JP7266206B2 - 醤油諸味ペースト及びその製造方法並びに飲食品 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1の第2-3頁の実施例に開示される通り、実際に行われた微粒化法はホモミキサーを利用する方法のみであり、いずれも50メッシュのスクリーンを通して夾雑物を除去して得られたペーストである。このことから、ホモミキサーによるペーストは、粒度の粗いペーストであることが分かるとともに、結果的に夾雑物という廃棄分を生じてしまっていることが分かる。また、粘度は水分の影響を受けて大きく変化するものである。従って、ペースト粘度は原料たる醤油諸味の水分率に影響されることになり、得られるペースト粘度のみを頼りに目的特性を得ることは不可能ともいえる。
このように、特許文献1の方法は、微粒化により圧搾を要することなく醤油諸味を利用できることを示しているとしても、醤油諸味の全量をそのまま利用する技術は開示されていない。また、実際、ホモミキサーを用いてペースト調整しても塩カド低減は大きいものではないことが分かっている。
しかしながら、このように諸味中の未消化の大豆や小麦の皮、襖等の不溶性固形分を除去することで、結果として廃棄分を生成することとなり、不溶性固形分を有効に利用した技術とはいえない。
[1]擾乱前に測定される平均粒径(d50)が60μm以下であり、且つ、擾乱後に測定される平均粒径(d50)も60μm以下であることを特徴とする醤油諸味ペースト。
[2]前記擾乱前の平均粒径をD1(μm)とし、前記擾乱後の平均粒径をD2(μm)とした場合に、|(D2-D1)/D1|が0.2以下である[1]に記載の醤油諸味ペースト。
[3]調味料である[1]又は[2]に記載の醤油諸味ペースト。
[4][1]乃至[3]のうちのいずれかに記載の醤油諸味ペーストが配合されていることを特徴とする飲食品。
[5][1]乃至[4]のうちのいずれかに記載の醤油諸味ペーストの製造方法であって、
醤油諸味をペースト状に微細化する微細化工程を備えることを特徴とする醤油諸味ペーストの製造方法。
[6]前記微細化工程は、媒体攪拌ミルを用いて前記醤油諸味又はその粗砕物をペースト状に微細化する媒体攪拌ミル処理工程を含む[5]に記載の醤油諸味ペーストの製造方法。
[7]前記媒体攪拌ミルが、ビーズミルである[6]に記載の醤油諸味ペーストの製造方法。
[8]前記微細化工程は、媒体攪拌ミル処理工程前に、前記醤油諸味を粗砕する処理工程を含む[6]又は[7]に記載の醤油諸味ペーストの製造方法。
[9]前記醤油諸味が、分級されていない醤油諸味である醤油諸味ペーストの製造方法。
本発明の飲食品によれば、上述の醤油諸味ペーストに由来する成分を安定して分散させておくことができる。従って、醤油諸味に特有の塩カドが大幅に低減されつつ、沈殿や凝集に起因した風味変化を生じない飲食品を提供できる。また、この塩カド低減によって、共存される他の食味を引き出し、増強させることから、調味成分量を削減し、カロリーを低減することができる。
本発明の醤油諸味ペーストの製造方法によれば、廃棄分を生じることなく醤油諸味をそのまま利用しながら、醤油諸味に特有の塩カドが大幅に低減された醤油諸味ペーストを製造できる。特にまろやかさを付与する脂質を実質含有しない脱脂大豆を利用した醤油諸味においてとりわけ有益である。
本発明の醤油諸味ペーストは、擾乱前に測定される平均粒径(d50)が60μm以下であり、且つ、擾乱後に測定される平均粒径(d50)も60μm以下であることを特徴とする。
上述の通り、本醤油諸味ペーストは、擾乱前及び擾乱後の両方において測定される平均粒径が60μm以下という特性を有する。この際の擾乱は、当該醤油諸味ペーストに対して超音波を印加することを意味する。具体的には、周波数40kHzの超音波を出力40Wにて3分間印加することを意味する。一般に、擾乱を行うと、測定される平均粒径が変化する。例えば、凝集粒子(二次粒子)は擾乱により分散されて非凝集粒子(一次粒子)になり易く、擾乱前の平均粒径に対し、擾乱後の平均粒径が小さくなる傾向にある。一方、非凝集粒子(一次粒子)は擾乱により凝集されて凝集粒子(二次粒子)になり易く、擾乱前の平均粒径に対し、擾乱後の平均粒径が大きくなる傾向にある。
この点、本醤油諸味ペーストは、理由は定かではないものの、擾乱前後の両方において測定される平均粒径が60μm以下に維持される。そして、この性質を示す醤油諸味ペーストは、上述の通り、塩カドが極端に小さくなっていることが観察される。
尚、平均粒径変化率を示す|(D2-D1)/D1|の下限は上述のように、「0」であってもよいが、|(D2-D1)/D1|≧0.001とすることができ、|(D2-D1)/D1|≧0.01とすることができ、|(D2-D1)/D1|≧0.02とすることができる。
また、本発明において「粒径」は、特に指定が無い限り体積基準で測定された粒径を意味する。更に、本発明において「粒子」は、前述の通り、粒径測定において実際のその粒径が測定される粒子であって、凝集の有無を問わず、凝集粒子及び非凝集粒子を含む意味である。
醤油諸味は、醤油の原料となる物品に発酵させる手段を講じたものであり、醤油諸味は、液体分(可溶性固形分を含む)と、醤油の原料となる物品が分解されずに残存した固形分(不溶性固形分)と、を含む。即ち、醤油諸味は、上述の発酵させる手段を講じたものを分離(例えば、圧搾、篩別等の固液分離など)する前のものである。分離を行っていない醤油諸味を利用することで、廃棄分を生ずることなく本醤油諸味ペーストを製造できるとともに、効果的に塩カドの低減を行うことができる。また、分離工程を要さないことから、工数削減及びコスト削減に資する。
尚、醤油諸味の固形分率は、通常状態における醤油諸味の質量をW0とし、醤油諸味のうちの不溶性固形分の質量をW1とした場合に、W0に占めるW1の割合(%)を意味する。このうち不要性固形分の質量W1は、醤油諸味の質量W0から液体分の質量W2を差し引いた質量(W1=W0-W2)である。また、液体分の質量W2は、醤油諸味を濾過して得られる濾液の質量W21と、濾過残渣(諸味)を圧搾して得られる液体分の質量W22と、の合計量(W2=W21+W22)である。
本発明の醤油諸味ペーストの製造方法は、前述した醤油諸味ペーストの製造方法であって、醤油諸味をペースト状に微細化する微細化工程を備えることを特徴とする。
微細化工程は、醤油諸味をペースト状に微細化(ペースト化)する工程である。即ち、微細化処理を行う工程である。醤油諸味から本醤油諸味ペーストを形成する方法は限定されず、微細化によりペースト状にすることができればよい。この微細化処理は、得られる醤油諸味ペーストの擾乱前後の平均粒径(d50)が60μm以下となる性質を有するよう調製できればよく、その条件及び手段(装置)等は限定されない。
この媒体撹拌ミルには、ビーズミル及びボールミルが含まれるが、ビーズミル(特に湿式ビーズミル)が好ましい。尚、ビーズミルは、バッチ式、循環式及び連続式のいずれの装置であってもよく、更には、これらのうちの1種又は2種以上を組合せて利用できる。
また、ビーズ径は限定されないが、例えば、0.01~5mmとすることができ、0.1~4mmが好ましく、0.3~3mmがより好ましい。上記ビーズ径では、醤油諸味を十分に微細化してペーストにすることができるとともに、処理後の醤油諸味ペースト内からビーズを分離し易くすることができる。
更に、湿式ビーズミルに必要とされる媒体は、醤油諸味に本来的に含まれた液体分を利用できるが、更に、必要に応じ、液媒を添加することもできる。具体的には、油脂、有機溶媒、液化気体等があげられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本方法では、得られる醤油諸味ペーストの調味及び/又は調香等を目的として、醤油諸味の微細化前に他成分を配合しておくこともできる。微細化前に他成分を配合しておくことで、他成分の微細化を同時に行うことができるとともに、安定して醤油諸味ペースト内に分散させることができ、工数を削減することができる。
本発明の飲食品は、前述の醤油諸味ペーストが配合されていることを特徴とする。
本醤油諸味ペーストは、どのような飲食品に利用してもよい。前述の通り、本醤油諸味ペーストは、醤油諸味をペースト化したものであることから、醤油代替の調味料として利用できる。また、水等の粘性の低い液体に投入しても、醤油諸味ペーストを構成する固形分の凝集が抑制されるため、品質の安定した飲食品とすることができる。
(1)醤油諸味
下記醤油諸味を用意した。脱脂大豆、小麦、小麦ふすまを、質量比50:49.97:0.03の割合とし、醤油?で培養した培養物を用意した。この培養物と食塩水(濃度33質量%)とを質量比36:64の割合で混合して仕込み、6ヶ月間発酵熟成させて醤油諸味(固形分(不溶性固形分)と液体分(可溶性固形分を含む)との合計を100質量%とした場合に、固形分が約6質量%である醤油諸味)を得た。尚、発酵熟成は、醤油諸味を製造する定法に従って調温、醗酵管理することにより行った。また、得られた醤油諸味は、圧搾を行っていない状態の醤油諸味である。
カッターミル(大阪ケミカル株式会社、品名「ワンダークラッシャー WC-3L」)を用い、上記(1)の醤油諸味の粗砕を行い、醤油諸味の粗砕物を得た。粗砕条件は、当該装置の速度ダイヤル目盛を5に合わせ、3分間の粗砕を行った。
上記(2)で得られた醤油諸味の粗砕物を、下記の異なる3種の微細化手法を用いて合計7種の醤油諸味ペーストを得た。各微細化の詳細は、以下の通りである。
ビーズミル(湿式媒体撹拌ミル、湿式ビーズミル、アイメックス株式会社製、品名「RMBイージーナノ」)を用い、上記(2)で得られた醤油諸味粗砕物の微細化(ペースト化)を行って、実施例1の醤油諸味ペーストを得た。微細化条件は、醤油諸味粗砕物120mLに対し、直径2mmのジルコニアビーズ380gを用い、ミルの回転数2000rpm、冷却水温度5℃にて、10分間の微細化を行った。
実施例1と同様の微細化を30分間行い、実施例2の醤油諸味ペーストを得た。
実施例1と同様の微細化を60分間行い、実施例3の醤油諸味ペーストを得た。
実施例1と同様の微細化を90分間行い、実施例4の醤油諸味ペーストを得た。
ホモジナイザ(高圧ホモジナイザ、Niro Soavi社製(同栄商事株式会社販売)、品名「PANDA PLUS2000」)を用い、上記(2)で得られた醤油諸味粗砕物の微細化(ペースト化)を行って、比較例1の醤油諸味ペーストを得た。
石臼式ミル(マスコロイダ、コロイドミル、グローエンジニアリング製、品名「マルチミル RD2-15型」)を用い、上記(2)で得られた醤油諸味粗砕物の微細化(ペースト化)を行って、比較例2の醤油諸味ペーストを得た。微細化条件は、グラインダとして、グローエンジニアリング製「NP15-46B」を利用し、ミルが擦り合わない最小クリアランスである50μm(目盛1)に設定して微細化を行った。
比較例2と同様の微細化を行って、比較例3の醤油諸味ペーストを得た。但し、ミルのクリアランスを100μm(目盛2)に設定した。
実施例1~4及び比較例1~3の各醤油諸味ペーストに含まれる粒子の粒子径分布を測定した。この粒度分布の測定は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社、品名「Microtrac MT3300 EX2システム」)を用い、測定アプリケーションソフトウェアとしてマイクロトラック・ベル株式会社製の品名「DMSII(Data Management System version2)」を用いた。
尚、測定に際し、上述のソフトウェアの洗浄ボタンを押下して洗浄を実施した後、同ソフトのSetzeroボタンを押下してゼロ合わせを実施し、サンプルローディングで適正濃度範囲に入るまでサンプルを直接投入した。
また、測定条件は、分布表示:体積、粒子屈折率:1.60、溶媒(蒸留水)屈折率:1.333、測定上限(μm)=2000.00μm、測定下限(μm)=0.021μmとした。
超音波処理を行っていない実施例1~4及び比較例1~3の各醤油諸味ペーストの平均粒径測定を行った。測定に当たっては、試料投入後にサンプルローディング2回以内に試料濃度を適正範囲内に調整した後、直ちに流速60%で10秒の測定時間でレーザー回折測定を行い、得られた結果を測定値とした。この結果を表1に示した。
尚、平均粒径(d50)は、得られた粒子径分布を、ある粒子径から2つに分けたとき、大きい側の粒子頻度%の累積値の割合と、小さい側の粒子頻度%の累積値の割合との比が50:50となる粒子径として算出した。
超音波処理を行った実施例1~4及び比較例1~3の各醤油諸味ペーストの平均粒径測定を行った。具体的には、装置への試料投入後に、サンプルローディングにて試料濃度を適正範囲内に調整した後、上述のソフトウェアの超音波処理ボタンを押下して周波数40kHzの超音波を出力40Wにて、3分間印加した。その後、3回の脱泡処理を行った上で、再度サンプルローディング処理を行い、試料濃度が依然として適正範囲であることを確認した後、速やかに流速60%で10秒の測定時間でレーザー回折測定を行い、得られた結果を測定値とした。この結果を表1に示した。
尚、平均粒径(d50)については擾乱前の測定と同様である。
上記(1)で得られた擾乱前の平均粒径をD1(μm)とし、上記(2)で得られた擾乱後の平均粒径をD2(μm)として、(D2-D1)/D1の式により擾乱前後(超音波処理の有無)の平均粒径(d50)の変化率を算出した。この結果を表1に示した。
実施例1~4及び比較例1~3の各醤油諸味ペーストの食味(塩カド)の評価を行った。評価試験は、当該試験前に、検査員全員で標準サンプル評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある官能検査を行った。評価は下記1~5に示す5段階の基準に従った。また、評価は5段階の評点の中から、各検査員が自らの評価と最も近い数字をどれか1つ選択する方式で行った。評価結果の集計は、10名のスコアの算術平均値として算出し、小数点以下を四捨五入した。この結果を表1に示した。
4:微細化前の醤油諸味に比べ尖った塩味の刺激をほとんど感じず、塩カドが弱い。
3:微細化前の醤油諸味に比べ尖った塩味の刺激をあまり感じず、塩カドがやや弱い。
2:微細化前の醤油諸味に比べ尖った塩味の刺激はやや弱いものの感じられ、塩カドを認める。
1:微細化前の醤油諸味と同等の尖った塩味の刺激を強く感じ、塩カドを認める。
(B)濃度がわずかに異なる5種類の食塩水溶液、酢酸水溶液の濃度差を正確に識別する濃度差識別試験。
(C)メーカーA社醤油2つにメーカーB社醤油1つの計3つのサンプルからB社醤油を正確に識別する3点識別試験。
実施例1~4及び比較例1~3の各醤油諸味ペーストの凝集性に関する評価を行った。評価試験は、下記の「つゆ」を調製し、このつゆを、直径9cmのカップに移し、蓋をして、室温(約20℃)で静置した。その後、3日間経過後に、カップ内容物を観察し、その凝集状態を観察した。更に、このうち、比較例1の醤油諸味ペースト、比較例2の醤油諸味ペースト、実施例1の醤油諸味ペーストの各々用いたつゆの凝集状態を比較したデジタル画像を図1に示した。
つゆ:水200g、醤油100g、みりん100g、砂糖5g、だし粉3g、醤油諸味ペースト4gを混合して「つゆ」を調製した。
4:微細化前の醤油諸味と比べ凝集塊を認めるもののほとんどないといえる。
3:微細化前の醤油諸味と比べ凝集塊を認めるものの少なく許容範囲である。
2:微細化前の醤油諸味と比べ凝集塊を認めるものの凝集塊が小さい。
1:微細化前の醤油諸味と比べ大きい凝集塊を認める。
比較例1の醤油諸味ペースト、比較例2の醤油諸味ペースト、実施例1の醤油諸味ペーストの各々を、直径9cmのカップに移し、蓋をして、室温(約20℃)で静置した。その後、1週間経過後に、カップ内容物の表面状態を観察した。また、比較したデジタル画像を図2に示した。
表1に示す通り、比較例1~3の醤油諸味ペーストでは、擾乱前の平均粒径がいずれも60μmを超えていた。また、比較例1の醤油諸味ペーストでは、擾乱後の平均粒径も60μmを超えていた。また、比較例1~3の醤油諸味ペーストでは、擾乱前の平均粒径に対して、擾乱後の平均粒径がいずれも小さくなっており、その変化率は-25.7%~-52.0%と大きかった。
これに対して、実施例1~4の醤油諸味ペーストでは、擾乱前後の両方において平均粒径がいずれも60μm以下であった。また、擾乱前の平均粒径に対して、擾乱後の平均粒径の変化率が極めて小さく-10.4%~+6.16%であった。尚、以上の結果から、平均粒径の下限としては、特に制限されるものではないものと思われたが、微細化処理時間対微細化度の作業効率の観点から、1μm以上であれば好ましいと思われた。
更に、塩カド低減効果は、比較例1~3では、ほとんど認められなかったのに対し、実施例1~4では優れた塩カド低減効果が認められた。
尚、凝集の評価と同様に、凝集が抑制された試験例では、舌触りもよいものであることが確認された。
更に、図2に示す通り、内容物の表面の凹凸が大きく変化しており、数mm大の粒状物が観察されることが分かる。また、固液分離も認められた。これに対し、実施例1による内容物は、表面が滑らで、大きな凹凸が観察されず、固液分離が認められなかった。即ち、凝集進行が長期にわたって維持され、品質を保持できていることが分かった。
(1)調味料の調製
比較例1の醤油諸味ペースト、比較例2の醤油諸味ペースト、実施例1の醤油諸味ペーストの各々を利用して、下記に示す4種類の調味料を調合した。また、いずれの醤油諸味ペーストをも添加しない対照品を調製した。
水200g、醤油100g、みりん100g、砂糖5g、だし粉3g及び醤油諸味ペースト4gを混合して麺つゆを得た。
サラダ油200g、醤油200g、穀物酢(酸度4.2%)200g及び醤油諸味ペースト4gを混合して醤油ドレッシングを得た。
水57g、醤油10g、醸造酢(酸度15%)10g、砂糖10g、すりごま5g、食塩4g、ねりごま2g、ゆず果汁1g及び醤油諸味ペースト1gを混合してごまポン酢を得た。
水44g、サラダ油10g、砂糖10g、すりごま10g、ねりごま10g、醤油5g、醸造酢(酸度15%)4g、食塩3g、卵黄1g、いりごま1g、澱粉1g及び醤油諸味ペースト1gを混合してごまだれを得た。
前述の醤油諸味ペーストに関する「食味(塩カド)の評価」及び「凝集の評価(1)」と同様にこれらの評価を行った。加えて、同様に下記基準に従って「調味料による風味の増強」の評価を行った(評価結果の集計についても同様である)。この結果を表2に示す。
4:対照品と比較して調味料の醤油以外の風味がやや強く増強されている。
3:対照品と比較して調味料の醤油以外の風味がわずかに増強されている。
2:対照品と比較して調味料の醤油以外の風味がほとんど増強されていない。
1:対照品と比較して調味料の醤油以外の風味が増強されていない。
表2の結果から、表1の結果と同様に、醤油諸味ペーストによる塩カド低減効果、及び、凝集抑制効果は、調製した調味料において継続されていることが分かる。即ち、塩カド低減効果は、調味料においても、比較例1~2では、ほとんど認められなかったのに対し、実施例1では優れた塩カド低減効果が認められた。また、凝集抑制効果は、調味料においても、比較例1~2では、ほとんど認められなかったのに対し、実施例1では優れた凝集抑制効果が認められた。
Claims (14)
- 擾乱前に測定される平均粒径(d50)をD 1 (μm)とした場合に前記D 1 が10μm以上60μm以下であり、且つ、擾乱後に測定される平均粒径(d50)をD 2 (μm)とした場合に前記D 2 も10μm以上60μm以下であり、更に、|(D 2 -D 1 )/D 1 |が0.2以下であることを特徴とする醤油諸味ペースト。
- 液媒を添加した醤油諸味から得られる醤油諸味ペーストであって、
擾乱前に測定される平均粒径(d50)をD1(μm)とした場合に前記D 1 が10μm以上60μm以下であり、且つ、擾乱後に測定される平均粒径(d50)をD2(μm)とした場合に前記D 2 も10μm以上60μm以下であり、更に、|(D2-D1)/D1|が0.2以下であることを特徴とする醤油諸味ペースト。 - 調味料である請求項1又は2に記載の醤油諸味ペースト。
- 請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の醤油諸味ペーストが配合されていることを特徴とする飲食品。
- 請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の醤油諸味ペーストの製造方法であって、
醤油諸味をペースト状に微細化する微細化工程を備えることを特徴とする醤油諸味ペーストの製造方法。 - 前記醤油諸味に液媒を添加する工程を含む請求項5に記載の醤油諸味ペーストの製造方法。
- 前記微細化工程が、媒体攪拌ミルを用いて前記醤油諸味をペースト状に微細化する媒体攪拌ミル処理工程を含む請求項5又は6に記載の醤油諸味ペーストの製造方法。
- 前記媒体攪拌ミルが、ビーズミルである請求項7に記載の醤油諸味ペーストの製造方法。
- 前記媒体攪拌ミルが、1種類である請求項7又は8に記載の醤油諸味ペーストの製造方法。
- 前記微細化工程は、媒体攪拌ミル処理工程前に、前記醤油諸味を粗砕する粗砕工程を含む請求項7乃至9のうちのいずれかに記載の醤油諸味ペーストの製造方法。
- 前記醤油諸味が、分級されていない醤油諸味である請求項5乃至10のうちのいずれかに記載の醤油諸味ペーストの製造方法。
- 醤油諸味に液媒を加える工程と、前記工程により得られた液媒追加醤油諸味をペースト状に微細化する微細化工程とを備える製造方法により得られる醤油諸味ペースであって、
擾乱前に測定される平均粒径(d50)をD 1 (μm)とした場合に前記D 1 が10μm以上60μm以下であり、且つ、擾乱後に測定される平均粒径(d50)をD 2 (μm)とした場合に前記D 2 も10μm以上60μm以下であり、更に、|(D 2 -D 1 )/D 1 |が0.2以下であることを特徴とする醤油諸味ペースト。 - 前記微細化工程が、1種類の媒体攪拌ミルを用いて前記醤油諸味をペースト状に微細化する媒体撹拌ミル処理工程である請求項12に記載の醤油諸味ペースト。
- 醤油諸味ペーストの塩カド抑制方法であって、
擾乱前に測定される平均粒径(d50)をD 1 (μm)とした場合に前記D 1 を10μm以上60μm以下とし、且つ、擾乱後に測定される平均粒径(d50)をD 2 (μm)とした場合に前記D 2 も10μm以上60μm以下とし、更に、|(D 2 -D 1 )/D 1 |が0.2以下とすることを特徴とする醤油諸味ペーストの塩カド抑制方法。
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