JP6452493B2 - スリット弁キャップ - Google Patents

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Description

本発明は、容器体内の圧力に応じて開閉するスリット弁を備えたスリット弁キャップに関する。
軟質弾性材製のボトル体の頂板部分にスリットを設け、圧力が作用した時にスリットが開いて内容物を吐出させるようにしたスリット弁が知られている。このようなスリット弁においては、スリット弁を容器本体の口部の下方から組み込み、このスリット弁を固定保持するための弁押さえにより構成されている場合が広く知られている(例えば、特許文献1ではオリフィスにて固定保持)。しかしながら、スリット弁と弁押さえの構成では構成部品数が多くなり製品構成上コスト高となり易く、またセット工程においても組立作業で複雑さが生じ、不良品発生のリスクも高くなる。
また、スリット弁を上方から組み付ける従来技術として特許文献2に示されるものは、壁(wall)88を超音波エネルギーにて溶融変形させてバルブ70の全周を嵌め合わさなければならず、組み付け工程に高い精度を必要とするものであった。
特開2004−83036号公報 米国特許第5,115,950号明細書
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、構成部品数を減少し、スリット弁の組み付け作業が容易であるスリット弁キャップを提供することである。
上記課題の解決手段として、本発明に係るスリット弁キャップは、
容器本体の口筒部に、該容器本体を開閉するキャップにスリット弁を上方から組み付け、該容器本体を押圧してスリット弁から粘稠性内容物を吐出するスリット弁キャップにおいて、
該スリット弁が組み付くキャップの起立筒の内周には、中間部で下部内周壁の連結部が横断して上部凹部と下部凹部に区分けされる凹部を備え、
該スリット弁の係止突起が下部凹部に嵌合している
ことを特徴とする。
この構成では、上部凹部に係止突起が入り込むようにスリット弁の位置合わせをした後、スリット弁を押し込むことによって、スリット弁の係止突起が下部凹部に嵌合してセット工程が完了するため組み付け作業が容易である。また、構成部品はスリット弁だけなのでキャップの生産性向上や生産コストの低減を図ることができる。
また、本発明に係る別のスリット弁キャップにおいて、下部凹部はキャップの底部と連通する連通部を有している。
上記構造では、キャップの底部に連通部を設けることによって、下部凹部を形成することが可能となった。
また、本発明に係る別のスリット弁キャップにおいて、凹部及びこの凹部に嵌合する係止突起が3箇所又は4箇所である。
上記構造では、係止突起が凹部に複数個所でアンダーカット状に嵌合しているため、セット後の嵌合力が強固になり、セット後の抜けを防止することができる。
本発明の上記した構成においては、以下に示す効果を奏する。
本発明では、構成部品がスリット弁だけであるのでキャップの生産性向上や生産コストの低減を図ることが可能である。また、セット時は上部凹部に係止突起が入り込むようにスリット弁の位置合わせをした後、スリット弁を押し込むことによって、スリット弁の係止突起が下部凹部に嵌合してセット工程が完了するため、容易に組み付け作業を行うことができる。
また本発明では、係止突起が凹部に複数個所で嵌合しているため、セット後の嵌合力が強固になり、セット後の抜けを抑制することが達成される。
更に本発明では、セット性が向上すると共に係止突起と下部凹部との嵌合部の気密性を維持可能である。
本発明に係るスリット弁キャップの実施形態における縦断面図である。 実施形態に使用されるスリット弁の斜視図とキャップの要部縦断面図である。 スリット弁とキャップのセット工程時の縦断面図である。 スリット弁とキャップが嵌合した時の縦断面図である。
以下、本発明にかかる実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るスリット弁キャップの実施形態における容器本体1、キャップ10、スリット弁20の各部材の縦断面図であり、図2は実施形態に使用されるスリット弁の斜視図とキャップの要部縦断面図である。
容器本体1は、ボトル状の胴部の上端に円筒状の口筒部2を起立連設して構成され、ポリエチレンやポリプロピレン等の弾力性を有する合成樹脂をブロー射出成形等により形成されたスクイズ変形可能で、復元自在な可撓性を有する。容器本体1を押圧してスリット弁20から吐出される内容物としては、例えば、シャンプー、リンス、化粧液、液体洗剤及びドレッシング等の粘稠性を有するものが挙げられる。
キャップ10は、キャップ本体12と、このキャップ本体12にヒンジ部11aを介して連接される蓋体11から構成されている。蓋体11の中央部は、キャップ10の閉鎖状態にて、スリット弁20の頂板21の上面に当接して押し下げており、スリット弁20の可動部分の癒着を防止する球弧殻状に陥没した押さえ部11cとなっている。キャップ本体12は、口筒部2に外嵌係合するキャップ外周壁12aを有し、このキャップ外周壁12aの上端縁から内鍔状のキャップ頂板12bを介して起立筒13を垂設している。起立筒13の外周壁には、キャップ10の閉鎖状態に蓋体11の下面から垂下設された嵌着筒片11bとアンダーカット状に密に嵌合するシール部14が形成されている。起立筒13の内周は、上部内周壁13aと下部内周壁13bから構成され、この内周には複数個の凹部15が形成されており、凹部15の中間部には下部内周壁の連結部13b1が横断して上部凹部15aと下部凹部15bに区分けされる。この下部内周壁13bは、下部内周壁の連結部13b1と下部内周壁の周部13b2から構成されている。なお、凹部15が形成されていない上部内周壁13a及び下部内周壁13bの内周は縮径されている。凹部15は、図1〜図4に示されるように起立筒13の内周120度毎に3箇所形成している。なお、凹部15は90度毎に4箇所形成してもよく、形成位置や個数は限定されない。上部凹部15a及び下部凹部15bが製造時に金型上で上下突き当てにより形成されることによって、下部凹部15bはキャップ10の底部18を連通する連通部16を有している。起立筒13の内部中央には、内鍔状の底部18の内端部から中足17が垂設している。
スリット弁20は、シリコーンゴム又は合成ゴム等の軟質弾性材製の有頂筒状で上面に頂板21を有し、頂板21の縁端部から周壁23を垂下設している。頂板21は、球弧殻状に湾曲して陥没しており、そして十字線状にスリット22を形成し、肉薄なスリット弁構造に構成されている。頂板21の下面には、スリット22の終端部を囲むように補強部22aが周設されている。周壁23の外周側には、凹部15の個数に対応した複数個の係止突起24が形成されている。そして周壁23の内周側の下方には、中足17と嵌合する内周係止突条25が周設されている。
周壁23は、下部内周壁の連結部13b1を乗り越えられるように変形可能な程度の肉厚であり、かつ従来のスリット弁に比べ肉厚を増加することで、適度な剛性を有しセット時の作業がし易くなり上方からのセット性の向上を図れると共に、係止突起24と下部凹部15bの嵌合部での気密性を確保することができる。下部内周壁の連結部13b1を乗り越えられ、周壁23が変形可能な程度の肉厚にあっては、下部凹部15bの上端高さ位置より上方での肉厚d1が、係止突起24部分を除いた、下部凹部15bの上端高さ位置より下方での肉厚d2に比べ厚いことが好ましい。一方、周壁23の肉厚が薄過ぎると、内容物の吐出操作等の圧力負荷で変形してしまい気密性の維持が難しくなる。
次に、図示した一実施形態例での動作例を順に説明する。
セット工程ではまず図2に示されるように、それぞれ別々となっているキャップ10とスリット弁20を、凹部15に係止突起24が上方から入り込むようにスリット弁20の位置合わせをした後、キャップ10にスリット弁20を仮組させる。
キャップ10に仮組させたスリット弁20の上部を軽く押し込むと、上部凹部15aに係止突起24が挿入されていき、図3に示されるような上部凹部15aの下部と係止突起24の下部が接触状態となる。上部凹部15aの下部は内方に縮径するようにテーパーしており、また係止突起24の下部も内方に縮径するようにテーパーしているため、スリット弁20を更に押し込むと、スリット弁20の周壁23が変形し、係止突起24は上部凹部15aと下部凹部15bの間を横断している下部内周壁の連結部13b1を乗り越え、セット工程が完了する。
これにより、図4に示されるように、周壁23の外周側では乗り越えた係止突起24が下部凹部15bにアンダーカット状に嵌合し、周壁23の内周側では、内周係止突条25が中足17の外周全周に亘りアンダーカット状に嵌合する。このスリット弁20の内周側と嵌合する中足17は、周壁23が内方に変形するのを防止する。そして、嵌合部などにおいては高い気密性を発揮することができる。
以上、実施形態に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、スリット22を十文字状のものを説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、一本線状や三本線状とするものであっても構わない。また、キャップ10をヒンジキャップとするのではなく、蓋体11とキャップ本体12を別体物とした構成とすることや、スリット弁20の頂板21を陥没した構成とするのではなく、平板状や球弧殻状に膨出する構成としても構わない。
以上説明したように、本発明のスリット弁キャップは、構成部品数が少なく、スリット弁の組み付け作業が容易であるためスリット弁キャップを備えた容器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
1 ;容器本体
2 ;口筒部
10 ;キャップ
11 ;蓋体
11a;ヒンジ部
11b;嵌着筒片
11c;押さえ部
12 ;キャップ本体
12a;キャップ外周壁
12b;キャップ頂板
13 ;起立筒
13a;上部内周壁
13b;下部内周壁
13b1;下部内周壁の連結部
13b2;下部内周壁の周部
14 ;シール部
15 ;凹部
15a;上部凹部
15b;下部凹部
16 ;連通部
17 ;中足
18 ;底部
20 ;スリット弁
21 ;頂板
22 ;スリット
22a;補強部
23 ;周壁
24 ;係止突起
25 :内周係止突条

Claims (3)

  1. 容器本体(1)の口筒部(2)に、該容器本体(1)を開閉するキャップ(10)にスリット弁(20)を上方から組み付け、該容器本体(1)を押圧してスリット弁(20)から粘稠性内容物を吐出するスリット弁キャップにおいて、
    該スリット弁(20)が組み付くキャップ(10)の起立筒(13)の内周には、中間部で下部内周壁の連結部(13b1)が横断して上部凹部(15a)と下部凹部(15b)に区分けされる凹部(15)を備え、
    該スリット弁(20)の係止突起(24)が下部凹部(15b)に嵌合している
    ことを特徴とするスリット弁キャップ。
  2. 前記下部凹部(15b)は、キャップ(10)の底部(18)を連通する連通部(16)を有している請求項1に記載のスリット弁キャップ。
  3. 前記凹部(15)及びこの凹部(15)に嵌合する係止突起(24)が、3箇所又は4箇所である請求項1又は2に記載のスリット弁キャップ。
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