指定するもの(上限と下限が等しい)であってもよい。なお、制約パターン記憶部130には、合計駐車枠数および合計車両台数に関する制約条件が複数記憶されてもよい。例えば、(合計駐車枠数の上限値,合計車両台数の上限値)=(50,100),(66,100),(75,150),(100,150)などのように複数の条件が記憶される。このとき、合計駐車枠数および合計車両台数の制約の組み合わせのそれぞれを、(合計駐車枠数と合計車両台数に関する)制約パターンと称する。制約パターン記憶部130には、カーシェアリングシステムを数理モデルとして定式化する際に必要とされるその他の制約条件についても格納される。
数理計画ソルバ部150は、需要パターン、時空間ネットワーク情報、制約パターンなどに基づいて、カーシェアリングシステムの数理モデルを作成して、所定の目的関数を最適化(目的関数が利益であれば最大化)する解を求める機能部である。
数理モデルの作成は、ステーション同士の位置関係や、ステーション間の移動時間などを考慮した車両やユーザの移動などを定式化することによって行える。作成される数理モデルは、現実のカーシェアリングシステムをできるだけ忠実に模倣したものであることが好ましいが、計算が複雑となるため、一部の要素を省略したり簡略化してもよい。例えば、ステーション間の移動時間にばらつきがなく、固定時間であるとしてもよい。また、実際のカーシェアリングシステムにおいては、予約時に目的地ステーション(返却ステーション)において空いている駐車枠が確保できなければ予約を成功させない運用であっても、数理モデルにおいては車両が目的ステーションに到着する際に駐車枠が空いていれば予約を成功させるようにしてもよい。
目的関数は、本実施形態においては利益とする。ただし、運用計画の作成意図に応じて
利益以外の目的関数を採用することも可能である。
数理計画法問題の求解は、既存の任意のアルゴリズムを用いた演算によって行うことができる。数理計画ソルバ部150によって得られる解は、作成された数理モデルにおいて目的関数を最適化(最大化または最小化)する解であることが理論的に保証される。なお、本実施形態においては、解としてステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数を求めることを想定しているが、これらの要素に加えてその他の要素(例えば、利用料金など)も変数としてその解を求めるようにしても構わない。
なお、数理計画法では、各制約パターンおよび各需要パターンについて、1つの解が求められる。本実施形態では、1つの制約パターンに関する複数の需要パターンについて得られる複数の解から、当該制約パターンにおける最適解の候補を決定する。最適解候補の決定方法については、フローチャートともに後ほど詳細に説明する。
状態遷移シミュレーション部160は、車両やユーザなどの状態遷移をシミュレーションする。ここで、ステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数として、数理計画ソルバ部150による最適解候補が用いられる。需要は、需要特性記憶部110に記憶される需要特性にしたがってランダムに発生させて得ることができる。需要発生時にステーションにおいて車両が利用可能であれば、ユーザは車両を用いて目的地までの移動を開始する。一方、車両が利用可能でなければ、車両が利用可能になるまで待機したり、即座にあるいは所定時間待機した後で車両の利用を断念したりする。ステーション間の移動に要する時間(旅行時間)は、平均移動時間とその分散によって特徴付けられる対数正規分布にしたがってランダムに決定される。
状態遷移シミュレーションでは、現実のカーシェアリングシステムをできるだけ忠実に模倣することが好ましいが、計算が複雑となるため、一部の要素を省略したり簡略化してもよい。ただし、状態遷移シミュレーションの方が数理計画法の計算よりも簡単であるため、状態遷移シミュレーションにおいてはより現実のカーシェアリングシステムを模倣することができる。
状態遷移シミュレーションによれば、与えられた駐車枠数および初期配置車両数でカーシェアリングシステムを稼働させたときの状態遷移が再現でき、その結果に基づいて利益やサービス率などの事業性評価値を算出することができる。なお、状態遷移シミュレーションでは乱数が用いられるので、同じ条件でシミュレーションを複数回行って、精度を向上させることが好ましい。状態遷移シミュレーションでは、利益などを最大化させる条件を求めることは難しいが、ある特定の条件でカーシェアリングシステムを稼働させた場合の結果を精度良く推測することが可能である。
事業性評価値算出部170は、状態遷移シミュレーション部160によるシミュレーション結果を基に、カーシェアリングシステムの事業性を評価する事業性評価値を算出する。事業性評価値は、例えば、利益、サービス率、売上などとすることができる。利益は、売上から、駐車枠の確保や車両の維持および管理に要する費用を引いた値として求めることができる。もちろん、ここで挙げたもの以外の要素を考慮した値を事業性評価値とすることもできる。また、事業性評価値は、必ずしも単一の値とする必要はなく、複数の値の組み合わせ(例えば、利益とサービス率の組み合わせなど)とすることもできる。
出力部180は、数理計画ソルバ部150によって得られた最適解候補、およびその最適解候補のもとで状態遷移シミュレーション部160および事業性評価値算出部170によって算出された事業性評価値をディスプレイなどに表示する。後述するように、制約パターン記憶部130に記憶されている複数の制約パターンについて、最適解候補の算出と
、その最適解候補のもとでの事業性評価値の算出が行われる。そこで、出力部180は、複数の制約パターンについての最適解候補と事業性評価値とを出力する。なお、この際、事業性評価値がもっとも良好な最適解候補のみを選択して出力するようにしてもよいし、事業性評価値の評価順が分かるようにそれぞれの最適解候補を出力するようにしてもよい。事業性評価値の評価基準は、運用管理者が適宜決定すればよい。例えば、サービス率が所定の閾値以上のものの中から利益が最も高いものを、最も好ましい解とすることができる。
<処理方法>
本実施形態にかかるシステム100によって、カーシェアリングシステムに最適なステーションごとの駐車枠数および車両台数を決定する方法について説明する。図6は、全体的な処理の流れを示すフローチャートであり、図7は、より詳細な処理の流れを示すフローチャートである。図6と図7において同一の処理には同じステップ番号を付している。
まず、制約パターン記憶部130に複数の制約パターンが記憶される(S1)。上述のように、制約パターンは、カーシェアリングシステム全体において使用される合計駐車枠数および合計車両台数に関する制約である。この複数の制約パターンは、運用管理者によって入力される。例えば、(合計駐車枠数の上限値,合計車両台数の上限値)=(50,100),(66,100),(75,150),(100,150)という制約パターンが入力される。ステップS2からS5の処理は、それぞれの制約パターンについて実行される(図7のループL1)。
次に、数理計画ソルバ部150が、数理計画法の一種であるサンプルパス最適化(Sample Path Optimization)を用いて、それぞれの制約パターンについて最適解候補を求める(S2)。サンプルパス最適化では、具体的には、図7のステップS2−1からS2−3の処理が行われる。ステップS2−1では、需要パターン生成部140が、需要特性記憶部110から需要特性を読み込む。ステップS2−2では、需要パターン生成部140が、読み込んだ需要特性に基づいて、具体的な需要パターンをN通り生成する。需要特性は、例えば図2に示すように、単位時間あたりの需要発生頻度を表す情報であり、需要パターンは、例えば図3に示すように、需要特性によって特定されるポアソン分布にしたがって乱数により生成された需要の時系列データである。需要パターン生成部140が生成する需要パターンの数(上記N)は、任意であってよいが、計算量的に許される範囲で多いことが好ましい。例えば、Nとして100を採用することができる。
次に、ループL2において、数理計画ソルバ部150が、それぞれの需要パターンについて、数理計画法による最適解を算出する。ステップS2−3では、数理計画ソルバ部150は、ループL2において選択されている需要パターン、時空間ネットワーク情報記憶部120に記憶される時空間ネットワーク情報、ループL1において選択されている制約パターンなどに基づいて、数理モデル(複数の制約式)を構築し、利益などの目的関数を最大化する解を求める。ループL2が終了した時点で、N通りの需要パターンのそれぞれについて、ステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数についての解が得られる。
ステップS3では、ループL2において求められたN個の解から、現在の制約パターンにおける最適解候補が求められる。最適解候補は、具体的には、N個の解における各ステーションの駐車枠数や初期配置車両数の最頻値に基づいて決定される。図8の上段に、ある制約パターンのもとで得られる数理計画法の解(ステップS2−3において得られる解)を示す。各需要パターンについて、解として得られる各ステーションでの駐車枠数や初期車両台数の値は少しずつ異なっているが、概ね同様の結果が得られる。ステップS3では、それぞれの値について、N通りの値のなかでの最頻値を、最適解候補での値として決
定する。例えば、ステーションAの駐車枠数については、N通りの値が得られるが、その中での最頻値(ここでは「45」)が最適解候補における値として決定される。ステーションAの初期配置車両数についても同様に、N通りの値の中の最頻値(ここでは「43」)が最適解候補における値として決定される。ステーションA以外のステーションについても同様である。なお、それぞれの変数ごとに最頻値を求めているので、最終的に得られる最適解候補が制約パターンの条件を満たさないこともあり得る。例えば、合計駐車枠数の上限値が50という条件が与えられている場合であっても、最適解候補における駐車枠数の合計が50を超えることも生じうる。本実施形態においては、最適解候補において、合計駐車枠数や合計車両台数が制約条件を満たさなくてもよいし、制約条件を満たすように決定してもよい。ただし、あるステーションにおける初期配置車両数が駐車枠数を超えるという解は、現実的に不可能なので許容せず、各ステーションにおける初期配置車両数の上限は駐車枠数とする。
なお、この説明ではN個の解における最頻値を最適解候補における値として採用しているが、最頻値以外に、平均値や中間値などのその他の値を採用しても構わない。
次に、ステップS3で得られた最適解候補におけるステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数を初期条件として、状態遷移シミュレーション部160が状態遷移シミュレーションを実施する(S4)。ここで、状態遷移シミュレーションにおける需要は、需要パターン生成部140が生成した需要パターンをそのまま利用してもよいし、需要特性から改めて乱数を用いて生成してもよい。状態遷移シミュレーションを用いることで、最適解候補を初期条件としたときのカーシェアリングシステムの挙動を把握することができる。そして、事業性評価値算出部170が、シミュレーション結果に基づいて、利益やサービス率などの事業性評価値を算出する(S5)。上述したように、一回のシミュレーションでは真値からの誤差が大きくなることも想定されるため、状態遷移シミュレーションを複数回実施することが好ましく、それぞれのシミュレーション結果から得られる事業性評価値の平均値や最頻値などを最終的な事業性評価値とすることが好ましい。
以上の処理(ステップS2−1からS5の処理)を、複数の制約パターンのそれぞれについて実施することにより、それぞれの制約パターンについての解(ステップS3において求められる最適解候補)と、その解を用いた場合の事業性評価値が得られる。
ステップS6では、出力部180が、制約パターンごとに求められる最適解候補および事業性評価値を出力する。この際、出力部180は、所定の基準に基づいて事業性が最も良好な解を選択して、当該最も良好な解が分かるような形式でそれぞれの最適解候補を出力することも好ましい。なお、出力部180は、最も良好な解のみを選択して出力するようにしてもよい。また、最適解候補は必ずしも各ステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数が分かるような形式で出力を行う必要はなく、合計駐車枠数と合計車両台数のみが分かるような形式で出力しても構わない。
図9は、出力部180が出力する画面の例を示す図である。この例では、合計駐車枠数および合計車両台数の上限値を定める制約パターンを10種類用いて、それぞれの制約パターンについて、最適解候補として合計駐車枠数および合計車両台数を表示し、事業性評価値として一日あたりの売上、一日あたりのステーション費用、一日あたりの利益、一日あたりの回転数、サービス率、車両一台あたりの利益を表示している。
例えば、制約パターンが合計駐車枠数「100」および合計車両台数「50」の時に、最適解候補において合計駐車枠数「100」および合計車両台数「48」が解として得られること、および、そのときの事業性評価値がそれぞれ図に示す値であることが示されている。なお、ステーション費用は、ステーションの維持管理に要する費用であり、一日あ
たりの回転数は、一台の車両が一日に平均して何回利用されるかを表す値であり、サービス率は、車両の利用を望んだユーザのうち実際に車両を利用できたユーザの割合である。
カーシェアリングシステム事業を始める際の最適な規模は、上記の事業性評価値から所定の基準にしたがって求めることができる。例えば、基準として、「サービス率が25%以上を満たす解の中で、一日あたりの売上が最大の解」などを採用することができる。出力部180は、図9に示すようなそれぞれの制約パターンにおける規模とその事業性評価値を表示する際に、上記基準にしたがった最適な解を強調して表示したり、上記基準にしたがった優先順位も表示したりすることが好ましい。なお、出力部180は必ずしも上記基準にしたがった評価自体は行わず、事業性評価値を出力するのみにとどめ、どの解が適切であるかの判断を運用管理者に任せても構わない。
<本実施形態の有利な効果>
本実施形態によれば、カーシェアリングシステムの事業を行う際の適切な事業規模を、高速かつ精度良く求めることができる。また、事業規模(合計駐車枠数および合計車両台数)だけでなく、ステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数についても求めることができる。
本実施形態では、数理計画法を用いた求解と、状態遷移シミュレーションを用いた事業性の評価を行っている。数理計画法によれば、数理モデルによって表現される最適化問題の解を厳密に解くことができる。しかしながら、数理モデルによって現実のカーシェアリングシステムを全て表現することは現実的に不可能であり、数理計画法によって得られる解は現実とは異なるモデルに対して最適となる解である。したがって、数理計画法による解が現実には最適な解ではないこともあり得る。数理計画法によって得られる解をもとに状態遷移シミュレーションを行うことで、当該解を採用した場合にどのような事業性が得られるかを適切に評価することができる。状態遷移シミュレーションでは、現実のカーシェアリングシステムを高精度に模倣することができるため、得られる事業性評価値の信頼度は高い。したがって、数理計画法によって得られる解が実際には適切な解ではなかった場合に、状態遷移シミュレーションによる事業性評価値の算出により、その旨が判明する。したがって、数理計画によって得られる解の適切さを状態遷移シミュレーションによって評価することで、求められる解の精度を向上させることができる。
なお、複数の条件(ステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数)に基づいて、状態遷移シミュレーションを行うことで最適な解を得ることも可能である。しかしながら、このような処理では非常に多くの回数のシミュレーションを行うことが必要となり、計算量が膨大となってしまう。本実施形態によれば、数理計画法から得られる解に対してのみシミュレーションを行うので、計算量を抑制することができる。
また、現実をより反映した数理モデルを作成するために変数や制約条件を多くすると、計算量が増大して最適解の算出に要する計算量が膨大となる。本実施形態においては、状態遷移シミュレーションによって事業性評価を行っているので、簡略化した数理モデルを用いても精度を保つことができる。したがって、数理計画法による求解の計算量を抑制することができる。
このように計算量を比較的抑制した数理計画法によってまず最適解候補を求め、この最適解候補に基づいて状態遷移シミュレーションにしたがって事業性を評価することで、少ない計算量で精度良く適切な事業計画を求めることができる。
<変形例>
上記の実施形態では、数理計画法においてステーションごとの駐車枠数および初期配置
車両数を求めているが、これらに加えて車両の利用料金などその他の条件も求めるようにしてもよい。また、上記の説明では、車両の配置が偏った場合に車両を別のステーションに移動させる回送や、回送を行うための要員について考慮していないが、このような条件を考慮してもよい。その際、回送要員を何人にするのが最適であるかも数理計画法によって求めてもよい。このように、数理計画法によって決定する運用計画の要素は特に限定されず、運用管理者が設定可能な条件であれば任意のものが対象とされてよい。
また、上記の実施形態では、1つの制約パターンについて、複数(N個)の需要パターンから得られる解に基づいて1つの最適解候補のみを求めている(ステップS2−4)。しかしながら、1つの制約パターンについて複数の最適解候補を求めるようにしてもよい。例えば、各変数(ステーションごとの駐車枠数や初期配置車両数)について、N個の解における最頻値を採用するだけでなく、頻度が高い上位所定数個の値を採用するようにしてもよい。この際、上記の所定数は全ての変数について同一とする必要はなく、N個の解における分散を考慮して所定数を決定してもよい。例えば、分散が小さい変数については所定数を「1」とし、分散が大きい変数については分散に応じて所定数を大きくすることが考えられる。このように、1つの制約パターンについて複数の最適解候補を求め、それぞれの最適解候補に対して状態遷移シミュレーションによる事業性評価値を算出することで、ある制約パターンにおける最適な解をより精度良く求めることができる。すなわち、最頻値のみから構成した最適解候補が最適な解となっていない場合でも、この手法によれば最適な解を発見することができる。
また、上記の実施形態では複数の制約パターンを対象に、数理計画法による求解と状態遷移シミュレーションによる事業性評価値の算出を行っているが、1つの制約パターンのみを対象にこれらの処理を行ってもよい。この場合、特定の制約パターンにおいて適切な解とその事業性評価値を、高速かつ精度良く求めることができる。1つの制約パターンのみを扱う場合には、上記で述べたように、N個の解から複数の最適解候補を求めることが好ましい。
また、上記の状態遷移シミュレーションにおける需要は、数理計画法による求解に用いた需要特性と同じものを採用しているが、それとは異なる需要特性を用いてもよい。例えば、需要特性が異なる場合に、事業性評価値がどのように変化するかを求めて、需要特性が変動しても事業性評価値(利益やサービス率)が極端に悪化しない解を、最終的な解として決定することが考えられる。複数の需要特性は、例えば、あらかじめ需要特性記憶部110に格納しておくことが考えられる。
上記の説明ではカーシェアリングシステム事業を新規に開始する場合を例にとって説明している。しかしながら、上記の事業性評価および運用計画作成支援は、新規に事業を開始する場合だけでなく、既存のカーシェアリングシステムのステーション数やシェアカー台数を変更する際にも好適に利用可能である。この場合には、既存のシステムにおけるシェアカーの利用履歴や、予約の申込状況、予約サイトのアクセス数などから需要を予想し、予想された需要を用いて上記の運用計画の作成を行うことが好ましい。
100 運用計画作成支援システム
110 需要特性記憶部
120 時空間ネットワーク情報記憶部
130 制約パターン記憶部
140 需要パターン生成部
150 数理計画ソルバ部
160 状態遷移シミュレーション部
170 事業性評価値算出部
180 出力部

Claims (12)

  1. カーシェアリングシステムにおけるステーションごとの駐車枠数および合計車両台数の決定を支援する運用計画作成支援システムであって、
    ステーション間のユーザの移動の需要特性を記憶する需要特性記憶手段と、
    ステーションごとの駐車枠数および合計車両台数の制約を取得する制約取得手段と、
    前記需要特性にしたがって、乱数を用いて複数の需要データを含む需要パターンを複数生成する需要パターン生成手段と、
    前記制約取得手段によって取得される制約と前記需要パターン生成手段によって生成されるそれぞれの需要パターンとを用いて、数理計画法により目的関数が最適となるステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数の解をそれぞれの需要パターンについて決定し、これら複数の解から最適解候補を決定する、第1計算手段と、
    前記第1計算手段によって決定される前記最適解候補を利用して、状態遷移シミュレーションによって事業性評価値を算出する、第2計算手段と、
    を備える、運用計画作成支援システム。
  2. 前記第1計算手段は、複数の需要パターンについて決定される複数の解におけるステーションごとの複数の駐車枠数および初期配置車両数に基づいて、最適解候補におけるステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数を決定する、
    請求項1に記載の運用計画作成支援システム。
  3. 前記第1計算手段は、複数の需要パターンについて決定される複数の解におけるステーションごとの複数の駐車枠数および初期配置車両数の最頻値、平均値、または中間値を、最適解候補におけるステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数として決定する、
    請求項2に記載の運用計画作成支援システム。
  4. 前記最適解候補に含まれるステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数、または、前記最適解候補から得られる合計駐車枠数および合計車両台数を、前記最適解候補を利用して算出される前記事業性評価値とともに出力する出力手段をさらに備える、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の運用計画作成支援システム。
  5. 前記制約取得手段は、ステーションごとの駐車枠数および合計車両台数の制約を複数取得し、
    前記第1計算手段による最適解候補の決定および第2計算手段による事業性評価値の算出は、それぞれの制約について実行される、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の運用計画作成支援システム。
  6. 前記複数の制約のそれぞれを用いて前記第2計算手段によって算出される事業性評価値に基づいて、複数の最適解候補の中から最適解を選択する選択手段をさらに備える、
    請求項5に記載の運用計画作成支援システム。
  7. 前記第2計算手段は、前記第1計算手段が前記最適解候補の決定に用いた需要特性を用いて前記状態遷移シミュレーションを行う、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の運用計画作成支援システム。
  8. 前記第2計算手段は、前記第1計算手段が前記最適解候補の決定に用いた需要特性に加えて、当該需要特性とは異なる需要特性も用いて前記状態遷移シミュレーションを行う、
    請求項7に記載の運用計画作成支援システム。
  9. 前記第1計算手段による数理計画法における目的関数は利益である、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の運用計画作成支援システム。
  10. 前記事業性評価値は、利益およびサービス率の少なくともいずれかに基づいて決定される、
    請求項1から9のいずれか1項に記載の運用計画作成支援システム。
  11. 運用計画作成支援システムによって行われる、カーシェアリングシステムにおけるステーションごとの駐車枠数および合計車両台数の決定を支援する運用計画作成支援方法であって、
    ステーションごとの駐車枠数および合計車両台数の制約を取得する制約取得ステップと、
    需要特性記憶手段に記憶されたステーション間のユーザの移動を表す需要特性にしたがって、乱数を用いて複数の需要データを含む需要パターンを複数生成する需要パターン生成ステップと、
    前記制約取得ステップにおいて取得される制約と前記需要パターン生成ステップにおいて生成されるそれぞれの需要パターンとを用いて、数理計画法により目的関数が最適となるステーションごとの駐車枠数および初期配置車両数の解をそれぞれの需要パターンについて決定し、これら複数の解から最適解候補を決定する、第1計算ステップと、
    前記第1計算ステップにおいて決定される前記最適解候補を利用して、状態遷移シミュレーションによって事業性評価値を算出する、第2計算ステップと、
    を含む、運用計画作成支援方法。
  12. 請求項11に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
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