JP2022151145A - 容器蓋付き二重構造容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気の導入を制御する逆止弁を備えた容器蓋が装着されている容器蓋付二重構造容器を提供する。【解決手段】外筒容器3と内容物が収容される内袋容器5とを有している二重構造容器1と装着された容器蓋とからなる。内袋容器5は、筒状口部21と筒状口部21に連なり、延伸により薄肉化されて内容物排出による減容によって収縮変形可能な袋状胴部23とを有し、内袋容器5の筒状口部21外面は、外筒容器3のノズル11内面に篏合する固定用リング30を備えている。固定用リング30により、固定用リング30外面とノズル11内面との間に篏合部が形成され、内袋容器5の筒状口部21外面と外筒容器3のノズル11内面との間には、篏合部を軸方向に貫通する空気路Xが形成されており、容器蓋は、空気路を通しての空気の出し入れを規制する逆止弁を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、外筒容器と、該外筒容器内に挿入されて保持された内袋容器とからなる二重構造容器に関するものであり、より詳細には、かかる二重構造容器に、逆止弁を備えた容器蓋が装着されている容器蓋付き二重構造容器に関する。
従来、内袋容器と外筒容器とからなる二重構造を有している二重構造容器は、例えばエアレスボトルと呼ばれ、醤油等の調味液が収容される容器として実用されている(例えば特許文献1、2参照)。かかるエアレスボトルは、逆止弁付のキャップと組み合わせて使用されるものであり、外筒容器であるボトルの胴部壁を外部からスクイズして凹ませることにより、内袋容器に充填されている内容液がキャップに形成されている注出路から排出され、ボトルの胴部壁の押圧を停止することにより内容液の排出を終了させると、逆止弁の作用により、空気は内袋容器内には導入されず、キャップの注出路とは異なる流路を通って、内袋容器と外筒容器との間の空間に導入されることとなる。これにより、内袋容器は、内容液が排出された分だけ収縮することとなり、内容液を排出する毎に、内袋容器が収縮していく。このような方法により内容液が排出されるエアレスボトルでは、内容液を小出しできると共に、内容液が充填されている内袋容器への空気の侵入が有効に防止されるため、内容液の酸化劣化を有効に回避でき、内容液の鮮度を長期間にわたって保持できるという利点がある。
従って、二重構造容器(エアレスボトル)では、上記のような空気の流通を確保するために、一般に、外筒容器の首部内面と内袋容器の口部内面との間に空隙が形成され、さらに、外筒容器の首部に装着されるキャップの筒状側壁(スカート部)には、その内面に、上下に揺動する弁体が設けられ、この弁体により、上記導入口を通して空気の流通が制御されるように構成される(例えば、特許文献2参照)。
ところで、エアレスボトルのような二重構造容器の製造方法として、スタックプリフォーム法と呼ばれる方法が知られている(例えば特許文献3参照)。この方法は、射出成形等により、一旦、試験管形状の外筒容器用プリフォームと内袋容器用プリフォームとを成形しておき、外筒容器用プリフォームの内部に内袋容器用プリフォームが挿入されたスタックプリフォームを用いて、延伸ブロー成形を行うという方法である。この方法では、このスタックプリフォームをブロー型内に配置し、延伸成形温度(ガラス転移点以上融点未満)に加熱し、この状態でブロー流体を内袋容器用プリフォーム内に吹き込んでブロー成形が行われる。即ち、ブロー流体の吹き込みによって、内袋容器用プリフォームが膨張し、これに伴い、外筒容器用プリフォームが押し広げられてボトル状の外筒容器の形態に賦形され、内袋容器用プリフォームは、外筒容器の内面に密着した袋の形態に賦形されることとなる。このような方法は、容器用プリフォーム(外筒容器用プリフォーム及び内袋容器用プリフォーム)の量産が可能であり、生産性が高く、また、容器重量や内容積のバラつきも少なく、安定した品質の容器を製造できるという利点があり、特にコストの低減が可能となるという利点がある。
しかしながら、上述した二重構造容器は、スタックプリフォーム法に限らず、内袋容器の外面が外筒容器の内面に密着した形態で成形されるため、どのようにして、内袋容器の外面と外筒容器の内面との間に空気が導入されるようにするかという基本的な問題がある。
特開平6-39906号公報 特開2018-2198号公報 特開2016-210181号公報
従って、本発明の目的は、内袋容器の外面と外筒容器との間の空間に空気の導入を行う空隙が形成され、速やかに空気の導入を行うことが可能な構造を有しており、このような空気の導入を制御する逆止弁を備えた容器蓋が装着されている容器蓋付二重構造容器を提供することにある。
本発明によれば、外筒容器と、該外筒容器内に収容され且つ内容物が収容される内袋容器とを有している二重構造容器と、該二重構造容器に装着された容器蓋とからなり、
前記外筒容器は、ノズルと、該ノズルに連なる肩部、胴部及び底部を含む延伸成形部とから形成されており、
前記内袋容器は、固定した形状を有する筒状口部と、該筒状口部に連なり且つ延伸により薄肉化され且つ内容物排出による減容によって収縮変形可能な袋状胴部とを有していると共に、
前記内袋容器の筒状口部外面は、前記外筒容器のノズル内面に篏合する固定用リングを備えており、該固定用リングにより、該固定用リング外面と該ノズル内面との間に篏合部が形成されていると共に、
前記内袋容器の筒状口部外面と前記外筒容器のノズル内面との間には、前記篏合部を軸方向に貫通する空気路が形成されており、
前記容器蓋は、前記空気路を通しての空気の出し入れを規制する逆止弁を備えていること、
を特徴とする容器蓋付き二重構造容器が提供される。
本発明の容器蓋付き二重構造容器においては、
(1)前記容器蓋は、篏合により装着されていること、
(2)前記容器蓋は、前記内袋容器の筒状口部を覆うように前記外筒容器のノズルに装着されたキャップ本体と、該キャップ本体にヒンジもしくは螺合により開閉自在に設けられている上蓋とからなること、
(3)前記キャップ本体に、内容物の排出路となる開口と、該開口の開け閉めを行う弁体と、前記空気路に連なる中空管と、前記逆止弁とが設けられていること、
という構造を採用することができる。
本発明の容器蓋付き二重構造容器において、この二重構造容器(即ち、エアレス容器)は、外筒容器と外筒容器の内部に収容された内袋容器とから成り、内袋容器内に内容物が収容される。外筒容器内に収容された内袋容器の筒状口部の外面に、外筒容器のノズル(首部)の内面との嵌合固定用の固定用リングが設けられており、この固定用リング外面と外筒容器のノズル内面との間に篏合部が形成されている。このような構造を有する二重構造容器において、内袋容器の筒状口部を閉じるように容器蓋が装着されているのであるが、本発明においては、固定用リング外面と外筒容器のノズル内面との間に形成されている篏合部を、軸方向(容器の高さ方向)に貫通する空気路が形成されている。この空気路を通して、内袋容器の袋状胴部の外面と外筒容器の胴部内面との間に空気が流入することができる。
さらに、前記容器蓋には、上記の空気路を通しての空気の出し入れを規制する逆止弁が設けられている。即ち、容器蓋を開けて内袋容器の筒状口部を開放した状態で外筒容器の胴部を外部から押圧することにより、外筒容器の胴部と共に内袋容器の袋状胴部が凹み、この結果、内容物が排出される。内容物の排出後、外筒容器の胴部の押圧を停止すると、外筒容器の胴部は原形に復帰するが内袋容器の袋状胴部は、凹んだままの状態であり、外筒容器の胴部と内袋容器の袋状胴部との間が負圧となる。この結果、両者の間には、容器蓋の逆止弁を通して、篏合部を軸方向に貫通している空気路から空気が流入することとなる。これにより、袋状容器は、内容物が排出されて減容した分だけ収取した形状に維持される。一方、次に内容物を排出するとき、外容器の胴部を押圧して凹ますと、外筒容器の胴部と内袋容器の袋状胴部との間に空気層が存在しているが、容器蓋に設けられている逆止弁の作用により、この空気は外部に排出されない。即ち、空気層が存在しているまま外容器の胴部が凹むため、この凹みに応じて内袋容器の袋状胴部が凹み、内容物が速やかに排出されることになる。このとき、外筒容器の凹みにより空気層の空気が排出されてしまうと、内容物の排出に伴う減容が大きくなるに連れ、外筒容器の胴部を大きく凹ませないと内容物が排出されなくなってしまう。本発明では、容器蓋の逆止弁が設けられているため、このときの空気の排出が有効に防止されているため、内容物の排出に伴う減容が大きくなっても速やかに内容物の排出を行うことができる。
本発明における二重構造容器の基本構造を示す縦断面図。 図1の二重構造容器の要部を示す部分拡大断面図。 本発明の二重構造容器の製造に用いるスタックプリフォームの側断面図。 図1の二重構造容器に装着される容器蓋(キャップ)の一例を示す側断面図であり、上蓋が閉じられている状態を示す。 図4における上蓋が開放されている状態を示す側断面図。 図1の容器蓋に使用されている中栓の底面図。 図6の中栓に保持された弁体の側面図。 図7の弁体の底面図。 図1の二重構造容器に装着される容器蓋(キャップ)の他の例を示す側断面図であり、上蓋が閉じられている状態を示す。 図9の容器蓋(キャップ)における中空管及び栓体(逆止弁)の機能を説明するための部分拡大図((a)~(c))。
<二重構造容器(エアレス容器)の基本構造>
先ず、本発明の蓋付き二重構造容器を構成する二重構造容器の基本構造について、説明しておく。
この二重構造容器(以下、単にエアレス容器と呼ぶことがある)の基本構造を示す図1及び要部を拡大して示す部分拡大図2を参照して、全体として1で示すエアレス容器は、ボトル形状の外筒容器3と、醤油等の内容物が収容される内袋容器5とからなっている。
外筒容器3は、ノズル11、該ノズル11に連なる肩部13、胴部15及び底部17とから構成されている。この外筒容器3のノズル(首部)11は延伸成形されていない剛性部分であり、このノズル11に連なる肩部13、胴部15及び底部17が延伸成形部となっている。このような外筒容器3の胴部15は、弾性変形性を有するものであり、この胴部15を押圧することにより該胴部15は凹み、押圧を停止すると、凹んだ胴部15は原形に復帰する。このような押圧による凹み及び押圧停止による弾性復帰がスムーズに行われるように、一般に、胴部15の中央部分は、図1に示されているように、凹んだスクイズ領域となっている。
また、内袋容器5は、筒状口部21と、筒状口部21に連なる薄肉の袋状胴部23とからなっている。筒状口部21は、厚肉であり、固定した形状を有しており(即ち、この部分は延伸されない部分であり、容易に変形しないような剛性を有している)、袋状胴部23には、内容物が充填され、内容物の排出に伴う減容により収縮変形する。
外筒容器3のノズル11は、上端が開放されている円筒形状を有するものであり、これには後述する逆止弁機能を有するキャップ(図1では示されていない)が打栓により装着される。このノズル11の上端には、拡径した頭部11aが形成されており、これにより、打栓篏合された逆止弁付き容器蓋(以下、単にキャップと呼ぶ)キャップが安定に保持されるようになっている。また、ノズル11の下方部分には、サポートリング11bが形成されており、治具を用いてのエアレス容器1(或いはプリフォーム)の移送等が容易に行い得るようになっている。
尚、キャップの装着は、打栓によらず、ノズル11の外面に螺子を設け、螺子装着により行うことも可能である。
上述したノズル11は、非延伸成形部であり、その下方部分がブロー成形により延伸される部分であり、このノズル11の下端に連なって拡径した肩部13が形成され、この肩部13には胴部15が連なり、胴部15は底部17によって閉じられた形態となっている。
内袋容器5は、図1から理解されるように、外筒容器3内に収容されており、その筒状口部21(即ち、延伸成形されない部分)は、外筒容器3のノズル11の内面との間に間隙が形成されるように、該ノズル11内を延びているが、この筒状口部21の外面に、固定用リング30が形成されており、この固定用リング30の外周面が外筒容器3のノズル11の内面に密接し、篏合部α(図2参照)が形成されており、これにより、外筒容器3内に収容された内袋容器5は、ガタつくことなく、外筒容器3内に安定に保持されている。
本発明においては、上記篏合部αの一部の部分に空気が通過する流路が形成されるように、空隙が形成されている。即ち、このような空隙の形成により、軸方向に貫通している空気路Xが形成されており、この空気路Xは、エアレス容器1の外部に連なっている。このことから理解されるように、このような空気路Xを通して、この内袋容器5の袋状胴部23と外筒容器3の胴部15との間の空間Zに空気が供給されるようになっている。
例えば図2の部分拡大断面図に示されているように、内袋容器5の筒状口部21の上端には、位置調整や搬送等のために外方に突出したフランジ31が形成されているが、その外径は、外筒容器3のノズル11の上端部の内径よりも小さい。従って、内袋容器5の筒状口部21の内面と外筒容器3のノズル11の内面との間には、外部と通じている空間Yが形成された状態にある。また、フランジ31は、部分的に切り欠いた形状を有しており、ノズル11との間に十分な間隙が形成されるようになっている。
また、外筒容器3のノズル11の内面には、段差11cが形成されている。これにより、この段差11c上に内袋容器5の固定用リング30が載置され、その周面がノズル11の内面に密着して嵌合していることにより、内袋容器5は、外筒容器3の内部にガタツクことなく、安定に保持されている。このような形態において、固定用リング30の外周面とノズル11の内面との嵌合部αの一部には、段差11cを含むように、ノズル11の内面に軸方向に延びている溝11dが設けられている。即ち、このような溝11dを通して、袋状胴部23と外筒容器3の胴部15との間の空間Zと上部の空間Y及びエアレス容器1の外部空間とをつなぐ空気路Xが形成されることとなる。
なお、ノズル11の内面に溝11dを形成する代わりに、内袋容器5の固定用リング30の外周面の一部に切り欠きを形成することにより、同様の空気路Xを形成することもできる。
また、図2から理解されるように、内袋容器5の筒状口部21の上端と、外筒容器3のノズル11の上端とは、ほぼ同レベルの高さに位置している。これにより、後述する逆止弁付き容器蓋(キャップ)による空気路Xへの空気の流れを容易にコントロールすることができる。さらに、かかる形態の場合、このキャップを打栓嵌合により装着することもできるばかりか、ノズル11の外面に螺条を形成しておくことにより、螺子係合によりキャップを装着する構造を採用することもできる。キャップが回転によりどのような位置で固定されるようになっても、逆止弁による空気路Xへの空気の流れをコントロールすることができるからである。
上述した構造を有するエアレス容器1に、逆止弁付き容器蓋(図1では示されていない)が装着されることにより、袋状胴部23内に収容されている内容物の排出作業を、繰り返しスムーズに行うことが可能となる。
例えば、成形直後では、内袋容器5の袋状胴部23は、外筒容器3の肩部13から胴部15及び底部17の内面に密着した状態に保持されており、この状態で内袋容器5の袋状胴部23内に内容物が充填され、図示されていない逆止弁付き容器蓋が装着されて販売される。このようにして内容物が充填されているエアレス容器1において、この容器蓋の上蓋を開放して内容物を排出可能な状態とし、外筒容器3の胴部15(スクイズ領域)を押圧することにより、内容物を排出して取り出すこととなる。
即ち、外筒容器3の胴部15(スクイズ領域)を押圧して凹ませると、この胴部15の内面に密着している内袋容器5の袋状胴部23も凹んで減容状態となる(図1の鎖線で示す形態)。これによって袋状胴部23内に収容されている内容物が排出される。そして胴部15の押圧を停止すると、胴部15は、その弾性により原形に復帰し、その凹みはなくなる。一方、袋状胴部23は、そのまま、減容による収縮状態が維持され、したがって、袋状胴部23と外筒容器3の胴部15との間の空間Zは負圧となる。
このように、空間Zが負圧となるが、本発明のエアレス容器1では、前述したように、外部に通じる空気路Xが形成されているため、この空間Zに空気が流入し、袋状胴部23と外筒容器3の胴部15との間に空気層が形成されることとなる。従って、次に胴部15を押圧して凹ませるとき、袋状胴部23は、このような空気層を介して押圧されることとなる。
ここで、重要なことは、本発明の容器蓋付きエアレス容器1では、前述した空気路X上に、該容器蓋(この詳細な構造は後述する)に設けられている逆止弁が配置されており、空気路Xを通して外部からの空気の流入は許容されるが、外部への空気の排出は阻止されるということである。即ち、外筒容器3の胴部15を押圧して凹ませ、これによって袋状胴部23を減容させるとき、両者の間には空気層が必ず存在する。このため、内容物が排出され、その排出量に伴って、袋状胴部23が大きく収縮している場合でも、外筒容器3の胴部15を内容物が満杯の状態の場合と同程度に押圧することにより、袋状胴部23を収縮させ、内容物を速やかに排出させることが可能となる。例えば、外筒容器3の胴部15を押圧して凹ませたとき、空間Zから空気が排出されてしまうと、袋状胴部23を収縮させるためには、胴部15を大きく変形させなければならず、したがって、内容物が排出されて大きく減容するほど、内容物の排出が困難となってしまう。本発明では、このような不都合が有効に回避されているわけである。
上記のようなエアレス容器1を構成する外筒容器3及び内袋容器5は、これに限定されるものではないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフラノエート、非晶ポリアリレート、ポリ乳酸等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン-エチレン等のオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂など、ブロー成形可能な熱可塑性樹脂を用いて成形される。また、外筒容器3と内袋容器5とは、異なる樹脂で成形されていてもよいが、一般的には、ブロー成形条件を設定し易いことなどから、同一の樹脂で成形されていることが好ましく、特にエチレンテレフタレート系ポリエステルで成形されていることが最も好適である。
<二重構造容器(エアレス容器)の製造>
上述した構造のエアレス容器1は、スタックプリフォームを用いてのブロー成形により成形される。図3には、このようなスタックプリフォーム(全体として50で示す)の縦断面が示されている。
図3において、このスタックプリフォーム50は、外プリフォーム51と内プリフォーム53とからなっており、全体として試験管形状を有しており、外プリフォーム51内に内プリフォーム53が挿入されている形態を有している。
かかるスタックプリフォーム50において、上部は延伸成形されない非延伸成形部50a(固定部)であり、下方の胴部は延伸成形部50bとなっており、その下端は閉じられている。即ち、外プリフォーム51での非延伸成形部50aは、外筒容器3のノズル11に相当し、内プリフォーム53での非延伸成形部50aは、筒状口部21に相当する。即ち、ブロー成形による変形は生じないため、外筒容器3のノズル11及び内袋容器5の筒状口部21においては、これらプリフォーム51,53の形態がそのまま維持されているわけである。
なお、図3に示されているように、外プリフォーム51及び内プリフォーム53の何れも、非延伸成形部から下方の延伸成形部(胴部)にかけて縮径した形状を有しており、これにより、ブロー成形により、より薄肉化されるようになっている。
このような外プリフォーム51及び内プリフォーム53は、それぞれ、射出成形により成形され、成形後、外プリフォーム51内に内プリフォーム53を挿入して嵌合固定することにより、スタックプリフォーム50として、ブロー成形に供される。
このようなスタックプリフォーム50は、外プリフォーム51及び内プリフォーム53がそれぞれ所定の延伸成形可能な温度(プリフォーム形成樹脂の軟化点以上融点未満の温度)に加熱された後、外筒容器3の延伸成形部に対応するキャビティ空間を有するブロー成形型内にセットされ、ブローノズルによりブロー流体(通常、エア)を内プリフォーム53内に供給され、これによりブロー成形が行われる。この場合、ブローノズルからのブロー流体の吹き込みに先立って、ストレッチロッドを内プリフォーム53に挿入し、一軸方向(縦方向)に延伸しておくこともできる。
これにより、内プリフォーム53が延伸により薄肉化されると同時に、外プリフォーム51は、膨張した内プリフォーム53によって延伸されて薄肉化され、ブロー成形型により冷却され、外筒容器3の形態に賦形される。このとき、内プリフォーム53の延伸成形部50bは、袋状に薄肉化され、外プリフォーム51により成形された外筒容器3の延伸成形部(肩部13、胴部15、底部17)の内面にぴったりと密着した状態に保持されている。即ち、図1に示されているように、外筒容器3のノズル11の下端(延伸成形による拡径開始位置)には、内袋容器5の筒状口部21の下端部分(袋状胴部23の上端部分)が密着した形態となっている。
このようにして成形されたエアレス容器1は、内袋容器5(袋状胴部23)内に醤油等の内容物が充填され、次いで、逆止弁を備えた容器蓋(キャップ)が装着されて容器蓋付きエアレス容器として販売される。
<逆止弁を備えた容器蓋(キャップ)>
上述したエアレス容器1に装着される容器蓋(キャップ)は、一定条件で内容物の排出を可能とする内容物排出路を有するものであるが、このような排出路とは別に、前述したエアレス容器1の空気路Xに連通し、この空気路Xを通しての空気の出し入れをコントロールする逆止弁を備えた空気流路も備えている。
タイプAのキャップ;
図4~図8には、このようなキャップの一例(タイプAのキャップ)が、エアレス容器1の口部の部分(外筒容器3のノズル11及び内袋容器5の筒状口部21)と共に示されている。
図4において、このキャップは、全体として100で示されており、外筒容器5のノズル11に篏合固定されるキャップ本体101と、ヒンジ103によりキャップ本体101に旋回可能に連結された上蓋105と、キャップ本体101の下側に組み込まれた中栓107と、中栓107に挿入されている弁体109とを有している。
キャップ本体101は、筒状側壁111と、筒状側壁111の上端を閉じるようにして形成されている頂壁113とから構成されている。
筒状側壁111の内面側の下方には、アンダーカット115が形成されており、このアンダーカット115がノズル11の頭部11aと係合することにより、このキャップ本体101が、ノズル11にしっかりと篏合固定される。また、この筒状側壁111には、厚み方向に上端から下方に延びている弧状スリット117が設けられており、部分的に二重壁構造が形成されている。このような二重壁構造の形成により、キャップ本体101が撓みやすくなり、打栓に際して、キャップ本体101(筒状側壁111)のアンダーカット115がノズル11の拡径頭部11aを乗り越え、しっかりと嵌合固定することができる。
尚、頂壁113の周縁には厚肉部113aが形成されており、キャップ本体101がノズル11に嵌合固定されたとき、ノズル11の上端が厚肉部113aに密着し、空気路Xから空気が外部に漏洩しないようになっている。さらに、頂壁113の下面には、リング状突起113bが設けられている。このリング状突起113bは、中栓107を保持するための部材であり、その下端は、内方に向かって突出している。さらに、保持リングの近傍に周状の微小突起113cが設けられている。この微小突起113cは、キャップ本体101と中栓107との間のシール性を確保するための部材である。
筒状側壁111の上端を閉じるように形成されている頂壁113の周縁部には、上蓋105の閉栓状態を安定に保持するための周状小突起119が設けられている。
また、この頂壁113の中央部には、案内筒121が立設されており、この内部は、頂壁113の下側に貫通している。即ち、この案内筒121は、内容物を排出する際の排出路となる。即ち、この案内筒121の先端から内容物が排出されるため、その上端は、ラッパ状に広がった形状となっている。また、この案内筒121のヒンジ103側は、上蓋105の旋回の邪魔にならないように、背が低くなっている。また、案内筒121の内部には、径方向内方に突出している周状凸部121aが形成されている。この凸部121aの機能については後述する。
さらに、頂壁113の中心からずれてヒンジ103に近い側には、ストレートな中空管123が設けられている。この中空管123は、頂壁113の下側空間に連通しており、前述したノズル11と筒状口部21との間に形成される空気路Xに連なっている。
一方、ヒンジ103によりキャップ本体101に旋回可能に連結されている上蓋105は、天板125と、天板125の周縁から降下しているスカート127とからなっている。
天板125の内面の中心部には、弁付勢ロッド129が設けられている。この弁付勢ロッド129は、案内筒121内を下方に延びており、その先端が後述する内容物排出路の開け閉めを行う弁体109に当接して付勢するものである。図4から理解されるように、上蓋105を旋回して閉じたときに、このロッド129が速やかに案内筒121内に侵入するように、案内筒121の上端の一方側が低く形成されているわけである。また、このロッド129は、付け根部が太く、先端の方が細くなっており、太い部分が、前述した案内筒121の内面に形成されている周状凸部121aに挟持され、これによりガタツクことなく、しっかりと位置固定されている。
上述した弁付勢ロッド129の周囲には、これを取り囲むように小さな飛散防止用周状突起131が設けられており、この周状突起131で囲まれる領域内には、ロッド129を取り囲むように環状の溝133が二重に形成されている。このような周状突起131及び環状溝133により、案内筒121の内面に付着した内容物が外部に飛散しないような構造となっている。
さらに、上記の周状突起131の外側には、大きな緩衝突起135がリング状に形成されている。この緩衝突起135は、上蓋105を閉じたとき、その先端がキャップ本体101の頂壁113に当接し、上蓋105に外力が加わったときに、その外力を緩和するようになっている。この緩衝突起135は、一部が切り欠かれており(切り欠き部は135aで示されている)、他の部材の機能を阻害せず、また、適度な緩衝力が発現するようになっている。
また、上蓋105のスカート127には、ヒンジ103と反対側の位置にタブ137が形成されており、このタブ137を持って上蓋105の旋回による開け閉めを容易に行い得るようになっている。さらに、スカート127の内面の下端には、周状凹部139が形成されており、上蓋105を閉じたとき、この周状凹部139がキャップ本体101(頂壁113)に設けられている周状小突起119と係合することにより、上蓋105がしっかりと保持されるようになっている。
上述したキャップ100において、中栓107は、キャップ本体101の頂壁113の下面に取り付けられ、この状態で内袋容器5の筒状口部21を閉じるように保持される。このような中栓107には、内容物排出路を規制する弁体109が保持されるようになっており、さらに、空気路Xを通しての空気の出し入れを規制する逆止弁140が、この中栓107に形成されている。
図4,5と共に、図6を参照して、上記の中栓107は、内袋容器5の筒状口部21の栓体として機能するものであり、リング状の基板141と、該基板141の外側から立ち上がっている外側側壁143と、該基板141の内側から立ち上がっている内側側壁145とを備えており、外側側壁143の上端からは、水平方向外方に延びているフランジ147が設けられている。
外側側壁143は、容器蓋100をエアレス容器1に装着したときに内袋容器5の筒状口部21の内面に密着し、シール壁としての機能を有する。このために、図4から理解されるように、この外側側壁は、外方に膨出した形状を有しており、筒状口部21の内面に強固に密着するようになっている。
また、外側側壁143の上端から外方に延びているフランジ147は、この容器蓋100をエアレス容器1に装着したときに内袋容器5の筒状口部21の上端面に密着するものであり、その下面には、凸部147aが設けられている。この凸部147aが筒状口部21の上端面に密着することにより、中栓107の周方向への位置ずれを防止し、その位置を安定に保持することができる。さらに、図6に示されているように、このフランジ147には、切欠き147bを設けることが好ましい。(図6の例では、3か所に切り欠き147bが設けられている。このように、フランジ147に切り欠き147bを設けておくことにより、外側側壁143が撓み易くなり、中栓107を内袋容器5の筒状口部21への篏合固定を容易に行うことができるようになる。
さらに、上記のフランジ147には、中空管123に対面する位置に逆止弁140が形成されている。この逆止弁140については、後述する。
内側側壁145の上端には、外方に拡径した係合用突部145aが形成されている。即ち、図4から理解されるように、この係合用突部145aがキャップ本体101の頂壁113の下面に設けられているリング状突起113bと係合することにより、中栓107がキャップ本体101に安定に保持される。また、このとき、頂壁113の下面に設けられている微小突起113cが内側側壁145の上端面に当接することにより、キャップ本体101と中栓107との間のシール性が確保され、安定した内容物排出路を確保することができる。
さらに、上述した内側側壁145の内部には、内容物の排出路の開け閉めを行う弁体109が収容される。このために、内側側壁145の内面からは、中央部に開口150を有する弁座151が形成されている。この弁座151の中央部に形成されている開口150は内容物の排出路となるものであり、この開口150を通して、内容物の排出が行われる。即ち、弁体109は、この開口150を開け閉めするために設けられるものであり、内容物を排出する時以外は開口150が閉じられるように、弁体109が弁座151上に保持され、内袋容器5内に空気の侵入を防止する逆止弁として機能する。
弁座151は、弁体109が安定に保持されるように、中心部側に降下している傾斜壁151aを有しており、この傾斜壁151aは、湾曲壁151bに連なり、湾曲壁151bの下端は、水平壁151cに連なり、この水平壁151cの中心が刳り抜かれて開口150が形成されている。即ち、図4から理解されるように、湾曲壁151bに密着するように弁体109が、前述した上蓋105に形成されている弁付勢ロッド129によって押し付けられた状態で開口150を閉じているが、後述する支持部材が有する弾性によって、弁体109は上方に弾性付勢された状態で保持されている。このため、上蓋105を開いて弁付勢ロッド129による押し付けから解放されると、この弁体109は若干上方に押し上げられる。この状態から、内容物を排出するために外筒容器3の胴部15を押圧すると、それに連動して内袋容器5内の圧力が上昇することにより、弁体109は上昇し開口150を開放する。
従って、本発明では、上蓋105が開放されて外筒容器3の胴部15を押圧して弁体109が押し上げられた状態のとき、開口150が開放され、開口150を通しての内容物が排出されるように、弁体109は構成されている。
上記弁体109の形態を示す図7及び図8を参照して、弁体109の支持部材は、支持リング153と、支持リング153から延びている複数本の吊り下げバンド155とを備えており、この吊り下げバンド155によって上下動可能に保持されている。図では、3本の吊り下げバンド155により弁体109が保持されている。このような吊り下げバンド155は、点対称的に配置されており、弁体109を傾かないように保持している。
尚、吊り下げバンド155が破断しないように強固に保持するために、支持リング153からは一定間隔で降下片153aが形成されている、この降下片153に吊り下げバンド155が固定されている。
上記のようにして弁体109を支持している支持部材は、前述した弁座151上(開口150上)に配置され、上蓋105が閉じられているキャップ本体101と共に、エアレス容器1に装着され、内袋容器5の筒状口部21内に位置することとなる。この状態において、弁体109は、弁付勢ロッド129により弁座151に押し付けられ、開口150は、弁体109により、完全に閉じられており、内容物の漏洩が防止されている。
尚、弁体109と弁座151(湾曲壁151b)との密着性を高めるため、図7に示されているように、弁体109の下方の側面は、下方にいくにしたがい小径化された傾斜面109aとなっている。
また、図4に示されているように、弁体109は、その内部がドーム状に肉抜きされている。これにより、弁体109が軽量となり、弁付勢ロッド129による押圧付勢が解除されたとき、容易に上昇して開口150を開放し、内容物排出路を形成することができる。即ち、開口150を通して、内容物の排出を行うことができる。
また、上述した構造のキャップ100においては、キャップ本体101の外側側壁143の上端から外方に、逆止弁140が設けられている(この部分では、フランジ147は切り抜かれている)。この逆止弁140は、前述した空気路X上に存在する中空管123に対面するように位置しており、先端がフリーのフラップ片であり、上方に捲りあげられると、中空管123を閉じ、下方に押し下げられると、中空管123が開放され、エアレス容器1内の空気路Xに連通するようになっている。また、常態においては、この逆止弁140は、水平状態に保持され、中空管123は、エアレス容器1内の空間Yに通じていてよい(空間Yは、大気圧に保持される)。
即ち、上記構造のキャップ100は、弁体109が保持されている中栓107をキャップ本体101に装着し、上蓋105を閉じた状態でエアレス容器1の外筒容器3のノズル11に打栓して嵌合固定し(この時、中栓107は、内袋容器5の筒状口部21内に嵌め込まれる)、この状態で、エアレス容器1は販売され、保管される。
このエアレス容器1から内容物を排出するときには、上蓋105を旋回して開け、この状態でエアレス容器1を下向きに傾けて、外筒容器3の胴部15(スクイズ領域)を押圧して凹ませる。これにより、内袋容器5(袋状胴部23)内の内容物は押し出され、この圧力によって、中栓107内に収容されている弁体109は開口150を開放するように移動し、内容物排出路が形成され、内容物がエアレス容器1の外部に排出される。このとき、外筒容器3の胴部15の押圧により、該胴部15と袋状胴部23との間の空間Zは、加圧された状態となるが、このとき、逆止弁140により中空管123は閉じられているので、空気路Xを通して空気が外部に排出されることはない。
一方、押圧を停止してエアレス容器1を正立状態に復帰させると、弁体109は自重及び吊り下げバンド155の弾性力により、開口150を閉じる状態に付勢される。このとき、上蓋105を旋回して閉じることにより、弁体109は、弁付勢ロッド129によって、開口150をしっかりと閉じるようにより強く付勢される。このようにして、内袋容器5(袋状胴部23)内への空気の侵入が防止され、内容物の空気酸化が防止され、その品質が安定に維持される。さらに、外筒容器3の胴部15は常態に復帰し、凹みがなくなるが、袋状胴部23は、内容物が排出された分だけ減容しており、収縮した形態となっている。これにより、胴部15と袋状胴部23との間の空間Zは負圧となり、したがって、逆止弁140は下方に撓み、中空管123が開放され、空気路Xが外部と連通して空気が空間Z内に流入する。即ち、胴部15と袋状胴部23との間には空気層が存在することとなる。
従って、次に胴部15を押圧して内容物を排出するとき、胴部15と袋状胴部23との間の空間Zには空気層が存在しており、しかも、この空気層は、胴部15の押圧によって外部に排出されることはない。この結果、袋状胴部23内からの内容物の排出に伴い、袋状胴部23が大きく収縮したとしても、その分だけ中空管123から空気路Xを通して空間Z内に空気が導入され、常に、初期と同様に胴部15を押圧して凹ませることにより内容物の排出を行うことができることとなる。
タイプBのキャップ;
また、図9には、上記とは異なるタイプのキャップ(タイプBのキャップ)が、エアレス容器1の口部の部分(外筒容器3のノズル11及び内袋容器5の筒状口部21)と共に示されている。
図9のキャップは、全体として200で示されているが、基本的な形態などは前述したタイプAのキャップと同じであるので、そのような部分は同じ引照数字で示し、その詳細な説明を省略する。
図9において、全体として200で示されているキャップは、外筒容器5のノズル11に篏合固定されるキャップ本体101と、ヒンジ103によりキャップ本体101に旋回可能に連結された上蓋105とを有しており、タイプAのキャップと決定的に異なる点は、内容物の排出路を規制する弁体109が、直接キャップ本体1に装着されており、中栓107は設けられていないこと、および空気路X上に配置される中空管及び逆止弁の構造である。
具体的に説明すると、このキャップ本体101は、筒状側壁111と、筒状側壁111の上端を閉じるようにして形成されている頂壁113とから構成されており、筒状側壁111の内面側の下方には、アンダーカット115が形成されている。また、筒状側壁111には、厚み方向に上端から下方に延びている弧状スリット117が設けられており、部分的に二重壁構造が形成されている手は、前述したタイプAのキャップと全く同じである。同様に、頂壁113の周縁には厚肉部113aが形成されており、この厚肉部113aにノズル11の上端が密着し、空気路Xから空気が外部に漏洩しないようになっている。
一方、このキャップ本体101の頂壁113の内面には、前記筒状側壁111とは間隔を置いて、下方に延びているインナーリング211が形成されている。このインナーリング211は、若干外方に膨出しており、内袋容器5の筒状口部21の内面に密着してシール性を確保している。
また、頂壁113の内面には、インナーリング211よりもさらに中心部側に、先端が中心側に屈曲している保持リング213が設けられており、この保持リング213に、弁座151を備えた筒体145が収容されている。即ち、弁座151の中心には、内容物の排出路となる開口150が形成されており、この開口150を閉じるように、弁体109が配置される。この弁体109の形態や機能はタイプAのキャップに設けられている弁体109と全く同じである。
即ち、弁体109は、支持リング153から延びている複数本の吊り下げバンド155によって上下動可能に保持され、弁座151上(開口150上)に配置される。
また、頂壁113の周縁部には、上蓋105の閉栓状態を安定に保持するための周状小突起119が設けられており、頂壁113の中央部は若干上方に盛り上がっており、前述した弁体109が位置する部分の上方に、内容物を排出する際の排出路となる案内筒121が立設されている。タイプAのキャップ100と同様、案内筒121の上端は、ラッパ状に広がった形状となっており、案内筒121のヒンジ103側は、上蓋105の旋回の邪魔にならないように、背が低くなっている。さらに、案内筒121の内部には、周状凸部121aが形成されている点も、タイプAのキャップ100と同様である。
さらに、頂壁113の中心からずれてヒンジ103に近い側には、中空管221が設けられており、その内部には、逆止弁となる栓体223が設けられている。この中空管221は、タイプAのキャップ100での中空管123と同様、頂壁113の下側空間に連通しており、ノズル11と筒状口部21との間に形成される空気路Xに連なっている。しかし、この中空管221の形態や、この中空管221に付随して設けられる栓体223(逆止弁)の形態は、タイプAのキャップ100での中空管123や逆止弁140とは全く異なっている。この点については、後述する。
一方、ヒンジ103によりキャップ本体101に旋回可能に連結されている上蓋105は、天板125と、天板125の周縁から降下しているスカート127とからなっており、天板125の内面の中心部には、弁付勢ロッド129が設けられており、この弁付勢ロッド129の機能も、タイプAのキャップ100と全く同様であり、その先端が弁体109に当接して開口150をしっかりと閉じるように付勢する。ただ、このキャップ200では、案内筒121が形成されている頂壁113の上面が盛り上がるように形成されており、この結果、弁体109が、タイプAのキャップ100と比較すると、若干上方に位置している。これにより、このタイプBのキャップ200では、弁付勢ロッド129の長さが若干短いものとなっている。
また、このキャップ200においても、弁付勢ロッド129を取り囲むように小さな飛散防止用周状突起131及び環状の溝133が二重に形成されており、案内筒121の内面に付着した内容物が外部に飛散しないような構造となっている。
さらに、飛散防止用周状突起131の外側には、緩衝突起135がリング状に形成されており、緩衝突起135は、一部が切り欠かれている。また、上蓋105のスカート127には、ヒンジ103と反対側の位置にタブ137が形成されており、スカート127の内面の下端には、周状凹部139が形成されているのも、タイプAのキャップ100と同じである。
さて、上述したタイプBのキャップ200において、空気路X上に存在する中空管221は、逆止弁として機能する栓体223が収容されている。この栓体223は入れ子式であり、この栓体223を逆止弁として機能させるため、当然、中空管221の形態は、タイプAのキャップ100での中空管123とは全く異なるものとなっている。
まず、栓体223が収容されている中空管221を拡大して示す図10を参照して、中空管221の内部は、栓体223の移動を規制するために、小径の規制路222が形成されており、規制路222の上方部分は上方から下方にいくにしたがって縮経した傾斜面222aとなっており、下方はフラットな直胴面222bとなっている。また、規制路222の上端及び下端には、栓体223の移動を制限するために、水平段差222c及び222dが形成されている。
上記の規制路222の上側には、軸方向に延びている突条222eが複数本形成されている。また、上記の規制路よりも下側の空間は、ノズル11と筒状口部21との間の空間Yに連通している。
一方、中空管221内に挿入されている栓体223は、規制路222の下側に位置している弁体223aを有しており、この弁体223aは、小径の連結ロッド223bにより、規制路222の上側に位置している基部223cにつながっている。
図から理解されるように、弁体223aの上端には、拡径した係止部223dが形成されており、弁体223aが上方に移動したとき、係止部223dの上端面が規制路222の下端に形成されている水平段差222dに密着し、規制路222が閉じられるようになっている。また、基部223cは、規制路222よりも大径に形成されており、弁体223aが下方に移動したとき、基部223cが規制路222を透過できないので、この栓体223は、中空管221の内部から脱落しないような構造となっている。
尚、上記の栓体223は、軟質塩ビや、ポリエチレン、各種ゴム若しくはエラストマーなどの柔軟な弾性材などにより成形されており、予め成形されているキャップ200に形成されている中空管221内に上部から押し込むことにより設けられる。前述した突条222eや傾斜面222aなどは、中空管221内に栓体223をスムーズに押し込めるようにするために形成されたものである。
図10を参照して、キャップ成形後、中空管221内に栓体223を押し込んだ状態では、上記で説明したように、栓体223は、その基部223cの下端が、中空管221の規制路222の上端に形成されている水平段差222cに当接した状態で保持されている(図10(a)参照)。
次いで、上記のようにして栓体223が中空管221内に保持されているキャップ200を、エアレス容器1の口部に篏合固定すると、栓体223の弁体223aが筒状口部21の上端面に当接する(図10(b)参照)。この結果、この栓体223は、中空管221に対して相対的に上昇し、基部223cの下端は、規制路222の上端の水平段差222cから離れ、規制路222が開放され、筒状口部21とノズル11との間の空間に通じている空気路Xが、中空管221を介して外部に通じることとなる。
即ち、キャップ200がエアレス容器1に装着されているときには、図10(b)に示された状態にある。そして、上蓋105を開け、エアレス容器1を傾けて外筒容器3の胴部15を押圧して内容物を排出すると、外筒容器3の胴部15と内袋容器5の袋状胴部23との間の空間Zは圧縮され、この結果、栓体223は上昇し、弁体223aの上端に形成されている係止部223dが、規制路222の下端の水平段差222dに密着し、規制路222が閉じられる(図10(b)参照)。この結果、外筒容器3の胴部15を押圧して凹ませて内容物を排出するとき、空間Zからの空気の外部への排出が有効に防止される。
また、外筒容器3の胴部15の押圧を停止すると、胴部15は原形に復帰し、凹みは無くなるが、袋状胴部23は、内容物が排出された分だけ、減容収縮している。このため、胴部15と内袋容器5の袋状胴部23との間の空間Zは負圧となる。この結果、栓体223は降下し、再び図10(b)の状態に戻り、規制路222が開放状態となる。即ち、外部に通じている空気路Xを通して空間Zに空気が流入する。従って、次に内容物を排出するときも、空間Zには空気層が存在するため、内容物の排出に伴い、袋状胴部23の収縮量が多くなった場合にも、初期と同程度に外筒容器3の胴部15を押圧して凹ませることにより、内容物を排出することができるのである。
尚、内容物の排出及び排出停止のときの弁体109の動作は、タイプAのキャップ100と全く同じである。
また、上述したタイプA及びタイプBの容器蓋100,200は、何れも上蓋105がキャップ本体101にヒンジ3により連結されているが、キャップ本体1の筒状側壁111に螺条を設けることにより、螺合により上蓋105を設けることも可能である。
また、上述したキャップ100や200は、熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂を用いての射出成形により容易に製造することができる。
1:二重構造容器(エアレス容器)
3:外筒容器
5:内袋容器
11:ノズル
13:肩部
15:胴部
17:底部
21:筒状口部
23:袋状胴部
X:空気路
Y:空隙
Z:不定形領域

Claims (4)

  1. 外筒容器と、該外筒容器内に収容され且つ内容物が収容される内袋容器とを有している二重構造容器と、該二重構造容器に装着された容器蓋とからなり、
    前記外筒容器は、ノズルと、該ノズルに連なる肩部、胴部及び底部を含む延伸成形部とから形成されており、
    前記内袋容器は、固定した形状を有する筒状口部と、該筒状口部に連なり且つ延伸により薄肉化され且つ内容物排出による減容によって収縮変形可能な袋状胴部とを有していると共に、
    前記内袋容器の筒状口部外面は、前記外筒容器のノズル内面に篏合する固定用リングを備えており、該固定用リングにより、該固定用リング外面と該ノズル内面との間に篏合部が形成されていると共に、
    前記内袋容器の筒状口部外面と前記外筒容器のノズル内面との間には、前記篏合部を軸方向に貫通する空気路が形成されており、
    前記容器蓋は、前記空気路を通しての空気の出し入れを規制する逆止弁を備えていること、
    を特徴とする容器蓋付き二重構造容器。
  2. 前記容器蓋は、篏合により二重構造容器に装着されている請求項1に記載の容器蓋付き二重構造容器。
  3. 前記容器蓋は、前記内袋容器の筒状口部を覆うように前記外筒容器のノズルに装着されたキャップ本体と、該キャップ本体にヒンジもしくは螺合により開閉自在に設けられている上蓋とからなる請求項1に記載の容器蓋付き二重構造容器。
  4. 前記キャップ本体に、内容物の排出路となる開口と、該開口の開け閉めを行う弁体と、前記空気路に連なる中空管と、前記逆止弁とが設けられている請求項3に記載の容器蓋付き二重構造容器。
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