JP7268639B2 - 発泡成形体 - Google Patents
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Description
表皮が上糸と下糸を用いて縫製される場合において溶融または膨張して貫通孔を閉塞する縫製糸が下糸とすると、溶融または膨張した下糸が上糸によって引っ張られ、貫通孔に近づくように移動することで貫通孔を閉塞すると考えられる。しかしながら、下糸が切断されておらず一続きに繋がっているため、下糸自身の張力によって貫通孔に近づく方向と反対方向に力が生じ、貫通孔を十分に塞ぐことが困難になるおそれがある。
前記表皮のおもて面に沿う上糸と、
前記表皮の裏面に沿う下糸と、
前記表皮の裏面に接触する発泡材と、
を有し、前記表皮が前記上糸と前記下糸とによって縫製される発泡成形体であって、
前記上糸は、前記表皮を貫通する複数の貫通孔から前記表皮の裏側に表出する裏側表出部を有しており、
前記下糸は、前記上糸の裏側表出部と係合しており前記上糸によって貫通孔側に引っ張られる複数の被引張部と、隣り合う被引張部間に位置し隣り合う被引張部同士を分断させる切断部と、を有する、発泡成形体。
(2) 複数の前記被引張部は、それぞれ、少なくとも一端部が玉形状となっている、(1)記載の発泡成形体。
(3) 玉形状となっている前記被引張部の端部は、少なくとも一部が前記発泡材内に埋まっている(2)記載の発泡成形体。
(4) 前記下糸は、熱可塑性接着剤で作製されている、(1)~(3)のいずれか1つに記載の発泡成形体。
(5) 前記被引張部は、前記表皮と接着されている、(4)記載の発泡成形体。
(6) 表皮の裏側に発泡材を有する発泡成形体の製造方法であって、
表皮に設けられる複数の貫通孔から上糸の裏側表出部を表皮の裏側に表出させるとともに、該裏側表出部に下糸を通すことで、表皮が上糸と下糸とにより縫製される縫製工程と、
下糸に熱を加えて隣り合う貫通孔間で下糸を溶融させて切断させて、下糸に、上糸の裏側表出部と係合するとともに上糸によって貫通孔側に引っ張られる複数の被引張部と、隣り合う被引張部間に位置し隣り合う被引張部同士を分断させる切断部と、を形成する加熱切断工程と、
下糸を冷却させる下糸冷却工程と、
発泡材を発泡させる発泡工程と、
をこの順に有する、発泡成形体の製造方法。
(7) 前記加熱切断工程では、下糸に被引張部と切断部を形成した後、被引張部が貫通孔に向って収縮して被引張部の少なくとも一端部が玉形状になる、(6)記載の発泡成形体の製造方法。
(8) 前記下糸は、熱可塑性接着剤で作製されている、(6)または(7)記載の発泡成形体の製造方法。
(9) 前記加熱切断工程では、加熱器具が下糸に非接触な状態で下糸を加熱する、(6)~(8)のいずれか1つに記載の発泡成形体の製造方法。
(10) 前記下糸冷却工程は、前記加熱切断工程における下糸の加熱を取り除いて下糸を自然冷却させることで行われる、(6)~(9)のいずれか1つに記載の発泡成形体の製造方法。
(11) 前記下糸冷却工程では、下糸の被引張部が固化するとともに表皮と接着される、(6)~(10)のいずれか1つに記載の発泡成形体の製造方法。
(12) 前記発泡工程では、下糸の被引張部の少なくとも一部が、発泡された発泡材内に埋まる、(6)~(11)のいずれか1つに記載の発泡成形体の製造方法。
また、下糸が、互いに隣り合う被引張部同士を分断させる切断部を有するため、下糸自身の張力を無くすことができる。よって、下糸に加わる貫通孔から遠ざかる方向の力を減少させることができる。
よって、上糸が表皮から抜けることを下糸の被引張部によって抑制しつつ、下糸に設けられる切断部により従来に比べて下糸によって貫通孔が塞げなくなることを抑制できる。
また、下糸が、隣り合う被引張部同士を分断させる切断部を有するため、下糸自身の張力を無くすことができる。そのため、下糸に加わる貫通孔から遠ざかる方向の力を減少させることができる。
よって、上糸が表皮から抜けることを下糸の被引張部によって抑制しつつ、下糸に設けられる切断部により従来に比べて下糸によって貫通孔が塞げなくなることを抑制できる。
まず、本発明実施例の製造方法によって製造される発泡成形体10について説明する。
つぎに、本発明実施例の発泡成形体10の製造方法について説明する。
(a)表皮20に設けられる複数の貫通孔23から上糸30の裏側表出部31を表皮20の裏側に表出させるとともに、該裏側表出部31に下糸40を通すことで、表皮20が上糸30と下糸40とにより縫製される縫製工程と、
(b)下糸40に熱を加えて隣り合う貫通孔23間で下糸40を溶融させて切断させて、下糸40に、上糸30の裏側表出部31と係合するとともに上糸30によって貫通孔23側(表皮20のおもて側)に引っ張られる複数の被引張部41と、隣り合う被引張部41間に位置し隣り合う被引張部41同士を分断させる切断部42と、を形成する加熱切断工程と、
(c)下糸40を冷却させる下糸冷却工程と、
(d)発泡材50を発泡させる発泡工程と、
をこの順に有する。
(a-1)縫製工程では、一続きになっている上糸30と、一続きになっている熱可塑性接着剤で作製された下糸40と、を用いて、表皮20が縫製される。そのため、下糸40には、図1に矢印Aにて示すように、上糸30により貫通孔23側(表皮20のおもて側)にテンションがかかっている。
(a-2)縫製の仕方は本縫いである。
(b-1)加熱切断工程では、下糸40に熱風Wを当てるなど加熱器具60が下糸40に接触しないようにして(非接触で)、下糸40を加熱する。
(b-2)加熱切断工程は縫製工程後であって発泡工程前に行われるため、下糸40の加熱は、縫製中に蓄熱した図示略の針による加熱によって行われるものでもなく、発泡材50の発泡熱による加熱によって行われるものでもない。
(b-4)加熱切断工程では、下糸40に被引張部41と切断部42が形成されると、それぞれの被引張部41は貫通孔23に向って収縮を始める。これにより、被引張部41の少なくとも一端部(図示例では両端部)41aが玉形状になる(被引張部41がキノコ状になる)(図4参照)。
(c-1)下糸冷却工程は、上記(b)の加熱切断工程における下糸40の加熱を取り除いて下糸40を自然冷却させることで行われる。
(c-2)下糸冷却工程では、下糸40の被引張部41が固化するとともに被引張部41が表皮20と接着される。被引張部41は、テープ等の別部材を用いることなく表皮20の裏面22に接着される。被引張部41は、表皮20の裏面22のみならず貫通孔23の周面にも接着されていてもよい。
発泡工程では、被引張部41の少なくとも一部が、発泡後の発泡材50内に埋まる。
(A)本発明実施例の発泡成形体10およびその製造方法では、下糸40が、上糸30の裏側表出部31と係合しており上糸30によって表皮20の貫通孔23側に引っ張られる被引張部41を有するため、下糸40により上糸30が表皮20から抜けてしまうことを抑制できる。
また、下糸40が、互いに隣り合う被引張部41同士を分断させる切断部42を有するため、下糸40自身の張力を無くすことができる。よって、下糸40に加わる貫通孔23から遠ざかる方向の力を減少させることができる。
よって、上糸30が表皮20から抜けることを下糸40の被引張部41によって抑制しつつ、下糸40に設けられる切断部42により従来に比べて下糸40によって貫通孔23が塞げなくなることを抑制できる。
20 表皮
21 表皮のおもて面
22 表皮の裏面
23 貫通孔
30 上糸
31 裏側表出部
40 下糸
41 被引張部
41a 被引張部の端部
42 切断部
50 発泡材
60 加熱器具
W 熱風
Claims (1)
- 表皮と、
前記表皮のおもて面に沿う上糸と、
前記表皮の裏面に沿う下糸と、
前記表皮の裏面に接触する発泡材と、
を有し、前記表皮が前記上糸と前記下糸とによって縫製される発泡成形体であって、
前記上糸は、前記表皮を貫通する複数の貫通孔から前記表皮の裏側に表出する裏側表出部を有しており、
前記下糸は、前記上糸の裏側表出部と係合しており前記上糸によって貫通孔側に引っ張られる複数の被引張部と、隣り合う被引張部間に位置し隣り合う被引張部同士を分断させる切断部と、を有する、発泡成形体。
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