JP2016216082A - 延伸ブロー二重容器及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内筒体と外筒体との間に安定して空気を導入することができ、内筒体に充填された内容物の排出を常に効果的に行うことが可能な延伸ブロー二重容器を提供する。
【解決手段】外筒体1と、外筒体1の内部に挿入されて固定されている内筒体3とからなる延伸ブロー二重容器20において、外筒体1及び内筒体3には、両者を一時的に係合させるための凹凸15a,15bが形成されており、凹凸15a,15bが非係合状態に保持されており、これにより、外筒体1の内面と内筒体3の外面との間に空気層17が形成されており、外筒体1の首部には、空気層17に通じる空気孔13が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、延伸ブロー二重容器及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、外筒用プリフォームと内筒用プリフォームとからなる二重構造プリフォームを延伸ブロー成形することにより得られる二重構造容器及びその製造方法に関する。
従来、内筒体と外筒体とからなる二重構造を有している二重構造容器は、例えばデラミボトルとして、醤油等の調味液が収容される容器として実用されている。即ち、かかるデラミボトルは、逆止弁付のキャップと組み合わせで使用されるものであり、ボトルの胴部壁を外部から押圧して凹ませることにより、内筒体に充填されている内容物がキャップに形成されている注出路から排出され、ボトルの胴部壁の押圧を停止することにより内容物の排出を終了させると、空気は逆止弁の作用により、内筒体には導入されず、キャップの注出路とは異なる流路を通って、内筒体と外筒体との間の空間に導入されることとなる。これにより、内筒体は、内容物が排出された分だけ収縮することとなり、内容物を排出する毎に、内筒体が収縮していく。このような方法により内容物が排出されるデラミボトルでは、内容物を小出しできると共に、内容物が充填されている内筒体への空気の侵入が有効に防止されるため、内容物の酸化劣化を有効に回避でき、内容物の鮮度を長期間にわたって保持できるという利点がある。また、内筒体と外筒体の間に一定の空気層を設定することにより、内容物の保温及び保冷効果を有する断熱容器として使用することも可能である。
上述したようなデラミボトルとして使用される二重構造容器は、一般に、ダイレクトブロー成形により製造されている。即ち、溶融押出しにより、二重構造のパイプを形成し、このパイプの下端部をピンチオフし、次いでブロー流体を吹き込むことによりボトルの形態に賦形することにより製造される。
しかるに、ダイレクトブロー成形により二重構造容器を製造する場合には、溶融押出からボトルの成形までの工程が一挙に行われることから、多数個取りが難しく、生産性が低いため、コストが高いという問題がある。また、ダイレクトブロー成形ではオレフィン系樹脂が使用されることが多く、透明性が低いため内容物の視認性に難がある。
このため、延伸ブロー成形による二重構造容器の製造方法が検討されている。即ち、延伸ブロー成形法は、射出成形等により、一旦、試験管形状の容器用プリフォームを成形しておき、このプリフォームを延伸成形温度(ガラス転移点以上融点未満)に加熱し、この状態でブロー流体を吹き込んで容器の形状に賦形するという方法であり、容器用プリフォームの量産が可能であり、生産性が高く、また、容器重量や内容積のバラつきも少なく、安定した品質の容器を製造できるという利点があり、特にコストの低減が可能となるからである。更に、延伸ブロー成形においては透明性の高いPET等の樹脂を使用できるため内容物の視認性を向上することも可能となる。
例えば、特許文献1〜3には、このような延伸ブロー成形により二重容器を製造する方法が開示されている。
延伸ブロー成形により二重容器を形成する場合には、外筒体形成用プリフォームの内部に内筒体形成用プリフォームが挿入されて固定された状態で、内筒体形成プリフォームの内部にブロー流体が吹き込まれて成形が行われるため、成形された内筒体の外面と外筒体の内面との間に、如何にして空気を導入するための導入路を確保するかが問題となる。例えば、上述した公知の技術は、空気導入路を形成するために、プリフォームに溝や突条を形成したり或いはプリフォーム底部に空気孔を形成したりするという手段を採用している。このため金型構造も複雑なものとなってしまう。
こうした工夫を施しているにもかかわらず、従来公知の方法により形成された延伸ブロー二重容器では、空気導入路が有効に機能しない場合があり、内筒体と外筒体との間に空気が効果的に補給されず、このため、内容物の排出を繰り返すごとに、内容物の排出が困難になっていくという問題があった。即ち、内筒体と外筒体との間に空気が補給されないと、内筒体と外筒体とが互いに密着し、凹んだまま維持されるため、内容物が減少するにつれ有効に排出することができなくなってしまうのである。
特許第3796595号 特許第4281454号 特許第3745897号
従って、本発明の目的は、内筒体と外筒体との間に安定して空気を導入することができ、内筒体に充填された内容物の排出を常に効果的に行うことが可能な延伸ブロー二重容器及びその製造方法を提供することにある。
本発明によれば、外筒体と、該外筒体の内部に挿入された内筒体とからなる延伸ブロー二重容器において、
前記外筒体及び内筒体には、両者を一時的に係合させるための凹凸が形成されており、該凹凸が非係合状態に保持されており、これにより、外筒体の内面と内筒体の外面との間に空気層が形成されていることを特徴とする延伸ブロー二重容器が提供される。
本発明の延伸ブロー二重容器においては、
(1)前記外筒体の首部には、前記空気層に通じる空気孔が形成されていること、
(2)前記凹凸は、前記外筒体及び前記内筒体の肩部にそれぞれ設けられており、該肩部において、軸方向に延びていること、
が好適である。
本発明によれば、また、外筒体用プリフォームと、内筒体用プリフォームとを用意し、該外筒体プリフォームの内部に内筒体プリフォームを挿入した状態で延伸ブロー成形を行うことにより延伸ブロー二重容器を製造する方法において、
前記内筒体プリフォームを外筒体用プリフォームに挿入して二重構造プリフォームを組み立て、
前記二重構造プリフォームの組立体を、一時的係合用凹凸を形成するための凹部または凸部を備えたブロー金型内に配置して延伸ブロー成形を行い、
延伸ブロー成形後に、容器形状に賦形された外筒体と内筒体とを周方向に相対的に位置ずれさせるにより、外筒体及び内筒体に形成されている一時的係合用凹凸を非係合状態に保持することを特徴とする延伸ブロー二重容器の製造方法が提供される。
この製造方法においては、
(3)前記外筒体用プリフォーム及び内筒体用プリフォームは、それぞれ、ブロー延伸されない部分である首部を有しており、該外筒体用プリフォームの首部には、空気孔が形成されていること、
が好ましい。
本発明の延伸ブロー二重容器では、外筒体の内部に袋状の内筒体が挿入されて保持されており、かかる外筒体と内筒体には、互いに一時的に係合し得る凹凸が形成されており、この凹凸が互いに非係合状態で存在している。即ち、この凹凸は、互いに係合しないように位置ずれした状態で存在している。この結果として、外筒体と内筒体の間に空気層が形成されていることが、本発明の最大の特徴である。
即ち、外筒体用のプリフォームの内部に内筒用のプリフォームを挿入した状態で延伸ブロー成形を行って二重容器を製造する場合、内筒体用のプリフォームが延伸され、延伸された内筒用プリフォームの外面が外筒体用プリフォームの内面に密着し、外筒体用プリフォームを延伸せしめ、外筒体用プリフォームの外面がブロー金型面に密接して冷却され、これにより、内筒用プリフォーム及び外筒体用プリフォームが互いに密着した状態で容器形状に賦形され、延伸ブロー二重容器が得られる。このため、このままの状態では、外筒体の肩部の内面には、内筒体の袋状部の外面が密着した状態にある。しかるに、本発明では、通常であれば密着している部分に積極的に空気層(空隙)を形成するわけである。
本発明において、このような空気層となる空隙には、外筒体の首部に形成されている空気孔が通じている。このため、外筒体の胴部を押圧して袋状の内筒体内に充填されている内容物を排出した後、外筒体の押圧を停止して外筒体の胴部を原形に弾性復帰させると、外筒体の肩部の内面と内筒体の外面との間に空気層(空隙)が形成されているため、外筒体の首部に形成されている空気孔を通して、該空気層を介して原形に復帰した外筒体の胴部の内面と、凹んで収縮した内筒体の外面との間に空気が導入されるため、凹んで収縮した内筒体の形態がそのまま維持されることとなる。即ち、再び外筒体の胴部を押圧して変形させると、この空気層を介して内筒体が押圧され、内筒体内の内容物が排出され、内筒体の袋状部はさらに収縮することになる。このようにして、本発明では、繰り返し、内容物の排出を安定に行うことができる。
例えば、上記のような空気層が形成されておらず、外筒体の内面が内筒体の外面に密着していると、内容物を排出し内筒体内が減圧状態となった際、外筒体の胴部内面と内筒体の胴部外面の間に空気が有効に導入されず、外筒体と内筒体がともに凹んだ状態で維持される。即ち、内容物が減少すればするほど押圧が困難になり、結局、内容物の排出を安定に行うことが困難となる。
また、本発明の延伸ブロー二重容器は、これを形成するための二重プリフォーム(外筒体用プリフォーム及び内筒用プリフォーム)を、延伸ブロー成形に供し、外筒体及び内筒体のそれぞれに形成されている凹凸が互いに係合している状態にある二重容器前駆体を成形し、この前駆体について、互いに密着している外筒体と内筒体とを周方向に相対的に位置ずれさせることにより、容易に製造することができる。
本発明の延伸ブロー二重容器の側断面図。 図1の二重容器のA−A平断面図。 図1の延伸ブロー二重容器の要部を拡大して示す部分拡大側断面図。 図1の延伸ブロー二重容器における空気層を形成する方法を説明するための図。 図1の延伸ブロー二重容器の首部に逆止弁付キャップが装着された状態を示す側断面図。
図1〜図3を参照して、全体として20で示されている本発明の延伸ブロー二重容器は、外筒体1と、外筒体1内に挿入されている内筒体3とから構成されている。
外筒体1は、首部1aと、首部1aの下端に連なって外方に広がっている肩部1b、肩部1bから下方に延びている胴部1c、及び胴部1cの下端を閉じている底部1dとからなっており、内筒体3も、外筒体1と同様、首部3aと、首部3aの下端に連なって外方に広がっている肩部3b、肩部3bから下方に延びている胴部3c、及び胴部3cの下端を閉じている底部3dとからなっている。
外筒体1及び内筒体3の首部(ノズル部)1a,3aは、何れも、後述する延伸ブロー成形において、ブロー延伸されない固定部(非延伸部)であり、剛性を有している部分であり、首部1a、3aよりも下方の肩部1b、3b、胴部1c、3c及び底部1d、3dが、何れもブロー延伸により賦形された延伸成形部である。
外筒体1において、その首部1aの外面には、この外筒体1の搬送や把持に利用されるサポートリング5が形成されており、さらに、首部1aの下端に連なる肩部1b、胴部1c及び底部1dは、形態保持性を有するような厚みに形成されており、特に胴部1cは、外部から手で押圧したときに容易に凹むが、押圧を解除すると、速やかに原形に弾性復帰するようになっている。
一方、内筒体3は、上記の外筒体1の内部に挿入されるものであるが、その首部3aは、外筒体1の首部1aから突出しており、この突出している部分において、後述する逆止弁付キャップを係合保持するための螺条9が形成されており、この螺条9の下方部分に、外筒体1のサポートリング5よりも小径のリング状突起7が形成されており、このリング状突起7の下面には、外筒体1の首部1aの上端が当接している。即ち、リング状突起7は、内筒体3の把持や搬送に利用されると共に、外筒体1の位置を規制する部材としても機能するものである。
また、内筒体3の延伸成形部(肩部3b、胴部3c及び底部3d)は袋状の形態保持性を有していない部分であり、薄肉に形成されている。
上記のような外筒体1の首部1aの上端部分の内面は、内筒体3の首部3aのリング状突起7の下側部分の外面に密着しており、これにより、内筒体3は、外筒体1にしっかりと保持されている。この密着部分は、嵌合部Aとして図3に示されている。
また、上記の嵌合部Aの下側において、外筒体1の首部1aの内面と内筒体3の首部3aの外面との間には空隙11が形成されており、さらに、この空隙11に連通するように、外筒体1の首部1aには、空気孔13が設けられている。
即ち、上記の嵌合部Aの下側の部分において、外筒体1の首部1aの内径は、内筒体3の首部3aの外径よりも大きく形成されており、この差の分に対応して、空隙11が周状に形成されることとなる。
また、外筒体用プリフォーム内に内筒体用プリフォームをスムーズに挿入し得るように、外筒体用プリフォームの首部下方の管状部(延伸成形部)の内径は、内筒体用プリフォームの首部下方の管状部(延伸成形部)の外径よりも若干大きく設定される。挿入時にベント(空気抜け)が行われるようにするためである。
このような二重容器20において、本発明では、外筒体1の肩部1bには、外方に突出しており且つ軸方向に延びている凸部15aが形成されており、同様に、内筒体3の肩部3bにも、外方に突出しており且つ軸方向に延びている凸部15bが形成されている。かかる凸部15a、15bは、一時的に係合し得るものであり、例えば内筒体3の凸部15bは、外筒体1の凸部15aが形成する凹部と同一形状であり、この凹部内にすっぽり入る形状を有している。
本発明では、このように互いに一時的に係合し得る凸部15a,15bが、図2に示されているように、周方向に位置ずれして存在しており、この結果、外筒体1の肩部1bの内面と内筒体3の肩部3bの外面との間に空気層17(即ち、間隙)が形成されており、この空気層17は、上記の空隙11を介して空気孔13に連通している。
即ち、外筒体1の成形に用いる試験管状のプリフォーム(外筒体用プリフォーム)内に、内筒体3の成形に用いる試験管状のプリフォーム(内筒体用プリフォーム)を挿入し、この状態で内筒体用プリフォーム内にブロー流体を吹き込んでブロー成形を行った場合、内筒体用プリフォームの延伸によって外筒体用プリフォームが押し広げられて成形されるため、通常、内筒体3の首部3aよりも下方の延伸成形部(肩部3b、胴部3c及び底部3d)は、外筒体1の首部1aよりも下方の延伸成形部(肩部1b、胴部1c及び底部d)の内面に密着した状態で得られる。
しかるに、本発明では、図2から理解されるように、外筒体1の肩部1b及び内筒体の肩部3bに、一時的に係合し得る凸部15a,15bが形成されており且つ両者の位置が周方向にずれて存在しているため、本来、互いに密着しているはずの部分に空気層17が形成されたものとなっている。
上記のような構造を有する本発明の二重容器を製造するにあたっては、外筒体用プリフォーム内に、内筒体用プリフォームを挿入し、これらのプリフォームを延伸成形温度に加熱した後、ストレッチロッドにより適宜一軸方向の延伸を行った後、内筒体用プリフォーム内にブロー流体を吹き込むことによって延伸ブロー成形が行われる。
即ち、試験管形状を有している外筒体用プリフォーム及び内筒体用プリフォームは、何れも、所定の熱可塑性樹脂を用いての射出成形等の成形により得られるものであり、前述した首部1a、3aと同一形状の非延伸部を有しており、この非延伸部の下方部分が延伸成形により、肩部1b、3b、胴部1c、3c及び底部1d、3dを形成する延伸成形部分となっている。このような外筒体用プリフォームの内部に内筒体用プリフォームを挿入し、嵌合固定することにより、図1、図3に示されているように、首部1aの上端が首部3aのリング状突起9の下面に当接し、さらに首部1aに形成されている空気孔13に連なる空隙11が、首部3aの外面と首部1aの内面に形成され、そのまま、首部1a、3aの下方の延伸成形部が延伸ブロー成形されて、肩部1b、3b、胴部1c、3c及び底部1d、3dが形成されることとなる。
ところで、上記のようにして延伸ブロー成形されると、上記プリフォームの延伸成形部を取り囲むように配置されているブロー金型の表面には、前述した凸部15aに相当する凹部が形成されている。このため、延伸ブロー成形直後の二重容器(前駆体)においては、図4(a)に示されているように、外筒体1の肩部1bに形成されている凸部15aと内筒体3の肩部3bに形成されている凸部15bとが互いに係合しており、従って、外筒体1と内筒体3とはぴったりと密着した状態にある。即ち、内筒体用プリフォームの延伸成形部が、ブロー流体の吹込みにより延伸され、これにより、外筒体用のプリフォームの延伸成形部が押し広げられ、ブロー金型表面が形成するボトル形状に賦形されるからである。
従って、この延伸ブロー成形直後においては、内筒体3の延伸部(肩部3b、胴部3c、底部3d)の外面は、何れも、外筒体1の(肩部1b、胴部1c、底部1d)の内面に密着した状態にあり、両者の間に空気層は形成されていない。
しかるに、本発明においては、上記のようにして成形された二重容器の前駆体について、その外筒体1の首部1aと内筒体3の首部3aとを相対的に回転せしめる。即ち、内筒体3の延伸成形部(肩部1b、胴部1c、底部1d)は袋状の形態保持性を有していないものであるから、図4(a)に示されている凸部15bを形成している肩部3bは容易に撓み、凸部15aが形成している凹部内から解放され(一時的係合が解除される)、図4(b)に示されているように、凸部15aと凸部15bとは周方向に位置ずれし、この結果、図1及び図3に示されているように、外筒体1の肩部1bの内面と内筒体3の肩部3bの外面との間に、空隙11を介して空気孔13に通じている空気層17が形成されることとなる。
尚、上記のように外筒体1の首部1aと内筒体3の首部3aとを相対的に回転した場合においても、空隙11は周状に形成されているため、空気孔13と空隙11との連通状態が遮断されることはない。
尚、上述した本発明においては、外筒体1の肩部1b及び内筒体3の肩部3bには、それぞれ、外方に突出している凸部15a,15bが形成されているが、このような凸部の代わりに、内方に突出している凹部を形成することもできる。この場合には、ブロー金型の表面には、このような凹部に対応する凸部が形成されることとなる。
また、図2に示されているように、上記の例では、凸部15a,15bが、それぞれ、点対称的に4個形成されているが、外筒体1の肩部1bと内筒体3の肩部3bとの間に空隙11と通じる空気層17が形成される限りにおいて、この数は4個に限定されるものではなく、1個でもよいし、或いはさらに多くの凸部15a,15b(或いは凹部)を形成することもできる。但し、一般的には、この二重容器20の外観を考慮して、通常は、複数の凸部15a,15b(或いは凹部)が点対称的に形成される。
さらに、凸部15a,15bの軸方向長さや高さ、或いは両者の位置ずれの程度(図4で示されている角度θ)についても、外筒体1の肩部1bと内筒体3の肩部3bとの間に空隙11と通じる空気層17が形成されるように適宜の範囲に設定すればよく、例えば、このような空気層17が形成されるのであれば、凸部15a,15bが胴部にまで延びていてもよい。
上記のような構造を有する本発明の二重容器20は、内筒体3に内容物を収容した後、この外筒体1の首部1aと、この首部1aから突出している内筒体3の首部3aとから形成されているノズル部に逆止弁付キャップを装着して使用に供される。
即ち、本発明の二重容器20では、本来密着しているはずの外筒体1の肩部1bの内面と内筒体3の肩部3bとの間に空気層17が形成されており、この空気層17が、空隙11を介して空気孔13と連通しており、空気導入部として有効に機能する。このため、逆止弁付キャップを装着し、外筒体1の胴部1cの外面を押圧しての内容物の排出操作を行った場合、外筒体1と内筒体3の胴部3cや底部3dとの間に有効に空気が導入され、安定して、内容物の排出操作を行うことができる。
図5には、このような逆止弁付キャップが装着された上記容器20のノズル部の状態が示されている。
即ち、全体として50で示されている逆止弁付キャップは、従来公知の構造を有しているものでよく、例えば、二重容器20のノズル部に被せられているキャップ本体51と、ノズル部の上端の開口部(内筒体3の首部3aの開口)に嵌め込まれている中栓53とを備えている。
尚、図5では省略されているが、キャップ本体51には、通常、上蓋はヒンジ連結されており、この上蓋を開放した状態で内容物の排出が行われる。
キャップ本体51は、頂板部55と、頂板部55の周縁から降下している筒状側壁57とから形成されている。
頂板部55には、中央部に内容物注出用の開口59が形成されており、この開口59の周縁から、注ぎ出される内容物の案内となる注出筒61が上方に延びている。また、この頂部には、注出筒61の外側となる位置に、空気導入用の開口63が形成されている。
さらに、筒状側壁57の内面には、二重結合容器20のノズル部(内筒体3の首部3a)の外面に設けられている螺条9と係合する螺子突起65が形成されており、螺条9と螺子突起65との螺子係合により、このキャップ本体51は、ノズル部に被せられた状態で安定に保持される。
尚、螺条9および螺子突起65はそのどちらか、あるいは両側が断続的に切りかかれており、互いが係合している状態であっても、切り欠かれた部分を空気が流れるようになっている。また、筒状側壁55の下端部分は、その内面が外筒体1の首部1aに形成されているサポートリング5と密着し、この部分から空気が漏洩しないようにされている。
一方、中栓53は、ノズル部の開口部に嵌め込まれる筒状形状を有する第1の栓体71と、この第1の栓体71に嵌め込まれた第2の栓体73とから構成されている。
第1の栓体71は、その下端部(底部)が第1の弁71aにより閉じられており、内容物の排出に際しては、容器内圧によって、この弁71aは上方に開き、開いた部分を内容物が通るようになっている。
また、第1の栓体71の上方部分には、外方に延びているフランジ71bが設けられており、このフランジ71bの下端がノズル部の上端面にしっかりと密着することにより、第1の栓体71がノズル部にしっかりと保持される。
第2の栓体73は、この第1の栓体71の上部開口に嵌め込まれるため、第1の栓体1と同様、筒状形状を有しているが、その上端には、外方に延びている環状形状の第2の弁73aが設けられている。この第2の弁73aは、常態では、キャップ本体51の頂板部55に形成されている開口63を閉じるように位置しているが、内容物の排出終了後には、垂れ下がって開口63を開放し、この開口63を通って空気が流れるようになっている。
即ち、図5を参照して、内筒体3に内容物が充填されている二重容器20から内容物を排出するには、逆止弁付キャップ50に設けられている上蓋を開けた後、この容器20の胴部1c(外筒体1)の外面を押圧し、これを凹ませる。これにより、内筒体3の胴部3cも凹まされ、その押圧力により、内筒体3内の内容物は、第1の弁71aを上方に開け、矢線Pに示されているように、中栓53(第1の栓体71及び第2の栓体73)の内部を通り、さらに開口59及び注出筒61を通って外部に排出されることとなる。このように、内筒体3内に充填された内容物は、内筒体3が凹まされた分だけ排出されることとなる。
一方、容器20の胴部1c(外筒体1)の外面の押圧を停止すると、この胴部1cは、元の形態に弾性復帰するが、内筒体3の胴部3cは元の状態に弾性復帰しないため、内筒体3と外筒体1との間に、大気圧よりも低い減圧状態の空隙が生じる。このため、第2の栓体73の第1の弁73aが下方に垂れ下がり、開口63が開放され、この結果、矢印Qに示されているように、空気が開口63を通ってノズル部の外面とキャップ本体51(筒状側壁57)の内面との間を通り、ノズル部(外筒体1の首部1a)に形成されている空気孔13を通り、さらに空隙11から空気層17を通って速やかに空気が導入されることとなる。
このように、内筒体3と外筒体1の胴部1cとの間に形成される空隙に空気が導入された後、再び容器20の胴部1c(外筒体1)の外面を押圧すると、空隙に導入された空気は、第2の弁73により開口63が閉じられるために外部に放出されることがなく、従って、内筒体3は空気層を介して押圧されて凹み、この結果、再び、内筒体3内の内容物は、上記と同様、凹まされた分だけ外部に排出されることとなる。
このようにして、内筒体3に充填された内容物は、押圧された凹んだ分ずつ排出されていくわけであるが、内容物が排出された場合にも内筒体3内に空気が導入されることはなく、従って、内容物の酸化劣化が有効に防止され、この内容物の鮮度が有効に保持されることとなる。
本発明において、外筒体1や内筒体3は、上記のようにブロー成形が可能であるかぎり、種々の熱可塑性樹脂で形成することができる。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下のものを例示することができる。
オレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムあるいはブロック共重合体、環状オレフィン共重合体など;
エチレン・ビニル系共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等;
ビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等;
ポリアミド樹脂、例えば、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等;
ポリエステル樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びこれらの共重合ポリエステル等;
ポリカーボネート樹脂;
ポリフエニレンオキサイド樹脂;
生分解性樹脂、例えば、ポリ乳酸など;
勿論、成形性が損なわれない限り、これらの熱可塑性樹脂のブレンド物を、下地樹脂として使用することもできる。
本発明において、特に好適に使用される熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂及びオレフィン系樹脂であり、さらに、用途上外筒体1と内筒体3の間には空気が流入するため、外筒体1を形成する外筒プリフォーム1には水分及びガスバリア性は必ずしも必要ではなく、水分及びガスバリア性の低いポリ乳酸も好適に使用することができる。
また、外筒体1や内筒体3にガスバリア性を付与するために、これらを形成するための外筒体用プリフォームや内筒体用プリフォームを多層構造とすることもできる。
例えば、前述したポリエステル系樹脂やオレフィン系樹脂(或いはポリ乳酸)等から形成された内外層の間に中間層として、エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物)や芳香族ポリアミドなどのガスバリア性樹脂を用いて形成されるガスバリア層を設けることが好ましく、特にエチレンビニルアルコール共重合体によるガスバリア層を設けることが最も好適である。即ち、中間層としてガスバリア層を設けることにより酸素バリア性を付与することができ、特にエチレンビニルアルコール共重合体は、特に優れた酸素バリア性を示すため、酸素透過による内容物の酸化劣化をも有効に抑制することができ、優れた内容物保存性を確保することができる。
また、上記のようなガスバリア層を設ける場合には、内外層との接着性を高め、デラミネーションを防止するために、接着剤樹脂層を設けることもでき、これにより、中間層のガスバリア層をしっかりと内外層に接着固定することができる。このような接着樹脂層の形成に用いる接着剤樹脂はそれ自体公知であり、例えば、カルボニル基(>C=O)を主鎖若しくは側鎖に1乃至100meq/100g樹脂、特に10乃至100meq/100g樹脂の量で含有する樹脂、具体的には、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのカルボン酸もしくはその無水物、アミド、エステルなどでグラフト変性されたオレフィン樹脂;エチレン−アクリル酸共重合体;イオン架橋オレフィン系共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;などが接着性樹脂として使用される。
本発明においては、特に内筒体3に高い酸素バリア性も付与することが好ましく、従って、内筒体3に、上述した多層構造を採用し、外筒体1にはポリ乳酸のようなバイオプラスチックを用いることで性能、環境面ともに好適である。
上述した本発明の二重容器は、長期間にわたって高い鮮度を保持することができ、しかも、内容物を小出しできることから、醤油等の調味液用の容器として極めて有用である。
1:外筒体
1a:首部
1b:肩部
1c:胴部
1d:底部
3:内筒体
3a:首部
3b:肩部
3c:胴部
3d:底部
5:サポートリング
7:リング状突起
9:螺条
11:空隙
13:空気孔
15a,15b:凸部
17:空気層
20:二重容器

Claims (5)

  1. 外筒体と、該外筒体の内部に挿入された内筒体とからなる延伸ブロー二重容器において、
    前記外筒体及び内筒体には、両者を一時的に係合させるための凹凸が形成されており、該凹凸が非係合状態に保持されており、これにより、外筒体の内面と内筒体の外面との間に空気層が形成されていることを特徴とする延伸ブロー二重容器。
  2. 前記外筒体の首部には、前記空気層に通じる空気孔が形成されている請求項1に記載の延伸ブロー二重容器。
  3. 前記凹凸は、前記外筒体及び前記内筒体の肩部にそれぞれ設けられており、該肩部において、軸方向に延びている請求項1または2に記載の延伸ブロー二重容器。
  4. 外筒体用プリフォームと、内筒体用プリフォームとを用意し、該外筒体プリフォームの内部に内筒体プリフォームを挿入した状態で延伸ブロー成形を行うことにより延伸ブロー二重容器を製造する方法において、
    前記内筒体プリフォームを外筒体用プリフォームに挿入して二重構造プリフォームを組み立て、
    前記二重構造プリフォームの組立体を、一時的係合用凹凸を形成するための凹部または凸部を備えたブロー金型内に配置して延伸ブロー成形を行い、
    延伸ブロー成形後に、容器形状に賦形された外筒体と内筒体とを周方向に相対的に位置ずれさせることにより、外筒体及び内筒体に形成されている一時的係合用凹凸を非係合状態に保持することを特徴とする延伸ブロー二重容器の製造方法。
  5. 前記外筒体用プリフォーム及び内筒体用プリフォームは、それぞれ、ブロー延伸されない部分である首部を有しており、該外筒体用プリフォームの首部には、空気孔が形成されている請求項4に記載の製造方法。
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