JP7268236B1 - 時計 - Google Patents
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Abstract
Description
時計1は、ゼンマイを動力とする機械式時計であり、外装ケース10と、文字板2と、時針3と、分針4と、小秒針5と、パワーリザーブ針6と、リューズ7とを備える。
外装ケース10は、図2に示すように、胴11と、カバーガラス12と、ベゼル13と、裏蓋14とを備える。裏蓋14は、円環状の裏蓋リング14Aと、裏蓋リング14A内に取り付けられた裏蓋ガラス14Bとを備えている。ベゼル13は、ベゼルネジ16で胴11に固定されている。
Y軸は、時計1の文字板2の表面に平行であり、かつ、X軸と直交する軸である。Y軸のY1方向は、時計1の6時を示すアワーマーク646から12時を示すアワーマーク640に向かう方向であり、Y2方向はY1方向と逆方向である。
Z軸は、X軸およびY軸に直交する軸である。Z軸のZ1方向は、時計1の裏蓋14からカバーガラス12に向かう方向であり、Z2方向はZ1方向と逆方向である。以下の説明では、上方はZ1方向であり、下方はZ2方向である。また、各部品において、Z1方向側の面を上面または表面、Z2方向側の面を下面または裏面とする。
機械式ムーブメント20は、文字板受けリング17および保持リング18間に保持される地板21と、駆動源となるゼンマイ22と、ゼンマイ22を巻き上げる回転錘23とを備える。また、機械式ムーブメント20は、時針3が取り付けられる時針軸24と、分針4が取り付けられる分針軸25と、パワーリザーブ針6が取り付けられる第1の指針軸26と、小秒針5が取り付けられる第2の指針軸27とを備える。
時針軸24は筒車であり、この筒車の中心軸部分に分針軸25が挿通されて、時針軸24および分針軸25は同軸に配置されている。時針軸24および分針軸25は、機械式ムーブメント20の平面中心位置つまり文字板2の平面中心位置に配置されている。
第1の指針軸26は、時針軸24に対して12時方向に配置され、第2の指針軸27は、時針軸24に対して6時方向に配置されている。
調速脱進機構は、図1、図3および図4に示すように、ガンギ車31、アンクル32、テンプ33、テンプ軸受34などを備えて表示輪列を調速する一般的な調速脱進機構である。
テンプ33は、テン輪331、テン真、ヒゲゼンマイなどを備えて構成されている。テンプ軸受34は、図4に示すように、一般的な耐震軸受であり、枠体341と、枠体341内に配置され、テン真の端部のほぞを回転自在に支持する穴石と、枠体341内において、ほぞの端部に対向して配置された受石342と、受石342を押さえる押さえバネ343とを備えている。なお、穴石や受石はルビーなどで構成される。
テンプ軸受34は、テン真の上端および下端の両端にそれぞれ設けられている。上端側のテンプ軸受34は、地板21の3本のアームが接続される部分に固定されている。下端側のテンプ軸受34は、図示略のテンプ受け体に固定されている。なお、テンプ軸受34は、時針軸24に対して9時方向に配置されている。
地板21および裏物押さえ板35には、図4に示すように、テンプ33部分を文字板2側から視認可能な開口が形成されている。すなわち、地板21は、テンプ33の上方であり、平面視で重なる位置に、3本のアームで区画された3つの開口211、212、213を有する。
裏物押さえ板35は、地板21の上面側に配置され、地板21の3本のアームに重なる3本のアームで区画された開口351、352、353を有する。開口211と開口351、開口212と開口352、開口213と開口353とは、平面視でほぼ重なって配置されている。
開口211、351は、テン輪331、ガンギ車31、アンクル32、表示輪列の歯車28の各一部分を露出させる開口である。開口212、352は、テン輪331の一部を露出させる開口である。開口213、353は、テン輪331の一部と、ヒゲ持ち36の一部を露出させる開口である。
文字板2は、図2および図3に示すように、外装ケース10の内周側および機械式ムーブメント20の上方に配置され、下板40と、上板50と、機能パーツ60とを備えて構成される。
下板40は、図5に示すように、下板リング部41と、フレーム部43と、ロゴ表示部45とを備える。下板40は、文字板2のデザインに応じて、形状および色が設定されている。下板40は、例えば、黒色などの暗色で構成されることが好ましい。下板40が暗色で構成されることにより、文字板2の奥行き感が強調される。
フレーム部43は、下板リング部41の内周411の任意の2点に接続される板状の部材、もしくは内周411と他のフレーム部43とに接続される板状の部材である。さらに、フレーム部43は、他の2つのフレーム部43に接続される板状の部材でもよい。
第1フレーム部431および第2フレーム部432は、仮想線VLを対称軸として線対称の位置に配置される。仮想線VLは、下板40の中心を通るY軸と平行な軸である。また、第1フレーム部431および第2フレーム部432の交差部分には、凹溝状のガイド部441が形成されている。ガイド部441は、第1の指針軸26が第1フレーム部431、第2フレーム部432と干渉しないように形成されている。
第3フレーム部433および第4フレーム部434は、仮想線VLを対称軸として線対称の位置に配置される。
第6フレーム部436は、下板リング部41の内周411の略1.5時位置および中央リング部430間を接続する直線板状に形成されている。第6フレーム部436は、第5フレーム部435の略10.5時位置および中央リング部430間の部分と仮想線VLを対称軸として線対称の位置に配置される。第6フレーム部436は、第2フレーム部432と交差配置されて接続されている。
ロゴ表示部45には、ロゴ451が表示される。ロゴ451は、時計1のブランド名や製造者名等を示すロゴタイプや、ブランドを識別するロゴマーク等を含む。ロゴ451は、複数の文字列や図案などを含んでもよい。また、ロゴ451は、ロゴ表示部45に印刷してもよいし、ロゴタイプやロゴマークなどをパーツ化してロゴ表示部45の表面に取り付けてもよい。なお、パーツ化されたロゴ451は、接着剤でロゴ表示部45に取り付けてもよいし、ロゴ451に固定用の足を形成し、この足をロゴ表示部45に形成した孔に圧入して取り付けてもよい。
ロゴ表示部45には、複数のスリット452が形成される。スリット452は、ロゴ451と異なる位置に設けられる。スリット452は、デザインを目的として設けられ、その数や形状、形成位置などは適宜設定できる。また、スリット452は必ずしも必須ではなく、ロゴ表示部45のサイズや、ロゴ451のサイズや数などによっては、スリット452を設けなくてもよい。
下板開口47は、第1下板開口471と、第2下板開口472とを含む複数の下板開口を備える。第1下板開口471は、第1フレーム部431、第3フレーム部433、第4フレーム部434、第5フレーム部435、第8フレーム部438で区画されて形成されている。中央リング部430および第4フレーム部434間にはフレーム部が設けられていないため、第1下板開口471は、中央リング部430の9時側から6時側の領域に形成され、他の下板開口に比べて開口面積が大きくされている。
第2下板開口472は、下板リング部41、第4フレーム部434、第8フレーム部438で区画され、貫通孔443の9時側に形成されている。
下板開口47は、さらに、第9フレーム部439を間に挟んで12時側および6時側に区画される下板開口と、ロゴ表示部45を間に挟んで12時側および6時側に区画される下板開口とを備える。
下板40には、上板50を固定する係合孔49が4箇所に形成されている。
上板50は、図6に示すように、上板リング部51と、ブリッジ部53とを備える。上板50は、文字板2のデザインに応じて、形状および色が設定されているが、特に、下板40に比べて明るい色で構成されることが好ましい。下板40が暗色であり、上板50が下板40に比べて明るい色で構成されることにより、文字板2の奥行き感が強調される。また、上板50は、下板40と同じサイズおよび同じ形状に形成され、下板40の上面に配置されて支持されている。
ブリッジ部53は、上板リング部51の内周511に接続される。ブリッジ部53は、内周511の任意の2点に接続される板状の部材、もしくは内周511と他のブリッジ部53とに接続される。さらに、ブリッジ部53は、他の2つのブリッジ部53に接続されるものでもよい。
一対の延出部5311間には、Y軸方向に平行な補助ブリッジ部5313が設けられている。
連結部5312には、第1の指針軸26が連結部5312と干渉せずに配置できるように、第1の貫通孔541が形成されている。第1の貫通孔541は、一部が連結部5312および補助ブリッジ部5313間に区画形成される上板開口584に連通する切欠状に形成されている。ただし、第1の貫通孔541は、上板開口584に連通せずに連結部5312の平面内に形成されてもよい。
第1の指針軸26が第1の貫通孔541に配置されることで、第1ブリッジ部531は第1の指針軸26を支持しているように見せることができる。このため、第1ブリッジ部531によって、第1の支持ブリッジ部が構成されている。
仮想線VL上に形成される突出部5326は、上板50の平面中心に形成された中央リング部530に接続されている。中央リング部530には、時針軸24および分針軸25が挿通される貫通孔540が形成されている。
第4ブリッジ部534の仮想線VLと重なる連結部5343には、第2の指針軸27が配置可能な第2の貫通孔542が形成されている。第2の指針軸27が第2の貫通孔542に配置されることで、第4ブリッジ部534は第2の指針軸27を支持しているように見せることができる。このため、第4ブリッジ部534によって、第2の支持ブリッジ部が構成されている。
第6ブリッジ部536の延出部5351側の端縁5361から中央リング部530側の端縁5362までの円弧の中心角は約280度である。時計回りで端縁5361から端縁5362までは第6ブリッジ部536が設けられていない開口部分とされている。
テンプ軸受34の上方に第3の貫通孔543が配置されることで、第7ブリッジ部537はテンプ軸受34を支持しているように見せることができる。このため、第7ブリッジ部537によって、第3の支持ブリッジ部が構成されている。
さらに、第1ブリッジ部531、第4ブリッジ部534、第7ブリッジ部537の幅寸法WB1、WB2、WB3は、下板40の第1フレーム部431~第6フレーム部436の幅寸法W1以上であり、他のブリッジ部の幅寸法は寸法W1よりも小さくされている。
第1支持片部561は、延出部5321と連続して形成されている。第5支持片部565は、第4ブリッジ部534の第二板部5342と連続して形成されている。第6支持片部566は、内周側が円弧部5352に接続している。
第8支持片部568は、延出部5371と連続して形成され、第9支持片部569は、延出部5372に連続して形成されている。第11支持片部571は、延出部5321と連続して形成されている。
上板開口58は、第1上板開口581と、第2上板開口582と、第3上板開口583とを含む複数の上板開口を備える。第1上板開口581は、上板リング部51、第2ブリッジ部532、中央リング部530、第4ブリッジ部534、第5ブリッジ部535、第6ブリッジ部536、第7ブリッジ部537で区画されて形成されている。すなわち、上板開口58は、主に仮想線VLの9時側の領域に形成された開口である。第2上板開口582は、上板リング部51と、第7ブリッジ部537とで区画され、上板50の9時位置に形成されている。
第3上板開口583は、上板リング部51と、第3ブリッジ部533と、中央リング部530と、第4ブリッジ部534と、第6ブリッジ部536とで区画されて主に仮想線VLの3時側の領域に形成された開口である。
上板開口58は、連結部5312および補助ブリッジ部5313間に区画される上板開口584を備える。また、上板開口58は、第5ブリッジ部535および第6ブリッジ部536間や、第4ブリッジ部534の連結部5343および第6ブリッジ部536間にも形成されている。
上板50の表面には、図3および図7に示すように、複数の機能パーツ60が取り付けられる。機能パーツ60は、上板50に図示しない取付機構によって取り付けられている。取付機構は、例えば、機能パーツ60に形成した取付突起を、上板50に形成した取付孔に圧入固定する機構が利用できる。また、機能パーツ60は、接着剤によって上板50に取り付けてもよい。
アワーマーク640は、上板リング部51および補助ブリッジ部5313に跨がって配置されて取り付けられている。
アワーマーク641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651は、第1支持片部561、第2支持片部562、第3支持片部563、第4支持片部564、第5支持片部565、第6支持片部566、第7支持片部567、第8支持片部568、第9支持片部569、第10支持片部570、第11支持片部571にそれぞれ取り付けられている。
また、サブダイヤルマーク62は、図8にも示すように、外周の一部に切欠部625が形成され、平面視で略C字状に形成されている。具体的には、第6ブリッジ部536の端縁5361、5362間の開口部分に対応する部分に切欠部625が形成されている。切欠部625は、中心角θ1=60°の範囲に形成され、サブダイヤルマーク62は中心角300°の円弧状に形成されている。
なお、本実施形態のサブダイヤルマーク62は、文字板2の12時方向を0秒位置(0°)とすると、0~46.5秒(0~279°)と、56.5~60秒(339~360°)の範囲に形成され、46.5~56.5秒の10秒間(279~339°の60°)の範囲が切り欠かれて切欠部625とされている。
すなわち、ガンギ車31などの時計ムーブメント内部の時計部品を視認可能なスケルトンタイプの文字板2にサブダイヤルマーク62を取り付ける場合、時計部品の視認性を高めるためにサブダイヤルマーク62の一部を切り欠いて略C字状に形成することが好ましい。一方、小秒針5の移動角度範囲つまり360°に比べてサブダイヤルマーク62の切欠部分の角度範囲を大きくすると、小秒針5が目盛を指示できない範囲が大きくなって目盛視認性が低下する。したがって、切欠角度範囲を一定範囲以下に抑えつつ、ガンギ車31等の時計部品の視認性を向上できる構造が求められる。
さらに、文字板2において、サブダイヤルマーク62の切欠部分に対応する部分には、文字板2の第1上板開口581を配置する必要がある。また、文字板2のデザイン性を向上するためには、文字板2において、時計部品を視認可能な開口面積を大きくして文字板2のデザイン性を向上させる必要がある。
このため、本実施形態では、サブダイヤルマーク62を中心角が300°の円弧状に形成し、小秒針5が1周する60秒間において、50秒間は小秒針5がサブダイヤルマーク62を指示できるようにし、10秒間のみ小秒針5はサブダイヤルマーク62の切欠部625を指示することで、目盛視認性を確保している。また、第6ブリッジ部536の端縁間の第1上板開口581部分に重なるように、サブダイヤルマーク62の切欠部分を配置しているので、ガンギ車31やアンクル32の視認性を向上できる。
上板50には、図示を略すが、サブダイヤルマーク62の足623が圧入固定される固定孔がそれぞれ形成されている。固定孔は、サブダイヤルマーク62の12時位置に対応する第6ブリッジ部536および中央リング部530の接続部分と、サブダイヤルマーク62の略2時位置に対応する第6ブリッジ部536および第一板部5341の交差部分と、サブダイヤルマーク62の略4時位置に対応する第6ブリッジ部536および第二板部5342の交差部分と、サブダイヤルマーク62の略9時位置に対応する第6ブリッジ部536および延出部5351の接続部分との4箇所に形成されている。
また、足623がサブダイヤルマーク62の12時位置および略9時位置に形成されているため、これらの足623から端縁621、622までの寸法は、2.5mm以下に設定されている。このため、時計1を地面に落とすなどの衝撃が加わった場合でも、端縁621、622部分の変位を抑制できる。
時針3の切欠領域3Aは、平面矩形状に形成され、時針3が運針した際の切欠領域3Aの移動軌跡は、図9の二点鎖線301、302で囲まれる帯状領域となる。このため、時針3の運針中も、ガンギ車31、アンクル32、サブダイヤルマーク62、突出部5326の数字などを切欠領域3Aから視認できる。
分針4の切欠領域4Aは、平面矩形状に形成されており、切欠領域4Aの移動軌跡は、切欠領域3Aの移動軌跡よりも半径方向に広いため、分針4の運針中も切欠領域3Aと同様にガンギ車31等を視認できる。
文字板開口200からは文字板2の下方に位置する裏物押さえ板35と、裏物押さえ板35および地板21の開口から視認可能な時計部品を視認できる。本実施形態では、機械式ムーブメント20のガンギ車31、アンクル32、テンプ33、歯車28などを視認できる。
下板リング部41およびフレーム部43を有する下板40と、上板リング部51およびブリッジ部53を有する上板50とを重ねて文字板2を形成し、さらに、フレーム部43の少なくとも一部は、上板開口58の下方に配置しているので、フレーム部43の一部はブリッジ部53に隠されることなく露出する。このため、文字板2は、奥行きが異なるブリッジ部53およびフレーム部43が視認可能となるため、文字板2のデザインバリエーションを向上できる。
さらに、上板50のブリッジ部53に、第1の貫通孔541、第2の貫通孔542、第3の貫通孔543を形成し、第1の貫通孔541には第1の指針軸26を配置し、第2の貫通孔542には第2の指針軸27を配置し、第3の貫通孔543はテンプ軸受34の上方に配置したので、時計1の文字板2を視認した際に、第1の指針軸26、第2の指針軸27、テンプ軸受34はブリッジ部53で支持されているように見える。このため、第1の指針軸26、第2の指針軸27、テンプ軸受34が安定して支持されているように見せることができ、スケルトンタイプの時計1のデザイン性を向上できる。
機能パーツ60として、パワーリザーブ針6の目盛を表示するパワーリザーブ目盛パーツであるパワーリザーブマーク61と、小秒針5の目盛を表示する小秒針目盛パーツであるサブダイヤルマーク62とを設けたので、パワーリザーブ針6や小秒針5の指示位置の視認性を向上できる。また、時針3や分針4が指示するアワーマーク64を機能パーツとすることで、文字板2のデザイン性を向上できる。さらに、テンプ軸受34の周囲を囲む装飾リング63を機能パーツとして設けることで、ルビー製の受石342を目立たせることができ、デザイン性を向上できる。
さらに、下板40のフレーム部43と、上板50のブリッジ部53とは、重ねて配置した際に、複雑に交差するように設計されているので、複雑感、立体感などが得られる意匠性に優れたデザインとすることができる。さらに、ブリッジ部53をフレーム部43で支持しているように見せることができ、安定感や重量感のあるデザインとすることができる。
上板50と下板40との色を異ならせることで、文字板2のデザインバリエーションを容易に増やすことができる。例えば、上板50および下板40を、グレーおよびダークグレーに着色すると、黒基調の文字板2を構成できる。また、上板50および下板40を、シルバーおよびライトグレーに着色すると、白基調の文字板2を構成できる。さらに、上板50および下板40の色の明るさを調整することで、文字板2の奥行き感を強調することなど、さまざまなデザインを構成できる。その上、文字板2から視認可能な機械式ムーブメント20の構造、例えば、裏物押さえ板35の色調も適宜設定することで、さらにデザインバリエーションを増やすことができる。
サブダイヤルマーク62の端縁621、622は、第6ブリッジ部536で支持されていないが、第6ブリッジ部536はサブダイヤルマーク62の円周方向の全長の90%以上を支持しているので、サブダイヤルマーク62の取付強度を十分に確保できる。
また、サブダイヤルマーク62の端縁621、622から第6ブリッジ部536が突出しないので、切欠部625を確保できて時計部品の視認性低下を防止できる。
下板40は、平板状のロゴ表示部45を有するものに限定されない。例えば、下板40にロゴパーツを取り付けるフレーム部を設けてもよいし、上板50にロゴパーツを取り付けるブリッジ部を設けてもよい。
第1の指針および第2の指針としては、パワーリザーブ針6および小秒針5に限定されず、月齢表示針、日表示針、クロノグラフ針等でもよい。
本開示の時計は、複数の時計部品を有するムーブメントと、前記ムーブメントの上方に設けられる文字板と、を備え、前記ムーブメントは、第1の指針が取り付けられる第1の指針軸と、第2の指針が取り付けられる第2の指針軸と、テンプおよび前記テンプを軸支するテンプ軸受を含む調速脱進機構と、を有し、前記文字板は、下板および前記下板上に設けられる上板を有し、前記下板は、外周に沿って設けられた下板リング部と、前記下板リング部の内周に接続されたフレーム部とを有し、前記上板は、外周に沿って設けられた上板リング部と、前記上板リング部の内周に接続されたブリッジ部と、を有し、前記下板には、前記下板リング部および前記フレーム部で区画される下板開口が形成され、前記上板には、前記上板リング部および前記ブリッジ部で区画される上板開口が形成され、前記フレーム部の少なくとも一部は、前記上板開口の下方に設けられ、前記下板開口の少なくとも一部は、前記上板開口の下方に設けられ、前記ブリッジ部は、前記第1の指針軸および前記第2の指針軸がそれぞれ挿通可能な第1の貫通孔および第2の貫通孔と、前記テンプ軸受と平面視で重なる位置に形成された第3の貫通孔とを有することを特徴とする。
時計の文字板を、下板リング部およびフレーム部を有する下板と、上板リング部およびブリッジ部を有する上板とを重ねて形成しているので、スケルトンタイプの文字板を形成できる。また、フレーム部の少なくとも一部は、上板開口の下方に設けられるため、フレーム部の一部はブリッジ部に隠されることなく露出する。このため、文字板は、奥行きが異なるブリッジ部およびフレーム部が視認可能となるため、文字板のデザインバリエーションを向上できる。
さらに、上板のブリッジ部に、第1から第3の貫通孔が形成され、第1および第2の貫通孔には第1および第2の指針軸が配置され、第3の貫通孔はテンプ軸受の上方に配置されるため、時計の文字板を視認した際に、第1および第2の指針軸やテンプ軸受がブリッジ部で支持されているように見えるデザインにできる。このため、各指針軸やテンプ軸受が安定して支持されているように見せることができ、スケルトンタイプの時計のデザイン性を向上できる。
ロゴ表示部は下板に形成され、上板開口から視認可能に設けられている。このため、ロゴ表示部は、文字板の奥まった位置に配置され、ロゴ表示部に表示されたロゴも目立ちすぎることがなく、上品なイメージで表示できてデザイン性を向上できる。
機能パーツを上板の表面に取り付けることで、文字板の立体感をさらに強調でき、デザイン性を向上できる。
これらの機能パーツを上板の表面に取り付けることで、パワーリザーブ針や小秒針のように小さな指針の指示位置の視認性を向上できる。また、時針や分針が指示するアワーマークを機能パーツとすることで、文字板のデザイン性を向上できる。さらに、テンプ軸受の周囲を囲む装飾リングを機能パーツとして設けることで、ルビー製の受石を目立たせることができ、デザイン性を向上できる。
第1から第3の支持ブリッジ部の幅寸法を、その他のブリッジ部に比べて大きくしているため、第1および第2の指針軸や、テンプ軸受を安定して支持しているように見せるデザインを実現できる。
各指針をパワーリザーブ針、小秒針、クロノグラフ針、月齢表示針、日表示針から選択することで、機能に応じた情報を指針で指示することができる。
時針および分針は、文字板の平面中心位置に配置されるセンター針であるため、目盛を指示する際の視認性を向上できる。また、パワーリザーブ針は12時位置に配置され、小秒針は6時位置に配置され、テンプ軸受は9時位置に配置されるため、これらがバランス良く配置され、時計のデザイン性を向上できる。
文字板の12時位置にパワーリザーブ針が配置され、6時位置に小秒針が配置され、9時位置にテンプ軸受が配置され、3時位置にロゴ表示部が配置されるため、これらがバランス良く配置されて時計のデザイン性をより向上できる。
本開示の時計は、文字板と、前記文字板の上面に取り付けられるサブダイヤルマークとを備え、前記サブダイヤルマークは一部が切り欠かれたリング状に形成され、前記文字板は前記サブダイヤルマークの裏面側に配置される前記サブダイヤルマークを支持する支持部を有し、前記支持部は前記サブダイヤルマークに沿って形成され、前記サブダイヤルマークの切欠部分には形成されていないことが好ましい。
機械式ムーブメントを有する機械式の腕時計において、ガンギ車、アンクル、テンプなどの時計部品を文字板側から視認可能に構成した時計が知られている。例えば、特開2020-148651号公報には、文字板の一部に窓を形成したセミスケルトンの時計において、文字板の6時位置側に小秒針を有するサブダイヤルが設けられている。サブダイヤルは円盤状に形成され、時計を文字板側から見た平面視でサブダイヤルのほぼ左半分は切り欠かれ、ガンギ車などを視認可能に構成している。
一方、フルスケルトンタイプの時計では、文字板が骨組みのように構成されるため、文字板の面積も小さくなる。よって、サブダイヤルを円盤状に形成すると、サブダイヤルを支持する文字板の面積が非常に小さいため、落下時などの衝撃によってサブダイヤルが撓み、破損する恐れがある。
これに対し、サブダイヤルをリング状に形成し、フルスケルトンの文字板において、サブダイヤルマークの下に配置される支持部を設けることで、支持部の面積をサブダイヤルマークと同等にできるため、衝撃が加わってもサブダイヤルマークの撓みを抑制でき、サブダイヤルマークの破損を防止できる。
また、サブダイヤルマークは、一部が切り欠かれており、支持部もサブダイヤルマークの切欠部分には形成されていないので、サブダイヤルマークの切欠部分からムーブメントの時計部品を視認し易くすることができる。
さらに、サブダイヤルをリング状に構成することで、フルスケルトンタイプの文字板において、全体的に骨組みのような統一感のあるデザインとすることができる。
なお、文字板は、前記実施形態のように、2枚の下板および上板を用いた積層文字板に限定されず、1枚の単層文字板でもよい。
文字板の平面中心に指針軸を有するセンター針等の指針に切り欠かれた領域(切欠領域)を形成することで、指針の運針時にガンギ車と平面視で重なっている間も、ガンギ車の一部は指針の切欠領域に露出する。
時針や分針は、秒針に比べて運針速度が遅く、時間当たりの移動角度も小さい。このため、ガンギ車と平面視で重なっている時間は、時針が最も長く、分針、秒針の順で短くなる。したがって、時針や分針に切欠領域を形成すれば、ガンギ車を視認できる時間を長くすることができる。秒針は、時針や分針に比べて運針速度が速く、ガンギ車と重なる時間も短いため、切欠領域を設ける必要性は低いが、切欠領域を形成してもよい。
サブダイヤルマークは、小秒針によって指示される秒目盛を表示し、小秒針が60秒で1周つまり360°回転する場合、サブダイヤルマークを中心角30°の範囲で切り欠くと、サブダイヤルマークは330°の範囲に設けられるので、サブダイヤルマークが指示できる時間は55秒間である。同様に、サブダイヤルマークを中心角90°の範囲で切り欠くと、サブダイヤルマークは270°の範囲に設けられるので、サブダイヤルマークが指示できる時間は45秒間である。同様に、サブダイヤルマークを中心角60°の範囲で切り欠くと、サブダイヤルマークは300°の範囲に設けられるので、サブダイヤルマークが指示できる時間は50秒間である。
したがって、サブダイヤルマークの切欠部分の角度範囲が30°~90°であれば、サブダイヤルマークが指示できない時間は5~15秒間である。この程度の時間であれば、小秒針がサブダイヤルマークの切欠部分を指示していても、ユーザーは感覚的に現在の秒数をおおまかに把握できる。その上、サブダイヤルマークの切欠部分の角度範囲が30°~90°であれば、切欠部分から視認可能なガンギ車の領域を広くでき、ガンギ車を目立たせることができる。したがって、サブダイヤルマークの切欠部分の角度範囲を30°~90°に設定することで、ガンギ車の視認性向上と、小秒針の時間表示機能とを両立することができる。
なお、サブダイヤルマークは小秒針用の秒目盛を表示するものに限定されず、360°回転して目盛を指示する指針用であればよい。
例えば、サブダイヤルマークが円周方向に中心角300°の範囲で形成された場合、サブダイヤルマークの下側に配置される支持部の円周方向の長さ寸法は270°~300°の範囲に設定される。
支持部の円周方向の長さが、サブダイヤルマークの長さの90%以上確保されていれば、サブダイヤルマークの90%以上を支持して補強できるため、衝撃によってサブダイヤルマークが撓んで破損することを確実に防止できる。また、支持部の円周方向の長さが、サブダイヤルマークの長さの100%以下であるため、サブダイヤルマークの端縁から支持部が突出することを防止でき、ガンギ車の視認性の低下や、文字板の意匠性の低下を防止できる。
サブダイヤルマークが取り付けられる文字板の支持部は、両端部が中央リング部と、ブリッジ部とに接続され、さらに支持部の中間部分は、指針軸が配置される貫通孔が形成された連結部に接続されたブリッジ部に接続されているので、支持部の剛性を向上でき、サブダイヤルマークの取付強度も向上できる。
Claims (8)
- 複数の時計部品を有するムーブメントと、
前記ムーブメントの上方に設けられる文字板と、を備え、
前記ムーブメントは、第1の指針が取り付けられる第1の指針軸と、第2の指針が取り付けられる第2の指針軸と、テンプおよび前記テンプを軸支するテンプ軸受を含む調速脱進機構と、を有し、
前記文字板は、下板および前記下板上に設けられる上板を有し、
前記下板は、外周に沿って設けられた下板リング部と、前記下板リング部の内周に接続されたフレーム部とを有し、
前記上板は、外周に沿って設けられた上板リング部と、前記上板リング部の内周に接続されたブリッジ部と、を有し、
前記下板には、前記下板リング部および前記フレーム部で区画される下板開口が形成され、
前記上板には、前記上板リング部および前記ブリッジ部で区画される上板開口が形成され、
前記フレーム部の少なくとも一部は、前記上板開口の下方に設けられ、
前記下板開口の少なくとも一部は、前記上板開口の下方に設けられ、
前記ブリッジ部は、前記第1の指針軸および前記第2の指針軸がそれぞれ挿通可能な第1の貫通孔および第2の貫通孔と、前記テンプ軸受と平面視で重なる位置に形成された第3の貫通孔とを有する
ことを特徴とする時計。 - 請求項1に記載の時計において、
前記下板は、前記上板開口の下方に位置し、ロゴを表示するロゴ表示部を有する
ことを特徴とする時計。 - 請求項1に記載の時計において、
前記上板の表面に取り付けられた機能パーツを有する
ことを特徴とする時計。 - 請求項3に記載の時計において、
前記機能パーツは、
パワーリザーブ針の目盛を表示するパワーリザーブ目盛パーツと、
小秒針の目盛を表示する小秒針目盛パーツと、
前記テンプ軸受の周囲を囲む位置に設けられる装飾リングと、
アワーマークと、を含む
ことを特徴とする時計。 - 請求項1に記載の時計において、
前記ブリッジ部は、前記第1の貫通孔が形成された第1の支持ブリッジ部と、前記第2の貫通孔が形成された第2の支持ブリッジ部と、前記第3の貫通孔が形成された第3の支持ブリッジ部と、それ以外のブリッジ部とを備え、
前記第1の支持ブリッジ部、前記第2の支持ブリッジ部、前記第3の支持ブリッジ部は、他のブリッジ部よりも幅寸法が大きい
ことを特徴とする時計。 - 請求項1に記載の時計において、
前記第1の指針および前記第2の指針は、パワーリザーブ針、小秒針、クロノグラフ針、月齢表示針、日表示針から選択された指針である
ことを特徴とする時計。 - 請求項6に記載の時計において、
前記文字板の平面中心位置には、時針が取り付けられる時針軸と、分針が取り付けられる分針軸とが同軸に配置され、
前記第1の指針軸は、前記時針軸に対して12時方向に配置され、
前記第2の指針軸は、前記時針軸に対して6時方向に配置され、
前記テンプ軸受は、前記時針軸に対して9時方向に配置され、
前記第1の指針は、前記パワーリザーブ針であり、
前記第2の指針は、前記小秒針である
ことを特徴とする時計。 - 請求項7に記載の時計において、
前記下板は、前記上板開口の下方に位置し、ロゴを表示するロゴ表示部を有し、
前記ロゴ表示部は、前記時針軸に対して3時方向に配置されている
ことを特徴とする時計。
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