〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の建物には、廊下と居室とを仕切る間仕切壁が設けられている。以下、この間仕切壁周辺の構成について図1に基づいて説明する。図1は(a)が間仕切壁を廊下側から見た正面図であり、(b)が間仕切壁周辺の構成を示す縦断面図である。なお、図1(b)は図1(a)のA-A線断面図に相当する。
図1(a)及び(b)に示すように、住宅等の建物には、廊下11と居室12とが互いに隣接して設けられているとともに、廊下11と居室12とを仕切る間仕切壁13が設けられている。廊下11は、居室12に向かって延びており、その突き当たりとなる位置で廊下11と居室12とが間仕切壁13により仕切られている。この場合、廊下11を挟んで対向する各壁部15は間仕切壁13と直交して配置されている。なお、廊下11が第1空間に相当し、居室12が第2空間及び隣室に相当する。
間仕切壁13には、廊下11から居室12へ出入りするための出入口16が設けられている。この出入口16には開き戸からなるドア17が設けられている。この場合、間仕切壁13において出入口16の横隣りに配置される縦長の壁部分は袖壁部13aともいう。
間仕切壁13は、対向する一対の壁パネル21,22を有している。これら各壁パネル21,22は例えば石膏ボードを含んで構成され、互いに離間して配置されている。これにより、各壁パネル21,22の間には、上下方向に延びる壁内空間23が形成されている。図示は省略するが、間仕切壁13は、各壁パネル21,22の間に壁下地材を有し、その壁下地材により各壁パネル21,22が支持されている。また、各壁パネル21,22のうち、壁パネル21は廊下11に面して設けられ、壁パネル22は居室12に面して設けられている。この場合、壁パネル21が第1壁パネルに相当し、壁パネル22が第2壁パネルに相当する。
ここで、本建物10では、間仕切壁13において廊下11と居室12との間の通気を可能とする通気構造が設けられている。そこで、以下においては、その間仕切壁13における通気構造について図2を用いながら説明する。なお、図2は、間仕切壁13における通気構造を拡大して示す縦断面図である。
また、図示は省略するが、本建物10には、共通の空調装置を用いて複数の屋内空間(以下、空調対象空間という)の空調を行う全館式の空調設備が設けられている。ここで、間仕切壁13の通気構造の説明を行うのに先立ち、この空調設備について簡単に説明すると、当該空調設備では、空調装置により空調空気(冷気又は暖気)が生成され、その生成された空調空気が空調装置より空調ダクトを通じて各空調対象空間に供給されるようになっている。そして、それら供給された空調空気により各空調対象空間の空調(冷暖房)が行われるようになっている。各空調対象空間に供給された空調空気は、その後、建物内を流れて空調装置へと戻り(還流し)、その戻った空調空気をもとに空調装置により空調空気が再度生成されるようになっている。このように、本空調設備は、空気循環式の全館空調設備とされている。
このような空調設備を有する本建物では、空調設備による空調対象空間に居室12が含まれている。この場合、居室12に供給された空調空気は、居室12から廊下11へと流れ、その後空調装置へ戻るようになっている。そして、本建物では、居室12から廊下11へ空調空気を流すために間仕切壁13における通気構造を用いており、以下においては、その通気構造について説明する。
図2に示すように、間仕切壁13の各壁パネル21,22にはそれぞれ壁開口部21a,22aが形成されている。壁開口部21aは、壁パネル21の下端側に形成され、間仕切壁13の壁内空間23と廊下11とを連通している。また、壁開口部22aは、壁パネル22の下端側に形成され、壁内空間23と居室12とを連通している。これら各壁開口部21a,22aは壁内空間23を挟んで互いに対向している。
間仕切壁13には、各壁開口部21a,22aと壁内空間23とを通じて廊下11と居室12との間で通気を行わせる通気路25が形成されている。この場合、この通気路25を通じて廊下11と居室12とが通気可能に連通されている。なお、図2では、その通気路25を通じて流れる空気の流れを矢印線にて示している。また、図2では便宜上、その矢印線に対して通気路25の符号を付している。
間仕切壁13の各壁パネル21,22には、その下端部に沿って巾木部材26,27が設けられている。各巾木部材26,27のうち、巾木部材26は壁パネル21の下端部に沿って設けられ、壁パネル21と床面との境界部を覆い隠している。また、巾木部材27は、壁パネル22の下端部に沿って設けられ、壁パネル22と床面との境界部を覆い隠している。これら各巾木部材26,27は、例えば接着剤等を用いて壁パネル21,22に取り付けられている。また、各巾木部材26,27は、間仕切壁13の袖壁部13aに設けられている。
ここで、本実施形態では、これら巾木部材26,27に関する構成に特徴を有している。そこで以下においては、その特徴的な構成について図2に加え図3を参照しながら説明する。図3は、壁パネル21側の巾木部材26の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、壁パネル21側(廊下11側)の巾木部材26は、壁パネル21の壁開口部21aを廊下11側から覆うように設けられており、詳しくは壁開口部21aの全体を覆うように設けられている。巾木部材26は、全体として壁パネル21の下端部に沿って(換言すると壁パネル21の壁幅方向に)延びる四角筒状に形成されている。巾木部材26は、例えば木製の板材を組み合わせることにより形成されている。なお、巾木部材26が覆い部材及び第1覆い部材に相当する。
巾木部材26には、図2及び図3に示すように、その長手方向に延びる中空部31が形成されている。巾木部材26は、その中空部31を挟んで間仕切壁13の厚み方向(換言すると前後方向)に対向する前板部26a及び後板部26bと、中空部31を挟んで上下方向に対向する上板部26c及び下板部26dとを有する。前板部26a及び後板部26bは上下方向に延びており、上板部26c及び下板部26dは間仕切壁13の厚み方向に延びている。なお、図示は省略するが、巾木部材26の長手方向の両端部にはそれぞれ中空部31の開口を塞ぐ蓋部が設けられている。但し、これらの蓋部は必ずしも巾木部材26に設けられている必要はない。
巾木部材26は、その下板部26dが床面上に載置された状態で、その後板部26bが壁パネル21に対して取り付けられている。後板部26bには、壁パネル21の壁開口部21aに連通する開口部32が形成されている。この場合、この開口部32を介して巾木部材26の中空部31と間仕切壁13の通気路25とが互いに連通されている。また、上板部26cには、中空部31と廊下11とを連通する開口部33が形成されている。
巾木部材26には、中空部31と各開口部32,33とにより内部通路34が形成されている。内部通路34は、間仕切壁13の通気路25に通じているとともに、廊下11に通じている。内部通路34は、空気の流れる通気路となっており、図2では、その内部通路34を通じて流れる空気の流れを矢印線にて示している。また、図2では便宜上、その矢印線に対して内部通路34の符号を付している。内部通路34においては、開口部33が廊下11に開口する開口部となっている。この開口部33は、巾木部材26の上面において廊下11に開口している。詳しくは、開口部33は、巾木部材26において上板部26cにのみ形成され、前板部26aや下板部26d等、他の板部には形成されていない。したがって、開口部33は、巾木部材26の上面においてのみ開口している。なお、内部通路34が特許請求の範囲に記載の「通路」及び「第1通路」に相当する。また、開口部33が「通路開口部」及び「第1通路開口部」に相当する。
続いて、壁パネル22側(居室12側)の巾木部材27について説明する。巾木部材27は、壁パネル21側の巾木部材26と基本的に同様の構成を有している。そのため、巾木部材27についてはその説明を簡略化して行う。巾木部材27は、間仕切壁13の厚み方向において巾木部材26と対称となる構成を有している。すなわち、巾木部材27は、巾木部材26と同様、その長手方向に延びる中空部36を有するとともに、前板部27a、後板部27b、上板部27c及び下板部27dを有している。巾木部材27は、その下板部27dが床面上に載置された状態で、その後板部27bが壁パネル22に対して取り付けられている。この場合、巾木部材27は、壁パネル22の壁開口部22a全体を居室12側から覆うように設けられている。また、巾木部材27は、居室12において間仕切壁13を挟んで巾木部材26と対向する位置に配置されている。なお、居室12には、巾木部材27と連続させて他の巾木(内部通路が形成されていない通常の巾木)が設けられている。また、巾木部材27が第2覆い部材に相当する。
巾木部材27には、その後板部27bに壁開口部22aと連通する開口部37が形成されている。この場合、この開口部37を介して巾木部材27の中空部36と間仕切壁13の通気路25とが連通されている。また、上板部27cには中空部36と居室12とを連通する開口部38が形成されている。
巾木部材27には、中空部36と各開口部37,38とにより内部通路39が形成されている。内部通路39は、間仕切壁13の通気路25に通じているとともに、居室12に通じている。内部通路39は、空気の流れる通気路となっており、図2では、その内部通路39を通じて流れる空気の流れを矢印線にて示している。また、図2では便宜上、その矢印線に対して内部通路39の符号を付している。内部通路39においては開口部38が居室12に開口する開口部となっている。この開口部38は、巾木部材27の上面において居室12に開口している。なお、内部通路39が第2通路に相当し、開口部38が第2通路開口部に相当する。
上述した間仕切壁13における通気構造によれば、空調装置より居室12に供給された空調空気が巾木部材27の開口部38より内部通路39に流れ込み、その後、内部通路39から間仕切壁13の通気路25を経由して巾木部材26の内部通路34に流れ込む。そして、その流れ込んだ空気は内部通路34の開口部33より廊下11に流れ込む。このようにして、本通気構造では、居室12の空気(空調空気)が各巾木部材26,27の内部通路34,39と間仕切壁13の通気路25とを通じて廊下11へと流れるようになっている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
間仕切壁13の各壁パネル21,22にそれぞれ巾木部材26,27を壁開口部21a,22aの全体を覆うようにして設けた。この場合、廊下11から壁開口部21aが見えない状態とされているとともに、居室12から壁開口部22aが見えない状態とされているため、壁開口部21a,22aにより意匠性が損なわれるのを防止することができる。
また、巾木部材26の内部通路34において廊下11に開口する開口部33を巾木部材26の上面において開口させるとともに、巾木部材27の内部通路39において居室12に開口する開口部38を巾木部材27の上面において開口させた。この場合、これら各開口部33,38は間仕切壁13の正面側から見えにくくなっているため、これらの開口部33,38により意匠性が損なわれるのを抑制することができる。よって、この場合、意匠性が損なわれるのを抑制しながら、上述したように廊下11と居室12との間で通気を行うことが可能となる。
間仕切壁に通常設けられる巾木部材26,27を用いて壁開口部21a,22aを覆うとともにその巾木部材26,27に内部通路34,39を形成したため、間仕切壁13の外観に大きな影響を与えるのを回避しながら、上述した効果を得ることができる。
また、間仕切壁13の下端部に設けられる巾木部材26,27に開口部33.38が設けられているため、開口部33,38をより目立ちにくくすることができる。このため、開口部33,38により意匠性が損なわれるのをより一層抑制することができる。
廊下11の突き当たりとなる位置で廊下11と居室12とを仕切る間仕切壁13に出入口16を形成し、その出入口16にドア17を設けた。そして、こうした構成において、間仕切壁13の各壁パネル21,22にそれぞれ巾木部材26,27を設けた。この場合、巾木部材26,27の内部通路34,39を通じて廊下11と居室12との間で通気を行うことができるため、ドア17上方に通気用部材を設ける必要がなく、その結果、ドア17高さの制約が生じる等の問題を回避しながら、間仕切壁13において廊下11と居室12との間の通気を行うことが可能となる。
〔第2の実施形態〕
続いて、第2の実施形態について説明する。以下、本実施形態における間仕切壁の通気構造について図4及び図5に基づいて説明する。図4は(a)が間仕切壁を居室側から見た正面図であり、(b)が間仕切壁周辺の構成を示す縦断面図である。なお、図4(b)は図4(a)のB-B線断面図に相当する。また、図5は、間仕切壁における通気構造を拡大して示す縦断面図である。なお、以下の説明では、上記第1の実施形態と同様の構成については、その説明を適宜簡略化したり省略したりする。
図4(a)及び(b)に示すように、本実施形態では、住宅等の建物に、居室41と廊下42とが隣接して設けられているとともに、居室41と廊下42とを仕切る間仕切壁43が設けられている。本実施形態では、間仕切壁43が廊下42と同じ方向に延びており、その廊下42の側面を規定している。なお、本実施形態では、居室41が第1空間に相当し、廊下42が第2空間に相当する。
間仕切壁43は、互いに対向する一対の壁パネル45,46を有しており、それら各壁パネル45,46の間には上下方向に延びる壁内空間47が形成されている。各壁パネル45,46のうち、壁パネル45は居室41に面して設けられ、壁パネル46は廊下42に面して設けられている。なお、壁パネル45が第1壁パネルに相当し、壁パネル46が第2壁パネルに相当する。
図5に示すように、各壁パネル45,46にはそれぞれ壁開口部45a,46aが形成されている。それら各壁開口部45a,46aのうち、壁開口部46aは、上記第1の実施形態と同様、壁パネル46の下端側に形成されている。その一方、壁開口部45aは、壁パネル45において壁開口部46aよりも高い位置に形成されている。
間仕切壁43には、各壁開口部45a,46aと壁内空間47とを通じて居室41と廊下42との間で通気を行わせる通気路48が形成されている。この場合、この通気路48を通じて居室41と廊下42とが通気可能に連通されている。なお、図5では、その通気路48を通じて流れる空気の流れを矢印線にて示している。また、図5では便宜上、その矢印線に対して通気路48の符号を付している。
間仕切壁43において廊下42側の壁パネル46には、その下端部に沿って巾木部材27が設けられている。この巾木部材27は、上記第1の実施形態における巾木部材27(壁パネル22の巾木部材27)と同様の構成を有している。そのため、ここでは、その巾木部材27と同じ符号27を付してその詳細な説明を割愛する。
巾木部材27は、壁パネル46の壁開口部46a全体を廊下42側から覆うように設けられている。また、巾木部材27には、間仕切壁43の通気路48に通じているとともに、廊下42に通じている内部通路39が形成されている。内部通路39は、その廊下42に開口する開口部38が巾木部材27の上面にて開口している。なお、巾木部材27が第2覆い部材に相当し、内部通路39が第2通路に相当し、開口部38が第2通路開口部に相当する。
間仕切壁43において居室41側の壁パネル45には、配線器具としてのコンセント51が設けられている。コンセント51は、壁パネル45の壁開口部45aを覆うように当該壁パネル45に取り付けられている。詳しくは、コンセント51は、壁開口部45a全体を居室41側から覆うように取り付けられている。なお、コンセント51が覆い部材(第1覆い部材)及び機器に相当する。
コンセント51は、壁開口部45aに嵌め込まれて取り付けられる取付部51aと、壁パネル45の表面側に設けられ差し込み口を有する本体部51bとを有する。コンセント51には、取付部51aと本体部51bとに跨がって内部通路53が形成されている。内部通路53は、間仕切壁43の通気路48に通じているとともに居室41に通じている。内部通路53は、空気の流れる通気路となっており、図5では、内部通路53を通じて流れる空気の流れを矢印線にて示している。また、図5では便宜上、その矢印線に対して内部通路53の符号を付している。
内部通路53は、通気路48に向けて開口する開口部55と、居室41に向けて開口する開口部56とを有している。開口部55は、コンセント51の取付部51aに形成され、通気路48の壁開口部45aと連通している。また、開口部56は、コンセント51の本体部51bに形成されている。本体部51bには、開口部56として、本体部51bの上面にて開口する上側開口部56aと、本体部51bの下面にて開口する下側開口部56bとが形成されている。より詳しくは、本体部51bには、開口部56として、上側開口部56a及び下側開口部56bのみ形成されている。なお、内部通路53が特許請求の範囲に記載の「通路」及び「第1通路」に相当する。また、各開口部56a,56bがそれぞれ「通路開口部」及び「第1通路開口部」に相当する。
上述した間仕切壁43における通気構造によれば、空調装置より居室41に供給された空調空気がコンセント51の各開口部56a,56bより当該コンセント51の内部通路53に流れ込み、その後、内部通路53から間仕切壁43の通気路48を経由して巾木部材27の内部通路39に流れ込む。そして、その流れ込んだ空気は内部通路39の開口部38より廊下42に流れ込む。このように、本通気構造では、居室41の空気(空調空気)がコンセント51の内部通路53と間仕切壁43の通気路48と巾木部材27の内部通路39とを通じて廊下42へ流れ込むようになっている。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
間仕切壁43の壁パネル45にその壁開口部45aの全体を覆うようにコンセント51を取り付け、そのコンセント51に内部通路53を形成した。そして、内部通路53において居室41に開口する開口部56をコンセント51の上面及び下面にてそれぞれ開口するよう形成した。この場合、各開口部56は間仕切壁13の正面側から見えにくくなっているため、これらの開口部56により意匠性が損なわれるのを抑制することができる。よって、意匠性が損なわれるのを抑制しながら、上述したように居室41と廊下42との間で通気を行うことが可能となる。
一般に間仕切壁に設けられるコンセント51を用いて壁開口部45aを覆うとともにそのコンセント51に内部通路53を形成した。この場合、間仕切壁43の外観に大きな影響を与えるのを回避しながら、上述した効果を得ることができる。
開口部56として、コンセント51の上面にて上向きに開口する上側開口部56aと、コンセント51の下面にて下向きに開口する下側開口部56bとが設けられているため、コンセント51の内部通路53を通じて流れる空気が暖気(軽い空気)か冷気(重い空気)かにかかわらず、当該内部通路53を通じて好適に空気を流通させることができる。
〔第3の実施形態〕
次に、第3の実施形態について説明する。以下、本実施形態における間仕切壁の通気構造について図6及び図7に基づいて説明する。図6は(a)が間仕切壁を居室側から見た正面図であり、(b)が間仕切壁周辺の構成を示す縦断面図である。なお、図6(b)は図6(a)のC-C線断面図に相当する。また、図7は、間仕切壁における通気構造を拡大して示す縦断面図である。なお、以下の説明では、上記第2の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
図6(a)及び(b)に示すように、本実施形態では、上記第2の実施形態における間仕切壁43において、居室41側の壁パネル45にコンセント51に代えて、モニタ61が設けられている。本実施形態では、その点において上記第2の実施形態と構成が相違しており、以下においてはその相違点に関する構成について説明する。
図7に示すように、間仕切壁43において居室41側の壁パネル45には、壁開口部45bが形成されている。壁開口部45bは、壁パネル45の高さ方向の略中央部に形成されている。
間仕切壁43には、各壁開口部45b,46aと壁内空間47とを通じて居室41と廊下42との間で通気を行わせる通気路62が形成されている。この場合、この通気路62を通じて居室41と廊下42とが通気可能に連通されている。なお、図7では、その通気路62を通じて流れる空気の流れを矢印線にて示している。また、図7では便宜上、その矢印線に対して通気路62の符号を付している。
間仕切壁43において居室41側の壁パネル45には、機器としてのモニタ61が設けられている。モニタ61は、例えば訪問者確認用のモニタであり、ディスプレイ部を有している。モニタ61は、壁パネル45の壁開口部45b全体を居室41側から覆うように当該壁パネル45に取り付けられている。なお、モニタ61が覆い部材及び第1覆い部材に相当する。
モニタ61は、壁開口部45bに嵌め込まれて取り付けられる取付部61aと、壁パネル45の表面側に設けられディスプレイ部を有する本体部61bとを有する。モニタ61には、取付部61aと本体部61bとに跨がって内部通路63が形成されている。内部通路63は、間仕切壁43の通気路62に通じているとともに居室41に通じている。内部通路63は、空気の流れる通気路となっており、図7では、内部通路63を通じて流れる空気の流れを矢印線にて示している。また、図7では便宜上、その矢印線に対して内部通路63の符号を付している。
内部通路63は、通気路62に向けて開口する開口部65と、居室41に向けて開口する開口部66とを有している。開口部65は、モニタ61の取付部61aに形成され、通気路62の壁開口部45bと連通している。また、開口部66は、モニタ61の本体部61bに形成されている。本体部61bには、開口部66として、本体部61bの上面にて開口する上側開口部66aと、本体部61bの下面にて開口する下側開口部66bとが形成されている。なお、内部通路63が特許請求の範囲に記載の「通路」及び「第1通路」に相当する。また、各開口部66a,66bがそれぞれ「通路開口部」及び「第1通路開口部」に相当する。
上述した間仕切壁43における通気構造では、空調装置より居室41に供給された空調空気がモニタ61の各開口部66a,66bより当該モニタ61の内部通路63に流れ込み、その後、内部通路63から間仕切壁43の通気路62を経由して巾木部材27の内部通路39に流れ込む。そして、その流れ込んだ空気は内部通路39の開口部38より廊下42に流れ込む。このように、本通気構造では、居室41の空気(空調空気)がモニタ61の内部通路63と間仕切壁43の通気路62と巾木部材27の内部通路39とを通じて廊下42へ流れ込むようになっている。
上述した本実施形態の構成によれば、モニタ61を用いて第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記各実施形態では、壁開口部を覆う覆い部材をそれぞれ、巾木部材26,27、コンセント51及びモニタ61としたが、覆い部材は必ずしもこれらの部材である必要はない。例えば、覆い部材として、照明をON/OFF操作するためのスイッチやリモコン等の(壁付け)機器を用いてもよい。また、覆い部材を、開口部を覆う専用部材として形成してもよい。
・上記第1の実施形態では、間仕切壁13の各壁パネル21,22にそれぞれ内部通路34,39付きの巾木部材26,27を設けたが、各壁パネル21,22のうちいずれかの壁パネルにのみかかる巾木部材を設けるようにしてもよい。例えば、廊下11側の壁パネル21にのみ巾木部材26を設けることが考えられる。この場合、居室12側では壁開口部22aが開放された状態とされるものの、廊下11側では巾木部材26により壁開口部21a全体が覆われた状態とされる。そのため、廊下11において意匠性が損なわれるのを抑制しながら、廊下11と居室12との間の通気を行うことが可能となる。また、これと同様のことは、上記第2の実施形態や第3の実施形態においても適用が可能である。
・上記第1の実施形態において、巾木部材26,27の構成を変更してもよい。図8及び図9には巾木部材の別形態を示す。以下、これら図8及び図9に基づいて、巾木部材の別形態について説明する。
図8に示すように、間仕切壁13において壁パネル21には、その下端部に沿って巾木部材71が設けられている。巾木部材71は、所定の厚みを有する木製の板材により形成され、壁開口部21aの全体を廊下11側から覆うように設けられている。図8及び図9に示すように、巾木部材71には、その裏面側に凹部73が形成されている。この凹部73は、巾木部材71の裏面と上面とにおいてそれぞれ開口するように形成されている。巾木部材71において、凹部73の底面は巾木部材71の裏面側から表面側に向けて上方に傾斜する傾斜面とされている。
巾木部材71において、凹部73は壁パネル21の壁開口部21aに通じている。この場合、この凹部73により、巾木部材71の内部通路74(通路及び第1通路に相当)が形成されている。この内部通路74は、間仕切壁13の通気路25に通じているとともに、廊下11に通じている。また、内部通路74において、廊下11に開口する開口部75は巾木部材71の上面において開口している。
かかる構成においても、開口部75が間仕切壁13の正面側から見えにくくなっているため、意匠性が損なわれるのを抑制しながら廊下11と居室12との間で通気を行うことが可能となる。また、巾木部材71に設けた凹部73により内部通路74を形成することで、巾木部材71の厚みを比較的小さくすることができ、その点においても意匠性が損なわれるのを抑制することができる。
また、図8及び図9の例では、これと同様に、間仕切壁13の壁パネル22に巾木部材76が設けられている。この巾木部材76は、上記巾木部材71と基本的に同様の構成を有しており、間仕切壁13の厚み方向において巾木部材71と対称となる構成を有している。つまり、巾木部材76の裏面側には凹部78が形成され、その凹部78により間仕切壁13の通気路25と居室12とを連通する内部通路79が形成されている。そして、この内部通路79において、居室12に開口する開口部81が巾木部材76の上面にて開口している。
・上記第2の実施形態では、コンセント51の内部通路53において居室41に開口する開口部56として、本体部51bの上面にて開口する上側開口部56aと、本体部51bの下面にて開口する下側開口部56bとを設けたが、これら各開口部56a,56bのうちいずれか一方の開口部だけ設けるようにしてもよい。
また、開口部56として、本体部51bの側面にて開口する側方開口部を設けてもよい。この場合にも、開口部は間仕切壁43の厚み方向と直交する方向を向いて開口するため、開口部を間仕切壁43の正面側から見えにくくすることができ、意匠性が損なわれるのを抑制することができる。なお、上記の内容は、上記第3の実施形態においてもそのまま適用することができる。
・上記各実施形態では、間仕切壁13,43における通気構造を用いて空調用の空気を廊下11,42と居室12,41との間で流通させるようにしたが、例えば換気用の空気を上記通気構造を用いて流通させるようにしてもよい。
・上記各実施形態ではいずれも、廊下11,42と居室12,41とを仕切る間仕切壁13,43に本発明の通気構造を適用したが、隣り合う居室同士を仕切る間仕切壁等、他の間仕切壁に本発明の通気構造を適用してもよい。