JP7311318B2 - 二重構造容器の成形に使用されるスタックプリフォーム - Google Patents
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Description
従って、上記のような二重構造容器では、後加工により、空気導入口を形成する必要があり、生産性が低いという問題がある。
外筒容器と外筒容器の内部に収容された内袋容器とから成る二重構造容器において、
前記外筒容器は、外筒首部と、該外筒首部に連なり且つ延伸成形された胴部とを有しており、
前記内袋容器は、内袋首部と、該内袋首部に連なり且つ延伸成形された袋状部とを有しており、
前記内袋首部の外面には、下方部分に、前記外筒首部の内面との嵌合固定用リング状突起が設けられており、該リング状突起は、空気路形成用切欠きを有していると共に、該内袋首部の上端には、該リング状突起よりも小径の小フランジが水平方向外方に延びており、
前記内袋容器が前記外筒容器に収容されている状態において、該内袋首部のリング状突起が、前記外筒首部の内面に嵌合固定されていることを特徴とする二重構造容器、
を提案した(特願2019-54865号)。即ち、この二重構造容器は、外筒容器用プリフォームに内袋容器用プリフォームを嵌合固定することによりスタックプリフォームを得て、このスタックプリフォームをブロー型内に配置し、内袋容器用プリフォーム内にブロー流体を供給してのブロー成形により製造される。
本発明の他の目的は、スタックプリフォームを用いてのブロー成形により、効率よく二重構造容器を製造する方法を提供することにある。
前記外筒プリフォーム及び内袋プリフォームは、いずれも全体として試験管形状を有しており且つ非延伸部である首部と、該首部に連なっており且つ延伸成形部である管状部とからなり、
前記内袋プリフォームの管状部の上部は、上方から下方に行くにしたがって小径となっているテーパー部となっており、該テーパー部は、多面体形状の外面を有していることを特徴とするスタックプリフォームが提供される。
(1)前記テーパー部の上端部に外面が多角形状の多面体基部が形成されており、この多面体基部によって、前記多面体状外面が形成されていること。
(2)前記多面体基部の下側から下方に延びているリブが点対称的に複数形成されており、該多面体基部とリブとによって、前記多面体状外面が形成されていること。
(3)前記リブは、下方に行くに従い、高さ及び幅が漸次小さくなるような形態を有していること。
(4)前記リブは、三角形状の平断面形状を有しており、その頂点を繋ぐ稜線が、前記多面体基部が有する角部に連なっていること。
(5)前記内袋プリフォームの首部には、上端部に外方に突出した小フランジが形成されており、該小フランジから下方に間隔を置いて、該小フランジよりも大径の嵌合固定用リング状突起が形成されていること。
(6)前記内袋プリフォームの首部は、前記小フランジと嵌合固定用リング状突起との間の外面も多面体形状を有していること。
(7)前記外筒プリフォームの首部の内面には、空気路形成用溝が形成されていること。
前記スタックプリフォームにおける外筒プリフォームの外面側と内袋プリフォームの内部側からとの同時加熱により、該外筒プリフォーム及び内袋プリフォームの延伸成形部分をブロー成形温度に加熱し、
次いで、前記スタックプリフォームをブロー成形金型内に配置して、ブロー成形を行うことを特徴とする二重構造容器の製造方法が提供される。
即ち、二重構造を有していない通常の形態の容器をブロー成形により製造する場合には、プリフォームの外面側からヒーター等を用いての加熱(外部加熱)によりプリフォームをブロー成形温度に加熱してブロー成形が行われるが、スタックプリフォームを用いてブロー成形する場合、このような外部加熱では、成形不良を生じ易い。外筒プリフォームの内部に収容されている内袋プリフォームをブロー成形温度に加熱しなければならず、しかも、この内袋プリフォームと外筒プリフォームとの間には空隙が存在している。このため、必然的に加熱時間が長くなり且つ加熱ムラを生じ易いからである。しかるに、本発明では、外部からの加熱と同時に、内袋プリフォームの内部からも加熱するため、加熱時間を短縮し、且つ加熱ムラを有効に防止し、効率よく、二重構造容器を製造することができる。
特に、外筒プリフォームの内部に収容されている内袋プリフォームの延伸成形部が多面体形状の外面を有している場合には、加熱ムラによる成形不良が生じ易いが、上記のように外部加熱と同時に内部加熱を行う場合には、このような加熱ムラによる成形不良を有効に防止することができる。
このような二重構造容器の概略構造を示す図1を参照して、全体として1で示す二重構造容器は、ボトル形状の外筒容器3と、醤油等の内容液が収容される内袋容器5とからなり、図1から理解されるように、外筒容器3の内部に、内袋容器5が挿入されて保持されている。
また、内袋容器5は、首部(内袋首部)21と、この内袋首部21に連なり膨らんだ形態の袋状部23とからなっている。
また、内容液が排出されると、内容液が排出された分だけ袋状部23の容積が減り、一方、外筒容器3の胴部15は凹んだ状態から復帰するため、作用空間Z内は負圧の状態となる。従って、内容液の排出後には、作用空間Z内に空気を導入し、作用空間Z内を常圧に戻す必要がある。負圧のままのときは、胴部15の原形復帰がスムーズに行われないばかりか、次に、胴部15を押圧して内容液の排出を行う場合、胴部15を大きく凹ませなければならず、内容液の排出を効果的に行うことが困難となってしまうからである。
尚、上記の直胴面Dは、ストレートな直胴形状で示されているが、実際は、成形時の型抜きのために若干傾斜したテーパー面となっている。
さらに、段差面35と噛み合っているリング状突起43の上方への位置ずれを防止するために、成形時の型抜き性が損なわれない限りにおいて、外筒首部11の内面の直胴部Dに小突起を設けることもできる。
図2において、このキャップ100の概略構造が示されているが、内袋容器5内に収容されている内容物の排出は許容するが、内袋容器5内への空気の流入を阻止する逆止弁は省略されており、また、このキャップ100に設けられている上蓋が省略されている。かかるキャップ100は、外筒容器3の首部11に装着されるものであり、省略されている逆止弁とは別に、空気弁Aが設けられており、そのキャップ100の筒状側壁121の外面には、前述した外筒首部11に形成されているアンダーカット31と係合する周状突起Bが形成されており、筒状側壁121に連なり且つ水平方向に延びている頂板部125には、筒状側壁121とは間隔をおいて下方に延びているインナーリングCが設けられている。図2から理解されるように、上記の空気弁Aは、キャップ軸方向下方に延びている環状フラップ片であり、左右に揺動可能となっており、上記の筒状側壁121とインナーリングCとの間の位置において、頂板部125から下方に延びており、その下端は外筒首部11の内面上端に形成されている傾斜面33に当接している。
例えば、スクイズ停止後に作用空間Z内に空気が流入しないときには、袋状部23が収縮しているため、内容液を排出するためには、胴部15を強く押圧して大きく凹ませることが必要となってしまい、最終的には、内容液の排出を行うことができなくなってしまう。本発明の二重構造容器1では、このような不都合が、空気弁Aと当接する傾斜面33の形成により、有効に解決されている。
しかし、空気弁接触面が直胴面との場合は、キャップ100を打栓により装着する際に空気弁Aの変形等を生じ易くなるため、キャップ100を打栓により装着するという観点からは、空気弁接触面は、上記のような傾斜面33とすることが好適である。
図6~9には、このようなスタックプリフォーム及びスタックプリフォームの作製に用いる外筒プリフォーム及び内袋プリフォームの形態の一例が示されている。
尚、既に述べたように、外筒容器3の首部11及び内袋容器5の首部21は、非延伸成形部であり、ブロー成形の前後で、これら首部11,21の形態は同じであり、従って、図1~5で説明したとおりの形態を有している。従って、以下のプリフォームの説明においても、これらの首部については、同じ番号で示し、また、その形態について、詳細な説明は省略している。
図6において、この外筒プリフォームは51で示されており、全体として試験管形状を有しており、上部が、前述した形態の外筒首部11となっており、この外筒首部11に連なっている管状部53が延伸成形部となっている。
この内袋プリフォーム61も、全体として試験管形状を有しており、上部が、前述した形態の内袋首部21となっており、この内袋首部21に連なっている管状部63が延伸成形部となっている。
このような内袋首部21は、ブロー延伸されない非延伸成形部であるため、内袋首部21の形態もまた、ブロー成形前後で基本的に変わらない。
このスタックプリフォーム71は、外筒首部11内に内袋首部21が入り込んでいる部分が、非延伸領域αであり、この領域αの下方の部分が延伸領域βとなる。即ち、このスタックプリフォーム71において、非延伸領域αの形態は、前述した図2及び図5で示されている形態となる。
この場合には、内袋プリフォーム61の上端の小フランジ41と外筒首部11の上端との間の空間に治具を挿入した状態でブロー成形を行い、ブロー成形後、治具を引き抜き、突出している内袋首部21の上端を外筒首部11内に押し込む(打栓)ことにより、図2及び図5に示された形態とすることができる。スタックプリフォーム71をこのような形態とすることは、成形後に、内袋容器5の袋状部23と外筒容器3の肩部13との間に空隙を形成することができるため、最初に内容液の排出を行う際、作用空間Z内への空気の導入を速やかに行うことができるという利点がある。
さらに、ブロー成形上、多面体基部81及びリブ83は、平面でみて、点対称的な形状を有していることが望ましい。
即ち、外筒プリフォーム51の外部からの加熱及び内袋プリフォーム61の内部からの加熱を同時に行うという手段は、多角形状外面が形成されていない通常の内袋プリフォームが使用されているスタックプリフォームのブロー成形にも適用することができるが、特に、多角形状外面を有する内袋プリフォーム61が使用されているスタックプリフォーム71のブロー成形に特に効果的である。
尚、上記の縦溝85は、特に限定されるものではないが、通常、4~9程度の数で点対称的に分布していることが望ましい。
尚、この二重構造容器1に装着されるキャップとしては、原理的には、螺子係合により外筒首部11に装着される所謂螺子キャップを使用することもできる。この場合には、外筒首部11の外面に、キャップ係合用螺条を設け、この螺条に、空気路Xを確保するためのスリットが形成されることとなる。
また、特に限定されるものではないが、この筒状側壁121には、上方から下方に延びているスリット127が形成されており、これにより二重壁構造となっている。このような二重壁構造により、使用済のキャップ100を、格別の器具を用いずに、二重構造容器1から容易に引き剥がすことが可能となっており、分別廃棄性が高められている。
従って、上記のような空気弁Aを設ける代わりに、上記の頂板部125に開口を形成し、この開口を開け閉めし得る形態の空気弁を設ける構造とすることもできる。頂板部125に形成される開口が、前述したストレートな空間Yに連通しているからである。
この案内筒145は、筒状側壁121内の中空空間と連通しており、内袋容器5から排出される内容液の注出路となる。
この上蓋123は、天板部151と天板部151の外周縁に連なるスカート部153とから構成されている。
このポール161は、上蓋123を閉じたとき、中栓保持用リング137内に収容されている中栓111に保持されている逆止弁113を押圧賦勢するための部材である。従って、上蓋123を閉じたとき、このポール161は、内容液注出用案内筒145内に侵入し、逆止弁113に当接することとなる。従って、案内筒145の上端は、ヒンジバンド147側の背が低く形成されている。また、ポール161は、付け根部側が比較的大径に形成され、先端部側が小径に形成された形態を有しており、これに伴い、案内筒145の内面の上方部分には、内方に突出した内方突起145aが設けられている。即ち、上蓋123を閉じたとき、案内筒145内に侵入したポール161は、大径の付け根部側が内方突起145aとの嵌合によりしっかりと固定され、ポール161の小径の先端部側が位置決めされ、一定位置で逆止弁113に当接し、逆止弁113を賦勢するように構成されている。
3:外筒容器
5:内袋容器
11:外筒首部
13:肩部
15:胴部
21:内袋首部
23:袋状部
31:アンダーカット
33:傾斜面
34:圧調整用凹部
35:段差面
37:空気路形成用溝
43:嵌合固定用リング状突起
51:外筒プリフォーム
53:外筒プリフォームの延伸成形部(管状部)
61:内袋プリフォーム
63:内袋プリフォームの延伸成形部
63a:テーパー部
81:多面体基部
81a:多面体基部の角部
83:リブ
83a:リブの稜線
100:キャップ
X:空気路
Y:ストレートな空間
Z:作用空間
A:キャップの空気弁
Claims (9)
- 外筒容器を成形するための外筒プリフォームと、内袋容器を成形するための内袋プリフォームとから構成され、該外筒プリフォーム内に該内袋プリフォームが挿入されているスタックプリフォームにおいて、
前記外筒プリフォーム及び内袋プリフォームは、いずれも全体として試験管形状を有しており且つ非延伸部である首部と、該首部に連なっており且つ延伸成形部である管状部とからなり、
前記内袋プリフォームの管状部の上部は、上方から下方に行くにしたがって小径となっているテーパー部となっており、該テーパー部は、多面体形状の外面を有していることを特徴とするスタックプリフォーム。 - 前記テーパー部の上端部に外面が多角形状の多面体基部が形成されており、この多面体基部によって、前記多面体状外面が形成されている請求項1に記載のスタックプリフォーム。
- 前記多面体基部の下側から下方に延びているリブが点対称的に複数形成されており、該多面体基部とリブとによって、前記多面体状外面が形成されている請求項2に記載のスタックプリフォーム。
- 前記リブは、下方に行くに従い、高さ及び幅が漸次小さくなるような形態を有している請求項3に記載のスタックプリフォーム。
- 前記リブは、三角形状の平断面形状を有しており、その頂点を繋ぐ稜線が、前記多面体基部が有する角部に連なっている請求項4に記載のスタックプリフォーム。
- 前記内袋プリフォームの首部には、上端部に外方に突出した小フランジが形成されており、該小フランジから下方に間隔を置いて、該小フランジよりも大径の嵌合固定用リング状突起が形成されている請求項1~5の何れかに記載のスタックプリフォーム。
- 前記内袋プリフォームの首部は、前記小フランジと嵌合固定用リング状突起との間の外面も多面体形状を有している請求項6に記載のスタックプリフォーム。
- 前記外筒プリフォームの首部の内面には、空気路形成用溝が形成されている請求項1~7の何れかに記載のスタックプリフォーム。
- 外筒容器を成形するための外筒プリフォームと、内袋容器を成形するための内袋プリフォームとから構成され、該外筒プリフォーム内に該内袋プリフォームが挿入されている請求項1に記載のスタックプリフォームを用意し、
前記スタックプリフォームにおける外筒プリフォームの外面側と内袋プリフォームの内部側からとの同時加熱により、該外筒プリフォーム及び内袋プリフォームの延伸成形部分をブロー成形温度に加熱し、
次いで、前記スタックプリフォームをブロー成形金型内に配置して、ブロー成形を行うことを特徴とする二重構造容器の製造方法。
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