JP7265901B2 - 二重構造容器及びその製造方法 - Google Patents
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Description
従って、上記のような二重構造容器では、後加工により、空気導入口を形成する必要があり、生産性が低いという問題がある。
本発明の他の目的は、打栓嵌合によりキャップを装着するのに適した形態の二重構造容器を提供することにある。
前記外筒容器は、外筒首部と、該外筒首部に連なり且つ延伸成形された肩部および該肩部に連なる胴部とを有しており、
前記内袋容器は、内袋首部と、該内袋首部に連なり且つ延伸成形された袋状部とを有しており、該内袋容器が前記外筒容器に収容されている状態において、該内袋首部の外面が、前記外筒首部の内面に打栓嵌合されているとともに、
前記外筒首部の外面には、キャップを係合保持するためのアンダーカットが形成されており、且つ該アンダーカットの一部が切り欠かれて空気路形成用スリットが形成されており、さらに、前記外筒首部の内面の上端部は、該二重構造容器に装着するキャップに設けられている空気弁が接触する接触面となっており、これにより、前記内袋容器の袋状部の外面と外筒容器の胴部内面との間の空間に空気を導入し、及び該空間から空気を排出するための空気路が、前記外筒首部の内面、該外筒首部の上端面および該外筒首部の外面に沿って形成されることを特徴とする二重構造容器が提供される。
(1)前記外筒首部の内面には、その上端から前記内袋首部外面との嵌合部との間の領域に容器軸方向に延びている打栓案内用溝が周方向に間隔を置いて配列されていること。
(2)前記外筒容器の肩部内面には、複数の凹部が分布しており、前記内袋容器の袋状部の外面には、該凹部に対応する形状の凸部が、該外容器の肩部の凹部に対して、容器軸方向に間隔を置いて複数形成されていること。
(3)前記外筒容器の肩部内面に形成されている前記凹部は、線状の形態で該肩部を外筒容器軸方向に延びており、前記内袋容器の袋状部の外面に形成されている凸部は、該凹部に対応して線状に延びていること。
(4)前記線状の形態を有する凹部は、0.1~1.0mmの深さを有していること。
(5)前記線状の形態を有する凹部は、該外筒容器の側断面でみて、変曲点を跨ぐようにして形成されていること。
(6)前記線状の形態を有する凹部は、一定間隔で規則的に配列されていること。
(7)前記線状の形態を有する凹部は、該凹部を含む肩部内面の周長の5%以下の長さのピッチで形成されていること。
(8)前記外筒首部の内面上端部の空気弁と接触する面が、内方に向かって傾斜している傾斜面であること。
前記外筒プリフォームは、全体として試験管形状を有しており、非延伸部である外筒首部と、該外筒首部に連なっており且つ延伸成形部である管状部とからなり、該外筒首部の外面上端部には、キャップ係合用アンダーカットが設けられており、且つ該アンダーカットの一部が切り欠かれて空気路形成用スリットが形成されていると共に、該外筒首部の内面には、キャップの空気弁接触面が形成されており、
前記内筒プリフォームは、全体として試験管形状を有しており、非延伸部である内袋首部と、該内袋首部に連なっており且つ延伸成形部である管状部とからなり、該内袋首部の上端には、外方に延びている小フランジが形成されており、且つ該内袋首部の外面には、前記小フランジよりも大径の嵌合固定用リング状突起が設けられており、該リング状突起には、空気流路形成用の切欠きが形成されており、
前記スタックプリフォームにおける内袋プリフォームの内袋首部は、前記小フランジが、前記外筒首部の上端面よりも上方に突出している状態に保持されており、この状態で延伸ブロー成形を行い、延伸ブロー成形後に前記内袋首部を外筒首部内に押し込むことを特徴とする二重構造容器の製造方法が提供される。
(9)前記外筒首部の内面には、前記内袋プリフォームのリング状突起の降下を制限する段差が形成されており、延伸ブロー成形後に、該リング状突起が該段差に当接するまで、該内袋首部が押し込まれること、
(10)前記外筒首部の内面には、前記段差と前記空気弁接触面との間の領域に、容器軸方向に延びている打栓案内用溝が周方向に間隔を置いて配列されていること、
が好適である。
この二重構造容器の概略構造を示す図1を参照して、全体として1で示す二重構造容器は、ボトル形状の外筒容器3と、醤油等の内容液が収容される内袋容器5とからなり、図1から理解されるように、外筒容器3の内部に、内袋容器5が挿入されて保持されている。
また、内袋容器5は、首部(内袋首部)21と、この内袋首部21に連なり膨らんだ形態の袋状部23とからなっている。
また、内容液が排出されると、内容液が排出された分だけ袋状部23の容積が減り、一方、外筒容器3の胴部15は凹んだ状態から復帰するため、作用空間Z内は負圧の状態となる。従って、内容液の排出後には、作用空間Z内に空気を導入し、作用空間Z内を常圧に戻す必要がある。負圧のままのときは、胴部15の原形復帰がスムーズに行われないばかりか、次に、胴部15を押圧して内容液の排出を行う場合、胴部15を大きく凹ませなければならず、内容液の排出を効果的に行うことが困難となってしまうからである。
このようなリング状突起43には切欠き43aが形成されており、前述した作用空間Zと、外筒首部11と内袋首部21との間の空間が連通するように構成されている。これにより、作用空間Zから外部にかけての空気路Xを形成することができる。
図2において、このキャップ100の概略構造が示されているが、内袋容器5内に収容されている内容物の排出は許容するが、内袋容器5内への空気の流入を阻止する逆止弁は省略されており、また、このキャップ100に設けられている上蓋が省略されている。かかるキャップ100は、外筒容器3の首部11に装着されるものであり、省略されている逆止弁とは別に、空気弁Aが設けられており、そのキャップ100の筒状側壁の外面には、前述した外筒首部11に形成されているアンダーカット31と係合する周状突起Bが形成されており、筒状側壁101に連なり且つ水平方向に延びている頂板部には、筒状側壁とは間隔をおいて下方に延びているインナーリングCが設けられている。図2から理解されるように、上記の空気弁Aは、キャップ軸方向下方に延びている環状フラップ片であり、内外に揺動可能となっており、上記の筒状側壁とインナーリングCとの間の位置において、頂板部から下方に延びており、その下端は外筒首部11の内面上端に形成されている傾斜面33に当接している。
例えば、スクイズ停止後に作用空間Z内に空気が流入しないときには、袋状部23が収縮しているため、内容液を排出するためには、胴部15を強く押圧して大きく凹ませることが必要となってしまい、最終的には、内容液の排出を行うことができなくなってしまう。本発明の二重構造容器1では、このような不都合が、空気弁Aと当接する傾斜面33の形成により、有効に解決されている。
但し、環境温度変化(温度上昇)により、作用空間Z内の圧力が上昇したときのガス抜きを効果的に行うことができるという点で、空気弁接触面は、図2に示されているように、傾斜面33とすることが好適である。即ち、空気弁接触面がストレートな直胴面であると、このような温度上昇により内圧が上昇した時、空気弁Aが該直胴面に接触するため、作用空間Zからのガス抜きは行われない。このため、キャップ100の上蓋を開けたとき、内容液が一気に排出されてしまうことがある。しかしながら、空気弁接触面を傾斜面33としておけば、例えば、空気弁A(環状のフラップ片)の外面(傾斜面33と当接する側の面)に、高さ方向に延びている線状溝を少なくとも1本形成しておくことにより、ガス抜きを有効に行うことができ、上蓋を開けたときの内容液の排出を有効に防止することができる。環境温度の変化程度の内圧上昇では、空気弁Aの外方の撓みが小さいため、空気弁Aに形成されている溝を通してガス抜きが行われるためである。勿論、スクイズ時には、作用空間Zの内圧が大きく上昇し、空気弁Aが大きく外方に撓むため、このような溝を通しての空気の排出は生じることが無い。
尚、図7では、線状溝45と突条47とが離れた状態で示されており、両者の間には空隙CLが存在しているが、ブロー成形直後では、これらは密着して噛み合った状態となっており、空隙CLは存在していない。
即ち、内袋容器5の袋状部23は、延伸によって薄肉化されて変形自在となっている部分であるため、内容液を充填すると、内容液の重量によって形態が多少変化するが外筒容器3の肩部13や胴部15は、形態変化は生じない。このため、上記の凹部(線状溝45)との間に位置ずれを生じる。このため、両者の間に空隙CLが生じ易くなる。例えば、外筒容器3の胴部15をスクイズしたときに、容易に空隙CLが生じる。また、内容液の排出に際して、内袋首部21の下方部分に内容液が集中した場合においても、この凸部(突条47)が再び凹部(線状溝45)内に入り込んで密着して空隙CLが閉じられてしまうという不都合も有効に防止することができる。
尚、上述した線状溝45を形成する場合には、ブロー型の成形面に凹部を形成し、外筒容器3の肩部外面に、線状溝45に対応する凸部45a(図6参照)が形成されるため、線状溝45の深さd、ピッチP或いは線状溝45の位置等は、ブロー型に形成する凹部により調整される。
このようなプリフォームの形態の一例を図8に示した。
また、管状部53は、延伸成形される部分であり、ブロー成形されることにより、前述した外筒容器3の肩部13、胴部15及び底部17となる部分が賦形される。
尚、図では、小フランジ41に形成されている切欠き41a及びリング状突起43に形成されている切欠き43aは、作図上、何れも省略されている。
即ち、このスタックプリフォーム71を所定の延伸成形温度に加熱してブロー成形型内に配置し、圧縮エア等のブロー流体をスタックプリフォーム71内(内袋プリフォーム61内)に吹き込むことにより、ブロー成形が行われる。これにより、内袋プリフォーム61の管状部63は、外筒プリフォーム51の管状部53を膨張により押し広げながら延伸され、この結果、外筒プリフォーム51の管状部53は、成形型の形態に応じて、肩部13、胴部15及び底部17の形態に賦形される。一方、内袋プリフォーム61の管状部63は、この外筒容器3の肩部13、胴部15及び底部17の内面に密着した袋状部23の形態に賦形されることとなる。即ち、ブロー成形型に所定形状の凹部を形成しておくことにより、前述した線状溝45が外筒容器3の肩部13の内面に形成され、同時に、この線状溝45に噛み合うようにして袋状部23の外面に突条47が形成されることとなる。
また、このような打栓により内袋首部21を押し込むことにより、この内袋首部21の下端は、袋状部23の上端部分に押し込まれ、これにより、袋状部23の上端が下方に撓み、外筒容器3の肩部13の内面との間に空隙CLが形成される。この袋状部23は、延伸により変形自在に薄肉化されているからである。このような状態で内容液を内袋容器3の内部に充填すると、充填された内容液の重量により、袋状部23は大きく下方に撓み、この肩部13の内面と袋状部23に形成された空隙CLが大きく広がり、これにより、初期状態で内容液を排出する際にも、袋状部23と外筒容器3の胴部15との間に速やかに作用空間Zを形成することができる。
尚、この二重構造容器1に装着されるキャップとしては、原理的には、螺子係合により外筒首部11に装着される所謂螺子キャップを使用することもできる。この場合には、外筒首部11の外面に、キャップ係合用螺条を設け、この螺条に、空気路Xを確保するためのスリットが形成されることとなる。
また、特に限定されるものではないが、この筒状側壁121には、上方から下方に延びているスリット127が形成されており、これにより二重壁構造となっている。このような二重壁構造により、使用済のキャップ100を、格別の器具を用いずに、二重構造容器1から容易に引き剥がすことが可能となっており、分別廃棄性が高められている。
この案内筒145は、筒状側壁121内の中空空間と連通しており、内袋容器5から排出される内容液の注出路となる。
この上蓋123は、天板部151と天板部151の外周縁に連なるスカート部153とから構成されている。
このポール161は、上蓋123を閉じたとき、中栓保持用リング137内に収容されている中栓111に保持されている逆止弁113を押圧賦勢するための部材である。従って、上蓋123を閉じたとき、このポール161は、内容液注出用案内筒145内に侵入し、逆止弁113に当接することとなる。従って、案内筒145の上端は、ヒンジバンド147側の背が低く形成されている。また、ポール161は、付け根部側が比較的大径に形成され、先端部側が小径に形成された形態を有しており、これに伴い、案内筒145の内面の上方部分には、内方に突出した内方突起145aが設けられている。即ち、上蓋123を閉じたとき、案内筒145内に侵入したポール161は、大径の付け根部側が内方突起145aとの嵌合によりしっかりと固定され、ポール161の小径の先端部側が位置決めされ、一定位置で逆止弁113に当接し、逆止弁113を賦勢するように構成されている。
3:外筒容器
5:内袋容器
11:外筒首部
13:肩部
15:胴部
21:内袋首部
23:袋状部
31:アンダーカット
33:傾斜面
35:段差
43:嵌合固定用リング状突起
45:線状溝(凹部)
47:突条(凸部)
100:キャップ
X:空気路
Z:作用空間
A:キャップの空気弁
Claims (12)
- 外筒容器と外筒容器の内部に収容された内袋容器とから成る二重構造容器において、
前記外筒容器は、外筒首部と、該外筒首部に連なり且つ延伸成形された肩部および該肩部に連なる胴部とを有しており、
前記内袋容器は、内袋首部と、該内袋首部に連なり且つ延伸成形された袋状部とを有しており、該内袋容器が前記外筒容器に収容されている状態において、該内袋首部の外面が、前記外筒首部の内面に打栓嵌合されているとともに、
前記外筒首部の外面には、キャップを係合保持するためのアンダーカットが形成されており、且つ該アンダーカットの一部が切り欠かれて空気路形成用スリットが形成されており、さらに、前記外筒首部の内面の上端部は、該二重構造容器に装着するキャップに設けられている空気弁が接触する接触面となっており、これにより、前記内袋容器の袋状部の外面と外筒容器の胴部内面との間の空間に空気を導入し、及び該空間から空気を排出するための空気路が、前記外筒首部の内面、該外筒首部の上端面および該外筒首部の外面に沿って形成されることを特徴とする二重構造容器。 - 前記外筒首部の内面には、その上端から前記内袋首部外面との嵌合部との間の領域に容器軸方向に延びている打栓案内用溝が周方向に間隔を置いて配列されている請求項1に記載の二重構造容器。
- 前記外筒容器の肩部内面には、複数の凹部が分布しており、前記内袋容器の袋状部の外面には、該凹部に対応する形状の凸部が、該外筒容器の肩部の凹部に対応して複数形成されている請求項1または2に記載の二重構造容器。
- 前記外筒容器の肩部内面に形成されている前記凹部は、線状の形態で該肩部を外筒容器軸方向に延びており、前記内袋容器の袋状部の外面に形成されている凸部は、該凹部に対応して、線状に延びている請求項3に記載の二重構造容器。
- 前記線状の形態を有する凹部は、0.1~1.0mmの深さを有している請求項4に記載の二重構造容器。
- 前記線状の形態を有する凹部は、該外筒容器の側断面でみて、変曲点を跨ぐようにして形成されている請求項4または5に記載の二重構造容器。
- 前記線状の形態を有する凹部は、一定間隔で規則的に配列されている請求項4~6の何れかに記載の二重構造容器。
- 前記線状の形態を有する凹部は、該凹部を含む肩部内面の周長の5%以下の長さのピッチで形成されている請求項7に記載の二重構造容器。
- 前記外筒首部の内面上端部の空気弁と接触する面が、内方に向かって傾斜している傾斜面である請求項1~7の何れかに記載の二重構造容器。
- 外筒容器を成形するための外筒プリフォームと、内袋容器を成形するための内袋プリフォームとから構成され、該外筒プリフォーム内に該内袋プリフォームが挿入されているスタックプリフォームを用いて延伸ブロー成形を行うことにより二重構造容器を製造する方法において、
前記外筒プリフォームは、全体として試験管形状を有しており、非延伸部である外筒首部と、該外筒首部に連なっており且つ延伸成形部である管状部とからなり、該外筒首部の外面上端部には、キャップ係合用アンダーカットが設けられており、且つ該アンダーカットの一部が切り欠かれて空気路形成用スリットが形成されていると共に、該外筒首部の内面には、キャップの空気弁接触面が形成されており、
前記内筒プリフォームは、全体として試験管形状を有しており、非延伸部である内袋首部と、該内袋首部に連なっており且つ延伸成形部である管状部とからなり、該内袋首部の上端には、外方に延びている小フランジが形成されており、且つ該内袋首部の外面には、前記小フランジよりも大径の嵌合固定用リング状突起が設けられており、該リング状突起には、空気流路形成用の切欠きが形成されており、
前記スタックプリフォームにおける内袋プリフォームの内袋首部は、前記小フランジが、前記外筒首部の上端面よりも上方に突出している状態に保持されており、この状態で延伸ブロー成形を行い、延伸ブロー成形後に前記内袋首部を外筒首部内に押し込むことを特徴とする二重構造容器の製造方法。 - 前記外筒首部の内面には、前記内袋プリフォームのリング状突起の降下を制限する段差が形成されており、延伸ブロー成形後に、該リング状突起が該段差に当接するまで、該内袋首部が押し込まれる請求項10に記載の二重構造容器の製造方法。
- 前記外筒首部の内面には、前記段差と前記空気弁接触面との間の領域に、容器軸方向に延びている打栓案内用溝が周方向に間隔を置いて配列されている請求項11に記載の二重構造容器の製造方法。
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